(54)【考案の名称】布製吸水パッド及び該吸水パッドを取り付けた尿失禁用下着

(73)【実用新案権者】片倉工業株式会社

(72)【考案者】【考案者】

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【選択図】図2

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、失禁用下着における尿の横漏れを解消する布製吸水パッドと、該吸水パッドを取り付けた尿失禁用下着に関するものである。

【従来の技術】

【0002】
従来、紙製品のような使い捨てではなく、洗濯して繰り返し使用できるタイプの布製尿失禁用下着として、中当布と表布の間に、吸水性を有する不織布を含む吸収布と、防水性を有する防水シート材とを中当布側から順に配し、通常のパンツと同形状に縫製するようにしたものが用いられている(特許文献1)。
【0003】
かかる尿失禁用下着は、吸収布によって尿を吸収するとともに、吸収布で吸収した尿で表布を濡らさないように、防水シート材を吸収布と表布の間に配設しているが、中当布と略同形に形成された防水シート材は、周縁部が表布に縫製されることから、この縫製のミシン縫い目から尿が滲みだし、表布に浸透するという問題があった。
【0004】
そこで本出願人は、従来の尿失禁パッドや尿失禁パッドの取り付けられた下穿の有する問題点に鑑み、縫い糸による縫着構造に代えて超音波溶着を採用することにより、吸水シートに吸収された尿が縫着部のミシン縫い目から失禁パッド外に滲透することを防ぐことができる尿失禁パッド及びこのパッドの取り付けられた尿失禁用下穿を発明した(特許文献2)。
【0005】
かかる尿失禁パッドは、尿漏れ防止の点において十分な効果を発揮するものであるが、その製造工程に超音波溶着を採用していることにより、専用の装置が必要であり、製造コストが嵩むおそれがあった。
【0006】
そこで、特殊な装置を用いることなく熱ローラミシンで溶着可能な熱溶着テープ素材を用いることが考えられるが、縫着手段を用いることなく熱溶着テープ素材のみで吸水シートの周縁部を被覆する場合、繰り返しの使用および洗濯などにより徐々にその溶着部分の接着力が弱くなって剥離し、尿が滲み出すおそれがあった。
【0007】

【効果】

【0011】
本考案に係る吸水パッドは、吸水シートの周縁部に撥水テープを縫着することで十分な強度を得ることができるとともに、縫着部を表裏両面から撥水テープで被覆することにより尿がミシン縫い目から外部へ滲み出すおそれがない。また、撥水テープは熱ローラミシンなどにより熱溶着可能であるため、超音波溶着装置などの特殊な設備が不要であり、製造コストも抑えることができる。
【0012】
また、本考案に係る吸水パッドを取り付けた尿失禁用下着は、吸水パッドの端部から突出する縫い代片において下着に縫着されており、かかる縫い代片のミシン縫い目から尿が滲み出すおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本考案に係る吸水パッドの底面図。
【図2】(a)本考案に係る吸水パッドの製造工程の一過程を表した一部拡大断面図。(b)本考案に係る吸水パッドの製造工程の一過程を表した一部拡大断面図。

【0014】
以下、本考案の尿失禁用下着の吸水パッドの一実施態様を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本考案はこれら実施態様に何ら制約されるものではない。
【0015】
図1は本考案に係る吸水パッドの底面図である。図中、1はパッド本体、2は撥水テープ、3は縫着部、12は防水シート、24は縫い代片、111は吸水シート端部をそれぞれ示す。
【0016】
図1に示すように、本考案に係る吸水パッドは、尿失禁用下着に取付け可能な形状・寸法に形成されたパッド本体1と、その周縁部に縫着および溶着された撥水テープ2からなる。撥水テープ2は後述するように、縫着部3においてパッド本体1に縫着されているが、撥水テープ2が該縫着部3を被覆するように溶着されているため、縫着部3は外観から視認できない(図1では破線で示す)。なお、パッド本体1の形状・寸法については、取り付ける下着のタイプによって種々選択可能であり、特に限定はされない。
【0017】
図2(a)は、本考案に係る吸水パッドの製造工程の一過程を表した拡大断面図である。図に示すように、パッド本体1は、吸水シート11と、該吸水シート11の裏面に貼付された防水シート12からなる。これらのうち、吸水シート11はポリエステル、アクリル、レーヨン等の合成繊維の不織布や、天然繊維の不織布等の吸水性且つ保水性を有する素材を好適に使用することができ、また、水透過性と撥水性とを併せ持つ公知の遮水シートなどとともに複数層で構成しても良い。また、防水シート12は、ポリエステル等の合成繊維の布にポリウレタン樹脂をラミネートしたもの等を好適に使用することができる。
【0018】
図2(a)は、パッド本体1の表面に撥水テープ2が縫着された状態を示す。この状態において、撥水テープ2は熱溶着面21を表側(本図では上側)にして、吸水シート11の周縁部に沿って一連に縫着されている。撥水テープ2は、縫着部3の外側にあたる端片部23よりも縫着部3の内側にあたる折り返し片部22の幅が広くなるように縫着されており、かかる折り返し片部22により吸水シート11の周縁部を表裏から挟み込んで被覆することができる。この工程では、まだ縫着部3は吸水シート11の表裏両面において露出している。なお、本考案で使用される撥水テープ2は、撥水加工を施したポリエステルなどの合成繊維製の生地の片面に熱で溶着するフィルムをラミネート加工し、適当な幅にスリットカットしたものを好適に使用できる。
【0019】
図2(b)は、撥水テープ2によって吸水シート11の周縁部を表裏から挟み込むように溶着した状態を表す。この状態にするためには、まず、図2(a)の状態から撥水テープ2の折り返し片部22を矢印方向に捲り上げ、縫着部3において防水シート11の端部111側へ折り返し、熱溶着面21を内側にして端片部23上に重ねる。そして、そのまま端部111を被覆しつつ、さらに端部111より外側へ撥水テープ2の一部を二枚重ねとして突出する縫い代片24を形成する。最後に残った折り返し片部22を吸水シート11の裏側へ巻き込みつつ、少なくとも縫着部3まで被覆するように防水シート12に溶着する。このように、縫着部3は表裏の両面から撥水テープ2で被覆されることになるため、かかる縫着部3のミシン縫い目より尿が外部へ滲み出すおそれがない。
【0020】
本考案に係る吸水パッドは、防水シート12側を外側にして尿失禁用下着に取り付けられる。下着への取り付け方法は、一般的なミシン縫いによる縫着のほか、面ファスナー、ボタンなどの公知の方法により下着へ取り付けることが可能である。下着に縫着する場合は、縫い代片24において縫い付けることができるが、縫い代片24は撥水テープ2が二枚重ねに形成され、熱溶着面21を内側にして互いに溶着されて水密状態となっているため、該縫着部から尿が滲み出すおそれはない。なお、吸水シート本体1の一部の辺部を下着から遊離して取り付ける場合、当該遊離した辺部においては、かかる縫い代片24を設けることなく吸水シート11の端部を被覆しても良い。さらに、周縁部に設けられた撥水テープ2のうち、吸水シート11の両側辺部に設けられた撥水テープ2を更に上下に延伸して吸水シート11から突出するようにしても良く、かかる突出片において下着に縫着しても良い。かかる構成によれば、吸水シート11の全周縁部を下着から遊離して取り付けることが可能となり、好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本考案に係る吸水パッドは、下着類に好適に利用することができるが、とりわけ介護用下着においてその効果が顕著である。また、本考案に係る吸水パッドは、女性用生理用の布製ナプキンの代わりに下着に取り付けて生理用下着として使用することも可能である。
【0022】
1……吸水パッド本体
2……撥水テープ
3……縫着部
11……吸水シート
12……防水シート
21……熱溶着面
22……折り返し片部
23……端片部
24……縫い代片
111……吸水シート端部


(57)【要約】

【課題】超音波溶着等の特殊な接着手段を用いることなく、十分な強度を有していながら確実に尿の横漏れを防止することができる尿失禁用下着の吸水パッドと該吸水パッドを取り付けた尿失禁用下着を提供する。【解決手段】裏面に防水シートを設けた吸水シート11と、片面に熱溶着面を設けた撥水テープ2を備え、撥水テープを熱溶着面21を表側にして吸水シートの表面の周縁部に沿って縫着し、縫着部3より内側の折り返し片部22を吸水シートの端部側へと折り返し、端部を被覆しつつ吸水シートの裏側の少なくとも縫着部まで被覆するように防水シートの周縁部に熱溶着した吸水パッド。


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