(54)【考案の名称】高滑性生地部材を有する上衣

(73)【実用新案権者】株式会社バンハウス

(72)【考案者】【考案者】

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【選択図】図2

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、人が着用する衣服の上衣に関し、より詳しくは、滑りの良い素材からなる部材を備えることにより、敷き布団の上に横たわった場合に敷き布団との間の摩擦抵抗を低減する上衣に関する。

【従来の技術】

【0002】
人が就寝等するために敷き布団の上で横たわった場合、着用している寝巻等の上衣と敷き布団との間に摩擦抵抗が生じる。着用している上衣と敷き布団との間の摩擦抵抗は生地の素材により異なるものの、例えば寝返りをする場合、摩擦抵抗によって着用している上衣が敷き布団に引っかかり、自然な寝返りを妨げる要因となる。
【0003】
ところで、体の一部に負担がかかることを防止すると共に快適な睡眠を実現するために、一般に20回程度の寝返りを一回の就寝中に行なうことが理想と言われている。
【0004】
しかしながら、寝返りは就寝中に無意識に行われるものであるため、上述のような要因が寝返りの容易さに大きく影響を及ぼしていた。
【0005】
また、特に寝たきりの人など自力での寝返りが困難な場合は、床擦れを防ぐためにも介助者が寝返りを介助する必要があり、容易に寝返りを介助することのできる上衣が求められていた。
【考案が解決しようとする課題】
【0006】
本考案は、以上のような事情に鑑みてなされたものである。即ち、本考案は、敷き布団の上に横たわった場合に敷き布団との間の摩擦抵抗を低減することで着用者にとって自然な寝返りを可能とし、また、介助者にとって容易な寝返りの介助を可能とする上衣を提供することを目的とする。

【効果】

【0012】
本考案によれば、敷き布団の上に横たわった場合に敷き布団との間の摩擦抵抗を低減することで着用者にとって自然な寝返りを可能とし、また、介助者にとって容易な寝返りの介助を可能とする上衣を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本考案の一実施形態に係る上衣を、上衣が備える高滑性生地部材を分離させた状態で示した図である。
【図2】本考案の一実施形態に係る上衣を示した図である。
【図3】本考案の一実施形態に係る上衣が備える高滑性生地部材の経糸を示した図である。
【図4】本考案の一実施形態に係る上衣が備える高滑性生地部材の緯糸を示した図である。
【図5】本考案の他の実施形態に係る上衣を示した図である。
【図6】本考案のさらに他の実施形態に係る上衣を示した図である。
【図7】高滑性生地部材を構成ものとして選定し得る素材の一例について、それらの帯電傾向を示した図(帯電列)である。

【0014】
以下、図面を参照しながら本考案に係る上衣の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明における左右は、本考案に係る上衣を着用した場合における左右、即ち着用者からみた左右を基準とする。
【0015】
図1は、本考案に係る上衣10を、上衣10が備える高滑性生地部材11を分離させた状態で示した図である。図示されるように、上衣10は高滑性生地部材11、後ろ身頃部12、左袖部13、右袖部14、襟部15及び前身頃部16から構成されている。
【0016】
高滑性生地部材11は、上衣10の後ろ身頃部12に対してその表地側から取り付けられるものであり、後ろ身頃部12に対応するよう、後ろ身頃部12と同一の外形に裁断されている。高滑性生地部材11は、敷き布団(図示せず)に対して摩擦抵抗が小さく滑りの良い素材で構成されている。高滑性生地部材11の素材としてはレーヨンやポリエステルなど種々の素材から適宜選択することが可能であるが、本考案は人が着用する上衣に係るものであるため、洗濯に適した生地を選択するか、又は洗濯に耐える種々の加工を施すとより好ましい。
【0017】
後ろ身頃部12は胴体の背側を覆い、左袖部13は左腕を覆い、右袖部14は右腕を覆い、襟部15は首周りを覆い、前身頃部16は胴体の前側を覆う。
【0018】
後ろ身頃部12、左袖部13、右袖部14、襟部15及び前身頃部16の素材としては、コットンなど種々の素材から適宜選択することが可能であり、特に限定されない。
【0019】
図2は、本考案の上衣10が高滑性生地部材11を備えた状態を示した図である。図示されるように、高滑性生地部材11は、襟後ろ部17、左肩部18、右肩部19、左脇部20及び右脇部21をそれぞれ縫製手段によって縫製することにより上衣10の後ろ身頃部12に取り付けられている。
【0020】
高滑性生地部材11を後ろ身頃部12に縫製するための手段としては、ミシンなど種々の手段を用いることができる。縫製する際の間隔、即ちピッチについては、所望の縫製強度等に応じて適宜調節するとより好ましい。
【0021】
なお、本実施形態では左脇部20の上端と左肩部18の左端との間、及び右脇部21の上端と右肩部19の右端との間はそれぞれ縫製を行なっていないため、例えば介助等の場面において介助者が上衣10を着用している者を抱き起こす際、介助者が上衣10の高滑性生地部材11と後ろ身頃部12との間に腕を入れて抱き起こすことが可能となる。これにより、左肩部18及び右肩部19の縫製部に介助者の腕が引っかかる効果が得られるため、介助者が腕を滑らせることなく安全かつ容易に抱き起こすことが可能となる。
【0022】
次に、高滑性生地部材11の形態について、図3及び図4を参照しながらそれぞれ説明する。
【0023】
図3は、本考案の上衣10が備える高滑性生地部材11の一形態として、経糸が表面に多くあらわれる経朱子織からなる高滑性生地部材11を示した図である。図示されるように、高滑性生地部材11は、上衣10の丈方向(上下方向)の経糸22が表面に多くあらわれる、いわゆる経朱子織からなっている。
【0024】
朱子織とは三原組織の一つであり、サテンとも呼ばれている。朱子織は表面の滑らかさが特徴であり、高滑性生地部材11が上衣10の丈方向の経糸22が表面に多くあらわれる経朱子織からなる本実施形態によれば、敷き布団(図示せず)に対して上衣10の丈方向の摩擦抵抗を特に低減することができる。
【0025】
図4は、本考案の上衣10が備える高滑性生地部材11の他の形態として、緯糸が表面に多くあらわれる緯朱子織からなる高滑性生地部材11を示した図である。図示されるように、高滑性生地部材11は、上衣10の幅方向(左右方向)の緯糸23が表面に多くあらわれる、いわゆる緯朱子織からなっている。
【0026】
高滑性生地部材11が上衣10の幅方向の緯糸23が表面に多くあらわれる緯朱子織からなる本実施形態によれば、敷き布団(図示せず)に対して上衣10の幅方向の摩擦抵抗を特に低減することができる。
【0027】
次に、高滑性生地部材11を上衣10の後ろ身頃部12に対して取り付ける縫製の形態について、図5及び図6を参照しながらそれぞれ説明する。
【0028】
図5は、高滑性生地部材11を上衣10の後ろ身頃部12に対して取り付ける縫製の一形態を示した図である。図示されるように、高滑性生地部材11は襟後ろ部17、左肩部18、右肩部19、左脇部20及び右脇部21に加えて、補助縫製部24、補助縫製部25、補助縫製部26、補助縫製部27及び補助縫製部28をそれぞれ縫製手段によって縫製されている。
【0029】
補助縫製部24、補助縫製部25、補助縫製部26及び補助縫製部27を縫製するための手段としては、ミシンなど種々の手段を用いることができる。縫製する際の間隔、即ちピッチについては、所望の縫製強度等に応じて適宜調節するとより好ましい。これにより、補助縫製部24及び補助縫製部25は、高滑性生地部材11の左下の範囲が寝返りに伴って捩れたり撓んだりすることを防ぐ効果を奏し、同様に、補助縫製部26及び補助縫製部27は、高滑性生地部材11の右下の範囲が寝返りに伴って捩れたり撓んだりすることを防ぐ効果を奏する。補助縫製部24と補助縫製部25との間隔、及び補助縫製部26と補助縫製部27との間隔は特に限定されず、それぞれ適宜調節することができる。
【0030】
本形態における補助縫製部28は、左脇部20の上端から右脇部21の上端にかけて直線的に横断する縫製部位であり、補助縫製部28を縫製するための手段としては、ミシンなど種々の手段を用いることができる。縫製する際の間隔、即ちピッチについては、所望の縫製強度等に応じて適宜調節するとより好ましい。これにより、補助縫製部28は、寝返りに伴って高滑性生地部材11が捩れたり撓んだりすることを広域的に防ぐ効果を奏する。
【0031】
図6は、高滑性生地部材11を上衣10の後ろ身頃部12に対して取り付ける縫製の他の形態を示した図である。図示されるように、高滑性生地部材11は襟後ろ部17、左肩部18、右肩部19、左脇部20及び右脇部21に加えて、補助縫製部24、補助縫製部25、補助縫製部26、補助縫製部27及び補助湾曲縫製部29をそれぞれ縫製手段によって縫製されている。
【0032】
補助縫製部24、補助縫製部25、補助縫製部26及び補助縫製部27を縫製するための手段としては、ミシンなど種々の手段を用いることができる。縫製する際の間隔、即ちピッチについては、所望の縫製強度等に応じて適宜調節するとより好ましい。これにより、補助縫製部24及び補助縫製部25は、高滑性生地部材11の左下の範囲が寝返りに伴って捩れたり撓んだりすることを防ぐ効果を奏し、同様に、補助縫製部26及び補助縫製部27は、高滑性生地部材11の右下の範囲が寝返りに伴って捩れたり撓んだりすることを防ぐ効果を奏する。補助縫製部24と補助縫製部25との間隔、及び補助縫製部26と補助縫製部27との間隔は特に限定されず、それぞれ適宜調節することができる。
【0033】
本形態における補助湾曲縫製部29は、左脇部20の上端から右脇部21の上端にかけて、中央部30が下方向に湾曲しながら横断する縫製部位であり、補助湾曲縫製部29を縫製するための手段としては、ミシンなど種々の手段を用いることができる。縫製する際の間隔、即ちピッチについては、所望の縫製強度等に応じて適宜調節するとより好ましい。これにより、補助湾曲縫製部29は、寝返りに伴って高滑性生地部材11が捩れたり撓んだりすることを広域的に防ぐ効果を奏する。また、補助縫製部28のように直線的に縫製する場合と比較して高滑性生地11が縫製されていない上側の範囲をより広く確保できるため、例えば上衣10を着用している者が背中を丸めた際における高滑性生地部材11の伸縮性や柔軟性をより高く確保でき、上衣10の着心地が向上する。
【0034】
次に、高滑性生地部材11を構成する素材の選定について、図7を参照しながら説明する。
【0035】
図7は、高滑性生地部材11を構成するものとして選定し得る素材の一例について、それらの帯電傾向を示した図(帯電列)である。ここで、帯電列とは、二つの異なる材質の物を接触・摩擦させた際の電荷移動の傾向に着目してその序列を表したものであり、左側に配された生地ほど電子を放出して正(プラス)に帯電しやすく、右側に配された生地ほど電子を受け取って負(マイナス)に帯電しやすいことを示している。図示されるように、例えばウールやナイロンは正(プラス)に帯電しやすい傾向を有し、アクリルやポリエステルは負(マイナス)に帯電しやすい傾向を有している。また、生地同士を接触・摩擦させるとき、帯電列上で離れている生地同士であるほど電子の移動量、即ち帯電量が大きくなり、帯電列上で近い生地同士であるほど帯電量が小さくなる。
【0036】
人が就寝等するために敷き布団の上で横たわった場合、敷き布団と着用している上衣とが接触し、寝返り等で体を動かすと摩擦が生じる。そこで、不快な静電気の発生を抑止して快適性を向上するために、敷き布団の素材に応じて高滑性生地部材11を構成する生地を選定するとより好ましい。具体的には、例えば敷き布団がウールからなっている場合、高滑性生地部材11を構成する生地としてポリエステルを選定するよりもレーヨンを選定した方が帯電量を小さく抑えることができ、静電気の発生を抑制することができる。
【0037】
以上、本考案の好適な実施形態について説明したが、本考案は上記の実施形態に限定されるものではなく、本考案の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変が可能であることは言うまでもない。
【0038】
例えば、本考案に係る上衣は、左袖部及び右袖部を備えていないベストタイプであっても良い。
【0039】
10 上衣
11 高滑性生地部材
12 後ろ身頃部
13 左袖部
14 右袖部
15 襟部
16 前身頃部
17 襟後ろ部
18 左肩部
19 右肩部
20 左脇部
21 右脇部
22 経糸
23 緯糸
24 補助縫製部
25 補助縫製部
26 補助縫製部
27 補助縫製部
28 補助縫製部
29 補助湾曲縫製部
30 中央部

(57)【要約】

【課題】敷き布団の上に横たわった場合に敷き布団との間の摩擦抵抗を低減することで着用者にとって自然な寝返りを可能とし、また、介助者にとって容易な寝返りの介助を可能とする上衣を提供する。【解決手段】少なくとも前身頃部16と後ろ身頃部12とを有する上衣10であって、後ろ身頃部12の表地に、表面が滑らかな高滑性生地部材11を備える。高滑性生地部材11の素材としてはレーヨンやポリエステルなど種々の素材から適宜選択することが可能であるが、人が着用する上衣に係るものであるため、洗濯に適した生地を選択するか、又は洗濯に耐える種々の加工を施すとより好ましい。


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