(54)【考案の名称】フォーマーのカセット式金型

(73)【実用新案権者】株式会社阪村機械製作所

(72)【考案者】【考案者】

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【選択図】図2

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、ダイとこれに対向して進退動するパンチとで金属素材を粗から精へと順次段階的に圧造成形してナットやボルトなど各種のパーツ部品を製造するようにしたフォーマーのカセット式金型に関する。

【従来の技術】

【0002】
この種のフォーマーにおいて、ダイとパンチを定位置にセットして圧動動作を行わせる場合に、両者の軸芯が少しでも狂うようなことがあると、精度の高い圧造成形品を得ることができないものである。そこで、ダイとパンチの芯出しを行うため、パンチをダイの成形孔にパンチを差し込む一方、機台に進退動可能に支持されるラムを前死点まで前進させた状態でパンチをラムの前端部に固定して、パンチとダイを芯出ししたうえで取り付けるようにしている。
【考案が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、フォーマーはプレス機と異なり切断工程や複数の圧造工程、トランスファチャックなどを有する構成を有し、かつ、上記したラムとラムを摺動可能に支持する機台との間に摺動抵抗を抑えかつ焼き付きを防止するための遊びが設けられた構造となっており、そのため、ラムはフォーマー機台の摺動面に沿って進退動する際に機台の摺動面に対し左右のずれを生じながら移動している。つまり、ラムは機台の摺動面に対し2/100mm(両面で4/100mm)の油膜のガタが発生することになる。その結果、ダイとパンチの軸芯が少しでも狂うようなことがあると精度の高い成形品を得ることができない問題があり、フォーマーによる圧造成形にあっては常に1/100mmの高精度の成形品を得ることは困難であるとされていた。
【0004】
そこで、本考案は、ダイケースとパンチケースとが±0公差となるカセット化を計り、フォーマーでも常に高精度の圧造成形品を確実に得ることのできるフォーマーのカセット式金型の提供を課題とする。

【効果】

【0006】
本考案のフォーマーのカセット式金型によれば、ラムが前進したとき、ガイド部材とガイド穴部とが、パンチがダイに打ち込まれる前に互いに嵌り合うことになる。これにより、ラムの動きに進退方向に対し直交する方向にガタツキがあったとしても、圧造成形時にはそのガタツキが矯正されて、つまり、ダイケースとパンチケースとが±0公差でカセット化(一体化)されるよう矯正されて前進することになり、ダイとパンチの芯ずれが解消される。その結果、フォーマーによる圧造成形であっても1/100mmの高精度の成形品を得ることができる。また、ダイ及びパンチの耐久性も向上化が計れる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本考案に係るカセット式金型を備えたフォーマーの縦断面図である。
【図2】同要部の縦断面図である。
【図3】同一部切欠正面図である。
【図4】別のカセット式金型の要部の縦断面図である。
【図5】同一部切欠正面図である。
【図6】さらにガイド部材とガイド穴部の別形状の説明図である。
【図7】同一部切欠正面図である。
【図8】さらに別のガイド部材とガイド穴部の別形状の説明図である。
【図9】同一部切欠正面図である。

【0008】
以下本考案の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0009】
図1は、本考案のカセット式金型を備えたフォーマーの概略を示し、このフォーマー1は、機台2の所定位置に固定されたダイブロック3と、ダイブロック3に向かって前進、後退するラム4とを有する。
【0010】
そして、ダイブロック3の前面には、複数のダイ5…5がそれぞれダイケース6…6を介して一定間隔に並設されている。
一方、ラム4の前面には、各ダイ5…5にそれぞれ対向するように複数のパンチ7…7がパンチケース8…8を介して一定間隔に並設されており、これら相対向するダイ5…5とパンチ7…7により複数の圧造ステーションS1…S4が構成されている。
【0011】
また、ダイブロック3の一側部には、機台2の前部側のクイル9と機台2の後部より導入される棒状の金属素材Aを供給する素材供給ロール10とが設けられていると共に、クイル9の前面部には、カッター11が装備されている。このカッター11は、適宜駆動機構を介してダイ5…5の並設方向に所定のストロークで往復駆動されて上記クイル9により前方に送り出された金属素材Aを所定寸法に切断するようになっている。そして、カッター11により所定寸法に切断したブランク(図示せず)は、トランスファチャック12により各圧造ステーションS1…S4に移送され、各圧造ステーションS1…S4において順次段階的に圧造加工され、最終段の圧造ステーションS4において例えば所定形状とされたナットなどの成形品が形成されるようになっている。
【0012】
そして、上記した構成のフォーマーにおける圧造ステーションS1…S4に次に述べる本考案のカセット式金型を装備したものである。その場合、すべての圧造ステーションS1…S4に装備する他、特に精度出しの必要とする例えば最終段などの圧造ステーションに限定して装備するようにしてもよい。
【0013】
カセット式金型は、図2及び図3にその一例として示すように、成形孔5aをもつダイ5を保持すると共に機台2に着脱可能に取り付けられるダイケース6と、パンチ7を中心部に保持すると共にダイ5に向かって進退動するラム4の前面に半径方向に位置調整自由で着脱可能に取り付けられるパンチケース8とを備える。位置調整手段13としては、ラム4前面に突設された複数の取付調整ネジ14…14及びナット15…15と、パンチケース8に形成され取付調整ネジ14…14が遊嵌される複数の取付調整孔16…16とから構成される。
【0014】
そして、パンチケース8の下部にパンチ7と平行でパンチ7の先端部より前方に突出する丸棒状のガイド部材17がカチ込みなどの固定手段により一体的に取り付けられている一方、ダイケース6に、ラム4の前進時にガイド部材17と±0公差で嵌り合ってダイ5とパンチ7の軸芯を一致させるガイド穴部6aが形成され、成形時、ダイケース6とパンチケース8とが±0公差の状態にカセット化(一体化)し得る構成となっている。
【0015】
なお、ラム4とラム4を摺動可能に支持する機台2との間には、摺動抵抗を抑えかつ焼き付きを防止するため2/100mm(両面で4/100mm)の遊びが設けられている。また、ダイ5は手でダイブロック3に取り付けられるためダイブロック3の嵌合孔3aに対し2/100mmは小さく作られている。さらに、図中6bはガスの逃し孔である。
【0016】
次に、以上のように構成されるカセット式金型の作用について説明する。
【0017】
まず、組み付け時には、パンチケース8のガイド部材17をダイケース6のガイド穴部6aに嵌入すると共に、続いてダイ5の成形孔5aにダイケース6のパンチ7を挿し込む。これによりダイケース6とパンチケース8を±0公差の状態にカセット化する。そして、このカセット化状態を維持したままラム4を前進させて、ラム4前面に突設された複数の取付調整ネジ14…14をパンチケース8の複数の取付調整孔16…16に挿し込み、かつ、ナット15…15で固定する。これにより、ガイド部材17がガイド穴部6aに嵌入するとパンチ7とダイ5の軸芯が完全に一致するようにダイケース6とパンチケース8とを±0公差の状態にカセット化、つまり一体化できる。
【0018】
次に、圧造成形時には、図2に示すように、ラム4と共にパンチ7が前進すると、パンチ7のダイ5への衝接前に最初にガイド部材17の先端部がガイド穴部6aに嵌入し、その後、その嵌入状態のままパンチ7の前端面がダイ5の成形孔5aに突入するからパンチ7とダイ5の軸芯が完全に一致した状態で圧造成形が行なわれることになる。従って、ラム4の動きに進退方向に対し直交する方向にガタツキ(遊び)があったとしても、圧造成形時にはそのガタツキが矯正されて、つまり、ダイケース6とパンチケース8とが±0公差でカセット化(一体化)されるよう矯正されて前進することになり、ダイ5とパンチ6の芯ずれが解消される。その結果、フォーマー1による圧造成形であっても1/100mmの高精度の成形品Cを得ることができる。また、ダイ5及びパンチ7の耐久性も向上できる。
【0019】
以上の実施の形態では、パンチ7に丸棒状のガイド部材17を突設し、ダイケース6にガイド部材17と同径の丸穴からなるガイド穴部6aを設けたものについて説明したけれども、ガイド部材17とガイド穴部6aの形状としては、丸棒状と丸穴に限定されるものではなく、図4、5に示すようにダイケース6におけるダイ下方部分を前方に突出させてU字状のガイド穴部(受部)6aを連設する一方、パンチケース8のパンチ下部にガイド穴部6aに嵌合すると共にその嵌合時ダイの一部下面に嵌り込む断面U字状の中実ガイド部材17を突設したものであってもよい。このように形成した場合にも、先の実施の形態と同様の作用効果が得られる。
【0020】
この他、ガイド部材17とガイド穴部6aの形状としては、例えば図6、7に示すような上方が開口する円筒状のものであってもよいし、さらには、図8、9に示すような上方が開口する角筒状のものなどであってもよい。このように形成した場合にも、先の実施の形態と同様の作用効果が得られる。
なお、図6、7や図8、9に示すものにあっては、トランスファチャック12として、上下及び左右方向に移動するトランスファチャック12を用い、移動時には、ガイド部材17やガイド穴部6aが障害物とならないように、まずトランスファチャック12を上方向に移動させた後、左右方向に移動させ、然る後、下方に移動させることになる。
【0021】
1 フォーマー
2 機台
4 ラム
5 ダイ
6 ダイケース
6a ガイド穴部
7 パンチ
8 パンチケース
17 ガイド部材

(57)【要約】

【課題】ダイケースとパンチケースとが±0公差となるカセット化を計り、フォーマーでも常に高精度の圧造成形品を確実に得られるフォーマーのカセット式金型を提供する。【解決手段】フォーマーのカセット式金型であって、ダイ5を保持すると共に機台2に着脱可能に取り付けられるダイケース6と、パンチ7を保持すると共にダイ5に向かって進退動するラム4の前面に半径方向に位置調整自由で着脱可能に取り付けられるパンチケース8とを備える。パンチケース8にパンチ7と平行でパンチ7の先端部より前方に突出するガイド部材17を取り付ける一方、ダイケース6に、ラム4の前進時にガイド部材17と±0公差で嵌り合ってダイ5とパンチ7の軸芯を一致させるガイド穴部6aを形成し、圧造成形時、ダイケース6とパンチケース8とを±0公差の状態にカセット化し得る構成とした。


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