(54)【考案の名称】静電吸着シートおよびそれを用いた表示物

(73)【実用新案権者】株式会社ユポ・コーポレーション

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図4

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、貼着使用前には折りたたみ可能であり、貼着使用時は多様な被着体に静電吸着可能な静電吸着シートに関する。特に本考案は、寸法の大きなシート状であって持ち運び時にはコンパクトに折りたたむことができ、且つこれを展開し被着体へ貼り付ける時には折りたたみ部が折り癖により被着体より浮き上がることなく、外観良く長期間貼り付けることができる静電吸着シートに関する。
【0002】
従来、壁面、ガラス面、柱、掲示板、ロッカー、書棚等の硬質の被着体に、印刷により作製したポスター、広告等のシート状媒体を貼り付ける際に、接着剤、粘着テープ等が利用されてきた。近年、こうした広告等のシート状媒体についても、資材リサイクルの観点から使用後も再利用可能な状態で容易に回収できるものが望まれている。しかし、接着剤や両面テープを使用した場合、広告等を被着体から剥離するのが容易ではなく、破れて再利用ができない場合がある。また、広告等に接着剤や粘着剤が残っていると資源としてのリサイクルも困難となり、結局、一度使用した後は大半が廃棄物として処理されているという問題がある。更に、広告等のシート状媒体を、接着剤や両面テープを使用して壁面や柱等の被着体に貼り付けると、これを剥がした後に被着体側にも接着剤や粘着剤の糊等が残ってしまったり、被着体の表面の塗装が剥れたりしてしまうという問題もあった。
【0003】
これに対して、広告等のシート状媒体を静電吸着力により被着体へ貼り付ける技術が提案されている(下記特許文献1参照)。特許文献1には、支持体層と不透明なラベル層が互いに静電吸着したシートが記載されており、使用時にラベル層を支持体層から剥離して、その剥離して露わになった面が被着体表面と接するようにラベル層を貼り付けて静電吸着させることが説明されている。特許文献1によると、剥離前のシートは剥離前には外部に静電吸着力を発現しないために、特に印刷工程でロールへの貼り付きやシート同士のブロッキング等のトラブルが発生し難いという利点があり、また、ハンドリング性が良好で、多様な印刷方式にも対応できるとされている。また、特許文献1によると、被着体に貼り付けた後は、環境湿度に影響されずに長期にわたって静電吸着力が持続し、また、使用後は容易に剥がすことができるという利点があるとされている。このような静電吸着シートは現在、大判(例えば、A0判(841mm×1189mm)、四六判(788mm×1091mm)、菊全判(636mm×939mm)等)の印刷物とし、大型のポスターやPOPなどのディスプレイ用途、壁紙などの建材用途に使おうとする試みがなされている。
【0004】

【効果】

【0007】
本考案は、被着体に容易に貼り付けることができるとともに、被着体を汚さずに被着体から容易に剥がすことができる静電吸着シートであって、該シートを折りたたんだとしても、折りたたみ部が折り癖により被着体より浮き上がることなく、外観良く長期間貼り付けることができる静電吸着シートを提供する。
即ち、本考案は次の構成により前記課題を解決するものである。
1.第1のシート部材1と、第2のシート部材2を含む静電吸着シートであって、
該第1のシート部材が第1の樹脂フィルム層11を含み、該第2のシート部材が第2の樹脂フィルム層21を含み、該第1の樹脂フィルム層11と該第2の樹脂フィルム層21が接するように静電気によって積層した静電吸着シートであって、第1のシート部材および第2のシート部材の少なくとも一方に、ミシン目4を有する折り線3を1以上備えることを特徴とする静電吸着シート100。
2.ミシン目4が、貫通孔4Aまたは半貫通孔4Bの少なくとも一方を含むことを特徴とする上記1.に記載の静電吸着シート。
3.静電吸着シートが、さらに切り取り手段5を備えることを特徴とする上記1.または2.に記載の静電吸着シート。
4.ミシン目が、複数の折り線上に沿って設けられたものであって、
前記折り線3が、1以上の直線状のX方向折り線3Aと、これらのX方向折り線に対してほぼ直交する方向にそれぞれ延長する1以上の直線状のY方向折り線3Bからなることを特徴とする上記1.〜3.のいずれか一つに記載の静電吸着シート。
5.前記折り線3が、複数の互いに平行な直線状のX方向折り線3Aと、これらのX方向折り線に対して交差する方向にそれぞれ延長する複数のジグザグなY方向折り線3Bからなることを特徴とする上記1.〜4.のいずれか一つに記載の静電吸着シート。
6.前記折り線3のいずれか1以上で折りたたんでなることを特徴とする上記1.〜5.のいずれか一つに記載の静電吸着シート。
7.前記静電吸着シートの少なくとも一方の表面上に印刷が施されていることを特徴とする上記1.〜6.のいずれか一つに記載の静電吸着シート。
8.上記1.〜7.のいずれか一つに記載の静電吸着シートより第1のシート部材1と第2のシート部材2とを分離し、少なくとも折り線3を有するシート部材を静電気によって被着体6に貼り付けて得た表示物200。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本考案の静電吸着シートの一形態を示す断面図及び俯瞰図である。
【図2】本考案の静電吸着シートの別の形態を示す断面図及び俯瞰図である。
【図3】本考案の静電吸着シートの別の形態を示す断面図である。
【図4】本考案の静電吸着シートの一形態において、折り線3で折り曲げた状態を示す模式図である。
【図5】本考案の静電吸着シートの打抜き加工及びミシン目加工の一形態を示す説明図である。
【図6】本考案の静電吸着シートの一形態において、第1のシート部材と、第2のシート部材を分離して用いることを示す説明図である。
【図7】本考案の表示物の一形態を示す説明図である。
【図8】特許文献1の図8の装置を用いる本考案の積層体の製造方法を示す説明図である。

【0009】
以下に記載する構成要件の説明は、本考案の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本考案はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0010】
本考案の静電吸着シートは、第1のシート部材1と、第2のシート部材2を含む静電吸着シートであって、
該第1のシート部材が第1の樹脂フィルム層11を含み、該第2のシート部材が第2の樹脂フィルム層2を含み、該第1の樹脂フィルム層11と該第2の樹脂フィルム層21が接するように静電気によって積層した静電吸着シートであって、第1のシート部材および第2のシート部材の少なくとも一方に、ミシン目4を有する折り線3を1以上備えるものである。
【0011】
[構造]
本考案の静電吸着シートについて図を用いて説明する。
図1は、本考案の静電吸着シートの一形態を示す断面図及び俯瞰図である。図1の断面図に示すように静電吸着シート100は、第1のシート部材1と、第2のシート部材2とを含む積層体を有している。同形態において、第1のシート部材1は第1の樹脂フィルム層11を含み、第2のシート部材2は第2の樹脂フィルム層21を含む。さらに、第1のシート部材1が有する第1の樹脂フィルム層11の静電吸着面1Aと、第2のシート部材2が有する第2の樹脂フィルム層21の静電吸着面2Aとが互いに静電気によって積層されている。
図1の俯瞰図に示すように静電吸着シート1の一方の面上、例えば第1のシート部材1の1Bの面上には印刷1aが施されている。このような印刷は第2のシート部材2の2Bの面上に施されていてもよく、静電吸着シート100の両面(即ち、1B面と2B面)に施されていてもよい(図2,図3参照)。
また図1の形態において、第1のシート部材1には、これを貫通するミシン目14が設けられ、第2のシート部材2にはこれを貫通するミシン目24が設けられ、ミシン目14とミシン目24とが静電吸着シート100を貫通するミシン目4を構成する。またミシン目4に沿って静電吸着シート100を折ることで一つの直線状のミシン目4を有する折り線3を形成するように設けられている。
【0012】
図2は、本考案の静電吸着シートの別の一形態を示す断面図及び俯瞰図である。図2の断面図に示すように静電吸着シート100は、第1のシート部材1と、第2のシート部材2と、を含む積層体を有している。同形態において、第1のシート部材1は1A面側に第1の樹脂フィルム層11を含むものであり、第2のシート部材2は2A面側に第2の樹脂フィルム層21を含むものである。また、図2の俯瞰図に示すように静電吸着シート100の少なくとも一方の面上、例えば第1のシート部材1の1B側の面上には印刷1aが施されている。このような印刷2bは上記同様、他面2Bに施されていてもよい。
また図2の形態において、静電吸着シート100には十字四つ折りを意図して、第1のシート部材1に直交する2本のミシン目が、半貫通の形状で、直交する二本の直線状の折り線3(直線状のX方向折り線3A,3Aに対してほぼ直交する方向にそれぞれ延長する直線状のY方向折り線3B)を形成するように設けられている。また図3に示すように加工深さを変更することで、一方のシート部材は貫通し、もう一方のシート部材は貫通していない態様としてもよく、一方のシート部材は貫通し、もう一方のシート部材は半貫通している態様としてもよい。図2の半貫通のミシン目14は所謂「ハーフカット」として加工形成することもできる。このようなハーフカットは第1のシート部材1と同様に第2のシート部材2にも設けてもよい。また
【0013】
図4は、本考案の静電吸着シートの一形態において、ミシン目部で折り曲げてたたんだ状態を示す模式図である。本考案の静電吸着シート100は折り線3となる部分に予めミシン目4(14)を設けることによって、静電吸着シートの折り曲げ時には折りやすく、静電吸着シートの展開時には折り癖が残り難いという特徴を有する。
図5は、本考案の静電吸着シートの打抜き加工及びミシン目加工の一例を示す説明図である。
【0014】
図5中、静電吸着シートを一方のシート部材側から俯瞰して見ている。菊全判サイズの静電吸着シート100の一方のシート部材の表面に印刷を施し、次いで打抜きの手法により、全抜きの切り取り手段5,5と、3本のミシン目4,4,4と、を成形している。結果的に、菊全判サイズの静電吸着シート1枚から、A2サイズ(594mm×420mm)の静電吸着シート2枚が得られ、A2サイズの静電吸着シートには直交する2本のミシン目4,4が形成されている。A2サイズの静電吸着シートは、2本のミシン目4,4を折り線として十字四つ折りすることで、A4サイズに折りたたむことができる。
【0015】
図6は、本考案の静電吸着シートの一形態において、これを構成する第1のシート部材1と第2のシート部材2とを分離して用いることを示す説明図である。
本考案の静電吸着シートは、これを構成する第1のシート部材1と第2のシート部材2とを分離することによって、両者間の帯電している表面(1A面および2A面)が露わとなり、シート部材の表面の静電吸着力によって、シート部材は表示物として被着体に貼り付けが可能となる。
本考案の静電吸着シートにはその少なくとも一方の表面上に印刷が施されていてもよい。印刷が施された側のシート部材は、分離後は表示物として用い得る。本考案の静電吸着シートはその両表面上に印刷が施されていてもよい。この場合両シート部材は、分離後はどちらも表示物として用い得る。
【0016】
図7は、本考案の静電吸着シートの一形態において、これを構成する第1のシート部材と第2のシート部材とを図6の如く分離した後に、分離された第1のシート部材1を用いて被着体6にこれを貼り付け、表示物とする直前の一例を示す説明図である。
本考案の静電吸着シートは、折りたたみ部がミシン目を有する(ミシン目14を折り線3として折りたたむ)ことにより、ミシン目14部分において第1のシート部材1の曲げ弾性率が低下することから、静電吸着シートの展開時には折り癖が残り難く、分離された第1のシート部材1においても折り癖によってシート部材1が被着体6から浮き上がることが少なく、被着体平面に対し凹凸少なくほぼ均一に貼り付けることができる。
【0017】
以下、本考案の静電吸着シートの各構成要件について更に詳細に説明する。
【0018】
[静電吸着シート]
本考案の静電吸着シートは、第1のシート部材と、第2のシート部材を含むものであり、第1のシート部材が第1の樹脂フィルム層を含むものであり、第2のシート部材が第2の樹脂フィルム層を含むものであり、第1のシート部材の第1の樹脂フィルム層と第2のシート部材の第2の樹脂フィルム層とが接するように静電気によって積層されたものであり、第1のシート部材および第2のシート部材の少なくとも一方の平面内に1以上のミシン目を備えることを特徴とするものである。
【0019】
[シート部材]
本考案の静電吸着シートを構成する第1のシート部材および第2のシート部材は、何れも樹脂フィルム層を含むものである。
各々のシート部材は、樹脂フィルム層単体であってもよく、または樹脂フィルム層に一以上の他の層を積層した積層体であってもよい。
各シート部材の具体的な例としては、前述の特許文献1(特開2012−145935号公報)の段落0015に記載のラベル層(i)を参照することができ、また各樹脂フィルム層の具体的な例としては、前述の特許文献1の段落0016から段落0070に記載の樹脂フィルム層(A)を参照することができる。また、特開2012−145936号公報の段落0016に記載のラベル層(i)、および同文献の段落0017から段落0071に記載の樹脂フィルム層(A)を参照することができる。
本考案において、静電吸着シートを構成する第1のシート部材および第2のシート部材、ならびに、第1のシート部材を構成する第1の樹脂フィルム層および第2のシート部材を構成する第2の樹脂フィルム層は、一義的に区分をするものではない。これらは同一であってもよく、それぞれ異なる組成や特徴を有するものであってもよい。
シート部材は、種々の被着体に貼り付け表示することが可能であり、表示体として使用する際に静電吸着力が高く、静電吸着力の持続性も充分で長期に亘り表示使用することができ、静電吸着力が湿度に影響され難く、且つ使用後は被着体を汚さずに容易に剥がすことができる。シート部材は特許文献1に記載の態様と同様にその片面に記録層を備えていてもよい。
【0020】
[静電気による積層]
本考案の静電吸着シートは、第1のシート部材の第1の樹脂フィルム層と第2のシート部材の第2の樹脂フィルム層が接するように、静電気によって積層して構成したものである。
両者を静電気によって接合させるために、本考案の静電吸着シートは、第1のシート部材および第2のシート部材の少なくとも一方に帯電処理を施すことが好ましい。帯電処理を施し、次いで第1のシート部材の第1の樹脂フィルム層と第2のシート部材の第2の樹脂フィルム層を接するように積層することで静電吸着シートを形成することができる。
帯電処理方法の具体的な例としては、前述の特許文献1の段落0091から段落0093に記載の方法を参照することができる。また積層方法の具体的な例としては、前述の特許文献1の段落0094に記載の方法を参照することができる。
【0021】
[折り線]
本考案の静電吸着シートは、ミシン目を有する折り線を1以上備えることを特徴とする。
ここで、折り線とは、静電吸着シートを折りたたんだことによって生じ、それを再度展開したことによって、折りたたまれた箇所に生じた視認できる線をいう。したがって、静電吸着シートの外観上、第1のシート部材の折り線と、第2のシート部材の前記折り線と対応した位置に折り線が存在する。これらは、第1のシート部材の折り線が山折りの場合、対応する第2のシート部材上の折り線は谷折りであり、第1のシート部材の折り線が谷折りの場合、対応する第2のシート部材上の折り線は山折りである。
折り線は静電吸着シートを手で折って形成してもよく、機械で折って形成してもよい。また折り線は静電吸着シートの端部から端部までを繋ぐ様にあっても良く、端部から端部までなくともよい。
ミシン目がある位置に折り線を形成することが容易であるため、折り線とミシン目との位置が同一であることが好ましい。ここで位置が同一とは、折り線とミシン目をつなぐ仮想線との距離が、10mm以内であることをいう。折り線とミシン目とをつなぐ仮想線との距離は5mm以内が好ましく、1mm以内が更に好ましい。
本考案の静電吸着シートにおいて、平面に設けられる個々の折り線は、直線状であることが一般的であるが、その形状は限定されず、折りたたみ後の形態に応じて、ジグザグ状でもよく、波線(サインカーブ)状でもよく、弧線状でもよい。
また図5で例示された、打抜き機で打抜いて得られた二枚のA2サイズの静電吸着シートからは、例えばハイデルベルグ社製スタール66のような折り機を用いて、ミシン目部を折り線として十字折りし、折りたたまれた静電吸着シートを得ることができる。
【0022】
静電吸着シートの平面内に設けられる折り線は、静電吸着シートの少なくとも一方の平面内に一つだけであってもよく、複数あってもよい。静電吸着シートの平面内に設けられる折り線が一つだけの場合、その折り方は二つ折りとなる。
静電吸着シートの平面内に設けられる折り線が複数であり、複数の折り線は互いに略平行である場合、静電吸着シートは例えば外三つ折り(Z折り)、巻三つ折り(C折り)、片袖折り、外四つ折り(W折り、蛇腹折り、経本折り)、巻四つ折り、巻々四つ折り、観音折り、見出し折り、および折り回数を更に増やした外複数折り(蛇腹折り)などの方法で折りたたむことができる。
静電吸着シートの平面内に設けられる折り線が複数であり、複数の折り線が互いに略直交する折り線を含む場合(1以上の直線状のX方向折り線と、これらのX方向折り線に対してほぼ直交する方向にそれぞれ延長する1以上の直線状のY方向折り線を含む場合)、静電吸着シートは例えば十字折り(十文字四つ折り、8頁折り)、クロス折り(16頁折り)、地図折り(外四つ折りクロス二つ折り)、外三つ折りクロス二つ折り、巻三つ折りクロス二つ折り、二つ折りクロス外三つ折り、二つ折りクロス巻三つ折り(DM折り)、二つ折りクロス外四つ折り、および外複数折りクロス外複数折り(例えば外六折りクロス外三つ折り)などの方法で折りたたむことができる。
【0023】
また、静電吸着シートの平面内に設けられる折り線が複数であり、複数の折り線が、複数の互いに平行な直線状のX方向折り線と、これらのX方向折り線に対して交差する方向にそれぞれ延長する複数のジグザグなY方向折り線からなる場合、静電吸着シートはミウラ折り(登録商標)で折りたたむことができる。
【0024】
本考案の静電吸着シートは、これを構成する第1のシート部材および第2のシート部材の少なくとも一方の平面内に、1以上のミシン目を備える。また、好ましい態様としては静電吸着シートがさらに切り取り手段を備える。
【0025】
前記ミシン目は、図4の如く静電吸着シートを折り線部で折り曲げたときに、ミシン目が無い箇所に比べて空間中に樹脂フィルム層の占める割合が低減しているため、折り曲げに対する抗力(曲げ弾性力)も少なく、座屈変形しやすくなり、静電吸着シートは折りたたみやすいものとなる。また、静電吸着シートが折りたたまれた状態からこれを展開するときも、ミシン目部分は、元に戻そうとする折り曲げに対する抗力も少なく変形しやすいために、静電吸着シートは元の平坦状に戻りやすいものとなる。結果的に本考案の静電吸着シートは、折りたたんだとしても折りたたみ部の折り癖による被着体からの浮き上がりが軽減され、外観良く長期間貼り付けることができる。
またミシン目は、折り曲げに対する抗力(曲げ弾性力)を低減させ、座屈変形しやすくすることを意図して設けるものである。従って本考案におけるミシン目とは、同様の効果を奏するスリット、点付け、ハーフカットなどと呼ばれる構成や加工も含むものである。本考案の静電吸着シートにおいて、ミシン目は、同シート上に同様の効果を意図して設けられるものである限り、その形状等は特に限定されるものではない。
【0026】
前記切り取り手段は、静電吸着シートに設けられるものであり、手または鋏を用いて、該切り取り手段に沿って静電吸着シートの一部を切り取り可能とする目的で設けられる。切り取り手段の形状はミシン目またはハーフカットであることが好ましい。また本考案において、ミシン目を有する折り線の該ミシン目を切り取り手段としてもかまわない。
前記ミシン目および前記切り取り手段は、例えばトムソン刃、ブッシュ刃やゼンマイ刃などのフラットベットダイ、またはミシン刃、ロータリーダイおよびピナクルダイなどのシリンダー刃による機械的穿孔、あるいは熱針、電子ビーム、レーザービーム等の熱的穿孔等の方法で設けることができる。
またミシン目および前記切り取り手段は、点付けやハーフカットでも良いことから、その穿孔部の長さやピッチは任意に設定しうるものである。その穿孔部の長さやピッチは、例えば折り線方向に対する穿孔部の長さを1〜10mmとすることができる。また例えば隣り合う穿孔部間の間隔を0.3〜2mmとすることができる。
またミシン目および前記切り取り手段は、第1のシート部材および第2のシート部材の少なくとも一方に設けられた貫通孔または半貫通孔からなることが好ましい。これらが貫通孔4Aである場合は、その深さは第1のシート部材または第2のシート部材の厚みとほぼ等しい(図3参照)。ミシン目および前記切り取り手段が第1のシート部材および第2のシート部材をともに貫通する孔からなる場合は、その深さは静電吸着シートの厚みとほぼ等しい(図1参照)。ミシン目および前記切り取り手段が第1のシート部材および第2のシート部材の少なくとも一方に設けられた半貫通孔4Bからなる場合は、その穿孔部の深さは第1のシート部材または第2のシート部材の厚みよりも浅い(図3参照)。
【0027】
ミシン目および前記切り取り手段の具体的な加工方法としては、例えばハイデルベルグ社製のシリンダー式打抜機を用いて、図5に示すように、印刷済の静電吸着シートに全抜きとミシン目を同時に形成することができる。ミシン目は、例えば2:1のピッチ(例えば切れている穿孔部の長さが2mm、切れていない穿孔部間の間隔が1mm)が挙げられる。
【0028】
[印刷]
本考案の静電吸着シートは、これを表示物として用いるため、その少なくとも一方の表面に印刷を施すことができる。係る印刷としては、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷、スクリーン印刷、インクジェット記録方式、感熱記録方式、熱転写記録方式、電子写真記録方式などの従来公知の手法を用いることが可能である。さらに印刷インキとしては、油性インキ、水性インキならびにUVインキが使用可能であるが、乾燥速度が速いUVインキが好ましい。
【0029】
[表示物]
本発明の静電吸着シートの表面に印刷を施した記録物としては、POPカード(ポスター、ステッカー、ディスプレイ等)、店舗案内(パンフレット、会社案内、品書き、メニュー等)、下敷き(ランチマット、テーブルマット、文房具用品等)、マニュアル(職務、作業、操作等の各種マニュアル、工程表、時間割等)、チャート類(海図、天気図、図表、罫線表等)、カタログ、地図(海図、路線図、屋外用地図等)、店頭価格表、登山ガイド、迷子札、料理のレシピ、案内板(売り場案内、方向・行き先案内等)、スケジュール表、ロード・サイン(葬式・住宅展示場所等)、校内記録表、表示板(立ち入り禁止、林道作業等の)、区画杭、表札、カレンダー(画像入り)、簡易ホワイトボード、マウスパッド、包装資材(包装紙、箱、袋等)等を例示することができ、何れも利用可能である。特に屋内使用を前提とした用途に好適に用いることができる。
【0030】
[被着体]
上述の記録物を表示物として貼着させる被着体としては、掲示版、看板、サインボード、ホワイトボード、壁、天井、柱、ドア、パーティション、床、ロッカー、机、棚、窓(ガラス製、樹脂製)、冷蔵庫(金属面、ガラス面、プラスチック面)、各種機器(工作機、印刷機、成形機等)、および車内(自動車、バス、電車)、船舶内、航空機内の壁面等を例示することができ、何れも利用可能である。特に被着体はその表面の平滑性が高い場合に本発明の記録物との密着面積が大きくなり、得られる静電吸着力も高まることから好ましく適用することができる。
【0031】
以下に実施例を記載して、本考案を更に具体的に説明する。以下に示す材料、使用量、割合、操作等は、本考案の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本考案の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
【0032】
[第1シート部材の製造]
プロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックPP FY4,MFR(230℃、2.16kg荷重):5g/10分間、融点:165℃)80質量部、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名:ノバテックHD HJ360、MFR(190℃、2.16kg荷重):5g/10分間、融点:131℃)10質量部、および重質炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、商品名:ソフトン1800,平均粒子径:1.2μm)10質量部からなる熱可塑性樹脂組成物aと、プロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックPP FY4,MFR(230℃、2.16kg荷重):5g/10分間、融点:165℃)70質量部、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名:ノバテックHD HJ360、MFR(190℃、2.16kg荷重):5g/10分間、融点:131℃)10質量部、および重質炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、商品名:ソフトン1800,平均粒子径:1.2μm)20質量部からなる熱可塑性樹脂組成物bを、それぞれ230℃に設定した3台の押出機にて溶融混練した後、260℃に設定した押出ダイに供給し、ダイ内でb/a/bとなるように積層してシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートを140℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向(MD)に5倍延伸した。次いで、この5倍延伸シートを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約155℃に加熱して横方向(TD)に8倍延伸した後、更に165℃まで加熱して熱処理を行った。
次いでこの2軸延伸フィルムを60℃まで冷却し、耳部をスリットした後、この両面にコロナ放電による表面処理を施して、第1の樹脂フィルム層を得た。
以後、この第1の樹脂フィルム層をそのまま第1のシート部材として用いた。
【0033】
[第2のシート部材の製造]
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製、商品名:ダイヤホイル O300、厚み:100μm)を第2の樹脂フィルム層とした。
この片面に、導電性塗料(大日静化工業(株)製、商品名:ネオコンコート 565DR2)を乾燥後の固形分量が2g/m2となるように塗工して導電層を設けて、これを第2のシート部材として用いた。
【0034】
[積層体の製造]
特開2012−145935号公報の図8に概略図を示す製造装置(即ち、本願添付の図8に示す製造装置)を用い、上記方法で得られた第1のシート部材をロールより巻きだし、第1のシート部材の片面に、直流式のコロナ放電による電荷注入処理を実施した。電荷注入処理の条件として、ワイヤー状電極と対電極ロールの距離を1cmに設定し、12kV放電電圧を用いた。別に、上記方法で得られた第2のシート部材をロールより巻きだし、前記の電荷注入処理を施した第1のシート部材の一方の面と第2のシート部材の第2の樹脂フィルム側の面が接するよう重ね合せ、両者を圧着ロールで加圧接着し、第1のシート部材と第2のシート部材との積層体を得た。
【0035】
(実施例1)
[貫通するミシン目を備える静電吸着シートの作成]
上記の製造工程で得た積層体をA2(420mm×594mm)サイズのシートに断裁した。
次いでUVオフセット印刷機を用いて同シートの両面に印刷を施した。
次いでこれに打抜機(ハイデルベルグ社(株)製、形式:SP Evoline102−E)およびミシン刃((株)ナカヤマ製)を用いてミシン目を施した。ミシン目は図2の「静電吸着シートの俯瞰図」に示すように、シートの短辺および長辺に平行となる2本の直線状のミシン目がシート面の中央で交差するように施して、実施例1の静電吸着シートを得た。各ミシン目は何れもシートの厚さ方向に貫通するように施し(図1参照)、何れもシート端部からもう一方のシート端部まで延長するように施し、何れも2mmカットの1mm残しのパターンとなるように施した。
【0036】
(比較例1)
[ミシン目を備えない静電吸着シートの作成]
上記の製造工程で得た積層体をA2(420mm×594mm)サイズのシートに断裁し、ミシン目を設けずにそのまま比較例1の静電吸着シートとした。
【0037】
(実施例2)
[表示物の作成]
上記の実施例1で得た静電吸着シートを、手でミシン目に合せて十字四つ折りの形状に折りたたんだ。この場合、長辺に平行な折り線をX方向折り線とし、短辺に平行な折り線をY方向折り線とした。次いでこれを2枚のSUS板に挟み込み、上から10kgの重しを乗せ24時間室温下で静置して折り跡を施した。
次いでこの静電吸着シートを再度展開し、第1のシート部材と第2のシート部材とに分離した後、直ちに両シート部材をその静電気によって被着体である金属製キャビネットに貼着して表示物を得た。
【0038】
(比較例2)
上記の比較例1で得た静電吸着シートを、手で実施例2と同じように十字四つ折りの形状に折りたたんだ。次いでこれを2枚のSUS板に挟み込み、上から10kgの重しを乗せ24時間室温下で静置して折り跡を施した。
次いでこの静電吸着シートを再度展開し、第1のシート部材と第2のシート部材とに分離した後、直ちに両シート部材をその静電気によって被着体である金属製キャビネットに貼着して表示物を得た。
【0039】
(実施例3)
[半貫通するミシン目を備える静電吸着シートおよび表示物の作成]
上記の実施例1において、前記ミシン刃をNC刃((株)ナカヤマ製)に変更し、連続する半貫通の切れ込みを施してこれをミシン目とした以外は実施例1と同様にして2本のミシン目を備える静電吸着シートを作成した。
各ミシン目は図2の断面図に示すように第1のシート部材の厚さの8割の深さの連続する切れ込みとした。次にこの静電吸着シートを、手でミシン目に合せて十字四つ折りの形状に折りたたんだ。この場合、長辺に平行な折り線をX方向折り線とし、短辺に平行な折り線をY方向折り線とした。次いで、これを2枚のSUS板に挟み込み、上から10kgの重しを乗せ24時間室温下で静置して折り跡を施した。 次いでこの静電吸着シートを再度展開し、第1のシート部材と第2のシート部材とに分離した後、直ちに第1のシート部材のみをその静電気によって被着体である金属製キャビネットに貼着して表示物を得た。
【0040】
(実施例4)
[複数の折り線を有する静電吸着シートおよび表示物の作成]
実施例1の静電吸着シートにおいて、シートの長辺に平行となる4本の直線状のミシン目と、シートの短辺に略平行となる7本のジグザグ線状のミシン目とを設けた。次いで、ジグザグ線状のミシン目に合せて外八つ折りとなるように手で折りたたみ、その後直線状のミシン目に合せて外五つ折りとなるように手で折りたたんだ。この場合、長辺に平行な折り線をX方向折り線とし、短辺に平行な折り線をY方向折り線とした。次いでこれを2枚のSUS板に挟み込み、上から10kgの重しを乗せ24時間室温下で静置して折り跡を施した。
次いでこの静電吸着シートを再度展開し、第1のシート部材と第2のシート部材とに分離した後、両シート部材をその静電気によって被着体である金属製キャビネットに直ちに貼着して表示物を得た。
【0041】
(実施例5)
[ミシン目に沿って切り分けた表示物の作成]
上記の実施例1で得た静電吸着シートを、手でミシン目に合せて十字四つ折りの形状に折りたたんだ。この場合、長辺に平行な折り線をX方向折り線とし、短辺に平行な折り線をY方向折り線とした。次いでこれを2枚のSUS板に挟み込み、上から10kgの重しを乗せ24時間室温下で静置して折り跡を施した。
次いでこの静電吸着シートを展開し、鋏を用いてY方向のミシン目に沿って2つのシートに切り分けした。次いで切り分けたそれぞれの静電吸着シートを第1のシート部材と第2のシート部材とに分離し、両シート部材をその静電気によって被着体である金属製キャビネットに直ちに貼着して表示物を得た。
【0042】
(評価例)
[ミシン目の効果]
実施例2〜5および比較例2の表示物において、折り目の浮き上がりの評価を行った。
半年経過後の実施例2〜5の表示物は、折り跡周辺において最も高いところで被着体から3mm程度の浮き上がりが発生していたものの、静電吸着シートのほぼ全面が金属製キャビネットに貼着しており、外観は良好であった。
一方、半年経過後の比較例2の表示物は折り跡周辺が被着体から95mm程度の浮き上がりが発生し、貼着面積の凡そ4割は完全に被着体から剥離した状態であり、外観は不良であった。
そのため静電吸着シートに施したミシン目は、折り癖に起因する被着体からの浮き上がりを抑制する効果を有することが分かり、静電吸着シートが折りたたまれた時に発生する抗力(曲げ弾性率)を大幅に低減している事が確認された。
【0043】
1 第1のシート部材
11 第1の樹脂フィルム層
1A 第1のシート部材の静電吸着面
1B 第1のシート部材の非帯電面(印刷可能面)
1a 第1のシート部材の印刷
100 静電吸着シート
2 第2のシート部材
21 第2の樹脂フィルム層
2A 第2のシート部材の静電吸着面
2B 第2のシート部材の非帯電面(印刷可能面)
2b 第2のシート部材の印刷
3 折り線
4、14、24 ミシン目
4A 貫通孔
4B半貫通孔
5 切り取り手段
6 被着体
200 表示物
41 第1のシート部材
42 第2のシート部材
43 積層体
44 直流高圧電源
45 ワイヤー状電極
46 対電極ロール
47 ガイドロール(グランド接続)
48 圧着ロール
49 圧着ロール

(57)【要約】

【課題】寸法の大きな静電吸着シートであってもコンパクトに折りたたむことができ、展開し被着体へ貼り付ける時には折りたたみ部が折り癖により浮き上がることなく、長期間安定した貼着状態を維持することができる静電吸着シートを提供する。【解決手段】第1のシート部材1が第1の樹脂フィルム層を含み、第2のシート部材2が第2の樹脂フィルム層を含み、第1のシート部材と第2のシート部材のそれぞれ一方の面が互いに接する様、静電気によって積層した静電吸着シート100であって、第1のシート部材および第2のシート部材の少なくとも一方に折りたたみ時の曲げ弾性力を低減させる1つ以上のミシン目4を有する。


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