(54)【考案の名称】タブ付き整理具

(73)【実用新案権者】【実用新案権者】

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図4

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、見出し又つまみとして機能するタブを備える整理具に関する。

【従来の技術】

【0002】
紙葉や紙片などの分類や整理に用いる整理具、例えば書類やカードの分類や整理に用いるファイリング用バインダの扉紙、ファイルフォルダ、及びファイリング用キャビネットの仕切り板等には、内容物の分類を示すための端部にタブ状の見出しを備えるものが広く用いられている。
【0003】
また、タブが付いてないファイルフォルダ等や整理対象の紙葉そのものに同様の見出しを設ける目的で、付属のクリップや裏面の粘着剤を介してこれらに取り付けられるタブも広く市場に出回っている。
【0004】
これらのうち、前者はタブが扉紙やフォルダ等の本体に固定されているため、分類方法や区分名の変更に伴う作業の手間が大きい。後者は貼付時の位置調整が困難である。また、クリップを用いるタブは外力でずれやすい。粘着剤を用いるタブは貼り替えや貼り直しをするとしても、剥がす際の粘着剤の貼り付け面への残留、粘着剤の粘着性の劣化、タブの折れ曲がりや破損等が原因で再利用することができない。
【0005】
このような問題を解決するために、固定位置に対して着脱可能なタブと、これを取り付けることができるファイリング用具とが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】

【効果】

【0014】
書類や紙片等の整理具であって、繰り返し着脱可能で有用性の高いタブ付きの整理具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本考案の実施の形態における整理具のタブと本体とが分離している状態を示す全体図である。
【図2】図2は、本考案の実施の形態における整理具のタブの構成を示す図である。
【図3】図3は、本考案の実施の形態における整理具の本体とタブとが分離している状態の拡大図である。
【図4】図4は、本考案の実施の形態における整理具のタブの本体への装着方法の例を示す図である。
【図5】図5は、本考案の実施の形態における整理具の本体にタブが装着された状態を示す全体図である。
【図6】図6は、従来技術に掛かる整理具と本考案の実施の形態における整理具のそれぞれにおいて、本体に装着されたタブに掛かる力の方向と大きさを示す図である。
【図7】図7は、本考案の実施の形態における整理具の、本体のスリット及びタブの係合片の相対的な位置関係の例を示す図である。
【図8A】図8Aは、本考案の実施の形態における、曲げ部を備える係合片の一例を示す図である。
【図8B】図8Bは、本考案の実施の形態における、曲げ部を備える係合片の一例を示す図である。
【図8C】図8Cは、本考案の実施の形態における、曲げ部を備える係合片の一例を示す図である。
【図9A】図9Aは、本考案の実施の形態における、本体のスリット周辺の領域の一変形例を示す図である。
【図9B】図9Bは、本考案の実施の形態における、本体のスリット周辺の領域の一変形例を示す図である。
【図9C】図9Cは、本考案の実施の形態における、本体のスリット周辺の領域の一変形例を示す図である。
【図9D】図9Dは、本考案の実施の形態における、本体のスリット周辺の領域の一変形例を示す図である。

【0016】
(本考案の基礎となった知見)
本出願に係る考案者は、「背景技術」の項に記載した従来の整理具について、下記の問題が生じることを見出した。
【0017】
特許文献1のファイリング用具は、使用者がタブを摘持して整理具を扱う際にタブに掛かる力によってタブが脱落しやすい。また、このファイリング用具では、使用者がタブを摘持して当該ファイリング用具を取り扱う際に、係合片の比較的細い付け根部分に集中的に負荷が掛かりやすい。このため、このファイリング用具のタブは、使用を重ねるうちに係合片の付け根部分で破損しやすいという問題があった。
【0018】
以下、上記の知見に基づいて考案されたタブ付き整理具の実施の形態を、ファイリング用バインダに用いる扉紙を例に、図面を参照しながら説明する。
【0019】
(構成)
図1は、本考案に係るタブ付き整理具の一具体例である扉紙10の本体100とタブ200とが分離している状態を示す全体図である。図2はこのタブ200の構成を示す図である。図2における一点鎖線は、後述するこのタブ200の各部の境界の例を示す。他の図ではこのような境界は見やすさのために省略するが、概念的には下記に説明するとおり各部に分割される。
【0020】
扉紙10は、図1に示されるように、シート状の本体100と、本体100に対して着脱可能な、本体100より小さいシート状のタブ200とを備える。
【0021】
タブ200は、図2に示されるように、見出し部210と、一部において見出し部210と辺の一部を共有する係合部250とを有する。
【0022】
係合部250は係合片260及び接続部270からなる。係合片260は、係合部250の図2における上下方向の両端に位置する1組の係合片260a及び260bからなる。係合片260a及び260bは係合部250のうち見出し部210と辺を共有しない部分であり、見出し部210に近づく方向に延出している。
【0023】
接続部270は、係合部250のうち係合片260を除く部分であって、係合片260と見出し部210とを接続する。
【0024】
図3は、本実施の形態における扉紙10の本体100とタブ200とが分離している状態の拡大図である。図3では、図1において破線の円で囲まれた、本体100の周縁部の一部を含む領域が拡大されている。
【0025】
本体100はその周縁部に、係合片260a又は260bの1つが挿入可能な程度の大きさを各々有するスリット150a及び150bを有している。スリット150a及び150bは1組のスリット(以下、1組を指してスリット150ともいう)として、当該周縁部における本体100の端部に向かって間隔が狭くなるよう略ハの字状に並ぶ。なお、図1は例として4組のスリット150を備える本体100を示している。そして本考案に係る整理具の本体は上述のとおり1組以上のスリットを備えていればよい。
【0026】
なお、「周縁部」とは、本体100の端部(輪郭)の形状を問わず、当該端部の少なくとも一部及びそれに近い本体100上の領域を指す。そして、「それ(=当該端部の少なくとも一部)に近い本体100上の領域」とは、その領域にある任意の組のスリット150に係合片260を介してタブ200を本体に装着すると、そのタブ200の見出し部210の少なくとも一部が当該端部から突出し得る範囲を指す。つまり、この領域はタブ200の大きさ及び形状によって定まる。そして当業者であれば、整理具の素材及び使い勝手等を考慮してタブの大きさ及び形状を決定し、さらにこの領域を決定して本考案を実施することができる。
【0027】
また、図3にさらに示される、スリット150a及び150bの間の最短距離は、1組の係合片260a及び260bの間隔と略同一である。好ましくは、当該最短距離は1組の係合片260a及び260bの間隔よりわずかに短い。より詳細には、タブ200を本体100へ装着する際の遊びとしての役割を果たすに必要十分な程度に短い。これにより、スリット150a及び150bの間の最短距離と係合片260a及び260bの間隔とが完全に一致する場合よりも、タブ200の本体100への装着が容易になる。またこの遊びには、タブ200が本体100へ装着されている間、係合片260a及び260bの両方の付け根と本体100とが常時接する状態になることを防ぐ効果もある。もしこれらが常時接していると、扉紙10に外力が加わったときに係合片260a及び260bと本体100との間での摩擦が生じやすく、これらの摩耗を早めるからである。
【0028】
(装着及び取外し)
図4は、本実施の形態におけるタブ200の本体100への装着手順の例を示す図である。図4の破線は隠れ線として本体100及びタブ200の見えない部分の形状を示す。図4は、扉具10のうち1組の係合片260と1組のスリット150のみを例として示している。
【0029】
まずは(a)において示されるように、1組の係合片260の一方(この例では係合片260a)の先端を1組のスリット150の一方(この例ではスリット150a)に挿入する。
【0030】
次に(b)において示されるように、係合片260aがスリット150aにある程度挿入された状態で、係合片260b側を持ちあげるようにタブ200を本体100より起こしつつ、係合片260bを本体100側に曲げてその先端をスリット150bに挿入する。
【0031】
必要に応じて、係合部250の他の部分も曲げられることもある。そして係合片260bをさらに奥までスリット150bに挿入しながら、本体100から起こしたタブ200の姿勢を本体100に沿うように戻す。このとき、係合片260aのスリット150aへの挿入が不完全であれば、同時に係合片260aの挿入も進める。
【0032】
最後に(c)において示されるように、係合片260がスリット150に付け根付近まで挿入され、タブ200が本体100に沿う状態になれば装着は完了する。
【0033】
なお、上記の手順は一例であり、本考案に掛かる整理具のタブの本体への装着方法を限定するものではない。例えば、係合片260aと係合片260bの挿入順序は入れ替えてもよい。あるいは1組の係合片260のスリット150それぞれへの挿入をほぼ同時進行で行ってもよい。また、タブ200の材質や形状によって、(a)の段階での係合片260aの挿入の程度や、(b)の段階で曲げる場所や程度は適宜変更されるものであって、必ずしも図示のとおりではなくてもよい。
【0034】
また、タブ200の本体100からの取外しは、上記(a)から(c)の手順を逆になぞればよい。
【0035】
図5は、本実施の形態における扉紙10の本体100にタブ200が装着された状態を示す全体図である。
【0036】
図4の(c)や図5に示されるように、上述の構成を有する扉紙10では、係合片260a及び260bがスリット150a及び150bにそれぞれ係合することでタブ200が本体100に装着される。このとき、装着手順の説明で述べたように、タブ200が本体100に沿う状態になる。より詳細には、タブ200の接続部270と、見出し部210の一部であって接続部270に接する領域とは本体100に沿う状態になる。また、見出し部210の当該領域以外の部分は本体100の端部から突出する。これにより、タブ200は係合片260を介して本体100に装着された状態で、見出し又は摘持されるつまみとして機能する。
【0037】
この構成によれば、タブ200が本体100に装着されている状態でユーザがこのタブ200を摘持して扉紙10をめくったり、持ち上げたりして取り扱う場合に、係合片260は本体100をスリット150でフックのように引っかける状態になり、スリット150から抜けにくい。また、このユーザによる取り扱い時に、係合片の付け根部分に掛かる剪断力が分解される。このため、係合片260の付け根部分の劣化破損を遅らせ、タブ200の耐用寿命を延ばすことができる。この力の分解については図を用いて以下に詳しく説明する。
【0038】
図6の(a)は本実施の形態の扉紙10の使用状態を示す。図6の(b)は特許文献1に開示される発明を適用した扉紙の本体1000とタブ2000の使用状態を示す。図4と同様に、図6においても破線は隠れ線として本体及びタブの見えない部分の形状を示す。
【0039】
典型的な使用時の状態として、使用者はタブ200(又はタブ2000)を図6に示されるように指で摘持してファイリング用バインダに綴じられた扉紙をめくる。この時、タブ200(又はタブ2000)は図示のX軸の正の方向の成分を主とする力Fで引っ張られる。あるいは本体100の重量やその周囲にある物との摩擦等で、タブ200はX軸の負の方向の成分を主とする力F(図示なし)で引っ張られ、それに対する反作用としてX軸の正の方向の成分を主とする力Fが掛かる。以下では説明を簡単にするため、力FはX軸の正の方向の成分のみからなる力であると仮定し、XY平面上で力が作用するものとして説明する。
【0040】
(a)が示す本実施の形態の扉紙10の場合、タブ200を引く力Fは、スリット150内にある係合片260と本体100との2か所の接点を介して本体100に伝わる。このとき、力Fは2か所の接点のそれぞれで力F/2として本体100に作用する。これに対して各接点では、反作用として力F/2が本体100から係合片260に掛かる。この力は本体100から係合片260に掛かる剪断力として作用する。
【0041】
一方、(b)が示す従来技術に係る扉紙の場合、タブ2000を引く力Fは、スリット内にある係合片と本体1000との2か所の接点を介して本体1000に伝わる。このとき、力Fは2か所の接点のそれぞれで力F/2として本体1000に作用する。これに対して各接点では、反作用として力F/2が本体1000からタブ2000の係合片に掛かる。ただし、この力は本体1000からタブ2000の係合片に掛かるF/2の剪断力としてそのまま作用する。
【0042】
ここで本実施の形態の扉紙10では、剪断力F/2はスリット150の方向に応じて力FとFとに分解される。一方、従来技術に係る扉紙では、スリットの方向が剪断力F/2と同じ方向であるため分解されない。
【0043】
従来技術に係る扉紙のタブの係合片は、装着後のガタつきや不意の抜けを防止するためにその付け根でくびれている。この細い部分で力F/2を受けるため、剪断力によって比較的変形、破損しやすい。これに対し本実施の形態の扉紙10では、分解によって力F/2より小さくなった力FとFを、係合片の幅又はそれ以上の幅を有する領域で受ける。したがって、仮にタブ全体や係合片の大きさがほぼ同等のもので比較すると、同じ力に対して本実施の形態のタブ200の方が変形も破損もしにくい。
【0044】
上記の構成の一好適な例を図7を参照して説明する。図7は、本考案の実施の形態における、本体100のスリット150及びタブ200の係合片260の相対的な位置関係の例を示す図である。図7においても破線は隠れ線として本体100及びタブ200の見えない部分の形状を示す。なお図7では、図を簡単にする目的で1組のスリット150のうちスリット150aと、1組の係合片260のうち係合片260aとが係合している状態のみを示しているが、スリット150bと係合片260bとの係合についても下記の説明は適用可能である。
【0045】
図7が示す例においては、タブ200が本体100に装着されている状態で、スリット150の長手方向の先端のうち、これらのスリットを含む周縁部における本体100の端部から近い方の先端を通る直線Lと、各スリット150の両端を通る直線Lとは45度の角度で交差する。
【0046】
上述のとおり、ユーザによる扉紙10の取り扱い時に係合片260の付け根部分に掛かる剪断力は分解される。そしてスリット150がこの位置関係で配置されるとき、最もバランスよく分解される。
【0047】
図7が示す例においてはさらに、各係合片260(係合片260aのみ図示)は各スリット150(スリット150aのみ図示)の両端を通る直線Lと直交する方向Dに延出する。
【0048】
この構成によれば、本体100に装着されているタブ200の見出し部210をユーザが摘持して扉紙10をめくる、持ち上げるなどの取り扱いをしても、この取り扱いによってタブ200に掛かる力によっては係合片260とスリット150との係合は解消しにくい。例えば、図6の(b)に示されるような従来技術に係る扉紙では、係合片をスリットから抜ける方向に動かす力(例:Y軸方向の成分が多い力、又はZ軸紙面手前方向の成分が多い力)が掛かっても、本実施の形態の扉紙10では係合片260はスリットから抜ける方向に動きにくい。また、本実施の形態の扉紙10で係合片260がスリットから抜ける方向に動かす力(例:係合片260aの場合、X軸Y軸いずれも負の方向の力)は、タブ200を摘持して扉紙10をめくる、持ち上げる等の取り扱いでは生じにくい。よって係合片260は本体100をスリット150でフックのように引っかける状態を保ち、タブ200が本体100から外れる機会は少ない。
【0049】
このように、タブ200と本体100とが一体化した状態はユーザによる扉紙10の取り扱い時において保持される。つまり扉紙10は、従来技術に係るタブが着脱可能な扉紙と比較して、タブが着脱不可能な一般的な扉紙により近い感覚で使用することができる。
【0050】
なお、本発明に係る整理具のスリット150及び係合片260の相対的な位置関係は上記に限られない。各要素がなす角度は、美観、素材、製造工程、流通、又は市場等の諸事情を考慮して適宜変更されてもよい。
【0051】
また、スリット150a及びスリット150bの形状は図示のものに限られない。例えば弧状や三日月状のように、輪郭の少なくとも一部に曲線を含んでいてもよい。同様に、係合片260a及び係合片260bの形状も図示のものに限られない。長さ、形状、及び延出方向は上記の諸事情を考慮して適宜変更されてもよい。
【0052】
(係合片のバリエーション)
図4に示されるように、タブ200は本体100への装着又は本体100からの取外しの際に、ユーザによって適宜曲げられる必要がある。しかし、ユーザの意図に関わらず、タブ200が見出し部210で曲がりその跡が残った場合には、タブ200の美観を損ね、また、見出し部210の文字の追加や消去がしにくくなる。これを防ぐために、タブ200の各係合片260には、あらかじめ曲げ部が付されてもよい。ここでいう曲げ部とは、例えば、各係合片260の面上で湾曲又は折り曲げが施されている部分である。また、タブ200が本体100に装着される前であれば、あらかじめ定めた線に沿う折り曲げを容易にするために付けられた筋であってもよい。以下、曲げ部の例を図を用いて説明する。
【0053】
図8Aから図8Cはそれぞれ曲げ部を備える係合片260の例を示す。各図では、タブ200の平面視による図と係合部側からの側面視による図とを並べている。平面視による図において、破線は山折りの曲げ部を示し、一点鎖線は谷折りの曲げ部を示す。
【0054】
図8Aに示される例では、各係合片260は曲げ部280で山折りされ、接続部270と同じ高さにある曲げ部280から先端にかけて直線的に下がる。
【0055】
図8Bに示される例では、各係合片260は曲げ部281で山折りされ、接続部270と同じ高さにある曲げ部281から先端に近づくにつれて直線的に下がり、さらに曲げ部282で谷折りされ、先端にかけて直線的に上がる。このように、各係合片260は複数の曲げ部を備えてもよい。
【0056】
図8Cに示される例では、各係合片260は接続部270付近から先端にかけて、接続部270と同じ高さから下がる。この間で各係合片260は湾曲し、その下がり方は先端に近づくにつれて緩やかになる。この場合、各係合片260において接続部270の高さから下がり始めた位置から先端まで(図では格子ハッチングが付された領域)が曲げ部283である。係合片260はこのような湾曲する面である曲げ部を備えてもよい。
【0057】
また、上記に例示したこれらの曲げ部は適宜組み合わせられてもよい。例えば、図6Bにおける曲げ部281から係合片260の先端にかけての領域が、曲げ部282を有する代わりに曲げ部283のように湾曲する曲げ部であってもよい。
【0058】
このように、各係合片260は、接続部270に接する部分と先端とを分割するような配置の線又は面の曲げ部を有する。当該曲げ部で曲がっている場合、各係合片260は少なくともその一部において接続部270の主面を含む平面とは異なる平面又は曲面に沿う形状をとる。
【0059】
このような曲げ部を備えることで、タブ200は装着や取外しの際に、係合片260で(少なくともタブ200の他の部分に対して優先的に)曲げられる。これにより、装着や取外しの際に跡が残るような曲げが見出し部210に入ることを容易に避けることができる。
【0060】
なお、これらの曲げ部の湾曲及び折り曲げは恒久的なものであってもよいし、消去可能なものであってもよい。好ましくは、扉紙10であれば、バインダ内にあって、当該バインダが閉じられているときに係合片260が本体100に沿うよう一時的に消去可能なものである。また、曲げの程度も使用者によって適宜変更できるものであってもよい。さらには、曲げ部が曲げられる方向は一方向に限られない。曲げ部が平らな状態から両方向、又はすでに曲がっている状態から反対の方向への曲げを許容するものであってもよい。これにより、タブを表裏入れ替えても(又はユーザが表裏を意識することなく)用いることができる。
【0061】
(本体のスリットに関連するバリエーション)
本体100のスリット150側の開口方向を変えることで、タブ200の着脱をさらにスムーズにすることができる。
【0062】
このような効果は例えば、タブ200が装着される面を上にして本体100を見た場合、スリット150内の端面のうち、タブ200が装着されている状態でタブ200の上に位置する部分を、タブ200が装着されている状態でタブ200の下に位置する部分よりも低い、という構成によって得られる。
【0063】
図9Aから図9Dは、それぞれ上記の構成を有する本体100のスリット150周辺の領域の形状の例を示す図である。各図では、タブ200が装着されていない本体100の平面視による図と、この図におけるA−A線における断面図とを並べている。
【0064】
図9Aに示される本体100では、1つのタブ200の係合片260が挿入されるスリット150a1とスリット150b1との間の領域がその周囲より低くなるようデボス加工が施されている。図9Bに示される本体100では、その領域のうち、スリット150に接する一部がその周囲より低くなるようデボス加工が施されている。
【0065】
図9Cに示される本体100では、隣り合う2組のスリット150の間の領域、すなわちスリット150b0とスリット150a1との間の領域、及びスリット150b1とスリット150a2との間の領域が周囲より高くなるようエンボス加工が施されている。図9Dに示される例ではその領域を変形させ、タブ200が本体100に装着されている状態で各係合片260に接する領域が周囲より高くなるようエンボス加工が施されている。つまりタブ200の装着時には係合片260がこの領域に収まる。
【0066】
この構成において、スリット150は挿入されるタブ200の方を向いて開口する。これにより、タブ200の本体100への装着が容易になる。また、本体100からの取外しも容易になる。特にタブ200が比較的厚い場合や、本体100が比較的硬い素材で作られている場合に効果的である。あるいは、タブ200の装着や取外しの際に、本体100の変形を防ぐ、又は抑えることができる。また、図9Cに示すような構成の場合は、タブ200が装着されているときの係合片260の位置を安定させたり、係合片260に指や周辺の紙片等が引っ掛かって係合片260に力が掛かることを防止したりする効果が得られる。
【0067】
なお、図9Aから図9Cに示される、周囲よりも高い又は低い領域の形状は例であり、上記の構成が得られる形状であればどのような形状であってもよい。
【0068】
(その他のバリエーション)
本体100は、ファイリング用扉紙、帳面の表紙若しくは扉紙、ファイリング用ポケットを構成するシート状部材、ファイリングキャビネットに用いる仕切板、又はファイルフォルダを構成するシート状部材であってもよい。
【0069】
これにより、書類や紙片等の各種整理具であって、繰り返し着脱可能で有用性の高いタブ付きの整理具が実現される。
【0070】
また、本実施の形態では本体100の形状として、ファイリング用バインダの扉紙に一般的である略長方形を例示している。しかし、本考案に係る整理具の本体の形状はシート状であれば略長方形に限定されない。例えば整理具が円盤状の記録媒体を収納する収納具である場合に、整理具の本体は輪郭の少なくとも一部が略円弧のシート状であってもよい。また例えば、整理具がファイリング用キャビネットの仕切り板である場合に、整理具の本体の当該ファイリング用キャビネットが備える抽斗の横断面の形状に応じた多角形のシート状であってもよい。
【0071】
また、本考案に係る整理具の本体は、整理具としての用途に応じてスリット以外の穴を有してもよい。例えば扉紙10の場合、本体100はファイリング用バインダが備えるリングを通すための円形の穴を2個有する(図1、図5左側)。
【0072】
また、本考案に係る整理具の本体におけるスリットの位置は、本体の周縁部であればよく、上記の説明や各図に示されているものに限定されない。例えば上述のようなファイリング用バインダに用いる扉紙の場合、バインダの小口側ではなく、天側や地側の周縁部にあってもよい。帳面やクリアファイルであれば背側の周縁部にあってもよい。
【0073】
また、本考案に係る整理具のタブの形状は、シート状であれば上記の説明や各図に示されているものに限定されない。各種の多角形、例えば一般的なタブに見られるような、見出し部210の形状が接続部270側の辺がより長い底辺である台形、長方形等の各種の四角形でもよいし、輪郭の一部又は全部が曲線であってもよい。各図に示されるような、接続部270側がより短い略台形は、1枚のシート材から上述の構成を有する係合部を備えるタブを切り出す場合に、見出しとしての記入欄の大きさ及びつまみとしての摘持のしやすさを考慮して十分な面積を確保できる形状の一例として選択されたものである。また、見出し部210の隅を切り落としたような六角形でもよい。
【0074】
また、本考案に係る整理具は、その用途、加工性、耐久性、コスト等を考慮して実現可能であれば材料は問わない。例えば紙(特に厚紙)であってもよいし、各種の合成樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタラート、アクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂等)であってもよく、異なる材料で作られた部品を組み合わせてもよい。例えば内容物の保護を考慮して、本体の一部が不織布で構成されていてもよい。また、本体部の材料とタブの材料とが異なるものであってもよい。
【0075】
(使い方)
本考案に係る整理具の有用性及び産業上の利用可能性を示すために、使い方の例を以下に挙げる。
【0076】
例えば実施の形態のようなファイリング用バインダに用いる扉紙であれば、1つのバインダ内での扉紙の順序が変わった場合に、タブへの記載事項、例えば分類名はそのままで、位置のみを変えてタブの一覧性を維持することができる。また、タブへの記載事項への変更には、バインダから紙葉を取り外すことなくタブのみを交換することで対応できる。
【0077】
また、固定的なタブを備える扉紙はタブの位置が異なるものを1セットとして入手可能なことが多い。したがって、1つのバインダ内で複数のタブを同じ位置で使いたい場合は、通常は複数セットを入手する必要がある。しかし本考案に係る扉紙であれば、タブの位置を揃えることも違えることもユーザの任意である。
【0078】
また、扉紙におけるタブの位置はあらかじめ本体に入れられたスリットの位置によって限定されるため、貼り付けて用いられるタブに比べて扉紙間でのタブの位置の調整は容易である。
【0079】
さらに、本体に対して着脱可能であり、かつ、スリットさえ設ければ1つの本体に対して装着位置の変更、及び複数のタブの装着が可能であることから、タブの位置によるフェーズ管理や属性管理にも用いることができる。さらに、位置に加えてタブの色や形状のバリエーションがあれば、例えば分類はタブの色で、フェーズはタブの位置で示すといった使用も可能である。より具体的な例を挙げると、分類として顧客、フェーズとして進捗状況(未着手、仕掛中、納品済)とし、それぞれタブの色と位置とで示すことができる。属性とは、例えば作業対象としての優先度や保管期限、帯出の可否などである。付箋でも同様のことはできるが、本考案に係る整理具のタブの場合は本体からの突出具合も含めて位置決めが容易である。また、経時的な、又は貼り直しによる粘着剤の劣化の心配がない。さらに、扉紙や帳面類の表紙であれば一般的な付箋より丈夫な素材を用いることができるため、付箋よりも長期の使用にも耐える。
【0080】
上記は本考案に係る整理具の使い方の例のごく一部である。従来のタブ付き整理具や付箋よりも長期の使用に耐え、かつ動的なタブとして活用できる点に鑑みれば、上記の例に限られず有用性の高い用途がある。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本考案は、各種の整理具に適用することができ、例えば書類や紙片等の整理具であって、繰り返し着脱可能なタブ付きの整理具として利用可能である。
【0082】
10 扉紙
100 本体
150、150a、150b、150b0、150a1、150b1、150a2 スリット
200 タブ
210 見出し部
250 係合部
260、260a、260b 係合片
270 接続部
280、281、282、283 曲げ部

(57)【要約】

【課題】着脱可能なタブが本体から脱落しにくく、破損しにくい整理具を提供する。【解決手段】整理具はシート状の本体100と、本体より小さいシート状のタブ200を備える。タブは見出し部と、見出し部と辺の一部を共有する係合部とを有する。係合部は、見出し部に近づく方向に延出している1組の係合片260a、260bと、係合片と見出し部とを接続する接続部を有する。本体は、本体の端部に向かって間隔が狭くなるよう略ハの字状に並ぶスリット150a、150bを1組以上周縁部に備える。1組のスリットの間の最短距離は、1組の係合片の間隔と略同一である。スリットに係合片が係合することで、接続部及び見出し部の接続部に接する領域が本体に沿う状態でタブは本体に装着される。


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