(54)【考案の名称】注射針

(73)【実用新案権者】株式会社日本シールボンド

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図2

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、注射針に関するさらに詳しくは、人体に麻酔薬等を注入するための金属製注射針に関する。

【従来の技術】

【0002】
従来から、皮下及び筋肉への刺入深度を確認するため、針の周囲に目盛を入れた注射針が提案されている。特許文献1には金属製注射針の表面にポリウレタン又はナイロンエラストマー等の熱可塑性樹脂からなる被覆樹脂を塗り、印刷により目盛を入れるか又は前記被覆樹脂を取り除き、目盛を入れ、目盛の上から透明樹脂を被覆することが開示されている。引用文献2には針の長さ方向に沿って中央部分24は太く、その両側は大きな段差を有して細くなっている注射針が提案されている(段落[0026])。本考案者は特許文献3により、金属製注射針の表面にレーザ光線を照射して黒色のマークを作成し、その表面から透明樹脂を被覆する提案をした。
【0003】
しかし、特許文献1は熱可塑性樹脂からなる被覆樹脂を使用しているため、金属針本体と被覆樹脂が剥離する懸念があった。特許文献2は針の長さ方向に沿って中央部分は太く、その両側は大きな段差を有して細くなっているため、人体への刺入時に痛みが伴うという重要な問題があった。特許文献3は金属製注射針の表面にレーザ光線を照射して黒色のマークを作成しているため、コストが高いという問題があった。
【0004】

【効果】

【0007】
本考案の金属製注射針は、被覆樹脂が電気絶縁性熱硬化性樹脂塗膜層であるため、金属針本体と被覆樹脂の接着一体性が良好である。また、白色に着色された電気絶縁性熱硬化性樹脂塗膜層と、その上に印刷された黒色の目盛層を含むことにより、鮮明な目盛マークが得られる。加えて、全体としても製造コストが安価な注射針を提供できる。
【0008】
また、金属製注射針の表面に電気絶縁性の熱硬化性樹脂塗膜層が形成されているため、電気絶縁性は良好なものとなり、注射針の先端部の金属面からパルス波電力を印加することができる。使用時においては、注射針の円筒部表面には所定間隔ごとに、かつ円周方向に目盛マークが付与されていることにより、まず目視で前記目盛マークの本数を数えながら大まかな位置まで針を人体に刺入し、次に注射針の先端部から人体に向けてパルス波電力を印加することにより、神経の位置を正確に探り当てることができる。前記マークは円周方向に付与されているので、医師は360°の方向からマークを目視できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は本考案の一実施例における注射針装置の模式的側面図である。
【図2】図2は同、注射針部分の模式的拡大側面図である。
【図3】図3は同、注射針部分の模式的拡大断面図である。
【図4】図4は本考案の別の実施例における注射針の模式的側面図である。
【図5】図5は同、注射針部分の模式的拡大断面図である。

【0010】
本考案の注射針(カニューレともいう)は、例えばステンレス製等の金属製管であり、長さが40mmの場合、外径0.51mm、内径0.26mmである。長さが70mmの場合、外径0.71mm、内径0.33mmである。長さが120〜170mmの場合、外径0.81mm、内径0.51mmである。この注射針の一方の先端には針部が形成されている。前記注射針の根元部の表面はパルス波電力を印加するための金属露出面となっている。
【0011】
注射針の人体に挿入する部分の表面には、白色に着色された電気絶縁性熱硬化性樹脂塗膜層をまず形成する。電気絶縁性熱硬化性樹脂塗膜層としては、例えばポリエステル樹脂を主成分とし、エポキシ樹脂を加えた熱硬化性塗料(サンエス潤滑社製、商品名“SR−50CR”)がある。この塗料を注射針の表面に吹き付け塗装し、乾燥し、130〜170℃で30〜90分間熱処理して焼き付ける。好ましい膜厚は20〜30μmである。熱硬化性塗料には白色顔料を添加することにより、電気絶縁性熱硬化性樹脂塗膜層を白色に着色できる。白色顔料としては酸化チタン等がある。
【0012】
電気絶縁性熱硬化性樹脂塗膜層の上には目盛層を印刷により形成する。印刷としてはインクジェットが好ましい。インクジェット印刷に用いるインクは室温硬化型、溶剤揮発型、又は加熱硬化型等を使用できるが、インク落ちを完全に防ぐためには加熱硬化型インクが好ましい。
【0013】
目盛層のインクに加える顔料として例えばカーボンブラック等の黒色顔料、黒色染料などの着色剤をインクの乾燥重量当たり10〜30重量%混合し、水又は溶媒を加えて粘度100〜10,000cpsに調整する。印刷後は乾燥し、100〜150℃で100〜200分間硬化させる。得られた目盛層の厚みは、固化又は硬化後の膜厚で1〜3μmが好ましい。この範囲であれば、目盛の断面は円弧状となり、段差は生じない。
【0014】
目盛層の上には透明な電気絶縁性上塗り層を形成してもよい。上塗り層は、前記目盛層の段差を埋める。上塗り層は前記電気絶縁性熱硬化性樹脂塗膜層と同様の樹脂を使用できる。例えばポリエステル樹脂を主成分とし、エポキシ樹脂を加えた熱硬化性塗料(サンエス潤滑社製、商品名“SR−50CR”)がある。この塗料を注射針の表面に吹き付け塗装し、乾燥し、130〜170℃で30〜90分間熱処理して焼き付ける。上塗り層は硬化後の膜厚で5〜50μmが好ましい。この範囲であれば、全体の厚さを薄くでき、かつ目盛層の段差を埋めて平滑にするのに十分である。上塗り層は目盛マークを鮮明にするために透明樹脂を使用するのが好ましい。
【0015】
このようにして得られた注射針の先端部を刃付けし、先端の金属面からパルス波電力を印加することが可能なようにする。これにより、まず目視で前記マークの本数を数えながら大まかな位置まで針を人体に刺入し、刺入と同時又は刺入後に、注射針の先端部から人体に向けてパルス波電力を印加することにより、神経の位置を正確に探り当て、微調整しながら刺入し、位置が決定できたら麻酔薬を注入する。
【0016】
以下図面を用いて説明する。以下の説明において、同一符号は同一物又は同一部品を示す。図1は本考案の一実施例における注射針装置の模式的側面図である。この注射針装置10は、ステンレス金属製注射針部分1と、その根元部に固定されているホルダー部5と、注射針部分1に接続固定される被覆電線6と、電極ソケット部7で構成されている。注射針1の根元部の表面はパルス波電力を印加するため金属露出面である。注射針部分1は、円筒部2の表面に着色された電気絶縁性熱硬化性樹脂塗膜層と、その上に印刷された目盛層が形成されている。
【0017】
この注射針装置1は、ステンレス金属製円筒部の先端に針部4が刃付けされている。刃付けは電気絶縁性硬化性樹脂塗膜層と目盛層を形成した後に行うことができる。この実施例における注射針部分1の長さは120mm、外径0.81mm、内径0.51mmである。先端部4は金属が露出しており、ここから人体に向けてパルス波電力が印加される。この注射針装置10のホルダー部5の上には、図示しない注射器がセットされ、注射液が注入される。
【0018】
図2は同、注射針部分の模式的拡大側面図であり、図3は同、注射針部分の模式的拡大断面図である。注射針部分1の金属円筒部分8の表層には、着色された電気絶縁性熱硬化性樹脂塗膜層9と、その上に印刷された目盛層3が形成されている。電気絶縁性硬化性樹脂塗膜層9と目盛層3とは段差がない。目盛マーク3の幅L1は小目盛の場合0.5〜1.0mmが好ましく、大目盛の場合は1.5〜2.5mmが好ましい。マーク3の右端から右隣のマークの右端までの距離L2は10mmとするのが好ましい。大目盛は例えば50mmの位置に形成するのが好ましい。このようにすると、マークの数×10mmという単純な計算ができ、注射針の刺入長さを算出できる。目盛層の上には透明な電気絶縁性上塗り層を形成してもよい。
【0019】
図4は本考案の別の実施例における注射針11の模式的側面図、図5は同、注射針部分の模式的拡大断面図である。この注射針11の根元部の表面はパルス波電力を印加するための金属露出面12があり、人体に挿入する部分の表面は、着色された電気絶縁性熱硬化性樹脂塗膜層9と、その上に印刷された目盛層3と、その表層の透明上塗り層13が形成されている。透明上塗り層13により、目盛層3の凹凸はほぼ完全に解消され、円滑な表面となっている。
【0020】
以下、実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本考案は下記の実施例に限定されるものではない。
【0021】
(実施例1)
図1〜図3に示す注射針を作製した。注射針1の金属円筒部分5の表面に白色の電気絶縁性熱硬化性樹脂塗膜層9を形成し、その上に黒色に印刷された目盛層3を形成した。電気絶縁性熱硬化性樹脂塗膜層9に使用した樹脂は、ポリエステル樹脂を主成分とし、エポキシ樹脂を加えた熱硬化性塗料(サンエス潤滑社製商品名“SR−50CR”)である。この塗料を注射針1に吹き付け塗装し、乾燥し、150℃で60分間熱処理し、焼き付けた。膜厚は25μmであった。その後、インクジェットプリンターで目盛層3を形成した。目盛層3の厚さは2μmであった。注射針1の表面に段差は無く、円滑であった。その後、先端部を刃付けし、根元部側には被覆電線とホルダー部を取り付けた。さらに根元部側には注射器をセットできるように加工し、必要なときに注射器を取り付け、注射液を注入できるようにした。この注射針はラット検査により、電気絶縁性熱硬化性樹脂塗膜層とその上の目盛層の脱落は無いことを確認した。
【0022】
このようにして得られた注射針を、トップ社製商品名“ニュートレーサーNT−11”に取り付け、周波数(刺激頻度):1Hz/2Hz/4Hz、パルス幅:0.1ms/0.3ms/1.0ms、出力波形:双極性矩形波を、前記注射針の先端部4の金属面から人体組織に向けて印加した。一方、人体の外側には、導電性ゲルパッドを配置し、前記注射針の先端部4の金属面から人体組織に向けて印加するパルス波電力を感知するようにした。
【0023】
このように準備した注射針を、まず目視で前記目盛マークの本数を数えながら大まかな位置まで針を人体に刺入し、刺入と同時又は刺入後に、注射針の先端部から人体に向けてパルス波電力を印加した。これにより、神経の位置を正確に探り当て、微調整しながら神経の位置まで刺入した。これは刺激頻度に同期してスピーカー音を出し、出力電流に比例して音色を高くし、この音色の急激な変化により神経の位置を決定した。このようにして、神経の正確な位置に注射針を刺入できた。位置が決定できたら、次に麻酔薬を注入した。
【0024】
この注射針の目盛層は断面から見て円弧状態であり、円滑な表面に仕上げることができ、針の表面がスムースであるため人体組織への刺入抵抗が低く、痛みを抑えることができ、安全性も高いことが確認できた。
【0025】
(実施例2)
図4及び図5に示すように、目盛層3の表層に透明な電気絶縁性熱硬化性樹脂からなる上塗り層13を形成した以外は実施例1と同様に実施した。この透明上塗り層13に使用した樹脂は、ポリエステル樹脂を主成分とし、エポキシ樹脂を加えた熱硬化性塗料(サンエス潤滑社製商品名“SR−50CR”)である。この塗料を注射針に吹き付け塗装し、乾燥し、150℃で60分間熱処理した。得られた皮膜は透明で、目盛マークが鮮明に見えた。この上塗り層の膜厚は10μmであった。得られた注射針は表面の凹凸がほとんどない円滑な表面に仕上げることができ、針の表面がスムースであるため人体組織への刺入抵抗が低く、痛みを抑えることができ、安全性も高いことが確認できた。
【0026】
1,11 ステンレス金属製注射針
2 円筒部
3 目盛層マーク
4 先端部(刃先部)
5 ホルダー部
6 被覆電線
7 電極ソケット部
8 金属円筒部分
9 着色された電気絶縁性熱硬化性樹脂塗膜層
10 注射針装置
12 金属露出面
13 透明上塗り層
L1 目盛マークの幅
L2 マークの右端から右隣のマークの右端までの距離

(57)【要約】

【課題】金属針本体と被覆樹脂の接着一体性が良く、刺入深度確認用の目盛マークが鮮明であり、製造コストも安価な注射針を提供する。【解決手段】金属製注射針は、注射針の先端部4の金属面からパルス波電力を印加することが可能な金属製注射針1であって、注射針の根元部の表面はパルス波電力を印加するための金属露出面であり、注射針の人体に挿入する部分の表面は、金属円筒部分8を被覆して白色に着色された電気絶縁性熱硬化性樹脂塗膜層9と、その上に印刷された黒色の目盛層3を含む。着色された熱硬化性樹脂塗膜層と目盛層の上に、さらに透明な電気絶縁性熱硬化性樹脂上塗り層が形成され、着色された熱硬化性樹脂塗膜層の膜厚は20〜30μm、目盛層の膜厚は1〜3μm、上塗り層の膜厚は5〜50μmであるのが好ましい。


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