(54)【考案の名称】インクカートリッジ

(73)【実用新案権者】エステー産業株式会社

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、印刷装置に装着されるインクカートリッジに関する。さらに詳しくは、インクカートリッジに備える大気開放口とインク吐出口との間に圧力開放と気液を分離する圧力開放気液分離室を備えることにより、温度変化によるインクカートリッジ内の圧力上昇があっても吐出口や大気開放口からインクが漏れ出すことがなく良好な印刷ができるインクカートリッジに関する。

【従来の技術】

【0002】
印刷装置の一例として挙げられるインクジェット式プリンタは、通常、装置内のインクカートリッジ装着部に装着されたインクカートリッジに貯留されているインクを記録ヘッドへ送り込み、この記録ヘッドが用紙等の被記録媒体にインク滴を噴射・塗布することで、画像や文字の記録を行う。
【0003】
インクジェット式プリンタにおける記録ヘッドは、熱や振動を利用してインク滴の噴射を制御するもので、印刷中の機械的振動や温度変化によりインクカートリッジ内のインクがインク吐出口から漏れ出し記録ヘッドに過剰のインクを流出して良好な印刷ができなくなり、ひいては記録ヘッドの故障を招くという問題がある。また、インクカートリッジの輸送中や保管中の温度変化が起因するインクカートリッジ内の体積膨張がインク吐出口や大気開口からインクが漏れ出すという問題がある。
【0004】
そこで、上記の問題点を解決するために、インクカートリッジ内を複数のリブで区画した複数のインク室(4室)を構成し、インク吐出口にもっとも隣接したインク室の一つにインク吸収体を充填し、この吸収体の毛管力によりインク吐出口からのインク漏れを解消する試みのインクカートリッジが提案されている。また、複数のインク室(4室)のうち、インク吐出口にもっとも隣接したインク室の一つにインク吸収体を充填するとともに、かつ吐出口からもっとも離れた側壁に接合したインク室にインク吸収体を充填してバッファー室とし、インク吐出口からのインク漏れを解消する試みのインクカートリッジが提案されている。(例えば特許文献1〜3)
【0005】

【効果】

【0019】
本考案の第1の考案であるインクカートリッジは、大気開放口とインク吐出口とインクを収容するインク収容室を備えるインクカートリッジにおいて、大気開放口とインク吐出口との間に一端が大気開放口と連通し他端がインク収容室と連通する連通口を有する大気連通路を備え、前記大気連通路の途中にメニスカスを形成するメニスカス形成部と前記大気開放口に連通する開口部を有する気液分離室を前記インク収容室の内部に備え、前記気液分離室は前記メニスカス形成部の位置より下部がインク溜まり部を形成し前記メニスカス形成部の位置より上部が空間部を形成してインク収容室内の圧力が上昇した場合にインク収容室内の圧力上昇に相当するインク量を前記メニスカス形成部が前記圧力上昇に追従して前記インク溜まり部に移動させるとともに前記空間部に圧力開放する機能を備え、前記空間部が各辺5mm以上(特に高さ3mm以上が好ましい)の断面であって1.0ml以上の容積を有する構成にしている。本考案は、上記の構成としているので、温度変化の変化幅が大きい場合であっても、メニスカス発生部が温度変化に起因するインク室内で発生した上昇圧力に相当するインク量をその上昇圧力に追従してインクを移動させるとともに、その圧力を空間部に開放するという一体的な作用機能を有する気液分離室の機能が、従来では成しえなかった温度変化に起因するインク室内の上昇圧力をインク室外に大きな影響を与える前に解消することができる。したがってインク吐出口からのインク漏れを防止することができるという効果とインク漏れがない良好な印刷ができるインクカートリッジを提供することができるという効果を奏する。
【0020】
また、本考案の第2の考案であるインクカートリッジは、第1の考案に記載の前記開口部がメニスカス形成部の位置より上部に位置する構成としているので、前記第1の考案の効果に加えて、前記インク溜まり部に移動してきたインクが大気開放口へ漏れるのを防止することができる。
【0021】
また、本考案の第3の考案であるインクカートリッジは、第1の考案に記載の前記気液分離室内の空間部が高さ3mm以上で1.5ml以上の容積を有する構成としているので、前記第1及び第2の考案の効果に加えて、インク室内で発生した上昇圧力に相当するインク量が多くなった場合であっても、一旦インクを保持できるので、さらにその圧力を前記空間部に開放することができる。
【0022】
また、本考案の第4なし第5の考案であるインクカートリッジは、前記連通口が前記インク収容室のインク中に配置されるように底部側に設けられている構成としているので、連通口がインク収容室内での負圧を形成するとともに温度変化に起因するインク収容室内の上昇圧力に追従してインクを気液分離室へ移動させる作用を前記の考案の効果に加えてさらに高めることができる。また、
前記気液分離室がインク吐出口から離間して設けられている構成としているので、温度変化に起因するインク収容室内の上昇圧力がインク吐出口に及ばなく前記気液分離室で開放されるという作用を前記の考案の効果に加えてさらに高めることができる。したがって、インク吐出口からのインク漏れをさらに防止することができる。さらに、よりインク漏れがない良好な印刷ができるインクカートリッジを提供することができるという効果を奏する。
【0023】
また、本考案の第6の考案であるインクカートリッジは、前記気液分離室が、前記開口部に当接固定されたインク吸収材を備えた構成としているので、前記インク溜まり部6に流出したインクが前記メニスカス形成部10に到達しメニスカスの形成が解離された場合でも、前記吸収材19が到達したインクを素早く吸収しメニスカス形成部のメニスカス形成を遅滞なく回復させることができる。したがって、温度変化に起因するインク室内の上昇圧力をインク室外に大きな影響を与える前に解消し、インク吐出口からのインク漏れを防止することができるという効果を奏する。また、インク漏れがない良好な印刷ができるインクカートリッジを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】

【図1】本考案の第1の実施形態を示す模式図である。
【図2】本考案の第1の実施形態を説明する模式図である。
【図3】本考案の第1の実施形態を説明する模式図である。
【図4】本考案の第1の実施形態を説明する模式図である。
【図5】本考案の他の実施形態を示す模式図である。

【0025】
(本考案の第1の実施の形態)
以下に、本考案の実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。図1は本考案の第1の実施の形態を示す模式図である。図2から図4は本考案の第1の実施の形態を説明する模式図である。
【0026】
本考案の第1の実施の形態であるインクカートリッジ1は、大気開放口2とインク吐出口3とインクを収容するインク収容室4を備えるインクカートリッジ1において、大気開放口2とインク吐出口3との間に一端が大気開放口2と連通し他端がインク収容室1と連通する連通口11を有する大気連通路を備え、前記大気連通路の途中にメニスカスを形成するメニスカス形成部10と前記大気開放口2に連通する開口部9を有する気液分離室8を前記インク収容室4の内部に備え、前記気液分離室8は前記メニスカス形成部10の位置より下部がインク溜まり部6を形成し前記メニスカス形成部10の位置より上部が空間部7を形成してインク収容室4内の圧力が上昇した場合にインク収容室4内の圧力上昇に相当するインク量を前記メニスカス形成部10が前記圧力上昇に追従して前記インク溜まり部6に移動させるとともに前記空間部7に圧力開放する機能を備え、前記空間部7が各辺5mm以上の断面であって1.0ml以上の容積を有する構成となっている。
【0027】
さらに詳しくは、本考案のインクカートリッジ1は、インクカートリッジ1の上部に大気開放口2と底部にインク吐出口3とインクを収容するインク収容室4を備え、さらに大気開放口2とインク吐出口3との間に一端が大気開放口2と連通し他端がインク収容室4内の底部と連通する連通口11(例えば1〜3mmφ)を有する大気連通路5bを備え、前記大気連通路5の途中に前記気液分離室8を前記インク収容室4の内部に備えた構成となっている。前記インク吐出口3はインクカートリッジ1の底部に、また大気開放口2は前記吐出口3から離れた位置であってインクカートリッジ1の上部に備えられている。そして、前記気液分離室8は、大気連通路5bと連通してメニスカスを形成するメニスカス形成部10(例えば1〜3mmφ)とを備えインク吐出口3から離れ大気開放口2の近傍であって前記インク収容室4内の上部に実質密閉系に配置された構成となっている。また、前記気液分離室8は、さらに前記メニスカス形成部10の位置より下部がインク溜まり部6(例えば1.0〜1.5ml)を形成し前記メニスカス形成部10の位置より上部が空間部7(例えば1.0〜1.5を形成してインク収容室4内の圧力が上昇した場合にインク収容室4内の圧力上昇に相当するインク量を前記メニスカス形成部10が前記圧力上昇に追従して前記インク溜まり部6に移動させるとともに前記空間部7に圧力開放する機能を備えている。そして前記空間部7は、各辺5mm以上の断面であって1.0以上の容積を有しているが好ましくは高さ3mm以上で1.5mlである。
【0028】
また、大気開放口2は、大気連通路5aと連通して気液分離室8内の開口部9(例えば3〜5mmφ)と連通しさらにメニスカス形成部10、大気連通路5bと連通して連通口11と連通している。そしてインク収容室4内のインクが消費されると前記大気開放口2から流入した空気は、大気連通路5a、気液分離室8の上部に設けた開口部9、メニスカス形成部10を通じて大気連通路5bの延出端であるインク収容室4と連通する連通口11からインク収容室4に流入して気液交換が行われインクカートリッジ1内の負圧を良好に維持する構成となっている。また、前記開口部9は、前記開口部に当接してインク吸収材19がリブ20によって固定されている。後述するように、前記インク溜まり部6に流出したインクが前記メニスカス形成部10に到達しメニスカスの形成が解離された場合でも、前記吸収材19が到達したインクを素早く吸収しメニスカス形成部のメニスカス形成を遅滞なく回復させる機能を有している。さらに、前記メニスカス形成部に移動するインクが万が一飛散した場合であっても前記インク吸収材19が飛散インクを吸収保持するので前記大気連通路5aを経由して前記大気開放口2へ漏れるのを防止することができる。
【0029】
そして、インク収容室4内のインクは、前記インク収容室4内の底部に設けられたインク吸引口12からインク吐出口3に隣接するインク収容室4内に設けたインク貯留室13に流入する構成となっている。また、前記インク貯留室13はインク吐出口3の上部に接して設けられインク流入口14を備えている。そして、インク流入口14を介してインク収容室4から流入したインクはインク貯留室13に流入されインク吐出口3から印刷装置の記録ヘッド(不示せず)に供給される。
【0030】
上述した本考案のインクカートリッジ1のインク収容室4の内部に設けられた気液分離室8は、温度変化がなくインクカートリッジ1内の圧力が上昇しない通常の状態においては前記したようにして負圧を良好に維持しながらインク収容室4に貯留されてインクが連続的に消費され印刷が行われる。また本考案のインクカートリッジ1は、インク残量検知用のプリズム15を備えている。
【0031】
上述した本考案のインクカートリッジ1において、温度変化に起因してインク収容室4内に圧力変化が生じると、気液分離室8の上部に設けたメニスカス形成部10の作用によってインク収容室4内で発生した上昇圧力に相当するインク量をその上昇圧力に追従してインク収容室4内のインク収容室4と連通する連通口1および大気連通路5bを経由して前記インク溜まり部6に移動し、前記空間部7に前記上昇圧力が開放される。前記したように本考案の気液分離室8は、メニスカス発生部10が温度変化に起因するインクを移動させるとともにその圧力を前記空間部7に開放するという一体的な作用機能を有している。
上記において、圧力変化によって前記気液分離室8内に移動するインク量は圧力変化に見合うインク量だけでなくインクの移動に伴う慣性が働くため、前記空間部7及びインク溜まり部6の容積は、各々インク収納容室4内のインク充填量が10mlの場合、1.0ml〜1.5mlに構成している。
【0032】
上述した本考案のメニスカス発生部10が温度変化に起因するインクを移動させるとともにその圧力を空間部7に開放するという一体的な作用機能について、図2〜図4を参照してさらに説明する。図2は、温度変化に起因してインク収容室4内の圧力が上昇し前記インク収容室4内のインクが大気連通路5aを経由してインク溜まり部6に移動する様子を説明する模式図である。図示するように本考案の気液分離室8は、前記気液分離室8の上部に形成した開口(例えば1〜3mmφ)部でメニメニスカスが形成されるメニスカス形成部10の作用により、前記インク収容室4内のインクが前記圧力上昇に追従して前記インク溜まり部6に徐々に流出され引き続いて大気開放口2に連通する前記空間部7にその圧力が開放される構成となっている。
【0033】
次に図3及び図4参照して説明する。図3は、前記した状況が進んで前記インク溜まり部6に流出してきたインクが前記メニスカス形成部10に達した様子を説明する模式図である。図示するように、温度変化に起因して圧力が上昇した前記ンク収容室4内のインクが前記メニスカス形成部10に達すると前記メニスカス形成部10でのメニスカスは記号Aのように解離される。そして引き続いて移動してきたインクが前記空間部7の容積が前記大気連通路5aの容積より大きい前記空間部7の大気中に一気に開放され、図4に図示するようにその反動により大気連通路5aを介してインク収容室4にインクが戻るというインク戻り現象が起こる(記号B)とともに、前記開口部9に当接してインク吸収材19がリブ20によって固定されているので、前記メニスカス形成部10に到達し前記インク溜まり部6に流出したインクは前記吸収材19によって素早く吸収する。このように前記インク吸収材19のインク吸収作用とインク戻りの慣性により、インク溜まり部6のインクレベルが低下して、解離されたメニスカスを遅滞なく回復させることができる。
【0034】
上述のように本考案のインクカートリッジは、前記気液分離室が、前記開口部に当接固定されたインク吸収材を備えた構成としているので、前記インク溜まり部6に流出したインクが前記メニスカス形成部10に到達しメニスカスの形成が解離された場合でも、前記吸収材19が到達したインクを素早く吸収しメニスカス形成部のメニスカス形成を遅滞なく回復させることができる。したがって、温度変化に起因するインク室内の上昇圧力をインク室外に大きな影響を与える前に解消し、インク吐出口からのインク漏れを防止することができるという効果を奏する。また、インク漏れがない良好な印刷ができるインクカートリッジを提供することができるという効果を奏する。
【0035】
本考案のインクカートリッジ1は上述の構成としているので、従来では成しえなかった温度変化に起因するインク室内の上昇圧力をインク室外に大きな影響を与える前に解消することができインク吐出口からのインク漏れを防止することができるという効果並びにインク漏れがない良好な印刷ができるインクカートリッジを提供することができるという効果を奏する。
【0036】
また本考案のインクカートリッジ1は、大気開放口2からインク吐出口3に向かって順次インクの流路抵抗が大きくなるように構成されており、本実施形態では、大気連通路5a、開口部9、メニスカス形成部10、大気連通路5b、連通口11、インク吸引口12、インク流入口14、インク貯留室13内に充填したインク吸収材及びインク吐出口3内に充填されたインク吸収材(コンタクトフィルター)の順にインク吐出口3に向けて順次インクの流路抵抗が大きくなるような負圧を形成している。このような負圧構成とすることによりインク収容室4内の圧力が上昇した場合であっても、連通口11の流路抵抗がインク吸引口12に対する流路抵抗より小さいので、上述したように、圧力上昇に相当するインクがインク吐出口3に影響することなく気液分離室8に圧力開放されインク吐出口3からのインク漏れを防止することができる。上述した本考案の効果は、温度変化の変化幅が大きい場合であっても有効に機能することができる。
【0037】
上述した本考案のインクカートリッジ1は上記の構成となるように製造されインクが充填されるが、以下にインク充填方法の一例を示す。本実施形態ではインク充填口(図示せず)は、インクカートリッジ1のインク吐出口3が構成された底部に設けられている。本考案のインクカートリッジ1は常圧下でも減圧かでも充填可能であるが、常圧下でインク充填する方法を例示する。
【0038】
インクカートリッジ1のインク吐出口3を上方にして、大気開放口2は密栓しインク吐出口3を形成した面に配置したインク充填口(図示せず)から注射器やポンプによりインクカートリッジ1内のインク収容室4にインクを充填する。次いでインクが充填されると、インク充填口を密栓してインクカートリッジ1のインク吐出口3を下側にして大気開放口2を開栓しインク吐出口3を介してインクカートリッジ1内を減圧にする。そして、インク貯留室13及びインク吐出口3から充填インクの一部を抜き出しインク流路全体をインクで満たし、大気開放口2を密封する。インク吐出口3からインクを多く抜き出しインクカートリッジ1内のインクが不足する場合は再度インク充填口から不足分のインクを充填すればよい。この場合は、インク吐出口3からのインク抜き出し操作は必要ない。
【0039】
このようにしてインクが充填されたインクカートリジ1は大気開放口2とインク吐出口3をシール材または栓部材で密封し輸送されることになる。本考案のインクカートリジ1は、上述したようにインク吐出口3に向かって順次インクの流路抵抗が大きくなるように負圧が形成されているのでシールや栓部材による密封が開封されることがない。また機械的な衝撃や振動があってもインクが漏れることがない。さらに、上述した本考案のインクカートリッジ1の構成は、インクカートリッジ1内のインク未充填部が少ない構造となっているため、同一機種のインクカートリッジ1に対してインク充填量を増量することができる。また本考案のインクカートリジ1は、使用済みのインクカートリッジであってもインクカートリッジ1の構成が複雑でないので、再充填口を設けることに再充填を行うことができる。
【0040】
(本考案の他の実施形態例)
次に、本考案の他の施形態例について図5を参照して以下に説明する。本考案のインクカートリッジ1は大気開放口2とインク吐出口3とインクを収容するインク収容室4を備えるインクカートリッジ1において、大気開放口2とインク吐出口3との間に一端が大気開放口2と連通し他端がインク収容室1と連通する連通口11を有する大気連通路を備え、前記大気連通路の途中にメニスカスを形成するメニスカス形成部10と前記大気開放口2に連通する開口部9を有する気液分離室8を前記インク収容室4の内部に備え、前記気液分離室8は前記メニスカス形成部10の位置より下部がインク溜まり部6を形成し前記メニスカス形成部10の位置より上部が空間部7を形成してインク収容室4内の圧力が上昇した場合にインク収容室4内の圧力上昇に相当するインク量を前記メニスカス形成部10が前記圧力上昇に追従して前記インク溜まり部6に移動させるとともに前記空間部7に圧力開放する機能を備え、前記空間部7が各辺5mm以上の断面であって1.0ml以上の容積を有する構成となっている。
【0041】
本考案の他の実施形態例については、前述した第1の実施形態例で詳述したので、第1の実施形態と異なる構成部について説明する。本考案の他の実施形態例では、第1の実施の形態例で説明した構成に加えて、第2気液分離室15、前記インク収容室4とは区画されて複数の小開口(図示せず)を介してインク吐出口3と連通する複数のインク収容室4a、4b、4cをさらに備え、一方向に通過するインク通過弁16が前記複数のインク収容室の一つであるインク収容室4aに備えられた構成となっている。また、インク収容室4bは、上部で開口されインク収容室4区画とはされたインク収容室である。本実施形態例の構成におけるインク吐出口3へのインクの流入順位は、インク室4内のインクがインク吸引口12及びインク流入口14を通じてインク収容室4aに設けたインク通過弁16からインク収容室4cに流出され、インク貯留室13を経由してインク吐出口3から印刷装置の記録ヘッド(不示せず)に供給される構成となっているが、上部が開口されたインク収容室4b内のインクはインク戻り流路17によりインク収容室4のインクレベルがインク収容室4bの底部より減少するとインク戻り流路17を通じてインク収容室4に流入されてインク吐出口3から印刷装置の記録ヘッド(不示せず)に供給される構成となっている。本実施形態ではこのような構成を適宜構成することができる。
【0042】
上記構成において、前記気液分離室16を設けたのは、予測し得ないような大きな温度変化が起きる地域を勘案して設けたものであって、仮に前記インカートリッジ1内の上昇圧力が大きくなり気液分離室8の空間7に開放されたインクが多く流出する場合があっても、前記気液分離室16内でインクと空気を分離し空気のみを大気開放口2に逃がすことができる構成となっているものである。
【0043】
次に、上記構成におけるインク通過弁19の内部構成について説明する(図示せず)。インク通過弁16が設けられたインク収容室4aはインク収容室4とは区画されておりまた容積も小さい構成としている。インク収容室4aに設けたインク通過弁16は、弁を構成する台座表面に微細凹凸が形成されており、弁膜を弁座に当接密着固定することにより前記微細凹凸と弁膜との間で形成される微細孔が一方向に通過するインクの流路抵抗を構成した微細口形成部を有している。前記台座表面の微細凹凸は75ミクロン〜100ミクロンの範囲で形成することができる。また、前記弁膜は、弾性部材で形成された円状の膜であって中央に止めピン挿入用の穴が形成されている。前記弁膜の固定は、弁を構成する前記台座の内側に構成された樹脂製の止めピンに前記弁膜の穴を通して、前記止めピンの先端を溶着し前記台座に当接密着固定して前記インク通過弁16が構成されている。したがって、インク収容室4aは、インク収容室4に対して区分され、インクをインク収容室に初期充填する際、インク収容室4a内に最終的に充填するためには加圧充填しないと充填できないほどの規制力を前記微細孔形成部が発揮する。本実施形態ではこのような構成を適宜構成することができる。
【0044】
また本考案のインクカートリッジ1は、大気開放口2からインク吐出口3に向かって順次インクの流路抵抗が大きくなるように構成されており、本実施形態では、大気連通路5a、開口部9、メニスカス形成部10、大気連通路5hb、連通口11、インク吸引口12、インク流入口14、インク通過弁16、インク貯留室13内に充填したインク吸収材及びインク吐出口3内に充填されたインク吸収材(コンタクトフィルター)の順にインク吐出口3に向けて順次インクの流路抵抗が大きくなるような負圧を形成している。このような負圧構成とすることによりインク収容室4内の圧力が上昇した場合であっても、連通口11の流路抵抗がインク吸引口12に対する流路抵抗より小さいので、上述したように、圧力上昇に相当するインクがインク吐出口3に影響することなく気液分離室8に圧力開放されインク吐出口3からのインク漏れを防止することができる。上述した本考案の効果は、温度変化の変化幅が大きい場合であっても有効に機能することができる。
【0045】
また、本実施の形態例におけるメニスカス形成部、メニメニスカスが形成されるメニスカス形成部10の作用により、前記インク収容室4内のインクが前記圧力上昇に追従して前記インク溜まり部6に徐々に流出され引き続いて大気開放口2に連通する前記空間部7にその圧力が開放される気液分離室8の構成については、前述しているので詳細な説明は割愛する。
【0046】
次に、上述したように、本考案の第1の実施の形態例に加えて、第2気液分離室16、複数のインク収容室4a〜4c及びインク通過弁16などを備えた本実施形態例のインクカートリッジのインク充填方法の一例について図5を参照して以下に説明する。本実施形態ではインク充填口(図示せず)は、インクカートリッジ1のインク吐出口3が構成された底部とは対向する上部に設けることができる。この場合、インク吐出口3からインクカートリッジ1内を減圧にして、インク充填口からまずインク収容室4にインクを充填し、次いで連続してインク吐出口3からインクを吸引し、インク吸引口12、インク流入口14、インク収容室4a、インク通過弁16、インク収容室4cを経由してインク貯留室13、インク吐出口3までインクを充填する。次いで、常圧下で前記第1の実施形態で説明したようにしてインクカートリッジ1内にインクを充填することができる。
【0047】
上述のとおり、本考案のインクカートリッジ1は、温度変化に起因するインカートリッジ内の上昇圧力に相当するインク量の移動と開放をインク室内の圧力上昇に追従して連続的に行うことにより、大気開口やインク吐出口からのインク漏れを低減あるいは防止するという第1の課題を解決しとし、インク漏れがない良好な印刷ができるインクカートリッジを提供することができるという優れた効果を奏する。
【0048】
さらに、第1の課題の解決に加えて、さらに、同一機種のインクカートリッジに対して、インク充填量を増量するという第2の課題を解決し、インク容量が増大したインク漏れがない良好な印刷ができるインクカートリッジを提供することができるという優れた効果を奏する。さらに、付随して輸送中の衝撃に対してもインク漏れを起こさないインクカートリッジを提供することができる。
【0049】
さらに、付随して本考案のインクカートリッジ1は、大気開放口2からインク吐出口3に向かって順次インクの流路抵抗が大きくなるように構成されており、本実施形態では、大気連通路5a、開口部9、インク吸収材6、メニスカス形成部10、大気連通路5b、連通口11、インク吸引口12、インク流入口14、インク貯留室13内に充填したインク吸収及びインク吐出口3内に充填されたインク吸収材(コンタクトフィルター)の順にインク吐出口3に向けて順次インクの流路抵抗が大きくなるような負圧を形成している。さらに前記した複数のインク収容室は複数の小開口(図示せず)を介してインク吐出口3と連通するとともに、インク吐出口3へ向かってインクの流路抵抗が高くなるように負圧が構成されている。上述したように、インクカートリッジ1内のいたるところでインク吐出口3へ向かってインク流路抵抗が高くなるように構成してインクカートリッジ1内の負圧を形成しているので、インク吐出口3からのインクが漏れることがないという効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本考案のインクカートリッジは、液体インクを消費する印刷装置に使用されるものであれば、インクの種類に関係なく種々のインクカートリッジに適用することができる。
【0051】
1 インクカートリッジ
2 大気開放口
3 インク吐出口
4 インク収容室
4aインク収容室

4bインク収容室
4cインク収容室
5a 大気連通路
5b 大気連通路
6 インク溜まり部
7 空間部
8 気液分離室
9 開口部
10 メニスカス形成部
11 連通口
12 インク吸引口
13 インク貯留室
14 インク流入口
15 プリズム
16 インク通過弁
17 インク戻り流路
18 インク
19 インク吸収材
20 リブ


(57)【要約】

【課題】温度変化によるインクカートリッジ内の圧力上昇があっても吐出口や大気開放口からインクが漏れ出すことがなく良好な印刷ができるインクカートリッジを提供する。【解決手段】大気開放口2とインク吐出口3との間に一端が大気開放口と連通し他端がインク収容室4と連通する連通口11を有する大気連通路5bの途中にメニスカスを形成するメニスカス形成部10と大気開放口に連通する開口部を有する気液分離室8を備える。気液分離室はメニスカス形成部の位置より下部がインク溜まり部6を形成しメニスカス形成部の位置より上部が空間部7を形成し、インク収容室内の圧力上昇に相当するインク量をメニスカス形成部が圧力上昇に追従してインク溜まり部に移動させて空間部に圧力開放することができるので、温度変化に起因するインク吐出口からのインク漏れを防止することができる。


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【インターネット特許番号リンク】

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