(54)【考案の名称】給電システム

(73)【実用新案権者】グローバル・リンク株式会社

(72)【考案者】【考案者】

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【選択図】図2

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、蓄電池に蓄えた太陽電池の発電電力および商用電源からの供給電力を利用して負荷に高圧給電する給電システムに関するものである。

【従来の技術】

【0002】
従来から、太陽電池の発電電力を使用することで商用電源からの商用電力の使用量を削減するとともに、商用電源の供給が停止した場合に、引き続きこの商用電源の供給停止直前までに蓄電池に蓄電しておいた電力を負荷に供給可能にする給電システムが広く提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】

【効果】

【0008】
本考案によれば、太陽電池の発電電力および商用電源の供給電力を蓄電した蓄電池の出力電力にもとづき発電機を高速運転できるので、その発電機が誘起する高電圧を高電圧負荷に対し供給することで、この高電圧負荷の運転を容易に可能にする。
【0009】
以上、本考案について簡潔に説明した。更に、以下に説明される考案を実施するための最良の形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本考案の実施形態による給電システムを概念的に示すブロック図である。
【図2】図1に示す給電システムの具体例を示すブロック図である。

【0011】
以下、本考案の一実施の形態にかかる給電システムを、図1および図2を参照して説明する。
【0012】
図1に示す本実施形態の給電システムは、太陽電池11と、商用電源(商用電力系統)12と、蓄電池13と、モータ14と、変速機15と、発電機16と、を備えて構成される。これらのうち太陽電池11は、太陽の光エネルギを直接電力に変換するものであり、今日では再生エネルギとして広く実用化されている。この太陽電池(セル)11は必要なレベルの電圧が得られるように、複数枚が直列または並列に接続(連設)されてモジュール化され、さらに強化ガラスにより覆うなどして太陽電池パネルとなっている。
【0013】
また、商用電源12は電力会社から電力需用家への電力の供給源であり、日本では50Hzおよび60Hzの2系統で、供給電圧はAC100ボルトである。蓄電池13は直流電力を蓄える電池であり、太陽光や風力等によって発生した電力を蓄えて、負荷に供給する。自然エネルギである太陽光や風力等を利用して得られる電力は一般的に不安定であり、常に一定値ではない。しかし、その不安定な電力を蓄電池13に一旦蓄電することにより、この蓄電池13によって平滑化および安定化された電力を出力させることができる。また、蓄電池13はいつでも何処でも電力を取り出して使用することができ、特に緊急時の電源として極めて有用である。
【0014】
モータ14は交流モータで、このモータ14の出力軸には変速機15を介して発電機16の駆動軸が連係されている。変速機15は複数個のギヤを組み合わせたものからなり、モータ14の回転数をギヤ比に応じた回転数に変換して発電機16に伝える。ここで使用する変速機15として、ギヤ比が調整可能または調整不可能な構成のものを任意に選んで用いることができる。なお、本実施形態では変速機15のギヤ比が、例えば10対1とした場合には、モータ14の回転数に比べて発電機16の回転数を10倍速く回転(高速回転)させることができる。従って、発電機16はその回転数相当レベルの高電圧を発生する。
【0015】
図2は、図1に示す給電システムの詳細を示し、前記太陽電池11は分配器17を介してインバータ18に接続されている。また、このインバータ18は分電盤19を介して商用電源12に接続されている。これらのうち分配器17は、太陽電池11の発電電力を前記インバータ18へ供給するとともに、蓄電池13の充電回路へも供給する。
【0016】
インバータ18は分配器17を通じて入力された直流電力を商用周波数の交流電力に変換する。分電盤19はインバータ18で得られた交流電力および蓄電池13の放電電力を後述のインバータ25で交流変換した交流電力を、商用電源(商用電力系統)12からの商用電力に重畳させるように機能する。
【0017】
前記分配器17にはスイッチ21を介して充電器20が接続され、この充電器20に前記蓄電池13が接続されている。充電器20はスイッチ21が閉じられている場合に、太陽電池11の発電電力を分配器17を通じて蓄電池13に供給し、これを充電するように機能する。
【0018】
インバータ18と分電盤19とを結ぶ交流線路24の途中には、スイッチ22を介して整流器23が接続され、この整流器23はさらに充電器20に接続されている。整流器23はスイッチ22が閉じられたとき、前記インバータ18の交流出力電力や商用電源からの交流電力を整流するものであり、この整流による直流出力電力を充電器20が蓄電池13に蓄電可能にしている。
【0019】
また、この蓄電池13にはインバータ25が接続され、このインバータ25はスイッチ26を介して前記交流線路24に接続されている。これにより、スイッチ26が閉じられることで、蓄電池13に前述のように蓄電された電力は放電されてインバータ25に入力され、このインバータ25は放電電力を交流変換し、この交流変換された電力を交流線路24に供給可能にしている。
【0020】
前記交流線路24にはモータ(交流モータ)14が接続され、このモータ14の出力軸には変速機15の入力軸が連結されている。そして、この変速機15の出力軸には発電機(交流発電機または直流発電機)16の駆動軸が連結されている。これによりモータ14の回転が変速機15の所定のギヤ比に従って高められ、発電機16はモータ14の回転数に比べて高い所定の回転速度で運転される。従って、発電機16はその速度に応じた高レベルの電圧を出力する。
【0021】
かかる構成になる給電システムでは、日照時に太陽電池11の発電電力が分配器17を通じてインバータ18に入力され、インバータ18で交流変換された交流電力が交流線路24で商用電源12からの交流電力と合わせてモータ14に供給される。この場合において、スイッチ21が閉じられている場合には、太陽電池11の発電電力は分配器17を介して充電器20に供給され、充電器20はその分配電力(直流電力)を蓄電器13に蓄電させる。
【0022】
一方、日中、夜間を問わず商用電源12からの交流電力は分電盤19および交流線路24に供給されている。ここで、スイッチ22が閉じられると、この交流線路24上の交流電力は整流器23に入力されて直流電力に変換され、この直流電力を充電器20が蓄電池13に蓄電する。従って、蓄電池13は太陽電池11の発電電力のみでなく、商用電源12からの交流電力をも蓄電する。なお、スイッチ21が開かれた場合には、商用電源12からの交流電力のみが蓄電池13に蓄電される。
【0023】
かかる蓄電池13の充電作業中においても、モータ14は交流線路24を通じて交流電力を受けて回転し、この回転が変速機15を介して発電機16に伝えられる。このためこの発電機16は変速機15において設定された所定のギヤ比に対応する速度にて運転され、その運転速度に応じた所定レベルの交流電力または直流電力を発生する。
【0024】
また、周辺が暗くなるタイミング例えば夜間において、太陽電池11が電力を発生しない場合、或いは商用電源12からの電力供給が遮断された場合(停電した場合)には、交流線路24上の交流電圧電力レベルが零に低下する。従って、モータ14の駆動電力が得られず、モータ14による発電機16の駆動が行なえなくなる。この場合には、前記スイッチ21、22を開いた状態で、スイッチ26を閉じる。これにより蓄電池13はインバータ25に対し放電を開始し、このインバータ25は蓄電池13が放出する直流電力を前記商用電源12の周波数、位相に一致した交流電力に変換し、交流線路24に供給する。このためこの交流線路24に接続された前記モータ14が駆動され、このモータ14の駆動トルクが変速機15に伝えられる。
【0025】
前記変速機15はギヤ比が任意に設定可能になっており、通常のギヤ比に比べて十分大きい値に設定されている。このため、発電機16はそのギヤ比に応じてモータ14の回転数より十分に高い速度で回転する。この結果、発電機16は高電圧出力状態となり、高電圧負荷の運転が可能になる。つまり、蓄電器13の放電電力のみを電源として、種々の高電圧負荷を運転することができる。
【0026】
なお、変速機15自体が前述のようなギヤ比の設定手段を持たない場合には、所定の発電機回転数、つまり所定の発電電力が得られるギヤ比の変速機15を用意して、これをモータ14および発電機16間に連結する。これにより前記ギヤ比に従って、所期の速度にて発電機16を高速運転することができる。または、変速機15を省いてモータ14と発電機16を直接連結してもよい。
【0027】
以上のように、本実施形態による給電システムは、太陽電池11の発電電力および商用電源12からの供給電力を蓄電池13に蓄電し、この蓄電池13に蓄電された充電電力を電源としてモータ14を駆動し、このモータ14に変速機15を介して発電機16を連結して、この発電機16から前記変速機15のギヤ比に応じた高電圧を取り出して負荷に供給可能にした構成である。
【0028】
従って、この構成によれば、日照時に蓄電池13に蓄電した太陽電池11の発電電力および夜間等に商用電源12から蓄電池13に蓄電した供給電力を用いて、モータ14を駆動し、このモータ14の回転を変速機15を介して発電機16に伝えることにより、この発電機16を変速機15のギヤ比に応じた任意の高速度で運転することができる。従って、この発電機16にその高速回転に応じたレベルの高電圧を出力させることができ、以ってこの高電圧出力により高電圧負荷の運転を簡単に実現できることとなる。
【0029】
11 太陽電地
12 商用電源(系統)
13 蓄電池
14 モータ
15 変速機
16 発電機
17 分配器
18、25 インバータ
19 分電盤
20 充電器
21、22、26、28 スイッチ
23 整流器
24 交流線路

(57)【要約】

【課題】蓄電池の発電電力で高電圧負荷を容易に駆動可能にする給電システムを提供する。【解決手段】太陽電池11の発電電力および商用電源12からの供給電力を蓄電池13に蓄電し、この蓄電池13に蓄電された充電電力を電源としてモータ14を駆動し、このモータ14に変速機15を介して発電機16を連結して、この発電機16から前記変速機のギヤ比に応じた高電圧を取り出して負荷に供給可能にする構成である。


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