(54)【考案の名称】気化放熱型温泉水冷却システム

(73)【実用新案権者】株式会社 ユーネット

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
この考案は気化放熱型温泉水冷却システム、詳しくは高温の温泉水(源泉水)から気化熱を奪うとともに大気との熱交換を行うことで冷却する気化放熱型温泉水冷却システムに関する。

【従来の技術】

【0002】
火山性温泉では、一般的に入浴適温より高い水温の源泉水を湧出する。そのため、湧出した源泉水に加水して薄めるか、源泉水を溜め置きして放熱させるか、冷却水(地下水や水道水など)との熱交換を行うことで、適温とし、これを入浴に用いていた。
しかしながら、水で薄める場合には源泉水の有効成分(温泉成分)が希釈され、この温泉成分による効能が低下する。また、溜め置きの場合には入浴適温にまで冷却するには長時間を要し、非能率的である。さらに、熱交換の場合には、冷却水が必要で冷却のためのランニングコストが高騰していた。
【0003】
そこで、これらの不具合を解消する従来技術として、例えば特許文献1の「温泉水冷却装置」が知られている。特許文献1に記載の装置は、気化放熱型の冷却装置であって、竹や木などの植物の枝部分を、その長さ方向が水平面を基準にして傾斜した状態で並べた枝条架を備えている。この装置では、入浴適温より高温の源泉水をこの枝条架の上へ散布し、源泉水が枝条架を伝い落ちる際に気化や放熱の作用によって冷やされ、この冷やされた源泉水を貯湯槽に溜め置いて入浴に使用する。装置運転時には、温泉水散布手段により高温の源泉水を枝条架の上部に連続的に散布することによって、源泉水が枝部分を伝い落ち、その後、枝の先端部から分散して滴下する。その結果、源泉水から気化熱が奪われるとともに、大気との間で熱交換されることで源泉水が冷やされる。
【0004】

【効果】

【0020】
請求項1に記載の考案によれば、気化放熱型温泉水冷却装置を使用し、入浴適温より高温の源泉水を気化および放熱の作用により冷却して冷やされた温泉水とし、その後、大気から遮断された減温温泉水混入路を通って上記温泉水が源泉水給湯路の途中部分に引き込まれる。これにより、この温泉水は源泉水給湯路の中で源泉水と混ざり合い、熱交換によって源泉水が冷却される。
このとき、源泉水給湯路および減温温泉水混入路は大気から遮断されていることから、源泉水は浴槽に到達するまで空気中の酸素と接触せず、その酸化還元電位は湯口から湧出した当初の値とさほど変わらない。一方、冷やされた温泉水も減温温泉水混入路に流入後は、源泉水給湯路の途中部分を経て浴槽に投入されるまでは空気と接触しない。そのため、この温泉水の酸化還元電位は、冷やされた温泉水が減温温泉水混入路に流入した直後の値と略同じである。
以上のことから、空気と接触するのは浴槽に引き込まれる温泉水の一部のみであるため、酸化還元電位の上昇は限定的なものとなる。その結果、浴槽に引き込まれる温泉水の全量を、気化放熱型温泉水冷却装置からの温泉水とした従来の場合に比べて、浴槽の中の冷やされた温泉水を混入した源泉水(適温源泉水)の酸化還元電位を低下させることができる。これにより、新鮮な温泉水(源泉水)が有している還元力が入浴者の皮膚に作用し、老化を防止するというアンチエージングの効果を期待することができる。
【0021】
請求項2に記載の考案によれば、源泉水給湯路の下流部または浴槽の源泉水引き湯部分において、酸化還元電位計を使用し、冷やされた温泉水を混入した源泉水の酸化還元電位を計測する。その計測信号は制御手段に送信され、この温泉水を混入した源泉水の酸化還元電位値が得られる。
この値が、あらかじめ記憶部に登録された酸化還元電位の上限値を超えていれば、制御手段の指令に基づき、温泉水散布手段から枝条架に散布される源泉水の量を増加させるとともに、一対の自動切替え弁が、減温温泉水冷却用バイパス路にこの温泉水が流入する側へ切り替えられる。これにより、枝条架からの源泉水の落下速度が高まって、空気と源泉水との接触時間が短くなる一方、減温温泉水混入路を流れる温泉水が減温温泉水冷却用バイパス路に流入し、このバイパス路を通過して再び減温温泉水混入路に戻るまでの間に減温温泉水の熱が放熱される。そのため、枝条架に散布される源泉水の量を増やして高温化した減温温泉水を、冷却することができる。
その結果、何らかの原因で減温温泉水を混入した源泉水の酸化還元電位が高まっても、その源泉水の温度を高めることなく、自動的にその酸化還元電位を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この考案の実施例1に係る気化放熱型温泉水冷却システムの全体構成図である。
【図2】この考案の実施例1に係る気化放熱型温泉水冷却システムの構成体の一部である気化放熱型温泉水冷却装置の斜視図である。
【図3】この考案の実施例2に係る気化放熱型温泉水冷却システムの全体構成図である。
【図4】この考案の実施例2に係る気化放熱型温泉水冷却システムの制御手段のブロック図である。

【0023】
以下、この考案の実施例を具体的に説明する。
【0024】
図1において、10はこの考案の実施例1に係る気化放熱型温泉水冷却システム(以下、温泉水冷却システム)で、この温泉水冷却システム10は、入浴適温より高温(100℃)のかけ流しの源泉水を気化および放熱の作用により冷却して36℃の減温温泉水(冷やされた温泉水)とする気化放熱型温泉水冷却装置(以下、冷却装置)11と、地上の湧出口から湧出した源泉水を、大気から遮断した状態で浴槽12に引き湯する長尺な源泉水給湯管(源泉水給湯路)13と、源泉水給湯管13の中間部分(途中部分)と冷却装置11の湯出口14とを連通し、かつ湯出口14から排出された減温温泉水を、大気との遮断状態で源泉水給湯管13に引き込む減温温泉水混入管(減温温泉水混入路)15とを備えている。
【0025】
以下、これらの構成体を具体的に説明する。
図2に示すように、冷却装置11は、多数の竹枝16aを、その長さ方向が水平面を基準にして傾斜した状態で横一列に並べた前後3対の枝条16を、縦長な門形の架台17に同一間隔で3段配置した枝条架18と、入浴適温より高温の源泉水を最上段の枝条16の上へと散布する温泉水散布手段19と、枝条架18の直下に配置され、かつ源泉水が枝条架18を伝い落ちながら気化や放熱の作用によって冷やされた減温温泉水を貯留する減温貯湯槽20とを備えている。
【0026】
枝条16は、多数の竹枝16aの上端部が横長な木棒21の全長にわたって、家屋の軒のように傾斜した状態で固定されたものである。各段の枝条16は、同一高さに配置された前後一対のものが、架台17の左右両側の支柱22の間に横架される。そのため、各段に対配置された枝条16は、側面視すればハの字となる。各段において、木棒21間の距離は下段のものほど徐々に大きくなっている。
架台17は、左右一対の支柱22と、両支柱22の上端を連結する上枠材23とを有している。
温泉水散布手段19は、源泉水を枝条架18の上方まで揚水する揚水管24と、揚水管24に設けられた揚水ポンプ25と、枝条架18の上枠材23の上面に固定されて、最上段の枝条16に対して温泉水を均一に散布する樋26とを有している。樋26の前後の上縁には、その全長にわたって源泉水を均一な流量で流下する多数の筋溝27が所定ピッチで形成されている。
【0027】
図1および図2に示すように、減温貯湯槽20は、枝条架18から流れ落ちた冷温温泉水を受ける平面視して矩形状の浅い容器である。架台17の両支柱22の下端部が、減温貯湯槽20の底板20aの前後方向の中間部に固定されている。減温貯湯槽20の周側板20bの下端部には湯出口14が形成されている。
源泉水給湯管13と減温温泉水混入管15とは金属からなり、源泉水給湯管13の下流部には、浴槽12への給湯量を調整する手動式の給湯量調整弁28が設けられている。また、減温温泉水混入管15の源泉水給湯管13との連通部分には、手動式の流量調整弁29が設けられている。流量調整弁29の開度を変更することで、浴槽12の中の源泉水の温度を調整することができる。
【0028】
次に、図1および図2を参照して、この考案の実施例1に係る温泉水冷却システム10の運転方法を説明する。
図1に示すように、揚水ポンプ25を駆動し、揚水管24を通して高温の源泉水を枝条架18の上部に配置された樋26に連続的に揚水する。これにより、樋26の上縁からあふれた高温の源泉水は、各筋溝27を介して、樋26の全長にわたり均一な流量で、最上段の前後一対の枝条16の上部に連続的に散布される。その後、高温の源泉水は、各段に配置された前後一対の枝条16の竹枝を伝い落ち、竹枝16aの先端部から分散して滴下する。その結果、表面積が大きくなった高温の源泉水から気化熱が奪われるとともに、大気と熱交換されることで源泉水が冷やされる。
【0029】
得られた減温温泉水は減温貯湯槽20に溜まり、その後、湯出口14から減温温泉水混入管15を通って源泉水給湯管13の中間部分に引き込まれることで、源泉水給湯管13の中で高温の源泉水と混ざり合う。その結果、高温の源泉水と減温温泉水との間で熱交換が行われ、源泉水が冷やされる。
このとき、源泉水給湯管13および減温温泉水混入管15が大気から遮断されているため、源泉水は浴槽12に到達するまで大気中の酸素と接触せず、その酸化還元電位は湧出口から湧出した当初の源泉水の値とさほど変わらない。一方、減温温泉水も減温温泉水混入管15に流入後は、源泉水給湯管13の途中部分を経て浴槽12に投入されるまで空気と接触しない。その結果、減温温泉水の酸化還元電位は、減温温泉水が減温温泉水混入管15に流入した直後の値と略同一となる。
以上のことから、浴槽12に引き込まれる温泉水の全量を気化放熱型温泉水冷却装置11からの減温温泉水とした従来装置の場合に比べて、浴槽12の中の減温温泉水を混入した源泉水(適温源泉水)の酸化還元電位を低下させることができる。これにより、この源泉水に入浴することで、新鮮な温泉水(源泉水)が有する還元力が入浴者の皮膚に作用し、老化を防ぐというアンチエージングの効果が期待される。
その後、減温温泉水が混入された源泉水は、源泉水給湯管13の下流部を通って、浴槽12に給湯される。その給湯量は、給湯量調整弁28の開度を変更することで調整することができる。
【0030】
次に、図3および図4を参照して、この考案の実施例2に係る気化放型温泉水冷却システムを説明する。
図3に示す温泉水冷却システム10Aは、減温温泉水混入管15の中間部(途中部分)に、大気から遮断され、かつ減温温泉水混入管15を流れる減温温泉水を路外に引き出して冷却後、再び路内に戻す減温温泉水冷却用バイパス管(減温温泉水冷却用バイパス路)30の両端を、減温温泉水混入管15の長さ方向に離間して連通し、源泉水給湯管13のうち、減温温泉水冷却用バイパス管30の各端との連通部分に、一対の電動切替え弁(自動切替え弁)31,31Aを配設し、源泉水給湯管13の下流部に、減温温泉水を混入した源泉水の酸化還元電位を計測する酸化還元電位計32を設け、酸化還元電位計32からの計測信号に基づき得られた計測値が、あらかじめ記憶部33(図4)に登録されている減温温泉水を混入した源泉水の酸化還元電位の上限値を超えた時、揚水ポンプ25に対して枝条架18に散布される源泉水の量を増やす指令を送信するとともに、一対の電動切替え弁31,31Aに対して、減温温泉水が減温温泉水冷却用バイパス管30に流入する側へ切り替える指令を送信する制御手段34を有した点を特徴とする。
【0031】
以下、これらの構成体を具体的に説明する。
減温温泉水冷却用バイパス管30は金属管で、減温温泉水混入管15の約2倍の長さを有し、減温温泉水冷却用バイパス管30を減温温泉水が通過するあいだに、放熱により減温温泉水が冷却されるように構成している。この減温温泉水冷却用バイパス管30には、その全長にわたって多数の冷却フィンを配設してもよい。減温温泉水冷却用バイパス管30の上流端は、減温温泉水混入管15の中間部に連通され、減温温泉水冷却用バイパス管30の下流端は、減温温泉水混入管15の中間部のうち、上流端の連通部分より下流に連通されている。
酸化還元電位計32は、源泉水給湯管13の下流側の開口付近に取り付けられている。その電極には銀・塩化銀電極が採用されている。
【0032】
図4のブロック図に示すように、制御手段34は、演算制御装置35と、記憶部(RAM)33とを有している。記憶部33には、減温温泉水を混入した源泉水の酸化還元電位の上限値が登録されている。また、演算制御装置35の入力ポートには、記憶部33、酸化還元電位計32が接続されている。演算制御装置35の出力ポートには、揚水ポンプ25および電動切替え弁31,31Aが接続されている。
【0033】
次に、図3および図4を参照して、この考案の実施例2に係る温泉水冷却システム10Aの運転方法を説明する。
図3に示すように、源泉水給湯管13の下流部において、減温温泉水を混入した源泉水の酸化還元電位を酸化還元電位計32により計測する。その計測信号は制御手段34の演算制御装置35に送信され、減温温泉水を混入した源泉水の酸化還元電位値が求められる。この値が、記憶部33に登録された酸化還元電位の上限値を超えていれば、演算制御装置35の指令に基づき、揚水ポンプ25の出力が高まり、樋26から枝条架18の上に散布される源泉水の量が増やされる。
これと同時に、一対の電動切替え弁31,31Aが、減温温泉水冷却用バイパス管30に減温温泉水を流入する側へ切り替えられる。これにより、枝条架18からの源泉水の落下速度が高まって空気と源泉水との接触時間が短くなり、減温温泉水の酸化還元電位の上昇を抑えることができる。さらには、減温温泉水混入管15を流れる減温温泉水が減温温泉水冷却用バイパス管30に流入し、この減温温泉水冷却用バイパス管30を通過して再び減温温泉水が減温温泉水混入管15に戻るまでの間に放熱される。そのため、枝条架18の上に散布される源泉水の量を増やすことで高温化した減温温泉水を冷却することができる。
【0034】
その結果、何らかの原因によって浴槽12内の減温温泉水を混入した源泉水の酸化還元電位が高まっても、源泉水の温度を高めることなく、自動的にそれの酸化還元電位を低下させることができる。
その後、酸化還元電位値の値が上記酸化還元電位の上限値以下となった場合には、制御手段34の指令に基づき、揚水ポンプ25の出力が通常値に戻り、樋26から枝条架18の上に散布される源泉水の量が通常量となる。これと同時に、一対の電動切替え弁31,31Aが、減温温泉水冷却用バイパス管30を閉じる側へ切り替えられる。
【0035】
ここで、表1を参照して、本考案の実施例1の気化放型温泉水冷却システムを運転して減温温泉水を混入した源泉水を浴槽に引き湯した場合の酸化還元電位と、従来装置による減温温泉水のみを浴槽に引き湯した場合の酸化還元電位とを対比する実験について報告する。実験は、それぞれ4回ずつ行いその平均値を求めた。
源泉水のpHは何れの場合もpH3.5〜3.8で、酸化還元電位計32の電極には銀・塩化銀電極で測定し、表中の数値はこれを標準水素電極による測定値に換算した値である。表1中には、参考として、湧出口温度が100℃の源泉水のみを浴槽12に引き湯した場合の酸化還元電位を記載する。
表1から明らかなように、本考案の場合(平均値584mV)の方が、従来装置の場合(平均値640mV)に比べて酸化還元電位は低い値で維持されており、本考案を実施した効果が確認された。
【0036】
【表1】[fig000003]


【0037】
本考案の気化放型温泉水冷却システムは、従来の気化放熱型温泉水冷却装置において課題であった温泉水の新鮮さ、すなわち酸化還元電位を低いまま維持することを可能にしたものである。本考案の温泉水冷却システムは、古来より知られる温泉水の効能の根拠である成分濃度を維持しつつ、近年、温泉水の効能の根拠として指摘されはじめた還元力をさほど損なわず、この上質な温泉水を適温で提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この考案の気化放熱型温泉水冷却システムは、高温かつ大量の温泉水が湧出する火山性温泉水の入浴施設に対する技術として有用である。
【0039】
10 気化放熱型温泉水冷却システム、
11 気化放熱型温泉水冷却装置(冷却装置)、
12 浴槽、
13 源泉水給湯管(源泉水給湯路)、
14 湯出口、
15 減温温泉水混入管(減温温泉水混入路)、
18 枝条架、
19 温泉水散布手段、
20 減温貯湯槽、
30 減温温泉水冷却用バイパス管(減温温泉水冷却用バイパス路)、
31,31A 電動切替え弁(自動切替え弁)、
32 酸化還元電位計、
33 記憶部、
34 制御手段。

(57)【要約】

【課題】気化放熱方式でありながら、従来の気化放熱型温泉水冷却装置に比べて、温泉水の酸化還元電位の低下を図ることができる気化放熱型温泉水冷却システムを提供する。【解決手段】この気化放熱型温泉水冷却システム10は、入浴適温より高温の源泉水を気化および放熱の作用により冷却して減温温泉水とする気化放熱型温泉水冷却装置11と、湧出した源泉水を大気から遮断した状態で浴槽12に引き湯する源泉水給湯路13と、該源泉水給湯路13の途中部分と上記気化放熱型温泉水冷却装置11の湯出口とを連通し、かつ該湯出口から排出された減温温泉水を、大気との遮断状態で上記源泉水給湯路13に引き込む減温温泉水混入路15とを備える。


【パテントレビュー】

あなたの意見を伝えましょう:


【インターネット特許番号リンク】

インターネット上にあるこの特許番号にリンクします(発見しだい自動作成):