(54)【考案の名称】可搬型急速充電スタンドユニット

(73)【実用新案権者】デンヨー株式会社

(72)【考案者】【考案者】

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【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、電気自動車用の急速充電スタンドに関する。

【従来の技術】

【0002】
環境保全の観点から、自動車のクリーンエネルギー化の一翼として電気自動車の普及が図られている。しかし、内燃機関も搭載するハイブリッド自動車に比べて、電気自動車は航続距離が短いため、ハイブリッド自動車のようには普及が進んでいないのが現状である。
【0003】
航続距離が短い電気自動車での長距離移動では、移動途中での充電が欠かせない。しかし、市中の電気自動車用急速充電スタンドについては、高速道路のサービスエリアには比較的多く設置されているものの、一般道においては未だ設置数が少ない。また、都市部であっても設置場所に偏りがあって利用者が見つけにくいことがある。こうした状況が、電気自動車が敬遠される要因ともなっているため、電気自動車用急速充電スタンドの設置数を増すことが電気自動車の普及のために急務となっているが、当初の想定のようには増えていない。
【0004】
電気自動車の急速充電には数十kWといった大きな電力が必要であるため、電気自動車用急速充電スタンドを設置するには、急速充電装置の設備費および充電スタンド建設の工事費の他にも、商用の三相受電設備の新設あるいは増強による高額な設備費および工事費がかかる。さらに、契約電力の増加による基本電気料金の上昇は避けられない。また、商用の三相受電設備の新設あるいは増強には多大な時間を要する。このように設置者に対して大きな経済的および時間的負担がかかってしまうことも、電気自動車用急速充電スタンドの設置数が増えない一因ともなっている。
【0005】
そこで、電源と充電装置をユニット化して商用電力の受電設備工事を不要とした電気自動車用急速充電スタンドが、特許文献1に開示されている。特許文献1の技術によれば、太陽光電池と風力発電機で発生させた電力をバッテリに蓄え、インバータで三相交流電力を作り急速充電スタンドに供給して電気自動車の充電を行う。
【0006】

【効果】

【0010】
本考案によれば、商用電力の受電設備工事が不要で、短期間で容易に設置でき、充電用の出力が天候に影響されない可搬型急速充電スタンドユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本願第1の実施形態の外形略図。
【図2】本願第2の実施形態の外形略図。
【図3】本願第3の実施形態の外形略図。

【0012】
以下、本考案の電気自動車用の可搬型急速充電スタンドユニットを説明する。
図1に示すように、第1の実施形態の電気自動車用の可搬型急速充電スタンドユニット1は、鋼材を枠状に構成し上面に床板を張った共通架台2(ユニット化部材)上に、電気自動車用の急速充電装置3とエンジン駆動発電機6とを載置し、エンジン駆動発電機6から電気自動車用の急速充電装置3へ電力を供給する給電線(図示せず)を共通架台2内に収容して、電源と充電装置をユニット化した可搬型の電気自動車の急速充電スタンドを形成したものである。
なお、符号7は、エンジン駆動発電機6における基台となる部材でボンネットベースである。
【0013】
また、図2に示すように、第2の実施形態の電気自動車用の可搬型急速充電スタンドユニット1Aは、エンジン駆動発電機6のボンネットベース7(図1)に対して連結ベース71(ユニット化部材)を接続し、連結ベース71に急速充電装置3を載置し、給電線をボンネットベース7および連結ベース71内に収容して、電源と充電装置をユニット化した可搬型の電気自動車の急速充電スタンドを形成したものである。ボンネットベース7と連結ベース71との接続は、例えば、所定本数のボルトを用いた締結により実現することができる。連結ベース71を用いることで、エンジン駆動発電機6は、エンジン駆動発電機6が元々備えるボンネットベース7に連結ベース71と接続するためのわずかな追加加工を施す程度で基本的にそのまま使用できるので、製造工程での生産性や市場での流通性を向上させることができる。また、ボンネットベース7に接続した連結ベース71に急速充電装置3を載置できるようにしたので、別途の共通架台2(図1)を必要としないため、可搬型急速充電スタンドユニット1Aの全高を低くすることができる。
【0014】
また、図3に示すように、第3の実施形態の電気自動車用の可搬型急速充電スタンドユニット1Bは、エンジン駆動発電機6Aが備える、延長されたボンネットベースである延長ベース7A(ユニット化部材)の当該延長部分に電気自動車用の急速充電装置3を載置して、エンジン駆動発電機6Aから電気自動車用の急速充電装置3へ電力を供給する給電線を、延長ベース7A内に収容して、電源と充電装置をユニット化して可搬型の電気自動車の急速充電スタンドを形成したものである。
延長ベース7Aは、可搬型急速充電スタンドユニット1Bの仕様に合わせて、ボンネットベース7(図1)を延長したものである。延長ベース7Aを用いることで、別途の共通架台2(図1)を必要としないため、可搬型急速充電スタンドユニット1Bの部品点数を少なくすることと、全高を低くすることができる。
【0015】
本考案のエンジン駆動発電機6,6Aにはエンジン始動のためのセルモータ(図示せず)を駆動することを主目的としたバッテリ62を搭載している。また、エンジン駆動発電機6,6Aが備えるエンジンは、ディーゼルエンジンである。
本考案では同バッテリ62を電源とし、“運転”を指示する信号(以下、「運転信号」と称する場合がある)の有無によりエンジン駆動発電機6,6Aを始動→運転、または、運転→停止させる制御装置61(制御部)を、エンジン駆動発電機6,6Aに備える。なお、エンジン駆動発電機6,6Aの始動、運転、停止とは、エンジン駆動発電機6,6Aが備えるエンジンの始動、運転、停止を意味する。また、制御装置61は、例えば、複数の制御ユニットから構成することができ、エンジンを制御するだけでなく、エンジン駆動発電機6,6Aが備えるすべての制御対象を制御する。
【0016】
電気自動車用の急速充電装置3は電気自動車に接続する充電コネクタ4、および、充電コネクタ4を収納する充電コネクタホルダ5を備える。充電コネクタホルダ5は、充電コネクタ4が当該充電コネクタホルダ5に収まっているか否かを判定するセンサあるいはスイッチ(図示せず)を備える。
前記制御装置61と前記センサあるいはスイッチとを結ぶ信号線(図示せず)は、共通架台2(図1)内、ボンネットベース7およびボンネットベース7に接続した連結ベース71(図2)内、あるいは、延長ベース7A(図3)内に、給電線とともに収容されている。
【0017】
充電コネクタ4を充電コネクタホルダ5から取り外すと充電コネクタホルダ5に設けたセンサあるいはスイッチから“運転”信号が制御装置61に入力され、制御装置61はエンジン駆動発電機6,6Aを始動,運転させる。また、充電コネクタ4が充電コネクタホルダ5に戻されると充電コネクタホルダ5に設けたセンサあるいはスイッチからの“運転”信号の入力が途絶え、制御装置61はエンジン駆動発電機6,6Aを停止させる。
制御装置61は、充電コネクタ4の取り外しの有無により、エンジン駆動発電機6,6Aの始動、運転、停止を制御するので、利用者による電気自動車への充電操作の利便性を向上させることができる。
【0018】
充電コネクタ4を電気自動車用の急速充電装置3の充電コネクタホルダ5から取り外してエンジン駆動発電機6,6Aが始動した後、所定期間(例えば5分)を経過しても電気自動車への充電が開始されない場合には、制御装置61は、取扱ミスや悪戯などが発生したと判断してエンジン駆動発電機6,6Aを停止させる。そして、充電コネクタ4が充電コネクタホルダ5に戻されるとリセットされ初期状態に戻る。つまり、充電コネクタ4を充電コネクタホルダ5から取り外したときは、エンジン駆動発電機6,6Aが始動する状態に戻る。
制御装置61による上記制御により、作業員を介することなく、取扱ミスや悪戯などから生じる不都合(例えば、電気自動車に充電していないのにエンジンが回転し続けること、エンジンが回転し続けることによって燃料を無駄に消費してしまうこと)を未然に防ぐことができる。
【0019】
所定の操作で電気自動車への充電を開始した後、所定の充電時間(例えば、標準的な電気自動車の約80%充電ができる30分)を超過した場合、もしくはフル充電となって急速充電装置3からの充電電流が小さくなる、或いは、充電がストップしたとき、つまりエンジン駆動発電機6,6Aの出力電流が予め定めた電流値よりも小さくなった場合には、制御装置61は、エンジン駆動発電機6,6Aを停止させるとともに、次の利用者と交替を促す報知を報知部63(詳細は後記)にさせる。そして、充電コネクタ4が充電コネクタホルダ5に戻されるとリセットされ初期状態に戻る。つまり、前記所定の操作によって充電コネクタ4を充電コネクタホルダ5から取り外したときは、エンジン駆動発電機6,6Aが始動する状態に戻る。
制御装置61による上記制御(報知部63による報知)により、電気自動車への充電を行う利用者は、充電完了を容易に把握することができる。
【0020】
上述の電気自動車への充電状況は、急速充電装置3の制御装置(図示せず)やセンサ(図示せず)に依らなくても、エンジン駆動発電機6,6A側で発電機の出力電流やエンジン燃料噴射量の状況から判断することができる。よって、充電状況の管理に関して、急速充電装置3とエンジン駆動発電機6,6Aの間で信号の通信は特に必要としない。
【0021】
報知部63は、例えば、音声、発光、画面などのさまざまな出力形態をとることができる。報知部63は、エンジン駆動発電機6,6Aが備えてもよいし(図1〜図3参照)、急速充電装置3が備えてもよいし、専用機として製作して共通架台2、連結ベース71、延長ベース7Aに載置してもよい。報知部63が稼働するのに必要な電力は、エンジン駆動発電機6,6Aから供給される。
【0022】
エンジン駆動発電機6,6Aのバッテリ62を充電するために、エンジン駆動発電機6,6Aは、制御装置61のタイマ動作により所定タイミングごと(例えば1週間ごと)に始動し、所定期間(例えば20分間)経過後停止する。例えば、毎週月曜日の8時00分から8時20分まで運転するように設定できる。これにより、電気自動車への充電の操作がなされなかった期間が長期間続いたとしても、エンジン駆動発電機6,6Aのバッテリ62の充電量を所定量以上に常時維持することができる。
【0023】
もし、上記のバッテリ充電運転中に充電コネクタ4が充電コネクタホルダ5から取り外された場合は、バッテリ充電運転から所定の電気自動車充電運転に切り替わる。
なお、前記タイマ動作のために必要な回路構成は周知のものでよいため、その説明を省略する。
【0024】
制御装置61は、エンジン始動動作において、所定時間(例えば10秒)セルモータを回してもエンジンが着爆せず始動に失敗したときは、設定した時間間隔(例えば2分)をおいて再度始動動作を行うことを繰り返す。もし、所定回数(例えば3回)連続して失敗した場合には、制御装置61は、エンジン始動動作を中止する。また、制御装置61は、エンジン始動動作の中止に伴い、故障であることを発報する。発報の形態はさまざまにすることができ、例えば、報知部63による報知でもよいし、後記する通信部64を介した、遠隔地にある監視装置への通知でもよい。
【0025】
さらに、可搬型急速充電スタンドユニット1,1A,1Bに、エンジン駆動発電機6,6Aの運転状況を遠隔地にて監視する監視装置(図示せず)と通信可能に接続するための通信部64を備えることもできる。通信部64は、エンジン駆動発電機6,6Aのバッテリ62を電源として稼働する。通信部64は、エンジン駆動発電機6,6Aが備えてもよいし、急速充電装置3が備えてもよい。通信部64は、例えば、電話回線によって監視装置と通信することができる。
【0026】
エンジン駆動発電機6,6Aの運転状況は、監視装置の監視項目を用いて表すことができる。監視項目には、例えば、電流値、電圧値、周波数、電力値、電力量、排ガス温度、冷却水の温度、潤滑油の圧力および温度、発電機固定子温度、発電機軸受温度などがある。監視装置は、これらの監視項目のデータをエンジン駆動発電機6,6Aから受信して解析し、運転日誌、月報、四半期報を作成することができる。作成した運転日誌、月報、四半期報に基づいてエンジン駆動発電機6,6Aの故障予知を行うことができる。故障または異常が検出された場合、監視装置は、サービス工場内の通信装置に対して自動通報を行うことができる。これにより、故障または異常に対する早期対応が可能になる。
【0027】
さらに、可搬型急速充電スタンドユニット1,1A,1Bに、周囲の明るさに応じて自動点灯消灯する照明装置10を備えることもできる。照明装置10は、エンジン駆動発電機6,6Aのバッテリ62を電源として稼働する。照明装置10は、例えば、急速充電装置3の操作パネルや充電コネクタホルダ5を照らすことができる位置に配置される。よって、可搬型急速充電スタンドユニット1,1A,1Bが配置される場所が暗所であっても、利用者は円滑に電気自動車への充電を行うことができる。照明装置10は、例えば、LED(Light Emitting Diode)を有する装置とすることができる。これにより、エンジン駆動発電機6,6Aのバッテリ62からの放電量を適切に抑え、バッテリ上がりを防ぐことができる。
【0028】
また、共通架台2(図1)あるいは延長ベース7A(図3)の、急速充電装置3を設置した端の反対端にバランスウェイト9を内部に設け、または、ボンネットベース7(図3)の、連結ベース71が接続している端の反対端に、バランスウェイト9を取り付けるように設け、元々エンジン駆動発電機6,6Aに設けられている吊り金具8のみで1点吊りができるようにした。よって、ユニック車1台でも可搬型急速充電スタンドユニット1,1A,1Bの移動、据付作業が可能になり、可搬型急速充電スタンドユニット1,1A,1Bの設置工事を容易に行うことができる。
【0029】
本実施形態によれば、エンジン駆動発電機6,6Aを電源としているので、商用電力の受電設備を新設あるいは増強することなく一般店舗やコンビニエンスストア、道の駅(登録商標)などの駐車場や、商用電力の得にくい山間部などの道路沿いにも短期間で容易に可搬型急速充電スタンドユニット1,1A,1Bを設置することができる。また、従来のように、太陽光電池パネルや風力発電機などは用いないため、充電用の出力が天候に左右されることはない。
【0030】
また、商用電力が得られるようになった場合には、可搬型急速充電スタンドユニット1,1A,1Bにおける急速充電装置3はそのまま商用電源を用いた急速充電スタンドに転用することが可能である。また、エンジン駆動発電機6,6Aも小改造で通常用途のエンジン駆動発電機として転用が容易であるから、設置者の経済的負担を軽減することができる。
【0031】
本考案は、エンジン駆動発電機6,6Aと電気自動車用の急速充電装置3とをユニット化して予め電気自動車用急速充電スタンドを形成させてあるので、設置工事がごく短期間で済む。また、エンジン駆動発電機6,6A、電気自動車用の急速充電装置3はともにメーカのカタログ製品を小改造する程度で対応できるので、短納期で生産することができる。
【0032】
さらに、可搬型で電源(エンジン駆動発電機6,6A)と充電装置(急速充電装置3)が一体となっている特徴を生かして、スキー場の駐車場などへの季節限定の設置や、イベント会場の駐車場などへの一時的な設置も容易であり、また、レンタルによる設置も可能になる。
【0033】
本考案では、図1〜図3に示すように、電源および充電装置を、共通架台上もしくは延長ベースに搭載する形態としたが、他の形態をとることもできる。例えば、共通架台上部に鋼材を箱枠状に組んでオープンコンテナ状にしたり、コンテナ内にエンジン駆動発電機6,6Aと急速充電装置3を収納したりして、使用しない時には段積みにして保管するような格納形態をとることもできる。
【0034】
また、本実施形態の可搬型急速充電スタンドユニット1,1A,1Bは、路上でバッテリ上がりを起こした電気自動車へ緊急充電するためのロードサービスカーに搭載することも可能である。
【0035】
また、本実施形態では、エンジン駆動発電機6,6Aに搭載されているエンジンは、ディーゼルエンジンとしたが、LPG(Liquefied Petroleum Gas)やLNG(Liquefied Natural Gas)などを燃料とするエンジンであってもよい。
【0036】
なお、本考案のように電気自動車に内燃機関で発生させた電力を供給したのでは、自動車のクリーンエネルギー化に反するという見方をされることがあるが、本考案の電気自動車用の可搬型急速充電スタンドユニット1,1A,1Bと電気自動車とを組み合わせた基本的な機器構成は、ハイブリッド自動車の基本的な機器構成とほぼ同様である。また、さらに、本考案は、電気自動車用急速充電スタンドにおけるオンサイト発電に供するものであって、商用電力の多くが化石燃料によっている現状を鑑みれば、決してクリーンエネルギー化に反するものではない。
【0037】
1,1A,1B 可搬型急速充電スタンドユニット
2 共通架台(ユニット化部材)
3 急速充電装置
4 充電コネクタ
5 充電コネクタホルダ
6 エンジン駆動発電機
6A 延長されたボンネットベースを備えるエンジン駆動発電機
7 ボンネットベース(6の構成部材。)
7A 延長ベース(延長されたボンネットベース。6Aの構成部材。ユニット化部材。)
71 連結ベース(ユニット化部材)
8 吊り金具(6,6Aの構成部材)
9 バランスウェイト
10 照明装置
61 制御装置(制御部)
62 バッテリ
63 報知部
64 通信部

(57)【要約】

【課題】商用電力の受電設備工事が不要で、短期間で容易に設置でき、充電用の出力が天候に影響されない可搬型急速充電スタンドユニットを提供する。【解決手段】エンジン駆動発電機6と電気自動車用の急速充電装置3とを共通架台2に搭載し、エンジン駆動発電機6から電気自動車用の急速充電装置3へ電源供給する可搬型急速充電スタンドユニット1とした。可搬型で電源(エンジン駆動発電機6)と充電装置(急速充電装置3)が一体となっているので、商用電力の受電設備を新設あるいは増強する必要がなく、コンビニエンスストアなどの店舗の駐車場や、商用電力の得にくい山間部などの道路沿いに短期間で容易に急速充電スタンドを設置することができる。


【パテントレビュー】

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【インターネット特許番号リンク】

インターネット上にあるこの特許番号にリンクします(発見しだい自動作成):