(54)【考案の名称】培養容器用アダプタ及びこれを備えた培地供給システム

(73)【実用新案権者】株式会社島津製作所

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図2

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、培養容器に取り付けられる培養容器用アダプタ及びこれを備えた培地供給システムに関するものである。

【従来の技術】

【0002】
細胞培養に用いられるディッシュなどの培養容器には、内部に培地が収容され、当該培地中で細胞の培養が行われる。培養容器内の培地には時間経過とともに老廃物が溜まるため、定期的に培地を交換する必要がある。通常、培地交換の際には、培養容器をインキュベータから無菌環境に移動させ、無菌環境下で培地交換を行った後、培養容器をインキュベータに戻すという作業が行われる。一方で、下記特許文献1に開示されているような細胞培養デバイスを用いた場合には、培地供給部から配管を介してインキュベータ内の細胞培養デバイスに培地を導入することにより、培地交換を行うことができる。
【0003】
培養容器内の培地を定期的に交換する場合には、交換の度に培養環境が大きく変化することとなる。本来、生体内において、細胞は体液の循環により常に安定した環境にあるため、培養容器内における培養環境も安定した状態を保つことが好ましい。しかし、上記のように培地を交換する度に培養環境が大きく変化した場合、生体内の本来の環境とは異なる培養環境となってしまう。
【0004】
下記特許文献1に開示されているような細胞培養デバイスを用いれば、培地が連続的に導入されるため、上記のような問題が生じるのを防止することができる。しかし一方で、従来から長年使用されてきた培養容器は、各種培養に適した材料又はコーティングなどのバリエーションが豊富であり、各バリエーションについてのデータが蓄積されているため、市販されている既存の培養容器の使用が望まれる場合もある。
【0005】
そこで、本願考案者は、既存の培養容器に対して取付可能な培養容器用アダプタを提案した(下記特許文献2参照)。このようなアダプタを使用すれば、既存の培養容器にアダプタの本体を取り付けるだけで、培養容器内に培地を連続的に導入しながら培養を行うことが可能になるため、既存の培養容器を用いて安定した培養環境で培養を行うことができる。
【0006】

【効果】

【0025】
本考案によれば、培養容器用アダプタの本体の外周面に形成されたテーパ面を培養容器の内面に沿って摺接させることにより、培養容器内に本体を容易に嵌め込むことができるとともに、弾性変形した本体を培養容器内に良好に保持することができるため、固定部材を用いることなく培養容器に対して培養容器用アダプタを良好に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本考案の一実施形態に係る培地供給システムの構成例を示した概略図である。
【図2】培養部の断面図である。
【図3A】アダプタの側面図である。
【図3B】アダプタの平面図である。
【図4A】アダプタの変形例を示した側面図である。
【図4B】図4Aのアダプタの平面図である。
【図5】別の実施形態に係るアダプタの側面図である。
【図6A】本体の側面図である。
【図6B】本体の平面図である。
【図7A】流路部材の側面図である。
【図7B】流路部材の平面図である。
【図8】アダプタが適用された培養部の断面図である。
【図9】アダプタの変形例を示した側面図である。

【0027】
図1は、本考案の一実施形態に係る培地供給システムの構成例を示した概略図である。この培地供給システムは、培地供給部1からバルブ2を介して培養部3に培地を供給するためのシステムである。バルブ2には、複数の培養部3が接続されている。バルブ2及び各培養部3は、例えば内部が一定の温度に保たれたインキュベータ4内に設けられており、インキュベータ4の外部に設けられた培地供給部1から1本の配管11を介して、インキュベータ4内に培地が供給されるようになっている。
【0028】
培地供給部1には、培地貯留部12及びポンプ13が備えられている。培地貯留部12内に貯留されている培地は、例えばシリンジポンプにより構成されるポンプ13で吸い上げられ、当該ポンプ13から配管11を介してインキュベータ4内のバルブ2に供給される。
【0029】
バルブ2は、培地供給部1から供給される培地の流路を切り替えるための培地用バルブであり、それぞれ異なる配管20を介して複数の培養部3に接続されている。この例では、8つの培養部3がインキュベータ4内に設けられており、培地供給部1から各培養部3への培地の流路をバルブ2で切り替えることができる。
【0030】
各培養部3は、培地供給部1からバルブ2を介して供給される培地を収容し、当該培地中で細胞の培養が行われる。各培養部3は、それぞれ異なる配管31を介して廃液貯留部5に接続されている。各培養部3内の培地を廃液貯留部5に排出させるとともに、各培養部3内に培地供給部1から新しい培地を供給することにより、培地を交換することができる。培地交換は、培地供給部1から各培養部3に培地が連続で供給されることにより連続的に行われてもよいし、培地が所定時間ごとに供給されることにより断続的に行われてもよい。
【0031】
本実施形態では、空気供給部6から配管61を介して供給される圧縮空気により、バルブ2が動作するような構成となっている。空気供給部6及びポンプ13は、制御部7に対して電気的に接続されている。制御部7は、培地供給部1(ポンプ13)の動作を制御するとともに、空気供給部6を介してバルブ2の動作を制御することにより、培地の流路を自動で切り替える処理を行う。制御部7は、例えばパーソナルコンピュータ又はPLC(Programmable Logic Controller)などにより構成することができる。
【0032】
ただし、培養部3の数は8つに限られるものではなく、2つ以上であればよい。また、バルブ2が省略され、培地供給部1から1つの培養部3に培地が供給されるような構成であってもよい。
【0033】
図2は、培養部3の断面図である。本実施形態では、培養容器32及びアダプタ33により培養部3が構成されており、培養容器32の上面に形成された開口部323からアダプタ33が嵌め込まれることにより取り付けられている。培地供給部1からの培地は、アダプタ33を介して培養容器32内に供給される。培養容器32(開口部323)の内径は、例えば35mmであるが、このような値に限られるものではない。
【0034】
本実施形態のようなアダプタ33を用いれば、培養容器32内で通常の培養を一定期間(例えば1日)行うことにより細胞を接着させた後、アダプタ33を培養容器32に取り付けて、培地供給部1から培養容器32内に培地を供給することも可能である。培養容器32は、市販されている既存のものであり、円形状の底面321の外周縁から円環状の側面322が突出した一般的なディッシュである。円環状の側面322の上端縁は、培養容器32の開口部323を構成している。ただし、培養容器32は、ディッシュに限られるものではなく、他の任意の形状の容器を用いることができる。また、培養容器32には、例えば電極又は配線などの電気部品が備えられていてもよい。
【0035】
図3Aは、アダプタ33の側面図である。図3Bは、アダプタ33の平面図である。アダプタ33は、培養容器32に取り付けられることにより弾性変形して当該培養容器32の開口部323を塞ぐ本体331を備えている。本体331は、例えば全体がPDMS(ポリジメチルシロキサン)により形成されている。PDMSはガス透過性を有する材料であるため、本体331で培養容器32の開口部323を塞いだ場合でも、培養容器32の内部と外部との間でガスを透過させることができる。
【0036】
本体331は、平面視円形状に形成されており、その上面332よりも下面333の方が小径の円形となるように、外周面334がテーパ面により形成されている。より具体的には、上面332は培養容器32(開口部323)の内径よりも大きい径を有し、下面333は培養容器32(開口部323)の内径よりも小さい径を有している。外周面334は、その全体が上面332の外周縁と下面333の外周縁とを接続する滑らかな円錐台状のテーパ面により形成されている。この例では、本体331の上面332の径が36mm、下面333の径が34mm、高さが10mmに設定されているが、このような値に限られるものではない。
【0037】
本体331には、培養容器32内に培地を導入する培地導入口335と、培養容器32内の培地を導出する培地導出口336とが形成されている。培地導入口335及び培地導出口336の内径は、例えば2.5mmである。培地導入口335には接続管337が挿入され、培地導出口336には接続管338が挿入されている。接続管337,338は、例えば外径が2.5mm、内径が1.5mmであり、シリコンゴムにより形成されている。
【0038】
本体331の下面333の外周縁には、当該外周縁に沿って複数の凸部339が形成されている。各凸部339は、例えば円柱状であり、同一の長さで培養容器32側に突出している。各凸部339は、例えば高さが2mm、外径が2mmであり、本体331の下面333の外周縁に沿って等間隔で6つ設けられている。ただし、各凸部339の寸法及び数は、上記のような値に限られるものではない。
【0039】
図2に示すように、本体331が培養容器32内に嵌め込まれた状態では、各凸部339の先端面が培養容器32の底面321に当接する。これにより、アダプタ33の本体331の下面333と培養容器32の底面321との間に、培地導入口335及び培地導出口336に連通する培養領域34が形成される。
【0040】
図2に示すように、接続管337には培地供給部1に連通する配管20が接続されており、当該配管20を介して培地導入口335に培地を導入することができる。接続管338には、廃液貯留部5に連通する配管31が接続されており、当該配管31を介して培地導出口336から培地を導出することができる。
【0041】
したがって、既存の培養容器32に本体331を取り付けるだけで、培養容器32内に培地を連続的に導入しながら培養を行うことが可能になる。これにより、既存の培養容器32を用いて安定した培養環境で培養を行うことができる。ただし、培地導入口335及び培地導出口336にそれぞれ接続管337,338が挿入された構成に限らず、培地導入口335及び培地導出口336に配管20,31が直接挿入されるような構成であってもよい。
【0042】
本実施形態では、アダプタ33の本体331の外周面334に形成されたテーパ面を培養容器32の内面に沿って摺接させることにより、培養容器32内に本体331を容易に嵌め込むことができるとともに、図2に示すように、弾性変形した本体331を培養容器32内に良好に保持することができる。すなわち、テーパ面を培養容器32の内面に沿って摺接させる際に本体331を弾性変形させ、その弾性力で本体331を培養容器32内に保持することができる。
【0043】
本体331の外周面334を形成しているテーパ面は、本体331の軸線L1方向に対して1〜30°の角度θで傾斜している。上記角度θは、3〜20°であればより好ましく、5〜15°、すなわち約10°であればさらに好ましい。このように、本体331の軸線L1方向に対するテーパ面の角度θを適切に設定することにより、本体331を軸線L1方向に沿って培養容器32内に嵌め込む際に、テーパ面と培養容器32の内面との間の抵抗が大きくなり過ぎるのを防止することができる。
【0044】
これにより、固定部材を用いることなく培養容器32に対してアダプタ33を良好に取り付けることができる。したがって、培養容器32を装置に載置又は固定する必要があるような観察系や測定系などであっても、固定部材が邪魔になることがなく、アダプタ33を培養容器32に容易に取り付けて、培養容器32内に培地を連続的又は断続的に供給することができる。
【0045】
また、本体331の軸線L1方向に対するテーパ面の角度θが大きすぎると、本体331が培養容器32内に入りにくくなるだけでなく、テーパ面と培養容器32の内面との隙間が大きくなり、その隙間内に培養容器32内の培地が進入してしまうおそれがある。本実施形態のように上記角度θを適切な値に設定すれば、テーパ面と培養容器32の内面との間に隙間が生じにくく、当該隙間内への培地の進入を抑制することができる。
【0046】
図4Aは、アダプタ33の変形例を示した側面図である。図4Bは、図4Aのアダプタ33の平面図である。この変形例では、アダプタ33の本体331の中央部に凹部351が形成されるとともに、培地導入口335及び培地導出口336に流路変換部352が接続されている点のみが上記実施形態とは異なっており、他の構成については上記実施形態と同様であるため、同様の構成については図に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0047】
凹部351は、本体331の上面332の中央部に軸線L1と同軸上に形成されている。これにより、本体331は軸線L1方向に沿った断面がU字状に形成されている。そして、このように形成された本体331の外周面334全体にテーパ面が形成されるとともに、本体331全体がPDMSにより形成されている。
【0048】
この変形例のように、本体331の中央部に凹部351が形成されている場合には、本体331の透明度が高くない場合であっても、凹部351の底面353を介して培養容器32内を観察しやすい。また、PDMSのようなガス透過性を有する材料を用いて本体331を形成した場合には、凹部351が形成されていることにより、ガス透過性をより向上することができる。さらに、本体331の中央部に凹部351が形成されることにより、培養容器32内に本体331を嵌め込む際に弾性変形しやすくすることができるとともに、本体331の弾性力を高めて培養容器32内により良好に保持することができる。
【0049】
特に、この変形例では、透明性が高いPDMSからなる本体331の中央部に凹部351が形成されているため、培養容器32内が非常に観察しやすくなる。さらに、PDMSは適度な弾性を有しているため、PDMSからなる本体331の中央部に凹部351が形成されることにより、適度な弾性力で本体331を培養容器32内に良好に保持することができる。その他にも、PDMSを用いて本体331を形成することにより、オートクレーブ滅菌によりアダプタ33を滅菌して繰り返し使用することができるため、ランニングコストを抑えることができるという効果や、本体331の成形が容易であるという効果もある。ただし、本体331は、PDMSに限らず、例えばPDMS以外のシリコンゴムなどのガス透過性を有する他の材料により形成されていてもよい。
【0050】
流路変換部352は、軸線L1に沿って延びる培地導入口335及び培地導出口336の流路を屈曲又は湾曲させ、培地導入口335及び培地導出口336を本体331の軸線L1に対して傾斜する方向に開口させる。流路変換部352は、例えば培地導入口335及び培地導出口336の上部に本体331と一体的に形成されている。
【0051】
この例では、流路変換部352が設けられることにより、培地導入口335及び培地導出口336が本体331の軸線L1に対して直交方向に開口している。ただし、このような構成に限らず、培地導入口335及び培地導出口336が本体331の軸線L1に対して垂直以外の角度で傾斜する方向に開口しているような構成であってもよい。
【0052】
このように、培地導入口335及び培地導出口336を本体331の軸線L1に対して傾斜する方向に開口させることにより、培地導入口335又は培地導出口336に対する配管20,31の抜き差しの際などに、培養容器32内に異物が混入するのを防止することができる。すなわち、培地導入口335又は培地導出口336が、本体331の軸線L1に対して傾斜する方向に開口しているため、本体331の軸線L1に沿って開口している場合と比較して、培地導入口335又は培地導出口336を介して培養容器32内に異物が混入しにくい。
【0053】
ただし、アダプタ33の本体331の中央部に凹部351が形成された構成、又は、培地導入口335及び培地導出口336に流路変換部352が接続された構成のいずれか一方のみが採用されていてもよい。また、培地導入口335又は培地導出口336のいずれか一方にのみ流路変換部352が接続された構成であってもよい。さらに、流路変換部352により流路が屈曲又は湾曲された構成に限らず、本体331内における培地導入口335又は培地導出口336の流路が屈曲又は湾曲、あるいは傾斜した構成となっていてもよい。
【0054】
図5は、別の実施形態に係るアダプタ36の側面図である。本実施形態では、アダプタ36が本体37及び流路部材38を備えている。このように、アダプタ36は、1つの部材からなるような構成に限らず、複数の部材を組み合わせることにより構成されていてもよい。
【0055】
図6Aは、本体37の側面図である。図6Bは、本体37の平面図である。図7Aは、流路部材38の側面図である。図7Bは、流路部材38の平面図である。図8は、アダプタ36が適用された培養部3の断面図である。
【0056】
本実施形態では、培養容器32及びアダプタ36により培養部3が構成されており、アダプタ36が培養容器32内に嵌め込まれることにより取り付けられている。培地供給部1からの培地は、アダプタ36を介して培養容器32内に供給される。培養容器32の構成は上記実施形態と同様であるため、同様の構成については図に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0057】
本体37は、培養容器32に取り付けられることにより弾性変形して当該培養容器32の開口部323を塞ぐ。本体37は、平面視円形状に形成されており、その上面371よりも下面372の方が小径の円形となるように、外周面373がテーパ面により形成されている。 より具体的には、上面371は培養容器32(開口部323)の内径よりも大きい径を有し、下面372は培養容器32(開口部323)の内径よりも小さい径を有している。外周面373は、その全体が上面371の外周縁と下面372の外周縁とを接続する滑らかな円錐台状のテーパ面により形成されている。この例では、本体37の上面371の径が36mm、下面372の径が34mm、高さが10mmに設定されているが、このような値に限られるものではない。
【0058】
本体37には、培養容器32内に培地を導入する培地導入口374と、培養容器32内の培地を導出する培地導出口375とが形成されている。培地導入口374及び培地導出口375の内径は、例えば2.5mmである。培地導入口374には接続管376が挿入され、培地導出口375には接続管377が挿入されている。接続管376,377は、例えば外径が2.5mm、内径が1.5mmであり、シリコンゴムにより形成されている。
【0059】
本体37の中央部には、凹部378が形成されている。凹部378は、本体37の上面371の中央部に軸線L2と同軸上に形成されている。これにより、本体37は軸線L2方向に沿った断面がU字状に形成されている。そして、このように形成された本体37の外周面373全体にテーパ面が形成されるとともに、本体37全体がPDMSにより形成されている。本体37の軸線L2方向に対するテーパ面の角度θは、例えば上記実施形態と同様の値に設定される。
【0060】
流路部材38は、例えば円板状に形成されており、その上面381が本体37の下面372に当接するようにして取り付けられる。アダプタ36を培養容器32内に嵌め込んだ状態では、流路部材38の下面382が培養容器32の底面321に当接する。これにより、本体37の下面372と培養容器32の底面321との間に流路部材38が挟持され、培地導入口374及び培地導出口375を連通する流路383が流路部材38内に形成される。
【0061】
流路383は、例えば培養領域384及び接続領域385を有する。培養領域384は、例えば流路部材38の中央部に位置しており、流路部材38を上下方向に貫通する円形状の貫通孔により構成されている。接続領域385は、培養領域384を培地導入口374及び培地導出口375に接続するための領域であり、例えば培養領域384から径方向に延びるように流路部材38の上面381に形成された凹部により構成されている。
【0062】
この例では、2つの接続領域385が形成されており、一方の接続領域385における培養領域384側とは反対側の端部が培地導入口374に接続され、他方の接続領域385における培養領域384側とは反対側の端部が培地導出口375に接続されている。ただし、流路383の形状は、上記のような形状に限らず、他の任意の形状を採用することができる。この場合、例えば流路383の少なくとも一部が流路部材38の内部に形成された構成などであってもよい。
【0063】
アダプタ36の本体37の下面372には、軸線L2に対して平行に延びる1つの凸部379が形成されている。一方、流路部材38には、アダプタ36の凸部379に対応する形状の凹部386が形成されている。これらの凸部379及び凹部386が互いに嵌り合うように、アダプタ36の本体37の下面372と流路部材38の上面381とを当接させることにより、一方の接続領域385を培地導入口374に接続し、他方の接続領域385を培地導出口375に接続することができる。すなわち、凸部379及び凹部386は、アダプタ36の本体37と流路部材38とを位置決めするための位置決め部を構成している。
【0064】
このように、本実施形態では、流路部材38がアダプタ36の本体37の下面372に当接することにより、培地導入口374及び培地導出口375を連通する流路が特定の形状に規定される。これにより、本実施形態のように流路の途中に特定の形状からなる培養領域384を設けることができるため、対象物に応じて最適な培養環境を設定することができる。このような効果は、例えば対象物が接着性細胞などで、培地に接着させるために静置する必要がある場合や、培養容器32の底面321よりも狭い領域で培養を行いたい場合などに特に顕著となる。
【0065】
また、本実施形態では、上記位置決め部(凸部379及び凹部386)により培養容器32内におけるアダプタ36の本体37と流路部材38との位置関係を一定に保つことができるため、培地導入口374及び培地導出口375を流路部材38により形成される流路に対して常に精度よく連通させることができる。
【0066】
ただし、位置決め部は、1つずつの凸部379及び凹部386により構成されるものに限らず、例えば複数の凸部379及び凹部386により構成されるものであってもよい。また、凸部379及び凹部386に限らず、アダプタ36の本体37と流路部材38とを位置決めすることができるような構成であれば、他の任意の形状からなる位置決め部を採用することができる。なお、位置決め部を省略することも可能である。
【0067】
以上の実施形態では、アダプタ33,36の本体331,37の外周面334,373全体がテーパ面により形成された構成について説明した。しかし、このような構成に限らず、上記外周面334,373の一部分のみがテーパ面により形成された構成であってもよい。例えば、図9に示すように、テーパ面の上部にテーパ面より径の大きい持ち手391を設けた構成にすれば、テーパ面に触れずにアダプタ33を培養容器32内に嵌め込むことができるため、培養領域34へのコンタミ混入を軽減する効果が期待できる。また、上記テーパ面は、滑らかな面からなるような構成に限らず、例えば小さい段差が複数形成されることにより全体としてテーパ面となっているような構成であってもよい。
【0068】
1 培地供給部
2 バルブ
3 培養部
4 インキュベータ
5 廃液貯留部
6 空気供給部
7 制御部
11 配管
12 培地貯留部
13 ポンプ
20 配管
31 配管
32 培養容器
33 アダプタ
34 培養領域
36 アダプタ
37 本体
38 流路部材
61 配管
321 底面
322 側面
323 開口部
331 本体
332 上面
333 下面
334 外周面
335 培地導入口
336 培地導出口
337 接続管
338 接続管
339 凸部
351 凹部
352 流路変換部
353 底面
371 上面
372 下面
373 外周面
374 培地導入口
375 培地導出口
376 接続管
377 接続管
378 凹部
379 凸部
381 上面
382 下面
383 流路
384 培養領域
385 接続領域
386 凹部
391 持ち手
L1 軸線
L2 軸線

(57)【要約】

【課題】固定部材を用いることなく培養容器に対して良好に取付可能な培養容器用アダプタ及びこれを備えた培地供給システムを提供する。【解決手段】アダプタ33は、培養容器32に取り付けられることにより弾性変形して培養容器の開口部323を塞ぐ本体331を備える。本体には、培養容器内に培地を導入する培地導入口335、及び、培養容器内の培地を導出する培地導出口336が形成されている。本体の外周面334には、軸線L1方向に対して1〜30°の角度で傾斜するテーパ面が形成されている。テーパ面を培養容器の内面に沿って摺接させることにより、培養容器内に本体を容易に嵌め込むことができるとともに、弾性変形した本体を培養容器内に良好に保持することができる。


【パテントレビュー】

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【インターネット特許番号リンク】

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