(54)【考案の名称】太陽光発電パネル支持架台

(73)【実用新案権者】新日鐵住金株式会社

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、太陽光発電パネルを支持する架台に関する。

【従来の技術】

【0002】
現在、地球温暖化の主因となるCO2を排出しない太陽光発電の実用化が積極的に進められている。太陽光発電パネルが太陽光を効率よく受光するためには、太陽光発電パネルを、太陽に向くように、所定の傾斜角で保持する装置が必要である。
【0003】
例えば、特許文献1には、太陽電池取付架台装置が開示されているが、該装置においては、(a)部材数が増加して高コストである、(b)組立作業の施工効率が低い、(c)コンクリート基礎の養生期間が必要で工期が長期化する、(d)風の吹上げ力に抵抗するためコンクリート基礎が大型化し、施工手間・コストが増加する等の課題がある。
【0004】
それ故、近年、太陽光発電パネルの架台装置には、構造の簡素化、組立作業の簡略化、価格の低減、工期の短縮等が要求されていて、これらの要求に従い、種々の構造の架台装置が開発されている。
【0005】
例えば、特許文献2及び3には、太陽電池パネルを一本の支持体(支柱)で支持する太陽光発電装置が開示されている。しかし、特許文献2及び3の太陽光発電装置は、支持体(支柱)を保持するコンクリート製の地中埋設体を必要とするので、組立作業、価格、工期や地盤掘削、排土、埋設構造体と周辺地盤との間のコンクリート養生などの点で、必ずしも上記要求に応えていない。
【0006】
特許文献4には、支柱が4本の太陽発電パネルの取付架台が開示されているが、該取付架台は支柱が4本であるが故、組立作業が煩雑であるうえ、ソーラーパネルの傾斜角度の調整が煩雑であり、必ずしも上記要求に応えていない。
【0007】
そこで、本出願人は、上記要求に鑑み、特許文献5及び6で、構造が簡素で、組立作業が簡略で、低価格で、工期が短く、かつ、パネル支持強度に優れ、傾斜地にも設置可能な太陽光発電パネル支持架台を提案した。
【0008】
しかし、特許文献5及び6で提案の太陽光発電パネル支持架台においては、支柱と上部架台が、溶接で取り付けた接合用の取付け部を介して接合されているので、接合構造が複雑である。さらに、施工誤差を吸収する調整機構が複雑である。
【0009】
近年、太陽光発電の普及に伴い、太陽光発電パネル支持架台においては、施工の簡便性と迅速性が求められている。
【0010】

【効果】

【0019】
本考案によれば、構造が簡素で、組立作業が簡略で、施工性がよく、低価格で、工期が短く、かつ、パネル支持強度に優れた太陽光発電パネル支持架台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本考案の太陽光発電パネル支持架台の全体態様を示す図である。
【図2】図1に示す太陽光発電パネル支持架台の正面態様を示す図である。
【図3】図1に示す太陽光発電パネル支持架台の上面態様を示す図である。
【図4】図1に示す太陽光発電パネル支持架台の側面態様を示す図である。
【図5】第2支持梁と支柱(H形鋼)を接続金物で接続する態様を示す図である。(a)は正面態様を示し、(b)は側面態様を示す。
【図6】接続金物を模式的に示す図である。(a)は正面態様を示し、(b)は側面態様を示し、(c)は上面態様を示す。
【図7】第1支持梁に太陽光パネルをボルト接合で固定する態様を示す図である。(a)は第1支持梁として溝形鋼を用いる態様を示し、(b)は第1支持梁として溝形鋼を用いる別の態様を示し、(c)は第1支持梁としてハット形鋼を用いる態様を示し、(d)は第1支持梁としてハット形鋼を用いる別の態様を示す。

【0021】
本考案は、地面上に設置し、上部に、所定の傾斜を有する太陽光発電パネルを支持する太陽光発電パネル支持架台(以下「本考案支持架台」ということがある。)であって、該支持架台が、
(x)前記太陽光発電パネルの傾斜方向に直交して段違いに架設した複数の第1支持梁と、該複数の第1支持梁に直交して架設した複数の第2支持梁を備え、
(y)前記第2支持梁の中の二つの第2支持梁の各々の中心から地面の法線上に、下端が地中に貫入する、H形鋼又は鋼矢板で構成される支柱を備え、さらに、
(z)前記支柱の上部と軸力155〜349kNの複数の高力ボルトでボルト接合された板厚6〜12mmの溝形鋼と、第2支持梁と軸力155kN未満の複数のボルトでボルト接合され、かつ、前記溝形鋼のウェブ面に溶接された板厚2.3〜9mmの鋼板とからなる接合金物を備える
ことを特徴とする。
【0022】
以下、本考案について図面に基づいて説明する。
【0023】
図1に、本考案の太陽光発電パネル支持架台の全体態様を示す。図2に、図1に示す太陽光発電パネル支持架台の正面態様を示し、図3に上面態様を示し、図4に側面態様を示す。
【0024】
地面の傾斜に直交する最上段の第1支持梁1aと最下段の第1支持梁1bの間に、第1支持梁1が段違いに架設され、第2支持梁2a、2bが、第1支持梁1、1a、1bに直交して固定されて架設され、太陽光発電パネル3を支持する梁枠4が構成されている。
【0025】
図では、4本の第1支持梁を配設しているが、複数本の第1支持梁を配設してもよい。また、図では、2つの第2支持梁2a、2bを配設しているが、左右対称に、複数本の第2支持梁を配設してもよい。第1支持梁及び第2支持梁を複数本用いることにより、所要の梁枠強度を確保することができる。
【0026】
第1支持梁の材質・形状に特に制限はないが、断面が略台形(台形に類似する多角形を含む。)又は略角形、略溝形鋼、又は、略ハット形鋼の鋼材を用いると、梁枠強度の確保、組立の容易性、工期の短縮の点で好ましい。また、第2支持梁の材質・形状にも特に制限はないが、第1支持梁の材質と同じで、断面が略溝形の鋼材を用いると、梁枠強度の確保、組立の容易性、工期の短縮の点で好ましい。
【0027】
第1支持梁と第2支持梁は、梁枠強度の確保の点で、ボルトで接合するのが好ましい。梁枠の大きさは、太陽光発電パネルに対して、1モジュール当たりの所定枚数を過不足なく載置できる大きさとするので、特に制限はない。
【0028】
梁枠の傾斜角は、太陽光発電パネルが太陽光を効率よく受光できる角度とする。通常、0〜30°である。
【0029】
左右対称又は非対称の位置にある二つの第2支持梁2a及び第2支持梁2bの中心から地面の法線上に(図1、図4、参照)、下端が地中に貫入する支柱5a及び支柱5bを、それぞれ配設し、支柱5aの上端と第2支持梁2aを接続金物6aで接続し、支柱5bの上端と第2支持梁2bを接続金物6bで接続する。接続金物の構造については後述する。
【0030】
支柱は、接続金物を介して梁枠(第2支持梁2aと第2支持梁2b)を安定的に支持し得る材質・形状のものであればよいが、本考案支持架台では、接合強度の点、及び、接続金物の安定性を確保する点から、H形鋼又は鋼矢板で作製する。
【0031】
図に示すように、接続金物6a、6bによる支柱(H形鋼又は鋼矢板)5a、5bと梁枠(第2支持梁2aと第2支持梁2b)の接続(連結)は、太陽光発電パネルを、永続的に安定支持するうえで重要である。
【0032】
図5に、支柱にH形鋼を用い、H形鋼と第2支持梁を接続金物で接続する態様を示す。図5(a)に正面態様を示し、図5(b)に側面態様を示す。また、図6に、接続金物を模式的に示す。図6(a)は正面態様を示し、図6(b)は側面態様を示し、図6(c)は上面態様を示す。
【0033】
接続金物6は、ボルト11aで梁枠4に固定した矩形の梁枠固定プレート9の中央部に、所定の角度(太陽光パネルの傾斜角度)で、長尺の接合金具8が溶接で固着されて構成されている。
【0034】
接合金具8は、接続強度を確保する点から溝形鋼8aが好ましい(図6、参照)。接合金具8の下部には、縦列に長孔10が穿孔されている。長孔10に高力ボルト11aを通して、接合金具8を、施工誤差を吸収してH形鋼7(支柱)の頂部ウェブ面に固定する。
【0035】
なお、梁枠固定プレート9に穿孔するボルト孔11の数、及び、接合金具8の下部に穿孔する長孔10の数は、梁枠4の幅、H形鋼7の幅、接合金具8の長さ、及び、接続強度を勘案して、適宜、設定する。
【0036】
梁枠固定プレート9に固定する溝形鋼8a(接合金具8)は、板厚6〜12mmが好ましい。軸力155〜349kNの高力ボルトで高い接合強度を得るためには、0.4以上のすべり係数μを確保することが必要で、そのためには、溝形鋼8aの板厚は6mm以上が必要である。
【0037】
溝形鋼8aは、一般構造用鋼であるJIS G 3101のSS400やSS490に相当する鋼であれば好ましいが、所望の接合強度を確保できる限りにおいて、特に限定されない。溶融亜鉛めっき構造用鋼でもよい。
【0038】
上限は特に限定しないが、板厚が12mmを超えると、加工性が低下し、また、重量が増して施工性が低下するので、12mmが上限として好ましい。
【0039】
溝形鋼8aの幅b(図6、参照)は、支柱のH形鋼の幅の範囲内で適宜設定するが、溝形鋼の突出高さhは、所要の接合強度を確保するため、溝形鋼自身の重心の回りに生じる断面2次モーメント(=t(板厚)・h3/12)が、下記値以上となるように決定する(日本建築学会「軽鋼構造設計施工指針・同解説」(1985年制定)、6〜7頁と58〜59頁、参照)。
【0040】
“1.9・t4・{(b/t)2−150}0.5” かつ “8.3・t4
ここで、h:溝形鋼の突出高さ
b:溝形鋼の幅
t:溝形鋼の板厚
溝形鋼8aの下部に、高力ボルトを通す、縦方向(溝形鋼の長手方向)に長い長孔10を穿孔する。長孔10は、接続金物6をH形鋼7の頂部に固定する際、施工誤差を吸収する機能を発揮する。そのため、長孔10の長さlは、長孔の幅をD(=d[ボルト径]+2mm)として、l=2.5・D が好ましい。
【0041】
H形鋼7の頂部のウェブ面にも、同様に、長孔を穿孔する。この長孔は、溝形鋼8aの施工誤差を吸収機能と相俟って施工誤差を適確に吸収するようにするため、横方向(H形鋼の幅方向)に長い長孔(図示なし)とする。
【0042】
このように、本発明支持架台においては、支柱(H形鋼)の上部と接合金物の間に、水平方向及び鉛直方向の施工誤差を吸収する施工誤差吸収機構が構成されている。
【0043】
溝形鋼8aを、所要の傾斜角度(太陽光パネルの傾斜角度)をもって、梁枠固定プレート9に溶接で固着する。具体的には、梁枠(第2支持梁)とボルトで接合される接合金物の鋼板は、少なくとも支柱(H形鋼)の上端側の端辺が梁枠(第2支持梁)の長手方向に沿うように、支柱の長手方向と所定の角度をなして、溝形鋼と溶接接合されている。
【0044】
梁枠固定プレート9は、軸力155kN未満の複数の一般ボルトで梁枠(第2支持梁)に固定するので、梁枠固定プレート9を形成する鋼板の板厚Tに、高力ボルトで接合する場合におけるような下限はないが、接合強度、接合部の剛性を確保するため、梁枠の厚さ以上にする必要がある。そのため、2.3mmが好ましい下限である(図6、参照)。上限は特にないが、加工性、施工性を考慮すると、9mmが好ましい。
【0045】
梁枠固定プレート9の幅Wは、梁枠の幅と同じであることが好ましいが、さらに広くてもよい。梁枠固定プレート9の長さLは、特に限定されない。接合強度、接合部の剛性、加工性、施工性を考慮して適宜設定すればよい。
【0046】
梁枠固定プレート9において、ボルト孔11は、溝形鋼の両側に適宜の数、配置する。この際、ボルト孔の間隔L1、W1は、接合強度、接合部の剛性を考慮して設定する。
【0047】
太陽光パネルは第1支持梁に固定する。図7に、第1支持梁に太陽光発電パネルをボルト接合で固定する態様を示す。
【0048】
図7(a)に、第1支持梁1として溝形鋼8aを用いる態様を示し、図7(b)に、第1支持梁1として溝形鋼8aを用いる別の態様を示す。さらに、図7(c)に、第1支持梁1としてハット形鋼8bを用いる態様を示し、図7(d)に、第1支持梁1としてハット形鋼8bを用いる別の態様を示す。太陽光パネルの第1支持梁への固定をボルト接合で行なえば、組立作業が簡略で、工期を短縮できる。
【0049】
以上説明したように、本考案によれば、傾斜が急峻で施工が難しい傾斜地に太陽光発電パネルを設置する場合でも、施工誤差を解消する調整も含め、工事を短期間で終了することができる。したがって、本考案は、構造が簡素で、組立作業が簡略で、施工性がよく、低価格で、工期が短く、かつ、パネル支持強度に優れ、傾斜地にも設置可能な太陽光発電パネル支持架台である。
【0050】
次に、本考案の実施例について説明するが、実施例での条件は、本考案の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本考案は、この一条件例に限定されるものではない。本考案は、本考案の要旨を逸脱せず、本考案の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
【0051】
(実施例)
太陽光発電パネルとして、概略寸法990mm×1650mmのパネルを用いて、1モジュール当たり12枚のパネル(横置き3段×4列)を配置し、風荷重設計用の速度圧は2400N/mm2とした。
【0052】
第1支持梁として、例えば、図7(a)及び(b)に示すように、断面75〜45mm×100〜40mmで板厚1.6mmの溝形鋼を用い、第2支持梁として、断面145mm×70mm×20mmで板厚2.3mmの溝形鋼を用いて、3100mm×3100mmの梁枠を作製した。
【0053】
図5に示すように、支柱としてH形鋼(寸法は148mm×100mm×6mm×9mm)を用い、H形鋼の頂部のウェブ面と上記溝形鋼を接続金物で接合し、梁枠を固定した。
【0054】
傾斜角10°の梁枠の上に太陽光発電パネルを載置し、平坦地に設置した。組立開始から施工完了まで、1モジュール当たりで0.5日を要した。通常の工期(例えば、特許文献1の場合)は10日であるので、工期は大幅に短縮されている。
【産業上の利用可能性】
【0055】
前述したように、本考案によれば、構造が簡素で、組立作業が簡略で、施工性がよく、低価格で、工期が短く、かつ、パネル支持強度に優れた太陽光発電パネル支持架台を提供することができる。よって、本考案は、エネルギー産業において利用可能性が高いものである。
【0056】
1 第1支持梁
1a 最上段の第1支持梁
1b 最下段の第1支持梁
2a、2b 第2支持梁
3 太陽光発電パネル
4 梁枠
5a、5b 支柱
6、6a、6b 接続金物
7 H形鋼
8 接合金具
8a 溝形鋼
8b ハット形鋼
9 梁枠固定プレート
10 長孔
10a 高力ボルト
11 ボルト孔
11a ボルト
b 溝形鋼の幅
h 溝形鋼の突出高さ
t 溝形鋼の板厚
l 長孔の長さ
D 長孔の幅
T 梁枠固定プレートの板厚
W 梁枠固定プレートの幅
L 梁枠固定プレートの長さ
L1、W1 ボルト孔の間隔

(57)【要約】

【課題】施工性がよく、傾斜地にも設置可能な太陽光発電パネル支持架台を提供する。【解決手段】地面上に設置し、所定の傾斜を有する太陽光発電パネルを支持する太陽光発電パネル支持架台であって、該支持架台が、(x)前記太陽光発電パネルの傾斜方向に直交して段違いに架設した複数の第1支持梁1と、該複数の第1支持梁1に直交して架設した複数の第2支持梁2a、2bを備え、(y)前記第2支持梁2a、2bの中の二つの第2支持梁の各々の中心から地面の法線上に、下端が地中に貫入する、H形鋼又は鋼矢板で構成される支柱5a、5bを備え、さらに、(z)前記支柱5a、5bの上部と軸力155〜349kNの複数の高力ボルトでボルト接合された板厚6〜12mmの溝形鋼と、第2支持梁2a、2bと軸力155kN未満の複数のボルトでボルト接合され、かつ、前記溝形鋼のウェブ面に溶接された板厚2.3〜9mmの鋼板とからなる接合金物を備える。


【パテントレビュー】

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【インターネット特許番号リンク】

インターネット上にあるこの特許番号にリンクします(発見しだい自動作成):