(54)【考案の名称】表面検査装置

(73)【実用新案権者】バイスリープロジェクツ株式会社

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図3

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、表面検査装置に関する。

【従来の技術】

【0002】
従来、メッキ品や塗装品などの被検査体表面の凹凸や傷などの欠陥を検査する方法として、図9に示すように、所定の方向に明部と暗部とが交互に繰り返されるスリットパターンを利用した光源を用いて、そのスリットパターンを被検査体の表面に照射し、被検査体の表面に映るスリットパターンを撮影し、撮影された画像における光の反射量の差に基づいて、被検査体の表面の欠陥を検出する方法が広く利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、この方法では、撮影された画像中に明部と暗部とが混在するため、欠陥の判定が難しいという問題があった。また、被検査体の表面が曲線のときには、被検査体の表面に投影されたスリットパターンが歪んでしまうため、欠陥を検出するのが難しいという問題もあった。また、被検査体の表面が平滑でなく、いわゆるゆず肌などの粗い面のときには、微小欠陥がその粗さの中に埋もれてしまうため、微小欠陥を検出するのが難しいという問題もあった。
【0004】
そこで、これらの問題を解決するために、スリットパターンを明暗が変化する方向に1周期分移動させ、その移動中に等位相間隔で、被検査体の表面に映るスリットパターンを8枚撮影し、同一位置での各画素について、撮影された8枚の画像の輝度の最大値と最小値とを求め、各画素の最大値を集めた最大値画像と、最小値を集めた最小値画像との差分画像を用いることにより、被検査体の表面の欠陥を強調して検出する方法が開発されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】

【効果】

【0018】
本考案によれば、被検査体表面の欠陥の方向性によらず、欠陥の検出精度を高めることができる表面検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本考案に係る表面検査装置の、欠陥検出の効果を示す説明図である。
【図2】本考案の実施の形態の表面検査装置を示す側面図である。
【図3】本考案の実施の形態の表面検査装置の、欠陥を検出する原理を示す説明図である。
【図4】図1に示す表面検査装置の(a)明部と暗部とがジグザグ状を成す照射パターン、(b)明部と暗部とが波状を成す照射パターンを示す正面図である。
【図5】本考案の実施の形態の表面検査装置において、照射パターンを1周期分移動させたときの、被検査体の表面の欠陥(異常)位置および正常位置での輝度の変化を示すグラフである。
【図6】本考案の実施の形態の表面検査装置において、照射パターンを1周期分移動させたときの、表面状態が異なる被検査体の所定の表面位置での輝度の変化を示すグラフである。
【図7】(a)被検査体の表面の、明瞭な境界形状を有する欠陥の断面図、(b)被検査体の表面の、緩やかな境界形状を有する欠陥の断面図、(c)本考案の実施の形態の表面検査装置の、エッジ抽出処理で使用するソーベルフィルタの成分、(d)照射パターンを1周期分移動させたときの、被検査体の表面の欠陥(異常)位置および正常位置でのエッジ抽出処理後の輝度の変化を示すグラフである。
【図8】(a)従来の表面検査方法、(b)本考案の実施の形態の表面検査装置での、動作指示、照射パターンのシフトおよび撮影の動作タイミングを示すタイミング図である。
【図9】従来の表面検査装置の検査原理を示す側面図である。
【図10】従来の表面検査方法の、欠陥検出の効果を示す説明図である。

【0020】
以下、図面に基づき、本考案の実施の形態について説明する。
図2乃至図8は、本考案の実施の形態の表面検査装置を示している。
図2に示すように、表面検査装置10は、支持台11と搬送手段12と照明手段13と撮影手段14と移動取付手段15と検出手段16と表示手段17と制御手段18とを有している。
【0021】
支持台11は、矩形枠状を成し、上下2段の棚状に形成されている。支持台11は、下部に移動用の車輪11aを有し、移動可能になっている。搬送手段12は、ベルトコンベアから成り、支持台11の上段に設けられている。搬送手段12は、被検査体1を載せて、支持台11の長さ方向に沿って搬送可能に構成されている。
【0022】
図2および図3に示すように、照明手段13は、光源21と照射パターン22と移動手段(図示せず)とを有している。照射パターン22は、薄いシート状を成し、光源21の照射方向の前方に、光源21からの光を表面に垂直に受けるよう配置されている。照射パターン22は、表面の全ての方向に対して、光を通す明部と光を遮る暗部とが周期的に交互に現れるよう形成されている。照射パターン22は、例えば、図4(a)に示す明部と暗部とがジグザグ状を成すものや、図4(b)に示す波状を成すもの、鋸歯状を成すもの、矩形状を成すものなどから成っている。特に、照射パターン22は、明部と暗部との境界が、移動方向に対して斜交するよう形成されていることが好ましく、さらにその境界が曲線状を成していることが好ましい。
【0023】
移動手段は、照射パターン22を、その表面に沿った所定の方向に移動させるよう構成されている。移動手段は、照射パターン22の移動方向に沿って、明部と暗部の変化の1周期分を移動させるよう構成されている。移動手段は、その1周期の内で、照射パターン22を等位相間隔で断続的に移動(位相シフト)させるよう構成されている。なお、照射手段13は、光源21が、例えば液晶ディスプレイ(LCD)や有機EL素子などの面状に光を発するものから成り、その発光面に照射パターン22を写すとともに、発光面に写された照射パターン22を電気的に移動させるよう構成されていてもよい。
【0024】
図2および図3に示すように、撮影手段14は、デジタルカメラから成っている。撮影手段14は、移動手段による照射パターン22の位相シフトに同期させて、照射パターン22が停止するたびに撮影を行うようになっている。
【0025】
移動取付手段15は、照明手段13および撮影手段14を、支持台11の上段の上部の梁から吊り下げて取り付けるとともに、搬送手段12の幅方向、すなわち搬送方向に対して直交する水平方向に移動可能になっている。また、移動取付手段15は、照明手段13からの光の照射角度と、撮影手段14の撮影角度とを調整可能になっている。
【0026】
これにより、表面検査装置10は、搬送手段12で搬送される被検査体1の表面に、照明手段13により照射パターン22を照射して写すとともに、その照射パターン22を被検査体1の表面に沿って所定の方向に移動可能になっている。また、表面検査装置10は、照射パターン22の移動に合わせて、被検査体1の表面の同じ範囲に映る照射パターン22を、撮影手段14により撮影可能になっている。
【0027】
検出手段16は、コンピュータから成り、支持台11の下段に設置されている。検出手段16は、撮影手段14が接続され、撮影手段14により撮影された画像を取得し、その画像に基づいて、被検査体1の表面の欠陥を検出するよう構成されている。また、検出手段16は、撮影手段14で撮影された各画像に対してエッジ抽出処理を実施可能になっている。検出手段16は、エッジ抽出処理後の各画像、または撮影手段14で撮影された各画像を用いて、撮影手段14で撮影された被検査体1の表面の各位置における、照射パターン22が1周期分移動した時の画像の輝度の変化に基づいて、被検査体1の表面の欠陥を検出するようになっている。
【0028】
表示手段17は、モニタから成り、支持台11の上段に設置されている。表示手段17は、検出手段16に接続されており、撮影手段14により撮影された画像や、撮影前の画像、検出された欠陥の位置を示す画像などを表示可能になっている。
【0029】
制御手段18は、コンピュータから成り、支持台11の下段に設置され、搬送手段12と照明手段13と撮影手段14と移動取付手段15とに接続されている。制御手段18は、被検査体1の搬送速度、照明手段13や撮影手段14の位置、照明手段13からの光の照射角度、移動手段による照射パターン22の位相シフト量および移動速度、撮影手段14の撮影角度および撮影タイミングなどを制御可能になっている。また、制御手段18は、照射パターン22の移動完了情報や撮影手段14の撮影完了情報を受け取ることにより、移動手段による照射パターン22の移動のタイミングと、撮影手段14による撮影タイミングとを同期するようになっている。
【0030】
表面検査装置10は、表示手段17に映された撮影前の画像を見ながら、被検査体1の所望の位置に照明手段13で照射パターン22を写し、それを撮影手段14で撮影するよう、制御手段18により、照明手段13および撮影手段14の位置や角度を調整可能になっている。
【0031】
表面検査装置10は、以下の原理に基づいて、欠陥を検出することができる。すなわち、まず、図3(a)に示すように、照明手段13により照射パターン22を被検査体1の表面に照射し、被検査体1の表面に映る照射パターン22を、撮影手段14により撮影する。このとき、欠陥部分で光の反射量が変わるため、欠陥部分が強調される。次に、照射パターン22を被検査体1の表面に沿って1周期分、所定の方向に等位相間隔で位相シフトさせながら、図3(b)に示すように、その位相シフトに同期させて撮影手段14により照射パターン22を撮影する。
【0032】
1周期で複数枚(N枚)撮影された画像について、図3(c)に示すように、被検査体1の表面の各位置で、1周期分の輝度の最大値と最小値とを求める。さらに、被検査体1の表面の各位置での最大値を集めた最大値画像(MAX画像)と、最小値を集めた最小値画像(MIN画像)とを求め、最大値画像と最小値画像との差分画像(SSMM画像)を求める。例えば、i枚目の画像の座標(x,y)の輝度をPxy(i)とすると、最大値画像Qxyを、Qxy=max Pxy(i)、最小値画像Rxyを、Rxy=min Pxy(i)で求める(ここで、i=1,2,3…,N)。また、差分画像Sxyを、Sxy=Qxy-Rxyで求める。こうして、撮影した複数の画像を、1枚の差分画像に合成する。この差分画像では、欠陥のみが強調されるため、欠陥を検出することができる。
【0033】
表面検査装置10は、このような原理に基づいて、差分画像を求めることにより、欠陥を検出することができる。また、差分画像を求めなくとも、同様の原理に基づいて、被検査体1の表面の各位置で、1周期分の画像の輝度の振幅を求め、撮影された被検査体1の表面の全ての位置についての輝度の振幅の分布に基づいて、被検査体1の表面の欠陥を検出することもできる。すなわち、図5に示すように、欠陥(異常)が存在する位置では、光の反射量が変わるため、1周期の間の画像の輝度の変化の振幅が、欠陥が無い正常な部分の振幅と比べて、小さくなる傾向が認められる。このため、被検査体1の表面の各位置で画像の輝度の振幅を求め、例えば、所定の振幅値(閾値)より小さい振幅を有する位置を欠陥とすることにより、欠陥を容易に検出することができる。
【0034】
本考案の実施の形態の表面検査装置10は、表面の全ての方向に対して周期的に明部と暗部とが交互に現れる照射パターン22を用いるため、被検査体1の表面に照射パターン22を映すことにより、被検査体1の表面の全ての方向に対して同時に明部と暗部とを作ることができる。このため、その照射パターン22を移動させることにより、被検査体1の表面の欠陥の全ての方向成分に対して、被検査体1の表面に映る照射パターン22の輝度の変化を、欠陥が無い部分と比べて異なるようにすることができる。
【0035】
このため、照射パターン22の移動方向に伸びる細い線傷であっても、その両端だけでなく中央部も強調することができ、線傷として検出することができる。また、線傷だけでなく、メッキ品や塗装品などの表面の凹凸や傷などの欠陥の検出精度も高めることができる。このように、本考案の実施の形態の表面検査装置10によれば、被検査体1の表面の欠陥の方向性によらず、欠陥の検出精度を高めることができる。具体的には、図3および図4(a)に示すジグザグ状の照射パターン22を使用したとき、非特許文献1のものと比べて、欠陥の検出精度が約2倍になることが確認されている。
【0036】
また、被検査体1の表面が曲面のときや、ゆず肌などの粗い面のときには、図6に示すように、照射パターン22を1周期分移動させる間、輝度の振幅は影響を受けず、輝度の変化の位相がシフトするだけである。このため、本考案の実施の形態の表面検査装置10によれば、被検査体1の表面が曲面であったり、ゆず肌などの粗い面であったりしても、被検査体1の表面の欠陥の検出には影響せず、欠陥を高精度で検出することができる。
【0037】
また、本考案の実施の形態の表面検査装置10は、撮影手段14で撮影された各画像をそのまま用いるのではなく、撮影された画像に対してエッジ抽出処理を行い、そのエッジ抽出処理後の画像を用いて、図3(c)および図5に示す原理に基づいた、差分画像や輝度の振幅変化から欠陥を検出することもできる。撮影された各画像をそのまま用いた場合、図7(a)に示す塗装やメッキを行った後に生じるような、明瞭な境界形状を有する欠陥については、高精度で検出することができる。しかし、図7(b)に示す塗装やメッキを行う前の工程で生じるヒケやウエルド等に起因するような、緩やかな境界形状を有する欠陥については、照射パターン22を1周期分移動させたときの画像の輝度の変化が、欠陥がない正常な部分の輝度の変化とほとんど変わらないため、検出するのが難しい。
【0038】
このため、緩やかな境界形状を有する欠陥を強調するために、撮影された画像に対してエッジ抽出処理を行った後の画像を用いて欠陥の検出を行う。例えば、図7(c)に示すソーベルフィルタを用いてエッジ抽出処理を行うと、欠陥の境界が強調されるため、図7(d)に示すように、照射パターン22を1周期分移動させたときの画像の輝度の変化の振幅が、欠陥がない正常な部分の輝度の変化の振幅より大きくなる。この振幅の大きさの違いを利用することにより、緩やかな境界形状を有する欠陥であっても、高精度で検出することができる。なお、エッジ抽出処理による輝度の変化は、被検査体1の表面がゆず肌などの粗い面であることによる輝度の変化とは、変化の周波数が異なっている。このため、エッジ抽出処理を利用した場合、被検査体1の表面がゆず肌などの粗い面であっても、その影響を受けることなく、高精度で欠陥を検出することができる。
【0039】
このように、本考案の実施の形態の表面検査装置10は、エッジ抽出処理を行う検出と、エッジ抽出処理を行わない検出とを並行して行うことにより、緩やかな境界形状を有する欠陥と、明瞭な境界形状を有する欠陥とを含むほとんど全ての欠陥を、高精度で検出することができる。エッジ抽出処理には、ソーベルフィルタの他にも、微分フィルタや2次微分フィルタなどを利用することができる。
【0040】
本考案の実施の形態の表面検査装置10は、移動手段による照射パターン22の移動と、撮影手段14による撮影タイミングとを互いに同期しているため、検査時間を短縮することができる。図8(a)に示すように、コンピュータ等により制御を行う従来の方法では、移動や撮影の完了を知らせるための完了情報が無かったため、移動や撮影が確実に完了するよう、移動や撮影のために時間の余裕(時間マージン)を取ってから、次の動作に移っていた。これに対し、図8(b)に示すように、本考案の実施の形態の表面検査装置10では、移動や撮影の完了情報を制御手段18にフィードバックさせることにより、移動と撮影とを同期させている。これにより、時間マージンが必要なくなるため、検査時間を短縮することができる。具体的には、図8(a)に示す従来の方法と比べて、5〜10倍の速さで検査可能であることが確認されている。なお、移動手段と撮影手段14とを、制御手段18を介すことなく直接、接続して同期させることにより、制御手段18からの指示が不要となり、検査時間をさらに短縮することができる。
【0041】
1 被検査体
10 表面検査装置
11 支持台
11a 車輪
12 搬送手段
13 照明手段
21 光源
22 照射パターン
14 撮影手段
15 移動取付手段
16 検出手段
17 表示手段
18 制御手段


(57)【要約】

【課題】被検査体表面の欠陥の方向性によらず、欠陥の検出精度を高めることができる表面検査装置を提供する。【解決手段】照明手段13が、照射方向に対して垂直な面内で、全ての方向に対して周期的に明部と暗部とが交互に現れる照射パターン22を、被検査体1の表面に照射するようになっている。移動手段が、被検査体1の表面に映る照射パターン22を、被検査体1の表面に沿って所定の方向に、明部と暗部の変化の1周期分移動させ、撮影手段14が、その1周期分の移動に合わせて、連続的または等位相間隔で、被検査体1の表面の同じ範囲に映る照射パターン22を撮影するようになっている。検出手段が、撮影された被検査体1の表面の各位置における、1周期分の画像の輝度の変化に基づいて、被検査体1の表面の欠陥を検出するようになっている。


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【インターネット特許番号リンク】

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