(54)【考案の名称】ゴルフショット診断装置

(73)【実用新案権者】マルマン株式会社

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図2

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案はゴルフショット診断装置に関する。

【従来の技術】

【0002】
ゴルフの打撃結果を評価する装置は古くより多数知られ、打撃直後の初期速度(速さ、上下飛出角、左右飛出角)とスピン(バックスピン、サイドスピン)を計測し、これを入力として飛距離と目標線から左右へのオフセット距離(以下「左右ブレ」と言う。)を算出する装置が一般的である。最近は、打撃直後の初期速度等のみではなく、空中を飛翔するゴルフボールを追跡して軌跡を計測し、飛距離と左右ブレを得る装置もある。
【0003】
打撃結果の良否を評価する方法の一つとして、複数回の打撃についての飛距離と左右ブレそれぞれのばらつき、具体的には分散や標準偏差を用いる方法が一般的に知られており、この分散や標準偏差の値を用いて楕円表示するものも知られている(特許文献1など)。
【0004】
楕円表示の具体的な方法は以下の通りである。まず、任意の回数n回の打撃からn個のデータ(飛距離1,左右ブレ1)、(飛距離2,左右ブレ2)、・・・、(飛距離n,左右ブレn)を得、このデータから(飛距離の標準偏差、左右ブレの標準偏差)と(平均飛距離、平均左右ブレ)を求める。次に、飛距離方向と左右ブレ方向の二つの座標軸を有するグラフ上に、(平均飛距離、平均左右ブレ)を中心とし、飛距離方向に[k × 飛距離の標準偏差]の長さの軸を、左右ブレ方向に[k × 左右ブレの標準偏差]の長さの軸を有する楕円を描くものである。なお、係数kによって表示される楕円の大きさが変わるが、必要に応じ任意に選ぶことが出来る。但し、係数kが異なる楕円を直接比較することはできない。
【0005】
このように楕円にて表示した場合、飛距離方向、左右ブレ方向のブレを同時に、かつ視覚的に認識することが可能となる。しかし当然のことながら、この楕円は長短軸の方向が必ず目標方向とこれに直角な方向と固定されている。即ち、楕円表示によって飛距離方向と左右ブレ方向のばらつきを同時に、視覚的に認識して評価することは出来るものの、あくまで飛距離方向のばらつきと左右ブレ方向のばらつきがそれぞれ独立したものである点では、単純に飛距離と左右ブレ方向それぞれの分散や標準偏差の値を表示する場合と同じである。
【0006】
なお、ゴルフにおいて飛距離と言った場合、ゴルフボールが空中を飛んで最初に着地した位置までの距離であるキャリーと、着地後にバウンドしたり転がったりした後、最終的に停止した位置までの距離であるトータル距離があるが、ゴルフの打撃結果の評価におおいて、必要に応じていずれか一方又は双方が選択されて用いられるものであり、本明細書において「飛距離」と言った場合は、キャリー、トータル距離のどちらをも意味し、適用することが可能である。
【0007】

【効果】

【0015】
本考案のゴルフショット診断装置によれば、飛距離と左右ブレのばらつきを統合的に認識できるという優れた効果を奏し得る。即ち、本考案によって飛距離と左右ブレのばらつきが相関の有無を含めて示されることにより、当該ゴルファーのスイングの個性や癖の把握、あるいは使用したゴルフクラブの適否評価を、より正確に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】1回の打撃による弾道及びランを示す図
【図2】本考案の装置により分析し、表示された楕円を表す図
【図3】従来の装置により表示された楕円と、本考案の装置により表示された楕円の比較図

【0017】
図1は、n回行った打撃のうちのi番目(i=1,2,・・,n)の打撃の飛球の軌跡を示す。原点Oはボールの打ち出し位置とし、飛球目標方向をx軸、水平左方向をy軸、鉛直方向をz軸としている。打ち出されたボールは、点Cにて最初に着地した後、ラン、即ちバウンドしたり、転がったりして点Tにて停止した。この場合のキャリーとその左右ブレは点Cの座標値(Dcxi , Dcyi )、トータル距離とその左右ブレは点Tの座標値(Dtxi , Dtyi )として得られるから、n回の打撃を行うことで表1に示すとおり、キャリーとその左右ブレ、トータル距離とその左右ブレそれぞれについて、複数の二次元座標値を得ることができる。
【表1】[fig000003]


【0018】
本装置は表1のデータを入力し、キャリーとその左右ブレ、トータル距離とその左右ブレのいずれか若しくは双方について二次元的なバラツキを評価するものであるが、キャリーとその左右ブレを扱う場合も、トータル距離とその左右ブレを扱う場合も、行う処理は同じなので、以降は単に飛距離とその左右ブレを(Dxi , Dyi )として説明する。即ち、(Dxi , Dyi )の部分に、キャリーに関して評価する場合は(Dcxi , Dcyi )の値を、トータル距離に関して評価する場合は(Dtxi , Dtyi )の値を代入すればよい。
【0019】
まず、n回分の飛距離とその左右ブレのデータ(Dx1 , Dy1 )、(Dx2 , Dy2 )、・・・、(Dxi , Dyi )、・・・、(Dxn , Dyn )から、これらの平均値(Dxave , Dyave )と、数式1又は2に示される行列を求める。
【数1】
[fig000004]
【数2】
[fig000005]

【0020】
上記数式は、二つの対角項がx、yの分散、非対角項がx、yの共分散からなる分散共分散行列であって、x即ち飛距離方向、y即ち左右ブレ方向とする二次元のばらつきを表すものであり、数式1はn個のデータを母集団とみなした場合、数式2はn個のデータを標本とみなした場合の違いであって本質的な相違はなく、適宜選択できる。
【0021】
次に、求めた数式1又は2の行列の固有値と固有ベクトルを求める。固有値をr1、r2(但しr1≧r2 )、これらに対応する固有ベクトルをV1、V2とすると、最も分散の大きい方向はV1であり、その分散の値はr1である。最も分散の小さい方向はV2であり、その分散の値はr2である。また、それぞれの方向の標準偏差s1、s2は数式3により求められる。
【数3】
[fig000006]

【0022】
上記の通りえられた最も分散の大きい方向の標準偏差s1とその方向ベクトルV1と最も分散の小さい方向の標準偏差s2とその方向ベクトルV2を用いて楕円を描く方法について説明する。
【0023】
まず、飛距離と左右ブレの平均値である(Dxave , Dyave )を座標値とする点Aを定める。次に点Aを中心とし、V1方向に長軸ks1を、V2方向に短軸ks2を有する楕円を描けばよい。この楕円は、打撃が一定の確率で収まる範囲を示すものであって、kによってその確率を定めることができる。よってkは必要に応じ任意に選択可能であるが、kが異なる楕円同士を直接比較することは出来ない。k=1とした例を図2に示すが、これが全ての方向の1×標準偏差となる範囲を示すものである。
【0024】
図3は従来の楕円表示と本考案の楕円表示を比較したものである。図上に示した複数の点は、打撃により得られた個々のデータ(Dx1 , Dy1 )、(Dx2 , Dy2 )、・・・、(Dxi , Dyi )、・・・、(Dxn , Dyn )である。このデータのx方向、y方向それぞれの標準偏差σx、σyを求め、平均値(Dxave , Dyave )を中心とし、x方向、y方向のいずれかを長軸、他方を短軸とするものであって、それぞれの軸長がσx、σyの楕円を表示するのが従来の方法であり、図3では細線で描いた楕円である。太線の楕円は図2で示した本考案による楕円である。
【0025】
図3から分かるとおり、従来の方法では全く表現できなかった左へ飛んだときは飛距離が出て、右へ飛んだときは飛距離が出ないことを本考案によれば非常に分かりやすく表現されている。また、本考案は従来の方法よりも楕円が大きく、ばらつきの大きさを正確に表現していることもわかる。この楕円の面積を出力することも打撃のばらつき評価する方法として好ましいものである。
【0026】
出力の方法は、モニターに表示する、プリントアウトするなど、一般的な方法を適宜選択できる。
【0027】
上記分散共分散行列を使う方法が使えない場合は、以下の方法でも可能である。まず、全ての飛距離と左右ブレの二次元座標値をそれらの平均値を原点をする座標系に変換する。次に、原点即ち平均値の点を通る直線であって、上記に次元座標値を有する全ての点からの距離の二乗の和が最小となる直線を定める。この直線の方向をx軸、これに直交する方向をy軸となるよう更に座標系を回転変換した上で、x方向、y方向それぞれの分散あるいは標準偏差を求めると、x方向が分散最大となる分散あるいは標準偏差であり、y方向が分散最小となる分散あるいは標準偏差となる。楕円を描く場合は、上記x軸、y軸の方向を長軸、短軸とし、軸長は上記で得た分散あるいは標準偏差を用いて定めればよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本考案のゴルフショット診断装置は、打撃結果である飛距離とその左右ブレのばらつきの程度を二次元にて分析、表示することにより、より正確なゴルフショットの評価、診断を行うことが可能となるものであって、ゴルフのレッスンやゴルファーに適合するゴルフクラブの選択を行うフィッティングに利用することができる。

(57)【要約】

【課題】ゴルフショットにおける飛距離と左右のブレのばらつきを総合的に、より正確に把握できるゴルフショット診断装置を提供する。【解決手段】複数回の打撃の結果得られる複数の飛距離と左右のブレの座標値から、その平均である(Dxave , Dyave )と、その分散共分散行列の固有値r1、r2(但しr1≧r2 )又はその平方根s1= r11/2、S2=r21/2、及びこれに対応する固有ベクトルV1、V2を求め、これらを出力する、若しくは(Dxave , Dyave )を中心とし、V1の方向に長軸、V2の方向に短軸を有する楕円を出力する。


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