(54)【考案の名称】救急医療情報提供シート

(73)【実用新案権者】株式会社ユポ・コーポレーション

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、救急医療情報提供シートに関する。更に詳しくは救急隊が、独居生活を営んでいる要救護者の医療情報を即座に把握して、適切な医療機関に搬送する、あるいは適切な一次救命処置を施すことが可能となるような救急医療情報提供シートに関する。

【従来の技術】

【0002】
我が国は高齢化社会へ移行して久しいが、高齢者の中でも独居生活を営んでいるものは少なくなく、その独居者が倒れた場合、救急隊が駆けつけても既に意識がない場合や、倒れた要救護者から充分な医療情報を聞くことができない場合が多く、そのような場合、救急隊も要救護者の治療に適切な病院に搬送することができず、結果として病院をたらい回しされる例が多い。
このような状況を避けるために、特許文献1では容器中に高齢患者の医療情報を有している冷蔵庫用救急医療情報入容器を提案している。同文献に記載の発明において正に瞠目すべきは、救急医療情報の保管場所として冷蔵庫に着目した点、およびこれら情報を容器に収容して即座に持ち出しできるようにした点にある。
【0003】
しかしながら、同容器を保管しようとする冷蔵庫内には、当然に他の食品類も多数保存されており、独居者が健常であるときには邪魔となるため、通常使用しない同容器を冷蔵庫の奥へ押しやってしまう、或いは冷蔵庫の外に出してしまうような事態も想定され、その場合救急隊は同容器を容易に見つけだすには困難である恐れがあり、所期の目的が達成できなくなる可能性がある。
そのため本考案者は、要救護者の個人情報や医療情報が記載された医療情報シートを、邪魔にならないよう直接冷蔵庫の扉または壁面等に掲示して、救急隊が直接これらに記載の情報を把握できるようにすることを考えた。しかしながら医療情報シートを冷蔵庫に直接掲示する場合に、両者の接合に粘着剤を用いることを想定した場合、接着力が強すぎれば救急隊が医療情報シートを容易に持ち出すことが困難となり、接着力が弱すぎれば医療情報シートが剥がれやすく長期にわたり掲示することが困難になる。また、両者の接合に磁石シートを用いることを想定すると単価が高くなり、これを無償配布する市町村などの地域団体の負担が大きくなりすぎる。また別の問題として、個人情報や医療情報が記載された医療情報シートを直接冷蔵庫の扉または壁面に直接見えるように掲示した場合、通常の来客があった時に、これらに記載の情報がまる見えになってしまうという問題点があった。
【0004】
本考案者はこれらの問題を解決するために、特許文献2において、医療情報シートと情報隠蔽シートとを静電吸着により積層した救急医療情報提供シートを提案している。これらは安価で、医療情報シートは冷蔵庫に貼り付け表示することが可能であり、表示使用時には静電吸着力が高く、静電吸着力の持続性も充分で長期に亘り表示使用することができ、静電吸着力が湿度に影響され難く、且つ容易に剥がすことができるものとすれば、長期の貼付と持ち出し易さを両立させることが可能となる。また、医療情報シートの上に情報隠蔽シートを同じく静電吸着により重ねて貼れば、定常時は医療情報シートに記載の情報がまる見えになることはなく、また救急時は情報隠蔽シート上に印刷されたマーク等により救急隊は即座に医療情報シートの所在を見つけだすことができるという利点がある。
【0005】

【効果】

【0011】
本考案の救急医療情報提供シートは、これを構成する医療情報シートが静電吸着により冷蔵庫の扉または壁面等に貼着可能なものであり、通常時は冷蔵庫内外に余分な保管スペースを必要とせず、また情報隠蔽シートにより個人情報等が漏洩することもない。しかし緊急時は情報隠蔽シートを容易に除去して要救護者の医療情報を知ることができる。また、医療情報シートは静電吸着により冷蔵庫に貼着しているので、これを容易に剥がして持ち出すことも可能である。
更に本考案の救急医療情報提供シートは、これを構成する医療情報転写シートを、要救護者が携帯および/または各自治体が利用することで、例え要救護者が出先で倒れたとしても救急隊は要救護者の医療情報等を知ることができる。そして救急隊は同情報に基づいて、手間取ることなく要救護者を目的の医療機関に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本考案の救急医療情報提供シートの一様態の断面図である。
【図2】本考案の救急医療情報提供シートの別の一様態の断面図である。
【図3】本考案の救急医療情報提供シートの医療情報シートまたは医療情報転写シートと、情報隠蔽シートに設けた、記入欄を含む印刷の一例である。
【図4】本考案の帯電処理に用い得るバッチ式コロナ放電処理装置の一例である。
【図5】本考案の帯電処理に用い得るバッチ式コロナ放電処理装置の一例である。
【図6】本考案の帯電処理に用い得る連続式コロナ放電処理装置の一例である。
【図7】本考案の帯電処理に用い得る連続式コロナ放電処理装置の一例である。
【図8】本考案の実施例に使用した静電吸着シートの製造装置の概略図である。

【0013】
本考案の救急医療情報提供シートは、医療情報転写シートと、医療情報シートと、情報隠蔽シートとを順に積層した救急医療情報提供シートであって、医療情報転写シートが表側に記入面、裏側にカーボンまたはノンカーボン感圧層を有し、医療情報シートが樹脂フィルム層(A)を含み、情報隠蔽シートが樹脂フィルム層(B)を含み、医療情報シートの樹脂フィルム層(A)の裏面と情報隠蔽シートの樹脂フィルム層(B)の裏面とが静電気により吸着していることを特徴とするものである。
本考案の救急医療情報提供シートが用いる医療情報転写シートの記入面側に記入した要救護者の個人情報および医療情報は、医療情報シート表面に転写されるようになっている。
医療情報転写シートと医療情報シートは、天糊綴じなどによってその一端が接着されており、両者は容易に切り離して分離できるようになっている。
【0014】
そして本考案の救急医療情報提供シートが用いる樹脂フィルム層(A)および樹脂フィルム層(B)は、電荷注入により帯電しやすい、あるいは誘電により内部電荷が分極して帯電しやすいものである。そのため樹脂フィルム層(A)と樹脂フィルム層(B)とを引き剥がす前には、両者は静電気により吸着している。
医療情報シートの樹脂フィルム層(A)および情報隠蔽シートの樹脂フィルム層(B)
のそれぞれが帯電していることにより、これらを引き剥がした後、両者を冷蔵庫のような被着体に貼付ける、また両者を重ね貼りすることが可能となる。
【0015】
[医療情報シート]
本考案の救急医療情報提供シートに用いる医療情報シートは、樹脂フィルム層(A)を含むものであり、要救護者の個人情報および医療情報の記入欄を有しているものである。更に医療情報シートは、記入欄側の面とは反対面側が静電吸着能力を有しており、シート自体で冷蔵庫等の被着体への貼着を可能としているものである。
被着体としては、室内の壁面、台所の壁面等人目に付き易い場所であれば何れの場所でもよいが、冷蔵庫の扉や壁面と指定しておけば、医療情報提供シートをさがすのが容易であり好ましい。
詳細後述する医療情報転写シートがノンカーボン感圧層を有する場合、対応する医療情報シートは、その記入欄側の面に顕色剤を含む顕色層を有していることが好ましい。
【0016】
[樹脂フィルム層(A)]
本考案における樹脂フィルム層(A)は医療情報シートを構成するものであって、内部に電荷を保持し、その静電吸着力によって医療情報シートを表示物として冷蔵庫等の被着体に貼り付けることを可能にするものである。
本考案の樹脂フィルム層(A)は熱可塑性樹脂を含む。特に絶縁性の優れた熱可塑性樹脂を使用することにより、内部に蓄積した電荷を保持しやすく好ましい。
【0017】
樹脂フィルム層(A)に用いる熱可塑性樹脂の種類は特に制限されない。例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン等のポリオレフィン系樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有ポリオレフィン系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリブチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン等を使用することができる。これらの熱可塑性樹脂の中では、絶縁性と加工性に優れるポリオレフィン系樹脂、官能基含有ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂のより具体的な例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、メチル−1−ペンテンなどのオレフィン類の単独重合体、及び、これらオレフィン類2種類以上からなる共重合体が挙げられる。
【0018】
官能基含有ポリオレフィン系樹脂のより具体的な例としては、前記オレフィン類と共重合可能な官能基含有モノマーとの共重合体が挙げられる。かかる官能基含有モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン類;酢酸ビニル、ビニルアルコール、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ブチル安息香酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メタロール(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリル酸エステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;が特に代表的である。これら官能基含有モノマーの中から、必要に応じ1種類もしくは2種類以上を適宜選択し、共重合したものを用いることができる。
更に、これらポリオレフィン系樹脂及び官能基含有ポリオレフィン系樹脂を必要によりグラフト変性し使用することも可能である。
【0019】
グラフト変性には公知の手法が用いることができ、具体的な例としては、不飽和カルボン酸またはその誘導体によるグラフト変性が挙げられる。該不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。また、上記不飽和カルボン酸の誘導体としては、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等も使用可能である。具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジエチルエステル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸−N−モノエチルアミド、マレイン酸−N,N−ジエチルアミド、マレイン酸−N−モノブチルアミド、マレイン酸−N,N−ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸−N−モノエチルアミド、フマル酸−N,N−ジエチルアミド、フマル酸−N−モノブチルアミド、フマル酸−N,N−ジブチルアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム等が挙げられる。グラフト変性物は、グラフトモノマーをポリオレフィン系樹脂及び官能基含有ポリオレフィン系樹脂に対して、一般に0.005〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%グラフト変性したものである。
【0020】
樹脂フィルム層(A)の熱可塑性樹脂としては、上記の熱可塑性樹脂の中から1種を選択して単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。
更にこれらポリオレフィン系樹脂の中でも、プロピレン系樹脂が、絶縁性、加工性、耐薬品性、コストの面などから好ましい。プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体であり、アイソタクティックないしはシンジオタクティック及び種々の程度の立体規則性を示すポリプロピレンや、プロピレンを主成分とし、これと、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとを共重合させた共重合体を主成分として使用することが望ましい。この共重合体は、2元系でも3元系以上でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。プロピレン系樹脂には、プロピレン単独重合体よりも融点が低い樹脂を2〜25重量%配合して使用することが好ましい。そのような融点が低い樹脂として、高密度ないしは低密度のポリエチレンを例示することができる。
【0021】
本考案の樹脂フィルム層(A)に使用する熱可塑性樹脂には、その透明性を阻害しない範囲で無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方を添加したものであっても良い。無機微細粉末や有機フィラーの添加により、樹脂フィルム層(A)の誘電率を改善できる場合がある。
樹脂フィルム層(A)における熱可塑性樹脂の配合量は、総量として50〜100重量%であることが好ましく、60〜100重量%であることがより好ましい。配合量が50重量%以上であれば、樹脂フィルム層(A)を成形しやすく、得られる樹脂フィルム層(A)中の熱可塑性樹脂に電荷を保持しやすい。
樹脂フィルム層(A)における無機微細粉末の配合量は、総量として0〜50重量%であることが好ましく、0〜40重量%であることがより好ましい。配合量が50重量%以下であれば、樹脂フィルム層(A)を成形しやすく、得られる樹脂フィルム層(A)の誘電率を調整しやすい。
【0022】
無機微細粉末を添加する場合は、レーザー回折による粒度分布計で測定した平均粒径が、通常0.01〜15μm、好ましくは0.1〜5μmのものを使用する。具体的には、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、白土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ、ゼオライト、マイカ、セリサイト、ベントナイト、セピオライト、バーミキュライト、ドロマイト、ワラストナイト、ガラスファイバーなどを使用することができる。
有機フィラーを添加する場合は、樹脂フィルム層(A)の主成分である熱可塑性樹脂とは異なる種類の樹脂を選択することが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合には、有機フィラーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン−6、ナイロン−6,6、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリメタクリレート等の重合体であって、ポリオレフィン系樹脂の融点よりも高い融点(例えば170〜300℃)ないしはガラス転移温度(例えば170〜280℃)を有し、かつ非相溶のものを使用することができる。
【0023】
樹脂フィルム層(A)には、必要に応じて、熱安定剤(酸化防止剤)、光安定剤、分散剤、滑剤などを添加することができる。熱安定剤を添加する場合は、通常0.001〜1重量%の範囲内で添加する。具体的には、立体障害フェノール系、リン系、アミン系等の安定剤などを使用することができる。光安定剤を使用する場合は、通常0.001〜1重量%の範囲内で使用する。具体的には、立体障害アミン系やベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系の光安定剤などを使用することができる。分散剤や滑剤は、例えば無機微細粉末を分散させる目的で使用する。使用量は通常0.01〜4重量%の範囲内にする。具体的には、シランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸ないしはそれらの塩等を使用することができる。
樹脂フィルム層(A)の肉厚は、20〜500μmであることが好ましく、より好ましくは30〜400μmの範囲であり、更に好ましくは40〜300μmの範囲である。20μm未満では、樹脂フィルム層(A)単体を取り扱う際に、帯電により手などに貼り付いてしまい作業性が悪いものとなる。又、被着体に貼り付けた際にシワになり易いため外観が劣るものとなる。500μmを越えてしまうと、樹脂フィルム層(A)の自重が大きくなり、静電気の力では自重を保持できず被着体から落下してしまう恐れがある。
【0024】
[多層化]
樹脂フィルム層(A)は、2層構造、3層以上の多層構造のものであってもよく、この多層構造の延伸軸数が1軸/1軸、1軸/2軸、2軸/1軸、1軸/1軸/2軸、1軸/2軸/1軸、2軸/1軸/1軸、1軸/2軸/2軸、2軸/2軸/1軸、2軸/2軸/2軸であっても良い。樹脂フィルム層(A)の多層化により、耐電圧性能の向上や、筆記性、耐擦過性、2次加工適性等の様々な機能の付加が可能となる。
樹脂フィルム層(A)を多層構造にする場合は公知の種々の方法が使用できるが、具体例としては、フィードブロック、マルチマニホールドを使用した多層ダイス方式と、複数のダイスを使用する押出しラミネーション方式等が挙げられる。又、多層ダイスと押出しラミネーションを組み合わせて使用することも可能である。
【0025】
[延伸]
樹脂フィルム層(A)は、少なくとも1軸方向に延伸された延伸樹脂フィルム層を含むことが好ましい。樹脂フィルム層の延伸は、通常用いられる種々の方法のいずれかによって行うことができる。
延伸の温度は、樹脂フィルム層(A)に主に用いる熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上から結晶部の融点以下の熱可塑性樹脂に好適な公知の温度範囲内で行うことができる。具体的には、樹脂フィルム層(A)の熱可塑性樹脂がプロピレン単独重合体(融点155〜167℃)の場合は100〜166℃、高密度ポリエチレン(融点121〜136℃)
の場合は70〜135℃であり、融点より1〜70℃低い温度である。また、延伸速度は20〜350m/分にするのが好ましい。
【0026】
延伸方法としては、ロール群の周速差を利用した縦延伸、テンターオーブンを使用した横延伸、縦延伸と横延伸を組み合わせた逐次2軸延伸、圧延、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時2軸延伸、テンターオーブンとパンタグラフの組み合わせによる同時2軸延伸などを挙げることができる。又、インフレーションフィルムの延伸方法としては、チューブラー法による同時2軸延伸を挙げることができる。
延伸倍率は、特に限定されず、樹脂フィルム層(A)に用いる熱可塑性樹脂の特性等を考慮して適宜決定する。例えば、熱可塑性樹脂としてプロピレン単独重合体ないしはその共重合体を使用しこれを一方向に延伸する場合は、約1.2〜12倍、好ましくは2〜10倍であり、2軸延伸の場合には、面積倍率で1.5〜60倍、好ましくは4〜50倍である。その他の熱可塑性樹脂を使用しこれを一方向に延伸する場合は、1.2〜10倍、好ましくは2〜5倍であり、2軸延伸の場合には、面積倍率で1.5〜20倍、好ましくは4〜12倍である。
【0027】
このようにして得られる樹脂フィルム層(A)は、微細な空孔をフィルム内部に有しないか少量有するものであり、次式(1)で算出された空孔率が、55%以下であることが好ましく、0〜50%であることがより好ましく、0〜40%であることが特に好ましい。空孔率が55%を超えると、空孔どうしが互いに連通し、電荷の蓄積能力が劣る傾向があることから本考案の目的とする吸着力を有する医療情報シートを得られない場合がある。
【数1】
[fig000003]

【0028】
樹脂フィルム層(A)の後述する情報隠蔽シートの樹脂フィルム層(B)と接する面、即ちの樹脂フィルム層(A)の裏面の表面抵抗率は、1×1013〜9×1017Ωの範囲であることが好ましい。該表面抵抗率は、5×1013〜9×1016Ωの範囲であることがより好ましく、1×1014〜9×1015Ωの範囲であることが更に好ましい。表面抵抗率が1×1013Ω未満になると、後述の帯電処理をする場合に電荷が表面を伝い逃げてしまうために、医療情報シートへの電荷注入の効率が低下し帯電処理に過剰なエネルギーが必要となるか、或いは、帯電処理の効果が得られず静電吸着性能の低いものとなってしまう。一方、9×1017Ωを超える場合は、医療情報シートの機能としては問題ないが、現在公知の物資を使用してこの様な高絶縁性の表面を形成することは困難であり、実現できたとしても高コストの為、現実的でない。
樹脂フィルム層(A)の樹脂フィルム層(B)と接する面の表面抵抗率を所望の範囲とすることは、熱可塑性樹脂として絶縁性に優れるポリオレフィン系樹脂を使用することや、これに配合する無機微細粉末の種類や量を調整することで達成できる。
本考案の救急医療情報提供シートに用いる医療情報シートは、樹脂フィルム層(A)を含むものであり、好ましくは樹脂フィルム層(A)の表面に、後述する樹脂フィルム層(B)に設ける記録層と同様の記録層を設ける。
【0029】
[医療情報転写シート]
本考案の救急医療情報提供シートに用いる医療情報転写シートは、表側に記入面、裏側にカーボン感圧層またはノンカーボン感圧層を有し、その記入面には上記の医療情報シートと同様に要救護者の個人情報および医療情報の記入欄を有しており、上記の医療情報シ
ート上に積層されるものであり、医療情報転写シートの記入欄に記入した要救護者の個人情報および医療情報が、医療情報シート表面上の記入欄に転写されるようになっている。
医療情報転写シートを構成する基材は、筆記性があり、携帯時に破壊されない程度の強度があり、医療情報シートに情報を転写できる程度に筆圧で変形できるものであれば特に限定されない。例えば同基材は、天然紙であっても、合成紙であっても、樹脂フィルムであってもよい。
【0030】
医療情報転写シートを各自治体が保管し、利用する場合であって、記入内容をスキャンし電子情報として保存する場合には基材はどのようなものでも選択し得るが、これをファイルし保管する場合には長期保存に向く中性紙等の使用が好ましい。また医療情報転写シートを携帯用として持ち歩く場合は、折りや擦れに対して耐性を有する合成紙等の使用が好ましい。従って医療情報転写シートを構成する基材は、その使用目的に合わせて選択することが好ましく、特に医療情報転写シートを複数枚の綴りとする場合は複数種の基材を組合せて使用することも可能である。
特に、医療情報転写シートの基材に耐候性、耐久性、耐折性等の性能を求める場合には、ポリオレフィン系樹脂を含む合成紙を用いることがより好ましい。これら合成紙は従来公知のものを用いてもよく、上記の樹脂フィルム層(A)と同様のものを用いてもよい。
医療情報転写シートの肉厚は、20〜160μmであることが好ましく、より好ましくは30〜100μmの範囲であり、更に好ましくは40〜80μmの範囲である。20μm未満では、これを携帯して持ち歩く際に耐久性に乏しく、破壊されやすいものとなる。一方160μmを越えてしまうと剛度が強くなり、記入情報を明瞭に転写することが困難となる。
【0031】
[カーボン感圧層]
医療情報転写シートに記入された情報を、医療情報シートへ転写する目的から、医療情報転写シートの裏面(記入面の反対面)には、カーボン感圧層を設けることができる。カーボン感圧層は、医療情報転写シートを構成する基材へのカーボンインキ(例えば(公序良俗違反につき、不掲載))の印刷塗布(例えばフォーム印刷等)といった従来公知の手法により設けることができる。
【0032】
[ノンカーボン感圧層]
医療情報転写シートに記入された情報を、医療情報シートへ転写する目的から、医療情報転写シートにはノンカーボン紙の上用紙(A紙)または中用紙(B紙)と同様に、ノンカーボン感圧層を設けることができる。ノンカーボン感圧層に含有される発色剤は、後述する呈色剤との組み合わせにおいて、両者が接触して呈色反応を起こすようなものであれば何れも使用可能である。
このような発色剤と呈色剤との組み合わせとしては、無色ないし淡白の塩基性染料と無機ないし有機の酸性物質との組み合わせ、あるいはステアリン酸第二鉄などの高級脂肪酸金属塩と没食子酸のようなフェノール類との組合せ等が例示できる。更にはジアゾニウム化合物とカプラー及び塩基性物質とを組み合わせたものも適用可能である。
ノンカーボン感圧層は、発色剤を溶剤に溶かしたものを、ゼラチンなどのマイクロカプセルに封入し、これを塗布するといった従来公知の手法により設けることができる。
【0033】
ノンカーボン感圧層に発色剤として配合される無色ないし淡色の塩基性染料としては、各種のものが公知であり、例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルア
ミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−3−イル)6−ジメチルアミノフタリド等のトリアリールメタン系染料;4,4´−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリルベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等のジフェニルメタン系染料;ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等のチアジン系染料;3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジナフトピラン、3−フェニル−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジル−スピロ−ジナフトピラン、3−メチル−ナフト−(6´−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等のスピロ系染料;ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン−(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン(o−クロロアニリノ)ラクタム等のラクタム系染料;
【0034】
3−ジメチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アミノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−N−アセチル−N−メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−N−メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−N−メチル−N−ベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−N−クロロエチル−N−メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−N−ジエチルアミノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−(N−シクロペンチル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−カルボメトキシフェニルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロフェニルアミノ)フルオラン、3−ブチルアミノ−7−(o−クロロフェニルアミノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−p−ブチルフェニルアミノフルオラン、3−N−メチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等のフルオラン系染料等を挙げることができる。上記の発色剤は単独または2種以上適宜選択して混合して使用することもできる。
【0035】
発色剤を溶解しマイクロカプセルに封入される溶剤としては、従来公知の油または溶剤が使用できる。具体的には、アルキルナフタレン、アルキル化ビフェニル、水添ターフェニル、アルキル化ジフェニルメタン等の芳香族合成油、ケロシン、ナフサ、パラフィン油等の石油留分、塩素化パラフィン等の脂肪族合成油、綿実油、大豆油、亜麻仁油等の植物油またはこれらの混合物などを例示することができる。
ノンカーボン感圧層中に含有される発色剤等を溶解した油滴を内包するマイクロカプセルの調製法としては、例えば相分離法、界面重合法、in−situ重合法等公知の技術を例示することができる。
【0036】
またノンカーボン感圧層には、顔料として、例えば、軽質炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、二酸化チタン、カオリン、クレイ、焼成カオリン、焼成クレイ、デラ
ミネーテッドカオリン、構造化カオリン、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等の無機顔料およびポリスチレン樹脂微粒子、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料(プラスチックピグメント)等を適宜使用することができる。
これら発色剤のマイクロカプセルや顔料とともにノンカーボン感圧層に配合され、マイクロカプセルや顔料を基材上に層状に固定化するバインダーは、特に限定されない。バインダーとしては、例えば、澱粉、カゼイン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス等を例示することができる。
【0037】
[顕色層]
医療情報転写シートに記入する情報を転写する2枚目の中用紙(B紙)としての医療情報転写シートの記入欄側の面、即ち表面、および下用紙(C紙)としての医療情報シートの記入欄側の面、即ち表面、には、ノンカーボン感圧層と対をなすものとして、顕色剤を含む顕色層を塗工により設けることができる。
このような顕色剤としては、前記塩基性染料と接触して呈色する各種公知の無機ないし有機の酸性物質を用いることができる。無機酸性物質としては、例えば、活性白土、酸性白土、アタパルジャイト、ベントナイト、シリカゲル、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウムなどを例示できる。
【0038】
有機酸性物質としては、例えば、4−t−ブチルフェノール、4−ヒドロキシジフェノキシド、α−ナフトール、β−ナフトール、4−ヒドロキシアセトフェノール、4−t−オクチルカテコール、2,2’−ジヒドロキシジフエノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)、4,4’−5−s−ブチリデンジフェノール、4−フェニルフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)、2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノール)、6,6’−メチレンビス(4−クロロ−m−クレゾール)、ハイドロキノン、4,4’−シクロへキシリデンジフェノール、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、p−フェニルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂等のフェノール−アルデヒド樹脂、p−t−ブチルフェノール−アセチレン樹脂等のフェノール−アセチレン樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、フェノール重合体などのフェノール性化合物;安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、トリクロロ安息香酸、4−メチル−3−ニトロ安息香酸、テレフタル酸、3−s−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−シクロへキシル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、3−t−ブチルサリチル酸、3−t−ブチル−5−メチルサリチル酸、
【0039】
3−シクロヘキシルサリチル酸、3−フェニルサリチル酸、3−ベンジルサリチル酸、3−メチル−5−ベンジルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3−クロロ−5−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、3−フェニル−5−(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、3−シクロヘキシル−5−(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、3−(α,α−ジメチルベンジル)−5−メチルサリチル酸、3,5−ジ−シクロヘキシルサリチル酸、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)−5−(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、4−メチル−5−シクロヘキシルサリチル酸、2−ヒドロキシ−1−ベンジル−3−ナフトエ酸、1−ベンゾイル−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−5−シクロヘキシル−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−4−〔(4−カルボキシ−5−ヒドロキシ)フェニル〕−1−ナフトエ酸等の芳香族カルボン酸、および前記フェノール性化合物や芳香族カルボン酸と例えば亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、すず、ニッケル、コバルト等の多価金属との塩等を例示できる。
【0040】
また、顕色層には顔料として、例えば、軽質炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、二酸化チタン、カオリン、クレイ、焼成カオリン、焼成クレイ、デラミネーテッドカオリン、構造化カオリン、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等の無機顔料およびポリスチレン樹脂微粒子、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料(プラスチックピグメント)等を適宜使用できる。
これら顕色剤や顔料を層状に固定化するバインダーは特に限定されず、例えば、澱粉、カゼイン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス等を例示できる。
また、上記のノンカーボン感圧層や顕色層には、必要に応じて耐水化剤、硬化剤、架橋剤、消泡剤、着色剤、濡れ剤、流動変性剤、防腐剤、界面活性剤等の各種公知の助剤を適宜添加ができる。
【0041】
上記のノンカーボン感圧層や顕色層は、上記の成分を含む溶液または分散液を、医療情報転写シートを構成する基材や、医療情報シートを構成する樹脂フィルム層(A)の上に塗工により設けることが容易であり好ましい。塗工方法としては、ダイコーター、バーコーター、ロールコーター、ロッドコーター、カーテンコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、サイズプレスコーター、ビルブレードコーター、ショートドウェルコーター等が使用できるが、ノンカーボン感圧層の塗工液を塗工する場合は、マイクロカプセルが破壊されないように注意しなければならない。従ってノンカーボン感圧層の塗工装置としてはダイコーター、カーテンコーター、エアーナイフコーター等の、塗工時に塗工層に対して大きな摩擦力や圧力を生じせしめない塗工装置を用いることが好ましい。各塗工液は塗工後に乾燥工程を経て、ノンカーボン感圧層や顕色層を形成する。
ノンカーボン感圧層や顕色層を有する医療情報転写シートには、上用紙や中用紙として市販されているノンカーボン紙を利用することもできる。このようなノンカーボン紙としては、例えば、(公序良俗違反につき、不掲載)などが利用することができる。
【0042】
[医療情報シートと医療情報転写シートの積層]
医療情報転写シートと医療情報シートとの積層は、天糊を用いた天糊綴じ又は無線綴じ又はあじろ綴じによる部分的な接着により達成できる。これらの積層方法によれば、情報記入時には両シートがずれることなく記入内容を転写することができ、情報記入後は両シートを容易に分離して、医療情報転写シート側は要救護者が携帯すること、及び/又は各自治体が保管し、利用することが容易である。天糊の種類やその塗工方法は従来公知のものを採用できる。
医療情報転写シートを携帯用または自治体利用の一方に必要な場合で、ノンカーボン感圧層を用いる場合は医療情報転写シートを上用紙(A紙)とし、医療情報シートを下用紙(C紙)とする2枚綴りとする。
医療情報転写シートを携帯用および自治体利用の両方に必要な場合で、ノンカーボン感圧層を用いる場合は、医療情報転写シートの2枚を上用紙(A紙)および中用紙(B紙)とし、医療情報シートを下用紙(C紙)とする3枚綴りにすれば良い。必要に応じて、中用紙(B紙)を更に増やした複数枚綴りとすることもできる。
【0043】
[情報隠蔽シート]
本考案の救急医療情報提供シートに用いる情報隠蔽シートは、樹脂フィルム層(B)を含むものであり、好ましくは樹脂フィルム層(B)とその表面に記録層を含むものである。
情報隠蔽シートは、医療情報シート上の情報を隠蔽するために不透明である必要があるが、樹脂フィルム層(B)自体は透明であっても、半透明であっても、不透明であってもよい。情報隠蔽シートは医療情報シート上の情報記入欄のみを隠蔽できれば良いのであるから全面不透明である必要はない。従って情報隠蔽シートは、透明または半透明な樹脂フィルム層(B)に記入情報を隠蔽するために情報記入欄のみを隠す部分的なベタ印刷等を施したものでもよく、不透明な樹脂フィルム層(B)を用いたものでも良い。
また隠蔽という観点から、情報隠蔽シートは印刷以外の手法、例えば黒色フィルムなど不透明なフィルムの積層したものであってもよく、金属蒸着フィルムを用いたものでもよく、金属箔を転写したものであってもよい。更に医療情報シートを見えにくくするという観点からは、プリズムシートやホログラムシートを貼りあわせたものであってもよい。
【0044】
[樹脂フィルム層(B)]
本考案における樹脂フィルム層(B)は情報隠蔽シートを構成するものであって、内部に電荷を保持し、その静電吸着力によって情報隠蔽シートを医療情報シートの上に被せて貼り付けることを可能にするものである。
樹脂フィルム層(B)は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、誘電体である樹脂を含むことがより好ましい。
本考案の救急医療情報提供シートを構成する医療情報シートに後述する帯電処理を施し、医療情報シートの樹脂フィルム層(A)内部に蓄積した電荷により、これに接する樹脂フィルム層(B)が誘電、即ち静電分極し、両者は静電吸着力により貼着して本考案の救急医療情報提供シートとすることが可能となる。
また、本考案の救急医療情報提供シートを構成する情報隠蔽シートに後述する帯電処理を施し、情報隠蔽シートの樹脂フィルム層(B)内部に電荷を蓄積した後、これに医療情報シートの樹脂フィルム層(A)と接触させて樹脂フィルム層(A)を誘電することで、両者を貼着して本考案の救急医療情報提供シートとすることも可能である。
【0045】
情報隠蔽シートを構成する樹脂フィルム層(B)に用い得る樹脂は、誘電体であり、絶縁性があって内部に電荷を保持できる限り、その種類は特に制限されない。
そのため該樹脂としては、前述の樹脂フィルム層(A)で例示した高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン等のポリオレフィン系樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有ポリオレフィン系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルを含む熱可塑性ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン等の熱可塑性樹脂に加えて、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げられる。
これらの中でも加工性に優れるポリオレフィン系樹脂、官能基含有ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂等を用いることがより好ましく、ポリオレフィン系樹脂を用いることが特に好ましい。
【0046】
情報隠蔽シートにおける樹脂フィルム(B)は、医療情報シートにおける樹脂フィルム層(A)の電荷が外部に逃げないように封じこめる役割を担っている。
この電荷を封じ込める能力は、比誘電率で整理することができる。樹脂フィルム層(B)における比誘電率は、好ましくは1.1〜5.0、より好ましくは1.2〜4.0、更に好ましくは1.5〜3.0の範囲である。樹脂フィルム層(B)の比誘電率が5.0を超えると、樹脂フィルム層(A)が電荷を長期間保持できずに、医療情報シートの静電吸着力が低下し易くなる傾向がある。一方、比誘電率が1.1未満のものは性能上問題ない筈であるが、空気(真空)の比誘電率よりも低くなる為、このような素材は現在の技術上、入手が困難である。このような比誘電率は、樹脂フィルム層(B)が上述の樹脂から構成されることや、内部に空隙を形成する加工などにより、所望の範囲を達成することができる。
【0047】
また情報隠蔽シートにおける樹脂フィルム層(B)側の面、即ち樹脂フィルム層(B)の裏面は、電荷の移動を少なくする観点から、樹脂フィルム層(A)と同様にその表面抵抗率が高いほど好ましい。具体的には、情報隠蔽シートにおける樹脂フィルム層(B)側の面、即ち樹脂フィルム層(B)の裏面の表面抵抗率は1×1013〜9×1017Ωの範囲であることが好ましい。該表面抵抗率は、5×1013〜9×1016Ωの範囲であることがより好ましく、1×1014〜9×1015Ωの範囲であることが更に好ましい。表面抵抗率が1×1013Ω未満の場合には、樹脂フィルム層(A)の電荷が該表面を伝って外部に逃げ易く、樹脂フィルム層(A)が電荷を長期間保持できずに、医療情報シートの静電吸着力が低下し易くなる傾向がある。一方、9×1017Ωを超えるものは、性能上問題ない筈であるが、現在公知の物質を使用してこの様な高絶縁性の表面を形成することは困難であり、実現できたとしても高コストとなることから実現化が困難である。
【0048】
一方、救急医療情報提供シートとした際のハンドリング性を高める目的から、情報隠蔽シートは、その他の片面に帯電防止性能を有することが好ましい。情報隠蔽シートはその他の片面、即ち樹脂フィルム層(B)の表面に帯電防止性能を有することにより、医療情報シートと組み合わせた救急医療情報提供シートも帯電防止性能を持つようになる。帯電防止性能を有することで、積層体である救急医療情報提供シートは外部に静電吸着力を発現せずに、救急医療情報提供シートの運送、保管、印刷などの取扱時に周囲への貼り付きや、救急医療情報提供シート同士のブロッキング等のトラブルが発生し難く、ハンドリング性が良好なものとなる。
情報隠蔽シートへの帯電防止性能の付与は、情報隠蔽シートを構成する樹脂フィルム層(B)に、帯電防止剤を練り込んだ樹脂フィルムを用いる方法や、後述する記録層と同等のものを設ける方法や、導電性塗料を塗工して導電層を設ける方法や、直接蒸着、転写蒸着、蒸着フィルムのラミネート等により金属薄膜を設ける方法や、帯電防止処理した紙、合成紙、樹脂フィルム、織布、不織布や、帯電防止剤を練り込んだ樹脂フィルムを貼合積層する方法などが挙げられる。
【0049】
帯電防止剤を練り込んだ樹脂フィルムを用いる様態においては、同フィルム面にコロナ放電表面処理やフレーム表面処理を行わないと帯電防止効果が発現しない場合があり、特に延伸フィルムでは表面処理の処理面と未処理面とでは帯電防止効果が大きく異なる場合がある。この現象を利用して、帯電防止剤を練り込んだ熱可塑性樹脂を延伸したものを樹脂フィルム層(B)とし、この片面にコロナ放電等の表面処理を行うことで、単層構造ながら片面に帯電防止性能を有する情報隠蔽シートを形成することも可能である。
上記の種々の方法により、情報隠蔽シートにおける樹脂フィルム層(A)と接しない面、即ち樹脂フィルム層(B)の表面であって救急医療情報提供シートの外層にくる面の表面抵抗率は1×10-1〜9×1012Ωの範囲内とすることが好ましい。該表面抵抗率は1×100〜9×1012Ωの範囲とすることがより好ましい。情報隠蔽シートの樹脂フィルム層(A)と接しない面の表面抵抗率が9×1012Ωを超えてしまうと、帯電防止性能が充分ではなく、救急医療情報提供シートの周囲への貼り付きやシート同士の貼り付き等のトラブルが発生し易くハンドリング性が劣るものとなり、本考案の所期の性能が得られにくい傾向がある。一方、表面抵抗率が1×10-1Ωを下回る場合は、救急医療情報提供シートとして性能上問題ない筈であるが、現在公知の物質を使用してこの様な高導電性の表面を形成することは困難であり、実現できたとしても高コストとなることから実現化が困難である。
【0050】
情報隠蔽シートの厚みは20〜500μmであることが好ましく、25〜400μmで
あることがより好ましく、30〜200μmであることが更に好ましく、35〜150μmであることが特に好ましい。
情報隠蔽シートの厚みが20μm未満では、医療情報シートと静電吸着する面から情報隠蔽シートの厚みを介して電荷が流出して救急医療情報提供シート内の電荷を封じこめられずに、医療情報シートの静電吸着力が弱いものとなる場合がある。逆に500μmを越えてしまうと得られる救急医療情報提供シートも厚いものとなり、印刷工程や断裁工程での作業性が劣るものとなる場合がある。
【0051】
[記録層]
本考案の救急医療情報提供シートを構成する情報隠蔽シートは、樹脂フィルム層(B)の表面に記録層を備えることが好ましい。該記録層は前述の樹脂フィルム層(B)における樹脂フィルム層(A)と接しない面に備えることが好ましい。
本考案における記録層は、救急医療情報提供シートに帯電防止性能を付与することによって印刷工程でのトラブルを発生し難くしてハンドリング性を改善させるとともに、医療情報シートの印刷インキとの密着性を向上させて、その記録適性を向上させるものである。結果として本考案の救急医療情報提供シートは多様な印刷方式に対応することができる。
記録層が帯電防止性能を有することにより、樹脂フィルム層(B)が内部に電荷を有している場合であっても、医療情報シートの記録層面は静電吸着力が低いものとなり、更に救急医療情報提供シートの状態では静電吸着性能を発揮しないものとなる。したがって、救急医療情報提供シートは印刷工程でロールへの貼り付きやシート同士のブロッキング等のトラブルが発生し難いものとなる。
【0052】
記録層は、帯電防止剤0.1〜100重量%と高分子バインダー0〜99.9重量%と顔料粒子0〜70重量%を含むことが好ましく、帯電防止剤0.5〜70重量%と高分子バインダー30〜99.5重量%と顔料粒子0〜69.5重量%を含むことがより好ましく、帯電防止剤1〜50重量%と高分子バインダー50〜99重量%と顔料粒子0〜49重量%を含むことが更に好ましい。
記録層は、これら成分を含む塗工層として、積層体の樹脂フィルム層(B)上に直接塗工により設けるか、或いは予め別のフィルム上に記録層を形成して、これを積層体の樹脂フィルム層(B)上にラミネートすることで形成することが好ましい。
【0053】
該帯電防止剤は、記録層に帯電防止性能を付与するために添加するものであり、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、アルキルジエタノールアミン、ソルビタンモノラウレート、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸塩などに代表される低分子量有機化合物系の帯電防止剤;ITO(インジウムドープド酸化錫)、ATO(アンチモンドープド酸化錫)、グラファイトウィスカなどに代表される導電性無機充填剤;ポリチオフェン、ポリピーロイル、ポリアニリンなどの分子鎖内のパイ電子により導電性を発揮するいわゆる電子導電性ポリマー;そしてポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンジアミン等の非イオン性ポリマー系の帯電防止剤;ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物等の第四級アンモニウム塩型共重合体;アルキレンオキシド基および/または水酸基含有ポリマーへのアルカリ金属イオン添加物等のアルカリ金属塩含有ポリマーに代表される帯電防止機能を有するポリマー;などが挙げられる。
【0054】
これら帯電防止剤は、それぞれ特性があり、低分子量有機化合物系の帯電防止剤は、環境湿度に帯電防止性能が大きく影響されやすく、ブリードアウトによる印刷インキ転移性の低下やインキ密着性の低下が発生するなどの欠点がある。導電性無機充填剤は、少量の添加では充填剤同士が接触しないため帯電防止効果が充分に得られない欠点がある。又、導電性無機充填剤は、充填剤同士が接触し合う程度の量を添加するとバインダー量が著し
く低くなる為、インキの密着性と帯電防止効果を両立することが難しいという欠点がある。電子導電性ポリマーは、共役系に由来する着色により一般的には黒色、緑色、或いは青灰色の着色が有り、これを用いれば優れた帯電防止効果は得られるものの、くすんだ色のラベルとなり印刷用原紙としては適さないなどの欠点がある。
帯電防止機能を有するポリマーは、インキの密着性、転移性への影響も小さく、着色も殆ど無いことから本考案の帯電防止機能を有するポリマーとして好ましい。
中でも、第四級アンモニウム塩型共重合体やアルカリ金属塩含有ポリマーは帯電防止性能が良好であり、環境湿度の帯電防止性能への影響が小さい為、より好ましい。
【0055】
[第四級アンモニウム塩型共重合体]
本考案で用い得る帯電防止機能を有するポリマーの一例として、第四級アンモニウム塩型共重合体よりなるマルチカチオン型水溶性ポリマーが挙げられる。該共重合体は、下記一般式(化1)で表される第四級アンモニウム塩型単量体単位(a)、下記一般式(化6)で表される疎水性単量体単位(b)、及びこれらと下記の共重合可能な他の単量体か単位(c)を含有し、これら単量体単位の重量割合を、(a):(b):(c)=30〜70:30〜70:0〜40(wt%)の範囲として、これらを共重合してなる第四級アンモニウム塩型共重合体である。
各構造単位(a)、(b)及び(c)の重量割合は、好ましくは35〜65:35〜65:0 〜20(wt%)、特に好ましくは40〜60:40〜60:0 〜10(wt%)である。
【0056】
(a)第四級アンモニウム塩型単量体単位
構造単位(a)を形成する第四級アンモニウム塩型単量体は、下記一般式(化1)で表されるアクリル酸乃至メタクリル酸のエステル乃至アミドである。該単位は構造内の2以上のカチオンにより該共重合体の帯電防止機能に寄与する成分である。該共重合体中の同成分が30重量%より少ないと、十分な帯電防止効果を与えることが出来ない。また70重量%を超えると過度に水溶性となり、高湿度条件下でべたつきの原因となる。
【0057】
【化1】
[fig000004]

【0058】
上記式中、Aはオキソ基(−O−)または第2級アミン基(−NH−)、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数が2〜4のアルキレン基または下記一般式(化2)で表される2−ヒドロキシプロピレン基であり、R3,R4,R5及びR6は炭素数が1〜3のアルキル基、R7は炭素数が1〜10のアルキル基または炭素数が7〜10のアラルキル基、Xは塩素原子、臭素原子、または沃素原子、mは1〜3の整数を表わす。R3,R4,R5及びR6は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【化2】
[fig000005]

【0059】
前記一般式(化1)で表される構造単位(a)を形成する第四級アンモニウム塩型単量体は、下記一般式(化3)で表されるジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミン含有単量体を、下記一般式(化5)で表される3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等の変性剤で、重合前に若しくは重合後に変性することによって得ることができる。
【化3】
[fig000006]

【0060】
上記式中、Aはオキソ基(−O−)または第2級アミン基(−NH−)、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数が2〜4のアルキレン基または下記一般式(化4)で表される2−ヒドロキシプロピレン基であり、R,Rは炭素数が1〜3のアルキル基を表わす。R3とR4は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【化4】
[fig000007]

【0061】
【化5】
[fig000008]
上記式(化5)中、R5及びR6は炭素数が1〜3のアルキル基、R7は炭素数が1〜10のアルキル基または炭素数が7〜10のアラルキル基、Xは塩素原子、臭素原子、または沃素原子、mは1〜3の整数を表わす。R5とR6は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0062】
(b)疎水性単量体単位
構造単位(b)を形成する疎水性単量体は、下記一般式(化6)で表されるアクリル酸乃至メタクリル酸のエステルである。該単位は、該共重合体に親油性を付与するものであり、耐水性や印刷インキ転移性に寄与する成分である。印刷適性と帯電防止性の両立から
、疎水性単量体との共重合が必要となる。ポリマー中の同成分が30重量%より少ないと、上記の効果が低下する。また70重量%を超えると相対的に帯電防止効果が低下する。
【0063】
【化6】
[fig000009]
上記式中、R8は水素原子またはメチル基、Rは炭素数が1〜30のアルキル基、炭素数が7〜22のアラルキル基、または炭素数が5〜22のシクロアルキル基を表わす。
上記一般式(化6)で表される構造単位を形成する単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0064】
(c)共重合可能な他の単量体単位
また、必要に応じて共重合に使用される、上記単量体(a)成分及び単量体(b)成分と共重合可能な他の単量体単位としては、下記一般式(化7)〜(化11)で表されるスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル等の疎水性単量体や、ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド等の親水性単量体を挙げることができる。これらの単量体は第四級アンモニウム塩型共重合体中に構造単位(c)として好適に組み込むことができる。該単位は該共重合体の共重合を容易とし、また塗工液調整時の溶媒への溶解性を調整するものである。
【0065】
【化7】
[fig000010]

【0066】
【化8】
[fig000011]

【0067】
【化9】
[fig000012]

【0068】
【化10】
[fig000013]

【0069】
【化11】
[fig000014]

【0070】
[共重合]
上記共重合体を得るための共重合方法としては、ラジカル開始剤を用いた、塊状重合、溶液重合、乳化重合等の公知の重合方法を採用することができる。これらの中で好ましい重合方法は溶液重合法であり、該重合は、各単量体を溶媒に溶解し、これにラジカル重合開始剤を添加して、窒素気流下において加熱攪拌することにより実施される。溶媒は水、乃至はメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、セロソロブ等のアルコール類が好ましく、またこれらの溶媒を混合して使用してもよい。重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリルなどのアゾ化合物が好適に用いられる。重合時の単量体固形分濃度は通常10〜60重量%であり、重合開始剤の濃度は単量体に対し通常0.1〜10重量%である。第四級アンモニウム塩型共重合体の分子量は、重合温度、重合時間、重合開始剤の種類及び量、溶剤使用量、連鎖移動剤等の重合条件により任意のレベルとすることができる。
本考案で用い得る第四級アンモニウム塩型共重合体の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量が1千〜100万の範囲内であることが一般的であるが、1千〜50万の範囲が好ましい。
【0071】
[アルカリ金属塩含有ポリマー]
本考案で用い得る帯電防止機能を有するポリマーの別の一例として、アルカリ金属塩含有ポリマーが挙げられる。該共重合体は下記一般式(化12)で表されるポリアルキレンオキシド化合物単量体構造単位(d)、上記一般式(化6)で表される疎水性単量体構造単位(b)、及びこれらと共重合可能な単量体からなる構造単位(c)を含有し、これら構造単位の重量割合を、(d):(b):(c)=1〜99:0〜99:0〜40(wt
%)の範囲として、これらを共重合してなるアルカリ金属塩含有ポリマーである。
各構造単位(d)、(b)及び(c)の重量割合は、好ましくは20〜70:30〜80:0 〜20(wt%)、特に好ましくは30〜60:40〜70:0 〜10(wt%)である。
【0072】
(d)ポリアルキレンオキシド化合物単量体単位
構造単位(d)を形成するポリアルキレンオキシド化合物単量体は、下記一般式(化12)で表されるアクリル酸乃至メタクリル酸のエステルである。該単位は構造内のアニオン及びアルカリ金属イオンによりポリマー(C)の帯電防止機能に寄与する成分である。ポリマー中の同成分が1重量%より少ないと、十分な帯電防止効果を与えることが出来ない。また99重量%を超えると過度に水溶性となり、高湿度条件下でべたつきの原因となる。
【0073】
【化12】
[fig000015]

【0074】
上記式中、R10は水素原子またはメチル基、R11は水素原子、塩素原子、またはメチル基、Aは下記の<1群>から選択される1種の連結基か、下記の<1群>から選択される1種以上の連結基と下記の<2群>から選択される1種以上の連結基とが交互に結合した連結基か、または単結合を表し、Mはアルカリ金属イオン、nは1〜100の整数を表す。
<1群>置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリーレン基、
<2群>−CONH−、−NHCO−、−OCONH−、−NHCOO−、
−NH−、−COO−、−OCO−、−O−、
<1群>の炭素数1〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基が挙げられ、これらは直鎖状であっても分枝状であってもよいが好ましいのは直鎖状である。置換基としては、ヒドロキシル基、アリール基などが挙げられる。炭素数6〜20のアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基などが挙げられる。置換基としては、ヒドロキシル基、アルキル基などが挙げられる。アルキル基が置換したアリーレン基としては、トリレン基、キリリレン基などが挙げられる。
【0075】
また、<2群>から選択される連結基としては、ウレタン基やエステル基を好ましく選択することができる。
<1群>から選択される1種以上の連結基と<2群>から選択される1種以上の連結基とが交互に結合した連結基としては、「(1群から選択される連結基)−(2群から選択される連結基)」で表される連結基や、「(1群から選択される連結基)−(2群から選択される連結基)−(1群から選択される連結基)−(2群から選択される連結基)」で表される連結基などが挙げられる。後者の場合は、2種類の(1群から選択される連結基)は互いに同一であっても異なっていてもよく、また、2種類の(2群から選択される連結基)は互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0076】
上記一般式(化12)において、nが2以上であるとき、n個のR11は同一であっても異なっていてもよいが、好ましいのは同一である場合である。nは1〜100の整数を表すが、2〜50が好ましく、3〜50がより好ましい。例えば、R11が水素原子の場合、nを10〜35、さらには15〜30、さらには20〜25の範囲内から選択したり、R11がメチル基の場合、nを1〜20、さらには3〜16、さらには5〜14の範囲内から選択したりしてもよい。
上記一般式(化12)において、Mはアルカリ金属であり、Li、Na、Kなどを挙げることができ、イオン半径の小さいLiを用いることが導電性の観点で好ましい。
【0077】
本考案において好適に用い得るポリアルキレンオキシド化合物単量体の例としては、例えば、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)クロロエチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートなどの(ポリ)アルキレンオキシド(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、これらの具体例において、さらに上記一般式(化12)のAに相当する箇所に単結合以外の連結基を有するアルキレンオキシドモノマーも挙げられる。例えば、Aにウレタン結合を有する化合物として、特開平09−113704号公報に記載される化合物を使用することができる。
【0078】
Mに相当するアルカリ金属を導入する方法は特に制限されないが、通常はアルキレンオキシドモノマーにアルカリ金属塩を反応させて水酸基末端をイオン化することによりアルカリ金属イオンによるイオン導電性を持たせることができる。本考案において好適に用い得るアルカリ金属塩の例としては、リチウム、ナトリウムまたはカリウムの過塩素酸塩、またはこれらの塩化物、臭化物、ヨウ化物、チオシアン化物等の無機塩が挙げられる。これら無機塩を上記ポリアルキレンオキシド化合物単量体に添加してアルコキシド化することにより、アルカリ金属イオンによるイオン導電性を得ることができる。又、特開平09−113704号公報には式1のAにウレタン結合を持ったアルキシド化合物が提案されている。
本考案に用い得るアルカリ金属イオンとしては、前述のリチウム、ナトリウム、カリウム、を用いることが出来るが、中でもイオン半径の小さいリチウムが最適である。本考案の塗工層には、アルカリ金属イオン濃度として、好ましくは0.01〜1.00重量%、より好ましくは0.01〜0.70重量%、更に好ましく0.01〜0.50重量%となる様に帯電防止機能を有するポリマーを添加することが望ましく、アルカリ金属イオン濃度が0.01重量%未満では、十分な帯電防止効果が得られず、1.00重量%を超えると帯電防止効果は得られるものの金属イオンの増加から印刷インキとの密着性が低下してしまう。
【0079】
[共重合]
本考案で用い得るアルカリ金属塩含有ポリマーは、上記一般式(化12)で表されるポリアルキレンオキシド化合物単量体構造単位(d)と、上記一般式(化6)で表される疎水性単量体構造単位(b)と、これらと共重合可能な上記一般式(化7)〜(化11)等の単量体構造単位(c)とを共重合させることにより製造することができる。
このアルカリ金属塩含有ポリマーの製造方法は特に制限されず、公知の重合手法を単独乃至組み合わせて適宜用いることができるが、前出の第四級アンモニウム塩型共重合体と同様、ラジカル開始剤を用いた、塊状重合、溶液重合、乳化重合等の公知の重合方法を採用することが好ましい。
【0080】
これらの中でより好ましい重合方法は溶液重合法である。具体的には、窒素気流下において、原料として用いるポリアルキレンオキシド化合物単量体構造単位(d)、疎水性単量体構造単位(b)、共重合可能な単量体構造単位(c)等のモノマーを不活性有機溶媒、例えば、n−ヘキサン、n−ブタノール、2−プロパノール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノエチルエーテル等、に溶解し、これにラジカル重合開始剤を添加した後に、通常65〜150℃に加熱しながら攪拌することにより実施される。重合時間は通常1〜24時間に設定する。重合時の単量体固形分濃度は通常10〜60重量%であり、重合開始剤の濃度は単量体に対し通常0.1〜10重量%である。アルカリ金属塩含有ポリマーの分子量は、重合温度、重合時間、重合開始剤の種類及び量、溶剤使用量、連鎖移動剤等の重合条件により任意のレベルとすることができる。
【0081】
共重合に用いる重合開始剤は、脂溶性であることが好ましく、好適な重合開始剤として有機過酸化物、アゾニトリル等が挙げられる。有機過酸化物には、アルキルパーオキシド(ジアルキルパーオキシド)、アリールパーオキシド(ジアリールパーオキシド)、アシルパーオキシド(ジアシルパーオキシド)、アロイルパーオキシド(ジアロイルパーオキシド)、ケトンパーオキシド、パーオキシカーボネート(パーオキシジカーボネート)、パーオキシカーボレート、パーオキシカルボキシレート、ヒドロパーオキシド、パーオキシケタール、パーオキシエステル等が含まれる。アルキルパーオキシドとしては、ジイソプロピルパーオキシド、ジターシャリーブチルパーオキシド、ターシャリーブチルヒドロパーオキシド等が挙げられる。アリールパーオキシドとしては、ジクミルパーオキシド、クミルヒドロパーオキシド等が挙げられる。アシルパーオキシドとしては、ジラウロイルパーオキシド等が挙げられる。アロイルパーオキシドとしては、ジベンゾイルパーオキシド等が挙げられる。ケトンパーオキシドとしては、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド等が挙げられる。アゾニトリルとしては、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスイソプロピオニトリル等が挙げられる。
【0082】
本考案で用い得るアルカリ金属塩含有ポリマーの分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量が1万〜100万の範囲内であることが好ましい。分子量が1万以上であれば、形成した塗工層から同ポリマーが染み出し難くなるため、十分な耐水性が得られやすい傾向がある。分子量が100万以下であれば、バインダー成分と混和しやすいため塗工欠陥が生じにくくなり均一な帯電防止効果が得られやすい傾向がある。
本考案の記録層は、必要に応じて、高分子バインダーを含んでいても良い。該高分子バインダーは、記録層を設ける樹脂フィルム層(B)、或いは別のフィルムとの密着性を有し、かつ印刷インキとの密着性を向上させる目的から、適宜使用する。
【0083】
高分子バインダーの具体例としては、ポリエチレンイミン、炭素数1〜12のアルキル変性ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)、ポリ(エチレンイミン−尿素)のエチレンイミン付加物、ポリアミンポリアミド、ポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、およびポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物等のポリエチレンイミン系重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、ポリアクリルアミドの誘導体、およびオキサゾリン基含有アクリル酸エステル系重合体等のアクリル酸エステル系重合体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等、加えて、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、尿素樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体樹脂、塩素化エチレン樹脂、塩素化プロピレン樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、ニトロセルロース樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体等が挙げられる。
【0084】
これらの高分子バインダーは、いずれか1種を単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの高分子バインダーは有機溶剤または水に希釈または分散した様態で用いることができる。これらの中でも、ポリエーテルウレタン、ポリエステルポリウレタン、アクリルウレタンなどのウレタン樹脂、若しくはアクリル酸エステル共重合体が、前述のイオン性ポリマー系の帯電防止機能を有するポリマーとの相性、即ち相溶性、がよく、混溶して塗料とした際に安定しており、塗工しやすく好ましい。
本考案の記録層は、必要に応じて顔料粒子を含んでいても良い。記録層には0〜70重量%の範囲で顔料粒子を含むことが可能である。即ち70重量%以下の顔料粒子を含んでいても良く、含まなくても良い。
【0085】
顔料粒子は、その吸油性による印刷インキの定着性向上、体質顔料として表面の風合いや光沢感向上、白色顔料として白色度向上、表面凹凸付与によるブロッキング防止性能向上、紫外線反射材として耐光性や耐候性向上、等の性能付与を考慮し適宜選択して使用できる。
顔料粒子として、有機、無機の微細粉末が使用され、具体的な例としては、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、焼成クレイ、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、珪藻土、アクリル粒子、スチレン粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子等を使用することができる。顔料粒子の粒子径は、好ましくは20μm以下のものであり、より好ましくは15μm以下のものである。顔料粒子の粒子径が20μmを超えると形成した塗工層から顔料粒子が脱落しやすくなり粉吹き現象が発生する。記録層中の顔料粒子含有量は、好ましくは0〜70重量%、より好ましくは0〜60重量%、更に好ましくは0〜45重量%の範囲である。顔料粒子の含有量が70重量%を超えると相対してバインダー樹脂が不足し、記録層の凝集力不足が発生して、印刷インキが剥離しやすい傾向にある。
【0086】
記録層は、上記成分を含む塗工液を調製し、積層体の樹脂フィルム層(B)上に塗工し、これを乾燥、固化させて塗工層として設けることが可能である。塗工には、従来公知の手法や装置を利用することができる。
記録層はラミネートにより積層体の樹脂フィルム層(B)上に設けることも可能である。この場合は、あらかじめ記録層を設けた別のフィルムを作成し、これを樹脂フィルム層(B)上にラミネート加工すればよい。ラミネート加工は、通常のドライラミネート、ウェットラミネート、溶融ラミネート、または熱ラミネート等の手法により行うことができる。
樹脂フィルム層(B)上への記録層の設置は、後述の帯電処理の実施前に行ってもよく、実施後に行ってもよい。実施後であれば記録層の持つ帯電防止性能により、医療情報シートの記録層面側の静電吸着力を抑止することが可能となる。このような記録層は、医療情報シート(樹脂フィルム層(A))の顕色層を設ける側に予め、印刷適性向上の目的から設けることもできる。
【0087】
本考案の記録層は帯電防止性能を有するものである。結果として記録層側表面の表面抵抗率は1×10-1Ω〜9×1012Ωの範囲内に、好ましく1×103〜9×1011Ωの範囲内に、更に好ましくは1×106〜9×1010Ωの範囲内に調整されている。
記録層の表面抵抗率が9×1012Ωを超えてしまうと、医療情報シートが持つ静電吸着力を充分に抑止できずに、救急医療情報提供シートが印刷工程でロールへの貼り付きやシート同士のブロッキング等のトラブルが発生し易いものとなる場合がある。一方、記録層の表面抵抗率が1×10-1Ωを下回った場合は、医療情報シートの静電吸着力が損なわれる恐れがあり、またこの様な高導電性を有する記録層を形成することは技術的に困難であるか、形成できたとしても、高コストとなってしまうことから、現実的ではない。
記録層の膜厚は、0.01〜50μmであることが好ましく、0.05〜30μmであることがより好ましく、0.1〜10μmであることが更に好ましく、0.3〜8μmであることが特に好ましい。膜厚が0.01μmに満たない場合は、記録層の均一性を維持することが難しく、印刷インキの密着性が低下する可能性がある。一方50μmを超えてしまうと、記録層の凝集力が低下し、少ない場合と同様に印刷インキの密着性が低下する可能性がある。
【0088】
[帯電処理]
本考案の救急医療情報提供シートは、医療情報シートの樹脂フィルム層(A)に帯電処理を施し、次いで情報隠蔽シートの樹脂フィルム層(B)の裏面と樹脂フィルム層(A)の裏面とを接触させて静電吸着させた積層体を含むもの、または情報隠蔽シートの樹脂フィルム層(B)に帯電処理を施し、次いで医療情報シートの樹脂フィルム層(A)の裏面と樹脂フィルム層(B)の裏面とを接触させて静電吸着させた積層体を含むものである。
帯電処理の手法としては、特に制限されず、公知の種々の方法にしたがって行なうことができる。例えば、樹脂フィルム層(A)または(B)の表面にコロナ放電やパルス状高電圧を加える方法や、樹脂フィルム層(A)または(B)の両面を誘電体で保持し、両面に直流高電圧を加える方法(エレクトロエレクトレット化法)、樹脂フィルム層(A)または(B)にγ線や電子線等の電離放射線を照射してエレクトレット化する方法(ラジオエレクトレット化法)、などが挙げられる。
【0089】
エレクトロエレクトレット化法のより具体的な例としては、直流高圧電源に繋がった印加電極とアース電極の間に樹脂フィルム層(A)または(B)を固定する方法(バッチ式、図4、5参照)か、又は通過させる方法(連続式、図6、7参照)が望ましい。本手法を用いる場合の主電極は針状のものを等間隔で無数に配置するか金属ワイヤーを使用し、対電極には平な金属板か金属ロールを使用することが望ましい。
本考案において帯電処理は、直流式コロナ放電処理であることが好ましい。本考案において使用できる直流式コロナ放電処理とは、図4〜7に例示するように針状やワイヤー状の主電極(印加電極)と平板状やロール状の対電極(アース電極)を直流高圧電源に繋げた装置を用い、対電極上に医療情報シートまたは情報隠蔽シートを設置し、主電極と対電極の間に直流高電圧をかけることで発生するコロナ放電により、医療情報シートまたは情報隠蔽シートに電荷を注入する処理である。
【0090】
主電極と対電極の間隔は1〜50mmが好ましく、2〜30mmがより好ましく、5〜20mmが更に好ましい。電極間が1mm未満では電極間距離を均一に保つ事が難しく、幅方向に均一な帯電処理が得られない場合がある。一方、50mmを超えるとコロナ放電が発生し難くなり、医療情報シートまたは情報隠蔽シートへの帯電処理が不均一となる場合がある。
両極間に印加する電圧は、医療情報シートおよび情報隠蔽シートの電気特性、主電極と対電極の形状や材質、主電極と対電極の間隔により決定されるものであるが、具体的には1〜100KVが好ましく、3〜70KVがより好ましく、5〜50KVが更に好ましく、10〜30KVが特に好ましい。主電極の極性はプラスでもマイナスでも良いが、主電極側をマイナス極性にした方が比較的安定したコロナ放電状態となるため好ましい。
主電極と対電極の材質は、導電性の物質から適宜選択されるが、鉄、ステンレス、銅、真鍮、タングステンなどの金属製またはカーボン製のものが好ましい。
【0091】
これらの帯電処理によって医療情報シートまたは情報隠蔽シートに導入される電荷の量は、処理時に主電極と対電極間に流れた電流量に依存する。該電流量は両電極間の電圧が高いほど多くなることから、印加電圧は医療情報シートまたは情報隠蔽シートが絶縁破壊しない程度に高くに設定することが好ましい。
本考案の救急医療情報提供シートおよび医療情報シートは帯電処理後に除電処理を行うことも可能である。除電処理を行なうことにより、印刷工程、ラベル等への加工工程でのトラブルを回避することが可能である。係る除電処理には、電圧印加式除電器(イオナイザ)や自己放電式除電器など公知の手法を用いることができる。これら一般的な除電器は、表面の電荷の除去はできるが、樹脂フィルム層(A)内部に蓄積した電荷までは除去できない。したがって除電処理により医療情報シートの静電吸着力が大きく影響を受けることはない。
【0092】
[積層]
本考案の救急医療情報提供シートは、これを構成する医療情報シートと情報隠蔽シートとを接触させて静電吸着により積層した積層体を含むものである。
両者の積層は、例えば図8に示すように、医療情報シートを長尺の巻き取り(21)とし、これを巻き出しながら電極(25)、(26)間を通過させて帯電処理を行い、別に情報隠蔽シートを長尺の巻き取り(22)としたものを巻き出し、両者を貼合ロール(28、29)間で加圧接着すれば積層体が得られる。
また本考案の救急医療情報提供シートは、これを構成する医療情報シートと医療情報転写シートを積層した積層体を含むものである。工程上の簡便さから本考案の救急医療情報提供シートは、一旦、医療情報シートと情報隠蔽シートとの積層体を帯電処理により得た後、これの医療情報シート側表面に、前述の方法で医療情報転写シートを積層して得ることが好ましい。
医療情報転写シートと、医療情報シートと、情報隠蔽シートとを積層して救急医療情報提供シートを得るためには、まず医療情報シートと情報隠蔽シートとを接触させて静電吸着により積層した積層体を得た後、次いで積層体の医療情報シート側に医療情報転写シートを貼着して得ることが、貼合工程における挟圧や摩擦による感圧層の発色を極力避けられる観点から好ましい。
【0093】
[印刷]
本考案の救急医療情報提供シートは、これを構成する医療情報転写シート、医療情報シート、および情報隠蔽シートに、予めそれぞれ印刷を施すことができる。
医療情報転写シートの記入面および医療情報シートの被転写面(または顕色層面)には予め、個人情報や医療情報を記入する欄を印刷しておく。
情報隠蔽シートの樹脂フィルム層(A)とは接しない側の面(または記録層面)、即ち表面には予め、記入欄を隠蔽するベタ印刷、救急隊が識別可能となるマーク、本救急医療情報提供シートの活用方法(医療情報シートの記入方法、貼付方法)などを印刷しておく。
係る印刷としては、オフセット印刷、フォーム印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷、スクリーン印刷、インクジェット記録方式、感熱記録方式、熱転写記録方式、電子写真記録方式などの従来公知の手法を用いることが可能であるが、シートの構成上、オフセット印刷、フォーム印刷、インクジェット記録方式、電子写真記録方式の少なくとも一つの手法を採用することが好ましい。さらに印刷インキとしては、油性インキ、水性インキならびにUVインキが使用可能であるが、乾燥速度が速いUVインキが好ましい。
【0094】
[情報の記入]
救急医療情報提供シートは、対象者の個人情報および医療情報を記入し、医療情報シートを被着体に掲示すること、および医療情報転写シートを携帯すること等により、救急隊がその情報を利用可能となることで、その機能が発揮される。
係る個人情報とは、氏名、写真、生年月日、性別、血液型、電話番号、住所(居所)、緊急連絡先、自治体連絡先などが含まれる。
また、係る医療情報とは、病歴、現在治療中の病名、健康上の懸念事項、かかりつけの
病院名、かかりつけの医師名、診療科名、診察券番号、健康保険証番号、介護保険証番号、高齢者医療被保険者証番号、身体障害者手帳番号、普段服用している薬名、手術歴、アレルギーの有無などが含まれる。
【0095】
[使用]
対象者の個人情報および医療情報を医療情報転写シート記入し、該記入により転写された医療情報シートは、これを被着体に掲示することでその機能が発揮される。
本考案の救急医療情報提供シートは医療情報シート上に対象者の情報を転写後、医療情報シートと情報隠蔽シートを分離することで、両者の接合面が静電吸着により被着体に貼着可能となる。まず、医療情報シートを冷蔵庫の扉または壁面等の被着体に静電吸着により貼着させ、次いで情報隠蔽シートを医療情報シート上の情報が隠れるように重ねて静電吸着により貼着して使用することができる。医療情報シートは、その所在が特定可能なのであれば、屋内の、固定電話の周辺や玄関ドアの内側などに貼着してもよい。
【0096】
一方、医療情報転写シートは、対象者の個人情報および医療情報を記入し、これを要救護者自身が携帯用として持ち歩くことでその機能が発揮される。この場合医療情報転写シートは、内容は外部から分らないように折り畳み、カードケース、定期入、または財布等に収容して当人が携帯することが好ましい。この際、これらの収容容器には医療情報転写シートが入っていることを示す目印を設けておくことが好ましい。
また、医療情報転写シートは、対象者の個人情報および医療情報を記入し、これを各自治体が保管し、利用することでその機能が発揮される。医療情報転写シートは、一旦各自治体に回収され、そのものをファイリングされるか、電子情報として保存される。要救護者が発生しその身元を判明できる場合、救急隊から各自治体への問合せにより、救急隊は対象者の医療情報等を得ることが可能となり、速やかな応急措置や搬送が可能となる。
【0097】
[厚み]
本考案における厚みは、JIS−K−7130に準拠し、定圧厚さ測定器((株)テクロック製、商品名:PG−01J)を用いて測定した。
成形した樹脂フィルム層(A)、樹脂フィルム層(B)が多層構造である場合に、各層の厚みは、測定対象試料を液体窒素にて−60℃以下の温度に冷却し、ガラス板上に置いた試料に対してカミソリ刃(シック・ジャパン(株)製、商品名:プロラインブレード)を直角に当て切断し断面観察用の試料を作成し、得られた試料を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、商品名:JSM−6490)を使用して断面観察を行い、組成外観から熱可塑性樹脂組成物ごとの境界線を判別して、層全体の厚みと観察される層厚み比率を乗算して求めた。
【0098】
[表面抵抗率]
本考案の表面抵抗率は23℃、相対湿度50%の条件下で、表面抵抗率が1×107Ω以上の場合は、JIS−K−6911に準拠し、2重リング法の電極を用いて測定する。表面抵抗率が1×107Ω未満の場合は、JIS−K−7194に準拠し、4深針法で測定することによって求めた抵抗(R)に、補正係数Fを乗じてこれを表面抵抗率とした。[不透明度]
本考案の不透明度は、JIS−P−8138に準拠し、測定背面に、黒色および白色標準板を当て、光の反射率の比(黒色板/白色板)を百分率で示した値で表示する。
本考案の情報隠蔽シートの隠蔽箇所の不透明度は、85〜100%であることが好ましく、90〜100%であることがより好ましい。不透明度が85%未満の場合、情報隠蔽シートを透して医療情報シートに記述した情報が視認できてしまう可能性がある。
【0099】
[実施例]
以下に製造例、調整例、および実施例を用いて、本考案を更に具体的に説明する。以下
に示す材料、使用量、割合、操作等は、本考案の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本考案の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
【0100】
[樹脂フィルム層(A)の製造例]
プロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックPP FY4、MFR(230℃、2.16kg荷重):5g/10分、融点:165℃)70重量%、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名:ノバテックHD HJ360、MFR(190℃、2.16kg荷重):5g/10分、融点:131℃)10重量%、および重質炭酸カルシウム微細粉末(備北粉化工業(株)製、商品名:ソフトン1800、平均粒子径:1.2μm)20重量%の割合で混合した樹脂組成物を、230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給しシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを135℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向に5倍延伸した。
【0101】
次いでプロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックPP FY4、MFR(230℃、2.16kg荷重):5g/10分、融点:165℃)60重量%、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名:ノバテックHD HJ360、MFR(190℃、2.16kg荷重):5g/10分、融点:131℃)10重量%、および重質炭酸カルシウム微細粉末(備北粉化工業(株)製、商品名:ソフトン1800、平均粒子径:1.2μm)30重量%の割合で混合した樹脂組成物を、230℃に設定した2台の押出機にて溶融混練した後、シート状に押し出して、上で調製した5倍延伸シートの両面にそれぞれに積層し、3層構造の積層シートを得た。次いで、この積層シートを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約150℃に加熱して横方向に8.5倍延伸した後、更に160℃まで加熱して熱処理を行った。
次いで60℃に冷却し、耳部をスリットした後、この積層シートの片面にコロナ放電による表面処理を施し、肉厚が50μm、空孔率が29%、各層厚み(10μm/30μm/10μm)、各層延伸軸数(1軸/2軸/1軸)〕の樹脂フィルム層(A)を得た。
【0102】
[顕色層塗工溶液の製造例]
顕色剤として3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸の亜鉛塩10重量部を、トルエン10重量部に70℃で溶解したトルエン溶液を調製し、これを重合度1700、鹸化度98%のポリビニルアルコール0.6重量部を含む水30部中に導入し、ホモミキサーを用いて混合乳化し、次いでトルエンを留去して顕色剤微粒子の水分散液を得た。この水分散液に、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム0.2重量部を用いてコーレス分散機で分散した固形分65重量%の軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパールTP−121、奥多摩工業(株)製)90重量部、酸化変成澱粉の25重量%水溶液20重量部、固形分48重量%のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス10重量部、および重合度500で鹸化度98%のポリビニルアルコール15重量%水溶液30重量部を混合して、顕色層塗工溶液(固形分濃度45重量%)を製造した。
【0103】
[医療情報シートの製造例]
上記製造例で得た樹脂フィルム層(A)のコロナ放電表面処理面に、上記の顕色層塗工溶液をブレードコーターにて乾燥後塗工量が4g/m2となるように塗工し、150℃の熱風で乾燥した後、スーパーカレンダーを介して表面平滑化処理を施し、顕色層を設けた医療情報シートを得た。
[樹脂フィルム層(B)の製造例]
市販の2軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学(株)製、商品名:FOP−K、厚み:50μm)を樹脂フィルム層(B)として用いた。
【0104】
[帯電防止機能を有するポリマーの調製例]
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名:ブレンマーPE−350)100重量部、過塩素酸リチウム(和光純薬工業(株)製、試薬)20重量部、ヒドロキノン(和光純薬工業(株)製、試薬)1重量部およびプロピレングリコールモノエチルエーテル(和光純薬工業(株)製、試薬)400重量部を、攪拌装置、還流冷却管(コンデンサー)、温度計、及び滴下ロートを装着した四つ口フラスコに導入し、系内を窒素置換し、60℃で40時間反応させた。これにステアリルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)5重量部、n−ブチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)5重量部、アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業(株)製、試薬)1重量部を添加し、80℃で3時間重合反応した後、プロピレングリコールモノエチルエーテルを添加して固形分を20重量%に調整し、重量平均分子量約30万、固形分中のリチウム濃度0.6重量%のアルカリ金属塩含有ポリマーよりなる帯電防止機能を有するポリマーの溶液を得た。
【0105】
[高分子バインダーの調製例]
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)15重量部、メチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)50重量部、エチルアクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)35重量部およびトルエン(和光純薬工業(株)製、試薬)100重量部を、攪拌機、環流冷却管、温度計、及び滴下ロートを装着した四つ口フラスコに仕込み、窒素置換後、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製、試薬)0.6重量部を開始剤として導入し80℃で4時間重合させた。得られた溶液は、水酸基価65の水酸基含有メタクリル酸エステル系重合体の50%トルエン溶液であった。次いで、この溶液100重量部に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(新第1塩ビ(株)製、商品名:ZEST C150ML)20%メチルエチルケトン溶液を30重量部加え、メチルエチルケトン(和光純薬工業(株)製、試薬)を添加して固形分を20重量%に調整し、高分子バインダー溶液を得た。
【0106】
[記録層用塗工溶液の製造例]
メチルエチルケトンをカウレスミキサーにて静かに攪拌しながら、これに沈降性シリカ(水澤化学工業(株)製、商品名:ミズカシル P−527、平均粒子径:1.6μm、吸油量:180cc/100g)30重量部および表面処理硫酸バリウム(堺化学工業(株)製、商品名:バリエース B−32、平均粒子径:0.3μm)15重量部のそれぞれを少しずつ加え、固形分濃度20重量%になるように調整した後、カウレスミキサーの回転数を上げて30分間攪拌し顔料分散液を作成した。
次いでカウレスミキサーの回転数を落とし、この顔料分散液に、上記調製例で得た高分子バインダー溶液の42重量部、帯電防止機能を有するポリマー溶液の10重量部、およびヘキサメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:コロネート HL)の溶液(酢酸エチルにて固形分20重量%に希釈したもの)の3重量部をこの順に添加し、そのまま20分間攪拌して混合し、その後100メッシュのフィルターを通し粗粒径物の除去を行い、メチルエチルケトンで固形分濃度20重量%となる様に希釈し、記録層用の塗工溶液を得た。
【0107】
[情報隠蔽シートの製造例]
上記製造例で得た樹脂フィルム層(B)のコロナ放電表面処理面に、上記の記録層用の塗工溶液を乾燥後の厚みが2μmとなるように塗工し、70℃のオーブンで30秒乾燥後、更に40℃で8時間硬化させて、記録層を設けた情報隠蔽シートを得た。同記録層における表面抵抗率は5×1012Ωであった。
【0108】
[積層体の製造例]
図8に概略図を示す積層体の製造装置を用い、上記の医療情報シートをロール(21)
より巻きだし、顕色層を設けていない側の面に直流式のコロナ放電による電荷注入処理を実施した。電荷注入処理の条件として、図8中の針状印加電極(25)と対電極ロール(26)の距離を1cmに設定し、放電電圧を15kVとした。
別に上記の樹脂フィルム層(B)をロール(22)より巻きだし、樹脂フィルム層(A)の電荷注入処理を実施した面と、樹脂フィルム層(B)の記録層を設けていない側の面が接するように積層し、両者を圧着ロール(28、29)間で加圧接着して積層体を得た。
【0109】
[医療情報転写シートの製造例]
上用紙として、市販の上用紙(商品名:KSコピーブライト、王子製紙(株)製、番手:N40、紙色:白、発色:ブラック)のノンカーボン感圧層とは反対の面に医療情報シートと同様の情報記入欄をフォーム印刷し、これを菊半サイズに断裁して医療情報転写シートを得た。
また、中用紙として、市販の中用紙(商品名:KSコピーブライト、王子製紙(株)製、番手:N40、紙色:白、発色:ブラック)の顕色層側の面に医療情報シートと同様の情報記入欄をフォーム印刷し、これを菊半サイズに断裁して、医療情報転写シートを得た。
【0110】
[救急医療情報提供シートの実施例]
上記製造例で得た積層体を菊半サイズのシートに断裁し、UVオフセット印刷機を用いて、この積層体の顕色層側の面に図3の医療情報シート印刷例に例示する情報記入欄を印刷し、この積層体の記録層側の面に図3の医療情報シート印刷例に例示する記入欄を隠蔽する墨ベタを印刷して、医療情報転写シートと情報隠蔽シートよりなる積層体を得た。情報隠蔽シートにおける墨ベタ印刷部分の不透明度は90%であった。
次いで、この積層体の顕色層側の面に、上記の医療情報転写シートをそれぞれ上用紙、中用紙を記入欄がずれないように重ね合わせて、上用紙/中用紙/積層体(医療情報シート/情報隠蔽シート)の順に重ねたものを1セットとし、これを20〜30cmに積み重ねて、記入欄に合わせてギロチン断裁した後、1側壁面(断裁面)に天糊(商品名:天糊92、王子製紙(株)製)をハケで塗工し、室温で乾燥し、セット毎に組み分けをして救急医療情報提供シートを得た。
【0111】
[救急医療情報提供シートの使用例]
上記実施例で得た救急医療情報提供シートの医療情報転写シート側(上用紙上)に、情報記入欄に応じた個人情報および医療情報を図3の例の如く記入した。
次いで医療情報シートと医療情報転写シートとをそれぞれ手で剥がし、医療情報転写シート側を携帯用、自治体保管用として用いた。
次いで医療情報シートと情報隠蔽シートとを手で剥がし、先ず、医療情報シートを冷蔵庫の扉に静電吸着により貼り付けた。次いで情報隠蔽シートを医療情報シート上の情報が隠れるよう、重ねて静電吸着により貼り合わせた。
結果として、情報隠蔽シートにより記載情報が見えることがない医療情報シートは、充分な吸着力により冷蔵庫に貼り付け表示可能であった。またこの医療情報シートは、静電吸着力により貼着しているので、手で容易に剥がすことも可能であった。
【0112】
1 医療情報シート
2 情報隠蔽シート
3 医療情報転写シート
4 カーボンまたはノンカーボン感圧層
5 記入面
6 天糊
a 帯電による接着面
7 医療情報転写シート(上用紙)
8 医療情報転写シート(中用紙)
9 顕色層
10 記録層
11 樹脂フィルム層(A)または医療情報シートまたは樹脂フィルム層(B)または情報隠蔽シート
12 直流高圧電源
13 針状印加電極
14 対電極
15 ワイヤー状電極
16 針状電極
17 対電極ロール
18 ワイヤー状電極
21 樹脂フィルム層(A)または医療情報シートまたは樹脂フィルム層(B)または情報隠蔽シート
22 樹脂フィルム層(B)または情報隠蔽シートまたは樹脂フィルム層(A)または医療情報シート
23 積層体
24 直流高圧電源
25 針状印加状電極
26 対電極ロール
27 ガイドロール(グランド接続)
28 ニップロール
29 ニップロール(貼合ロール)

(57)【要約】

【課題】要救護者が外出先で倒れても、救急隊が治療に適切な病院に搬送するのに必要な情報を知ることができるとともに、安価で、静電吸着により冷蔵庫に貼り付け表示することが可能な救急医療情報提供シートを提供する。【解決手段】医療情報転写シート3と、樹脂フィルム層Aを含む医療情報シート1と、樹脂フィルム層Bを含む情報隠蔽シート2を順に積層したシートであって、医療情報転写シート3が表側に記入面5、裏側にカーボンまたはノンカーボン感圧層4を有し、医療情報シート1の樹脂フィルム層Aと情報隠蔽シート2の樹脂フィルム層Bが静電気により吸着している。緊急時は情報隠蔽シートを容易に除去して要救護者の医療情報を知ることができる。また、医療情報シートは静電吸着により冷蔵庫に貼着しているので、剥がして持ち出すこともできる。


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【インターネット特許番号リンク】

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