(54)【考案の名称】真空室を設けない吸引フック

(73)【実用新案権者】【実用新案権者】

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、脱着可能かつ長期間保持持続可能なフックに関するものである。

【従来の技術】

【0002】
フックは、物体を吊るすために必要なものであり、各家庭に必ず複数利用されている小型器具である。壁の素材によって取り付け方法は異なる。木材なら釘や木ネジで固定し、鉄板なら磁石で吸引して固定し、ガラスやプラスチックでは真空吸引ゴム器具や粘着剤で固定するのが一般的である。このうち壁を傷つけずに脱着可能なフックは、磁石と真空吸引を利用した器具である。磁石フックは素材を選び、吸引ゴムフックは面の平滑さを選ぶ。
近年、壁の素材も多様化して非鉄金属、プラスチック、ガラスなどの素材が利用されるようになってきた。吸引ゴムフックの利用範囲が拡大傾向にある。
【0003】
しかし、吸引ゴムフックは真空室の確保のため嵩高くなり、形状とデザインに自由度が失われる欠点があった。 さらに嵩高さは保持力および保持持続時間の低下も引き起こしていた。
【0004】
真空室を脱気して真空度を高める工夫もあったが、保持力を改善する効果も、保持時間を改善する効果も期待するほどではなかった。むしろ器具を大きく複雑にして使用条件を狭くする悪影響の方が大きかった。特にデザインを制限するマイナス面は著しかった。
【0005】
また柔軟なスポンジ様の素材の穴を真空室として用い屈曲した曲面における使用を目的とした工夫もなされたが、真空室を設けるという概念からの脱却がなされなかったために実用化には至っていない。
【0006】

【効果】

【0009】
本考案の真空室を設けない吸引フックは、薄膜で吸引するため器具に嵩高かさがない。それが保持力の向上とフック形状の自由度の向上、さらにはフックのデザイン性の向上を生み出す。また低真空度で保持力を生み出しているために保持時間の著しい改善が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】

【図1】は真空室を設けない吸引フックの実施方法を示した説明図である。(実施例1)
【図2】は真空室を設けない吸引体と真空室を設けた吸引体が理想的ではない被吸引面に吸引する際の比較模式図を示した説明図である。
【図3】はフック位置が、剥がれ力に及ぼす力の関係を示す図である。また剥がれ力計算式の根拠を示す図である。
【図4】はフックの薄板の長さに対する高さの比(h/D)が、剥がれ力Fpに及ぼす影響を示す図である。(数2)式でd=D/2(薄板の中央)としたときの剥がれ力Fpのグラフである。(実施例2)

【0011】
真空室を設けないで吸引するという目的を、最小の部品点数で、保持力を向上させて実現した。
【0012】
図1は、本考案装置の1実施例の断面図であって、1〜3は、図2と同様である。また、1は薄膜、2はフック保持の薄板、3はフックである。
【0013】
薄板に設けたフックを薄膜に取り付けることにより、器具の嵩高さを著しく低減すとともに保持力を向上させている。
【0014】
真空室を設けなくても吸引する原理は、薄膜の柔軟さと密着性にある。図2で示すように表面の微小な凹凸や浅い凹凸に薄膜はしなやかに密着する。このことにより薄膜と壁の接触面積が広くなり吸引力と保持時間の増加をもたらす。
真空室を設けると逆に吸引体の密着性を悪くして、壁の凹凸の状態によっては真空にならない真空室ができて、結果として有効真空面積を損なうためにマイナスの影響をもたらす。
有効真空面積と平均真空度および吸引力の関係式は次のように表される。
【0015】
【数1】
[fig000003]

【0016】
【表1】[fig000004]


【0017】
上記の数式において、表に示したように、Poは大気圧、Pvは吸引体に発生する平均真空度(圧力)、Aは吸引体の吸引面積、Fは吸引力である。
【0018】
【数2】
[fig000005]

【0019】
【表2】[fig000006]


【0020】
上記の数式において、表に示したように、Wはフックにかかる荷重、hは吸引面から測ったフックの高さ、Dは薄板の長さ、dは薄板上のフックの位置、Fpは薄板の先端にかかる剥がれ力である。
【0021】
フックを薄板の中央に取り付けた場合、端にフックを取り付けた場合の約1/5に剥がれ力が減少するので、取り付け位置は中央が最適である。フックの高さによっては条件が異なる場合もあるが、薄膜を利用するときの条件では、フック位置は中央が最適である。
実施例として2cm×2cmの薄板の中央に高さ1mmの位置にフックを設けると薄板の先端に発生する剥がれ力は約10g重(約0.1N)である。この薄板が3cm×3cmの薄膜に取り付けられているとき、吸引力は条件が悪い場合でも45Nあるから、剥がれ力の400倍以上の力で押さえることになるので、1kgの物体をこのフックに吊るすことは容易である。
次に薄板の長さと高さの比が剥がれ力に大きく影響することを図4で確認する。薄板の長さと高さの比が0.5では荷重の半分の力が剥がれ力になる。しかしこの比が0.1になると荷重の5%の力しか剥がれ力にならない。薄膜を使いフックの高さを低く抑える効果が表れている。比は0.05程度が実用的である。このときの剥がれ力は荷重の1%である。
吸引体としての薄膜の使用とこれらの構造は、形状の簡素化とデザイン性の向上に留まらず、保持力の向上と保持時間の向上ももたらすので家庭・事務室・ショールームのみならず工場などにおいて幅広い用途で使用可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
器具が薄く、単純な構造で十分な保持性能を持っているので、形状を自由に選択できる。その結果、従来のフックの使用場所に加えて、使用範囲は広がる。例えば、狭い場所、透明を確保したい場所、装飾の必要な場所などでの使用の広がりが考えられる。またテーブルや机など水平面に吸引させてヒモなどをつけて側面に垂らして吊り下げる器具としても使える。
【0023】
1 薄膜
2 薄板
3 フック

(57)【要約】

【課題】吸引体の嵩高さを低減し、フック形状の大きな自由度と高いデザイン性の確保、合わせて保持力と保持時間の改善をしたフックを設けた吊り下げ器具を提供する。【解決手段】真空室のない柔軟な薄膜1を吸引体として用い、フック3を設けた薄板2を薄膜に取り付けた構造にする。器具が薄く、単純な構造で十分な保持性能を持っているので、形状を自由に選択できる。


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