(54)【考案の名称】食品包装体

(73)【実用新案権者】アイワ工業株式会社

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
この考案は、調理パンや菓子パンなど略三角形の食品を包装するためのプラスチックフィルム製の食品包装体に関し、特にチーズケーキなどのように厚さが小さい食品に適した食品包装体に関する。

【従来の技術】

【0002】
調理パンや菓子パンなど略三角形の食品の包装体として、例えば特許文献1などには、プラスチックフィルム製の食品包装体が記載されている。このような食品包装体は2枚の概ね等脚台形状のプラスチックシートを溶着などによって接続し、袋体として形成される。
【0003】
このような従来の食品包装体は、2枚のプラスチックフィルムを重ね合わせ、脚台形状の斜辺および上辺に沿って溶断して製造されるのが通常である。溶断により、2枚のプラスチックシートは接続される。こうして、下辺部が開口した袋体が形成される。そして、一方のプラスチックフィルムの中心線に沿ってカットテープなど開封補助帯が設けられる。さらに、袋体の上に外縁部が設けられ、この外縁部には切り込みが設けられている。
【0004】
この袋体の中に三角形の食品を入れ、プラスチックシートの開口部を折り畳み、封止する。このとき、カットテープは三角柱状の食品の側面に沿って表れる。外縁部の切り込みよりフィルムの破断を開始し、さらにカットテープにより開封する。
【0005】

【効果】

【0010】
この考案の食品包装体は、広い開封補助帯を設けることができ、広い開封口から容易に中の食品を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】食品包装体を示す平面図である。
【図2】食品包装体の使用状態を示す斜視図である。
【図3】食品包装体の製造方法を示す平面図である。

【0012】
この考案を実施するための形態について図面に基づいて説明する。図1は食品包装体を示す平面図である。この考案の食品包装体1は、2枚のプラスチックシートを重ね合わせて形成されている。等脚台形の食品収容部2と、食品収容部2の上に設けられる頭頂部3を有する。食品収容部2から頭頂部3に渡って、中心線に沿って開封補助帯4が設けられており、頭頂部3の上縁部には開封補助帯4の幅の外側に切り込み部5が設けられている。そして、頭頂部3は下から上に向いて幅が広がる形状である。特にこの例では、頭頂部3は等脚台形であり、その側辺は角度θの傾斜を有する。
【0013】
この食品包装体1を構成する2枚のプラスチックシートは、透明または半透明のものであり、加熱することによりシート同士を接着できるような熱溶着性のものが好ましい。
【0014】
食品収容部2の主要部は実質的に等脚台形である。上辺部6には熱溶着などによる封止帯7が設けられ、また、側辺部8も溶断などにより閉じられている。一方、下辺部9は閉じられていない。そして、この食品収容部2は上辺側6が下辺側7より狭い等脚台形である。
【0015】
この例では、食品収容部2の下に底面形成部10が設けられている。この底面形成部10は、下から上に向いて幅が広がる等脚台形のリブである。そして、その側辺の傾斜角は頭頂部3の側辺の傾斜角θと同じである。また、頭頂部3と面形成部10の高さも同じである。底面形成部10の下辺部は開口している。
【0016】
特許文献1など従来の三角形の食品の包装体に比べ、本考案の食品収容部2は広い幅W1の開封補助帯4を有する。食品収容部2の上辺部6の幅W2の70%以上の幅W1にすることができる。例えば、上辺部6の幅W2を32mm、開封補助帯4の幅W1を25mmとし、W1をW2の8割程度することができる。このような幅の広い開封補助帯4は一体で形成するほか、複数のカットテープを平行に設けることによって形成してもよい。
【0017】
頭頂部3の上縁部には一対の切り込み部5が設けられているが、その間隔はW3である。この間隔W3は開封補助帯4の幅W1より広く、食品収容部2の上辺部6の幅W2よりは狭い。本例では間隔W3は32mmである。この場合、特許文献の図7のように長方形の頭頂部であれば、側端から1mmしか離れておらず、このような位置に切り込み部を設けることはできない。ましてや、同文献の図1に示すような上側が狭くなる形状の頭頂部では、極めて細い開封補助帯しか使用できない。しかし、この考案では頭頂部3の上縁は広くなっており、たとえばその幅W4は本例では52mmである。したがって、このような位置でも側端から十分な距離があるので、簡単に切り込み部を形成することができる。
【0018】
この食品包装体を使用した包装方法について説明する。図2は食品包装体の使用状態を示す斜視図である。食品包装体1の下側の口部を開け、食品xを挿入する。比較的薄い三角柱状の食品に対しても適用することができる。ここで、食品は二等辺三角形の底面を有するものが適している。また、完全な二等辺三角形の外、これに近い外観を有する扇形の底面でもよい。食品xの側面(厚さ方向の面)が食品収容部2の中心部に向くようにする。そして、口部を折り畳んで封をして、粘着テープなどで止める。こうして、図2に示すような包装状態になる。このような上広がりの頭頂部3を有する食品包装体はこれまでになく、包装状態も新規な外観を有する。
【0019】
ついで、この食品包装体の開封について説明する。頭頂部2の上縁部中央を指でつまみ、下に向いて引けば、切り込み部5より破断が始まる。そして、開封補助帯4が頭頂部3および食品収容部2から引きはがされ、食品包装体1が開封される。
【0020】
開封補助帯4は幅が広いので、食品xの側面がほとんど露出するほど大きな開口が形成される。こうして形成された広い開口部より簡単に食品xを取り出すことができる。レアチーズケーキのようなやわらかい食品であっても、つぶれたり、形を崩したりすることなく取出すことができる。
【0021】
さらに、この食品包装体の製造方法の例について説明する。図3は食品包装体の製造方法を示す平面図である。この例の製造方法では、食品包装体の縦方向の長さと同じ寸法の幅を有するプラスチックシート原反yを2枚重ねにしたものを使用する。2枚のプラスチックシート原反の内の一方には、予めカットテープなどにより開封補助帯4が一定間隔で設けられている。
【0022】
この2枚重ねのプラスチックシート原反yは図3において右から左へと流れる。このプラスチックシート原反yを切断線z1,z2に沿って切断することにより、一つの食品包装体の原型が切り出される。ここで、図3の右側の切断線z2に着目すると、この切断は一つの食品包装体1aの右側の外形を形成するとともに、次の食品包装体1bの左側の外形をも同時に形成する。これは、底面形成部の側辺の傾斜角が頭頂部の側辺の傾斜角と同じであることによる。一つの食品包装体1aの次には上下逆になった次の食品包装体1bが形成される。一つの食品包装体1aの頭頂部3と底面形成部10には、次の食品包装体1bの底面形成部10と頭頂部3が入れ子のように隙間なく隣接することになる。こうして、効率的に食品包装体1の形状を形成していく。また、素材のプラスチックシート原反yを無駄にすることなく、効率的に利用でき、ゴミもほとんど生じない。
【0023】
2つの食品包装体分の距離Lだけプラスチックシート原反yを左に送り、同様の切断をすれば、さらに2枚の食品包装体の原型が切り出される。
【0024】
ここで、溶断による切断を行えば、切断線に沿って上下のプラスチックシートを接続することができる。これにより、食品収容部2の側部を閉じることができ、袋体が形成される。切り出された食品包装体の原型に対し、熱圧着などにより封止部7を形成し、さらに切り込み部5を形成すれば、食品包装体が得られる。
【0025】
以上、この考案の食品包装体によれば食品収容部2の上辺の幅に対して十分広い開封補助帯4を設けることができるので、三角形柱状の食品の側面に沿って広く開口することができる。したがって、食品を簡単に取り出すことができる。また、食品に対して過剰な大きさの食品包装体を作る必要がない。食品にあった大きさに作ることができるので、原材料を無駄にすることがなく、また美しい包装状態を実現できる。この食品包装体は重ね合わせた2枚のプラスチックシート原反から、無駄なく効率的に切り出して製造することができる。
【0026】
1.食品包装体
2.食品収容部
3.頭頂部
4.開封補助帯
5.切り込み部
7.封止部
10.底面形成部
x.食品
y.プラスチックシート原反
z.切断線

(57)【要約】

【課題】三角形柱状の食品を包装する包装体において、大きな取出し口を形成するように開封することができ、食品を容易に取り出すことができるプラスチックシート製の食品包装体を提供する。【解決手段】等脚台形の食品収容部2と、食品収容部2の上に設けられる頭頂部3を有する食品包装体1であり、頭頂部3を下から上に向いて幅が広がる形状にすることにより、食品収容部2に幅の広い開封補助帯4を設けることができ、食品を取り出すのに十分な開口を形成できるようにした。


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