(54)【考案の名称】手術器具用カバー。

(73)【実用新案権者】【実用新案権者】

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】 図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、脳べら、腸べら、メス、ピンセット等の手術器具に使用される手術器具用カバーに関する。

【従来の技術】

【0002】
手術には、メス、ピンセット等種々の手術器具が使用される。これらの手術器具は、金属製やステンレス製等であるが、これらをそのまま使用すると、滑って患部を損傷するおそれがある。このため、メスでは、メスホルダーと呼ばれる保持具で滑る事態を防止している。
また、脳外科手術を行うときに、脳深部の患部を引き出すために、脳本体を持ち上げたり支えたりするヘラ状の道具である「脳べら」が使用される。脳べらNは、手術部位等に応じて、医師が折り曲げても使われる(図9参照)。従来はステンレスや真ちゅう製が主流であったが、近年は形状記憶合金で製造されたものも開発されている。脳べらは変形させても、予め設定した温度になると元の形に戻るという形状記憶合金の性質を利用したものである。これらの脳ベラは、熱湯で滅菌消毒して使用する。また、腸の手術の際にも、腸べらと呼ばれる手術器具が使用される(図8参照)。
【0003】
特許文献としては、脳べらの先端側に向かうに従って先細りになるものや、両端側が先細り形状のものが開発されている(特許文献1)。脳べらの形状は、一般的にはへら状(長い楕円形状)であるが、特許文献1のように、先端側が細くなったものなどいくつもの種類がある。
また、部分的に露出し、組織上のエラストマーの格子(20)と共平面の多数の平らな白金電極ディスクを含んで構成されている医療器具が開示されている(特許文献2)。また、脳の開頭手術時に脳べらによる圧排において、脳にかかる圧迫変化をリアルタイムで計測する目的で、脳べらに装着する受圧部であって、薄く柔軟で無伸縮性の材料でなる袋に使用する脳べら圧測定用受圧部が開示されている(特許文献3)。脳べらは、医師が直接手で操作するのみならず、保持機で脳べらを挟持するように保持して使用する場合がある。そして、使用後に熱湯で滅菌消毒する。
また、「外科手術で用いる鈎、プローブ、打ち込み器、抜去器、ノミ、ハンマー、ヤスリ、メス、吸引管、持針器、ピンセット、鉗子、剪刀等であり、器具を把持するためのグリップ部分がポリエチレンフォーム、ポリウレタンフォーム等の発泡材料により包み込まれ成型加工されており、一回使用のみの使い捨てとしたことを特徴とする使い捨て外科手術器具(請求項1)」と、「上記使い捨て外科手術器具の内、鈎など先端金属部分が直接臓器に接触するような器具類の場合、臓器への侵襲を和らげるため、グリップのみでなく先端まで器具全体を上記発泡材料により包み込み成型されたことを特徴とする請求項1記載の使い捨て外科手術器具(請求項2)」が開示されている。
【0004】

【効果】

【0010】
本考案の手術器具用カバーによれば、脳や腸などに対して柔らかく接触して、手術に際して滑ったり、患部を傷付けたりすることがない。また、折り曲げて使用される脳べらなどの動きに沿って伸縮動作するので、操作性に優れる。また、所定箇所を覆うので、衛生的な使用が可能になるが、脳べらや腸べらなどを袋状の手術器具用カバーに収納して使用することで、カバー操作が容易で、しかも衛生的な保管等が可能になる。そして、種々の形状がある手術器具において、いずれにも装着することができ、汎用性が高いカバーとなる。そして、
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本考案の第1の実施の形態の手術器具用カバーを示す断面図であり、(a)はその模式図の例であり、(b)はその実物の例である。
【図2】上記第1の実施の形態の他の例の断面図である。
【図3】上記第1の実施の形態の手術器具用カバーを保持機に保持した状態の断面図である。
【図4】本考案の第2の実施の形態の手術器具用カバーあり、(a)は脳べらの全体に手術器具用カバーを装着した状態の断面図であり、(b)は手術器具用カバーの伸張する前の状態の断面図である。
【図5】上記第2の実施の形態の他の例の断面図であり、(a)は脳べらの全体に手術器具用カバーを装着した状態の断面図であり、(b)と(c)は手術器具用カバーの伸張する前の状態の断面図である。
【図6】上記実施の形態の手術器具用カバーを組紐式のロープ状に構成したことを例を示す平面図である。
【図7】上記実施の形態の手術器具用カバーの二重構造を示す断面図である。
【図8】本考案の第3の実施の形態の手術器具用カバーあり、(a)は腸べらに適用した例を示す図であり、(b)は腸べらに適用した例を示す図であり、(c)はピンセットに適用した例を示す図であり、(d)はメスに適用した例を示す図である。
【図9】脳べらの使用例を説明する図である。

【0012】
以下、本考案を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施の形態)
本実施の形態の手術器具用カバー1は、伸縮性の布製生地により、脳べら2の先端側が覆われている(図1(a))。手術器具用カバー1は、特にその長手方向には高い伸縮性を示し、その幅方向にも伸縮性を示す。経方向やコース方向に編み込まれた伸縮性の挿入糸が使用されている。挿入糸としては、ポリウレタン、ラテックス、エラストマー、天然ゴムのいずれか1種ないしはいずれか2種以上を用いた弾性糸からなる。経糸と緯糸は、例えばレーヨン、ポリエステル、ナイロン、アクリル、天然繊維等が用いられる。天然繊維には、綿や麻などが含まれる。そして、挿入糸の伸長率が所定の範囲に設定されて経編機等にて編成される。
ここで、伸縮力を高めるためには、ポリエステル等の弾性糸を芯糸にし、表面側をナイロンなどの糸で覆うカバードヤーンとしたものを使用できる。そして、図8(c)は、ピンセットPに本考案を適用したものであるが、ピンセットPの形状変化部Paを利用して、手術用べらのカバー1の後方側を引っ掛けて係止する。また、図8(d)は、メスMに本考案を適用したものであるが、メスMの形状変化部Maを利用して、手術用べらのカバー1の後方側を引っ掛けて係止する。
【0014】
脳や腸などの体内で使用される場合は、前記伸縮性の布製生地は、綿や麻などの天然繊維100%が好ましく、平織り、平編みで、20〜50ゲージであることが好ましい(図1(b))。ゲージ(G)とは、編物機械の1インチ間にある針の数をいう。セーターでは1.5Gから14G、メリヤス生地では20Gから28Gがよく使用され、ゲージ数の少ないほうが生地が厚いことになる。綿や麻は、脳や腸と接触しても、柔らかく接触する。また、医療用のガーゼなどにも、柔らかく接触する。本実施の形態では、20〜50ゲージのメリヤス生地では、手術の際に格段に滑り難くなり、しかも薄くて伸縮性も良好である。図1(b)に示す例は、綿100%の平織り、平編みで、20〜50ゲージで編成した実物である。この脳べら用カバー1は、その長さが約310mmであり、幅が約15mmである。
【0015】
このように編成された手術器具用カバー1は、体内の水分を透過する透過性を有する布製生地でもある。脳は、その水分が80%以上であると言われており、柔らかい豆腐のように、非常に柔らかい。このため、脳べら2の先端側を覆うゴム製(エラストマー)やナイロンやビニール製などでカバーすると、滑って操作性が悪く、脳を損傷させるおそれがある。これに対して、本実施の形態の手術器具用カバー1は、体内の水分を透過する透過性を有するので、脳外科手術に際して滑る事態が防止でき、手術に際して、体内の水分を吸収する必要なときにおいて対応することができる。そして、脳べら2の使用後に熱湯で滅菌消毒した後において、脳べらを袋状の脳べらカバーに収納して使用するので、衛生的な保管が可能である。すなわち、袋状の手術器具用カバー1で覆ってから、複数本の脳べらを並べても、隣接する脳べら2と脳べら2とが接触するようなことがない。
手術器具用カバー1の色は、白色であるが、透明、半透明などにより、脳べら2の色が視覚的に認識できるものでも良い。脳べら2の色は、黒、灰色などである。なお、白色の手術器具用カバー1を使用することで、血液の付着量や付着状態を検査することも可能である。
【0016】
ここで、本実施の形態では、上記袋状の手術器具用カバー1を二枚重ねるように使用することができ、また、上記ゴム製(エラストマー)やナイロンやビニール製のカバーとともに二重に重ねるように使用することが出来る。このとき、互いに逆方向から差し込むようにして、二重にしても良い(図7(b))。また、手術器具用カバー1の先端側1と後端側11とで伸縮性を異ならせたものを使用することもできる。例えば、手術器具用カバー1の先端側1よりも後端側11の伸縮性を高くして、脳べら2への保持力を高くして、他方、先端側1は伸縮力を弱くして、できるだけ柔らかい状態で脳に対して接触させる。また、保持する機器5で脳べら2を挟持するように保持して使用する場合があるが、保持する機器5で脳べらを保持する箇所1cでは、折り曲げて、折り曲げた二重構造の箇所1cで調節ネジ5aで把持するようにしている(図3、図7(b))。
また、図1(b)に示すように、手術器具用カバー1の先端側1aに、補強部材1bを配置して、脳べら2の先端側を強く操作するようなときでも、破れ難くすることも可能である。補強部材1bとして、その材質を手術器具用カバー1と異なる材質としたり、伸縮力等が異なるものを使用しても良い。手術器具用カバー1の表面側は、シームレスで編成されているが、内側には縫い代があっても良い。
そして、前記伸縮性の布製生地からなる手術器具用カバー12は、天然繊維を芯にして天然繊維を組紐式又はロープ状にカバーしたロープ状に構成することができる(図6(a)(b))。図6(a)は、脳べら2の後端部側2bのみを開けている例であり、図6(b)は、脳べら2の先端部側2aのみを開けている例である。脳べら2の全体を覆っても良い。組紐やロープは、その表面が凹凸が明確であるが、布製繊維の表面の凹凸が明確になり、滑り難くなり、また、伸縮性にも対応することができる。卑近な例では、電気式コタツやアイロンのコードは、組紐や、コードを内蔵するロープ状に構成されて、多様な引き出し方に対応しているので、これら既知の技術が適用できる。
本実施の形態の手術器具用カバー12では、綿や麻などの天然繊維を芯にして天然繊維で組紐式にカバーした伸縮性を有するロープ状にする。内蔵する手術器具2,3の形状等に合わせて、組紐式に編成すると良い。
【0017】
(第2の実施の形態)
図4(a)は、脳べら2を全部覆った状態のカバー11である。伸縮力を有するために、図4(b)に示すような大きさから図4(a)に大きさに伸張する。また、図5(a)は、先端側1aが先細り形状の手術器具用カバー1が脳べら2を全部覆った状態のカバー11である。伸縮力を有するために、図5(c)に示すような大きさから図5(a)に大きさに伸張する。なお、図5(b)に示す形状からでも、図5(a)のカバーとして適用可能である。本実施の形態では、脳べら2の全体を手術器具用カバー11が覆っているので、脳べら2をどのように折り曲げ操作しても、脳に対して脳べら2が直接接触することはない。
また、図7(a)〜(c)に示すように、上記二重構造にして脳べら2をカバーしても良い。図7(a)は、脳べら2の先端側を二重にしたものであり、図7(b)は、互いに反対方向から二重にしたものであり、図7(c)は、全体をカバーした後に所定箇所を更にカバーするものである。なお、三重構造等にしてもよく、更に多重構造にすることも可能である。
【0018】
(第3の実施の形態)
図8(a)は、長い楕円形状の腸べら3を、その先端側を覆った手術器具用カバー1である。全体を覆うようにしたり、後端側を除いてほぼ全体を覆うカバーとして構成しても良い。図8(b)は、断面が円弧状の腸べら3をその先端側を覆った手術器具用カバー1である。また、図8(c)は、ピンセットPの形状変化部Paを利用して、手術器具用カバー1の後方側1bを引っ掛けて係止するものであり、また、図8(d)は、メスMの形状変化部Maを利用して、手術器具用カバー1の後方側1bを引っ掛けて係止する。これらの形状変化部Ma,Paの箇所においては、手術器具用カバー11の後方側1bのみを伸縮力が強いものとして構成し(先端側とは伸縮力が異なる構造にして)、形状変化部に対して引っ掛けやすくしても良い。
【0019】
(実施例1)
綿100%で、伸長率が50〜100%になるようにして、手術器具用カバー1を製造した(図1(b))。平織り、平編みで、20〜30ゲージで編成した。そして、表面側がシームレスになるようにした袋状の手術器具用カバー1を製造した。色は白色である。
(実施例2)
ポリエステルを芯糸にし、表面側をナイロンなどの糸で覆うカバードヤーンとしたものを使用して、伸長率が100〜200%になるようにして、手術器具用カバー1を製造した。平織り、平編みで、22〜26ゲージで編成した。色は白色である。
(実施例3)
上記実施例1を脳べら2をカバーした後に、その上に実施例2を更にカバーする二重構造にした。
(実施例4)
ポリエステルを芯糸にし、表面側をナイロンなどの糸で覆うカバードヤーンとしたものを使用して、伸長率が100〜200%になるようにして、手術器具用カバー1を製造した(比較例)。白色である。そして、上記比較例を脳べら2をカバーした後に、その上に実施例1を更にカバーする二重構造にした。
【0020】
これら実施例1〜4について実験したところ、最も滑り難い構造は、実施例3であり、その次は実施例4であった。また、最も脳の水を吸収したものは、実施例3であった。一方で、最も脳に柔らかく接触したものは、実施例1であり、最も伸縮力を発揮したものは、実施例2であった。
【0021】
以上、上記各実施の形態では、長い楕円形の脳べら2と先端側が先細り形状の脳べら2に本願考案を適用した例で説明したが、本考案は脳べら2の形状の如何に関わらず適用可能である。また、メスやピンセットのほか、鉗子、剪刀、持針器等の所定箇所にも適用可能である。
【0022】
1、11、12 手術器具用カバー、
1a 先端側、1b 後端側、
1c 折り畳み箇所(二重の箇所)、1d 補強部材、1e 形状変化部、
2 脳べら、
2a 形状変化部、
3 腸べら、
3a 形状変化部、
5 保持機器、
5a 調節ネジ、
M メス、 P ピンセット、Ma,Pa 形状変化部

(57)【要約】

【課題】 脳や腸の手術に際して、脳や腸に対して優しく接触して、滑り難く、しかも衛生的な使用が可能な手術器具用カバーを提供する。【解決手段】 本考案の手術器具用カバー1は、伸縮性の布製生地により、脳べら2の所定箇所が覆われている。また、本考案の手術器具用カバー1は、体内の水分を透過する透過性を有する布製生地により、脳べら2の所定箇所が覆われている。カバー1は全体を覆う構造でも良く、伸縮性と透過性を有するものでも良い。


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