(54)【考案の名称】プッシュスイッチ

(73)【実用新案権者】アルプス電気株式会社

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図4

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、小型化した場合においても操作性のよいプッシュスイッチに関する。

【従来の技術】

【0002】
電子機器に組み込まれるスイッチとして、軟質弾性体で形成された操作体を押圧して柔らかな感触とスイッチング動作に伴うクリック感とを有する操作感触のプッシュスイッチが知られている。
【0003】
このようなプッシュスイッチは、ドーム状の板バネを使用し、押圧された操作体によってドーム状の頂点部分が反転するように変形してクリック感を生じるとともに、板バネに常時接続された接点と、板バネが反転したときに接触する接点との接点間が導通する。金属板から形成されたドーム状の板バネのクリック感に対して、操作体の材料に軟質弾性体を用いることで柔らかな感触を付加しているので、好ましい操作感触が得られる。さらに、操作体に鍔部を設けてケースの上面を覆うことにより、ケース内に収納された接点等を保護することができる。
【0004】
このようなプッシュスイッチ(プッシュオンスイッチ)が特許文献1に開示されている。図10は、従来のプッシュオンスイッチ100を示す断面図である。図11は、プッシュオンスイッチ100における弾性体(操作体)114の部分断面を示す斜視図である。プッシュオンスイッチ100は、凹部底面に固定接点112を備えた絶縁樹脂製のケース111と、ドーム状に形成された可動接点113と、押圧操作により上下動作する弾性体114と、ケース111に取り付けられたカバー116とを有する。図10及び図11に示すように、弾性体114は、可動接点113の上方位置に位置する操作部114aと、薄肉状の円錐状部114b及び水平部114cと、水平部114cに連結された筒状の周囲部114dと、が形成されている。可動接点113の径とほぼ同一径の筒状に構成された弾性体114の周囲部114dは、その下端が可動接点113の周縁部上に接している。さらに、周囲部114dの外周部分には、掛け止め部114eが一体形成されており、ケース111の凹部を構成する外周壁の上端部111aに掛け止めされている。
【0005】

【効果】

【0016】
本考案によれば、操作部が下方に押圧されたときには、延出部が可動接点体の上面に接する前に可動接点体と固定接点部とが接触するので、スイッチング動作における操作感触に影響することがない。さらに、操作部が斜めに押圧されたときには、延出部が収容部の側壁や可動接点体の上面に接触し、延出部が無い場合に比べて操作体の傾きを軽減するので、鍔部が下方に引き込まれて外れてしまうことがない。これにより、掛け止め部を持たず、鍔部の寸法を小さくするように小型化したプッシュスイッチにおいても、好ましい操作感触と信頼性とを両立させることができる。したがって、小型化した場合においても操作性のよいプッシュスイッチを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本考案の実施形態のプッシュスイッチを示す斜視図である。
【図2】本考案の実施形態のプッシュスイッチを示す斜視分解図である。
【図3】本考案の実施形態のプッシュスイッチを説明するための平面図である。
【図4】図3のIV−IV線で切断した断面図である。
【図5】本考案の実施形態の操作体を説明するための斜視図である。
【図6】図5の操作体を別の方向から見たときの斜視図である。
【図7】本考案の実施形態のプッシュスイッチの動作を説明する模式図であり、(a)は初期状態を示す模式断面図、(b)は押圧状態を示す模式断面図である。
【図8】本考案の実施形態のプッシュスイッチの動作を説明する模式図であり、(a)は初期状態を示す模式断面図、(b)は偏った押圧状態を示す模式断面図である。
【図9】本考案の実施形態のプッシュスイッチの動作を説明する模式図であり、(a)は初期状態を示す模式断面図、(b)は過剰押圧状態を示す模式断面図である。
【図10】従来のプッシュオンスイッチを示す断面図である。
【図11】従来のプッシュオンスイッチにおける弾性体の部分断面を示す斜視図である。

【0018】
以下、本考案の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本考案の実施形態のプッシュスイッチ1を示す斜視図である。図2は、本実施形態のプッシュスイッチ1を示す分解斜視図である。図3は、本実施形態のプッシュスイッチ1を説明するための平面図である。図4は、図3のIV−IV線で切断したプッシュスイッチ1の断面図である。図5は、本実施形態のプッシュスイッチ1の操作体5を説明するための斜視図である。図6は、操作体5を斜め下の方向から見たときの斜視図である。
【0020】
図1及び図2を参照して、プッシュスイッチ1の全体構成について説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態のプッシュスイッチ1は、固定接点部20及び周辺固定接点部22が設けられたケース30に、可動接点体10と操作体5とが収容され、さらに、カバー体40が装着されている。カバー体40は、ケース30との間に操作体5の鍔部5cを挟持するようにケース30に取り付けられ、操作体5の操作部5aを突出させるための円形の開口を有している。
【0021】
本実施形態のプッシュスイッチ1は、電子機器等に組み込まれて操作スイッチとして使用されるものであり、操作体5の押圧操作に伴う可動接点体10の反転動作により発生するクリック感を操作感触として得られるようになっている。また、図示しない回路基板に接続するために、ケース30のZ2側には電気接続用の第1端子25、第2端子26、及び第3端子27が設けられている。
【0022】
以下、本明細書では、図中のZ1側を上方、Z2側を下方として説明する。なお、本実施形態のプッシュスイッチ1は、回路基板の端面に半田付けしやすい形状であり、Y1−Y2軸が回路基板面に直交する向きに取り付けられて半田付けされることが好ましい。しかしながら、これらのことによって、使用時の向きが限定されるものでないことは言うまでもない。
【0023】
ケース30は、合成樹脂により一面が開放された箱型に形成され、内部に可動接点体10が収容される収容部31を有している。収容部31の側壁32は略円筒形に設けられている。
【0024】
固定接点部20及び周辺固定接点部22は、導電性のある金属板により形成され、インサート成形等により収容部31の底面(ケース30の内底面)に配設されている。固定接点部20は、収容部31の底面の中央部分に配設され、中央固定接点部とも呼ばれる。周辺固定接点部22は、側壁32に沿って配設されている。固定接点部20は、収容部31の底面からZ1側に突出した3個の接点部分を有し、3個の接点部分によって円形の外形をなしている。周辺固定接点部22は、収容部31の底面からZ1側に突出した2個の接点部分を有し、それぞれの接点部分が略矩形状の外形をなしている。周辺固定接点部22の2個の接点部分は、固定接点部20を挟んで対向する位置に配置されている。固定接点部20は第2端子26に接続され、周辺固定接点部22は第1端子25及び第3端子27に接続されている。
【0025】
可動接点体10は、導電性のある金属板、例えば、リン青銅板によりドーム状に形成されている。可動接点体10は、膨出方向をZ1側に向けて周辺固定接点部22上に載置され、その中央部分の裏面が固定接点部20のZ1側に離間するように配置される。可動接点体10は、ドーム状の頂点部分すなわち可動接点体10の中央部分が反転可能に設けられているので、固定接点部20と接離するように動作可能である。可動接点体10は、周辺固定接点部22と接触しているので、押圧操作による反転動作時に固定接点部20と接触され、固定接点部20と周辺固定接点部22とを導通させるように機能する。
【0026】
カバー体40は、金属板を折り曲げて形成され、中央部分が円形に開口された上板部41と、上板部41の対向する二辺から下向きに折り曲げられた一対の係合板部42とを有している。上板部41は、中央の開口から操作部5aを突出させた状態で操作体5の鍔部5cを上方から押えている。一対の係合板部42がケース30の外壁に係合されることで、カバー体40がケース30に固定され、上板部41とケース30との間に操作体5の鍔部5cが挟持される。
【0027】
操作体5は、エラストマーやシリコンゴム等の軟質弾性材で形成され、収容部31を覆うようにケース30のZ1側の面に配置される。操作体5の上面には、中央部分から上方に突出した略円柱状の操作部5aが形成されている。また、操作体5には、鍔部5cが収容部31を覆うように形成されている。操作体5に鍔部5cを設けてケース30のZ1側の面を覆うことにより、可動接点体10が収容された収容部31に異物が入り込むことを防止できる。
【0028】
図4に示すように、操作体5は、カバー体40の上板部41とケース30の上面との間に鍔部5cが挟持される一方、中央部分からZ2側に突出した略円柱状の押圧部5bが形成されている。押圧部5bは、操作体5がケース30に載置された状態で、可動接点体10の中央部分のZ1側に位置し、図4に示すように可動接点体10の頂点部分にほぼ当接している。
【0029】
操作体5は、鍔部5cと押圧部5bとを連結する連結部5dと、連結部5dから収容部31の側壁32に沿ってZ2側に延出する延出部5eと、を有している。図4及び図5に示すように、Z1−Z2方向の操作部5aの寸法(厚さ寸法)に対して、鍔部5c及び連結部5dは薄肉状である。図4及び図6に示すように、延出部5eは、側壁32の周方向に沿って環状に形成され、延出部5eのZ2側に4個の溝部5fを有している。操作部5aが押圧されていない初期状態において、延出部5eの下端と可動接点体10の上面との間は離れており、図4にその距離をΔZとして示している。
【0030】
次に、図7〜図9を用いて、本実施形態のプッシュスイッチ1の動作を詳細に説明する。図7(a)は初期状態を示す模式断面図、図7(b)は押圧状態を示す模式断面図である。図8(a)は、図7(a)と同じ初期状態を示す模式断面図、図8(b)は偏った押圧状態を示す模式断面図である。図9(a)は、図7(a)及び図8(a)と同じ初期状態を示す模式断面図、図9(b)は過剰押圧状態を示す模式断面図である。
【0031】
図7に示すように、操作体5は、可動接点体10を固定接点部20に接触させるようにZ2側に向けて押圧操作される。操作部5aの押圧操作により押圧部5bを介して可動接点体10に反転動作させる。操作体5の押圧部5bの移動量ΔHは、可動接点体10の頂点部分と押圧部5bとが当接するまでの距離に、可動接点体10の中央部分と固定接点部20との接点間距離Dを加えた距離である。初期状態において、延出部5eは、その下端が可動接点体10の上面から操作体5の移動量ΔH以上離れた位置に配置され、延出部5eの下端と可動接点体10の上面との距離ΔZは、操作体5の移動量ΔHよりも大きい。このため、通常の押圧状態では、図7(b)に示すように、延出部5eの下端と可動接点体10の上面とが当接することはない。
【0032】
もし、反転動作の前に操作体5と可動接点体10の中央部分以外の周辺部分とが当接してしまうと、反転動作時の操作感触に影響してしまう。本実施形態の操作体5では、操作部5aが初期状態から反転動作まで押圧操作されても、延出部5eの下端と可動接点体10の周辺部分とが当接することはない。このため、反転動作時の操作感触に影響することがない。一方、操作部5aが押圧されていない初期状態において、操作体5の押圧部5bと可動接点体10の頂点部分とが当接していても、わずかに隙間を有していても、可動接点体10の反転動作時に感じる操作感触は変わらない。したがって、ドーム状の可動接点体10の反転動作によるクリック感と、弾性体からなる操作体5の柔らかな感触とにより、良好な操作感触を実現している。なお、初期状態において押圧部5bと可動接点体10の頂点部分とが当接しているときには、図7(a)に示す可動接点体10の中央部分と固定接点部20との接点間距離Dは、図7(b)に示す操作体5の押圧部5bの移動量ΔHとほぼ等しい。このとき、操作体5の操作部5aの移動量ΔH’も押圧部5bの移動量ΔHとほぼ等しい。
【0033】
通常とは異なる偏った押圧状態では、部分的に強く押圧されてしまい、例えば図8(b)に示すように、鍔部5cがY1側でZ2側に引き込まれる。このとき、Y2側で延出部5eが側壁32に当接し、Y1側で延出部5eの下端が可動接点体10の上面に当接して、これ以上は操作体5が傾かないように反発して、延出部5eが無い場合に比べて操作体5の傾きを軽減できる。このため、通常は延出部5eが可動接点体10に接することがなく、斜めに偏って操作部5aが押圧されたときには延出部5eが側壁32や可動接点体10の上面に接触し、鍔部5cがさらにZ2側に引き込まれることを防止する。これにより、鍔部5cの寸法を小さくするように小型化したプッシュスイッチ1においても、好ましい操作感触と信頼性とを両立させることができる。したがって、小型化した場合においても操作性のよいプッシュスイッチ1を提供できる。
【0034】
延出部5eは、側壁32の周方向に沿って環状に形成されているので、図8(b)とは異なる向きに偏った押圧状態でも、図8(b)と同様に、操作感触に影響することなく、操作体5の傾きを軽減し、鍔部5cが外れることがない。したがって、操作体5をどの方向に傾けた場合においても、好ましい操作感触と信頼性とを両立させることができる。
【0035】
通常とは異なる過剰押圧状態では、全体的に強く押圧されてしまい、図9(b)に示すように鍔部5cがZ2側に引き込まれる。このように強く押圧されたときには、延出部5eの下端が可動接点体10の上面に当接して、鍔部5cがこれ以上Z2側に引き込まれることを防止する。なお、このときは、操作体5の押圧部5bの移動量ΔHは変わらないが、操作体5は全体的に弾性変形するため、操作体5の操作部5aの移動量ΔMは押圧部5bの移動量ΔHよりも大きい。操作体5が軟質弾性材で形成されているのでプッシュスイッチ1は過剰押圧に対しての過負荷耐性を有している、と言い換えることもできる。
【0036】
このとき、図9(b)に示すように、延出部5eの下端が可動接点体10の上面に当接するが、図6に示すように、延出部5eの下端(Z2側)に4個の溝部5fを有しているので、溝部5fの位置では可動接点体10と密着することがない。これにより、過剰押圧状態になったとしても、操作体5と可動接点体10との間が非密閉空間であるため、操作体5が可動接点体10を吸着して引き上げてしまう不具合を低減することができる。
【0037】
溝部5fは1個でも上記の効果を奏する。また、延出部5eは複数の溝部5fの位置で分割された複数の円弧を組み合せて環状をなしたものであってもよい。このとき、仮想の円筒のほとんどを溝部5fが占めていても、それ以外の延出部5eの部分だけで、鍔部5cが外れないように操作体5の傾きを軽減する効果を奏するように配置することも可能である。さらに、本実施形態では、平面視で略矩形のケース30に対して、ケース30の角部に対応する位置に溝部5fを形成しているが、これに限定されるものではない。
【0038】
また、ケース30の収容部31及び操作体5の延出部5eは円筒状に限定されず、例えば、平面視で楕円形状や略矩形の形状であってもよい。いずれの形状においても、収容部31の周方向に沿って、わずかに外形の小さい延出部5eの形状であることが好ましい。
【0039】
本実施形態では、操作体5の連結部5dと鍔部5cが同一平面でない形状としたが、鍔部5cに向かって平面状の連結部5dであってもよい。この場合は、連結部5dからZ2側に延出する延出部5eを長くするとともに、少し厚みを増やしておくことが有効である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本考案のプッシュスイッチは、電子機器や車載装置に組み込まれて操作スイッチとして利用することができる。
【0041】
1 プッシュスイッチ
5 操作体
5a 操作部
5b 押圧部
5c 鍔部
5d 連結部
5e 延出部
5f 溝部
10 可動接点体
20 固定接点部
22 周辺固定接点部
25 第1端子
26 第2端子
27 第3端子
30 ケース
31 収容部
32 側壁
40 カバー体
41 上板部
42 係合板部


(57)【要約】

【課題】小型化した場合においても操作性のよいプッシュスイッチを提供する。【解決手段】プッシュスイッチ1は、固定接点部20を有し、固定接点部20と接離する可動接点体10が収容される収容部31を有するケース30と、可動接点体10を固定接点部20に接触させるように下方に向けて押圧操作される操作部5aを有する操作体5と、ケース30との間に操作体5を挟持するようにケース30に取り付けられるカバー体40と、を備える。操作体5は、弾性体からなり、操作部5aと、ケース30とカバー体40とにより挟まれる鍔部5cと、可動接点体10を押圧する押圧部5bと、鍔部5cと押圧部5bとを連結する連結部5dと、連結部5dから収容部31の側壁32に沿って下方に延出する延出部5eと、を有し、初期状態において、延出部5eは、その下端が可動接点体10の上面から離れた位置に配置されている。


【パテントレビュー】

あなたの意見を伝えましょう:


【インターネット特許番号リンク】

インターネット上にあるこの特許番号にリンクします(発見しだい自動作成):