(54)【考案の名称】定置式殺菌装置

(51)【国際特許分類】

A61L 2/18 ・・液状物質[3]

(73)【実用新案権者】日本クッカリー株式会社

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、殺菌対象物の殺菌処理に利用される定置式殺菌装置に関する。

【従来の技術】

【0002】
例えば、特許文献1には、スプレー装置が記載されている。このスプレー装置は、液体を収容するボトルと、ボトルに取り付けられたスプレーボディ部とを有する。スプレーボディ部は、液体の噴出方向を変更可能な噴射ノズル部を有する。
【0003】

【効果】

【0010】
本考案によれば、作業者自身及び殺菌用装置の衛生状態を良好に維持しつつ、食品を収容する容器などの殺菌対象物の殺菌処理を実施可能な定置式殺菌装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本考案の一形態に係る定置式殺菌装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】定置式殺菌装置の噴霧ユニットを拡大して示す斜視図である。
【図3】定置式殺菌装置を利用した作業工程を示す図である。
【図4】定置式殺菌装置を利用した作業工程を示す図である。
【図5】比較例に係る作業工程を示す図である。

【0012】
以下、添付図面を参照しながら本考案を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1に示されるように、定置式殺菌装置1は、殺菌対象物である食品受けバット101や、作業者の手102などに殺菌液である液体アルコールを噴霧して殺菌処理するものである。食品受けバット(以下、単に「バット」とも言う)101は、二次加工された食品を一時的に保持するものである。バット101の形状は、特に限定されるものではないが、一般的には矩形状の箱状を呈し、作業台に配置したときに上側が開口している。なお、殺菌液は、液体アルコールに限定されるものではなく、殺菌作用を有するその他の液体であってもよい。
【0014】
定置式殺菌装置1は、タンク(収容部)2と、噴霧ユニット3A,3Bと、制御装置(制御部)4と、圧力源(加圧部)6と、を備える。
【0015】
タンク2は、液体アルコールを加圧状態において収容する。タンク2は、液体アルコールを収容する機能と、液体アルコールを圧送する機能とを有する。例えば、タンク2は、39L(リットル)の容量を有し、内圧を0.4MPa程度に設定可能な圧力容器である。タンク2は、圧力供給部2aと、殺菌液排出部2bと、殺菌液供給部2cと、を有し、これらは上蓋に設けられている。
【0016】
圧力供給部2aは、圧力レギュレータ7を介して圧力源6に接続されている。圧力源6から供給された高圧空気(高圧気体)は、圧力レギュレータ7において0.4MPaに調整されて、タンク2に供給される。高圧空気は、大気圧よりも高い圧力を有する空気である。殺菌液排出部2bは、噴霧ユニット3A,3Bのそれぞれに耐圧チューブ11を介して接続されている。タンク2は、その内圧(0.4MPa)によって、液体アルコールを殺菌液排出部2bから押し出す。押し出された液体アルコールは、液体状態で噴霧ユニット3A,3Bまで圧送される。耐圧チューブ11と噴霧ユニット3A,3Bとにおける液体アルコールは、タンク2の内圧に対応する圧力をもって常に加圧されている。この耐圧チューブ11には、例えば、食品機器用ストレートチューブであるポリアミドチューブを利用することができる。
【0017】
噴霧ユニット3A,3Bは、液体アルコールを霧状に噴霧すると共に、噴霧を開始するための信号を制御装置4に送信する。定置式殺菌装置1は、バット101を殺菌するための噴霧ユニット3Aと、作業者の手102を殺菌するための噴霧ユニット3Bとを備える。2個の噴霧ユニット3A,3Bは、共通のタンク2に対して接続されている。また、2個の噴霧ユニット3A,3Bは、共通の制御装置4に対して接続されている。なお、噴霧ユニット3A,3Bの数は、2個に限定されない。噴霧ユニット3A,3Bの数は、定置式殺菌装置1が利用される状況に応じて、任意の数とすることができる。例えば、噴霧ユニット3A,3Bの数は、1個としてもよいし、15個といった複数としてもよい。噴霧ユニット3A,3Bは、互いに同様の構成を有する。以下、噴霧ユニット3Aを例に、詳細に説明する。
【0018】
図1及び図2に示されるように、噴霧ユニット3Aは、スプレーガン(噴霧部)8と、非接触式センサ(以下単に「センサ」とも言う)9と、を有する。
【0019】
スプレーガン8は、液体アルコールを霧状に噴射するノズル8aと、高圧空気により駆動され液体アルコールの噴霧動作を開始及び停止させるエアシリンダー(不図示)と、を有する。ノズル8aは、液体アルコールを下向きに噴出するように、ロッド12に対して下向きに配置されている。すなわち、スプレーガン8は、噴霧範囲8dが下向きに形成されるようにロッド12に対して固定されている。従って、液体アルコールの噴霧範囲8dは、ロッド12に対して下方に設定される。また、スプレーガン8は、液インレット8bと、エアーインレット8cとを有する。液インレット8bは、液体アルコールが供給される部分である。液インレット8bは、耐圧チューブ11を介してタンク2に接続されている。エアーインレット8cは、スプレーガン8の開閉駆動のための高圧空気が供給される部分である。エアーインレット8cは、耐圧チューブ13(制御線)を介して制御装置4に接続されている。
【0020】
センサ9は、噴霧を開始するための制御信号を生成し、制御信号を制御装置4に送信する。センサ9は、信号ライン(制御線)14を介して制御装置4に接続されている。センサ9は、検知範囲9aとして設定した範囲に検知対象物が存在するか否かを検知する。センサ9は、いわゆる位置設定型光電センサであり、例えば、オムロン製アンプ内蔵型光電センサ(E3MZM−LS62H)を利用することができる。センサ9は、2個の発光素子から光を上向きに出射し、検知対象物において反射した光を受光素子で捉える。この受光素子上において結像される位置を利用して、検知範囲9aに存在する検知対象物の有無を判定する。本実施形態では、検知範囲9aに、検知対象物としての作業者の手102が存在するか否かを検知する。検知範囲9aに作業者の手102が存在した場合には、制御信号を発生させ、制御信号を制御装置4に送信する。
【0021】
センサ9は、光の出射方向が上向きになるように、ロッド12に対して上向きに配置されている。すなわち、センサ9は、検知範囲9aが上向きになるようにロッド12に対して固定されている。従って、センサ9の検知範囲9aは、ロッド12に対して上方に設定される。このため、センサ9の検知範囲9aは、ロッド12に対して上方に設定されている点で、ロッド12に対して下方に設定された液体アルコールの噴霧範囲8dとは別の範囲に設定されていることになり、センサ9の検知範囲9aは、液体アルコールの噴霧範囲8dとは重複していない。
【0022】
制御装置4は、センサ9から入力された制御信号に基づいてスプレーガン8の開閉制御を行う。制御装置4は、タイマー4aと、電磁弁4bとを有する。その他、制御装置4は、漏電ブレーカ4cや、電源部4dといった装置を有する。
【0023】
タイマー4aは、電磁弁4bの開閉制御を行う。タイマー4aは、信号ライン14を介してセンサ9と接続され、別の信号線を介して電磁弁4bと接続されている。タイマー4aは、センサ9からの制御信号の入力をトリガーとして、電磁弁4bの開制御を行う。そして、開制御の開始から予め設定された時間の経過後に、電磁弁4bの閉制御を行う。この開制御から閉制御までの時間は、殺菌対象物に応じた必要な液体アルコールの噴霧量に基づいて適宜設定される。また、タイマー4aは、噴霧ユニット3A,3B毎に接続される。従って、例えば、定置式殺菌装置1は、2個の噴霧ユニット3A,3Bを有するので、制御装置4は2個のタイマー4aを有する。
【0024】
電磁弁4bは、タイマー4aから入力された信号に基づいて、スプレーガン8への高圧空気の供給の開始及び停止の制御を行う。電磁弁4bは、信号線を介してタイマー4aと接続されている。また、電磁弁4bは、圧力源6と接続されると共に、スプレーガン8のエアーインレット8cと接続されている。電磁弁4bは、いわゆるソレノイドバルブである。また、制御装置4では、1個のタイマー4a毎に1個の電磁弁4bが接続されている。従って、例えば、定置式殺菌装置1は、2個の噴霧ユニット3A,3Bを有するので、制御装置4は2個の電磁弁4bを有する。
【0025】
ここで、比較例に係る工程について説明する。図5の(a)〜(e)は、調理後の食品をバット101に保持する作業の主要な工程を示す図である。まず、作業者は、作業台103にバット101を配置する(図5(a)参照)。次に、作業者は、バット101にビニールシート104を被せる(図5(b)参照)。次に、作業者は、ビニールシート104を殺菌する。具体的には、作業者は、液体アルコールを充填したノズル付き噴霧ボトル106を直接に保持し、液体アルコール107をビニールシート104の全体に吹付ける(図5(c)参照)。ノズル付き噴霧ボトル106は、ボトルに充填された液体アルコール107をレバー操作よりノズルから噴霧するものである。この液体アルコール107の噴霧により、食品が接触する部分の殺菌がなされる。次に、作業者は、バット101内のビニールシート104上に調理後の食品108を配置する(図5(d)参照)。最後に、作業者は、バット101の外側に配置されていたビニールシート104を、食品108を覆うように配置する(図5(e)参照)。
【0026】
ここで、作業者がノズル付き噴霧ボトル106を保持したときに、ノズル付き噴霧ボトル106に接触した作業者の手102の衛生状態が悪化する可能性がある。そして、作業者は、衛生状態が悪化した手102によってビニールシート104を直接掴んで、食品108を覆う作業を行う。そうすると、作業者の手102が、ビニールシート104の衛生状態を悪化させ、ひいてはビニールシート104が食品108の衛生状態を悪化させる場合があり得る。
【0027】
また、バット101の殺菌処理に、手洗用の滴点装置を利用することも考えられる。この滴点装置では、殺菌液は、タンクから小型ポンプを利用して送液される。また、殺菌液は、タンクに加えられた僅かな圧力により圧送される。このような殺菌液の輸送形態によれば、殺菌液を噴霧させるための圧力が十分に得られないので、殺菌液は液滴の状態でビニールシート104上に滴下される。そのため、殺菌液をビニールシート104上に殺菌液を滴点した後に、殺菌液をビニールシート104の全体に作業者の手102などを用いて伸ばす作業が必要になる。ビニールシート104の衛生状態を良好に保つ観点からすると、ビニールシート104を直接に触れる作業は可能な限り避けることが望ましい。更に、このような殺菌液の輸送形態によれば、殺菌液を供給するノズルの数が少数に限定される。例えば、殺菌液を供給可能なノズルの数は、1個のタンクにつき4個以下である。従って、比較例に係る工程によれば、ノズルの数を増やして同時並行的に作業を行うことにより、作業効率を向上させることが困難であった。
【0028】
次に、定置式殺菌装置1を利用した工程について説明する。図3(a)〜(c)及び図4(a)〜(c)は、定置式殺菌装置1を利用して、調理後の食品108をバット101に一時的に保持する作業の主要な工程を示す図である。
【0029】
まず、作業者は、作業台103上の噴霧範囲8dにバット101を配置する(図3(a)参照)。ここで、バット101が配置された位置は、センサ9の検知範囲9aではない。従って、バット101の配置によって、液体アルコールが噴霧されることはない。
【0030】
次に、作業者は、バット101にビニールシート104を被せる(図3(b)参照)。次に、作業者は、ビニールシート104を殺菌する。具体的には、作業者は、噴霧ユニット3Aの検知範囲9aに手102をかざす(図3(c)参照)。この作業において作業者は、定置式殺菌装置1のいかなる部分にも触れる必要がない。このような操作によって、液体アルコール107がスプレーガン8からビニールシート104に対して噴霧される。作業者は、噴霧された液体アルコールを目視により確認し、ビニールシート104が殺菌処理されたことを確認する。
【0031】
次に、作業者は、バット101内のビニールシート104上に調理後の食品108を配置する(図4(a)参照)。次に、作業者は、一方の手102aを噴霧ユニット3Bの噴霧範囲8dに配置した後に、他方の手102bを噴霧ユニット3Bの検知範囲9aにかさず(図4(b))。そうすると、液体アルコール107がスプレーガン8から一方の手102aに対して噴霧される。同様に、作業者は、他方の手102bを噴霧ユニット3Bの噴霧範囲8dに配置した後に、一方の手102aを噴霧ユニット3Bの検知範囲9aにかさず。そうすると、液体アルコール107がスプレーガン8から他方の手102bに対して噴霧される。最後に、作業者は、液体アルコール107によって殺菌された手102a,102bによって、バット101の外側に配置されていたビニールシート104を、食品108を覆うように配置する(図4(e)参照)。
【0032】
定置式殺菌装置1では、センサ9の検知範囲9aが液体アルコールの噴霧範囲8dとは重複していないので、バット101を液体アルコールの噴霧範囲8dに配置しただけでは液体アルコールがバット101に噴霧されない。そして、バット101を配置した後に、作業者がセンサ9の検知範囲9aに手102をかざすことにより液体アルコールがバット101に噴霧される。従って、バット101を液体アルコールの噴霧範囲8dに対して確実に配置した後に液体アルコールの噴霧を開始することが可能になるので、バット101を確実に殺菌処理することができる。そして、液体アルコールの噴霧を開始する操作では、作業者がセンサ9の検知範囲9aに手をかざすことにより液体アルコールが噴霧されるので、作業者が直接に触れる必要がない。従って、定置式殺菌装置1と作業者とが接触を繰り返すことによる衛生状態の悪化が抑制されるので、作業者自身及び定置式殺菌装置1の衛生状態を良好に維持しつつ、バット101などの殺菌処理を実施することができる。
【0033】
また、定置式殺菌装置1では、液体アルコールがタンク2内の圧力によって、タンク2からスプレーガン8に輸送された後に、スプレーガン8から霧状に噴霧される。従って、液体アルコールを圧力により輸送及び噴霧する構成によれば、タンク2とスプレーガン8と間に、液体アルコールを輸送及び噴霧するための機械的に動作する装置や電気的な装置を配置しなくてもよい。従って、定置式殺菌装置1における液体アルコールを輸送及び噴霧するための構成を簡易にすることができる。
【0034】
また、定置式殺菌装置1では、スプレーガン8が複数あり、これらスプレーガン8のそれぞれに対応するセンサ9が複数あるので、スプレーガン8毎に液体アルコールの噴霧を制御することができる。従って、スプレーガン8毎に独立した殺菌処理を行うことが可能になるので、殺菌処理の処理効率を高めることができる。
【0035】
ところで、アルコール殺菌の殺菌対象物には、食材そのもの、食材を収容する容器、及び食材を調理する装置などがある。これら殺菌対象物に対して殺菌処理を行う場合には、殺菌すべき領域の全体に液体アルコールを付着させる。ここで、殺菌すべき領域の全体に液体アルコールを付着させるためには、液体アルコールを満たした槽に殺菌対象物を漬け込む手法や、殺菌対象物に対して液体アルコールを噴霧する手法がある。しかし、液体アルコールを満たした槽に漬け込む手法は、装置が大掛かりになり作業ラインの製造コストや作業の手間が増加する。また、液体アルコールを噴霧する手法は、従来、ノズル付き噴霧ボトル106を利用した方法しか存在しなかった。この手法によれば、作業者の衛生状態が保てない場合があった。一方、定置式殺菌装置1によれば、ノズル付き噴霧ボトル106を利用することなく、液体アルコール噴霧による殺菌処理を実施することができる。従って、作業ラインの製造コストの増加を抑制し、作業者の衛生状態を保ちつつ殺菌処理を実施することができる。
【0036】
本考案は、前述した実施形態に限定されず、本考案の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0037】
定置式殺菌装置1が利用可能な製造ラインの種類は、特に限定されず、殺菌処理を要する種々の製造ラインにおいて利用することができる。例えば、定置式殺菌装置1は、米を調理する炊飯ラインにおいて、調理後の米飯をバット101に移す工程で利用してもよい。連続的に排出される米飯をバット101へ移し替える作業を、複数のラインで並行して実施することが可能になる。また、例えば、定置式殺菌装置1は、弁当容器に調理済みの食品を盛り付けるラインにおいて利用してもよい。弁当容器を搬送するコンベヤー下部などに、定置式殺菌装置1のスプレーガン8を配置することにより、作業者の手102の殺菌動作が容易になり、作業者の手102の衛生状態を良好に保ち得る。
【0038】
1…定置式殺菌装置、2…タンク(収容部)、3A,3B…噴霧ユニット、4…制御装置(制御部)、6…圧力源(加圧部)、7…圧力レギュレータ、8…スプレーガン(噴霧部)、8d…噴霧範囲、9…センサ(非接触式センサ)、9a…検知範囲、11…耐圧チューブ、13…耐圧チューブ(制御線)、14…信号ライン(制御線)、101…バット、102,102a,102b…手、104…ビニールシート、106…ノズル付き噴霧ボトル、107…液体アルコール、108…食品。

(57)【要約】

【課題】作業者自身及び殺菌用装置の衛生状態を良好に維持しつつ、食品を収容する容器などの殺菌対象物の殺菌処理を実施可能な定置式殺菌装置を提供する。【解決手段】定置式殺菌装置1は、液体アルコールを収容するタンク2と、タンク2に耐圧チューブ11を介して接続され、タンク2から耐圧チューブ11を介して輸送された液体アルコールをバット101に噴霧するスプレーガン8と、検知範囲9aを有し、検知範囲9aに作業者の手102が存在する場合にスプレーガン8の動作を制御するための制御信号を生成するセンサ9と、センサ9及びスプレーガン8に接続され、制御信号を利用してスプレーガン8の動作を制御する制御装置4と、を備える。センサ9は、検知範囲9aが液体アルコールの噴霧範囲8dと重複しないように配置されている。


【パテントレビュー】

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【インターネット特許番号リンク】

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