(54)【考案の名称】太陽電池モジュール,太陽電池アレイ

(51)【国際特許分類】

H01L 31/042

(73)【実用新案権者】株式会社不二製作所

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は太陽電池モジュール及び太陽電池アレイに関し,より詳細には,保護カバーの表面に装飾模様や,文字,図形,記号等の情報を表示した太陽電池モジュール又は太陽電池アレイに関する。
【0002】
なお,本明細書において「太陽電池モジュール」とは太陽電池のセルを必要枚配列して,樹脂や強化ガラスなどの保護カバーで保護してパッケージ化したものを言い,また,「太陽電池アレイ」とは,前述した太陽電池モジュールを更に複数枚直列あるいは並列に接続して配列したものを言う。

【従来の技術】

【0003】
環境問題に対する社会の関心が高まりつつある今日において,環境に対する負荷の少ない水力,風力,地熱,波力,太陽光等といった「自然エネルギー」あるいは「再生可能エネルギー」と呼ばれるエネルギーの利用が注目を集めている。
【0004】
このような自然エネルギー利用の一環として,今日,太陽光エネルギーを利用して発電を行う太陽光発電が盛んに行われるようになっており,採石場,塩田,廃棄物最終処分場の跡地等を利用して大規模な商業発電を行うメガソーラー発電や,住宅や公共建築物の屋上,屋根,壁面等に設置した太陽電池アレイによって自家発電等を目的として行う比較的小規模の発電,その他,街路塔,警告灯,道路標識,街路時計等における独立した電源として太陽電池を備えた屋外設置機器も普及しており,日常生活において太陽電池のモジュールやアレイを目にする機会も増えている。
【0005】
このような太陽電池は,太陽光を受けて発電するものである以上,物陰に設置することはできず,前述したように採石場跡地や塩田跡地等のような開けた土地,建物の屋根や屋上,壁面等の高所,路肩に立設した街灯やポール等に取り付けられる等,比較的人目に付き易い場所に設置される。
【0006】
そのため,このような太陽電池モジュールや太陽電池アレイに対し,発電装置としての機能のみでなく,その表面に装飾模様を施し,或いは店名,広告,市区町村名,道案内等の文字,図形,記号等から成る情報を表示して,看板あるいは情報の表示媒体としての機能を持たせることができるようにすることの要望も存在している。
【0007】
このように,太陽電池モジュールや太陽電池アレイに対する装飾として,あるいは太陽電池モジュールや太陽電池アレイに看板や表示媒体としての機能を発揮きさせるために,太陽電池モジュールの保護カバーにスクリーン印刷等を用いてドット等の表示パターンを印刷することが提案されている(後掲の「先行技術文献1」参照)。
【0008】

【効果】

【0022】
以上で説明した本考案の構成により,本考案の太陽電池モジュール1又は太陽電池アレイ10によれば,以下の優れた効果を得ることができた。
【0023】
太陽電池モジュール1の保護カバーの表面の一部に,硬質微粒子の衝突によって形成された,高さのばらつきが所定の範囲に調整された微細な凹凸が形成された凹凸部21を設け,前記保護カバー2上における前記凹凸部21と未処理部22の外観の相違により,所定の装飾模様,及び/又は,文字,図形,記号等の情報を表出させたことで,太陽電池モジュールを装飾模様や情報の表示媒体として利用することができた。
【0024】
また,同様に保護カバー2の全部又は一部に凹凸部21が形成された太陽電池モジュール1a,1bを複数組み合わせることにより,又は,凹凸部21が形成された太陽電池モジュール1aと,凹凸部21を備えていない太陽電池モジュール1cとを組み合わせることにより,太陽電池アレイ10についても,装飾模様や情報を表示する大型の表示媒体として使用することができた。
【0025】
また,上記のようにして装飾を施し,及び/又は情報を表示することで,同時に,保護カバー2表面の防眩,防汚を図ることができると共に,太陽電池モジュール1の発電効率の向上,放熱性の向上,及び,降雪時における積雪の防止という効果を同時に得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本考案の太陽電池モジュールの平面図,
【図2】本考案の太陽電池モジュールの要部断面図,
【図3】本考案の太陽電池アレイの概略斜視図,
【図4】凹凸部における光の入射,反射,透過の様子を示した説明図,
【図5】凹凸部における防汚原理の説明図である。

【0027】
次に,本考案の実施形態につき添付図面を参照しながら以下説明する。
【0028】
図1中,符合1は,本考案の太陽電池モジュールである。
【0029】
この太陽電池モジュール1は,図2に示すように,背面板6上に太陽電池のセル3を必要枚配列してインターコネクタ4で接続すると共に,このようにして配列されたセル3の前面を,樹脂や強化ガラスなどの透明な材料で形成された保護カバー2で覆うと共に,フレーム5で固定してパッケージ化したもので,その表面は,前述した保護カバー2によって覆われている。
【0030】
本考案の太陽電池モジュール1にあっては,この保護カバー2の表面に硬質微粒子を衝突させることにより形成した微細な凹凸が形成された部分である凹凸部21を設けることで,保護カバー2上の凹凸部21が形成された部分と,このような凹凸が形成されていない,平坦な状態に維持された未加工部22との外観の相違により,所定の幾何学模様や連続模様等の装飾模様や,文字や図形,記号等の情報を表示できるようにした。
【0031】
なお,このような装飾模様や情報は,図1に示すように単一の太陽電池モジュール1の保護カバー2上に,未処理部22(図1の例では文字部分)と凹凸部21(図1の例では文字以外の網掛けで示す部分)を同時に設けることで,単一の太陽電池モジュール1のみで完結する模様や情報を表示するものとしても良く,又は,図3中に凹凸部21を網掛けで示すように,保護カバー2上の全面に凹凸部21が形成された太陽電池モジュール1a,保護カバー上の一部に凹凸部21が形成された太陽電池モジュール1b,及び,凹凸部21が全く形成されていない太陽電池モジュール1cを組み合わせて太陽電池アレイ10を形成し,この太陽電池アレイ10の表面全体で,連続模様や幾何学模様,キャラクター図形等の装飾模様や,文字,図形,記号等からなる情報を表示できるようにしても良く,一例として,図3では,メガソーラーを構成する太陽電池アレイ10の全体で,キャラクター図形を表示している。
【0032】
このような装飾模様や,文字,図形,記号等からなる情報を表出可能とする前述の凹凸部21は,前述したように,保護カバー2の表面に対し硬質微粒子を衝突させることにより形成することができ,このような硬質微粒子の衝突に使用する機器としては,サンドブラスト処理やショットピーニング処理を行う際に使用されている,既知のブラスト加工装置を使用することができる。
【0033】
このようなブラスト加工装置としては,既知の各種の構成のものが使用可能で,遠心力によって投射材を投射する遠心式,回転するインペラによる打撃によって投射材を投射するインペラ式,圧縮気体と共に投射材を噴射するエア式等の各種方式のものを使用可能であり,本実施形態にあっては,一例としてエア式のブラスト加工装置を使用して凹凸部21を形成した。
【0034】
保護カバー2の一部に対し前述の凹凸部21を形成する場合には,凹凸を形成しない,未処理部22として残す部分をマスク材によってマスキングして,硬質微粒子の噴射を行い,凹凸部21を形成する。
【0035】
噴射する硬質微粒子としては,一例としてセラミック系の砥粒として市販されているアランダム(アルミナ),ホワイトアランダム(高純度アルミナ),カーボランダム(炭化ケイ素)緑色カーボランダム(炭化ケイ素)等を使用することができ,粒径#800〜#6,000(平均粒子径4〜12μm)のグリッドあるいはショットを使用することができる。
【0036】
形成する凹凸は,高さのばらつきが,前記凹凸部21を所定サイズの微小な区画に分割して各区画の凹凸における谷の最深部からの高さを測定して得た測定値から成る母集団の最頻値の確率密度が10〜30%で,且つ,標準偏差σが0.6μm以下となるように形成する。
【0037】
このような凹凸のばらつきの測定は,例えば,凹凸面を撮影した画像の1ピクセルに対応した区画毎の高さを求めることにより行うことができ,一例として本実施形態にあっては,凹凸部21を撮影した1000倍画像における1ピクセルに対応した区画,一例として実際の凹凸部21における0.2913μm四方の正方形の区画を測定して求めた。
【0038】
また,形成する凹凸は,Raで0.5μm以下,好ましくは0.3μm以下,より好ましくは0.23μm以下,又はRzで3μm以下,好ましくは2μm以下,より好ましくは1.6μm以下であり,また,平行透過率が20%以上,ヘイズ値20〜70%であると共に,反射率が全角度において7%以下とすることが好ましい。
【0039】
一例として,本実施形態にあっては,このような凹凸部の形成を,以下の加工条件によって得た。
【0040】
【表1】[fig000003]


【0041】
以上のようにして,凹凸部21を形成することで,本考案の太陽電池モジュール1又は太陽電池アレイ10にあっては,未処理部22との視覚上の相違によって所望の幾何学模様や連続模様,文字,図形,記号,及びこれらの組み合わせからなる装飾模様や情報を表示することができるだけでなく,以下の効果が得られることが確認された。
【0042】
〔防眩及び発電効率の向上〕
図4(A)に示すように,平坦に形成された保護カバーの表面では,入射した光の一部は正反射して,反射後においても平行光線となるために,このような反射光が視界に入ると不快な眩しさを感じる。
【0043】
また,保護カバーの表面で反射した反射光は,保護カバーの下層に配置された太陽電池のセルに対し入射することがなく,発電に利用することができない。
【0044】
これに対し,本願考案のように硬質微粒子の衝突によって保護カバーの表面に微細な凹凸を形成した構成では,図4(B)に模式的に示したように,保護カバーの表面に入射した太陽光のうち,凹凸の側面に入射した光は下向きの反射光を生じさせることとなるため,この反射光は視界に入ることがなく,不快な眩しさが低減される。
【0045】
しかも,このように下向きの反射光が生じる結果,この反射光は保護カバーを透過して,その下層に配置された太陽電池のセルに到達することができるようになっていることから,従来の太陽電池モジュールでは発電に利用できなかった反射光についても発電に利用することができるものとなっており,防眩の作用が得られるのみならず,発電効率の向上が得られるものとなっている。
【0046】
〔防汚〕
一般に,防眩等の目的で保護カバーの表面に凹凸を形成した場合,凹凸面は平坦面に比較して汚れが付き易く,しかも,一旦汚れが付着すると,降雨等によって洗い流され難いものとなる。
【0047】
また,一旦付着した汚れは除去されずに堆積していくことから,付着した汚れが保護カバーの透光率を低下させ,発電効率を低下させる原因となる。
【0048】
しかし,本考案の太陽電池モジュールにおいて,保護カバー2の表面に設けた凹凸部にあっては,凹凸を形成したことでむしろ汚れが付き難く,また,降雨等により汚れが洗い流され易いものとなっていることが確認されており,前述した装飾や情報の表示,防眩の効果のみならず,防汚効果をも付与できるものであることが確認された。
【0049】
このような効果が得られる理由については必ずしも明らかではないが,一般に凹凸を形成した表面に対し汚れが付き易く,且つ,一旦付着した汚れが除去し難い原因は,汚染の原因となる物質の粒子が,凹凸に形成された表面の凹部内に入り込むことにより生じるものと考えられる。
【0050】
これに対し,本願の太陽電池モジュールにおいて保護カバーの表面に形成した凹凸は微細なものであるために,図5に模式的に示すように汚染物質である微粒子は,凹凸部21に形成された凹部内に入り込むことができずに山頂間に点で支えられた状態で付着することとなるため,保護カバー2の表面との接触面積が小さく,容易に除去できるため,汚れが付きにくいものと考えられる。
【0051】
また,汚染物質の粒子は,山頂間に点で支えられた状態で付着していることから,降雨等により保護カバーの表面が濡れた際,水が保護カバー表面の凹部内にも流れ込み,また,保護カバーの表面を流れる水が凹凸に衝突して複雑な流れを形成するために,汚染物質の粒子を浮かせて洗い流す,「セルフクリーニング」とも呼べるような効果が得られるものと考えられる。
【0052】
〔放熱〕
保護カバー2には前述した凹凸部21が設けられたことで,表面積が大幅に増大している。その結果,保護カバーを介した放熱性が向上し,セルの冷却性能が向上し,この点も発電効率の向上に貢献しているものと考えられる。
【0053】
また,このように保護カバーを介した放熱が促進するため,比較的少量の降雪であれば,保護カバー上に落下した雪は発電時におけるセルの発熱によって溶けるため,保護カバー上への積雪が生じ難いものとなっている。
【0054】
〔除雪〕
前述した凹凸部を保護カバーの一部に形成した本考案の太陽電池モジュール1や太陽電池アレイ10にあっては,激しい降雪によって保護カバー上に雪が積もった場合であっても,積もった雪が落下し易くなっていることが確認できた。
【0055】
このような,雪の落下が生じ易くなっている原因については必ずしも明らかではないが,太陽電池モジュール1,あるいは太陽電池アレイ10上に形成された凹凸部21と,このような凹凸が存在しない未処理部22とが併存していることで,雪との接触抵抗が異なる部分が混在することで,雪が保護カバー上に留まろうとするバランスが崩れやすくなっている結果,雪を落下させ易い構造が得られているものと考えられる。
【0056】
〔耐久性〕
このように,保護カバー2に前述した凹凸部21を設けることで,本考案の太陽電池モジュール1や太陽電池アレイ10では,これらに装飾模様を施し,又は,これらを情報の表示媒体として利用できるだけでなく,前述した防眩,防汚,放熱,除雪等の機能を付与できると共に,発電効率の向上についても得られるものとなっている。
【0057】
しかも,これらの機能は,保護カバーの表面に直接,凹凸部を形成することにより得られるものであることから,反射防止フイルムの貼着やコーティング剤の塗布等によってこれらの機能を付与する場合のように,経時に伴う効果の低下が無く,前述した機能を反永久的に発揮させることができるものとなっている。
【0058】
1 太陽電池モジュール
1a 太陽電池モジュール(凹凸部を全体に形成)
1b 太陽電池モジュール(凹凸部を一部に形成)
1c 太陽電池モジュール(凹凸部の形成なし)
2 保護カバー
21 凹凸部
22 未処理部
3 太陽電池のセル
4 インターコネクタ
5 フレーム
6 背面板
10 太陽電池アレイ



(57)【要約】

【課題】表面に模様や情報が表示されていると共に、防眩性、防汚性、放熱性、除雪の機能が付与された保護カバーを備える太陽電池モジュール及びそれを用いた太陽電池アレイを提供する。【解決手段】太陽電池モジュール1の保護カバーの表面の一部に、硬質微粒子の衝突によって微細な凹凸が形成された凹凸部21を設け、前記凹凸部21と未処理部22の外観の相違により保護カバーの表面に装飾模様及び/又は情報を表示する。前記凹凸部21に形成される凹凸は、前記凹凸部21を所定サイズの微小な区画に分割して各区画の凹凸における谷の最深部からの高さを測定して得た測定値から成る母集団の最頻値の確率密度が10〜30%で、且つ、標準偏差σが0.6μm以下のばらつきとなるように形成する。


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