(54)【考案の名称】太陽電池モジュールの製造装置

(73)【実用新案権者】富士フイルム株式会社

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、太陽電池モジュールの製造装置に関し、特に太陽電池モジュールのバックシートを剥離する製造装置に関する。

【従来の技術】

【0002】
発電時に二酸化炭素の排出がなく、環境負荷が小さい太陽光発電の普及が進められている。この太陽光発電には一般的に太陽電池モジュールが使用されている。太陽電池モジュールは、透光性ガラス基板と、その太陽光が入射される側とは反対の表面上に配列された複数の太陽電池セルとを備えている。太陽電池セルは、樹脂材料からなる封止材により封止されており、外部環境から保護されている。封止材の表面上には、外部環境から太陽電池セルへの水分の浸入を防ぐために、樹脂フィルムにより形成されたバックシートが接着されている。
【0003】
太陽電池モジュールの製造過程において、最終検査工程で太陽電池セルに発電不良等の不具合が存在した場合、不具合の太陽電池セルが良品の太陽電池セルに交換されるリワーク作業が実施されている。リワーク作業が実施されることにより、太陽電池モジュールの製造上の歩留まりを大幅に向上することができる。リワーク作業では、太陽電池セルを封止した封止材の表面に接着されたバックシートが剥離された後に、太陽電池セルが交換され、この太陽電池セル上に新たにバックシートを接着する工程が必要とされている。
【0004】

【効果】

【0033】
本考案は上記構成としたので、バックシートの剥離力を減少しつつ、太陽電池セルの割れや接着層の転移を効果的に抑制又は防止することができる太陽電池モジュールの製造装置を提供することができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本考案の第1実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置の要部を拡大して示す一部断面斜視図である。
【図2】図1に示す太陽電池モジュールの製造装置においてバックシートの剥離状態を拡大して示す側面断面図である。
【図3】図1に示す太陽電池モジュールの製造装置の全体平面図である。
【図4】第1実施の形態又は第2実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置の剥離角度調整機構を示す側面断面図である。
【図5】第1実施の形態の実施例並びに比較例を示す図である。
【図6】本考案の第3実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置の剥離角度調整機構を示す側面断面図である。

【0035】
以下、添付の図面を参照しながら、本考案に係る実施の形態を説明する。なお、図面において同一機能を有する構成要素には同一符号が付されており、重複する説明は適宜省略されている。また、図面において適宜示され、符号EAが付された方向は、本考案に係る製造装置において、太陽電池モジュールのバックシートを剥離する剥離方向を示している。また、符号CAが付された方向は剥離方向に対して交差する交差方向(ここでは、水平面に沿って直交する方向)を示しており、符号UAが付された方向は剥離方向及び交差方向に直交する上方向を示している。
【0036】
[第1実施の形態]
図1〜図5を用いて、本考案の第1実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置を説明する。
【0037】
(太陽電池モジュールの製造装置の全体構成)
図3に示されるように、第1実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置10は、剥離方向(EA)及び交差方向(CA)に沿って配置されると共に、平面視で矩形状の平面形状により形成された載置面12Aを有するベースプレート12を備えている。載置面12A上にはホットプレート14を介して太陽電池モジュール20が載置可能とされている。ホットプレート14は、太陽電池モジュール20、特に図2を用いて後に説明する封止材26を適正な温度範囲内に加熱し、封止材26とバックシート28との接着力を低減する機能を有する。ホットプレート14には温度を調整する図示を省略した加熱制御部が接続されている。
【0038】
図1〜図3に示されるように、ベースプレート12の上方には、ホットプレート14及びその表面上に載置された太陽電池モジュール20を介して、ベースプレート12と相対移動して封止材26からバックシート28を剥離させる剥離手段40が設けられている。ベースプレート12と剥離手段40との間であって、太陽電池モジュール20上には、バックシート28の表面を押付ける曲面部30Bを有し、この曲面部30Bに這わせてバックシート28を剥離させるガイド部材30が設けられている。剥離手段40の移動方向は剥離方向とされており、剥離手段40と共にガイド部材30を移動方向に移動させる移動手段70が設けられている。
【0039】
また、ガイド部材30の剥離方向の後方側には封止材押え手段50が設けられると共に、ガイド部材30の剥離方向の前方側にはシート押え手段60が設けられている。更に、図4に示されるように、ガイド部材30にはバックシート28の剥離角度θを調整する剥離角度調整手段のガイド部材移動機構32が設けられている。これらの封止材押え手段50、シート押え手段60及び剥離角度調整手段の詳細な構成は後に説明する。
【0040】
(太陽電池モジュールの構成)
図1〜図3に示されるように、太陽電池モジュール20は、透光性基板22と、透光性基板22の一表面上に設けられた太陽電池セル24と、太陽電池セル24を覆いかつ封止する封止材26と、封止材26上を覆いかつ封止材26に接着されたバックシート28とを備えている。透光性基板22は、特にこの平面形状に限定されるものではないが、平面視で矩形状とされている。透光性基板22の一表面と対向する他の一表面は太陽光の入射面であり、透光性基板22には発電効率を高めるために光透過率の高い材料が使用されている。例えば、透光性基板22は、透明なガラス材料、アクリル樹脂等の透明な樹脂材料により形成されている。
【0041】
太陽電池セル24は太陽光の光エネルギを電気エネルギに変換する機能を有する。太陽電池セル24は、透光性基板22の一表面上において、行方向及び列方向に複数配置されており、電気的に直列に接続されている。太陽電池セル24はシリコン系半導体材料、化合物系半導体材料等により形成されている。シリコン系半導体材料としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン等の材料が含まれている。化合物系半導体材料としては、III−V族化合物系半導体、II−VI族化合物系半導体等の材料が含まれている。具体的には、銅−インジウム−ガリウム−セレン、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル、ガリウム−砒素等の材料が太陽電池セル24に使用されている。
【0042】
封止材26は、太陽電池セル24を外部環境から保護する機能を有し、又太陽電池セル24を透光性基板22の一表面上に接着固定する機能を有する。この封止材26には、例えばエチレン−ビニルアセテート(EVA)封止材が使用されている。エチレン−ビニルアセテート(EVA)封止剤の軟化点は60度〜100度とされている。バックシート28は、例えばポリマー基材と、このポリマー基材上に直接配置された着色層とを備えている。着色層は、例えば酸価が2mgKOH/g〜10mgKOH/gに設定されたバインダーと、含有量が2.5g/m〜8.5g/mに設定された顔料とを含有し、EVA封止材に対して40N/cm以上の接着力を有している。この着色層は、バックシート28を封止材26に接着する封止材易接着層とされている。バックシート28の厚さは例えば0.1mm〜0.5mm、好ましくは0.3mmに設定されている。
【0043】
(ガイド部材の構成)
図1〜図3に示されるように、ガイド部材30は、交差方向及び載置面12Aに平行な方向を長手方向とし、剥離方向を短手方向としたガイド部材本体30Aを備えている。すなわち、ガイド部材本体30Aはバックシート28の幅全体を押さえる板体である。ガイド部材本体30Aには、封止材26とバックシート28との剥離箇所P(図2参照)側の先端形状が剥離箇所P側に突出する曲面を持つ曲面部30Bと、曲面部30Bからガイド部材本体30Aへやや上方に傾斜された傾斜部30Cとが設けられている。ガイド部材30は、ホットプレート14により太陽電池モジュール20が加熱されるので、高温状態において適度な剛性や硬性が得られる耐熱材料により形成されている。例えば、耐熱材料としては、ステンレス(SUS)、テフロン(登録商標)等の材料を使用することができる。
【0044】
図2に示される曲面部30Bの曲率半径Rは0.5mm〜7.0mmの範囲内に設定されている。曲率半径Rが0.5mm以下に設定されると、曲面部30Bがバックシート28の表面に食込み易い。逆に、曲率半径Rが7.0mm以上に設定されると、曲面部30Bとバックシート28との接触面積の増加に伴い、双方の摩擦力が増加する。
【0045】
(剥離手段の構成)
図1及び図3に示されるように、剥離手段40は、交差方向を軸方向として延設された円柱状を有する巻取部42と、この巻取部42の軸穴に固定された回転軸44と、回転軸44の軸方向の端に接続されたハンドル46(図3参照)とを備えている。特に限定されるものではないが、本実施の形態において、回転軸44の軸方向の両端にハンドル46が一対で設けられている。回転軸44の軸方向の両端部は、ベースプレート12の交差方向の両端部に一対で設けられると共に剥離方向に移動可能とされ、剥離手段40等を支持する移動手段70の枠部72により回転自在に支持されている。
【0046】
剥離手段40では、封止材26から剥離されたバックシート28Bの一端が巻取部42の周面に接着固定される。この状態において、図3に示す下方側のハンドル46が反時計回り方向に、上方側のハンドル46が時計回り方向に回転されると、巻取部42は矢印C方向へ回転され、巻取部42には不必要となり回収されるバックシート28Cが巻取られる。このバックシート28Cの巻取りにより、巻取部42とガイド部材30の曲面部30Bとの間においてバックシート28Bに適度な張力が生じる。巻取部42の少なくともバックシート28Cが巻取られる周面は、バックシート28Cが接着可能な材料により形成されている。例えば、巻取部42の少なくとも周面は塩化ビニルにより形成されている。
【0047】
(封止材押え手段の構成)
図1〜図3に示されるように、封止材押え手段50は、バックシート28Aが剥離され露出された封止材26の表面26Aを押え、ガイド部材30と共に剥離方向へ移動する後方押え部としての封止材押え部52、54を備えている。剥離箇所Pから封止材押え部52、54までの距離は、できる限り小さい方が好ましいが、ここでは作業性が配慮されて200mm以下、更に好ましくは50mm以下に設定されている。封止材押え部52は、太陽電池モジュール20の交差方向の一端部において、封止材26の表面26Aを押さえる構成とされている。また、封止材押え部54は、封止材押え部52と一対で設けられており、太陽電池モジュール20の交差方向の他端部において、封止材26の表面26Aを押さえる構成とされている。すなわち、本実施の形態では、封止材押え部52、54は、太陽電池モジュール20の交差方向の両端部のみを押さえる構成とされている。ここでは、封止材押え部52、54により、太陽電池モジュール20の端から内側に50mm以下までの封止材26の表面26Aが押さえられている。
【0048】
封止材押え部52、54は、封止材26の表面26Aとの滑り性を良好なものとするために、交差方向を軸方向とする円柱状(円盤状)のローラとされている。封止材押え部52、54はいずれも回転軸56に回転自在に取付けられており、回転軸56はその両端部において枠部72に支持されている。なお、本考案では、封止材押え部52、54に代えて、封止材26の一端から他端までを一度に押さえる1本のローラが封止材押え部とされてもよい。
【0049】
(シート押え手段の構成)
図1〜図3に示されるように、シート押え手段60は、封止材押え手段50と同様の構成とされており、剥離直前のバックシート28Aの表面を押え、ガイド部材30と共に剥離方向へ移動する前方押え部としてのシート押え部62、64を備えている。シート押え部62、64は、太陽電池モジュール20の両端部のみにおいてバックシート28Aの表面を押さえている。シート押え部62、64は、いずれもローラとされており、回転軸66に回転自在に取付けられている。回転軸66はその両端部において枠部72に支持されている。
【0050】
図1及び図2に示されるように、本実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置10では、ガイド部材30の特に曲面部30Bが、剥離箇所Pに最も近接した箇所であって剥離最直前のバックシート28Aの表面を押さえる構成とされている。すなわち、ガイド部材30は、シート押え手段60よりも、透光性基板22から封止材26及び太陽電池セル24の浮上がりを効果的に抑制又は防止することができるシート押え手段としても機能している。
【0051】
(剥離角度調整手段の構成)
図4に示されるように、剥離角度調整手段は、剥離手段40とガイド部材30との相対位置を変えて、封止材26の表面から剥離され引起こされたバックシート28Bまでの剥離角度θを調整する構成とされている。剥離角度調整手段はガイド部材30に接続されたガイド部材移動機構32を備えている。ガイド部材移動機構32は、剥離手段40に対して、ガイド部材30を剥離方向と一致する矢印D方向に移動させる機能を有する。剥離角度調整手段により、剥離角度θは90度〜170度の範囲内に調整されている。
【0052】
(移動手段の構成)
図3に示されるように、移動手段30は、ベースプレート12よりも外側で対向して配置されると共に、ガイド部材30、剥離手段40の回転軸44、封止材押え手段50の回転軸56及びシート押え手段60の回転軸66を支持する一対の枠部72を備えている。この一対の枠部72の剥離方向の前部には回転軸74Bにより回転自在に支持されたローラ74Aが設けられると共に、剥離方向の後部には回転軸76Bにより回転自在に支持されたローラ76Aが設けられている。ローラ74A、76Aはいずれもベースプレート12の端部に沿って剥離方向に回転移動する。すなわち、この回転移動により、移動手段70は、ガイド部材30、剥離手段40、封止材押え手段50及びシート押え手段60を同一方向に移動させる構成とされている。
【0053】
(バックシートの剥離動作)
本実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置10において、バックシート28の剥離動作は以下の通りである。まず、図1〜図3に示されるように、ベースプレート12の載置面12A上に、透光性基板22側を下方とし、バックシート28側を上方として、太陽電池モジュール20が載置される。太陽電池モジュール20の剥離方向の最後端のバックシート28が手動により剥離される。剥離されたバックシート28Bの一端は、ガイド部材30の曲面部30Bと封止材押え手段50の封止材押え部52、54との間の隙間を通して、剥離手段40の巻取部44の周面に接着固定される。
【0054】
剥離手段40のハンドル46を回すと、巻取部42が矢印C方向に回転され、封止材26から剥離されたバックシート28Bが矢印B方向に移動すると共に、巻取部42の周面にバックシート28Cとして巻取られる。この巻取が進むと、バックシート28Bの弛みが無くなり、ガイド部材30の曲面部30Bと巻取部42との間においてバックシート28Bに張力が生じる。この状態において、移動手段70により、巻取部42を回転させバックシート20Bを巻取ながら巻取部42が剥離方向に移動される共に、ガイド部材30が剥離方向と一致する矢印A方向に移動される。このとき、ガイド部材30の曲面部30Bでは、バックシート28Bに食込むことが無く、バックシート28Bが滑らかに這って移動する。
【0055】
一方、バックシート28が剥離されている際には、バックシート28Aの剥離直前の表面が曲面部30Bにより押えられると共に、シート押え手段60のシート押え部62、64により押さえられている。また、バックシート28Aの剥離直後の封止材26の表面26Aが封止材押え手段50の封止材押え部52、54により押さえられている。
【0056】
そして、太陽電池モジュール20の剥離方向の最前端のバックシート28Aがすべて剥離されると、バックシート28の剥離工程が終了する。この後、不具合のある太陽電池セル24が良品の太陽電池セル24に交換され、封止材26により封止されると、この封止材26の表面26Aに新たにバックシート28が接着される。
【0057】
以下、図5に示される実施例を用いて更に本考案の具体例を説明する。なお、本考案は、その主旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜実施例7)
上記太陽電池モジュールの製造装置10において、バックシート28の剥離角度θの最適値が実証された。実施例1〜実施例7では、剥離箇所Pとガイド部材30の曲面部30Bとの距離が実質的に0(バックシート28の厚さのみ)、剥離箇所Pと封止材押え部52、54との距離が50mm、曲面部30Bの曲率半径Rが1.5mm、ホットプレート14を用いた加熱温度(剥離温度)が150度に設定された。
【0058】
実施例1では剥離角度θが180度、実施例2では170度、実施例3では155度、実施例4では140度、実施例5では125度、実施例6では110度、実施例7では90度にそれぞれ設定された。剥離手段40の巻取部42により生じる張力に関して、評価結果はA〜Dの4段階である。結果Aは容易に剥離できる。結果Bは剥離できる。結果Cは剥離が困難である。結果Dは剥離が非常に困難又は不可能である。実施例1〜実施例4は結果Aを得た。実施例5〜実施例7は結果Bを得た。
【0059】
太陽電池セル24の割れに関して、評価結果はA〜Cの3段階である。結果Aは割れない。結果Bは透光性基板22が撓む。結果Cは割れる。実施例1〜実施例7は結果Aを得た。
【0060】
接着層(封止材易接着層)の転移に関して、評価結果は2段階である。結果Aは接着層が転移しない。結果Bは接着層が転移する。実施例2〜実施例7は結果Aを得たが、実施例1は結果Bであった。
【0061】
従って、剥離角度θが90度〜170度の範囲内、更に好ましくは140度〜170度の範囲内に設定されることにより、バックシート28の剥離力を減少しつつ、太陽電池セル24の割れや接着層の転移を効果的に抑制又は防止することができる。
【0062】
(実施例8〜実施例12)
上記太陽電池モジュールの製造装置10において、剥離箇所Pから封止材押え手段50の封止材押え部52、54までの距離の最適値が実証された。実施例8では距離が50mm、実施例9では20mm、実施例10では100mm、実施例11では200mm、実施例12では300mmにそれぞれ設定された。剥離手段40の巻取部42により生じる張力に関して、実施例8〜実施例12は結果Aを得た。太陽電池セル24の割れに関して、実施例8〜実施例11は結果Aを得たが、実施例12は結果Bであった。接着層の転移に関して、実施例8〜実施例12は結果Aを得た。従って、剥離箇所Pから封止材押え部52、54までの距離は200mm以下、好ましくは50mm以下に設定されることにより、バックシート28の剥離力を減少しつつ、太陽電池セル24の割れや接着層の転移を効果的に抑制又は防止することができる。
【0063】
(実施例13〜実施例18)
上記太陽電池モジュールの製造装置10において、曲面部30Bの曲率半径Rの最適値が実証された。実施例13では曲率半径Rが0.3mm、実施例14では0.5mm、実施例15では1.0mm、実施例16では3.0mm、実施例17では7.0mm、実施例18では9.0mmにそれぞれ設定された。剥離手段40の巻取部42により生じる張力に関して、実施例15及び実施例16は結果Aを得た。実施例14及び実施例17は結果Bを得た。実施例13及び実施例18では結果Cであった。太陽電池セル24の割れに関して、実施例13〜実施例17は結果Aを得たが、実施例18は結果Bであった。接着層の転移に関して、実施例13〜実施例18は結果Aを得た。従って、曲面部30Bの曲率半径Rは0.5mm〜7.0mmの範囲内に設定されることにより、バックシート28の剥離力を減少しつつ、太陽電池セル24の割れや接着層の転移を効果的に抑制又は防止することができる。
【0064】
(実施例19〜実施例25)
上記太陽電池モジュールの製造装置10において、バックシート28の剥離温度の最適値が実証された。実施例19では剥離温度が70度、実施例20では80度、実施例21では90度、実施例22では100度、実施例23では150度、実施例24では160度、実施例25では170度にそれぞれ設定された。剥離手段40の巻取部42により生じる張力に関して、実施例22〜実施例25は結果Aを得た。実施例20および実施例21は結果Bを得た。実施例19では結果Cであった。太陽電池セル24の割れに関して、実施例20〜実施例24は結果Aを得た。実施例19および実施例25は結果Cであった。接着層の転移に関して、実施例19は結果Bを得た。実施例20〜実施例25は結果Aを得た。このため、剥離温度は80度〜160度の範囲内に設定する。換言すれば、封止材26の軟化点温度は約80度のため、剥離温度は軟化点温度から軟化点温度に80度を加算した温度の範囲内に設定する。軟化点温度を超えると、封止材26とバックシート28との接着力は急激に低下する。また、上記剥離温度の上限値を超えると、透光性基板22と封止材26との接着力が低下されてしまう。従って、上記剥離温度に設定されることにより、バックシート28の剥離力を減少しつつ、太陽電池セル24の割れや接着層の転移を効果的に抑制又は防止することができる。
【0065】
(比較例1及び比較例2)
比較例1は、上記特許文献1に開示された剥離方法及び剥離装置を用いて封止材からバックシートを剥離した評価結果である。張力に関して比較例1は結果Bを得た。割れに関して、比較例1は結果Cであり、接着層の転移に関して、比較例1は結果Bであった。
【0066】
比較例2は、封止材からバックシートを手で無理矢理剥離したときの評価結果である。比較例2は、張力に関して結果D、割れに関して結果C、接着層の転移に関して結果Bであった。
【0067】
(第1実施の形態の作用・効果)
【0068】
以上説明したように、第1実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置10では、ベースプレート12に太陽電池モジュール20が載置され、剥離手段40により封止材26からバックシート28が剥離される。移動手段70により剥離手段40と共にガイド部材30を移動方向に移動させると、バックシート28がガイド部材30の曲面部30Bを這って封止材26の表面26Aから連続的に剥離される。
【0069】
ここで、バックシート28はガイド部材30の曲面部30Bに這わせて剥離されているので、バックシート28へのガイド部材30の食込みが無くなり、曲面部30Bでの剥離されたバックシート28の滑りが滑らかになる。このため、バックシート28の剥離に必要とされる張力(剥離力)を減少することができる。また、バックシート28の剥離直前の表面がガイド部材30の曲面部30Bで押付けられている。このため、封止材26とバックシート28との剥離箇所Pの近傍において、透光性基板22からの封止材26及び太陽電池セル24の浮上がりが抑制されているので、バックシート28の剥離に伴う封止材26及び太陽電池セル24に加わる応力を減少することができる。従って、太陽電池モジュールの製造装置10によれば、バックシート28の剥離力を減少しつつ、太陽電池セル24の割れや接着層の転移を効果的に抑制又は防止することができる。
【0070】
また、第1実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置10では、バックシート28の剥離直後の封止材26の表面26Aが封止材押え部52、54により押えられているので、透光性基板22からの封止材26及び太陽電池セル24の浮上がりが抑制されている。このため、バックシート28の剥離に伴う封止材26及び太陽電池セル24に加わる応力を減少することができる。
【0071】
更に、第1実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置10によれば、太陽電池モジュール20の透光性基板22と封止材26との接着力が中間部よりも端部で弱い。この接着力が弱い領域において封止材押え部52、54により封止材26の表面26Aを押えることにより、透光性基板22からの封止材26及び太陽電池セル24の浮上がりが抑制されている。このため、バックシート28の剥離に伴う封止材26及び太陽電池セル24に加わる応力を減少することができる。
【0072】
また、第1実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置10によれば、剥離手段40は巻取部42を備え、この巻取部42によりバックシート28を巻取る構成とされているので、剥離されたバックシート28Bを巻取りながら回収することができる。また、バックシート28Bに剥離に必要な張力を発生させることができる。
【0073】
更に、第1実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置10によれば、剥離角度調整手段により剥離角度θが調整可能とされているので、バックシート28の剥離に必要とされる張力を減少可能な剥離角度θに調整することができる。
【0074】
また、第1実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置10によれば、剥離手段40に対して、ガイド部材30を移動方向に移動させる簡易な構成により剥離角度調整手段を構築することができる。
【0075】
更に、第1実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置10によれば、板体の簡易な部材によりガイド部材30を構築することができる。
【0076】
また、第1実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置10によれば、曲面部30Bの曲率半径Rが0.5mm以上に設定されることにより、曲面部30Bのバックシート28への食込みが無くなるので、この曲面部30Bでのバックシート28の滑りが滑らかになる。一方、曲面部30Bの曲率半径Rが0.7mm以下に設定されることにより、曲面部30Bとバックシート28との接触面積の増加に伴う摩擦力の増加が減少されるので、この曲面部30Bでのバックシート28の滑りが滑らかになる。従って、上記範囲内に曲率半径Rが設定されることにより、封止材26から剥離されたバックシート28に付加される張力を減少することができる。
【0077】
更に、第1実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置10によれば、バックシート28の剥離角度θが90度〜170度の範囲内に調整されているので、封止材26から剥離されたバックシート28に付加される張力を減少することができる。仮に、バックシート28側に封止材易接着層が設けられ、封止材26の表面26Aに封止材易接着層を介してバックシート28が接着されている場合には、バックシート28側から封止材26側への剥離に伴う封止材易接着層の転移を効果的に抑制又は防止することができる。
【0078】
また、第1実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置10によれば、ホットプレート14により軟化点温度以上に封止材26を加熱すると、封止材26とバックシート28との接着力が低下するので、封止材26からバックシート28が剥離し易くなる。一方、軟化点温度に80度を加算した温度以下に封止材26の加熱温度を調整することにより、バックシート28の剥離のときに、透光性基板22からの封止材26の浮上がり若しくは剥離を効果的に抑制又は防止することができる。
【0079】
[第2実施の形態]
本考案の第2実施の形態は、第1実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置10において、剥離角度調整手段の構成を代えた例を説明するものである。前述の図4に示されるように、第2実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置10では、剥離角度調整手段が、ガイド部材30に対して、剥離手段40を矢印E方向で示す剥離方向(移動方向)に移動させて剥離角度θを調整している。また、離角度調整手段が、ガイド部材30に対して、剥離手段40を矢印F方向で示す上下方向に移動させて剥離角度θを調整している。剥離手段40の移動には、ガイド部材移動機構32と同様の移動機構を使用することができる。
【0080】
第2実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置10によれば、ガイド部材30に対して、剥離手段40を移動方向又は上下方向に移動させる簡易な構成により剥離角度調整手段を構築することができる。
【0081】
[第3実施の形態]
本考案の第3実施の形態は、第1実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置10において、剥離角度調整手段の構成を代えた例を説明するものである。図6に示されるように、第3実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置10では、剥離角度調整手段が、ガイド部材30と剥離手段40との間に配置されると共に剥離されたバックシート28Bに接触する角度調整部材34と、この角度調整部材34を移動方向又は上下方向に移動させる調整部材移動機構36とを備えている。調整部材移動機構36により角度調整部材34を移動させて剥離角度θを調整することができる。
【0082】
第3実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造装置10によれば、バックシート28Bに接触する角度調整部材34と、この角度調整部材34を移動させる調整部材移動機構36とを備えた簡易な構成により剥離角度調整手段を構築することができる。
【0083】
(その他の実施の形態)
以上、本考案を複数の実施の形態並びに実施例を用いて説明したが、本考案は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、本考案は、バックシート28の剥離工程の前段工程として、バックシート28の周縁から数mm〜数cm程度内側に切込みを予め形成することにより、バックシート28を剥離した際に封止材26の浮上がりをし難くすることができる。
【0084】
10 太陽電池モジュールの製造装置
12 ベースプレート
14 ホットプレート
20 太陽電池モジュール
22 透光性基板
24 太陽電池セル
26 封止材
26A 表面
28、28A、28B、28C バックシート
30 ガイド部材
30B 曲面部
32 ガイド部材移動機構
34 角度調整部材
36 調整部材移動機構
40 剥離手段
42 巻取部
50 封止材押え手段
52、54 封止材押え部
60 シート押え手段
62、64 シート押え部
70 移動手段
72 枠部

(57)【要約】

【課題】バックシートの剥離力を減少しつつ、太陽電池セルの割れや接着層の転移を効果的に抑制又は防止することができる太陽電池モジュールの製造装置を提供する。【解決手段】太陽電池モジュールの製造装置は、ベースプレートの上方に設けられ、ベースプレートと相対移動して封止材26からバックシート28を剥離させる剥離手段40と、バックシート28の表面を押付ける曲面部30Bを有し、この曲面部30Bに這わせてバックシート28を剥離させるガイド部材30と、剥離手段40の移動方向にガイド部材30を移動させる移動手段と、を備えている。


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