(54)【考案の名称】芳香剤付きシート

(73)【実用新案権者】株式会社アート・ラボ

(72)【考案者】【考案者】

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【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、空気中に芳香を揮散させるために用いられる芳香剤付きシートに関する。

【従来の技術】

【0002】
生活空間を快適にするため、住宅の居室やトイレ、浴室、自動車の車室といった様々な空間の気になる臭いを抑える、いわゆる芳香剤が広く用いられている。このような芳香剤には、濾紙等に芳香成分を含浸させ、そこから揮散させる液体状芳香剤や、芳香成分を配合したゲル状樹脂からなるゲル状芳香剤等があり、特にゲル状芳香剤は容器から芳香剤がこぼれる心配がないことから、据え置き型の芳香剤として広く用いられている(例えば特許文献1)。
【0003】
一方で、近年の携帯電話やスマートフォンといった携帯型電子機器の普及に伴い、室内のみならずこうした携行品にも芳香を付して楽しみたいというユーザの要望が見込まれている。
【0004】
このような要望に対応するために考えられる芳香剤の態様として、例えば次の2つが考えられる。1つは、ストラップ等のアクセサリーの一部にゲル状の芳香剤を収容する収容部を設ける態様である。
【0005】
もう1つは、芳香成分を含む組成物(すなわち芳香剤)を紙や樹脂等のシート状の材料の表面に塗工し、これを携帯型電子機器の本体又はケースに貼付したり、これら2者の間に挟持したりする態様である。
【0006】

【効果】

【0014】
本考案の芳香剤付きシートは、芳香を生じる樹脂層が紫外線硬化性樹脂から成るため、揮発性芳香成分を含む樹脂材料の硬化時に該揮発性芳香成分が揮発することがない。このため、樹脂材料に配合した芳香成分がそのまま樹脂層に含まれることとなるので、芳香成分の配合量の調整が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本考案の第1の実施形態に係る芳香剤付きシートの断面図。
【図2】図1に示す芳香剤付きシートの使用方法を説明するための斜視図。
【図3】図1に示す芳香剤付きシートの表面側の外観例。
【図4】図1に示す芳香剤付きシートの別の使用方法を説明するための斜視図。
【図5】本考案の第2の実施形態に係る芳香剤付きシートの断面図。
【図6】本考案の第3の実施形態に係る芳香剤付きシートの断面図。
【図7】図6に示す芳香剤付きシートの使用方法の説明図。

【0016】
以下、本考案を実施するための形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の記載において、先に説明した図面と同一の機能を有する部材には同一の番号を付し、その説明を省略する。また、各部材の寸法比は説明のために適宜簡略化されており、実際の寸法比とは異なる場合がある。
【0017】
〔第1の実施形態〕
図1は本考案の第1の実施形態に係る芳香剤付きシート1の断面図である。芳香剤付きシート1は樹脂層10と基材20とから成る積層構造を有する。
【0018】
基材20は紙、布及び樹脂材料(例えばPET(polyethylene terephthalate)等)であってもよく、特に紙は印刷により様々な色や図柄を付すことが容易であることから好適である。基材20が紙で実現される場合、芳香剤付きシート1の引張・引裂強度及び後述する芳香の持続性等を考慮すると、厚さは250〜350μm程度が適している。
【0019】
樹脂層10は、モノマー(A)及びオリゴマー(B)から成る基剤、重合開始剤(C)及び界面活性剤(D)から構成される組成物に揮発性芳香成分(E)を添加したものを基材20の表面に塗工した後、波長が360nm〜370nmの紫外線(特には波長365nmの紫外線)を照射して硬化させたものである。樹脂層10は好ましくは透明又は半透明であり、これによりユーザは基材20に付された上記の色や図柄を樹脂層10を通して視認することができる。また、樹脂層10の厚さは50〜100μm程度とすることが好ましい。
【0020】
なお、基材20が紙である場合、上記の厚さで樹脂層10を形成した後、該樹脂層10を成す樹脂及び揮発性芳香成分は紙の繊維間の空隙を満たすように基材20に浸透する。そのため、完成品として得られる芳香剤付きシート1において、揮発性芳香成分は上述の樹脂層10の厚さよりもやや厚く疎に分布することとなる。これにより、揮発性芳香成分の分布領域の体積に対する表面積の比が小さくなり、また該分布領域における単位体積あたりの揮発性芳香成分の含有量が少なくなる。従って芳香剤付きシート1から芳香成分が全て揮発するまでにかかる時間が長くなり、上述の数値例の場合には2〜3ヶ月の芳香期間が実現される。このような構成は、使用時に熱を発する携帯型電子機器に付して用いる場合に芳香を長持ちさせるために有用である。
【0021】
モノマー(A)としては、ラジカル重合系の単官能アクリレートもしくは多官能アクリレート等のメタアクリルモノマーを用いることが好ましく、同様に、オリゴマー(B)としては、ラジカル重合系のエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、共重合系アクリレート、ポリブタジエンアクリレート、シリコンアクリレート等のアクリルオリゴマーを用いることが好ましい。本実施形態では、モノマー(A)として2−ヒドロキシエチルメタクリレートを、オリゴマー(B)としてウレタンアクリレートを用いた。
【0022】
重合開始剤(C)は、モノマー及びオリゴマーの種類に応じて適宜の開始剤を用いることができるが、ラジカル重合系のモノマー及びオリゴマーを用いた場合の重合開始剤としては、波長が360nm〜370nmの紫外線により容易に重合開始するアルキルフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィン系光重合開始剤、を用いるとよい。
【0023】
界面活性剤(D)は、樹脂層10の表面の仕上がりをきれいにするために用いられ、非イオン系界面活性剤が適している。
【0024】
揮発性芳香成分(E)は、紫外線照射による上記組成物の重合を阻害しないものであれば何でもよく、一般的な芳香剤に添加されている香料であれば全て用いることができる。
【0025】
なお、上記したように、(A)〜(E)成分としては種々のものを用いることができるが、特に、下記(1)〜(6)の点を考慮して(A)〜(E)成分を選定するとともに配合量を決定した。
(1)硬化速度が速いこと。
(2)溶剤を配合しなくても紫外線照射により硬化すること。これは、製造時における環境への負荷を低減するためである。
(3)(A)〜(D)成分は無臭に近い微香性であり、硬化するとほぼ無臭となること。これは、(E)成分由来の芳香に与える影響を抑えるためである。
(4)(A)〜(D)成分は液状であること。これは、(E)成分をブレンドし易くするためである。
(5)透明或いは半透明であること。これは上述したとおり、基材20に付した色又は図柄が表面側(図1において上側)から視認できるようにするためである。
(6)樹脂層10が、指や他の物品との接触により表面形状が変形したり基材20から脱離したりしない程度の硬度を持ち、且つ、揮発性芳香成分が持続して揮散すること。
【0026】
特に(6)については、(A)〜(D)成分を種々の材料及び配合量で混合し、紫外線を照射して樹脂層10を繰り返し試作することにより、適切な材料、配合量を決定した。その結果、紫外線硬化性樹脂に対する(A)〜(E)成分の配合量は、紫外線硬化性樹脂100重量部に対して、モノマー(A)は50〜70重量部、オリゴマー(B)は10〜30重量部、重合開始剤(C)は1〜5重量部、界面活性剤を0.1〜3重量部、揮発性芳香成分(E)は15〜25重量部とすることが好ましいことが分かった。
【0027】
図2に、芳香剤付きシート1の使用例として、スマートフォン100とスマートフォンケース200との間に挟持する場合の一形態例を示す。同図の芳香剤付きシート1はスマートフォン100の裏面のほぼ全体を被覆することとなるため、例えばスマートフォン100が備えるカメラのレンズ部101等を遮蔽しないよう、適宜の位置及び形状の穴11を有することが好ましい。また、使用時にユーザが基材20に付された色又は図柄を視認できるよう、スマートフォンケース200についても透明又は半透明のものを用いるとよい。
【0028】
図3に、芳香剤付きシート1の表面側の外観例を示す。本実施形態では樹脂層10は透明又は半透明であるため、芳香剤付きシート1の表面側の外観には基材20に付された色又は図柄が反映される。基材20には、同図(a)に示すように単一の色が施されてもよいし、同図(b)に示すように所定の図柄(絵画、デザイン、文字及びロゴマーク等)が施されてもよい。
【0029】
以上のように、本実施形態に係る芳香剤付きシート1によれば、樹脂材料の硬化時に熱を加えなくてもよいため、樹脂材料に添加した芳香成分が製造時に揮発することがない。従って、硬化前に添加した芳香成分の量がそのまま樹脂層10に含まれることになるため、揮発性芳香成分の配合量を容易に調整することができる。さらに、加熱処理を伴わないことから紙で基材20を実現することができるため、印刷により色や図柄等を付して芳香剤付きシート1の意匠性を高めることも容易である。また、本考案の芳香剤付きシート1は樹脂層10が固体状であり、適度な硬度を有しているため、ゲル状の芳香剤と異なり、ユーザの指や他の物品(例えばスマートフォンケース200)と接触してもこれらに付着したり表面形状が変形したりすることがない。従って、携帯型電子機器等の携行品に芳香を付すのに好適に用いることができる。
【0030】
さらに、樹脂層10に紫外線硬化性樹脂を用いることの重要な利点として、使用可能な芳香成分の質や種類の幅が広いことが挙げられる。従来の熱硬化性樹脂を用いた芳香剤では、樹脂を硬化させるための加熱処理によって全て揮発してしまったり組成の変質が生じたりするために使用できない芳香成分が多く(例えば柑橘系、ペパーミント及び天然植物精油等)、そうした成分由来の繊細な香りを実現することが難しかった。本実施形態の芳香剤付きシート1は加熱処理を伴わないため、上記のような芳香成分も問題なく使用することができる。
【0031】
また、上述で配合量を示したとおり樹脂層10の賦香率は15〜25%である。従来のゲル状の芳香剤の賦香率は高くとも10%前後であるため、本実施形態の芳香剤付きシート1は上記従来のゲル状芳香剤よりも芳香の持続期間が長くなる。また、従来のゲル状芳香剤は熱に弱いため、夏の車内等の高温な場所に放置すると溶解したり表面に液状化現象が生じたりすることがあった。一方、本実施形態の芳香剤付きシート1は140℃に加熱しても形状の変化が生じないことが本考案者による実験で確認されており、上記のような環境に放置しても、樹脂層10が溶融してスマートフォン100本体やケース200に付着するといったことがない。
【0032】
さらに芳香を楽しむための構成として、図4のように、スマートフォンケース200aに適宜の形状の穴201を設け、この穴201を通して樹脂層10又は10a中の芳香成分を空気中に揮散させるようにしてもよい。穴201の形状は芳香剤付きシート1aに付された図柄(例えばデザイン)に合わせて適宜決定されてもよい。個数についても同図のような1個には限定されず、例えばポルカドット状に複数の穴201を設けてもよい。また、穴201に代えて複数のスリットをスマートフォンケース200aに設けてもよい。これによりユーザは、穴201が設けられていないスマートフォンケース200(図2参照)よりも強い芳香を楽しむことができる。
【0033】
〔第2の実施形態〕
図5は本考案の第2の実施形態に係る芳香剤付きシート1aの断面図である。芳香剤付きシート1aは、上記第1の実施形態に係る芳香剤付きシート1において、基材20の裏面側に樹脂層10aが積層された構造を有する。
【0034】
樹脂層10aは、樹脂層10と同様に揮発性芳香成分を含む組成物であり、好ましくは樹脂層10と同一の配合比及び厚さを有する。これにより、シートに付される芳香成分の量が増大するため、ユーザが感じる芳香がより強くなる。また、揮発性芳香成分を含む樹脂は、芳香成分の揮発により体積が徐々に減少するため、上記第1の実施形態のように基材20の片面にのみ樹脂層10を塗工した場合、芳香剤付きシート1に反りが生じることがある。本実施形態に係る芳香剤付きシート1aは、樹脂層10と樹脂層10aとが基材20の両面と一体化しているため、基材20は表裏両側から同じ応力を受けることになり、上記のような反りを起こしにくいという効果もある。
【0035】
〔第3の実施形態〕
図6は本考案の第3の実施形態に係る芳香剤付きシール2(本考案の芳香剤付きシートに相当)の断面図である。芳香剤付きシール2は、上記第1の実施形態に係る芳香剤付きシート1a(本実施形態では1bの符号を付す)において、基材20の裏面側に接着剤層30と剥離部材40とが順に積層された構造を有する。
【0036】
接着剤層30は、芳香剤付きシート1b(樹脂層10及び基材20)を他の物品に貼付可能とするための接着手段であり、公知の接着剤及び粘着剤によって実現される。接着剤層30の接着力は、芳香剤付きシート1bが上述したような反りによって貼付対象の物品から剥離しない程度の強度が好ましい。剥離部材40は、接着剤層30を保護することで接着剤層30の接着力を維持するとともに、芳香剤付きシート1bが不所望の物品に誤って貼付されることを防止するものであり、例えば紙等を基材として接着剤層30と接する面にシリコーン樹脂をコーティングすることで実現される。
【0037】
図7に、芳香剤付きシール2の使用例として、剥離部材40から剥離した芳香剤付きシート1b(及び接着剤層30)を、スマートフォン100(又は図2に示すスマートフォンケース200)の裏面側に貼付する場合の一形態例を示す。同図に示すように、芳香剤付きシート1bは接着剤層30により任意の位置に貼付することができるため、小型であっても携行時の衝撃等で紛失し難く、形状の自由度は上記第1及び第2の実施形態よりも高くなる。
【0038】
〔その他の変更例〕
本考案は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本考案の趣旨の範囲で適宜変更が許容される。
例えば、樹脂層10は不透明であってもよく、該樹脂層10に任意の着色料をブレンドして有色の層とすることで上記第1の実施形態における図3(a)の芳香剤付きシート1と同様の機能を実現することができる。また、上記第3の実施形態においては、芳香剤付きシート1bの形状に特徴がある場合、樹脂層10が不透明であっても十分に高い意匠性が実現可能であると考えられる。
【0039】
また、上述の各実施形態では芳香剤付きシート1、1a及び1b並びに芳香剤付きシール2を、スマートフォン100に芳香を付す手段として説明した。しかし本考案の適用例はこれに限定されず、芳香剤付きシート1、1aを本のしおりとして用いてもよいし、芳香剤付きシール2は携帯電話等の他の携帯型電子機器、手帳等の文房具、及び化粧品の容器等、様々な物品に芳香剤付きシート1bを貼付する目的で使用することができる。
【0040】
また、上記第1の実施形態における芳香剤付きシート1、1aの形状はスマートフォン100の裏面形状と一致している必要はなく、例えばスマートフォン100よりやや小さい矩形形状や円形・楕円形及びその他の多角形状であってもよい。但し、スマートフォン100とスマートフォンケース200とにより挟持された際にレンズ部101等を遮蔽しない形状とすることが好ましい。
【0041】
1、1a、1b…芳香剤付きシート
10、10a…樹脂層
100…スマートフォン
101…レンズ部
11…穴
2…芳香剤付きシール
20…基材
200…スマートフォンケース
201…穴
30…接着剤層
40…剥離部材

(57)【要約】

【課題】携行可能な物品に持続的な芳香を付すための、芳香成分の配合量の調整が容易な芳香剤付きシートを提供する。【解決手段】本考案に係る芳香剤付きシート1は、携帯型電子機器等の携行可能な物品に貼付したり、該物品と他の物品との間に挟持したりするためのシートにおいて、シート状の基材20と、基材20の表面に塗工された、揮発性芳香成分を含む紫外線硬化性樹脂から成る固体状の樹脂層10とを備えることにより、樹脂材料の硬化時に該揮発性芳香成分が揮発することを防止し、芳香成分の配合量の調整を容易とする。


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