(54)【考案の名称】船舶鋼床版舗装用養生型枠

(73)【実用新案権者】日本郵船株式会社

(73)【実用新案権者】鹿島道路株式会社

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図4

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、自動車運搬船の船舶鋼床版(甲板)に適用可能な舗装に関し、より詳細には、舗装に用いられる養生型枠に関する。

【従来の技術】

【0002】
図11は自動車運搬船の一例を示しており、図11において符号Pで示す自動車運搬船は、「ランプ」と呼ばれる搬入車両の出入口を構成する部分50を有している。そして、ランプ50を開くことにより、ランプ50はスロープ52の位置となる。これにより、自動車を自動車運搬船P内に搬入し、或いは自動車運搬船Pから自動車を搬出する。
図11では、自動車運搬船Pの船尾のいわゆる「スターンランプ」50のみが示されているが、ランプ50の位置は船尾に限定される訳ではない。自動車運搬船の中央部に「センターランプ」と呼ばれるランプを設け、あるいは、その他の位置にランプを設ける場合も存在する。
【0003】
自動車運搬船Pにおける荷役作業は、ドライバーが自動車を自走して搬出入を行うロールオン/ロールオフ方式により行われる。
図12、図13において、ランプ50(図11参照)から自動車運搬船Pの船体内に搬入された自動車40は、各床版(図12では4つの床版D−1、D、D+1、D+2)間を接続するスロープ60を走行し、所定の床版の所定の場所に駐車(配置)する。
【0004】
ここで自動車運搬船Pでは、1台の船舶に出来る限り多数の自動車40を搬入して、海上輸送することが求められ、1台でも多くの自動車40を自動車運搬船P内に搬入することが求められる。
そのため、自動車運搬船P内に自動車を搬入に際しては、自動車運搬船Pの内部に、隙間なく、自動車40が配置され、最終的には、各床版間を接続するスロープ60にまで、自動車が配置(駐車)される。空いているスペースを全て有効利用して、1台でも多くの自動車40を自動車運搬船P内に搬入して運搬するためである。
【0005】
一方、自動車運搬船Pの内部では、自動車40を積載して航行するに際して、海上で揺動しても積載された自動車40が移動して衝突してしまうことがない様に、自動車40を保持する必要がある。そのため、図13で示すように、自動車運搬船Pにおいて、自動車40を配置(駐車)して保持するべき箇所(スロープ60も含む)の床面を構成する鋼板(鋼床版)には、ラッシングホール10と呼ばれる多数の貫通孔が形成されている。
自動車を保持するに際しては、図14で示すように、ラッシングベルト20の一端を自動車40に係止し、ラッシングベルト20の他端に設けたフック30をラッシングホール10に係止する。これにより、自動車40を鋼床版に捕縛、係留して、自動車運搬船Pが揺動した際に自動車40が移動することや衝突することを防止している。
【0006】
また、自動車運搬船Pにおける自動車40の搬出入の際に、自走する自動車40が滑って壁や柱等に接触することを防止するため、スロープ60(図12)等の表面に滑り止めを設ける必要がある。
当該滑り止めとして、床版に接着剤を塗布して滑り止め用の骨材を固着させることが提案されている(例えば、特開2011−20486号公報)。
図15は、自動車運搬船の船舶鋼床版1の表面に表面処理剤を塗布して表面処理層2を形成し、さらにその上に接着剤3を塗布し、接着剤3の上に骨材4を余剰に散布して接着剤3が硬化した後、余剰骨材4を取り除き、その上からトップコート5でコーティングして、滑り止め対策を施した床版の断面を示している。
【0007】
しかし、多数のラッシングホールが開口している自動車運搬船の鋼床版に骨材を固着させる場合には、施工中に散布した骨材がラッシングホールから落下してしまい、下層の床版や自動車の表面塗装にダメージを与える恐れがある。
そのため、滑り止め用の骨材を固着させて、滑り止め舗装を床版に適用するためには、接着剤を床版に塗布し骨材を散布して固着する際に、骨材がラッシングホールから落下しない様に、養生材でラッシングホールを養生する(例えば、養生型枠でラッシングホールを被覆する)必要がある。
【0008】
しかし、骨材を固着するために接着力が強力な接着剤を使用するため、養生後に養生材を剥離しようとしても、当該養生材を剥離することができなくなってしまう事態が生じる。その様な事態を防止するためには、接着剤が完全に硬化する以前の段階で養生材を床版に対して完全に分離する(所謂「縁を切る」)必要がある。
しかし、ラッシングホールの数が多く、使用する養生材が多数であるため、養生材を床版に対して完全に分離する(所謂「縁を切る」)作業には、多大な労力が必要となってしまう。
【0009】
また、ラッシングホールは、ラッシングベルトを引っ掛ける際に滑り止め舗装により作業者が怪我をする(手を擦り剥く等)ことを防止するため、その周辺部には滑り止め舗装を施さず、骨材を固着させないことが要求される。
しかし、ラッシングホールの周辺部のみ骨材を固着させないようにするためには、ラッシングホール周辺部に接着剤を塗布せず、ラッシングホール周辺部に骨材を散布しない必要があり、接着剤の塗布作業、骨材の散布作業に費やす労力が増加してしまうという問題がある。
【考案が解決しようとする課題】
【0010】
本考案は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、接着剤の硬化後に周縁部を床版に対して容易に分離する(所謂「縁を切る」)ことが出来て、接着剤の塗布作業、骨材の散布作業に費やされる労力を増加させることなく、ラッシングホール周辺部に滑り止め用骨材を固着させない様にすることが出来る船舶鋼床版舗装用養生型枠の提供を目的としている。

【効果】

【0015】
上述の構成を具備する本考案の船舶鋼床版舗装用養生型枠(6)によれば、円形状の第2の部分(6i)はラッシングホール(10)の開口面積よりも大きな面積を有しているため、船舶鋼床版舗装用養生型枠(6)がラッシングホール(10)を完全に被覆して、骨材(4)を固着させる作業中に余剰の骨材(4)がラッシングホール(10)から落下してしまうことを防止することが出来る。
また、円環状の第1の部分(6o)は円形状の第2の部分(6i)に対して分離可能であるため、床版(1)に塗布された接着剤(3)が完全に硬化する以前の段階で円環状の第1の部分(6o)を円形状の第2の部分(6i)から分離すれば、円形状の第2の部分(6i)の周縁部は床版(1)に塗布された接着剤(3)とは固着しておらず、床版(1)に残存した円形状の第2部分(6i)は床版(1)に対して完全に分離した(「縁を切った」)状態となる。
そのため、接着剤(3)が完全に硬化した後であっても、円形状の第2部分(6i)を床版(1)から容易且つ確実に剥離(除去)することが出来る。
【0016】
そのため、円環状の第1の部分(6o)は円形状の第2の部分(6i)に対して分離した後、円形状の第2の部分(6i)を床版(1)に残存させた状態で、前記接着剤(3)が完全に硬化して、余剰骨材(4)が除去され、接着剤(3)と同一材質のトップコート(5)が塗布されても、当該トップコート(5)が完全に硬化する以前であれば、円形状の第2の部分を床版から分離することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】床版に設けたラッシングホールの斜視図である。
【図2】本考案の実施形態に係る養生型枠の斜視図である。
【図3】図2と同様に本考案の実施形態に係る養生型枠の斜視図であって、第1の部分と第2の部分を切り離した状態を示す図である。
【図4】第1の実施形態において、ラッシングホールを覆うように養生型枠を床版に貼り付けた状態を示す説明図である。
【図5】プライマー塗装およびバインダー塗布工程を示す説明図である。
【図6】図5の工程の後、骨材を撒布する工程を示す説明図である。
【図7】図6の工程の後、型枠の第1の部分を除去する工程を示す説明図である。
【図8】図7の工程の後、トップコートを塗布する工程を示す説明図である。
【図9】図8に次ぐ工程図であって、型枠の第2の部分を除去する工程図である。
【図10】実施形態における作業手順を示すフローチャートである。
【図11】自動車運搬船を示す側面図である。
【図12】自動車運搬船内の各床およびスロープに自動車を駐車させた状態を示す説明図である。
【図13】自動車運搬船のスロープ部分等の鋼床版を示す斜視図である。
【図14】自動車運搬船の鋼床版に自動車を捕縛して係留した状態を示す斜視図である。
【図15】自動車運搬船の鋼床版に施工する舗装構造を示す断面図である。

【0018】
以下、図1〜図10を参照して、本考案の実施形態について説明する。
図1において、自動車運搬船P(図11)における鋼床版(以下、「床版」と記載する)1及び各床版1間を接続するスロープ60(図13)には、自動車40(図14)を床版1にラッシングベルト20(図14)で係留するための、ラッシングホール10が形成されている。
【0019】
図15で説明したように、自動車運搬船の床版1の表面は、表面処理剤(プライマー)を塗布して表面処理層2を形成し、さらにその上に接着剤3(バインダー)を塗布し、接着剤3の上に骨材4を余剰に散布して、接着剤3が硬化した後に余剰骨材4を取り除き、その上からトップコート5でコーティングして、滑り止め対策を施している。
図2及び図3において、符号6は船舶鋼床版舗装用養生型枠(以下、「養生型枠」と略記する)を示している。養生型枠6は、舗装用骨材4が上方の床版1のラッシングホール10から、下方の床版1に落下することを防止する等の理由により、滑り止め対策を施工中にラッシングホール10を覆うために用いられる。
【0020】
養生型枠6は、全体が例えば樹脂製であり、円環状の第1の部分(円環状部材)6oと、円形の第2の部分6i(円形部材)から構成されており、未使用時には図2で示すように第1の部分6oと第2の部分6iが一体となり、全体が薄い円盤状になっている。
施工過程において養生型枠6は、図3で示すように、第1の部分6oと第2の部分6iに分離される。第1の部分6oと第2の部分6iとの分離は、例えば、マイナスドライバー(図示せず)の先端を第1の部分6oと第2の部分6iとの境界部に押し込み、当該マイナスドライバーを捻る(いわゆる「こじる」操作を行なう)ことにより、実行することが出来る。
【0021】
次に、図10のフローチャートに基づき、図4〜図9をも参照して、実施形態に係る養生型枠6を用いて、滑り止め機能を持たせた船舶鋼床版舗装を実行する場合における施工手順を説明する。
図10のステップS1では、図4で示すように、床版1に形成されたラッシングホール10を被覆するように養生型枠6を貼着する。そしてステップS2に進む。
ステップS1において、養生型枠6の中心とラッシングホール10の中心とが概略一致するように貼着されることが好ましい。
ラッシングホール10にラッシングベルト20(図14)を引っ掛ける際に滑り止め舗装により作業者(図示せず)が怪我をすることを防止するため、ラッシングホール10の周辺部には骨材を固着しない様にする必要がある。詳細は後述するが、そのためには円環状の第1の部分6oがラッシングホール10と重複しない様にする必要があり、養生型枠6の中心とラッシングホール10の中心とが概略一致するように貼着すれば、第1の部分6oがラッシングホール10と重複することはない。
【0022】
ここで養生型枠6には、予め裏面(床版1と接触する面)に接着剤が塗布されている。ただし、予め裏面に接着剤が塗布されていなくても、ラッシングホール10を被覆するように養生型枠6を貼着する直前に、裏面に接着剤を塗布しても良い。
図示の実施形態の例では、ラッシングホール10の直径D10が60mm、第2の部分6i(円形部材)の直径D6iは160mmであり、第2の部分6iの直径D6iはラッシングホール10の直径D10に対して十分に大きく設定されている。そして、第1の部分(円環状部材)6oの外周の直径D6oは、例えば180mmである。この様な寸法であれば、養生型枠6の中心とラッシングホール10の中心とが多少偏奇したとしても、第1の部分6oがラッシングホール10と重複することはなく、ラッシングホール10の周辺部に骨材は固着しない。
【0023】
図10のステップS2では、図5で示すように、例えば、塗装用の刷毛Bを用いてプライマー塗装2を行う。図5の例では塗装用刷毛Bを用いているが、塗装用刷毛Bに換えて、例えば、スプレーガンその他の機器を使用することも可能である。そしてステップS3に進む。
図10のステップS3では、プライマー塗装した表面にバインダー3を公知の手段によって塗布する(バインダー3を塗布している状態は図示せず)。そして、バインダー3を塗布した表面に、図6で示すように、骨材4を、概略均一の厚さ寸法(所定の厚み)となるように撒布する。
バインダー3を塗布する際には、養生型枠6にバインダー3が付着しないように注意することが好ましいが、第1の部分6oの外周縁部或いはその近傍(外縁近傍)にはバインダー3が付着する可能性が存在する。しかし後述するように、第1の部分6oの外縁近傍にバインダー3が付着しても、養生型枠6の第2の部分6iは床版1に対して完全に分離(縁切り)することが出来る。
【0024】
図7で示すように、ステップS4では、バインダー3が完全に硬化する前に養生型枠6における第1の部分6o(環状部分)を床材1から引き剥がして除去する。そしてステップS5に進む。
ここで、骨材4の撒布の際には、養生型枠6上にも骨材4が散布される。しかし、明確には図示されていないが、養生型枠6上にはバインダー3は塗布されていないので、養生型枠6上の余分な骨材4は固定された状態ではない。また、養生型枠6上にバインダー3が塗布されていても、この養生型枠6は離型処理が施してあり、バインダー3は接着し難くなっている。そのため、ステップS4に続くステップS5では、図示しない吸引装置(掃除機等)により、養生型枠6上の余分な骨材4が回収される。そしてステップS6に進む。
【0025】
ステップS6では、図8に示すように、公知の手段S(例えば、スプレーガンや刷毛)により、床版1全面にトップコート5を塗布する。そしてステップS7に進む。
ステップS7では、図9に示すように、養生型枠6における第2の部分(円形部材)6iを床版1から引き剥がして除去する。
ステップS7において、第2の部材6iを床版1から除去した後、所定の養生時間が経過したらならば、床版1における滑り止め舗装は完成する。
【0026】
図1〜図10で示す実施形態によれば、養生型枠6における円形状の第2の部分6iは、ラッシングホール10の開口面積よりも大きな面積を有している。そのため、養生型枠6がラッシングホール10を完全に被覆して、ラッシングホール60から骨材4が下方に落下してしまうことが防止される。
また、養生型枠6における円環状の第1の部分6oは円形状の第2の部分62に対して分離可能であるので、床版1に塗布されたバインダー(接着剤)3が完全に硬化する以前の段階で、円環状の第1の部分6oを円形状の第2の部分62から分離すれば、円形状の第2の部分6iの周縁部が床版1に塗布されたバインダー3とは固着せず、第2の部分6iが床版1に対して完全に分離された状態(「縁を切った」状態)になる。
そのため、バインダー3が完全に硬化した後であっても、円形状の第2部分6iを床版1から容易且つ確実に剥離(除去)することが出来る。
【0027】
円環状の第1の部分6oは円形状の第2の部分6iから分離して床版1から除去した後、円形状の第2の部分6iを床版1に残存させた状態で余剰骨材4を除去すれば、床版1において円環状の第1の部分6oが貼着していた部分(円環状の部分)には骨材4が存在しない状態になる。係る状態でトップコート5が塗布されても、当該トップコート5が完全に硬化する以前であれば、円形状の第2の部分62を床版から容易に分離することが出来る。
すなわち、図1〜図10で示す実施形態によれば、骨材4散布後に養生型枠1を床版1から容易に除去することが出来る。それと共に、床版1において円環状の第1の部分6oが貼着していた部分(円環状の部分)には骨材が存在しないので、ラッシングホール10にラッシングベルト20(図14)を引っ掛ける際に滑り止め舗装により作業者(図示せず)が怪我をすることが防止される。
【0028】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本考案の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【0029】
1・・・船舶鋼床版
2・・・表面処理剤/プライマー
3・・・接着剤/バインダー
4・・・骨材
5・・・表面被覆剤/トップコート
6・・・養生型枠
8・・・粘着テープ
9・・・幅広の粘着テープ
10・・・ラッシングホール

(57)【要約】

【課題】接着剤の硬化後に周縁部を床版に対して容易に分離することが出来て、接着剤の塗布作業、骨材の散布作業に費やされる労力を増加させることなく、ラッシングホール周辺部に滑り止め用骨材を固着させない様にすることが出来る船舶鋼床版舗装用養生型枠を提供する。【解決手段】全体が円形に構成されており、半径方向外周縁部の円環状の第1の部分6oと、半径方向内方の円形状の第2の部分6iを有しており、円形状の第2の部分はラッシングホール10の開口面積よりも大きな面積を有しており、円環状の第1の部分は円形状の第2の部分に対して分離可能とする。


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