(54)【考案の名称】回転軸の軸封構造

(73)【実用新案権者】日本バルカー工業株式会社

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、回転軸の軸封構造に関する。さらに詳しくは、本考案は、回転軸に使用されるグランドパッキンの長寿命化を図ることができる回転軸の軸封構造に関する。本考案の回転軸の軸封構造は、例えば、スラリー、粉体などの流体が使用される用途に好適に使用することができる。

【従来の技術】

【0002】
粉体、スラリーなどの流体が使用される軸封構造には、一般にグランドパッキン、メカニカルシールなどの軸封用部材が使用されている。これらの軸封用部材のなかでは、グランドパッキンは、軸封構造を分解して取り付ける必要がなく、切込みを入れて撓ませることにより、回転軸に容易に装着することができるという利点を有する。グランドパッキンを用いる場合、当該グランドパッキンに耐摩耗性に優れた素材を使用したり、スペーサーリングを使用することにより、シール部に流体が侵入することが抑制されている。
【0003】
グランドパッキンが使用されている軸封装置として、例えば、図4に示されるように、ハウジング21の軸方向端部22に締結され、スクリュー軸23の軸端部24との間に第一のグランドパッキン27を備えてハウジング21からの流体の漏出を制限する蓋体26、蓋体26に対して第一のグランドパッキン27を軸方向に押圧する押圧部材28を備えた第一の軸封装置25と、第一の軸封装置25の軸方向外側に締結され、第一の軸封装置25との間に押圧部材28を収容する空間Sが形成され、スクリュー軸23の軸端部24との間に第二のグランドパッキン30を備えて空間Sからのガスの漏出を制限する第二の軸封装置29とを備えた軸封構造が提案されている(例えば、特許文献1の図4参照)。
【0004】
しかし、前記軸封構造では、スクリュー軸23と第一のグランドパッキン27との摺動面にスラリーなどの流体が侵入し、第一のグランドパッキン27が摩耗されるため、第一のグランドパッキン27の寿命が短くなることから、前記軸封構造は、第一のグランドパッキン27の寿命の点で技術的課題を有する。
【0005】

【効果】

【0008】
本考案によれば、回転軸に使用されるグランドパッキンの長寿命化を図ることができる回転軸の軸封構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本考案の回転軸の軸封構造の一実施態様を示す概略説明図である。
【図2】本考案の回転軸の軸封構造に用いることができる固定環Aの実施態様を示す概略平面図である。
【図3】本考案の回転軸の軸封構造に用いることができる回転環の実施態様を示す概略斜視図である。
【図4】従来のグランドパッキンが使用されている軸封装置の概略説明図である。

【0010】
本考案の回転軸の軸封構造は、前記したように、回転軸の表面にグランドパッキンを摺動させて回転軸を軸封させる構造を有する。本考案の回転軸の軸封構造は、グランドパッキンから流体の上流側に向かってグランドパッキンに隣接する固定環収容ケーシングと固定環Aと回転環と固定環Bとパッキン引き上げケーシングとをそれぞれ順に有し、固定環A、回転環および固定環Bをパッキン引き上げケーシングに押圧するためのコイルスプリングが固定環収容ケーシングと固定環Aとの間に配設され、固定環収容ケーシングと固定環Aおよび固定環Bとの間にそれぞれシールパッキンが配設され、回転環が固定環Aおよび固定環Bと摺動可能に回転軸に固定され、グランドパッキンと固定環収容ケーシングと固定環Aと回転環と固定環Bとがパッキン引き上げケーシングとパッキン押えとによって挟持されていることを特徴とする。
【0011】
本考案の回転軸の軸封構造は、前記構造を有することから、回転軸に使用されるグランドパッキンの長寿命化を図ることができる。
【0012】
以下に、本考案の回転軸の軸封構造の一実施態様を図面に基づいて説明するが、本考案は、かかる実施態様のみに限定されるものではない。
図1は、本考案の回転軸の軸封構造の一実施態様を示す概略説明図である。
【0013】
図1において、本考案の回転軸の軸封構造は、前記したように、回転軸1の表面にグランドパッキン2を摺動させて回転軸1を軸封させる構造を有する。
【0014】
本考案の回転軸1の軸封構造は、例えば、スラリー、粉体などの流体をスクリューコンベア、スクリューフィーダ、ロータリーバルブ、撹拌機などで移送する際に使用される回転軸に用いることができる。
【0015】
本考案の回転軸1の軸封構造は、グランドパッキン2から流体の上流側に向かってグランドパッキン2に隣接する固定環収容ケーシング3と固定環A4と回転環5と固定環B6とパッキン引き上げケーシング7とをそれぞれ順に有する。
【0016】
なお、本考案において、回転環5は、回転軸1とともに回転することから回転環と称され、固定環A4および固定環B6は、いずれも回転軸1の回転によって回転しないことから固定環と称される。
【0017】
グランドパッキン2は、有機繊維、無機繊維などの繊維からなる糸にフッ素樹脂、油分、黒鉛などの潤滑剤を含浸させたものを編組したものであり、商業的に容易に入手することができるものである。
【0018】
固定環A4および固定環B6は、それぞれ硬質材料で構成することができる。硬質材料としては、例えば、アルミナセラミック、炭化ケイ素セラミックなどのセラミック、コバルト合金、タングステンカーバイド、ステンレス鋼(SUS304、SUS304L、SUS316、SUS316Lなど)などが挙げられるが、本考案は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0019】
固定環A4は、例えば、図2(a)〜(d)に示されるように、固定環A4を複数のパーツ4a,4b,4cに分割されている固定環A4などが挙げられる。固定環A4は、これらのパーツ4a,4b,4cを組み合わせることにより、形成させることができる。パーツ4a,4b,4cの形状は、任意であり、本考案は、図2に示される実施態様のみに限定されるものではない。各パーツを組み合わせることによって形成される固定環A4は、各パーツを組み合わせるだけで容易に構成させることができるとともに、容易に分解することができるので、本考案の回転軸1の軸封構造のメンテナンスが容易となるという利点を有する。また、固定環B6に関しても、固定環A4と同様に、複数のパーツを組み合わせて構成させるようにした場合には、容易に構成させることができるとともに、容易に分解することができるので、本考案の回転軸1の軸封構造のメンテナンスが容易となるという利点を有する。
【0020】
なお、図2は、本考案の回転軸1の軸封構造に用いることができる固定環A4の実施態様を示す概略平面図である。
【0021】
回転環5は、固定環A4および固定環B6よりも軟質である軟質材料で構成することができる。軟質材料としては、例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂などの樹脂が含浸されたカーボン繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの充填材を含有するフッ素樹脂などが挙げられるが、本考案は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0022】
回転環5は、固定環A4および固定環B6と摺動可能に回転軸1に固定されている。回転環5は、回転軸1から取り外し可能なように取り付けられていてもよく、例えば、溶接などによって回転軸1に一体化させて固定されていてもよいが、回転環5の交換が容易であることから、回転軸1から取り外し可能なように取り付けられていることが好ましい。
【0023】
回転軸1から取り外し可能な回転環5としては、例えば、図3(a)および(b)に示されるように、回転環5を複数のパーツ5a,5b,5cに分割されている回転環5などが挙げられる。回転環5は、これらのパーツ5a,5b,5cを組み合わせることにより、形成させることができる。パーツ5a,5b,5cの形状は、任意であり、本考案は、図3に示される実施態様のみに限定されるものではない。各パーツを組み合わせることによって形成される回転環5は、各パーツを組み合わせるだけで容易に構成させることができるとともに、容易に分解することができるので、本考案の回転軸1の軸封構造のメンテナンスが容易となるという利点を有する。
【0024】
なお、図3は、本考案の回転軸1の軸封構造に用いることができる回転環5の実施態様を示す概略斜視図である。
【0025】
また、固定環A4、回転環5および固定環B6のみならず、固定環収容ケーシング3、パッキン引き上げケーシング7および後述する安定化プレート17に関しても、複数のパーツを組み合わせることによって形成されるようにした場合、各パーツを組み合わせるだけで容易に構成させることができるとともに、容易に分解することができるので、本考案の回転軸1の軸封構造のメンテナンスが容易となるという利点を有する。
【0026】
回転環5が回転軸1から取り外し可能なように取り付けられている場合、回転環5と回転軸1との接合面のシール性を向上させる観点から、例えば、回転環5に凹部形状を有する円周溝を形成し、当該円周溝にゴムシートなどからなるリング状のシールパッキン16を配設してもよい。また、回転環5と固定環収容ケーシング3との間に間隙5aを設けた場合には、回転軸1の軸触れによって回転環5に振れが生じるが、回転環5の振れが間隙5aによって吸収され、回転軸5が固定環A4および固定環B6との境界面で摺動することから、回転軸1の軸触れによる固定環A4および固定環B6の軸振れを抑制することができる。
【0027】
回転軸1を回転させたとき、回転環5が固定環A4および固定環B6と摺動可能に取り付けられていることから、固定環A4および固定環B6は、回転環5と摺動する。その際、固定環A4および固定環B6と回転環5との摺動面で流体が漏出するおそれがある。したがって、本考案では、固定環A4および固定環B6と回転環5との摺動面での流体の漏出を防止する観点から、固定環A4、回転環5および固定環B6をパッキン引き上げケーシング7に押圧するためのコイルスプリング8が固定環収容ケーシング3と固定環Aとの間に配設されている。これにより、固定環A4、回転環5および固定環B6は、固定環収容ケーシング3とパッキン引き上げケーシング7との間でコイルスプリング8による押圧を受けるので、固定環A4および固定環B6と回転環5との摺動面で流体が漏出することを抑制することができる。
【0028】
なお、回転環5と固定環A4との境界面および回転環5と固定環B6との境界面には、シール性を向上させることにより、流体がグランドパッキン2に侵入することを抑制するとともに、回転環5と固定環A4および固定環B6との摺動を円滑化させ、回転環5の摩耗を防止する観点から、例えば、シリコーンオイル、グリースなどが必要により塗布されていてもよい。
【0029】
コイルスプリング8は、例えば、炭素鋼などの鋼で構成させることができる。コイルスプリング8は、固定環収容ケーシング3の固定環A4と対向する面に凹部溝を形成し、当該凹部溝に挿入することによって固定することができる。使用されるコイルスプリング8の数は、特に限定されないが、固定環A4を均等に押圧する観点から、少なくとも3個以上、好ましくは4個以上であり、あまりにもコイルスプリング8の数が多い場合、構造が複雑となることから、好ましくは12個以下、より好ましくは8個以下、さらに好ましくは6個以下である。コイルスプリング8による押圧を固定環A4に均等に付与する観点から、固定環A4とコイルスプリング8との間に安定化プレート17を設置することが好ましい。
【0030】
固定環A4および固定環B6は、コイルスプリング8による押圧を受けて固定環収容ケーシング3と摺動することから、固定環収容ケーシング3に固定されていない。したがって、固定環収容ケーシング3と固定環A4および固定環B6との間から流体が侵入するおそれがあることから、固定環収容ケーシング3と固定環A4および固定環B6との間にそれぞれシールパッキン9,9が配設されている。シールパッキン9,9は、固定環A4および固定環B6の固定環収容ケーシング3と対向する面にそれぞれ凹部形状を有する円周溝を形成し、当該円周溝に挿入することにより、その位置を固定することができる。シールパッキン9,9としては、例えば、フッ素ゴム、シリコーンゴムなどのゴム製のリング状のシールパッキンを用いることができる。
【0031】
固定環B6とパッキン引き上げケーシング7との間には、固定環B6に押圧を付与するための流体圧力伝達用空間19が配設されていることが好ましい。このように流体圧力伝達用空間19を配設した場合には、回転軸1とパッキン引き上げケーシング7との間隙から侵入した流体は、流体圧力伝達用空間19内に侵入する。流体圧力伝達用空間19内に侵入した流体は、圧力を有することから、当該流体の圧力により、固定環B6は、流体の進行方向に押圧されることから、固定環A4と回転環5との境界面および固定環B6と回転環5との境界面でのシール性がさらに高められ、流体がグランドパッキン2に侵入することを抑制することができる。
【0032】
流体圧力伝達用空間19は、パッキン引き上げケーシング7の固定環B6と対向する面、固定環B6のパッキン引き上げケーシング7と対向する面、または双方の面に設けることができる。図1に示される実施態様では、パッキン引き上げケーシング7の固定環B6と対向する面および固定環B6のパッキン引き上げケーシング7と対向する面の双方に流体圧力伝達用空間19が設けられている。
【0033】
また、本考案の回転軸の軸封構造においては、固定環収容ケーシング3内にガスを導入するためのパージ孔18がパッキン引き上げケーシング7および固定環収容ケーシング3に連通して形成されていることが好ましい。このようにパッキン引き上げケーシング7および固定環収容ケーシング3に連通するパージ孔18を設けた場合、パージ孔18を介してガスを固定環収容ケーシング3内に導入することにより、回転軸1とパッキン引き上げケーシング7との間隙から侵入した流体が固定環収容ケーシング3に侵入し、グランドパッキン2に侵入することを抑制することができる。パッキン引き上げケーシング7とスタフィングボックス20との間には、必要により、シールパッキン13を配設してもよい。また、固定環収容ケーシング3とパッキン引き上げケーシング7との間にも、必要により、シールパッキン14,15を配設してもよい。
【0034】
パージ孔18から導入されるガスの種類は、流体の種類によって異なるので一概には決定することができないことから、当該流体の種類に応じて適宜決定することが好ましい。当該ガスの例としては、例えば、空気、炭酸ガス、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスなどが挙げられる。
【0035】
また、グランドパッキン2と固定環収容ケーシング3と固定環A4と回転環5と固定環B6とは、グランドパッキン2が回転軸1の軸方向に移動することを防止するとともに、固定環A4と回転環5との境界面および固定環B6と回転環5との境界面でのシール性を高め、流体がグランドパッキン2に侵入することを抑制する観点から、パッキン引き上げケーシング7とパッキン押え11とによって挟持されている。パッキン引き上げケーシング7とパッキン押え11とは、必要により、例えば、ボルトとナットとの組み合わせなどの固定具12によって固定されていてもよい。
【0036】
以上のようにして構成される本考案の回転軸の軸封構造は、流体がグランドパッキン2に侵入することを抑制することができることから、流体がグランドパッキン2に付着することを抑制することができるので、グランドパッキン2の長寿命化を図ることができる。
【0037】
また、本考案の回転軸の軸封構造は、パッキン引き上げケーシング7を有することから、各部品を簡単に組み立てるだけで構成させることができるとともに、容易に分解することができるので、本考案の回転軸の軸封構造のメンテナンスが容易であるという利点も有する。
【0038】
1 回転軸
2 グランドパッキン
3 固定環収容ケーシング
4 固定環A
5 回転環
5a 間隙
6 固定環B
7 パッキン引き上げケーシング
8 コイルスプリング
9 シールパッキン
10 リング状スプリング
11 パッキン押え
12 固定具
13 シールパッキン
14 シールパッキン
15 シールパッキン
16 シールパッキン
17 安定化プレート
18 パージ孔
19 流体圧力伝達空間
20 スタフィングボックス

(57)【要約】

【課題】回転軸に使用されるグランドパッキンの長寿命化を図ることができる回転軸の軸封構造を提供する。【解決手段】グランドパッキン2から流体の上流側に向かってグランドパッキン2に隣接する固定環収容ケーシング3と固定環A4と回転環5と固定環B6とパッキン引き上げケーシング7とをそれぞれ順に有し、固定環A4、回転環5および固定環B6をパッキン引き上げケーシング7に押圧するためのコイルスプリング8が固定環収容ケーシング3と固定環A4との間に配設され、固定環収容ケーシング3と固定環A4および固定環B6との間にそれぞれシールパッキン9が配設され、回転環5が固定環A4および固定環B6と摺動可能に回転軸1に固定され、グランドパッキン2と固定環収容ケーシング3と固定環A4と回転環5と固定環B6とがパッキン引き上げケーシング7とパッキン押え11とによって挟持されていることを特徴とする。


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