(54)【考案の名称】持ち運びが可能な災害時発電システム

(73)【実用新案権者】三菱化学株式会社

(73)【実用新案権者】中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋株式会社

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、持ち運びが可能な災害時発電システムに関し、特に太陽電池を有し、災害時に通信や照明といったインフラに関する非常用電源として使用可能な災害時発電システムに関する。

【従来の技術】

【0002】
太陽電池は、太陽光がありさえすれば発電が可能なエネルギー源である。そのため、一般家屋、ビルディングなど、様々な個所への設置が検討されている。
【0003】
また、太陽電池は太陽光により発電するものだが、太陽光が照射されている時間が限られるため、太陽光が照射されているうちに太陽電池で発電した電気を蓄電池に充電し、蓄電池に充電した電気を必要な際に供給することが可能な太陽電池システムが多数提案されている。
例えば、特許文献1には太陽電池、複数の蓄電池、充放電制御回路、及び直流の負荷を含む太陽電池システムが開示されており、複数の蓄電池を有することで蓄電池から電気を放電しながら、一方の蓄電池で充電を行うように制御回路を設けることが提案されている。
【0004】
一方、太陽電池の発電容易性を利用した、非常用電源として用いることができる可搬式の太陽電池システムも提案されている。例えば特許文献2には、太陽電池セルを蓋に設置し、本体には蓄電池を収納した可搬型太陽光発電装置が開示されている。また、特許文献3には、折り畳み式の太陽電池装置、蓄電手段、及び充電手段を備えた非常用電源システムが開示されている。
【0005】

【効果】

【0012】
本考案によれば、津波を伴う大地震などの災害に見舞われた場合であっても機能し得る、可搬式の災害時発電システムを提供することができる。特に、本体ケーシングに耐湿性を付与するために気密性を高めた場合であってもその機能を発揮できる、軽量で持ち運びが容易な可搬式災害時発電システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本考案の可搬式災害時発電システム全体の一態様を表す模式図である。
【図2】本体ケーシングと配電板の絶縁方法の一態様を表す模式図である。
【図3】本体ケーシングと配電板の絶縁方法の一態様を表す模式図である。
【図4】本体ケーシングと配電板の絶縁方法の一態様を表す模式図である。

【0014】
本考案の可搬式災害時発電システムは、太陽電池モジュール、並びに充放電制御装置、電気取出端子、及び充電端子を備える本体ケーシング、を含む可搬式災害時発電システムであって、前記太陽電池モジュールは可撓性を有し、且つ動作電圧が48V以下、動作電流が35A以下である。本考案の可搬式災害時発電システムは、このような構成を有することで、津波を伴う大地震などの災害に見舞われた場合であっても機能し得る、可搬式の
災害時発電システムとなる。
【0015】
災害時に機能する可搬式の災害時発電システムとしては、耐湿性に優れていることが要求される。津波により水をかぶった場合や、災害により屋外での避難を強いられる場合であっても、本体ケーシングが耐水性の素材からなり、本体ケーシングにおける本体部と蓋部の開閉口の気密性を高めることで、耐湿性の高い災害時発電システムとなる。
一方本考案者らは、気密性の高い本体ケーシングを採用した場合、充放電制御装置などが発する熱が本体ケーシング外に排出されず、本体ケーシング内に備えられた充放電制御装置などの電気部品に支障をきたして、災害時発電システムが機能しなくなるという問題を見出した。
【0016】
そのため、災害時発電システムが機能しなくなる状態を解決すべく検討した結果、太陽電池モジュールの動作電圧を48V以下とし、動作電流を35A以下とすることで、上記問題を解決した。なお、本明細書において動作電圧とは、災害時発電システムが期待される出力を発揮するために必要とされる電圧である。また、動作電流とは、災害時発電システムが期待される出力を発揮するために必要とされる電流である。
【0017】
災害時発電システムの本体ケーシングに備えられる充放電制御装置、電気取出端子、充電端子は、通常、電気的に接続して配電板に固定された状態で、本体ケーシング中に備えられている。太陽電池モジュールの動作電圧を48V以下とすることで、本体ケーシング中に備えられる配電板と本体ケーシングとの絶縁を、軽微な処理で容易に確保することが可能となり、太陽電池モジュールの可搬性を向上させることができ、また災害時発電システムの生産性を向上させることができる。太陽電池モジュールの動作電圧が48Vを上回る場合には、絶縁処理が複雑かつ大がかりなものとなるため、太陽電池モジュールが大型化して可搬性が低下し、また災害時発電システムの生産性が低下する。太陽電池モジュールの動作電圧は、絶縁性の観点から好ましくは40V以下、さらに好ましくは30V以下、もっとも好ましくは20V以下である。
【0018】
このように太陽電池モジュールの動作電圧を48V以下とすることで、本体ケーシング中に備えられる配電板と本体ケーシングとの絶縁を、軽微な処理で容易に確保することが可能となり、例えば次に示す絶縁処理方法により、本体ケーシングと配電板を絶縁することが可能となる。
【0019】
i)本体ケーシング中に備えられる配電板が絶縁体であることで、配電板と本体ケーシングを絶縁する。
配電板に用いられる絶縁体としては、アクリル、ポリカーボネート、ポリオレフィンなどの樹脂成形体、ガラス等が挙げられる。そのうち穴あけ加工が容易であることから樹脂成形体を用いることが好ましい。
【0020】
ii)配電板表面に絶縁層を積層することで、配電板と本体ケーシングを絶縁する。
配電板に絶縁体を用いない場合であっても、配電板表面に絶縁層を積層することで絶縁が可能である。絶縁層は、配電板の片面のみに積層してもよく、両面に積層してもよい。片面のみに絶縁層を積層する場合には、配電板の面のうち表面(電気機器を固定する側の面)に絶縁層を積層させることが好ましい。
絶縁層を形成する方法としては特段限定されず、絶縁性を有する樹脂組成物を配電板に塗布することで形成してもよく、また、フィルム状の絶縁層を接着剤等により配電板に積層してもよい。絶縁性を有する樹脂組成物に用いる絶縁性の樹脂としては、エポキシ、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドイミド、シリコン、アクリル等が挙げられ、このような樹脂を適当な溶媒で溶解し、スピンコートやスクリーン印刷など公知の塗布方法を使用することができる。また、フィルム状の絶縁層としては、エポキシ、ポリエステル、
ポリイミド、ポリカーボネート、ナイロン、フッ素樹脂等のフィルム、シートがあげられる。
絶縁層の厚さは特に制限はないが、通常5μm以上であり、好ましくは10μm以上である。また、通常1000μm以下であり、好ましくは600μm以下である。
【0021】
iii)本体ケーシングと配電板を固定する固定部材が絶縁体であることで配電板と本体ケーシングを絶縁する。
本考案の災害時発電システムは可搬式であることから、災害時発電システムの移動の際に配電板が動かないようにする必要があるため、本体ケーシングと配電板は固定部材により固定されている。固定のために用いる固定部材を絶縁体とすることでも、配電板と本体ケーシングを絶縁することが可能である。
絶縁体の固定部材としては、絶縁性の樹脂成形体からなるネジ、絶縁性樹脂からなる接着剤、配電盤をはめ込みできるようにした本体ケーシングに設けた絶縁性樹脂からなる取り付け部等が挙げられる。また、絶縁体ではない固定部材、例えば金属製のネジであっても、その表面に絶縁性樹脂によるコーティングをするなどにより絶縁性を付与したものは、本考案の絶縁体の固定部材として用いることができる。
【0022】
iv)配電板と本体ケーシングとの間に絶縁スペーサーを設けることで配電板と本体ケーシングを絶縁する。
配電板の裏面(電気機器が備え付けられていない面)と本体ケーシングとの間を密着させずに隙間を有するように配置し、その隙間に絶縁スペーサーを設けることでも、配電板と本体ケーシングを絶縁することが可能である。
絶縁スペーサーは絶縁体からなるスペーサーであれば特段限定されず、また、大きさ、個数なども適宜設定すればよい。
【0023】
なお、上記i)〜iv)で示した方法以外の方法で、配電板と本体ケーシングを絶縁することも可能であるが、本考案では太陽電池モジュールの動作電圧が48V以下と低いため、上記の簡易な方法による絶縁が好ましい。また、上記方法を適宜2種以上組み合わせて絶縁することもできる。
【0024】
また、本考案に用いる太陽電池モジュールの動作電流は35A以下である。本考案の災害時発電システムは津波を伴う大地震などの災害時にも使用することができるため、配電板を備える本体ケーシングの耐湿性や防水性が高い災害時発電システムである。要求される耐湿性としては、相対湿度90%でも24時間以上動作することが好ましく、相対湿度90%でも48時間以上動作することがより好ましい。太陽電池モジュールの動作電流を35A以下とすることで、発電による本体ケーシング内の発熱を一定量にし、本体ケーシングが備える放熱性能と耐湿若しくは防水性能を両立することができる。
【0025】
このような耐湿性を満たす災害時発電システムの本体ケーシングの気密性は極めて高い。気密性を上げるためには、ケーブルの接続や操作盤などの開口部分に防水キャップを設置したりする。そのため、本体ケーシング内の配電板から発生する熱を排出することが非常に困難となり、配電板に固定された電気部品に支障をきたすことがあった。そのため本考案者らは、太陽電池モジュールの動作電流を35A以下とすることで、このような発熱の問題を解決した。また、本体ケーシング内の配電板に固定された充放電制御装置は、規格電流によりその性能、容量などが定まってくるため、太陽電池モジュールの動作電流を35A以下とすることで、充放電制御装置が小型化・軽量化するため、災害時発電システムの可搬性が向上する。特に、ケーシング内にAC/DCインバーターを組み込んだ場合、本体ケーシング内の温度管理がより重要である。具体的にはファンなどの積極的な放熱対策をすることが好ましい。ファンの作動により、例えば外気温30℃の場合、本体ケーシング内が5℃程度低下することがわかった。具体的には、外気温(筐体周辺温度)30
℃、太陽日射強度1000W/mで使用した際、冷却ファンを動作させない場合はインバーター表面温度が60℃以上に上昇して、インバーターが強制停止するのに対し、冷却ファンを設置しファンを動作させた場合、ファンの動作前に対して筐体内部気温を約5℃低下してインバーター表面温度も59℃以上にはならず、インバーターの強制停止を回避できることを確認した。
【0026】
太陽電池モジュールの動作電流が35Aを超える場合には、本体ケーシング内に流れる電流が多くなり熱が発生し易くなる。そのため、電気部品に支障をきたして災害時発電システムが機能しなくなる場合がある。また、充放電制御装置が大型化することから災害時発電システムの可搬性が低下する。
太陽電池モジュールの動作電流は35A以下、さらに好ましくは30A以下、特に好ましくは25A以下、最も好ましくは20A以下であることが、感電防止の安全性の観点から好ましい。
また、発電した電気を効率的に放熱対策に利用するためには、本体ケーシングにファンを取り付けることが好ましい。ファンの能力は、通常0.1m/分以上、好ましくは0.15m/分以上であり、通常0.4m/分以下、好ましくは0.35m/分以下、より好ましくは0.3m/分以下である。また、ファンの換気能力はケーシングの容積に対して、10回/分以上、30回/分以下の気積を換気ができる能力が好ましく、15回/分以上、25回/分以下がより好ましい。通常、災害時発電システムの場合、ファンは太陽電池で発電した電気により動作するため、上記上限を超えるとファンの消費電力が著しく大きくなり、発電システムとして利用できる電力が極端に低下する。一方、上記下限を下回ると、放熱が不十分となるため、太陽電池モジュールの動作電流を下げ、本体ケーシング内の温度上昇を抑制する必要がある。しかしながら、動作電流の極端な低下は災害時発電システムとして不適となる。
ファンを取り付けた場合は、ケーシングの防水性能を維持するために、ファンの開口部に防滴I形相当のメッシュを取り付けるのが好ましく、通常、持ち運びの際の防水のため、防水キャップを取り付ける。また、ケーシングの防水性能を維持しつつ必要な換気を行うためには、ファンの開口部の最大径は通常20mm以上、好ましくは30mm以上、より好ましくは40mm以上であり、通常100mm以下、好ましくは80mm以下、より好ましくは60mm以下である。なお、最大径は、開口部が正方形の場合には、一辺の長さを指し、円の場合には直径を指す。ファン径は、通常18mm以上、好ましくは28mm以上、より好ましくは38mm以上であり、通常98mm以下、好ましくは78mm以下、より好ましくは58mm以下である。
【0027】
また、可搬性の観点から、本考案に用いる太陽電池モジュールの単位発電量あたりの重量は60g/W以下であり、30g/Wが好ましい。太陽電池モジュールの重量は通常3kg以下である。
本考案に用いる太陽電池モジュールは可撓性を有する。可撓性を有する太陽電池モジュールとしては、例えば薄膜型の太陽電池が挙げられる。薄膜型の太陽電池としては、薄膜型であればどのような太陽電池を用いてもよい。薄膜太陽電池の素子としては、一対の電極で発電層(光電変換層、光吸収層)を挟んだものを用いることができる。また、これらを複数個、直列又は並列に接続したものを用いることができる。
発電層としては、薄膜単結晶シリコン、薄膜多結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、球状シリコンなどのシリコン系半導体材料、CIS系、CIGS系、GaAs系などの化合物半導体材料、有機色素材料、有機半導体材料等が挙げられる。
通常太陽電池素子の膜厚は0.02μm以上500μm以下であり、好ましくは0.05μm以上300μm以下、より好ましくは0.1μm以上、100μm以下である。
【0028】
また、本考案に用いる太陽電池モジュールは、本体ケーシングと分離可能である。このような態様により、太陽電池モジュールのみを必要な電力に応じて適宜調達することも可
能であり、また分離可能なことで可搬性も向上し、さらに、太陽電池モジュール又は本体ケーシングのいずれかが故障した場合、若しくは耐用年数により劣化した場合であっても、一方のみの取り換えにより災害時発電システム全体が機能することとなり、使用性が向上する。
【0029】
本考案に用いる太陽電池モジュールは、上記太陽電池素子の他、公知の太陽電池モジュールにおいて太陽電池素子に積層されている層を有することができる。
薄膜太陽電池素子は、そのまま薄膜太陽電池として使用すると薄膜太陽電池の設置環境による性能劣化が早いため、薄膜太陽電池素子は通常、その周りを封止層にて覆われており、また、封止層の受光面側に耐侯層を設ける態様が好ましい。
【0030】
耐侯層としては、その材料の例を挙げると、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド−イミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
【0031】
中でも好ましくはフッ素系樹脂が挙げられ、その具体例を挙げるとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4−フッ化エチレン−パークロロアルコキシ共重合体(PFA)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ3−フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。耐侯層にフッ素系樹脂を採用することで、雨水による自己洗浄効果も発現するため、太陽電池モジュールからの目的とする出力特性を安定して得ることができる。
【0032】
また、本考案の太陽電池モジュールは太陽光にさらされるものであり、耐侯層は耐熱性を有していることが好ましい。そのため、耐侯層の構成材料としては、その融点が通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下の材料を使用するべきである。加えて、耐候層に、紫外線遮断、熱線遮断、防汚性、防曇性、耐擦性、導電性、反射防止、防眩性、光拡散、光散乱、波長変換、ガスバリア性等の機能を付与してもよい。特に、太陽電池モジュールは太陽光からの強い紫外線にさらされるので、耐候層に、紫外線遮断機能を持たせてもよい。紫外線遮断機能を有する層を塗工製膜等により耐候層上に積層したり、紫外線遮断機能を発現する材料を溶解・分散させるなどして耐候層に含有させることにより、紫外線遮断機能を耐候層に付与できる。
【0033】
また、耐侯層は日光の透過率が高い方が、より多くの発電量を得ることができるため、耐侯層の日光透過率が通常75%であり、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。なお、耐候層は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。また、耐候層は単層であってもよく、2層以上の積層体であってもよい。また、耐候層は、他の層との接着性の改良のために、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を行なってもよい。
【0034】
また、耐侯層の厚みは特に限定されないが、樹脂材料の場合には、通常10μm以上、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。
加えて、耐候層は、太陽電池モジュールにおいてできるだけ外側に設けることが好ましい。太陽電池モジュールの構成部材のうちより多くのものを保護できるようにするためで
ある。したがって耐候層は太陽電池モジュールの最表面に設けておくことが好ましい。
【0035】
封止層は、薄膜太陽電池素子の周囲に配置され、薄膜太陽電池素子を保護するものである。構成材料としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルム、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体などのポリオレフィン樹脂フィルム、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、合成ゴム等を使用できる。なお、各封止層は、1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されてよい。また、各封止層は、単層フィルムであっても、2層以上のフィルムであっても良い。
【0036】
薄膜太陽電池素子の受光面側に設ける封止層としては、発電量が低くなることを防止するために、光透過率が高いものが好ましい。通常、封止層の日光透過率が75%であり、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。当然、薄膜太陽電池素子の受光面と反対側に設ける封止層は、光を透過するものである必要はなく、不透明なものであってもよい。
【0037】
さらに、封止層も耐侯層と同様に耐熱性を有するものであることが好ましい。封止層の構成材料としては、その融点が通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下のである。
【0038】
また、各封止層の厚みは特に限定されないが、通常50μm以上、好ましくは100μm以上、より好ましくは150μm以上であり、また、通常1000μm以下、好ましくは800μm以下、より好ましくは600μm以下である。封止層に、紫外線遮断、熱線遮断、導電性、易接着性、防眩性、光反射、光拡散、光散乱、波長変換、ガスバリア性等の機能を付与してもよい。特に、太陽電池モジュールは太陽光からの強い紫外線にさらされるので、太陽電池素子の受光面側の封止層には、紫外線遮断機能を持たせることが好ましい。なお、紫外線遮断機能の封止層への付与は、紫外線遮断機能を有する層を塗工製膜等により封止層上に積層することや、紫外線遮断機能を発現する材料を溶解・分散させるなどして封止層に含有させることにより行うことができる。
【0039】
更に、本考案に用いる太陽電池モジュールは、解放電圧が24V以上であることが好ましい。本明細書において解放電圧とは、太陽電池モジュールが災害時発電システムの本体ケーシングと接続していない場合の、太陽電池モジュールの接続部の電圧をいう。
太陽電池モジュールの解放電圧が24V以上であることで、本考案の災害時発電システムが二次電池を備えた場合に、二次電池の充電時間を短縮できることから好ましい。また、充電時間が短縮されることから、災害時発電システムを屋外に曝す時間を短縮することができる。好ましくは、太陽電池モジュールの解放電圧が30V以上である。
【0040】
本考案の可搬式災害時発電システムは、充放電制御装置、電気取出端子、及び充電端子を備える本体ケーシングを有する。本体ケーシングは通常の人が運搬可能であり、少なくとも充放電制御装置、電気取出端子、及び充電端子が収納可能であればその形状、材質など特段限定されない。材質としては可搬式であることから軽量であることが好ましく、プラスチック、ステンレス、アルミニウム、金属ガラスなどが好ましい。このうち、アルミニウム材を少なくともその一部に有すると、本体ケーシングの内部の熱がアルミニウムを伝って外部に排出されるため、より好ましい。
【0041】
また、本体ケーシングは、把持部を有する鞄形状である場合には、持ち運びが容易となり好ましい。また、鞄形状であることから、本体ケーシングの本体部と蓋部との開閉口が大きいため、メンテナンスが容易である。また、可搬性を向上させるため、本体ケーシングのサイズは縦横ともに70cm以下、厚さ20cm以下とすることが好ましい。また、
本体ケーシングの重量は通常6kg以下である。
【0042】
本体ケーシングは、充放電制御装置、電気取出端子、及び充電端子を備えるが、通常これらが電気的に接続して配電板に固定される。そして配電板は、移動の際に動かないように、本体ケーシングに固定されて接触することとなるが、感電することを防ぐために配電板に絶縁処理がされる。絶縁処理については先に述べたように、本考案の災害時発電システムでは簡易な方法により行うことができる。
【0043】
配電板に備えられる充放電制御装置は、太陽電池モジュール、電気取出端子、及び充電端子と電気的に接続しており、充電端子を介した二次電池への充電、および二次電池からの電気の出力を制御する。充放電制御装置は、充放電を制御できる機能を有し、本体ケーシング中に収納可能であれば、特段制限されるものではない。
【0044】
配電板に備えられる充電端子は、蓄電機能を有する装置と接続可能な端子である。蓄電機能を有する装置としては、通常二次電池が挙げられる。二次電池の種類は特段限定されず、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ニッケルカドミウム電池などが挙げられる。二次電池の容量は、大きすぎると持ち運びが大変になることから、1200Whr以下であることが好ましく、600Whr以下であることがより好ましい。一方、容量が小さすぎると、災害時に使用する電気機器に対して十分な電力を供給できないため、6Whr以上であることが好ましく、10Whr以上であることがより好ましい。
また、可搬性の観点から二次電池は20kg以下であることが好ましく、15kg以下であることがより好ましい。
【0045】
また、充電端子は1つのみであっても複数あってもよいが、24V及び/又は12Vの充電端子を有することが好ましい。24V及び12Vの充電端子は、自動車のバッテリーと接続が可能であり、災害時に自動車が近くに存在する場合には、そのバッテリーと接続することで、バッテリーに蓄えられていた電気を使用することが可能となり、また、太陽電池モジュールが生み出した電気を、車のバッテリーに蓄えることも可能である。
【0046】
配電板に備えられる電気取出端子は、直流電気出力端子であっても交流電気出力端子であってもよく、また複数備えられるのが好ましい。電気取出端子との接続可能な電気機器の多様化の観点から直流電気出力端子及び交流電気出力端子の両方を備えることが好ましい。交流電気出力端子を備える場合には、二次電池から取り出す直流電気を交流電気に変換するためのインバーターを備える必要がある。インバーターは特に限定されないが、軽量で小型のものが好ましい。
【0047】
直流電気出力端子には、LEDランプ、自動車バッテリーなどを接続することができる。また、交流電気出力端子には、モバイルパソコン、携帯電話充電器、携帯懐中電灯、照明、ラジオ、工具などを接続することができる。特に、夜間の災害時には明かりが重要であり、また、小さな必要電力で十分な明かりを確保することができることから、LEDランプを本考案の本体ケーシングのうち、空きスペースに別途備える態様が好ましい。
【0048】
以下、本考案の具体的態様について、図面を用いてより詳細に説明するが、本考案がこのような具体的態様にのみ限定されないことはいうまでもない。
【0049】
図1は、本考案の可搬式災害時発電システムの全体図を示す概念図である。災害時発電システム1は、太陽電池モジュール2と本体ケーシング3からなる。太陽電池モジュール2は可撓性であり、軽量で、コンパクトに畳んだり丸めたりすることが可能である。そのため、災害時発電システム1を可搬式とすることが可能となる。また、二次電池10を備えることは本考案における好ましい態様であるが、二次電池も軽量なものとすることで、
太陽電池モジュール2、本体ケーシング3、二次電池10をまとめた災害時発電システム1を可搬式とすることができ、災害時における避難の際に携帯することも可能となる。
【0050】
太陽電池モジュール2は、太陽電池モジュール接続端子8を介して本体ケーシング3と接続され、本体ケーシング3は、少なくとも充放電制御装置4、交流電源端子6又は直流電源端子7などの電気取出端子、及び充電端子9を備える。図1には図示しないが、充放電制御装置4、電気取出端子、及び充電端子9は電気的に接続され、配電板33に固定される。
【0051】
本考案の太陽電池モジュール2は、動作電圧が48V以下であるため、本体ケーシング3に配電板33を固定する際に必要となる、配電板33と本体ケーシング3との絶縁を、軽微な処理で容易に確保することが可能となる。その具体的な態様を図2〜図4に示す。
【0052】
図2は、本体ケーシングを把持部側から見た側面図であり、絶縁層により配電板と本体ケーシングとを絶縁する態様である。配電板33と充放電制御装置4との間には、絶縁層35を備える。絶縁層35を、配電板上の電気機器と配電板との間に積層することで、配電板33と本体ケーシング3とを絶縁する。これにより、可搬時に本体ケーシング3から感電することを防ぐ。
絶縁層35を形成する方法としては特段限定されず、絶縁性を有する樹脂組成物を配電板33に塗布することで形成してもよく、また、フィルム状の絶縁層35を接着剤等により配電板33に積層してもよい。絶縁性を有する樹脂組成物に用いる樹脂としては、エポキシ、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドイミド、シリコン、アクリル等が挙げられ、このような樹脂を適当な溶媒で溶解し、スピンコートやスクリーン印刷など公知の塗布方法を使用することができる。また、フィルム状の絶縁層としては、エポキシ、ポリエステル、ポリイミド、ポリカーボネート、ナイロン、フッ素樹脂等のフィルム、シートがあげられる。
【0053】
図3は、本体ケーシングを把持部側から見た側面図であり、固定部材により絶縁する態様である。絶縁体である固定部材36を用いることで配電板33と本体ケーシング3を絶縁する。
固定部材36は、図3のようにネジのような貫通式の固定部材であってもよく、接着剤などでもよい。また、絶縁体ではない固定部材、例えば金属製のネジであっても、その表面に絶縁性樹脂によるコーティングをすることなどで絶縁性を付与したものを用いてもよい。
【0054】
図4は、本体ケーシングを把持部側から見た側面図であり、絶縁スペーサーにより絶縁する態様である。絶縁スペーサー38を用いることで配電板33と本体ケーシング3を絶縁する。
【0055】
配電板33に固定される充放電制御装置4は、太陽電池モジュール2で発電した電気の二次電池10への充電、及び二次電池10からの電気取出端子を介した電気機器への電力供給、を制御する。二次電池10からの電気は直流電気であるため、交流電源端子を設ける場合には、インバーター5を介して直流電気を交流電気に変換し、交流電源端子から交流電気を供給する。
【0056】
交流電源端子6は、モバイルパソコン、携帯電話充電器、携帯懐中電灯、照明、ラジオ、工具などを接続することができ、直流電源端子7は、LEDランプ、自動車バッテリーなどを接続することができる。特に、夜間の災害時には明かりが重要であり、また、小さな必要電力で十分な明かりを確保することができることから、LEDランプ11を本考案の本体ケーシング3のうち、開きスペースに別途備える態様が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本考案の災害時発電システムは、十分な耐湿性を備えても、発熱によりその機能を失うことはなく、災害時の非常用の電源システムとしての利用が可能である。
【0058】
1 可搬式災害時発電システム
2 可撓性太陽電池モジュール
3 本体ケーシング
31 ロック
32 把持部
33 配電板
35 絶縁層
36 固定部材
37 空隙
38 絶縁スペーサー
4 充放電制御装置
5 インバーター
6 交流電源端子
7 直流電源端子
8 太陽電池モジュール接続端子
9 充電端子
10 二次電池
11 LEDランプ

(57)【要約】

【課題】津波を伴う大地震などの災害に見舞われた場合であっても機能し得る、可搬式の災害時発電システムを提供する。【解決手段】太陽電池モジュール2、並びに充放電制御装置4、太陽電池モジュール接続端子8、及び充電端子9を備える本体ケーシング3、を含む可搬式災害時発電システム1であって、本体ケーシング3と分離可能な太陽電池モジュール2を軽量化しコンパクトとするためフレキシブルなものとし、且つ動作電圧を48V以下、動作電流を35A以下、とする。


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