【0001】
本考案は、書類やファイルを収容するファイルボックスに関する。
【0002】
書類を収容するファイルには、フラットファイルやリングファイルのように収容された書類の内容を見分けるための見出しを背表紙などに記載できるタイプや、クリアファイルのように見出しを記載できないタイプなど、種々のタイプのファイルが存在する。
【0003】
このようなファイルや書類を収容し保存するためのファイルボックスが知られている(例えば特許文献1及び2)。ファイルに綴じられていない書類や見出しを記載できないタイプのファイルが、このようなファイルボックスに収容されると、収容されている書類の内容を把握できない場合がある。また、ファイルボックスの収容量に対して収容された書類やファイルの量が少ないと、書類やファイルが自重によってファイルボックス内に沈み込んでしまい、書類やファイルが撓んでしまう場合がある。この場合、ファイルボックスから書類やファイルを引き出すのが困難になる。このように、従来のファイルボックスは、使い勝手が十分でないという問題を有している。
【0007】
本考案の一態様によれば、使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本考案の第1実施形態によるファイルボックス1の外観斜視図である。
【図2】本考案の第1実施形態によるファイルボックス1の概略構成を示す図であって、図2(a)はファイルボックス1の平面図であり、図2(b)はファイルボックス1の正面図であり、図2(c)はファイルボックス1の右側面図であり、図2(d)はファイルボックス1の背面図であり、図2(e)はファイルボックス1の底面図である。
【図3】本考案の第1実施形態によるファイルボックス1を説明する図であって、図3(a)は図2(c)中に示すA−A線で切断したファイルボックス1の断面図であり、図3(b)は図3(a)中に示す破線円αで囲まれた領域の拡大図である。
【図4】本考案の第2実施形態によるファイルボックス用シート6の概略構成を示す図であって、図4(a)はファイルボックス用シート6の外観斜視図であり、図4(b)はファイルボックス用シート6の正面図であり、図4(c)はファイルボックス用シート6の平面図である。
〔第1実施形態〕
本考案の第1実施形態によるファイルボックスについて図1から図3を用いて説明する。本実施形態によるファイルボックス1は、例えばA4の用紙サイズの書類やファイルなど(以下、「ファイルなど」と総称する)を収容して保存するのが好適なファイルボックスである。ファイルボックス1は、左側面及び右側面が同一の形状を有しているため、図2ではファイルボックス1の左側面の図示が省略されている。
【0010】
図1及び図2に示すように、ファイルボックス1は、一方が開放された箱形状を有している。ファイルボックス1は樹脂で形成されている。ファイルボックス1は、環状に形成された周壁部3と、周壁部3の一端の開口を塞いで設けられた底部5とを備えている。底部5は、周壁部3とともに、ファイルなどが収容される収容部10を画定している。底部5によって塞がれていない周壁部3の他端は開放されている。ファイルボックス1は、周壁部3の他端の側(以下、「他端側」と称する)からファイルなどを収容部10に収容するように構成されている。
【0011】
(周壁部の構成)
周壁部3は、周壁部3の他端側から収容部10を見たときに、長方形状の環状に形成されている(図2(a)参照)。周壁部3は、中空突出部7(詳細は後述する)が突出する第一壁部31と、中空突出部7が突出する方向とは反対方向に第一壁部31から延在する第二壁部32と、第二壁部32の端部から延在し第一壁部31と対向して配置された第三壁部33と、第三壁部33の端部から第一壁部31の端部に延在し第二壁部32に対向して配置された第四壁部34とを有している。第一壁部31は正面側に配置され、第二壁部32は右側に配置され、第三壁部33は背面側に配置され、第四壁部34は左側に配置されている。また、周壁部3は、一端の側(以下、「一端側」と称する)つまり底部5の面積より他端側の面積の方が大きく形成されている。つまり、周壁部3は、他端側から一端側に向かって第一壁部31、第二壁部32、第三壁部33及び第四壁部34が近付くように傾斜している。このため、ファイルボックス1は全体的に、他端側の開放端から一端側の底部5に向かって中空の逆四角錐台形状を有している。
【0012】
図1及び図2(b)に示すように、第一壁部31は薄板形状を有している。第一壁部31は逆台形状の外形を有している。また、図1及び図2(d)に示すように、第三壁部33は薄板形状を有している。第三壁部33は第一壁部31と同一の逆台形状の外形を有している。
【0013】
第二壁部32は薄板形状を有している。第二壁部32におけるファイルボックス1の他端は、第一壁部31及び第三壁部33の間の中間点CPで底部5に最も近付く円弧状の曲線形状を有している。したがって、周壁部3の一端から他端に向かう方向を周壁部3の高さ方向とすると、周壁部3の高さ方向における第二壁部32の長さは、中間点CPにおいて最短となる。ここで、第二壁部32における中間点CPを通るように底部5と平行に第三壁部33(又は第一壁部31)に向かって引いた仮想線と第三壁部33(又は第一壁部31)との交点、すなわち第二壁部32における中間点CPを第三壁部33(又は第一壁部31)に投影した点を投影点PPとする。周壁部3の高さ方向における投影点PPから第三壁部33側のファイルボックス1の他端の端部までの長さL2は、同方向における底部5から投影点PPまでの長さL1よりも短い。また、周壁部3の高さ方向における投影点PPから第一壁部31側のファイルボックス1の他端の端部までの長さは、同方向における長さL2と同じ長さであり、底部5から投影点PPまでの長さL1よりも短い。長さL2は、周壁部3の最大の高さHの1/2の長さよりも短く、周壁部3の最大の高さHの例えば40%の長さである。
【0014】
第四壁部34は、第二壁部32と同一の形状を有している。ここで、第四壁部34における中間点CPを通るように底部5と平行に第三壁部33(又は第一壁部31)に向かって引いた仮想線と第三壁部33(又は第一壁部31)との交点、すなわち第四壁部34における中間点CPを第三壁部33(又は第一壁部31)に投影した点を投影点PP(不図示)とする。したがって、第四壁部34における底部5から投影点PPまでの長さL1(不図示)は、周壁部3の最大の高さHの1/2よりも長く、周壁部3の最大の高さHの例えば60%の長さである。また、第四壁部34の周壁部3の高さ方向における投影点PP(不図示)からファイルボックス1の他端の両端部までのそれぞれの長さL2(不図示)は、周壁部3の最大の高さHの1/2の長さよりも短く、周壁部3の最大の高さHの例えば40%の長さである。このように、ファイルボックス1は、周壁部3の高さ方向における第二壁部32及び第四壁部34の最短の長さL1を周壁部3の最大の高さHの1/2の長さよりも長くすることにより、収容部10に収容したファイルなどが第二壁部32又は第四壁部34からファイルボックス1が配置される外部空間に倒れてしまうのを防止できるようになっている。
【0015】
また、第二壁部32及び第四壁部34における底部5から中間点CPまでの長さL1を周壁部3の最大の高さHの1/2の長さよりも長くすることにより、ファイルボックス1の成型時に第二壁部32及び第四壁部34が収容部10側に倒れにくくなる。これにより、完成したファイルボックス1は、第二壁部32及び第四壁部34の収容部10側への反り返り量が低減される。
【0016】
また、第二壁部32及び第四壁部34の端部における周壁部3の他端は、円弧状の滑らかに連続する曲線形状を有し、不連続となる角部を有していない。端部に角部が設けられている壁部は、成型条件を求める場合に角部を境界とする領域の集合体と見なければならず、この領域ごとの成型条件を調整しなければならない。これに対し、端部に角部を有さない第二壁部32及び第四壁部34は一続きの領域と見ることができるので、第二壁部32及び第四壁部34のそれぞれの成型条件は1つになる。これにより、角部を境界とする領域ごとの成型条件を調整しなければならない場合と比較して、第二壁部32及び第四壁部34を形成するのが容易となる。
【0017】
図1及び図2(c)に示すように、第二壁部32は、周壁部3の他端かつ第一壁部31及び第三壁部33の少なくともいずれか一方の側に設けられ第二壁部32が延在する方向に張り出す第一張出領域を有している。ここで、第二壁部32が延在する方向は、第一壁部31から第三壁部33に向かう方向又はこの逆方向である。本実施形態によるファイルボックス1では、第二壁部32は、周壁部3の他端かつ第三壁部33の側に設けられ第二壁部32が延在する方向に張り出す第一張出領域321を有している。第一張出領域321は、周壁部3の他端かつ第三壁部33の側において第三壁部33から第一壁部31に向かって張り出している。つまり、周壁部3の他端における第二壁部32及び第三壁部33の交点VPと、第二壁部32における中心点CPとを結ぶ仮想直線を「BL」とすると、第一張出領域321は、第二壁部32における周壁部3の他端と仮想直線BLとで囲まれる領域に相当する。第一張出領域321は、第二壁部32における周壁部3の他端の第三壁部33側の端部と中間点CPとの間に形成された変曲点IPを含んでいる。より具体的に、第二壁部32における周壁部3の他端は、第三壁部33側から所定位置まで底部5側に僅かに傾斜しつつ第一壁部31に向かって延出し、この所定位置を超えるとこの所定位置までの傾斜角度よりも大きな角度で底部5側に傾斜しつつ第一壁部31に向かって中間点CPに到達する。この所定位置が変曲点IPとなる。このように、第二壁部32は、底部5側に向かう傾斜角度が大きくなるような変曲点を第三壁部33の近傍に持つことにより、周壁部3の他端かつ第三壁部33の近傍において第一壁部31側に向かって張り出す第一張出領域321を有することができる。
【0018】
また、第四壁部34は、周壁部3の他端かつ第一壁部31及び第三壁部33の少なくともいずれか一方の側に設けられ第四壁部34が延在する方向に張り出す第二張出領域を有している。ここで、第四壁部34が延在する方向は、第一壁部31から第三壁部33に向かう方向又はこの逆方向である。本実施形態によるファイルボックス1では、第四壁部34は、周壁部3の他端かつ第三壁部33の側に設けられ第四壁部34が延在する方向に張り出す第二張出領域341を有している(図1参照)。第二張出領域341は、周壁部3の他端かつ第四壁部34の側において第四壁部34から第一壁部31に向かって張り出している。つまり、周壁部3の他端における第二壁部32及び第四壁部34の交点VPと第四壁部34における中心点CPとを結ぶ仮想直線を「BL」(不図示)とすると、第二張出領域341は、第四壁部34における周壁部3の他端と仮想直線BLとで囲まれる領域に相当する。第二張出領域341は、第四壁部34における周壁部3の他端の第三壁部33側の端部と中間点CPとの間に形成された変曲点IPを含んでいる(図2(a)参照)。より具体的に、第四壁部34における周壁部3の他端は、第三壁部33側から所定位置まで底部5側に僅かに傾斜しつつ第一壁部31に向かって延出し、この所定位置を超えるとこの所定位置までの傾斜角度よりも大きな角度で底部5側に傾斜しつつ第一壁部31に向かって中間点CPに到達する。この所定位置が変曲点IPとなる。このように、第四壁部34は、底部5側に向かう傾斜角度が大きくなるような変曲点を第三壁部33の近傍に持つことにより、周壁部3の他端かつ第三壁部33の近傍において第一壁部31側に向かって張り出す第二張出領域341を有することができる。
【0019】
ファイルボックス1は、第二壁部32に第一張出領域321を有することにより、収容部10に収容したファイルなどが第二壁部32からファイルボックス1が配置される外部空間に倒れてしまいそうになっても、収容されたファイルなどの4つの角部のうちの第二壁部32及び第三壁部33近傍に配置される角部が第一張出領域321に接触する。これにより、ファイルボックス1は、収容部10に収容したファイルなどが第二壁部32側から飛び出してしまうのを防止できる。また、ファイルボックス1は、第四壁部34に第二張出領域341を有することにより、収容部10に収容したファイルなどが第四壁部34から外部空間に倒れてしまいそうになっても、このファイルなどの4つの角部のうちの第四壁部34及び第三壁部33近傍に配置される角部が第二張出領域341に接触する。これにより、ファイルボックス1は、収容部10に収容したファイルなどが第四壁部34側から外部空間に倒れてしまうのを防止できる。
【0020】
図1及び図2に示すように、ファイルボックス1は、開口端部75(図2(b)、図2(c)及び図2(e)参照)と、開口端部75を介して周壁部3及び底部5、すなわちファイルボックス1が配置される外部空間と連通される中空部76(図2(e)参照)とを有し周壁部3から突出する中空突出部7を備えている。中空突出部7は、第一壁部31から底部5に平行な方向に延在する平板部73と、開口端部75を一端部とし平板部73に他端部が塞がれた側壁部74とを有している。側壁部74は、第一壁部31の一部を囲むように配置されている。つまり、側壁部74は、平板部73側から見ると、コの字状に形成されている。側壁部74の一方の端部は第二壁部32と一体に設けられ、側壁部74の他方の端部は第四壁部34と一体に設けられている。
【0021】
中空突出部7に設けられた中空部76は、平板部73、側壁部74及び側壁部74に対向する第一壁部31の領域によって画定されている。中空突出部7は、人間の手の指が中空部76に挿入できる程度に周壁部3から突出している。このため、中空突出部7は、ファイルボックス1を持ち上げるときにファイルボックス1の使用者が把持する把持部としての機能を発揮する。
【0022】
ファイルボックス1は、周壁部3の他端側に設けられ収容部10に収容されるファイルなどを見分けるための見出しが配置される端側見出配置部71と、周壁部3の周囲に設けられ収容部10に収容されるファイルなどを見分けるための見出しが配置される周側見出配置部72とを備えている。端側見出配置部71及び周側見出配置部72は長方形状を有している。端側見出配置部71及び周側見出配置部72は、例えば見出しを記載したシール状部材が貼付されたり、見出しを記載した部材が両面テープやセロハンテープなどで貼付されたりできるように構成されている。端側見出配置部71及び周側見出配置部72は、中空突出部7に設けられている。端側見出配置部71は平板部73に設けられ、周側見出配置部72は側壁部74に設けられている。端側見出配置部71及び周側見出配置部72は、長辺を接触させて隣接して配置されている。中空突出部7の平板部73及び側壁部74は、直交している。このため、平板部73に設けられた端側見出配置部と、側壁部74に設けられた周側見出配置部とは、直交して配置されている。
【0023】
図1及び図2(d)に示すように、周壁部3に設けられた第三壁部33は、ファイルボックス1の一端よりも他端に近い領域を開口して形成された開口部331を有している。開口部331は、第三壁部33の短手方向が長手方向となる横長孔形状を有している。開口部331の長手方向の長さは、人間の手の指を複数本合わせた長さよりも長くなっている。また、開口部331の短手方向の長さは人間の指の太さよりも長くなっている。このため、開口部331は、ファイルボックス1の使用者がファイルボックス1を持ち上げたり移動させたりするときに指を挿入させてファイルボックス1を把持する把持部としての機能を発揮するようになっている。
【0024】
また、第三壁部33は、開口部331の周囲であって第三壁部33の外表面から外部空間側に向かって突出する周囲突出部332を有している。周囲突出部332の端部は曲面形状に形成されている。このため、開口部331に指を挿入したときの触感が向上される。これにより、多量のファイルなどが収容部10に収容されたファイルボックス1を開口部331を把持して持ち上げたり移動させたりしても、ファイルボックス1は使用者に痛みなどの不快感を与えないようになっている。
【0025】
ファイルボックス1は、第一壁部31から突出する中空突出部7と、第三壁部33に形成された開口部331とを有している。このため、ファイルボックス1は、対向して配置された把持部を有していると見ることもできる。多量のファイルなどが収容部10に収容されファイルボックス1が相対的に重い場合には、ファイルボックス1の使用者は中空突出部7及び開口部331の両方を用いることによりファイルボックス1を容易に持ち上げたり移動させたりすることができる。一方、少量のファイルなどが収容部10に収容されていたりファイルなどが収容部10に収容されておらずファイルボックス1が相対的に軽い場合には、ファイルボックス1の使用者は中空突出部7及び開口部331の少なくともいずれかを用いてファイルボックス1を容易に持ち上げたり移動させたりすることができる。
【0026】
図1及び図2に示すように、周壁部3は、周壁部3の他端に設けられ収容部10とは反対側に折り曲げられた縁部35を有している。縁部35は、第二壁部32、第三壁部33及び第四壁部34における周壁部3の他端に設けられている。第一壁部31における周壁部3の他端には、中空突出部7の平板部73が接続されているため、縁部35が設けられていない。縁部35は、周壁部3の強度を向上させるために設けられているが、ファイルボックス1の使用者が指を引っ掛ける引掛部としての機能も発揮するようになっている。このため、縁部35は、例えばファイルボックス1を第二壁部32側又は第四壁部34側に傾けるときに利用することができる。
【0027】
ファイルボックス1は、机の最下段の大引出しの一方の側壁の内周面に第一壁部31及び第三壁部33のいずれか一方を対面させた状態でこの大引出しに入れることができる大きさに形成されている。このため、ファイルボックス1が例えば机の最下段の大引出しに入れた状態で使用される場合、周壁部3の他端側、すなわちファイルボックス1の上部に配置された端側見出配置部71は、この引き出しの上方に向けられて配置される。このため、机の最下段の大引出しに入れたファイルボックス1は、ファイルボックス1の使用者の目線の下方に配置されるが、端側見出配置部71がこの大引出しの上方に向けられて配置されているため、使用者は目線を落とすだけで端側見出配置部71に配置された見出しを確認し、ファイルボックス1に収容されたファイルなどの内容を認識することができる。
【0028】
また、ファイルボックス1が例えば書棚に配置されて使用される場合、ファイルボックス1は、第三壁部33が書棚の奥側に配置され、第一壁部31が書棚の手前側に配置される。このため、第一壁部31の前面に設けられた周側見出配置部72は、書棚の外側に向かって露出して配置される。これにより、ファイルボックス1の使用者は、ファイルボックス1を書棚から引き出したりせずにファイルボックス1が書棚に配置された状態のままで、周側見出配置部72に配置された見出しを確認し、ファイルボックス1に収容されたファイルなどの内容を認識することができる。
【0029】
また、ファイルボックス1が例えば第三壁部33を下側に向けた状態で書棚に配置されて使用される場合であってファイルボックス1が使用者の目線と同じか上に置かれていると、使用者は、端部見出配置部71に配置された見出しを確認し、ファイルボックス1に収容されたファイルなどの内容を認識することができる。このように、ファイルボックス1の使用者は、ファイルボックス1を書棚から下ろさずにファイルボックス1に収容されたファイルなどの内容を認識することができる。さらに、ファイルボックス1が例えば第三壁部33を下側に向けた状態で書棚に配置されて使用される場合であってファイルボックス1が使用者の目線よりも下に置かれていると、使用者は、周側見出配置部72に配置された見出しを確認し、ファイルボックス1に収容されたファイルなどの内容を認識することができる。このように、ファイルボックス1の使用者は、しゃがんで覗き込まずにファイルボックス1に収容されたファイルなどの内容を認識することができる。
【0030】
このように、ファイルボックス1は、端側見出配置部71及び周側見出配置部72を備えているので、ファイルボックス1の使用者は、ファイルボックス1を動かさずに端側見出配置部71及び周側見出配置部72の少なくともいずれか一方を確認し、収容されているファイルなどの内容を認識することができる。このように、ファイルボックス1は使い勝手の向上が図られている。
【0031】
(底部の構成)
次に、底部5の構成について説明する。図2(a)及び図2(e)に示すように、底部5は、第一壁部31に近接して設けられた平坦部52aと、第三壁部33に近接して設けられた平坦部52bと、平坦部52a及び平坦部52bの間に配置された凹凸部51とを有している。
【0032】
平坦部52a及び平坦部52bは長方形の薄板形状を有している。平坦部52aには、第四壁部34に隣接して平坦部52aを貫通する貫通孔53aと、第二壁部32に隣接して平坦部52aを貫通する貫通孔53bとが設けられている。平坦部52bには、第二壁部32に隣接して平坦部52bを貫通する貫通孔53cと、第四壁部34に隣接して平坦部52bを貫通する貫通孔53dとが設けられている。貫通孔53a,53b,53c,53dは、ファイルなどを収容部10に収容する際に空気の抜け穴としての機能を発揮するようになっている。特に、収容部10に多量のファイルなどが収容されている状態で、さらに収容部10にファイルなどを収容する際、ファイルなどが収容部10に押し込まれると収容部10に存在した空気の一部が貫通孔53a,53b,53c,53dから外部空間に抜ける。これにより、ファイルボックス1は、収容部10へのファイルなどの収容時の空気抵抗を低減できる。
【0033】
図2(b)から図2(e)に示すように、底部5は、底部5の外表面から外部空間に向かって突出して形成された突起部54a,54b,54c,54dを有している。突起部54a,54b,54c,54dは、底部5の四隅に設けられている。突起部54a,54b,54c,54dは、湾曲した細長い土手形状を有している。突起部54a及び突起部54bは平坦部52aに設けられ、突起部54c及び突起部54dは平坦部52bに設けられている。突起部54aは、第一壁部31、第四壁部34及び貫通孔53aに挟まれた平坦部52aの領域に貫通孔53aの外周囲の一部に沿って配置されている。突起部54bは、第一壁部31、第二壁部32及び貫通孔53bに挟まれた平坦部52aの領域に貫通孔53bの外周囲の一部に沿って設けられている。突起部54cは、第二壁部32、第三壁部33及び貫通孔53cに挟まれた平坦部52bの領域に貫通孔53cの外周囲の一部に沿って設けられている。突起部54dは、第三壁部33、第四壁部34及び貫通孔53dに挟まれた平坦部52bの領域に貫通孔53dの外周囲の一部に沿って設けられている。
【0034】
突起部54a,54b,54c,54dは、ファイルボックス1の脚部としての機能を発揮するようになっている。突起部54a,54b,54c,54dは、ファイルボックス1が配置される配置面に接触され、底部5及び周壁部3をこの配置面上に支持するようになっている。
【0035】
次に、底部5に設けられた凹凸部51について説明する。図2(a)及び図3に示すように、凹凸部51は、収容部10側に設けられている。本実施形態では、凹凸部51の凹凸形状は、突起部54a,54b,54c,54dが設けられた面側にも現されている。しかしながら、収容部10側に凹凸形状が設けられていれば、突起部54a,54b,54c,54dが設けられた面側に凹凸形状が現されている必要はなく、図2(e)に示すように、中央に設けられた円形部55のように、凹凸部51の裏面側は平坦形状であってもよい。
【0036】
図2(a)に示すように、凹凸部51は、直線状に並んで延在し凹凸部51の頂部を含む仮想平面BP(図3(a)参照)に対して傾斜する複数の傾斜部511を有している。傾斜部511は、底部5の長手方向に延在して配置されている。図3(b)に示すように、傾斜部511は、仮想平面BPに対して傾斜する第一斜面511aと、周壁部3の他端から遠ざかるほど第一斜面511aに近付くように傾斜する第二斜面511bとを有している。また、傾斜部511は、第一斜面511aと第二斜面511bとが最も近付く場所で第一斜面511aの端部と第二斜面511bの端部とを接続する接続部511cを有している。
【0037】
第一斜面511aは、平らな平面形状を有している。同様に、第二斜面511bは、平らな平面形状を有している。このため、傾斜部511は、第一斜面511a及び第二斜面511bが延在する方向に直交する方向の断面が逆二等辺三角形状を有している。
【0038】
凹凸部51は、収容部10に収容されるファイルなどが底部5上で滑ってしまうのを防止する滑り防止部としての機能を発揮するようになっている。より具体的に、ファイルなどは、一側面が底部5側に向けられて仮想平面BPにほぼ直交した状態で収容部10に入れられる。ファイルなどの一側面が底部5まで到達すると第一斜面511a、第二斜面511b及び仮想平面BPを構成する凹凸部51の頂部のいずれか1つに接触する。ファイルなどの一側面が例えば第一斜面511aに接触した場合には、この一側面は第一斜面511a上を滑り下りて接続部511cで受け止められて停止する。これにより、ファイルなどは、この一側面が接続部511cに保持されて収容部10に保存される。ファイルなどの一側面が例えば第二斜面511bに接触した場合にもファイルなどは、第一斜面511aに接触したのと同様に動作し、第二斜面511b上を滑り下りて最終的に接続部511cで保持される。また、ファイルなどの一側面が凹凸部51の頂部に接触した場合、ファイルなどの一側面は、凹凸部51の頂部と小さい面積で接触する。このため、ファイルなどの一側面は、凹凸部51の頂部と接触している状態を維持できず、第一斜面511a及び第二斜面511bのいずれか一方の側にずれ、ずれた方の斜面上を滑り下りて最終的に接続部511cで保持される。
【0039】
このように、凹凸部51に設けられた傾斜部511は、収容部10に入れられたファイルなどの一側面を第一斜面511a及び第二斜面511bのいずれか一方で滑らせて接続部511cに導き、接続部511cで保持することができる。また、傾斜部511は、ファイルなどを接続部511cで一旦保持すると、凹凸部51の面内方向(すなわち仮想面BPの面内方向)にファイルなどが滑るのを防止できる。これにより、凹凸部51は、ファイルなどが収容部10において撓むのを防止できる。
【0040】
図3(b)に示すように、突起部54a,54b,54c,54d(不図示)が設けられた面と仮想平面BPを構成する凹凸部51の頂部との距離D1は例えば5mmである。また、仮想平面BPを構成する凹凸部51の頂部と接続部511cとの距離D2は例えば3mmである。さらに、仮想平面BPを構成する凹凸部51の頂部のピッチは例えば6mmである。つまり、傾斜部511は、ほぼ直角二等辺三角形形状の断面を有している。このように、傾斜部511の断面の形状及び寸法を上述のようにすることにより、1つの傾斜部511に例えば1つのクリアファイルが保持され易くなる。また、例えば1つのクリアファイルが隣り合う2つの傾斜部511に跨った状態で保持されなくなる。ここで、クリアファイルは、一般的に広く用いられているファイルであり、プラスチック素材で形成された長方形状フィルムが2つ折りにされ、折り曲げられた辺に直交する1辺が塞がれ、残余の2辺が開放されたファイルである。
【0041】
ファイルボックス1は、同一形状のクリアファイルの折り曲げられた辺を傾斜部511に保持してこれらのクリアファイルを収容部10に収容した場合、クリアファイルを撓ませることなくクリアファイルの高さを揃えた状態で収容できる。また、クリアファイルが撓まずに屹立した状態で収容部10に収容されるため、ファイルボックス1からクリアファイルを引き出しやすくなる。このように、ファイルボックス1は、使い勝手の向上が図られている。
【0042】
以上説明したように、本実施形態によるファイルボックス1は、端側見出配置部71及び周側見出配置部72を有している。これにより、ファイルボックス1は、配置される向き(底部5及び第三壁部33のいずれを配置面に対面させて配置するか)や配置される場所(机の引出しの中や書棚の中、ファイルボックス1の使用者の目線よりも高い位置又は低い位置など)に応じて、端側見出配置部71及び周側見出配置部72の少なくとも一方に配置された見出しをファイルボックス1の使用者に示して収容されたファイルなど(特に見出しを付すことができないクリアファイルのような薄型ファイル)の内容を使用者に認識させることができる。これにより、ファイルボックス1の使い勝手が向上する。
【0043】
また、ファイルボックス1は、底部5に設けられた凹凸部51を有している。これにより、ファイルボックス1は、収容部10に収容されたファイルなど(特にクリアファイルのような薄型ファイル)が底部5上で滑ることにより収容部10で撓んでしまうのを防止できる。また、ファイルボックス1は、収容部10に収容されたファイルなどを撓ませずにファイルなどを屹立させた状態で収容できる。これにより、ファイルボックス1は、周壁部3の他端側からファイルなどを引き出しやすくなるので、使い勝手の向上を図ることができる。
【0044】
〔第2実施形態〕
次に、本考案の第2実施形態によるファイルボックス用シートについて図4を用いて説明する。
図4(a)に示すように、本実施形態によるファイルボックス用シート6は、薄板形状を有し、ファイルボックス(不図示)の底部上に敷くことができるように構成されている。ファイルボックス用シート6は、薄板状に形成されたベース部62と、ベース部62上に設けられた凹凸部61とを備えている。凹凸部61は、上記第1実施形態によるファイルボックス1の底部5に設けられた凹凸部51と同様の構成を有している。
【0045】
図4(b)及び図4(c)に示すように、凹凸部61は、複数の傾斜部611を備えている。複数の傾斜部611は、上記第1実施形態における凹凸部51に設けられた傾斜部511と同様の構成を有している。なお、図4では、理解を容易にするため、複数の傾斜部611のうちの1つの傾斜部611のみに参照符号が付されている。傾斜部611は、凹凸部61の頂部を含む仮想平面BPに対して傾斜する第一斜面611aと、ベース部62に近付くほど第一斜面611aに近付くように傾斜する第二斜面611bとを有している。また、傾斜部611は、第一斜面611aと第二斜面611bとが最も近付く場所で第一斜面611aの端部と第二斜面611bの端部とを接続する接続部611cを有している。
【0046】
ファイルボックス用シート6は、ファイルボックスの底部にベース部62を対面させた状態でファイルボックスの収容部に設置される。これにより、ファイルボックス用シート6は、凹凸部61が収容部の側に向けられた状態で配置される。ファイルボックスの収容部に設置されたファイルボックス用シート6に設けられた複数の傾斜部611は、上記第1実施形態における傾斜部511と同様の機能を発揮する。これにより、ファイルボックス用シート6は、ファイルボックスの収容部に収容されたファイルなど(特にクリアファイルのような薄型ファイル)を傾斜部611で保持できる。その結果、ファイルボックス用シート6は、ファイルボックスの収容部に収容されたファイルなどが底部上で滑ることによって収容部で撓んでしまうのを防止できる。また、ファイルボックス用シート6は、ファイルボックスの収容部に収容されたファイルなどを撓ませずにファイルなどを屹立させた状態で収容できる。これにより、ファイルボックス用シート6は、ファイルボックスからファイルなどを引き出しやすくなるので、使い勝手の向上を図ることができる。
【0047】
本考案は、上記第1実施形態及び第2実施形態に限らず種々の変形が可能である。
上記第1実施形態における第一張出領域321及び第二張出領域341は、第一壁部31側にも設けられていてもよい。また、第一張出領域321及び第二張出領域341は、第三壁部33側に設けられずに第一壁部31側のみに設けられていてもよい。このような構成を有するファイルボックス1は、上記第1実施形態によるファイルボックス1と同様の効果が得られる。
【0048】
上記第1実施形態おける中空突出部7は、第三壁部33側にも設けられていてもよい。この場合、第三壁部33側に設けられた中空突出部7は、把持部としての機能を発揮するので、開口部331は設けられていなくてもよい。このような構成を有するファイルボックス1は、上記第1実施形態によるファイルボックス1と同様の効果が得られる。
【0049】
端側見出配置部及び周側見出配置部は、隣接せずに離れて設けられていてもよい。
【0050】
上記第1実施形態における凹凸部51は、平坦部52a及び平坦部52bの間で断続的に設けられていても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
上記第1実施形態における凹凸部51及び上記第2実施形態における凹凸部61は、凹凸部51及び凹凸部61がそれぞれ延在する方向に直交する方向の断面が複数の逆三角形形状が並んでいる形状ではなく、複数の球形状、複数の楕円形状及び複数の正三角形状のいずれかが並んでいる形状であっても上記第1実施形態及び上記第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0052】
上記第1実施形態における第一斜面511a及び第二斜面511bは、収容部10から外部空間に向かう方向に湾曲する曲面形状、及び外部空間から収容部10に向かう方向に湾曲する曲面形状のうちのいずれか1つの形状を有していても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0053】
上記第2実施形態における第一斜面611a及び第二斜面611bは、ベース部62が設けられた方とは反対方向に湾曲する曲面形状、及びベース部62に向かう方向に湾曲する曲面形状のうちのいずれか1つの形状を有していても、上記第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0054】
上記第1実施形態における凹凸部51及び上記第2実施形態における凹凸部61は、周期的に連続する凹凸形状を有しているが、粗面化された非連続な凹凸形状を有していても、ファイルなどの滑りを防止でき、上記第1実施形態及び上記第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0055】
上記第1実施形態における端側見出配置部71及び周側見出配置部72は、周壁部3と一体に形成されているが、周壁部3から着脱可能に構成されていてもよい。周壁部から着脱可能に構成された端側見出配置部及び周側見出配置部は、ファイルボックスの周壁部の一部(例えば上記第1実施形態における開口部331に対応する開口部)に取り付けられるための取付部を有し、周壁部の一部に取り付けられるように構成されていてもよい。この場合、周壁部から着脱可能に構成された端側見出配置部及び周側見出配置部は、例えば従来のファイルボックスの周壁部の一部に取り付けて用いることができる。
【0056】
上記第1実施形態によるファイルボックス1は、底部5の平坦部52aに設けられた貫通孔53a,53bと、底部5の平坦部52bに設けられた貫通孔53c,53dとを有しているが、本考案はこれに限られない。例えば、平坦部52aには、貫通孔53a及び貫通孔53bに代えて底部5の外表面から外部空間に向かって突出して形成された凸部が設けられ、平坦部52bには、貫通孔53c及び貫通孔53dに代えて底部5の外表面から外部空間に向かって突出して形成された凸部が設けられていてもよい。これらの4つの凸部は、例えば半球状を有し、突起部54a,54b,54c,54dの高さ以上の高さを有していてもよい。これらの4つの凸部は、ファイルボックス1の脚部としての機能を発揮することができる。
【0057】
上記第2実施形態によるファイルボックス用シートは、ファイルボックスの底部の面積よりも大きい面積を有し、用いられるファイルボックスの大きさに応じて任意の大きさに切り出せるように構成されていてもよい。
【0058】
上記の実施形態は、本考案の技術的思想を具体化するための装置を例示するものであって、本考案の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を上記のものに特定するものでない。本考案の技術的思想は、実用新案登録請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
1 ファイルボックス
3 周壁部
5 底部
6 ファイルボックス用シート
7 中空突出部
10 収容部
31 第一壁部
32 第二壁部
33 第三壁部
34 第四壁部
35 縁部
51 凹凸部
52a,52b 平坦部
53a,53b,53c,53d 貫通孔
54a,54b,54c,54d 突起部
55 円形部
61 凹凸部
62 ベース部
71 端側見出配置部
72 周側見出配置部
73 平板部
74 側壁部
75 開口端部
76 中空部
321 第一張出領域
331 開口部
332 周囲突出部
341 第二張出領域
511,611 傾斜部
511a,611a 第一斜面
511b,611b 第二斜面
511c,611c 接続部
BP 仮想平面
CP 中間点
IP 変曲点
【課題】本考案は、使い勝手が向上されたファイルボックスを提供する。【解決手段】ファイルボックス1は、環状に形成された周壁部3と、周壁部3の一端の開口を塞ぎ、ファイルが収容される収容部10を周壁部3とともに画定する底部と、周壁部3の他端の側に設けられ収容部10に収容されるファイルを見分けるための見出しが配置される端側見出配置部71と、周壁部3の周囲に設けられ収容部10に収容されるファイルを見分けるための見出しが配置される周側見出配置部72とを備える。
インターネット上にあるこの特許番号にリンクします(発見しだい自動作成):