(54)【考案の名称】安全帯取付部材

(73)【実用新案権者】KRH株式会社

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図2

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、支柱の間に架設される水平材に安全帯を取り付けるための安全帯取付部材に関する。

【従来の技術】

【0002】
一般に、建築物等の工事等に際しては、建築物の外周に仮設足場が設置される。この仮設足場は、複数本の支柱が所定間隔で配置され、各支柱間には足場板が架設されて複数階層の足場が形成される。このような仮設足場の架設作業にあっては、上方への足場の継ぎ足し作業の安全対策として、足場板を架設させる前に、足場支柱の間に傾斜させ交差させて配設される2本の斜材と足場支柱の間に架設される水平材とを備える仮設足場用筋交いが手すりとして先行して配置される(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
仮設足場が設置された現場においては、作業者が高所での作業を行うことがある。その際、作業者は転落等の事故を防止するために、安全帯(命綱)を装着する。安全帯は、綱部材の先端に仮設足場の水平材等に掛着されるフック部材を有し、ベルト部材を介して作業者に装着される。従来の安全帯にあっては、フック部材に閉方向に付勢された可動片が設けられ、可動片を水平材等に押し当てて開方向へ可動させてフック部材と水平材等とを掛着させる。これにより、フック材に設けられた可動片によりフック部材と水平材等とをワンタッチで掛着させることができるとともに、掛着時には可動片が閉方向に付勢されてフック部材の脱落を防止することができる。
【0004】
上記従来の安全帯では、フック部材が棒状の部材で構成されており、水平材等と点状または円周方向の線状で接触してその接触面積が少なくなっている。そのため、作業者の落下等により安全帯に荷重がかかると、安全帯のフック部材と水平材等との接触部位に過大な力が加わってしまう。そして、安全帯が掛着される水平材は、一般的にパイプ部材で構成されるため、フック部材との接触部位に過大な力が加わった場合には、取付部位に相当する位置の中空部分が潰れて折れ曲がる変形等が生じることがあった。
【0005】
そこで考案者は、取付作業を煩雑にすることなく、水平材の安全帯の取付部位の変形等を抑制するために安全帯の取付部材を介在させることを見出し、本考案の安全帯取付部材を考案するに至った。
【0006】

【効果】

【0013】
請求項1の考案に係る安全帯取付部材は、支柱の間に架設される水平材に安全帯を取り付けるための取付部材であって、前記水平材が嵌挿され単一の円筒部材からなる筒状部と、前記筒状部に設けられ前記安全帯を取り付ける取付部とを備えるため、極めて簡素な構成で、従来と同様に安全帯の取付作業をワンタッチで簡便に行うことができるとともに、作業者の落下等による下向きの力を分散させてその影響を軽減することができ、安全帯が取り付けられる水平材の変形等を効果的に抑制することができる。
【0014】
請求項2の考案は、請求項1において、前記筒状部が前記水平材に摺動可能に取り付けられているため、作業者が移動しても筒状部を水平材上で連動して移動させることができ、当該安全帯取付部材が作業者の移動の妨げとならない。
【0015】
請求項3の考案は、請求項1または2において、前記取付部は板状体からなるため、より構成の簡素化を図ることができる。
【0016】
請求項4の考案は、請求項3において、前記板状体に前記筒状部が嵌挿されているため、筒状部に取付部を極めて簡便に取り付けることができる。
【0017】
請求項5の考案は、請求項3または4において、前記取付部は、前記板状体に前記安全帯を掛着する掛着孔部が形成されているため、極めて簡素な構成で従来と同様に安全帯をワンタッチで簡便に掛着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本考案の一実施例に係る安全帯取付部材が設けられた仮設足場用筋交いの正面図である。
【図2】図1の安全帯取付部材の斜視図である。
【図3】安全帯が取り付けられた水平材に作用する力を表した模式図である。

【0019】
図1は、建築物等の工事等に際して建築物の外周に設置される仮設足場に先行して手すりとして配置される仮設足場用筋交い1の正面図である。この仮設足場用筋交い1は、従来公知のものが用いられ、足場支柱2,2の間に架設される水平材5と、足場支柱2,2の間に傾斜させ交差させて配設される2本の斜材6,6とを備える。また、この仮設足場用筋交い1には、安全帯取付部材10が設けられる。
【0020】
図1において、符号3は足場支柱2の上側に複数設けられた上側くさび受け、4は足場支柱2の下側に複数設けられた下側くさび受け、7は水平材5の両端及び斜材6,6の上端部に取り付けられて足場支柱2の上側くさび受け3に対して取り外し可能に係着される上側連結部材、8は斜材6,6の下端部に取り付けられて足場支柱2の下側くさび受け8に対して取り外し可能に係着される下側連結部材である。
【0021】
図1,2に示す本考案の一実施例に係る安全帯取付部材10は、足場支柱2,2の間に架設される水平材5に安全帯20を取り付けるための取付部材であって、筒状部11と、取付部15とを備える。安全帯(命綱)20は、作業者に装着されて仮設足場用筋交い1と連結されることによって足場からの転落等を防止するものであり、従来公知の部材が用いられる。図2において、符号21はワイヤーやロープ等からなる綱部材、22は綱部材21の先端に設けられたフック部材、23はフック部材22の先端に開閉可能に当接するとともに常時閉方向に付勢された可動片である。
【0022】
筒状部11は、図2に示すように、当該安全帯取付部材10を水平材5へ設置するための部材であり、水平材5が嵌挿される単一の円筒部材からなる。この筒状部11では、切れ目や連結箇所等がない単一の円筒部材で構成されていることから、水平材5の両端に上側連結部材7,7を取り付ける前にあらかじめ水平材5に設置される。そして、上側連結部材7,7の取り付け後には円筒部11が水平材5から抜けない状態となるため、当該安全帯取付部材10の脱落を防止することができる。また、切れ目や連結箇所等がない単一部材であるため、構成の簡素化を図ることができるとともに、過大な荷重がかかった場合であっても切れ目等から分離してしまう等の破損等のおそれがない。
【0023】
さらに筒状部11では、円筒部材の内周部の直径が水平材5の外周部5aの直径と等しいかまたはわずかに大きく形成されて、水平材5に対して摺動可能に取り付けられている。そのため、安全帯20が取り付けられた状態で作業者が足場上を移動しても、筒状部11を水平材5上で連動して移動させることができる。これにより、当該安全帯取付部材10が作業者の移動の妨げとならない。実施例において、水平材5は、直径27.2mm、厚さ1.7〜2.0mmの鋼管である。筒状部11の長さは約60mmとしている。
【0024】
取付部15は、図2に示すように、筒状部11に設けられ安全帯20が取り付けられる部材である。この取付部15は単一の板状体によって構成される。特に、取付部15の筒状部11への取り付けは、図示のように板状体に筒状部11を嵌挿させて行われる。この取付部15は、筒状部11から脱落しないように設ける必要があり、例えば、溶接等の公知の固定手段によって筒状部11に固定される。このように、取付部15を板状体とすることにより構成の簡素化を図ることができ、特に板状体に筒状部11を嵌挿させることにより極めて簡便に取り付けを行うことができる。なお、取付部15は筒状部11から脱落しない構成であればよく、例えば、筒状部11に適宜の溝部を形成して嵌着させる等の手法を採用してもよい。
【0025】
また、取付部15では、板状体に安全帯20を掛着するための掛着孔部16が形成されている。安全帯20の取り付けに際しては、可動片23を付勢力に抗して開方向へ可動させてフック部材22を掛着孔部16に挿通させて掛着させる。そして、掛着後には可動片23が閉方向に付勢されてフック部材22が閉鎖されるため、安全帯20が取付部15から脱落するおそれがない。このように、板状体に掛着孔部16を形成した極めて簡素な構成であっても、従来と同様に安全帯20をワンタッチで簡便に掛着させることができる。
【0026】
次に、図3を用いて、本考案の安全帯取付部材10の作用について説明する。まず、図3(a)に示す比較例(従来構造)では、水平材5に安全帯20のフック部材22が直接掛着される。この比較例では、安全帯20が水平材5に直接掛着していることにより、棒状のフック部材22と水平材5の外周部5aとの接触部位5bが点状または円周方向の線状となっている。ここで、作業者の落下等が発生した場合、安全帯20には下向きの力Fがかかる。安全帯20と水平材5との接触部位5bが点状または線状の接触面積が少ない状態であるため、下向きの力Fは接触部位5bに対して集中的に作用する力Faとして加わることとなる。
【0027】
一方、図3(b)に示す実施例のように、水平材5に本考案の安全帯取付部材10を設けた場合、安全帯20のフック部材20が安全帯取付部材10の取付部15の掛着孔部16に掛着される。この実施例では、水平材5の外周部5aに筒状部11を嵌挿させた安全帯取付部材10を介して安全帯20が掛着していることにより、筒状部11と水平材5の外周部5aとの接触部位5cが軸方向(長さ方向)に幅広な面状となっている。ここで、作業者の落下等により安全帯20に下向きの力Fが加わると、安全帯20と水平材5との間に安全帯取付部材10が介在していることから、下向きの力Fは安全帯取付部材10を介して水平材5に作用する。つまり、安全帯取付部材10の筒状部11と水平材5の外周部5aとの接触部位5cが幅広な面状の接触面積が多い状態であるため、下向きの力Fは接触部位5cに対して分散して作用する力Fbとして加わることとなる。
【0028】
このように、比較例(従来構造)が作業者の落下等による下向きの力Fが水平材5に集中的に作用(Fa)しているのに対し、実施例では水平材5に安全帯取付部材10を介して安全帯20を取り付けていることにより、下向きの力Fが水平材5に分散して作用(Fb)するようになる。そのため、水平材5に対する下向きの力Fの影響が軽減され、安全帯20が取り付けられる水平材5の変形等を効果的に抑制することができる。
【0029】
以上図示し説明したように、本考案の安全帯取付部材10は、支柱2,2の間に架設される水平材5に設けられて、水平材5に安全帯20を間接的に取り付ける部材であって、単一の円筒部材からなる筒状部11と、筒状部11に設けられ安全帯20を取り付ける取付部15とを備えるため、極めて簡素な構成で、従来と同様に安全帯20の取付作業をワンタッチで簡便に行うことができる。また特に、安全帯取付部材10では水平材5が筒状部11に嵌挿されるため、作業者の落下等による下向きの力Fが水平材5に分散して作用(Fb)してその影響を軽減することができ、安全帯20が取り付けられる水平材5の変形等を効果的に抑制することができる。
【0030】
なお、本考案の安全帯取付部材は、前述の実施例のみに限定されるものではなく、考案の趣旨を逸脱しない範囲において構成の一部を適宜に変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上のとおり、本考案の安全帯取付部材は、極めて簡易な構成によって作業者の落下時等における安全帯が取り付けられた水平材等の変形等を効果的に抑制することができるため、高所作業での安全性の向上が期待できる。
【0032】
1 仮設足場用筋交い
2 足場支柱
3 上側くさび受け
4 下側くさび受け
5 水平材
6 斜材
7 上側連結部
8 下側連結部
10 安全帯取付部材
11 筒状部
15 取付部
16 掛着孔部
20 安全帯
21 綱部材
22 フック部材
23 可動片

(57)【要約】

【課題】構成の簡素化を図るとともに、安全帯の取付作業を簡便に行うことができて、水平材の取付部位の変形等を抑制することができる安全帯取付部材を提供する。【解決手段】支柱の間に架設される水平材5に安全帯20を取り付けるための取付部材10であって、水平材が嵌挿され単一の円筒部材からなる筒状部11と、筒状部に固設され安全帯を取り付ける取付部15とを備える。筒状部11は水平材5に摺動可能に取り付けられ、取付部15は板状体からなり、板状体には筒状部が嵌挿されて安全帯を掛着する掛着孔部16が形成されている。


【パテントレビュー】

あなたの意見を伝えましょう:


【インターネット特許番号リンク】

インターネット上にあるこの特許番号にリンクします(発見しだい自動作成):