(54)【考案の名称】発泡樹脂製の容器および容器本体

(73)【実用新案権者】積水化成品工業株式会社

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図2

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、各種物品の物流用および搬送および保管用等に使用される発泡樹脂製の容器および容器本体に関するものである。

【従来の技術】

【0002】
従来より、農産物や水産物の輸送、保管に使用される保冷容器その他の各種物品の物流用の容器として、上方に開口する容器本体と、容器本体の開口端部の上面に載接する周縁部及び前記開口端部に対する内嵌合部を有する蓋体とよりなる発泡樹脂製の容器が知られている。かかる発泡樹製の容器は、軽量で取扱易くて断熱性にも優れていることから、農産物や水産物の保冷容器のほか、食品搬送用容器、食品保冷容器、保温容器その他の各種の物品の物流用および搬送および保管用等の容器として広く使用されている。
【0003】
ところで、かかる容器において、容器本体の開口端部の外形と、これに内嵌合して被着される蓋体の外形とが同形であり、蓋体被着状態においては、蓋体の外周側面が容器本体の外周側面とほぼ同一面上に一致しているのが普通である。そのため、多数の容器を並べて輸送する場合において、輸送時の振動等によって隣接する容器同士が揺動しながら接触するときには、蓋体の外周側面同士が広い面で揺動により擦れあいながら衝接することになり、この衝接が繰り返されることで、蓋体が浮き上がることがあった。
【0004】
また、前記の各種の商品の収納および出荷作業においては、例えばベルトコンベアで容器を並べて搬送し、搬送される容器内に出荷対象の商品を入れ、蓋を被せて、コンベアの終点まで搬送し、これを出荷することがあるが、この際、コンベアの終点のところで、容器同士が衝接することで、蓋体が外れることがあった。
【0005】
仮に蓋体の浮き上がりが生じると、密封性を損ない、保冷容器として使用されている場合には保冷効果が損なわれることになる。
【0006】
このような問題を解決するために、蓋体を容器本体の開口端部に対し内嵌合して被着した際に、蓋体の外周側面が容器本体の外周側面より僅かに内方にあるように、容器本体の外形と蓋体との外形に寸法差をつけて、隣接する容器同士が接触するときに、容器本体に被着されている蓋体の外周側面同士が衝接しない構造にすることにより、蓋体の外周側面同士の衝接による蓋体の浮き上がりを防止することが提案されている(特許文献1)。
【0007】
しかしながら、前記提案のように、容器本体の外形と蓋体との外形に寸法差をつけると、その寸法差のために、容器本体に蓋体を内嵌合して被着した際に容器本体の開口端部の上面が露出状態に現れることになる。そのため、浮き上がり防止には効果があるものの、開口端部の上面の露出部分に埃が溜まり易く、特に食品関係の容器としては不衛生であり、外観的にも不体裁である。また、この種の発泡樹脂製の容器は、保冷容器として使用されることが多く、この保冷容器としての使用において予冷を実施した場合に、前記開口端部上面の露出部分に結露が生じてそのまま凍結してしまい、蓋体が開かなくなることもある。
【0008】

【効果】

【0018】
本考案の発泡樹脂製の容器によれば、蓋体を容器本体に対して内嵌合して被着した状態において、容器本体の側壁上端の開口端部の上面が露出することがないため、前記開口端部の上面に埃が溜まる虞がなく、体裁良くかつ衛生的に使用できる。また、本考案の容器を保冷容器として使用した場合において、予冷時に結露が生じて凍結し、蓋体が開けられなくなるといった虞もない。
【0019】
しかも、本考案の容器は、蓋体の周縁部による外周側面が上方に向かって内方に傾斜したテーパ状の傾斜面をなしているために、輸送時の振動等により隣接する容器同士が接触するとき、蓋体同士は周縁部の下端外形部分が僅かに衝接するだけで、衝接による影響を殆ど受けることがないため、衝接の繰り返しによる蓋体の浮き上がり防止の効果も発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本考案の発泡樹脂製の容器の蓋体被着状態の一部欠截斜視図である。
【図2】同上容器の断面説明図である。
【図3】同上の一部の拡大断面説明図である。
【図4】本考案の他の実施例を示す一部の拡大断面図である。
【図5】本考案のさらに他の実施例を示す一部の拡大断面図である。

【0021】
次に本考案の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0022】
実施例の容器は、例えば発泡ポリスチレン等の発泡樹脂を素材として成形された発泡樹脂製の容器であって、上方に開口する主として平面矩形の容器本体10と、該容器本体10の上部開口を閉塞するように被着される蓋体20とよりなる。
【0023】
容器本体10は、全体として図のように四方に側壁12を有して上方に開口する有底容器である。符号11は容器本体10の側壁上端の開口端部を示しており、該開口端部11に対し前記蓋体20が内嵌合される。
【0024】
すなわち、前記蓋体20は、前記容器本体10の開口端部11の上面11aに載接する周縁部21及び前記開口端部11に対する内嵌合部22を有しており、該内嵌合部22が前記開口端部11に内嵌合することにより、前記周縁部21の下面21aが容器本体10の開口端部11の上面11aに載接した状態に被着されるように形成されている。前記内嵌合部22として、図1〜図3のように蓋体20の下面に周縁部21に沿って突出形成しておくことも、図4のように蓋体20の周縁部21より内方部の全体を開口端部11の内側に嵌合するように突出形成しておくこともできる。
【0025】
前記蓋体20は、図示するように、前記蓋体20の内嵌合部22を前記容器本体10の開口端部11に内嵌合して被着した状態において、前記開口端部11の上面11aが露出せず、かつ、前記周縁部21の外周側面が外方へはみ出さないで容器本体11の外周側面と一致するように、前記周縁部21の下端外形が容器本体10の開口端部11の外形と平面同形をなすように形成されている。そして、前記蓋体20の周縁部21による外周側面が、少なくとも一方の対向する2辺、好ましくは図のように四辺の全周で、上方に向かって内方に傾斜したテーパ状の傾斜面23をなすように形成されている。
【0026】
図1〜図3の実施例の場合、前記蓋体20の周縁部21による外周側面は、前記周縁部21の下面21aに対する垂直面24を下部に残して、上部が前記垂直面24に対して内方に傾斜したテーパ状の傾斜面23として形成されている。
【0027】
図4の実施例のように、前記蓋体20の周縁部21の外周側面の全体をテーパ状の傾斜面23とすることも可能であるが、この場合、蓋体20の周縁部21の下端外周縁が鋭角になり、隣接する容器との衝接等により欠損する虞があるので、実施上は、上記のように下部に垂直面24を残して上部を傾斜面23として形成しておくのが、隣接する容器との衝接等による欠損を防止する効果の点から特に好ましい。
【0028】
前記のように、蓋体20の周縁部21の外周側面の下部に垂直面24を形成しておく場合、該垂直面24の上下方向幅aが、前記周縁部21の上下方向の厚みTの1/10以上で1/3以下の幅を有するものが好ましい。すなわち、前記の上下方向幅aが前記より大きくなると、周縁部21の外周側面をテーパ状の傾斜面23としたことによる浮き上がり防止の効果が得られ難く、また前記上下方向幅aが前記より小さくなると欠損が生じるおそれがある。
【0029】
前記の蓋体20の周縁部21による外周側面における傾斜面23は、該傾斜面23から蓋体上面20aへの屈曲連続部25が、容器本体10に蓋体20を被着した状態において容器本体10の側壁12内面の上方位置よりもやや外方の位置にあるように形成しておくのがよい。
【0030】
すなわち、蓋体20を容器本体10に被着した状態で複数の容器を積み重ねた際に(図3の鎖線)、上段容器の荷重が蓋体20にかかることになり、前記屈曲連続部25が容器本体10の側壁12の上方位置より内方にあると、積み重ね荷重が蓋体20の内方部にかかることになって蓋体20の負担が大きく破損の虞があるが、図示する実施例のように、前記屈曲連続部25を側壁内面の上方位置より外方に位置するように設定して、前記積み重ね荷重を容器本体10の側壁12で支えることができるように形成しておくのが好ましい。
【0031】
上記の効果の点から、前記屈曲連続部25が容器本体10に蓋体20を被着した状態において、前記容器本体10の側壁12内面の上方位置より容器本体10の側壁12の厚みの1/3〜2/3の寸法分外方にあるように形成しておくのが好ましい。実施上は、隣接する容器同士の接触による蓋体20の浮き上がり防止の効果を考慮して、前記傾斜面23の傾斜角度θを5度以上にして前記屈曲連続部25の位置を前記のように設定しておくのが好ましい。
【0032】
なお、前記容器本体10の側壁12の外周側面については、図4の実施例のように、通常の成形容器と同様に、成形後の型抜きを考慮して全体として僅かに抜き勾配をつけたテーパ状の傾斜面13とすることもできるが、この場合、多数の容器を並べて輸送する場合において隣接する容器同士が接触するときに、側壁12の上端の開口端部11の部分と、該開口端部11に載接する蓋体20の周縁部21の下端外形の部分でのみ局部的に衝接することになるので、実施上は、図1〜図3のように、側壁12の上端部に前記開口端部11の上面に対する垂直面14を残して、下方に向かってテーパ状の傾斜面13とするのが好ましい。すなわち、このように形成しておくことにより、隣接する容器同士が接触する際に、前記容器本体10の側壁12の上端部の垂直面14,14同士が衝接することで、蓋体20に対する衝接作用の力を軽減でき、蓋体20の浮き上がり防止の効果を高めることができる。
【0033】
前記容器本体10の外周側面における垂直面14の上下方向幅bは、成形後の型抜きを考慮して適宜設定できるが、実施上は、前記蓋体20の外周側面における垂直面24の上下方向幅aの1.0〜5.0倍、好ましく1.0〜2.0倍程度に設定される。
【0034】
前記の容器本体10の構造は、周縁部21の少なくとも一部、すなわち一方の対向する2辺また、四辺の全周において前記開口端部11の外側と平面同形をなすように内嵌合される蓋体20を有する発泡樹脂製の容器にも適用でき、この場合も、前記容器本体10の外周側面における垂直面24の上下方向幅が、前記蓋体20の外周側面における周縁部下面に対する垂直面の上下方向幅の1.0〜2.0倍であるものとする。
【0035】
なお、容器本体10の開口端部11に対する蓋体20の内嵌合部22による構造としては、図5の実施例のように、容器本体10の開口端部11の内周側に切欠段部16を形成し、他方、蓋体20の下面に、前記開口端部11の上面11aに載接する周縁部21の内側に沿って前記切欠段部16に内嵌合する突起状の内嵌合部22を設けて実施することもできる。この実施例の場合も、上記した実施例と同様に、前記蓋体20の周縁部21の下端外形を容器本体10の開口端部11の外形と平面同形とし、さらに前記周縁部21による外周側面を、図のように下部に垂直面24を残して上部をテーパ状の傾斜面23とするか、あるいは外周側面の全体をテーパ状の傾斜面にして実施することができる。また、容器本体10の側壁12の外周側面についても、上記した実施例と同様に、上端部に開口端部11の上面11aに対する垂直面14を残して下部テーパ状の傾斜面14として形成するか、または外周側面の全体をテーパ状の傾斜面として実施することができる。
【0036】
前記容器本体10及び蓋体20は、任意の発泡樹脂成形体で製作することができるが、熱可塑性樹脂の発泡成形体であることが好ましい。熱可塑性樹脂にはポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂)、ポリエステル系樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート系樹脂、ポリ乳酸系樹脂等が挙げられる。なかでも、ポリスチレンとポリエチレンとを含む複合樹脂を用いることが好ましい。また、前記発泡体の発泡倍率は3〜50倍が好ましい。また、必要に応じて、前記発泡樹脂の表面に非発泡樹脂の表皮層を設けておくこともできる。
【0037】
上記した実施例の発泡樹脂製の容器によれば、蓋体20の内嵌合部22を容器本体10の開口端部11に対し内嵌合して、蓋体20を容器本体に被着した状態においては、図のように、蓋体20の周縁部21が容器本体10の開口端部11の上面11aに載接した状態で、該周縁部21の下端外形と容器本体10の開口端部11の外形とが一致することになり、容器本体10の開口端部11の上面11aが露出することがない。また、蓋体20の周縁部21の外周側面が容器本体10の外周側面より外方にはみ出すこともない。そのため、前記開口端部11の上面に埃が溜まる虞がなく、体裁良くかつ衛生的に使用できる。また、本考案の容器を保冷容器として使用した場合に、予冷時に結露が生じて凍結し、蓋体が開けられなくなる虞もない。
【0038】
しかも、蓋体20の周縁部21による外周側面が、少なくとも一方の対向する2辺、例えば図のように4辺の全周で、上方に向かって内方に傾斜したテーパ状の傾斜面23をなしているために、埃等が落ちるとともに、多数の容器を並べて輸送する場合等において、前記傾斜面23を対向させるように並べておくことにより、隣接する容器同士が揺動して接触するとき、蓋体20の周縁部21の下端外形部分が僅かに衝接するものの、衝接面積が小さくて擦れあいながら衝接することがなく、そのため蓋体20を浮き上がらせる作用も小さく、したがって衝接の繰り返しによる蓋体20の浮き上がりを防止できる。
【0039】
例えば、各種の商品の出荷の際に、例えばベルトコンベアで容器を並べて搬送し、搬送される容器内に出荷対象の商品を入れ、蓋を被せて、コンベアの終点まで搬送する場合に、コンベアの終点のところで容器同士が衝接しても、蓋体20が外れることがない。この際、前記容器は、同方向に並べて搬送するため一方の対向する2辺において、蓋体20の外周側面の一方の対向する2辺にテーパ状の傾斜面23としておくだけで、前記効果がえられる。
【0040】
また、前記容器本体10の側壁12の外周側面において、側壁12の上端部に前記開口端部11の上面に対する垂直面14を残して、下方に向かってテーパ状の傾斜面13としておくことにより、隣接する容器同士が接触するときに、前記容器本体10の外周側面の上端部の垂直面14同士が衝接することで、この衝接時に蓋体20の周縁部の衝接作用の力が弱くなり、その結果、衝接の繰り返しによる蓋体20の浮き上がりを防止できる。しかも、前記垂直面14が上端部のみであるために、容器本体10の成形後の型抜きを阻害することもない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本考案の発泡樹脂製の容器は、農産物や水産物の保冷容器のほか、食品搬送用容器、食品保冷容器、保温容器その他の各種の物品の物流用および搬送および保管用等の容器として広く使用できる。
【0042】
10…容器本体、11…開口端部、11a…開口端部の上面、12…側壁、13…傾斜面、14…垂直面、16…切欠段部、20…蓋体、20a…蓋体の上面、21…周縁部、21a…周縁部の下面、22…内嵌合部、23…傾斜面、24…垂直面、25…屈曲連続部、a…垂直面14の上下方向幅、b…垂直面24の上下方向幅、T…周縁部の上下方向の厚み。

(57)【要約】

【課題】側壁上端の開口端部の上面が露出せず、体裁良くかつ衛生的に使用でき、しかも隣接する容器同士が接触するときの蓋体同士の衝接する力を低減でき、蓋体の浮き上がり防止の効果も発揮できる発泡樹脂製の容器及びその容器本体を提供する。【解決手段】上方に開口する容器本体10と、容器本体10の側壁上端の開口端部11の上面11aに載接する周縁部21及び開口端部11に対する内嵌合部22を有する蓋体20とよりなる発泡樹脂製の容器であって、蓋体20の周縁部21の下端外形を容器本体10の開口端部11の外形と平面同形とし、蓋体20の周縁部21による外周側面を上方に向かって内方に傾斜したテーパ状の傾斜面23をなすものとする。


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