(54)【考案の名称】オリジナル筆記シート

(73)【実用新案権者】パナック株式会社

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、オリジナル筆記シートに関する。

【従来の技術】

【0002】
従来、書込み面を有する情報伝達用の表示媒体としては、黒板、ホワイトボート、掲示板、伝言板等の多種多様なものが知られている。この種の表示媒体を使用する者にとって、図表、グラフ、イラスト等の書込みを行うときに、これらのフォーマットが予め書込み面に表示されていると、書込みの効率がよくとても便利である。
【0003】
例えば、特許文献1では、工事用記録写真等において使用される黒板に関し、特に、筆記面に文字や罫線が設けられた黒板が開示されている。当該黒板によれば、既存の壁や掲示板、スコアボード等を基板として使用し、この表面に貼り付けることによって、黒板を構成することができるとしている。
【0004】

【効果】

【0010】
本考案によれば、被着体に容易に貼り付けることが可能で、意匠面に起因する装飾的効果(意匠性)を生かしてユーザの独自性を発揮できるオリジナル筆記シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の態様としてのオリジナル筆記シートの斜視図である。
【図2】第1の態様としてのオリジナル筆記シートの断面図である。
【図3】第2の態様としてのオリジナル筆記シートの断面図である。

【0012】
本考案に係るオリジナル筆記シートとしては、例えば、下記第1の態様及び第2の態様が挙げられる。
【0013】
[第1の態様]
図1及び図2に例示するように、第1の態様としてのオリジナル筆記シート10は、第1の基材フィルム12の一方の面側に筆記用記録層14を有し、他方の面側に第1の粘着層16を有してなる。第1の粘着層16は、自己粘着層又はこの自己粘着層よりも粘着力が大きい強粘着層であり、これによって、種々の被着体に貼り合わせられる。
【0014】
オリジナル筆記シート10は、その平行光透過率が3%以上である。3%以上であることで、下地の意匠面が視認でき、その意匠性を生かすことができる。そして、筆記用記録層14には色彩及び文字、記号、図形、メッセージ等を書き込むができるので、単なる情報の提示だけでなくその意匠性をコラボレーションさせた作成者の独自性も付与することができる。
ここで、「意匠面」とは第1の態様の場合は、被着面に施されてなる色彩、写真、絵柄等の画像やイラスト等をいう。また、「平行光透過率」とは、シートやフィルムを透過してくる光線の平行な成分を意味する。
【0015】
平行光透過率は求められる透明性により異なるが、より高い透明性を求めるのであれば、当然高いほうが好ましい。平行光透過率は後述の実施例に記載の方法で測定して求めることができる。
【0016】
ここで、第1の粘着層16が自己粘着層である場合、ポリエチレンテレフタレートフィルムに対する自己粘着層の粘着力は、0.002〜0.1N/cmであり、かつ、前記ポリエチレンテレフタレートフィルムに対する上記自己粘着層表面の濡れ速度は1cm/秒以上である。粘着力及び濡れ速度が上記の範囲であると、いわゆる自己粘着性が良好となる。上記自己粘着層の粘着力は、0.005〜0.07N/cmであることが好ましい。また、上記濡れ速度は、2〜6cm/秒であることが好ましい。
自己粘着層の粘着力及び自己粘着層表面の濡れ速度は、後述の実施例に記載の方法で測定して求めることができる。
【0017】
なお、本明細書において「自己粘着性」とは、貼り合わせの際に押圧することなく、シートの自重で素早く被着体に貼着し、また、容易に貼り直しできる性質をいい、当該性質がゆえに、貼着時の作業性に優れるといった効果がある。
【0018】
自己粘着層を構成する粘着剤としては、(A)カルボン酸変性熱可塑性エラストマー、カルボン酸未変性熱可塑性エラストマー、架橋剤、及び可塑剤を含有する粘着層形成用組成物、(B)付加硬化型シリコーンを含有する粘着層形成用組成物、及び(C)ポリウレタン樹脂、架橋剤、及び可塑剤を含有する粘着層形成用組成物のいずれかで構成されることが好ましい。
【0019】
(A)の粘着層形成用組成物としては、例えば、国際公開第2006/6265号等に記載の組成物が挙げられる。
(B)の粘着層形成用組成物としては、例えば、特開2011−038084号公報等に記載の組成物が挙げられる。
(C)の粘着層形成用組成物としては、例えば、特開2003−137963号公報,
特開2015−007226号公報等に記載の組成物が挙げられる。
【0020】
第1の粘着層16が自己粘着層よりも粘着力が大きい強粘着層である場合、これを構成する粘着剤としては、ゴム系ポリマー(例えば、スチレンブタジエン共重合体、ポリイソブチレン)、アクリル系ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル等が挙げられる。また、粘着付与剤(例えば、ロジン、ロジンエステル、エステルガム、クマロン樹脂、クマロン/インデン樹脂、テルペン樹脂、単価水素樹脂、油溶性フェノール樹脂);軟化剤(例えば、脂肪酸エステル、動植物油脂、ワックス、石油重質成分);及び顔料(例えば、亜鉛華)等がさらに加えられることが好ましい。
【0021】
第1の粘着層16の厚みは、3〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。厚みが3〜100μmであることで、所望の粘着力を発揮させることができる。
【0022】
第1の基材フィルム12の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル等のアクリル樹脂;ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂;三酢酸セルロース樹脂;セロファン;ポリスチレン;ポリカーボネート樹脂;ポリアリレート樹脂等が挙げられる。これらのうち、ある程度の強度を有する観点からポリエステル樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)がより好ましい。
第1の基材フィルム12の厚みは、20〜200μmであることが好ましく、30〜130μmであることがより好ましい。
【0023】
筆記用記録層14を形成するための組成物としては、筆記手段に応じて適切な材質が選択されるもので、特に限定されないが、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、多孔質物質、水溶性ポリマー、架橋剤、触媒等を含む組成物等が挙げられる。
筆記用記録層14の厚みは3〜30μmであることが好ましく、5〜15μmであることがより好ましい。厚みが3〜30μmであることで、筆記圧に対する耐久性を良好にすることができる。
【0024】
良好な書き心地といった筆記性の観点から、筆記用記録層14の表面側の少なくとも一部がマット面をとなっていることが好ましい。当該マット面として、筆記用記録層14の表面粗さ(Ra)は0.6〜1.2μmであることが好ましく、0.8〜0.9μmであることがより好ましい。Raが0.6〜1.2μmがであることで、良好な筆記性を得ることができる。マット面の形成方法は特に限定されず、公知の表面処理や筆記用記録層14にフィラーを添加して形成する方法等が挙げられる。
【0025】
第1の態様であるオリジナル筆記シート10の被着体としては、良好に貼り合わせられれば特に限定されず、ガラス面、金属面、プラスチック面、セラミックス面、鏡面、及びこれらを2以上有する面等が設けられた場所、製品、部材等が挙げられる。写真、絵画、ポスター等も被着体とすることができる。
【0026】
筆記用記録層14の表面は、種々の筆記手段で筆記可能であり、チョーク、鉛筆、ボールペン、クレヨン、クレパス、サインペン、及びホワイトボードマーカーの少なくともいずれかで筆記可能となっていることが好ましい。また、筆記用記録層14の材質によっては書き消し可能とすることもできる。
【0027】
[第2の態様]
図3に例示するように、第2の態様としてのオリジナル筆記シート20は、第1の基材フィルム22Aの一方の面側に筆記用記録層24を有し、他方の面側に第1の粘着層26A、意匠層28、第2の基材フィルム22B、及び自己粘着層26Bをこの順に有する。
ここで、第1の基材フィルム22Aの一方の面側に筆記用記録層24を有し、他方の面側に第1の粘着層26Aを有する積層体としては、第1の態様に係るオリジナル筆記シート10が用いられる。
【0028】
第1の態様に係るオリジナル筆記シート10が用いられているため、筆記用記録層24から第1の粘着層26Aまでの平行光透過率は3%以上となっている。筆記用記録層24から第1の粘着層26Aまでの平行光透過率が3%以上となっていることで、意匠層の色彩や絵柄等が視認でき、その意匠性を生かしすことができる。そして、筆記用記録層24には色彩及び文字、記号、図形、イラスト、メッセージ等の書き込みができるので、第1の態様と同様に、単なる情報の提示だけでなくその意匠性をコラボレーションさせた作成者の独自性も付与することができる。
【0029】
ここで、第2の粘着層26Bの強粘着層及び自己粘着層26Bはそれぞれ、第1の態様の強粘着層及び自己粘着層と同様のものを適用することができる。また、第2の基材フィルム22Bについても、第1の態様の第1の基材フィルム12と同様のものを適用するが、第1の基材フィルム22Aと同一とすることも、非同一とすることもできる。
【0030】
第2の態様では、第1の粘着層26Aと第2の基材フィルム22Bとの間に意匠層28が設けられている。意匠層28には、図表、グラフ、イラスト、写真等が形成されている。筆記用記録層24から第1の粘着層26までの平行光透過率が3%以上となっているため、意匠層28の図表、グラフ、イラスト、写真等が良好に視認できる。
【0031】
意匠層28の厚みは、10μm程度以下であることがより好ましい。また、意匠層28は具体的には、写真や図柄が形成されたフィルム状のもの等でもよく、また、第2の基材フィルム22Bに印刷されたものであってもよい。
【0032】
第2の態様であるオリジナル筆記シート20の被着体としては、第1の態様と同様なものが挙げられる。
【0033】
第1の態様及び第2の態様のいずれにおいても、全体の厚みは60〜500μmであることが好ましく、85〜365μmであることがより好ましい。
また、表面に露出する粘着層には、離型シートが貼付されていることが好ましい。離型シートは、紙やプラスチックフィルムの表面にステアリン酸塩、シリコーン、石鹸等の離型剤の層が形成されていてもよい。離型シートは、粘着剤層の表面に重ね合わせて、積層され粘着剤層が露出しないように保護をする。
【0034】
次に、実施例により本考案を具体的に説明するが、本考案はこれらに限定されるものではない。
【0035】
(各種測定)
(1)平行光透過率:
実施例1で作製したオリジナル筆記シートについては、ヘーズメーター(スガ試験機 社製、装置名:ヘーズメーター)を用い、JIS K 7105の条件で平行光透過率を測定した。
【0036】
(2)自己粘着層の粘着力、濡れ速度
i)粘着力測定
オリジナル筆記シートを25mm×200mm片に切断してサンプルとした。サンプルの自己粘着層表面をPETフィルム(厚み:25μm)に2kgローラーで圧着し、23℃で30分間放置(相対湿度:50%)した。その後、(株)島津製作所製のAUTOGRAPH AGS−50Dを用いて、剥離角度180°、剥離速度300mm/minの条件で剥離し、粘着力(自己粘着層とPTEフィルムとの間の粘着力)を測定した。3つのサンプルについて測定を行い、その平均値を粘着力(N/cm)とした。
【0037】
ii)濡れ速度の測定
オリジナル筆記シートを100mm×150mm片に切断してサンプルとした。サンプルの自己粘着層表面を上側にし、ガラス板に固定した。40mm×90mmのPETフィルムをループ状にし、自己粘着層面に接触させ、指を放した瞬間から片側が全て濡れ終わるまでの時間をストップウォッチで計測した。下式を用いて、濡れ速度の測定値を算出した。
濡れ速度(cm/sec)=4.5(cm)÷測定時間(sec)
【0038】
(3)筆記用記録層の表面粗さ(Ra)
オリジナル筆記シートを30mm×50mm片に切断してサンプルとした。ガラス台にサンプルの筆記用記録層面を上側で固定し、SE1700α型表面粗さ測定器(小坂研究所製)を用いて、JIS B 0601−1994の条件で、表面粗さを測定した。
【0039】
(実施例1)
第1の基材フィルムとして、PETフィルム(厚み:125μm)を用い、その一方の面に筆記用マットコーティング剤を塗布し乾燥して筆記用記録層(厚み:9μm)を形成した。また、PETフィルムのもう一方の面にオレフィン系熱可塑性エラストマーを塗布し乾燥して自己粘着層(厚み:20μm)を形成し、オリジナル筆記シートを作製した。
オリジナル筆記シートの平行光透過率、自己粘着層の粘着力及び濡れ速度、筆記用記録層の表面粗さは下記表1の通りであった。
【0040】
このオリジナル筆記シートを木目のデザインが施されたPET面に貼付し、筆記面にチョークを使って文字を書いたところ、書き心地がよくスムーズに筆記できた。また、木目のデザインも透過して視認でき、当該デザインに起因する装飾的効果(意匠性)が生かされて見る者の印象に残る、オリジナリティーのあるものとなっていた。また、良好な自己粘着性が示されていた。
【0041】
【表1】[fig000003]


【0042】
10 オリジナル筆記シート
12 第1の基材フィルム
14 筆記用記録層
16 第1の粘着層




(57)【要約】

【課題】被着体に容易に貼り付けることが可能で、意匠面に起因する装飾的効果(意匠性)を生かしてユーザの独自性を発揮できるオリジナル筆記シートを提供する。【解決手段】第1の基材フィルム12の一方の面側に筆記用記録層14を有し、他方の面側に第1の粘着層16を有し、当該第1の粘着層が、自己粘着層又は前記自己粘着層よりも粘着力が大きい強粘着層であって、ポリエチレンテレフタレートフィルムに対する前記自己粘着層の粘着力が、0.002〜0.1N/cmであり、かつ、前記ポリエチレンテレフタレートフィルムに対する前記自己粘着層表面の濡れ速度が2cm/秒以上であり、平行光透過率が3%以上である、オリジナル筆記シート10である。


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