【0001】
本考案は、工事現場等でのカメラ撮影に用いられる柄付きボードに関する。
【0002】
工事現場では、工事の状況の記録の目的で、カメラで写真が撮影される。このとき、工事現場を背景としつつ、黒板又はホワイトボードが撮影される。黒板又はホワイトボードには、工事名、場所、日付等が記載される。撮影には、黒板又はホワイトボードを保持する者と、カメラのシャッターを押す者との、2名の作業者が必要である。
【0003】
実用新案登録第3173739号公報には、1名の作業者で工事現場の撮影がなされうるボードが開示されている。このボードは、伸縮可能な柄と、表示プレートと、三脚のカメラスクリューが螺入されうる三脚穴とを備えている。表示プレートには、工事名、場所、日付等が記載される。作業者は、所定長さに設定された柄を一方の手で把持し、他方の手でカメラのシャッターを押す。また、作業者は、この柄付きボードを三脚に取り付けて、シャッターを押すこともできる。
【0010】
本考案に係る柄付きボードは、作業者が柄を把持した状態で使用されうる。この柄付きボードでは、この柄と表示プレートの前面とのなす角度が、180°を越えて揺動しうる。この柄と表示プレートの前面とのなす角度が180°より小さいときは、表示プレートの前面が作業者側に向くため、背景とともに表示プレートの前面が撮影される。この柄と表示プレートの前面とのなす角度が180°より大きいときは、表示プレートの背面が作業者側に向くため、背景とともに表示プレートの背面が撮影される。この表示ボードは、前面及び背面が利用されうる。複数種類の表示面が撮影される必要があるとき、この柄付きボードでは用意すべき表示ボードの数が減らせうる。また、表示すべき情報を書き換える手間が少なくなりうる。この柄付きボードは、使い勝手に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本考案の一実施形態に係る柄付きボードが示された正面図である。
【図2】図2は、図1の柄付きボードが示された背面図である。
【図3】図3は、図1の柄付きボードが示された側面図である。
【図4】図4は、図1の柄付きボードの一部が示された拡大断面図である。
【図5】図5は、図1の柄付きボードの使用の様子が示された斜視図である。
【図6】図6は、図1の柄付きボードの使用の様子が示された斜視図である。
【図7】図7は、図1の柄付きボードが示された正面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本考案が詳細に説明される。
【0013】
図1は、柄付きボード2の正面図である。この柄付きボード2は、表示プレート4及び柄26を備えている。図1において、矢印Xで示されているのは、柄付きボード2の上下方向である。矢印Yで示されているのは、柄付きボード2の左右方向である。
【0014】
表示プレート4は、その前面6に表示部8を備えている。この表示部8には、工事名、工事の場所、撮影の日付等が記載される。記載には、チョーク、ホワイトボードマーカー等が用いられる。チョークが用いられる場合、表示部8の表面に、黒板と同様の微細凹凸加工がなされる。ホワイトボードマーカーが用いられる場合、表示部8には、このホワイトボードマーカーのインクが含浸しないような加工がなされる。
【0015】
表示プレート4は、その下側に切り欠き10を備えている。この切り欠き10は、表示プレート4の下端11から上端方向に向かって延びる一対の側面(左側面12及び右側面14と称される)と、円弧状の上面16とを備えている。
【0016】
表示プレート4は、その前面6に、一対のブラケット18を備えている。このうち、一方のブラケット18は、正面視において、上記切り欠き10の左側面12の左側に位置している。もう一方のブラケット18は、正面視において、上記切り欠き10の右側面14の右側に位置している。換言すれば、正面視において、上記切り欠き10は、この一対のブラケット18の間に位置している。それぞれのブラケット18は、表示部8に対して垂直な方向に突出している。このブラケット18は、孔20を備えている。
【0017】
図2は、この柄付きボード2の背面図である。この表示プレート4は、その背面22にも表示部24を備えている。この表示部24には、工事名、工事の場所、撮影の日付等が記載される。記載には、チョーク、ホワイトボードマーカー等が用いられる。チョークが用いられる場合、表示部24の表面に、黒板と同様の微細凹凸加工がなされる。ホワイトボードマーカーが用いられる場合、表示部24には、このホワイトボードマーカーのインクが含浸しないような加工がなされる。
【0018】
図1及び2に示されるように、柄26は、頭部28と首部30と本体32とよりなる。頭部28は、釣鐘状である。頭部28は、孔34を備えている。この孔34は頭部28を貫通している。この頭部28の左右方向の幅は、上記一対のブラケット18間の左右方向の間隔とほぼ同じとされている。首部30は頭部28の下側に位置する。首部30の左右方向の幅は、頭部28の幅よりも小さくされている。首部30の左右方向の幅は、上記切り欠き10の左側面12と右側面14との幅よりも小さくされている。本体32は、首部30から下方向に延びている。図には示されないが、本体32は、第一節、第二節、第三節及び第四節からなる。第一節は第二節に入れ子式に挿入されており、第二節は第三節に入れ子式に挿入されており、第三節は第四節に入れ子式に挿入されている。これらにより、この柄26は、伸縮自在である。図1及び2では、最も縮められた状態の柄26が示されている。柄26が最も縮められたとき、この柄26の長さは上記表示プレート4の上下方向の長さと同等か、又はこれより短くされている。
【0019】
典型的には、柄26の材質は、スチール又はステンレススチールである。節の数が3以下でもよい。節の数が5以上でもよい。柄付きボード2が、伸縮不可能な柄26を備えてもよい。
【0020】
この柄26が表示プレート4に取り付けられるとき、頭部28は、一対のブラケット18の間に嵌め込まれる。前述のとおり、それぞれのブラケット18及び頭部28には孔が設けられている。一方のブラケット18の孔20、頭部28の孔34及び他方のブラケット18の孔20に、ボルト36が通される。このボルト36の先端は、ナット38に螺入されている。このボルト36及びナット38により、表示プレート4に柄26が取り付けられている。柄26は表示プレートの前面6に取り付けられている。柄26は、ボルト36を軸として、表示プレート4に対して揺動しうる。
【0021】
図3は、柄付きボード2の側面図である。図3において、両矢印Aは、柄26が表示プレート4に対して揺動する方向を表す。両矢印αは、柄26と表示プレート4の前面6とのなす角度を表す。図3では、角度αが略180°とされたときの、柄付きボード2が示されている。この図には、併せてこの角度αが略0°、略90°及び略270°の状態の柄26が、破線で示されている。前述のとおり、この表示プレート4は切り欠き10を備えている。角度αが180°を越えたとき、柄26の首部30がこの切り欠き10に入り込む。このため、柄26は、角度αが180°を越えて揺動しうる。この柄26は、柄26の首部30が切り欠き10の上面16に当接するまで揺動しうる。図4は、柄26の首部30が切り込みの上面16に当接した状態での、柄付きボード2の一部が示された断面図である。この例では、角度αが略300°となるまで、柄26が表示プレート4に対して揺動している。
【0022】
図5は、図1の柄付きボード2の使用状態が示された説明図である。この図では、角度αは180°より小さくされているため、表示プレート4の前面6が作業者40側に向いている。この使用状態では、表示プレート4の前面6が撮影される。この柄付きボード2が使用されるには、まず、作業者40によって表示プレート4の前面6の表示部8に必要事項が記入される。作業者40は、表示プレート4と柄26との角度α、及び柄26の長さを調整する。作業者40は、一方の手で柄26の後端近傍を把持しつつ、他方の手でカメラ42のシャッターボタンを押す。これにより、表示プレート4の前面6の表示部8に記載された文字と、工事現場の背景とが、同時に撮影されうる。
【0023】
図6は、図1の柄付きボード2の別の使用状態が示された説明図である。この図では、角度αは180°より大きくされているため、表示プレート4の背面22が作業者40側に向いている。この使用状態では、表示プレート4の背面22が撮影される。この柄付きボード2が使用されるには、まず、作業者40によって表示プレート4の背面22の表示部24に必要事項が記入される。作業者40は、表示プレート4と柄26との角度α、及び柄26の長さを調整する。こ作業者40は、一方の手で柄26の後端近傍を把持しつつ、他方の手でカメラ42のシャッターボタンを押す。これにより、表示プレート4の背面22の表示部24に記載された文字と、工事現場の背景とが、同時に撮影されうる。
【0024】
このように、本発明に係る柄付きボード2では、角度αを調整することで、表示プレート4の前面6又は背面22が背景とともに撮影できる。
【0025】
前述のとおり、この柄26は、柄26の首部30が切り欠き10の上面16に当接するまで揺動しうる。このため、角度αの最大値は、表示プレート4の下端11から切り欠き10の上面16までの距離によって調整しうる。この距離が大きくなると角度αの最大値も大きくなる。この角度αの最大値は、225°以上が好ましい。角度αの最大値が225°以上の柄付きボード2は、背面22が容易に撮影しうる。この観点から角度αの最大値は250°以上がより好ましい。角度αの最大値は345°以下が好ましい。この角度αの最大値が、345°以下の柄付きボード2は、表示プレート4の下辺から切り欠き10の上面16までの距離が小さい。この切り欠き10は、取り扱い時に邪魔にならない。この観点から、この角度αの最大値は、300°以下がより好ましい。
【0026】
図7は、柄26が表示プレート4の前面6に当接するまで、柄26を揺動させた状態を示す。このとき角度αは最小となる。この柄付きボード2の角度αの最小値は略0°である。前述のとおり、この柄26が縮められたとき、この柄26の長さは、表示プレート4の上下辺の長さを超えないようにされている。図に示されるとおり、正面視において、この柄26は表示プレート4から突出していない。この柄付きボード2はコンパクトである。この柄付きボード2は収納が容易である。この柄付きボード2は携帯性に優れる。この柄付きボード2は、突出部がないので、取り扱う時に、他のものに引っかかり難い。この柄付きボード2は取り扱いが容易である。
【0027】
表示プレート4の裏側に、ホワイトボードマーカーを固定するためのホルダーが設けられてもよい。
【0028】
以上説明されたように、本考案に係る柄付きボード2は、角度αを調整するだけで、表示プレート4の前面6と背面22が容易に撮影されうる。この柄付きボード2では、用意すべき表示ボードの数が減らせ、また、表示すべき情報を書き換える手間が少なくなりうる。この柄付きボード2では、角度αが最小とされたとき、正面視においてこの柄26が表示プレート4から突出しない。この柄付きボード2は収納性及び携帯性に優れる。この柄付きボード2は、使い勝手に優れる。以上より本考案の優位性は明らかである。
【0029】
本考案に係る柄付きボード2は、例えば建物検査のような、種々の場面における撮影に用いられうる。
2・・・柄付きボード
4・・・表示プレート
6・・・前面
8、24・・・表示部
10・・・切り欠き
11・・・下端
12・・・左側面
14・・・右側面
16・・・上面
18・・・ブラケット
20、34・・・孔
22・・・背面
26・・・柄
28・・・頭部
30・・・首部
32・・・本体
36・・・ボルト
38・・・ナット
40・・・作業者
42・・・カメラ
【課題】工事現場等でのカメラ撮影に用いられる使いやすい柄付きボードを提供する。【解決手段】柄付きボード2は、表示プレート4と、この表示プレート4の前面に揺動可能に取り付けられた柄26とを備えている。この表示プレート4は切り欠き10を備えている。この柄26がこの表示プレート4に対して揺動したとき、この柄26がこの切り欠き10に入り込むことにより、柄26と表示プレート4の前面とのなす角度αが180°を越えて、この柄26がこの表示プレート4に対して揺動する。好ましくは、柄26と表示プレート4の前面とのなす角度αの最大値は、225°以上345°以下である。好ましくは、柄26と表示プレート4の前面とのなす角度αが最小となるまで柄26を揺動させたとき、正面視において、柄26は上記表示プレート4から突出しない。
インターネット上にあるこの特許番号にリンクします(発見しだい自動作成):