(54)【考案の名称】太陽電池モジュールの架台

(73)【実用新案権者】有限会社東伸

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図2

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、太陽電池モジュールを設置場所に固定するための架台に関する。

【従来の技術】

【0002】
太陽電池モジュールは、可及的に多量の太陽光を受光して発電量を増すべく、日当たりの良い建物の屋根上或いは屋上に設置することが一般に行われてきた。近年では、これらに加えて、広大な遊休地の用途としても太陽光発電が注目されている。
【0003】
上記太陽電池モジュールを設置するに際しては、例えば、設置面に必要に応じて基礎を敷設した後、所定位置に一対の前柱および一対の後ろ柱を矩形に立設し、一対の受け梁をこれら前柱および後ろ柱を連結するように取り付けることにより、架台を構成する。この架台には、必要に応じて、前柱および後ろ柱の無用な傾動や揺動を抑制するための補強部材として、例えば、一対の前柱を相互に連結する前ブレス、一対の後ろ柱を相互に連結する後ろブレス、受け梁の中間部と後ろ柱の下端部とを連結する斜材等が設けられる。このようにして、架台を設置した後、上記一対の受け梁に太陽電池モジュールを乗せて、予め設けられているネジ孔にてネジ止め固定し、更に、種々の結線処理を行うことにより、モジュールの設置が完了する。
【0004】
太陽電池モジュールは、1枚の発電量が150〜250(W)程度に過ぎないため、所望する発電量に応じて、多数の太陽電池モジュールが一箇所に設置される。例えば、家屋の屋根に設置される3〜4(kW)級では20枚程度の設置枚数に過ぎないが、100(kW)程度の中規模のものでは500枚程度、メガソーラーと称される大規模のものでは5000枚以上の設置枚数に上る。そのため、設置に際しての作業量を減じる要求が大きい。また、費用対効果の面では、設置する際の初期費用を電気料金の減少や買電収入等の利益によって可及的に短期間で回収できることが望まれるため、その初期費用を抑えることが必須であることから、この点からも作業量減少の要求がある。
【0005】
従来から、初期費用低減のための提案が種々為されている。例えば、横桟の立設板に一定間隔で多数の穿孔を形成し、固定具の支持板に一定間隔で2個のネジ孔を形成することにより、横桟に対する固定具の締結位置を一定間隔ずつずらして調節することを可能としたものがある(例えば特許文献1を参照)。また、架台の構成部材の汎用性を高めることにより、太陽電池モジュールの製造業者における取り付けピッチの相違に対処することができるようにしたものがある(例えば特許文献2を参照)。また、太陽電池モジュールを揺動自在に支持する第1支持部材と、ねじ軸により長さ調整が可能な第2支持部材とを備えることにより、太陽電池モジュールの勾配調整が容易であって、簡易な構成且つ低コストでより早く施工することが可能な太陽電池モジュールの架台が提案されている(例えば特許文献3を参照)。
【0006】

【効果】

【0012】
このようにすれば、太陽電池モジュールの架台を構成するための4本の柱部材(すなわち前柱および後ろ柱)は、設置用孔と受け部材用孔とを共に有することにより長手方向の両端部が同一形状の線対称構造を備えていることから、両端部の何れにおいても、設置面に固定することができ且つ受け部材を支持することができる。そのため、前柱および後ろ柱を設置面に固定するに際しては、それらの固定状態が太陽電池モジュールの左右両辺側で相違する場合にも、太陽電池モジュールの左右両辺の一辺側となる位置においてそれら前柱および後ろ柱の一端側を設置面に固定する一方、他辺側となる位置において上下を反転してそれらの他端側を設置面に固定することにより、柱部材を所期の状態で固定し且つそれらで受け部材を支持させることができる。すなわち、前柱および後ろ柱がそれぞれ左右で共通の部品となる。この結果、左右両辺側に位置する柱部材の区別が無用となるので、部品の種類数が少なくなると共に1種類の柱部品の使用本数が2倍になるため製造コストが低減され、しかも、管理が容易になると共に資材を用意する際および現場施工の際に確認の手間が減じられることから、作業効率も高められる。
【0013】
なお、本願において、「線対称構造」とは、上述した上下端の設置用孔および受け部材用孔だけでなく、更に他の部材との接合のための孔や切欠き等が備えられる場合には、それらも全て対称位置に備えられていることを意味する。
【0014】
ここで、好適には、前記受け部材は、前記前柱と前記後ろ柱とを連結することにより、前記太陽電池モジュールの左右両端に沿って設けられたものである。太陽電池モジュールを架台に取り付けるに際しては、上下端側、左右端側、或いはその双方など、適宜の位置で太陽電池モジュールを支持する構造を採ることができるが、このようにすれば、前柱と後ろ柱とを連結するための連結材をそのまま太陽電池モジュールを受けるための受け部材として機能させ得ることから好ましい。
【0015】
また、好適には、上記連結材が受け部材として機能する態様において、その受け部材は、それぞれ長手方向の両端部側に前記前柱に固定するための前柱用孔と前記後ろ柱に固定するための後ろ柱用孔とを共に有する長手方向に垂直な対称軸について線対称構造を備えたものである。このようにすれば、受け部材も左右の区別が無くなることから、部品の種類数が更に減じられ、作業効率が一層高められると共に、製造コストも一層低減される。
【0016】
また、好適には、上記連結材が受け部材として機能する態様において、太陽電池モジュールの架台は、一端側において前記4本の柱部材に固定されると共に、他端側において前記受け部材に固定されることにより、それら柱部材と受け部材との間で三角形を形成する斜材を備えたものである。本考案の架台においても、従来から行われている通り、斜材を取り付けることで柱部材の揺動を抑制することが好ましい。この場合において、柱部材および受け部材には斜材を固定するための取付け用孔が備えられるが、この取付け用孔も前記対称軸について対称に形成される。
【0017】
また、好適には、前記受け部材は、前記前柱および前記後ろ柱上またはそれら前柱および後ろ柱を連結する梁上に固定されることにより、前記太陽電池モジュールの上下両端を受けるものである。受け部材は、このように上下端を受けるように構成しても差し支えない。
【0018】
また、好適には、前記4本の柱部材および前記複数本の受け部材は、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金で鍍金した鋼板から成るものである。このようにすれば、このような鍍金処理を施した鋼板は極めて高い耐食性を有することから、屋外に設置される架台の構成材料として好ましい。上記合金は、例えば、亜鉛を主成分とし、これに5〜15(%)程度のアルミニウムと1〜5(%)程度のマグネシウムとを含むものが好ましく、材料例としては、ZAM(日新製鋼株式会社の登録商標)やスーパーダイマ(新日本製鐵株式会社の登録商標)が挙げられる。
【0019】
また、好適には、前記4本の柱部材および前記複数本の受け部材は、横断面がL字形を成すものである。構成材料は強度確保および軽量化のために、このような形状のものを用いることが好ましい。
【0020】
また、好適には、前記太陽電池モジュールの架台は、横長の向きとした太陽電池モジュールを傾斜方向に沿ってそれぞれ複数枚(複数段)に取り付けるものである。太陽電池モジュールの架台1基当たりの取り付け枚数は、例えば3枚〜6枚程度である。
【0021】
また、好適には、前記太陽電池モジュールの架台は、一対の前柱および一対の後ろ柱の揺動をそれぞれ抑制するためのブレスが取り付けられたものである。なお、前記太陽電池モジュールの架台は、1基だけで利用することも可能であるが、通常は複数基を設置して数十(kW)〜数百(kW)の発電設備を構成するために用いられる。複数の架台が隣接して設置される場合には、上記ブレスに加えて、架台相互を連結する架台連結部材を設けることが好ましい。これにより、架台の揺動や倒れを一層抑制できる。
【0022】
また、好適には、前記太陽電池モジュールの架台は、太陽電池モジュールを水平面に対して5〜30度の範囲で傾斜する角度で取り付けるためのものである。
【0023】
また、好適には、前記架台は、横断面がL字形を成す板材から成る柱受部材がその一の平板部において前記設置面に突設されたボルトに固定されると共に、その他の平板部において前記4本の柱部材に固定されることによりそれら柱部材を支持するように設けられ、その柱受部材は前記柱部材および前記受け部材を構成する板材よりも厚さ寸法が厚くされたものである。このようにすれば、架台を設置するに際しては、柱受部材をボルトに固定した後、その柱受部材に柱部材をボルト・ナット等で固定すればよい。このとき、多数の部材が直接或いは間接的に取り付けられる柱受部材には他の部材に比較して大きな荷重が掛かるが、柱受部材は柱部材や受け部材よりも板厚が厚くされていることから、資材全体の質量増大を抑制しながら、その柱受部材の強度も十分に確保できる。
【0024】
上記板厚の関係は、架台の構成材料、架台に乗せるモジュール等の質量、その他種々の条件が影響するため、一義的に定まるものではないが、例えば、柱受部材の板厚を他の構成材料の1.2〜1.5倍程度とすることが好ましい。
【0025】
また、前記太陽電池モジュールの架台の製造方法は、例えば、太陽電池モジュールの設置面に矩形に配置固定された所定高さの一対の前柱およびその前柱よりも高い所定高さの一対の後ろ柱から成る4本の柱部材と、太陽電池モジュールを受けるためにそれら4本の柱部材上に設けられた互いに平行な複数本の受け部材とを備え、前記太陽電池モジュールを水平面に対して傾斜状態で支持するために用いられる太陽電池モジュールの架台の製造方法であって、(a)設置面に設けられた基礎に複数本の埋設ボルトを立設するボルト立設工程と、(b)前記埋設ボルトの各々の所定の高さ位置に前記柱部材を受けるための柱受部材をそれぞれナットで固定する柱受部材固定工程と、(c)それぞれ長手方向の両端部に前記設置面への設置用孔と前記受け部材を支持するための受け部材用孔とを共に有する長手方向に垂直な対称軸について線対称構造を備えた前柱および後ろ柱を前記柱受部材の各々に固定する柱固定工程とを、含むものである。
【0026】
このようにすれば、基礎に立設したボルトに柱受部材を固定し、これに線対称構造の前柱および後ろ柱を固定する工程を含む製造方法により、設置面に太陽電池モジュールの架台が設けられる。このとき、前柱および後ろ柱は、設置用孔と受け部材用孔とを共に有することにより長手方向の両端部が同一形状の線対称構造を備えていることから、両端部の何れにおいても、設置面に固定することができ且つ受け部材を支持することができる。そのため、前柱および後ろ柱を設置面に固定するに際しては、それらの固定状態が太陽電池モジュールの左右両辺側で相違する場合にも、太陽電池モジュールの左右両辺の一辺側となる位置においてそれら前柱および後ろ柱の一端側を設置面に固定する一方、他辺側となる位置においてそれらの他端側を設置面に固定することにより、柱部材を所期の状態で固定し且つそれらで受け部材を支持させることができる。すなわち、前柱および後ろ柱がそれぞれ左右で共通の部品となる。この結果、左右両辺側に位置する柱部材の区別が無用となるので、部品の種類数が少なくなると共に1種類の柱部品の使用本数が2倍になるため製造コストが低減され、しかも、管理が容易になると共に資材を用意する際および現場施工の際に確認の手間が減じられることから、作業効率も高められる。
【0027】
また、好適には、前記太陽電池モジュールの架台の製造方法は、前記柱受け部材に固定された前記前柱および前記後ろ柱の間に、それぞれ長手方向の両端部側に前記前柱に固定するための前柱用孔と前記後ろ柱に固定するための後ろ柱用孔とを共に有する長手方向に垂直な対称軸について線対称構造を備えた受け部材を固定する受け部材固定工程を含むものである。このようにすれば、受け部材も左右の区別が無いことから、部品の種類数が更に減じられ、作業効率が一層高められると共に、製造コストも一層低減される。
【0028】
また、好適には、前記太陽電池モジュールの架台の製造方法は、前記基礎を設置面に設けた型枠を組んでコンクリートを打設することにより鉄筋コンクリートで構成する基礎打設工程を含むものである。このようにすれば、予め製造した基礎を運搬する場合に比較して、基礎工事のための運搬費用が著しく減じられる利点がある。
【0029】
なお、上記のように基礎を現場に設ける場合は、その上面に不陸が生じ得る。この不陸が大きいと、太陽電池モジュールの架台を設置する際に水平レベルを出すために多大な手間を要し、或いは、設置の困難性を高めるものとなり得る。しかしながら、上記製造方法においては、埋設ボルトの各々の所定の高さ位置にナットで柱受部材をそれぞれ固定するようにするため、例えば、受け側のナットの水平レベルをそのねじ込み量を調整することで設定して、柱受部材を取り付けるだけで、容易にその水平レベルを出すことができるので、基礎の不陸は大きな問題にはならない。調整可能量を大きくしたい場合には、ボルトの突き出し長さを長くすればよいが、取り付け位置が高くなり過ぎると強度確保が困難になるので、この不陸調整の幅は概ね±10(mm)程度である。
【0030】
また、好適には、前記基礎は、設置面に埋設しない置基礎である。このようにすれば、基礎を現場でコンクリート打設により形成する場合の作業量が著しく少なくなるので、作業効率が高められる利点がある。なお、置基礎とする場合には、風圧による浮きや荷重による捻れ等が埋込基礎よりも生じ易いともいえるが、その質量や体積を十分に大きくすることによって、それらの問題は十分に抑制できる。基礎を現場でコンクリート打設する場合には、予め製造した基礎を設置する場合に比較して運搬が容易になるため、大きさの制限は事実上ないといってよく、置基礎でも十分な信頼性を確保することは容易である。
【0031】
また、好適には、前記ボルト埋設工程は、基礎に穴を開ける穴明け工程と、その穴に接着系アンカーを注入するアンカー注入工程と、その穴に寸切りボルトを挿入するボルト挿入工程とを、含むものである。前述したように柱受部材の取り付け高さを適宜調整することでその水平レベルを容易に出すことができるため、上記ボルト埋設工程は、基礎に開ける穴の向きを十分に鉛直方向に保てば、単独作業でも容易に行うことができる。なお、接着系アンカーは、穴に充填した接着剤が化学反応により硬化するもので、これにより、ボルトが基礎に物理的に固着される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本考案の一実施例の太陽電池モジュールの架台の全体を示す斜視図である。
【図2】(a)は図1の架台の前柱固定部分を側面視にて示す図であり、(b)は(a)における前柱のb視図である。
【図3】図1の架台の受け梁を側面視にて示す図である。
【図4】図1の架台の製造方法を説明するための工程図である。
【図5】(a)〜(c)は図4の製造工程においてボルトの埋設方法を説明する図である。
【図6】(a)〜(d)は図4の製造工程において柱の固定方法を説明する図である。

【0033】
以下、本考案の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【0034】
図1は、本考案の一実施例の太陽電池モジュールの架台10の全体を示す斜視図であり、これに取り付けられるモジュール12(図では3枚が長辺が横向きになる向きで取り付けられている。)を破線で示した。
【0035】
図1において、架台10は、例えば休耕地等の比較的平坦な敷地に打設された基礎14の上に設けられている。この基礎14は、例えば鉄筋コンクリートなどで構成されたもので、例えば、250(mm)程度の厚さ寸法と、600(mm)程度の幅寸法を以て、図1における左右方向に長い長さ寸法、例えば数十〜数百(m)程度の長さ寸法で、多数本が平行に設けられている。図1には、1つの架台10に対応する2本の基礎14の一部分を抜き出して示した。
【0036】
上記の架台10は、このような基礎14の上に設置されたもので、その基礎14に突設された埋設ボルト16に固定された一対の前柱18,18および一対の後ろ柱20,20と、それら前柱18,18,後ろ柱20,20の上端部に取り付けられた一対の受け梁22,22とを備えており、それら受け梁22,22に前記3枚のモジュール12が背面からボルト等によって固定されている。
【0037】
上記一対の前柱18,18および一対の後ろ柱20,20、一対の受け梁22,22は、何れも比較的長い薄板状の鋼材が短辺方向において略直角に折り曲げられた形状を備えたいわゆるアングル材から成るものである。これらは何れも例えば、厚さ寸法が2.3(mm)程度の合金鍍金鋼板、例えば、亜鉛にアルミニウムを6(%)、マグネシウムを3(%)添加した合金鍍金材であるZAM(日新製鋼株式会社の登録商標)で構成されている。このZAM材は、軽量且つ高い耐食性を有することから、太陽電池モジュール12の架台材料として最も好ましいものと考えられるが、同種の合金鍍金材はもちろん、他の鍍金鋼板や、ステンレス鋼等の種々の材料もこれに代えて用い得る。
【0038】
また、一対の前柱18,18は、後ろ柱20,20よりも低い高さ寸法で立設されており、これにより、受け梁22,22は前柱18,18側が低くなるように傾斜して取り付けられている。前柱18の高さ寸法は、例えば基礎14上で468(mm)程度であり、後ろ柱20の高さ寸法は、例えば、基礎14上で1025(mm)程度である。この結果、受け梁22の傾斜角度は、例えば15度程度である。
【0039】
また、上記前柱18、後ろ柱20は、何れも、受け梁22の長手方向の幅寸法が例えば80(mm)程度で、これに垂直な基礎14の長手方向の幅寸法が例えば50(mm)程度に構成されている。また、これら前柱18,18の相互間隔、および後ろ柱20,20の相互間隔は、何れも例えばモジュール12の長手方向寸法の半分程度である。例えば、モジュール12の長さ寸法が1645(mm)程度であれば、前柱18,18の相互間隔は800(mm)程度である。これにより、モジュール12は、長手方向において両端から1/4程度の2位置で支持されるものとなっている。
【0040】
また、前記の受け梁22は、例えば長さ寸法がモジュール12を3枚取り付けるのに必要且つ十分な長さ寸法とされている。例えば、モジュール12の短辺寸法が983(mm)程度であれば、モジュール12の相互間隔を例えば10(mm)程度として、受け梁22の長さ寸法は2969(mm)である。受け梁22を構成するアングルの2面の幅寸法は、上記前柱18,後ろ柱20に合わせられており、それぞれ80(mm)程度、50(mm)程度である。
【0041】
また、上記一対の前柱18,18間には、前ブレス24がボルト等によって取り付けられている。前ブレス24は、例えば長さ寸法が前記前柱18,18の相互間隔よりもわずかに大きい844(mm)程度のアングル材で、その長手方向に垂直な幅方向寸法は、取付状態で鉛直方向に向かう面が160(mm)程度、水平方向に向かう面が50(mm)程度である。
【0042】
また、前記一対の後ろ柱20,20間には、一対の後ろブレス26,26が互いに交差するように取り付けられている。すなわち、後ろブレス26の一方は、後ろ柱20の一方の下端部と他方の上端部とを連結するように取り付けられ、後ろブレス26の他方は、後ろ柱20の一方の上端部と他方の下端部とを連結するように取り付けられている。これらは交差部分で相互に干渉しないように、後ろ柱20,20の互いに異なる面すなわち受け部材22の長手方向の前面側と背面側に取り付けられている。後ろブレス26は、例えば長さ寸法が1002(mm)程度のアングル材で、その長手方向に垂直な幅寸法は、互いに垂直を成す2面の何れも50(mm)程度である。
【0043】
上記前ブレス24および後ろブレス26,26は、前柱18,18相互、或いは後ろ柱20,20相互に連結することで、それらの揺動を抑制し、延いては架台10の強度を高めるためのものである。この目的のため、前ブレス24は、例えばそれぞれ2カ所において前柱18,18の各々に取り付けられており、後ろブレス26,26は、互いに交差するように後ろ柱20,20に取り付けられている。なお、後ろ柱20の側方には、後ろブレス26とは反対方向に伸びる連結材27が取り付けられている。図1ではこの連結材27の他端部を省略したが、その他端部は隣接する後ろ柱20に取り付けられている。
【0044】
また、受け梁22と後ろ柱20との間には、その受け梁22の長手方向の中間部と、後ろ柱20の下端部とを連結する斜材28が取り付けられている。斜材28は、例えば、1171(mm)程度の長さ寸法を有する厚さ寸法が2.3(mm)程度の鋼板が短辺方向において略直角に折り曲げられた形状を成すアングル材で、その短辺方向に2面の幅寸法は、例えば何れも50(mm)程度である。この斜材は、受け梁22、後ろ柱20との間で三角形を構成することにより、それらの受け梁22の長手方向における揺動を抑制するためのものである。
【0045】
図2(a)、(b)は、前記前柱18の構成とその取付状態を詳細に説明するための側面図である。図2において、前柱18は、図において上端側に位置する長手方向の一端部に前記受け梁22にボルト30,30で取り付けるための一対の取付孔32,32が備えられている。この取付孔32,32と同様な取付孔34,34が図において下端側に位置する長手方向の他端部にも設けられており、前柱18は、この取付孔32,32と、取付孔34,34とが長手方向に垂直且つその中央を通る対称軸について線対称に設けられている。
【0046】
上記の取付孔34,34は、上記図2においては、ベースアングル36に前柱18をボルト38,38で取り付けるために用いられている。すなわち、前柱18は、上端部において受け梁22に、下端部においてベースアングル36に取り付けられるようになっているが、それら取付のための取付孔32,34は、同様に構成されている。
【0047】
前記図1に示されるように、前柱18および後ろ柱20は、構造の対称性を高めて強度確保をし、或いは作業性の観点などから、左右で互いに反対向きに、すなわち、向かい合う向きで設置される。そのため、従来は右用の前柱および後ろ柱と、左用の前柱および後ろ柱をそれぞれ用意する必要があった。しかしながら、本実施例によれば、上述したように前柱18は上下方向に線対称に構成されているため、右用と左用とで上下を反転させて用いることにより、同一部材を用意すれば足りるようになっている。
【0048】
なお、上記図2は、前柱18の構成を説明したものであるが、後ろ柱20も同様に長手方向に垂直な対称軸について線対称に構成されている。なお、これら前柱18および後ろ柱20には、上記受け梁22を取り付けるためにボルト30,38を刺し通す孔32,34に加えて、前ブレス24や後ろブレス26を取り付ける孔40,40等(後ろブレス26については図示を省略)や斜材28を取り付ける孔が設けられているが、これらも全て上記対称軸について線対称に設けられている。
【0049】
また、上記図2において、前柱18が取り付けられているベースアングル36は、その前柱18等と同様に鋼板が垂直に折り曲げられた形状を備えたアングル材であるが、その厚さ寸法は例えば3.2(mm)程度と、他の部材に比較して厚くなっている。ベースアングル36には架台10の全荷重が掛かることから、その荷重に耐えられるようにやや厚みが持たせてある。
【0050】
このようなベースアングル36は、基礎14に突設された埋設ボルト16に刺し通され、一対のナット42,42によってその高さ方向の所定の位置に固定されている。ナット42,42の高さ位置すなわちベースアングル36の高さ位置は、基礎14に突設された多数本の全ての埋設ボルト16において、略同一の高さ位置となるように水平レベルが出されている。なお、図2において、43は埋設ボルト16のゆるみ防止のためのナット、44は基礎14内に設けられた鉄筋である。ナット42,42のうち下側に位置するものとナット43との間には、例えば10(mm)程度の隙間が設けられている。上記水平レベルは、この隙間を利用して行うもので、±10(mm)程度の不陸調整が可能である。
【0051】
また、上述した前ブレス24,後ろブレス26,斜材28、ベースアングル36等も、全て前記前柱18等と同様にZAM等の合金鍍金鋼板で構成されているが、これらも適宜他の材料を用い得る。
【0052】
図3は、上記図2において、前柱18を仮想線で描いて受け梁22の構成を説明する図である。図3においては、図2で省略していた受け梁22の右方端部も中間を省略して示した。
【0053】
上記の図3において、受け梁22には、長手方向の両端部側の2位置のそれぞれに、柱取付孔46,46、48,48、50,50、52,52がそれぞれ対を成して設けられている。これら柱取付孔46〜52は、長手方向両端部からの距離がそれぞれ同一になるように設けられており、受け梁22は、その長手方向の中央を通り且つ長手方向に垂直な対称軸について、線対称に構成されている。
【0054】
上記の柱取付孔46等は、図示の傾斜状態で柱取付孔46,46と50,50がそれぞれ水平方向に並ぶように形成されている。柱取付孔46,46について、水平線Vを図示する。他の柱取付孔48,48、52,52は、受け梁22の傾斜角度を図3に示す左下がりとは丁度反対となる右下がりの同一角度としたとき、すなわち、V線が水平方向に一致するとき、それぞれ水平方向に並ぶように形成されている。
【0055】
そのため、例えば前記図1における左側の受け梁22は、図3に図示する傾斜状態で取り付けられることによって、水平に並ぶ柱取付孔46,46、50,50が柱固定のために用いられる一方、右側の受け梁22は、反対の傾斜状態で取り付けられることによって、水平に並ぶ柱取付孔48,48、52,52が柱固定のために用いられることになる。すなわち、傾斜角度を考慮した2種類の孔が設けられることによって、本実施例の受け梁22は、左右で部品が共通化されている。なお、受け部材22の前記斜材28を取り付けるための孔は、その長手方向の中央すなわち対称軸上にある。
【0056】
要するに、本実施例によれば、前柱18,後ろ柱20、受け梁22が左右で共通部品に構成されていることから、部品種類数が減じられているので、部品製造コストが低減されると共に、資材の用意、運搬、および施工現場の各場面において、左右の部材を区別するための手間が減じられるので、作業効率も高められる利点がある。
【0057】
図4は、上記の架台10を現場に設置するための製造工程を説明する工程図である。基礎打設工程S1においては、所定の位置に型枠および鉄筋を組み、コンクリートを流し込むことによって前記基礎14を打設する。本実施例おいては、基礎14が何ら埋め込まれていない置基礎であることから、この基礎14を形成するに際しては、設置面を平坦化し必要に応じて転圧や補強を施した後、型枠を組めば足りる。置基礎に代えて埋め込み基礎を用いることもでき、その場合には、埋め込み量に応じて適宜掘り下げてから型枠および鉄筋を組むことになる。なお、現地での基礎打設に代えて、予め製造した基礎を運搬して設置することも可能であり、本実施例においては、このような態様も排除しない。後述するように、本実施例では、±10(mm)程度の不陸調整が可能となっているので、基礎14を設けるに際しては、この調整範囲を超えないように留意すれば、設置方法は特に問われない。
【0058】
次いで、ボルト突設工程S2においては、上記基礎14の所定位置に埋設ボルト16を突設する。埋設ボルト16は、基礎14に穴を開けた後、ここに接着系アンカー剤を注入し、寸切りボルトを固定することにより設けられる。図5に、この工程S2の実施状態を示す。(a)は、基礎14に設けた埋め込み穴54に接着系アンカー剤56を注入している段階を示している。注入後、(b)に示すように寸切りボルトを挿入する。ここで用いられる寸切りボルトは、架台10の大きさや設置環境に応じて適宜選択されるが、例えば、M12×L130等である。
【0059】
上記のように挿入したボルトは、接着系アンカー剤が硬化することにより、物理的に保持されることになる。次いで、その埋設ボルト16に、丸座金、スプリングワッシャー(これらは図示を省略した。前記図2を参照。)等を嵌め入れた後、ナット43を締め付ける。(c)はナット43締め付け後の状態を示している。
【0060】
次いで、ベースアングル取付工程S3では、前記ベースアングル36を上記埋設ボルト16に固定する。図6は、このベースアングル36の取付けおよび前柱18或いは後ろ柱20の取付けまでを説明する図である。
【0061】
図6において、(a)では、前記ナット43上に例えば10(mm)程度のクリアランスを設けてナット42を嵌め入れる。この段階でそのナット42の上面の水平レベルを出す。上記の通りナット43上には10(mm)程度のクリアランスがあり、埋設ボルト16の長さ寸法も十分にとってあるので、前述したように±10(mm)程度は不陸調整が可能である。次いで、(b)では、その上からベースアングル36を嵌め入れる。このベースアングル36は、例えば長さ寸法が80(mm)程度の比較的短いアングル材であり、ナット42上に載せられる部分の幅寸法は53(mm)程度、立ち上がり寸法は65(mm)程度である。ナット42の水平レベルは既に出してあるので、このベースアングル36の取付けに際しては、嵌め入れた後、座金やスプリングワッシャーを適宜介してナット42で締め付けるだけで足りる。(c)に締め付け後の状態を示す。
【0062】
このようにしてベースアングル36を取り付けた後、前柱・後ろ柱取付工程S4では、ベースアングル36の立面に設けられている柱取付孔58,58を用いて、前柱18、後ろ柱20をそれぞれ取り付ける。図6(d)に取付後の状態を示す。ベースアングル36が既に水平レベルの出た状態で取り付けられているため、この前柱18,後ろ柱20の取付は何ら手間を要せず、一人作業でも実施可能な程度である。
【0063】
しかも、本実施例においては、前述したように、左右の柱部材が共通化されているため、上記の柱取付作業において、長さ寸法によって前柱18と後ろ柱20とを識別すれば足りる。そのため、左右が異なる他はよく似た部材を架台組み立て時に識別する必要がなく、配設位置に応じて、上下或いは前後を反転して左右で共通の材料を用いることができるので、作業効率が高められる。
【0064】
このようにして柱部材18,20を取り付けた後、ブレス取付工程S5では、前ブレス24および後ろブレス26をそれぞれ所定の位置に取り付ける。また、受け梁取付工程S6では、受け梁22を前柱18および後ろ柱20に取り付ける。これらの順序は反対とすることも可能であるが、受け梁22の荷重が加わる前にブレスを取り付ける方が好ましい。この受け梁22の取付けの際にも、左右で共通の部品になっていることから、作業効率が高められている。
【0065】
次いで、斜材取付工程S7において、前記斜材28を取付け、後ろ柱連結工程S8において、連結材27で隣接する架台10の後ろ柱20,20を相互に連結する。これにより、架台10が得られる。
【0066】
要するに、本実施例の製造方法によれば、前柱18、後ろ柱20、受け梁22の各部材が線対称構造に構成されることによって、左右で共通化されているため、架台10の現場施工段階においても、材料識別の手間が減じられ、作業効率が高められる利点がある。
【0067】
以上、本考案を図面を参照して詳細に説明したが、本考案は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【0068】
10 架台
12 モジュール
14 基礎
16 埋設ボルト
18 前柱
20 後ろ柱
22 受け梁
24 前ブレス
26 後ろブレス
27 連結材
28 斜材
30 ボルト
32 取付孔
34 取付孔
36 ベースアングル
38 ボルト
40 孔
42 ナット
43 ナット
44 鉄筋
46,48、50,52 柱取付孔
54 埋め込み穴
56 接着系アンカー剤
58 柱取付孔

(57)【要約】

【課題】部品点数を減じ延いては作業効率を高めることが可能な太陽電池モジュールの架台を提供する。【解決手段】前柱18,後ろ柱、受け梁22が長手方向に垂直な対称軸について線対称に構成されることによって、左右で共通部品に構成されていることから、部品種類数が減じられているので、部品製造コストが低減されると共に、資材の用意、運搬、および施工現場の各場面において、左右の部材を区別するための手間が減じられるので、作業効率も高められる利点がある。


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