(54)【考案の名称】脊椎用インプラント

(73)【実用新案権者】京セラメディカル株式会社

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図2

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、隣接する椎骨間に挿入されて椎間板を補綴する脊椎用インプラントに関する。

【従来の技術】

【0002】
従来より、ヘルニアの手術等で除去された椎間板を補綴するための脊椎用インプラントが知られている。このような脊椎用インプラントとして、例えば特許文献1の図7には、基体本体(本体部)を有するスペーサ(脊椎用インプラント)が開示されている。この基体本体の上面及び下面には、それぞれ、各面から突出するランド部が形成されている。上記スペーサは、椎間板が除去された状態の椎骨間に、上記ランド部が椎骨の露出した端板と接触するように挿入される。
【0003】

【効果】

【0022】
本考案によると、バックアウトしにくい脊椎用インプラントを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本考案の実施形態に係る脊椎ケージの使用形態の一例を示す斜視図であって、椎骨間における脊椎ケージの設置位置を二点鎖線で示す図である。
【図2】本考案の実施形態に係る脊椎ケージの斜視図である。
【図3】図2に示す脊椎ケージを矢印III方向から視た左側面図である。
【図4】図2に示す脊椎ケージの平面図である。
【図5】図2に示す脊椎ケージの底面図である。
【図6】図4のVI方向から視た矢視図であって、突条歯部が形成されている部分を拡大して示す図である。
【図7】変形例に係る脊椎ケージの斜視図である。
【図8】変形例に係る脊椎ケージの斜視図である。
【図9】変形例に係る脊椎ケージにおける突条歯部が形成されている部分を拡大して示す図であって、図6に対応させて示す図である。
【図10】変形例に係る脊椎ケージにおける突条歯部が形成されている部分を拡大して示す図であって、図6に対応させて示す図である。
【図11】実施例に係る脊椎ケージの表面を示すSEM写真であって、(A)は浸漬処理前のSEM写真、(B)は浸漬処理後のSEM写真、(C)は擬似体液浸漬後のSEM写真である。
【図12】実施例に係る脊椎ケージの表面のEDS分析スペクトルであって、(A)は浸漬処理前のEDS分析スペクトル、(B)は浸漬処理後のEDS分析スペクトル、(C)は擬似体液浸漬後のEDS分析スペクトルである。

【0024】
以下、本考案を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本考案は、隣接する椎骨間に挿入される脊椎用インプラントとして広く適用することができる。
【0025】
図1は、本考案の実施形態に係る脊椎ケージ1(脊椎用インプラント)の使用形態の一例を示す斜視図であり、図2は、脊椎ケージ1の斜視図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1及び図2において、前と記載された矢印が指示する方向を前側又は前方、後と記載された矢印が指示する方向を後側又は後方、上と記載された矢印が指示する方向を上側又は上方、下と記載された矢印が指示する方向を下側又は下方、右と記載された矢印が指示する方向を右側、左と記載された矢印が指示する方向を左側と称する。また、図1における前側が人体における腹部側であり、図1における後側が人体における背中側である。
【0026】
本実施形態に係る脊椎ケージ1は、椎間板ヘルニア等の手術における椎体間固定術の1つであるPLIF(Posterior Lumbar Interbody Fusion、後方椎体間固定術)等で用いられる。このPLIFでは、神経を圧迫している骨が取り除かれて除圧された後、棘突起及び椎間関節が切除又は部分的に切除され、椎間板及び軟骨終板が摘出される。そして、その椎間板が摘出された部分を補綴するように、隣接する椎骨50,50の間に脊椎ケージ1が挿入される。
【0027】
脊椎ケージ1は、棒状に形成されたロッド部を有する保持器具(図示省略)によって保持された状態で、後方、すなわち人体の前後方向における背中側から椎骨間へ挿入される。一般的に、脊椎ケージ1は、図1に示すように、隣接する2つの椎骨50,50の間に2つ、左右方向に並ぶように挿入される。そして、脊椎ケージ1が挿入された2つの椎骨50,50に跨るように金属製のロッド(図示省略)が架け渡されて各椎骨50,50に固定されることにより、2つの椎骨50,50が互いに固定される。
【0028】
なお、本実施形態に係る脊椎ケージ1は、PLIFに限らず、その他の術式、例えばTLIF(Transforaminal Lumbar Interbody Fusion、片側進入腰椎後方椎体間固定術)等で用いることもできる。この場合、脊椎ケージ1は、椎骨間における左右方向のいずれか一方側のみに挿入される。
【0029】
[構成]
図3から図5は、それぞれ、本実施形態に係る脊椎ケージ1の左側面図、平面図、及び底面図である。本実施形態に係る脊椎ケージ1は、略直方体状に形成された本体部2を備えている。
【0030】
本実施形態では、本体部2には、高分子材料の一種であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂が用いられている。なお、高分子材料として、PEEK樹脂以外の他に、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)等を用いることもできる。
【0031】
図2から図5に示すように、本体部2は、前後方向に延びる直方体状に形成されている。本体部2は、4つの壁部3〜6が一体に形成されて構成されている。本体部2は、前側の壁部である前側壁部3と、後側の壁部である後側壁部4と、右側の壁部である右側壁部5と、左側の壁部である左側壁部6とを有している。
【0032】
前側壁部3は、前後方向にやや厚い壁状に形成されている。前側壁部3は、中央部分が前方へ膨出するように形成されている。図2及び図3に示すように、前側壁部3には、左右方向に貫通する貫通孔3aが形成されている。この貫通孔3aには、例えばタンタルで構成されたワイヤー31が圧入されている。このワイヤー31は、X線の造影性を高めるためのものであって、椎骨間に挿入された状態の脊椎ケージ1の位置及び状態を、X線によって確認し易くするためのものである。
【0033】
後側壁部4は、前後方向において前側壁部3と対向するように、前側壁部3よりも後側に設けられている。後側壁部4の中央部分には、図2に示すように、前後方向に貫通するネジ孔4aが形成されている。このネジ孔4aは、脊椎ケージ1を保持するための保持器具のロッド部先端に形成されたネジ部(図示省略)に螺合する。また、図2等に示すように、後側壁部4の左右両側における上下方向の中央部分には、互いに近づく方向へ凹む凹部4bが形成されている。この凹部4bには、保持器具のロッド部先端に形成された一対の位置決め突起(図示省略)が嵌まり込む。
【0034】
右側壁部5及び左側壁部6は、それぞれが前後方向に延びるように形成され、左右方向に対向するように設けられている。図2に示すように、右側壁部5及び左側壁部6の中央部分には、それぞれ、左右方向に貫通する孔部5a,6aが形成されている。この孔部5a,6aは、椎骨間に挿入されて固定された状態における脊椎ケージ1付近の血流を促進するためのものである。
【0035】
図5に示すように、右側壁部5における後側の部分には、下面9から凹んで上面8付近まで延びる穴部5bが形成されている。この穴部5bには、例えばタンタルで構成されたワイヤー32が圧入されている。このワイヤー32は、上述したワイヤー31と同様、X線の造影性を高めるためのものである。また、図4に示すように、左側壁部6における後側の部分には、上面8から凹んで下面9付近まで延びる穴部6bが形成されている。この穴部6bには、例えばタンタルで構成されたワイヤー33が圧入されている。このワイヤー33は、上述したワイヤー31,32と同様、X線の造影性を高めるためのものである。
【0036】
図2、図4及び図5に示すように、本体部2には、平面視における中央部分に、上下方向に貫通する空洞部7が形成されている。この空洞部7は、上述した4つの壁部3〜6の内側の面によって囲まれた部分である。この空洞部7には、骨形成材料が充填される。
【0037】
図4に示すように、本体部2の上側の面である上面8は、上記空洞部7によって、左右方向における右側の部分である上面右側部8Rと、左右方向における左側の部分である上面左側部8Lとに区画される。一方、図5に示すように、本体部2の下側の面である下面9は、左右方向における右側の部分である下面右側部9Rと、左右方向における左側の部分である下面左側部9Lとに区画される。
【0038】
図2から図4に示すように、本体部2の上面8には、該上面8から上方へ突出するとともに、該上面8の面内方向に延びる複数の突条歯部10が形成されている。隣接する突条歯部10の間には、溝部15が形成されている。一方、図3及び図5等に示すように、本体部2の下面9には、該下面9から下方へ突出するとともに、該下面9の面内方向に延びる複数の突条歯部20が形成されている。隣接する突条歯部20の間には、溝部25が形成されている。これらの複数の突条歯部10,20は、各面8,9から突出する歯部として設けられている。
【0039】
図2及び図4に示すように、複数の突条歯部10として、右側歯部10Rと左側歯部10Lとが形成されている。上面8の右側歯部10Rは、上面右側部8Rに形成され、上面8の左側歯部10Lは、上面左側部8Lに形成されている。突条歯部10は、上面8の一部が溝状に削られて複数の溝部15が形成されることにより、溝部15と溝部15との間に形成される。
【0040】
図2及び図4に示すように、右側歯部10R及び左側歯部10Lは、前後方向に対して斜め方向に延び、且つ前後方向に対して互いに逆側に傾いて延びるように形成されている。本実施形態では、右側歯部10R及び左側歯部10Lは、前方から後方へ向かって互いに離れる方向、すなわち、前方から後方へ向かって左右方向に広がるように形成されている。
【0041】
図6は、図4におけるVI方向から視た矢視図であって、左側歯部10Lが形成されている部分を拡大して示す図である。図6に示すように、左側歯部10Lは、該左側歯部10Lが延びる方向から視て、前側の部分の斜面の形状と後側の部分の斜面の形状とが対称となるように形成されている。各斜面は、左側歯部10Lの頂部から裾部にかけて徐々になだらかになるように形成されている。なお、右側歯部10Rの斜面についても、同様の形状となるように形成されている。
【0042】
図5等に示すように、下面9に形成された突条歯部20は、右側歯部20Rと左側歯部20Lとを有している。下面9の右側歯部20Rは、下面右側部9Rに形成され、下面9の左側歯部20Lは、下面左側部9Lに形成されている。突条歯部20は、下面9の一部が溝状に削られて複数の溝部25が形成されることにより、溝部25と溝部25との間に形成される。
【0043】
図5に示すように、下面9に形成された右側歯部20R及び左側歯部10Lも、上面8に形成された右側歯部10R及び左側歯部10Lと同様、前後方向に対して斜め方向に延び、且つ前後方向に対して互いに逆側に傾いて延びるように形成されている。本実施形態では、右側歯部20R及び左側歯部20Lは、前方から後方へ向かって互いに離れる方向、すなわち、前方から後方へ向かって左右方向に広がるように形成されている。なお、下面9に形成された右側歯部20R及び左側歯部20Lについても、各突条歯部20R,20Lが延びる方向から視た各斜面は、上面8に形成された各突条歯部10R,10Lと同様の形状に形成されている。
【0044】
[脊椎ケージへのアルカリチタネート処理方法]
本考案に係る脊椎ケージ1の本体部2は、PEEK樹脂を基材として構成され、その表面部分にチタン酸アルカリ金属塩層が形成されている。本実施形態に係る脊椎ケージ1は、成形及び切削等を行うことにより形成された本体部2が、チタンを含有したアルカリ水溶液に浸漬されることにより形成される。
【0045】
アルカリ水溶液とは、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)等のアルカリ金属イオン、及びカルシウムイオン(Ca2+)等のアルカリ土類金属イオンのうち少なくとも1つを含有する水溶液である。例えば、アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液、又は水酸化カリウム(KOH)水溶液である。アルカリイオン水溶液における、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの少なくとも一方の金属イオンの濃度は、0.1M(モル濃度)以上20M以下が好ましい。
【0046】
このように調製したアルカリ水溶液に、溶解度を超える量のチタン材料が投入される。これにより、チタン材料がアルカリ水溶液に十分に溶解してチタンの飽和水溶液とした上で、チタンが沈殿した状態のチタン含有アルカリ水溶液が生成される。投入されるチタン材料の形態は、どのような形態であってもよいが、アルカリ水溶液に容易に溶解させるために、0.1〜100μm程度の微粒子状の粉末であることが好ましい。
【0047】
上述のように生成されたチタン含有アルカリ水溶液に対して、成形及び切削等を行うことにより形成された本体部2が浸漬される。これにより、表面の少なくとも一部にチタン酸アルカリ金属塩からなる被膜層(以下、アルカリチタネートと称する)が形成された脊椎ケージ1が形成される。
【0048】
[椎骨間への挿入方法]
本実施形態に係る脊椎ケージ1を、椎骨間に挿入する際の手順について説明する。
【0049】
まず、術者は、脊椎ケージ1を椎骨間に挿入する際、該脊椎ケージ1を保持するための保持器具(図示省略)に脊椎ケージ1をセットする。具体的には、保持器具に形成された一対の位置決め突起で脊椎ケージ1の凹部4bを挟み込んだ状態で、保持器具のネジ部を脊椎ケージ1のネジ孔4aに螺合する。これにより、保持器具に対する脊椎ケージ1の位置決めを行った状態で、脊椎ケージ1が保持される。なお、上記脊椎ケージ1の空洞部7には、骨形成材料が充填されている。
【0050】
次に、術者は、脊椎ケージ1を椎骨間に挿入する。具体的には、術者は、神経を圧迫している骨及び椎間板等が除去された椎骨間に対して、脊椎ケージ1における前側壁部3側を、後方(人体における背中側)から挿入する。そして、隣接する椎骨50,50間における左右一方側(例えば右側)に脊椎ケージ1を配置した後、保持器具を脊椎ケージ1から外すことにより、脊椎ケージ1を椎骨間における右側の部分に設置する。同様に、術者は、脊椎ケージ1を、隣接する椎骨間における左側の部分に設置する。
【0051】
そして、術者は、隣接する椎骨間に金属製のロッド(図示省略)を架け渡し、このロッドを、各椎骨50に固定する。これにより、隣接する椎骨50,50を互いに固定できる。その後、空洞部7に充填された骨形成材料が上下の椎骨50,50と骨融合することにより、隣接する椎骨50,50が強固に固定されることになる。
【0052】
ところで、一般的に、脊椎ケージを椎骨間に固定した初期状態、又は、空洞部に充填された骨形成材料が椎骨と十分に骨融合しない状態などにおいて、バックアウトの問題が生じることがある。バックアウトとは、椎骨間の所定位置に設置された脊椎ケージが、患者の背中側(後方)へ移動してずれてしまうことである。
【0053】
これに対して、本実施形態に係る脊椎ケージ1は、脊椎ケージ1の上面8及び下面9の突条歯部10,20を、各面の面内方向に延びるように形成している。これにより、脊椎ケージ1と椎骨50との間の接触面積を確保できるため、両者の間の摩擦力を高めることができる。
【0054】
[効果]
以上説明したように、第1実施形態に係る脊椎ケージ1では、上面8及び下面9の突条歯部10,20を、各面8,9の面内方向に延びるように形成している。これにより、脊椎ケージ1と椎骨50との間の摩擦力が高まるため、脊椎ケージ1がバックアウトしにくくなる。
【0055】
また、脊椎ケージ1では、右側歯部10R,20R及び左側歯部10L,20Lが、前後方向(椎骨間への脊椎ケージ1の挿入方向)に対して斜め方向に延び、且つ前後方向に対して逆側に傾いて延びている。これにより、例えば突条歯部が左右方向に延びるように形成されている場合と比べると、突条歯部10,20と椎骨50との間の接触面積を更に広げることができる。その結果、脊椎ケージ1と椎骨50との間の摩擦力を更に高めることができる。
【0056】
従って、上記構成によれば、脊椎ケージ1が挿入された椎骨間から後方へ移動する、いわゆるバックアウトが発生しにくい脊椎ケージ1を提供できる。
【0057】
また、脊椎ケージ1の右側歯部10R,20R及び左側歯部10L,20Lは、前側から後側へ向かって互いに離れる方向に延びるように形成されている。これにより、椎骨間に挿入された脊椎ケージ1に後方へ向かう力が作用しても、右側歯部10R,20R及び左側歯部10L,20Lにおける後側の部分が、椎骨50にひっかかりやすくなる。これにより、バックアウトが発生するリスクを更に低減できる。
【0058】
また、脊椎ケージ1では、脊椎ケージ1を後方から椎骨間へ挿入する際、右側歯部10R,20R及び左側歯部10L,20Lにおける前側の部分が椎骨にひっかかりにくくなる。これにより、脊椎ケージ1を比較的容易に椎骨間に挿入できる。
【0059】
また、脊椎ケージ1では、本体部2が、高分子材料であるPEEK樹脂で形成されている。これにより、従来の脊椎ケージで一般的に用いられていたチタン又はチタン合金を用いる場合と比べて、軽量化、加工性、耐久性等の観点において優れた脊椎ケージ1を提供できる。
【0060】
しかも、脊椎ケージ1では、PEEK樹脂の表面にチタン酸アルカリ金属塩層が形成されているため、椎骨50に対する親和性を確保できる。
【0061】
以上、本考案の実施形態について説明したが、本考案は上述の実施形態に限られるものではなく、実用新案登録請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0062】
[変形例]
(1)図7に、変形例に係る脊椎ケージ40の斜視図を示す。本変形例に係る脊椎ケージ40には、本体部41の上面8の後側の部分、及び、下面9の後側の部分に、突起状に形成された複数の突起歯部16が設けられている。これらの複数の突起歯部16は、各面8,9から突出する歯部として設けられている。これらの複数の突起歯部16は、上面8から上方へ延びる円錐状、又は、下面9から下方へ延びる円錐状に形成されている。これにより、突起歯部16は、トゲのような形状に形成される。複数の突起歯部16は、左右方向及び前後方向において、等間隔に配列されている。
【0063】
上述のように突起歯部16を設けることにより、椎骨間に脊椎ケージ40を固定した状態において、該突起歯部16の先端部が椎骨50に突き刺さるような状態となる。これにより、脊椎ケージ1が更にバックアウトしにくくなる。
【0064】
なお、突起歯部16の形状は、円錐状に限らず、その他の形状であってもよい。例えば、円柱、三角錐、四角錐、又は半球等の形状であってもよい。
【0065】
(2)図8に、変形例に係る脊椎ケージ45の斜視図を示す。本変形例に係る脊椎ケージ45には、本体部46の上面8の後側の部分、及び、下面9の後側の部分に、左右方向に延びる複数の突条歯部17が形成されている。これらの複数の突条歯部17は、各面8,9から突出する歯部として設けられている。このように、上面8及び下面9の後側の部分に突条歯部17を設けることで、脊椎ケージ45がバックアウトするリスクを更に低減できる。
【0066】
(3)図9に、変形例に係る脊椎ケージの突条歯部11を側方から視た図を示す。本変形例に係る脊椎ケージは、上記実施形態に係る脊椎ケージ1と比べて、突条歯部11の形状が異なっている。具体的には、本変形例に係る脊椎ケージの突条歯部11は、該突条歯部11が延びる方向から視て、後側の部分における前方向に対する傾斜角度θが、前側の部分における後方向に対する傾斜角度θよりも大きくなるように形成されている。
【0067】
このように、突条歯部11における後側の部分を急な角度で立ち上がるように形成すると、椎骨間に挿入された脊椎ケージに後方へ向かう力が作用しても、突条歯部11における立ち上がった部分が、椎骨にひっかかりやすくなる。これにより、バックアウトが発生するリスクを更に低減できる。なお、突条歯部の形状は、これに限らず、図10に示すように、後側の部分における前方向に対する傾斜角度θが、前側の部分における後方向に対する傾斜角度θと同じような形状であってもよい。
【0068】
(4)上述した実施形態では、右側歯部10R,20R及び左側歯部10L,20Lは、前側から後側へ向かって、互いに離れる方向に延びるように形成されているが、この限りでなく、前側から後側へ向かって、互いに近づく方向に延びるように形成されていてもよい。このような構成であっても、突条歯部と椎骨との間の接触面積を確保できるため、脊椎ケージと椎骨との間の摩擦力を高めることができる。
【0069】
(5)また、本実施形態で用いられるPEEK樹脂には、炭素繊維が添加されていてもよい。この場合、本体部2の弾性率が椎骨の皮質骨の弾性率を概ね同じになるように、PEEK樹脂に対する炭素繊維の添加率が制御することで、脊椎ケージ1が椎骨50に沈み込んでしまうのを抑制できる。
【0070】
(6)また、本実施形態で用いられるPEEK樹脂を、多孔体で構成し、該多孔体の細孔内にチタン酸アルカリ金属塩層が形成されるようにしてもよい。これにより、椎骨50に対する親和性を向上できる。
【0071】
(7)上述した実施形態では、脊椎ケージ1の本体部2を構成する材料として、高分子材料であるPEEK樹脂を用いているが、これに限らず、非チタン系金属材料、又はセラミックス材料を用いることもできる。非チタン系金属材料としては、例えば、鉄、アルミニウム及びこれらの合金、コバルト−クロム合金、コバルト−クロム−モリブデン合金、ニッケル−クロム合金、ステンレス鋼等を用いることができる。また、セラミックス材料としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、アルミナ−ジルコニア複合セラミックス等を用いることができる。これらの非チタン系金属材料及びセラミックス材料を用いた場合であっても、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0072】
(8)上述した実施形態では、脊椎ケージ1は、成形及び切削等を行うことにより形成された本体部2がチタン含有アルカリ水溶液に浸漬されることにより、表面にアルカリチタネート層が形成されたが、これに限らない。例えば、本体部2をチタン含有アルカリ水溶液に浸漬した後、30℃〜80℃の温水に3〜36時間浸漬させてもよい。また、非チタン系金属材料又はセラミックス材料製である本体部2をチタン含有アルカリ水溶液に浸漬した後、300℃〜800℃の温度で、0.5〜24時間加熱してもよい。このように加熱処理が行われることで、アルカリチタネート層の一部が酸化チタンとなり、アルカリチタネートと酸化チタンとが混在する皮膜が得られる。
【0073】
本実施例では、高分子材料としてPEEK樹脂を用いて脊椎ケージを形成し、該脊椎ケージの評価を行った。
【0074】
[チタン含有アルカリ水溶液]
本実施例では、チタン材料として、大阪チタニウムテクノロジー社製のTILOP−45(平均粒径25μm)を用い、これを5Mの水酸化ナトリウム100mLあたり0.2g投入し、チタン含有アルカリ水溶液を調製した。
【0075】
[脊椎ケージ]
本実施例では、PEEK材として、VICTREX社製のVICTREX PEEK G450を用い、本考案である図2の脊椎ケージを作製した。そして、この脊椎ケージを、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製ワイヤーで吊り下げ、上記チタン含有アルカリ水溶液に浸漬して浸漬処理を行った。浸漬条件は、液温が80℃であり、浸漬時間が24時間であった。
【0076】
上記脊椎ケージを、チタン含有アルカリ水溶液から引き上げ、洗浄後に自然乾燥することにより、本実施例に係る脊椎ケージを得た。
【0077】
図11は、本実施例に係る脊椎ケージの表面を示すSEM(Scanning Electron Microscope)写真であり、図12は、本実施例に係る脊椎ケージの表面のEDS(Energy Dispersive x-ray Spectroscopy)分析スペクトルである。
【0078】
図11(A)は、浸漬処理前のSEM写真であり、図12(A)は、浸漬処理前のEDS分析スペクトルである。図12(A)に示すように、脊椎ケージにおいて、炭素(C)を示すピーク、酸素(O)を示すピークが確認された。
【0079】
図11(B)は、浸漬処理後のSEM写真であり、図12(B)は、浸漬処理後のEDS分析スペクトルである。図11(B)に示すように、脊椎ケージの表面には形成されたチタン酸ナトリウムが見られる。また、図12(B)に示すように、脊椎ケージにおいて、チタン(Ti)を示すピーク、ナトリウム(Na)を示すピークが確認された。
【0080】
図11(C)は、擬似体液浸漬後のSEM写真であり、図12(C)は、擬似体液浸漬後のEDS分析スペクトルである。図11(C)に示すように、脊椎ケージの表面には形成されたアパタイト(リン酸カルシウム)が見られる。また、図12(C)に示すように、脊椎ケージにおいて、アパタイトを示すピークとして、リン(P)を示すピーク、カルシウム(Ca)を示すピークが確認された。
【0081】
以上のように、浸漬処理後に得られた脊椎ケージには、その表面にアルカリチタネート層としてチタン酸ナトリウムが形成されることが確認された。また、上述のように、脊椎ケージには、擬似体液への浸漬によってアパタイトが形成されたため、脊椎ケージがアパタイトの形成能力を有することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本考案は、隣接する椎骨を互いに固定するための脊椎用インプラントとして、広く適用することができる。
【0083】
1,40,45 脊椎ケージ(脊椎用インプラント)
2,41,46 本体部
7 空洞部
8 上面(一方側の面、他方側の面)
8R 上面右側部(右側部)
8L 上面左側部(左側部)
9 下面(他方側の面、一方側の面)
9R 下面右側部(右側部)
9L 下面左側部(左側部)
10,11,12 突条歯部
10R 右側歯部
10L 左側歯部
20 突条歯部
20R 右側歯部
20L 左側歯部
50 椎骨

(57)【要約】

【課題】バックアウトしにくい脊椎用インプラントを提供する。【解決手段】脊椎用インプラント1における一方側の面及び他方側の面には、各面から突出する歯部が形成されている。一方側の面及び他方側の面は、空洞部7によって、右側部と左側部とに区画される。歯部として、一方側の面又は他方側の面の面内方向に延びるように形成される突条歯部が設けられている。突条歯部として、右側部に形成される右側歯部10R、及び左側部に形成される左側歯部10Lが設けられている。右側歯部10R及び左側歯部は、椎骨50,50の間への脊椎用インプラント1の挿入方向に対して斜め方向に延び、且つ挿入方向に対して互いに逆側に傾いて延びている。


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