(54)【考案の名称】深度目盛付き内視鏡用シース

(73)【実用新案権者】富士システムズ株式会社

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】 図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
この考案は、深度目盛付き内視鏡用シースに関し、詳しくは、シースの挿入深度を表す数字を正像と鏡像の2種類の数字とすることで、内視鏡でも視認し易くできるようにした技術に係るものである。

【従来の技術】

【0002】
従来、例えば脳内の内視鏡手術においては、神経内視鏡の操作による脳実質の損傷を防ぐため、脳内に透明シースを留置し、その内腔に内視鏡を挿入している。このとき、シースがどれだけ脳内に挿入されているか目視できるように、シースの外周面に数字の深度目盛を設けたものは市販品等で既に存在する。
【0003】
しかしながら、この深度目盛は正像の数字からなるものであるため、外観からは見やすいが、透明シースの内腔に通した内視鏡から見ると、数字が反転し認識し難い、という問題がある。
【0004】
一方、出願人の先行技術調査によれば、シースではなく、ダイレータそのものの外周面に目盛を設けたものは、例えば特許文献1に示すように提案されている(段落番号0083、図12参照)。しかし、この目盛は、ダイレータを挿入した後に、内視鏡下で基点を胃内壁面に合わせて、体表面側の目盛を判読することにより、体表面から胃壁内面までの距離を測定することができるというものであり、しかも数字は正像からなるものであり、目盛自体は前記公知技術のシースの目盛と何ら変わるものではない。
【0005】

【効果】

【0012】
この考案は、前記のようであって、請求項1ないし4に記載の考案によれば、シース本体の外周面の軸方向にその前端から後端に向けて少なくとも正像の数字と鏡像の数字からなる深度目盛が設けられているので、深度目盛の数字を透明シースの内腔に通した内視鏡からも視認し易くなり、内視鏡による手術の利便性が高くなるという優れた効果がある。
【0013】
請求項5に記載の考案によれば、脳室穿刺用ダイレータ装置に利用可能であるので、該ダイレータ装置を使用した手術に対しても便利なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】脳内穿刺用ダイレータ装置に用いられるシースの全体正面図である。
【図2】同上のシースを用いた脳内穿刺用ダイレータ装置を示す全体概略図であり、(A)は正面図、(B)は左側面図、(C)は右側面図である。
【図3】同上のダイレータ装置の断面図である。
【図4】同上のダイレータ装置を構成する脳室穿刺用チューブ付きダイレータの断面図である。
【図5】同上のダイレータの作用説明用の断面図である。
【図6】作用説明図である。
【図7】作用説明図である。
【図8】作用説明図である。

【0015】
以下、図面を参照しながら、この考案の一実施の形態について説明する。
【0016】
図1において、1は内視鏡用シースであり、全体が透明な樹脂からなるチューブ状のシース本体2を具えている。シース本体2はその軸方向の全長が90mm程度となっていて、後端側は拡開状に形成されている。なお、透明シース1は、ポリエチレン、ナイロン等、樹脂で医療用として適する材質であれば、任意の材質のものを使用することができる。
【0017】
シース本体2の外周面にはその前端から後端に向けて軸方向に深度目盛3が等間隔で印字され設けられている。深度目盛3は、シース本体2の外周面に軸方向に一直線上となるように等間隔で設けられた基準マーク3aと、この基準マークの径方向の左右近傍位置に該マークを挟むように設けられた正像の数字3bと鏡像の数字3cからなっている。このようにシース本体2の外周面に数字を正像と鏡像の2種類の数字を印字しているのは、外観および、シース内腔に通した内視鏡からも目盛を認識し易くするためである。すなわち、脳内の内視鏡手術では、神経内視鏡の操作による脳実質の損傷を防ぐため、脳内にシース1を留置し、その内腔に内視鏡を挿入して行っているが、このとき、シース1がどれだけ脳内に挿入されているか目視できるようにする必要があり、そのため前記のような数字の深度目盛3を設けている。しかも正像の数字3bは外観からは見やすいが、透明シース1の内腔に通した内視鏡から見ると、数字が反転し認識し難い状態となる。そこで、正像の数字3bに加えて鏡像の数字3cを設け、数字を正像と鏡像の2種類の数字とすることで、内視鏡でも視認し易くしている。
【0018】
ここで示す深度目盛3はあくまでも好ましい一例であって、基準マーク3aを方形以外の、例えば連続又は非連続のライン(軸方向線)としてもよいし、あるいは着色の色も黒色としているが、他の色としてもよい等、必要によっては他の構成としてもよい。
【0019】
シース本体2の後端部には内視鏡を使用して手術する際、内視鏡が留置している透明シース1に接触しシースが過度に脳室に押し込まれるのを防ぐための径大の脳表ストッパ4がスライド可能に外挿されて設けられている。5は脳表ストッパ4がシース本体2の後端から抜けないようにシース本体2の後端を外向き拡開状に形成された係止部である。脳表ストッパ4はシース本体2とは摩擦力によって係合した状態で外挿されているが、所定の摩擦力が得られない事情がある場合等には、図示しているようにその外周面に全周にわたり窪み6や突隆7を設け、該窪み6に糸等を引き掛けて締付け、所定の摩擦力を得るようにすることも可能である。
【0020】
なお、前記シース1は一例であり、例えば脳表ストッパ4のようなものを設けずにシース本体2の後端部に脳表ストッパ4に相当するストッパ部をシース本体2に一体に設けた構造としてもよい。また、シース1ではシース本体2の前端部の外周面に前方に向けて徐々に小径となるテーパを付していない形状としたが、該テーパを付してセット時に後記するダイレータの径小部に連なるような構成としてもよく、このようなテーパを付すと、ダイレータとともに脳室に挿入されるシース1の挿入も抵抗が少なくスムーズに行えるようになる。
【0021】
前記のような内視鏡用シース1を脳室穿刺用ダイレータ装置に使用した例を以下に説明する。
【0022】
図2,3において、11は脳室穿刺用ダイレータ装置であり、このダイレータ装置11は、脳室穿刺用チューブ付きダイレータ12と、金属スタイレット13と、前記したシース1とを具えている。脳室穿刺用チューブ付きダイレータ12は、脳室穿刺用チューブ15と、拡張用ダイレータ16とからなっている。そして、それぞれ前後端が開口した、脳室穿刺用チューブ15と、拡張用ダイレータ16と、シース1とが順次に外挿されて軸方向にスライド可能な構成になっている。
【0023】
脳室穿刺用チューブ付きダイレータ12の穿刺用チューブ15上をスライドする拡張用ダイレータ16の前端部は前端に向けて徐々に径小になった径小部17に形成されている。また、拡張用ダイレータ16は、その前後端開口と連通した内腔を有し、この内腔の後端(端末)側より所定の長さにわたりチューブ15の外径より大口径の孔からなる穿刺用チューブストッパ可動腔18が形成されている。ストッパ可動腔18は後端側がダイレータ16の後端開口と同径の孔部18aとなっており、前端部付近が径小に絞られた孔部18bに、さらにその前側がダイレータ16の前端開口と連通するチューブ15の外径より僅かに大きい孔部18cとなっていて、これらが繋がっており、孔部18cでチューブ15をスライド可能に支承している。
【0024】
拡張用ダイレータ16の後端部には大径コネクタ20が螺合により取り付けられている。コネクタ20にはダイレータ16側から段差により大小径からなる孔部21が形成され、さらに該孔部より後端側にチューブ15の外径より僅かに大きい孔部22が形成されている。そして、孔部21の大径内周面にはめねじ23が形成され、該めねじには、ダイレータ16の後端部において同様に段差により大小径部が形成され、該大径部の外周面に形成されたおねじ25が段差同士を当接させた状態で螺合されている。
【0025】
27は孔部22の前端側に内装されたゴム製Oリングであり、該Oリング27内にはチューブ15が摩擦力によって係合した状態で嵌挿されている。すなわち、Oリング27とチューブ15は適度の摩擦力によって接しており、使用者がダイレータ16を押し込むとダイレータ16はスライドするが、チューブ15の端末を持って本装置1を垂直に立ててもダイレータ16のスライドは起きないようになっている。また、28はOリング用の保持部材であり、Oリング27とダイレータ16の後端面間に挟まれた状態で配置されている。Oリング27と保持部材28は、チューブ15とダイレータ16の動きを摩擦抵抗で抑止して保持する機構を構成する。
【0026】
拡張用ダイレータ16は、フッ素樹脂、ポリエチレン、ナイロン等、医療用として適する材質であれば、任意の材質のものを使用することができる。
【0027】
穿刺用チューブ15には、該チューブより外径が大きくて円筒状を呈するダイレータ用ストッパ30が嵌挿して固着されている。ストッパ30は、ダイレータ16のストッパ可動腔18内をチューブ15と一体に移動可能となっているが、その後端がダイレータ16の後端側に配置されている保持部材28に当接して係止すると、図5に示すようにチューブ15の前端がダイレータ16の前端開口近くに位置してチューブ15全体がダイレータ16から突出しない状態になる一方、前端が孔部18bとの境の角壁31に当接して係止するようになると、図4に示すようにチューブ15がダイレータ16の前端開口部から脳室の穿刺に適する所定長さ突出するようになっている。
【0028】
大径コネクタ20の後端側となるチューブ15の後端部には、スタイレット接続固定用端末コネクタ33が設けられている。コネクタ33には、コネクタ20側から段差により大小径からなる孔部34が形成され、さらに該孔部より後端側に大径の孔部35が形成されている。孔部35にはスタイレット把持部36の前端面から突出した接続用突部37がコネクタ20の孔部35に挿脱可能に嵌挿されている。そして、コネクタ33の前端面がコネクタ20の後端面に当接した状態で、図4に示すようにストッパ30は前記角壁31の近くに位置し、チューブ15の前端側がダイレータ16の前端開口より所定長さ突出する。チューブ15は、ウレタン、シリコーン、ナイロン等、医療用として適する材質であれば、任意の材質のものを使用することができるし、金属も可能である。
【0029】
金属スタイレット13は、全長がチューブ15と同程度のスタイレット本体を有している。スタイレット本体の外径はチューブ15の内径より僅かに小さくなっていて該チューブ15内を前後にスライド可能になっている。スタイレット本体の後端部には、前記のように把持部36が設けられ、該把持部に設けた接続用突部37をチューブ15の後端部に設けたコネクタ21の孔部35に嵌挿することにより接続固定が可能である。また、スタイレット13は、この例では金属としているが、剛性があり、挿入によりチューブ5に対して曲がらない真直性を付与できるものであれば、必ずしも金属でなくともよく、各種の材質のものを使用することが可能である。
【0030】
拡張ダイレータ16には透明シース1がスライド可能に外挿されている。透明シース1のシース本体2の内径はダイレータ16の外径より僅かに大きくなっていてダイレータ16上を前後にスライド可能になっている。
【0031】
次に、作用について図6,7を参照して説明する。まず穿刺用チューブ15を脳表の表面側から脳室50に穿刺する。図6はその穿刺した状態を示す。チューブ15を脳室50に穿刺した後、端末コネクタ33からスタイレット把持部36の突部37を抜き出して固定を外し、スタイレット13をチューブ15内から引き抜く。この引き抜きに際し、チューブ15が正確に脳室50に穿刺されているか確認を行う必要があるが、その確認は、チューブ15から髄液が流出するかどうかで判断する。
【0032】
次に、大径コネクタ20のねじを緩めてダイレータ16のチューブ15との固定を解き、ダイレータ16をチューブ15に沿わせて誘導し、チューブ15のストッパ30が保持部材28に接触して当接するまでスライドさせてダイレータ16を脳室50内へ挿入する。このとき、ダイレータ16はチューブ15より突出することがない。そのため、挿入時の脳室壁等の損傷を防ぐことができる。
【0033】
ダイレータ16を脳室50内へ挿入後、ダイレータ16に外挿してある透明シース1が動かないようにそれだけ残して静かにチューブ15及びダイレータ16を引き抜く。これにより、脳室50内には透明シース1だけが留置される。図7は透明シース1を留置させた状態を示す。しかる後、脳表ストッパ4を頭皮側にスライドして位置させシース1を固定したうえ、留置された透明シース1の内腔に内視鏡60を挿入し手術を行う。そして、内視鏡60を使用する者はこの手術中にシース1のシース本体2の外周面に印字された深度目盛3を適宜、見ることができ、しかも目盛3が正像の数字3bのほかに鏡像の数字3cからなっているので、内視鏡で見やすいものとなる。図8は、シース内腔より深度目盛3を見たときのイメージ図である。前記のようであるから、従前に比べてシース1を用いた内視鏡手術の迅速かつ効率化を図ることができ、利便性の高いものとなる。
【0034】
以上のように、この実施例に係るシース1を説明したが、これはあくまでも好ましい一例を示すものであり、実用新案登録請求の範囲内で適宜設計変更が可能であることは云うまでもない。また、このシース1を使用する対象として、脳室穿刺用ダイレータ装置を挙げたが、これ以外のものに使用することができるものである。
【0035】
1 内視鏡用シース
2 シース本体
3 深度目盛
3a 基準マーク
3b 正像の数字
3c 鏡像の数字
11 脳室穿刺用ダイレータ装置
12 脳室穿刺用チューブ付きダイレータ
40 脳表ストッパ
50 脳室
60 内視鏡

(57)【要約】

【課題】 深度目盛の数字を透明シースの内腔に通した内視鏡からも視認し易くした内視鏡用シースを提供する。【解決手段】 この考案に係る内視鏡用シース1は、全体が透明な樹脂からなるシース本体2を具え、該シース本体の外周面の軸方向にその前端から後端に向けて少なくとも正像の数字3bと鏡像の数字3cからなる深度目盛3が設けられている。


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