(54)【考案の名称】繊維製品の品質表示ラベル

(73)【実用新案権者】【実用新案権者】

(73)【実用新案権者】【実用新案権者】

(73)【実用新案権者】【実用新案権者】

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
この考案は、透明性の高い衣服、帽子、ハンドバッグ、その他の繊維製品に直接取付けて用いる繊維製品の品質表示用縫付けラベルに関するものである。

【従来の技術】

【0002】
衣服や帽子、ハンドバッグ、その他の繊維製品には品質表示が義務付けられており、そのために使用される表示ラベルの基材としては、布又は布の表面を樹脂コーティングしたフィルム状物がある。そして、品質表示ラベルは、狭く限られた面積中に小さな文字や記号を印刷表示しなければならないため、基材が布の場合は、表面が平滑となる朱子織物(サテン)や、織密度の高い平織物(タフタ)の白色布が多用されている。また、布に樹脂コーティングしたフィルム状物の場合は、肌触り、通気性、透湿性、アイロン掛けの耐熱性の面で布に劣るため、比較的肌に触れることの少ない、ジャンパーやウィンドブレーカー等のアウターウェア、及び衣料品以外の繊維雑貨品に白色のフィルム状ラベルの形態で多用されている。
【0003】
品質表示ラベルは、1995年3月1日のJIS規格改正までは、「基布は白、記号は黒又は紺、禁止を示す×印は赤」で表示するように規定されていたため、現状でも品質表示ラベル基材は白色が多用されている。そして、品質表示ラベルに関しては、印刷表示性面、着用時の違和感抑制面等でも新技術が提案されている。
【0004】
すなわち、従来例1として挙げる特開平10−187045号公報(特許文献1)の表示ラベルの基布は、鞘成分の軟化点を芯成分の軟化点より20℃以上低くした芯鞘型複合糸の単糸によって、総デニールが150d以下のマルチフィラメント糸を、経糸及び/又は緯糸の全部に用いて、経糸方向及び緯糸方向のカバーファクターの和を1200以上の布とし、鞘成分の軟化点以上、芯成分の軟化点以下の温度で、加圧下で熱セットして織物を平坦な基布とし、経緯糸の交差点の固定による使用中の目ずれ防止、及び高速度印刷を可能としたものである。
【0005】
また、図9は従来例2の正面図であって、この従来例2は、図9に示すように前身頃を構成する基布の裏面に、品質表示を直接プリントし、前身頃と後身頃との縫い合せ部分、袖と前身頃との縫い合せ部分等、各縫い合せ部分が表側になるように縫製した肌着であり、縫い合せ部分による肌への違和感を低減し、かつ品質表示ラベル自体を排除して、肌への違和感を無くしたものである。
【0006】
前記従来例1(特許文献1)の、品質表示ラベル用の基布にあっては、細デニール糸を高密度に織成したために、加圧熱セットによって織組織の間隔の詰まった、かつ糸交差点で固定された布となって、基布表面の平滑性が高く、印刷性がよく、基布をラベル寸法に切断した際にもホツレの生じない、かつ風合も比較的柔らかい基布ではあるが、光線透過率の面で何ら配慮されていないため、衣服、特に透明性の高いシースルー衣服に縫合添着すると、品質表示ラベルが目立ち易く、衣服の美観(シースルー性)を損なう。
【0007】
また、前記従来例2(図9)にあっては、品質表示を、肌着の前身頃の裏面に直接プリントするため、品質表示ラベルが目立つことは無いが、品質表示は、対象衣服毎に、その製作途中で印刷せねばならず、衣服の製造工程が煩雑となり、量産の阻害要因となる。すなわち、従来の白色布の品質表示ラベルも、衣服に添着すれば目立つものであり、近年シースルーの各種衣服が販売されているにも関わらず、適切なシースルーの品質表示ラベルは、未だ提案されていない。
【0008】
このような従来の状況に鑑み、出願人等は先に実用新案登録第3140126号(特許文献2)を提案した(従来例3)。これは衣服、帽子、その他繊維製品に直接取付ける品質表示ラベルであって、ブライトの円形断面モノフィラメント糸を用いて、全光線透過率80%以上の基布を作成し、該基布に必要な印刷を施して、基布の印刷部分以外をシースルーとしたものである。これにより透明性の高い衣服に取付けても、プリント印字の存在位置が見えるだけで、ラベル本体の基布は目立つことが無く、衣服、特にシースルー衣服の透明な美観を、品質表示ラベルで低下させることが無いようにすることができ、また通常の繊維製品に対しても、全光線透過率の高い透明な品質表示ラベルの添着は、品質表示ラベルの存在が目立ちにくく、衣服の外観の低下が抑制できる、という効果が期待できた。
【0009】
しかしながら、出願人等のその後の研究と実験によれば、基布を全光線透過率80%以上としただけでは未だ十分とは言えなかった。すなわち、見えにくさを表す指標として、全光線透過率を挙げたが、数値的には従来品に対して布タイプで2倍、フィルムタイプで3倍程度の開きしかならなかった。そのため、シースルー効果の判定がしにくく、さらに他の光線透過率も考慮して改良する余地があった。また、全光線透過率等とは別の観点からの研究も行ったところ、白色度からも同様な成果が期待できることがわかった。その結果生まれたのがこの度新たに提案する考案である。
【0010】

【効果】

【0029】
前記のようであって、この考案によれば、フィラメント糸を用いて、全光線透過率80%以上、平行光線透過率40%以上のラベル基布を作成し、該基布に必要な印刷を施して、基布の印刷部分以外をシースルーとしたので、透明性の高い衣服に取付けても、プリント印字の存在位置が見えるだけで、ラベル本体の基布は従来のものよりも目立つことが無く、衣服、特にシースルー衣服の透明な美観を、品質表示ラベルで低下させることが無いのに加え、全光線透過率80%以上としただけでは未だ十分とは言えなかった、素材ごとのシースルー効果の判定をより適確に行え、しかもデジタル化して把握することもできるという効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この考案の実施の形態における実施例1を示し、(A)はブラウスの全体外観図であり、(B)は品質表示ラベルの平面図である。
【図2】(A)は、同上のラベル基布の部分拡大平面図であり、(B)はラベル基布を構成するフィラメント糸の説明図である。
【図3】全光線透過率測定結果を示すグラフである。
【図4】平行線透過率測定結果を示すグラフである。
【図5】実施例3を示し、図2(A)と対応するラベル基布の部分拡大平面図である。
【図6】白色度試験結果を示すグラフである。
【図7】両サイドを無色又は有色の糸で縁取りした基布を示す図面である。
【図8】編物の経てメリヤス閉じ目組織を示す図面である。
【図9】従来例2の説明図である。

【0031】
この考案の実施の形態を、添付図面に示す各種の実施例を参照して説明する。なお、この実施の形態では衣服としてブラウスに適用した例で説明する。
【0032】
[実施例1]
図1(A)は、ブラウスの全体外観図であり、図1(B)は、品質表示ラベルの平面図であり、図2(A)はラベル基布の部分拡大図であり、図2(B)は、ラベル基布を構成するフィラメント糸の説明図である。
【0033】
1は衣服(ブラウス)、2は品質表示ラベルで、該品質表示ラベルはその短手方向の一端部の縫い付け部3を介してブラウス1に直接縫い付けられている。品質表示ラベル2は、ラベル基布4を有し、該基布には品質表示のための必要な印刷5が施されている。基布4は、例えば横3.5cm、縦6.5cm程度の長方形状を呈し、そのほぼ全面にわたり製品番号、サイズ、表地の素材の種類とその割合、裏地の素材の種類とその割合、等々の文字等が品質表示として例えば黒色で印刷されている。そして、印刷5部分以外はシースルーとされている。図1(B)で基布4の右隅に細い縦横線で示したのを拡大したのが図2(A)であり、この図から明らかなように基布4は、次のようにして作成される。
【0034】
経糸、緯糸共に、断面12が円形で、ブライトのモノフィラメント10、ポリエステル無撚糸の26T糸6,7で織密度100×90/インチ(経100本/インチ、緯90本/インチ)の平織布を織成した。この平織布からなる基布4は、オープニング(糸相互間の距離)、すなわち図2(A)において符号8で示す縦横にわたる空隙は、25400/メッシュ数−線径11で求めたところ、221μmであり、オープニングエリア9(空間率)は、(糸と糸との間の距離)2/(糸と糸との間の距離+線径)2で求めたところ、68%であった。
基布4の全光線透過率を測定した結果(テスト光線は、380nm(ナノメーター)〜780nmの可視光線の範囲の波長で測定)、99.2%であった。また、平行光線透過率を測定した結果、68.0%であった。これにより得られた基布は織物とは思えない程の透き通った透明感と、通気性、透湿性の大な、新領域の基布が得られた。
【0035】
次いで、該平織の基布4への印刷用インキとして、カーボンブラックを17%、BASF社製のJONCRYL61を12%、水を23%、JONCRYL J−741を45%、ワックスコンパウンドを3%で処方したインキを用い、フレキソ印刷機のセンターインプレッション型機(CI型印刷機)により、必要表示をプリントした。
【0036】
得られた基布4は、面積の7割近くが空間で占められた細い繊維の平織物であるが、MSゴシック標準サイズで文字印刷を行った後、JIS規格に準拠して、洗濯、耐光、摩擦、ホットプレッシングの各項目に就いて堅牢度試験を行った。その結果、全項目共、十分に実用的な水準であることが確認できた。この品質表示ラベル2を、従来の、朱子織及びナイロンタフタのケアラベルとともに、シースルー衣服に取付けて比較観察したところ、従来のケアラベルは、シースルー衣服に不透明なラベルの存在が際立ったが、この品質表示ラベル2は、従来のケアラベルより、遥かに目立ち難くて、存在すら見落とす程であり、シースルー衣服の美観に何ら障害とならない結果が得られた。
【0037】
通常の繊維製品に対しても、全光線透過率99.2%、平行光線透過率68.0%のラベル基布4(ポリエステル布帛(A))を用いた品質表示ラベル2の添着は、品質表示ラベルの存在が目立ち難く、衣服の外観の低下が抑制できるのに加え、平行光線透過率は68.0%と従来品に対してその格差がより拡大して鮮明となり、布タイプ(朱子織布帛)で15倍以上、フィルムタイプ(コーティング布帛)でも4倍(コーティング布帛の平行光線透過率9.5%との比較)以上の相違があるため、素材ごとのシースルー効果の判定がより適確にデジタル化して把握できる利点がある。
【0038】
[実施例2]
断面円形で、ブライトの線径100μmのモノフィラメント無撚ポリエステル糸の平織のオープニングエリア65%、オープニング(空隙)408μm、50メッシュ紗布(25×50cm)に透明ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン社製)をロールコーティングし、コーティング後に、フィルム表面にマット加工を施した。前記と同様に全光線透過率と平行光線透過率を測定したところ、全光線透過率は92.4%、平行光線透過率は9.5%であった。
【0039】
次いで、熱転写リボンD110A(墨)を、オカベマーキングシステム(株)製プリンターにより熱転写印字した。基布表面はフィルム層であるため、印刷は、従来手法でも、堅牢度の良好な結果が得られた。
【0040】
すなわち、織物とは思えない程の透き通った透明感と、通気性、透湿性の大な、新領域の基布が得られた。その結果、全光線透過率だけでは、数値的に従来品に対して布タイプで2倍、フィルムタイプで3倍程度の開きにしかならず、シースルー効果の判定がしにくかったのであるが、平行光線透過率9.5%を併用することにより、フィルムタイプ(コーティング布帛)では4倍以上、布タイプ(朱子織布帛)では15倍(ポリエステル布帛(B)の平行光線透過率49.3%との比較)以上に格差が拡大して読み取れるため、基布の透明度や印刷性に関連する繊維中の二酸化炭素の含有量、繊維の種類、太さ、断面形状、フィラメント数、撚りの状態、織物、編物の組織、空間率等のそれぞれの要因が及ぼす影響をつぶさに把握して対処し易くなる利点がある。
【0041】
図3は、全光線透過率の数値を基材別にグラフ化してわかり易く示したものである。すなわち、基材として、(1)実施例1の基布であるポリエステル布帛(A)、(2)ポリエステル布帛(B)、(3)実施例2の基布であるコーティング布帛、(4)朱子織布帛(市販品)、(5)コーティング布帛(市販品)を用いて、その全光線透過率を調べたところ、図3に示すような結果が得られた。図3においては、朱子織布帛(市販品)が39.4%、コーティング布帛(市販品)が25.0%という低い全光線透過率を示すのに対して、ポリエステル布帛(A)が99.2%、ポリエステル布帛(B)が84.2%、コーティング布帛が92.4%といずれも全光線透過率が80%以上の高い値となっている。
【0042】
図4は、平行光線透過率の数値を基材別にグラフ化してわかり易く示したものである。すなわち、基材として、(1)実施例1の基布であるポリエステル布帛(A)、(2)ポリエステル布帛(B)、(3)実施例2の基布であるコーティング布帛、(4)朱子織布帛(市販品)、(5)コーティング布帛(市販品)を用いて、その平行光線透過率を調べたところ、図4に示すような結果が得られた。図4においては、朱子織布帛(市販品)が3.1%、コーティング布帛(市販品)が2.1%という低い平行光線透過率を示すのに対して、ポリエステル布帛(A)が68.0%、ポリエステル布帛(B)が49.3%、コーティング布帛が9.5%といずれも従来品に対して4倍以上の高い値となっている。
【0043】
[実施例3]
この実施例でも、ブラウスに適用した例を示すが、ラベル基布を構成するフィラメント糸が相違する。以下にはその相違部分を図5(実施例1の図2(A)に相当)として示し、説明することとする。すなわち、経糸6’はZ(左)方向に2500回の撚りをかけた56T、フィラメント数18の異形断面糸を用いて、緯糸7’はS(右)方向に400回の撚りをかけた66T、フィラメント数4の異形断面糸を用いて、目付け54.7gのポリエステル繊維100%の平織布を織成した。この平織布からなる基布は、オープニングとオープニングエリアを実施例1と同じように求めたところ、オープニングが193μmで、オープニングエリアが42%であった。
また、基布4の白色度をJIS Z8715「近白色透明材料白度」に準拠して測定した結果、26.8であった。この数値は市販品ケアラベル用基布(朱子織)の白色度70.7に比較すると38%以下であった。
【0044】
次いで、該基布に実施例1と同じインキによりフレキソ印刷機でケアラベルとしての必要な印刷を行った。得られた基布4は、実施例1と同じように堅牢度試験を行った結果、十分な染色堅牢度が得られた。このものの白色度は前記のように26.8であり、実施例1の基布の白色度20.7より大きく、見えにくさの点では若干劣るものの、やや厚地で寸法安定性に優れ、シースルー衣裳に40mm幅、長さ55mmのサイズで取付けた場合、それほど目立たず許容できる範囲内のものであった。
前記において、「目付け」とは、織物、編物の単位面積当たりの重さであり、1m2当たりの重さg(グラム)で表す。
【0045】
図6は、白色度の数値を基材別にグラフ化してわかり易く示したものである。すなわち、基材として、(1)実施例1の基布であるポリエステル布帛(A)、(2)実施例3の基布であるポリエステル布帛(B)、(3)実施例2の基布であるコーティング布帛、(4)朱子織布帛(市販品)、(5)コーティング布帛(市販品)を用いて、その白色度を調べたところ、図6に示すような結果が得られた。図6においては、朱子織布帛(市販品)が70.7、コーティング布帛(市販品)が88.5という高い白色度を示すのに対して、ポリエステル布帛(A)が20.7、ポリエステル布帛(B)が26.8、コーティング布帛が30.9といずれも白色度が35以下の低い値となっている。
【0046】
1 ブラウス
2 品質表示ラベル
3 縫い付け部
4 ラベル基布
5 印刷
6,6’ 経糸
7,7’ 緯糸
8 オープニング(空隙)
9 オープニングエリア(空間率)
10 フィラメント
11 線径
12 断面
14 縫い付け部側端部
15,16 両サイド

(57)【要約】

【課題】品質表示ラベル用の基材自体もシースルーとして、シースルーの衣服類に取付けても、目立ちにくさでは従来のものよりもより効果のある品質表示ラベルを提供する。【解決手段】繊維製品の品質表示ラベル2は、衣服、帽子、その他繊維製品に直接取付ける品質表示ラベルであって、フィラメント糸を用いて、全光線透過率80%以上、平行光線透過率40%以上のラベル基布4を作成し、基布4に必要な印刷5を施して、基布4の印刷5部分以外をシースルーとするものである。


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