(54)【考案の名称】散水車ホース取り外し金具

(51)【国際特許分類】

E01H 3/02 ・移動式装置,例.散水車

(73)【実用新案権者】西日本高速道路メンテナンス九州株式会社

(72)【考案者】【考案者】

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【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、高速道路や一般道路において、路面上の土砂や黄砂、火山灰等を水で洗い流して路面を洗浄する散水車の付帯器具に関し、詳しくは、散水車の給水タンクに洗浄水を吸い上げる吸水ホースを取り外すための金具に関する。

【従来の技術】

【0002】
散水車は、車両の荷台に給水タンクを備え、移動しながら路面に水を噴射し、土砂等を洗い流す装置である。
特許文献1には、給水タンクに外部貯水槽や河川等から洗浄水を吸い上げるシステムが記載されている。
【0003】
すなわち、給水タンクと吸水ポンプを接続している三方コックを開き、吸水ポンプと吸水ホースを接続している別の三方コックを開き、吸水ホースの先端を貯水槽や河川に浸けて水を汲み上げて給水タンクに供給する構造となっている。
【0004】
車両側には、吸水ホースの基端の口金を接続するワンタッチカプラーが設置されており、吸水ホース使用時には、吸水ホースの基端の口金をワンタッチカプラーに装着することで、吸水ホースと車両側の吸水ポンプ、給水タンクとが接続される。
【0005】
図7は車両に搭載される吸水ホース接続用のワンタッチカプラーの例と、吸水ホース着脱の状態を示す説明図である。
【0006】
図7において、散水車側に設置される受け口12には、ワンタッチカプラー10のベースリング10dがねじ結合される。ワンタッチカプラー10の胴部10aにはフランジ11a付きの押し込みスリーブ11が摺動自在に嵌合されており、胴部10aの先端部には環状段部10bを経て大径部10cが形成されている。
【0007】
一方、吸水ホース20の基端の口金21には、内周面から突出するように、押圧バネ23により押圧された係止爪22が設けられている。
【0008】
給水タンクへの給水を行う際には、図7(a)に示すように、吸水ホース20の基端の口金21をワンタッチカプラー10の先端から装着する。図7(b)に示すように、口金21の係止爪22が大径部10cを通過すると、大径部10cにより一旦引っ込んでいた係止爪22は、押圧バネ23の押圧力で突出し、環状段部10bの所で止まり、吸水ホース20を外側に引っ張っても抜けない状態となる。この状態で散水車側の三方コック(図示せず)を開き、吸水ポンプ(図示せず)を作動させることで、吸水ホースの先端から貯水槽や河川の水を吸い込み、給水タンクに給水を行う。
【0009】
給水が終わったら、図4、図7(c)に示すように押し込みスリーブ11を吸水ホース20側に移動させ、口金21の内周の係止爪22を外側に押し込むことで環状段部10bと係止爪22との係合を解除し、口金21を外側に移動させる。
【0010】
この状態で吸水ホース20を引き抜くと、図7(d)に示すように吸水ホース20はワンタッチカプラー10から外れる。
【0011】

【効果】

【0019】
本考案によれば、吸水ホース基端の口金を接続する散水車側に設置されたワンタッチカプラーのベースリングと押し込みスリーブのフランジとの間に挿入可能な、半円形状の凹部を設けた板状の係合部と、この係合部に傾斜して連設された、前記係合部の長さよりも長い板状のレバー部とを有することにより、吸水後に吸水ホースを安全に、しかも軽い力で容易に取り外すことのできる散水車ホース取り外し金具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本考案の実施の形態に係る散水車ホース取り外し金具を示すものであり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】本考案の実施の形態に係る散水車ホース取り外し金具を差し込んで取り外そうとする状態の説明図である。
【図3】本考案の実施の形態に係る散水車ホース取り外し金具を差し込んで口金を移動させた状態の説明図である。
【図4】押し込みスリーブにより吸水ホースの口金を外そうとしている状態の説明図である。
【図5】ワンタッチカプラーのホースジョイントと口金との実際の接続状態を示す側面図である。
【図6】ハンマーを使用してホースジョイントが変形した状態を示す斜視図である。
【図7】(a)〜(d)は、車両に搭載される吸水ホース接続用のワンタッチカプラーの例と、吸水ホース着脱の状態を示す説明図である。

【0021】
以下、本考案の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る散水車ホース取り外し金具(以下、単に「ホース取り外し金具」と略称することがある。)1は、一枚のステンレス鋼板(例えば、SUS304)で構成され、半円形状の凹部2aを設けた係合部2と、長方形状のレバー部3とが、傾斜角θの傾斜をもって連設されている。本例では、レバー部3の上部に角穴3aが設けられている。この取り外し金具1の厚みtは、5.4mmとして曲がりにくくしている。
【0022】
また、傾斜角θは、本例では28°としている。さらに、係合部2の長さL1は57mm、レバー部3の長さL2は150mm、凹部2aの径rは35mmとしている。
【0023】
一般的には、傾斜角θは25°〜30°とすることで、レバー部3を操作しやすい。25°よりも傾斜角θが小さいと、レバー部3の操作ストロークが小さくなる。30°を超えると、レバー部3を起こす力の方向が上向きになり、操作しにくい。
【0024】
係合部2およびレバー部3を、厚みt=5.0〜6.0mmのステンレス鋼板により構成することで、ホース取り外し金具1が曲がりにくくなる。これより厚みが薄いと、金具が曲がり、永久変形する可能性がある。
なお、これらの数値は一例を示すものであり、これに限定されない。
【0025】
散水車の給水タンクに吸水後、このホース取り外し金具1を使用するときには、図2に示すように、本実施の形態のホース取り外し金具1の先端の係合部2を、ワンタッチカプラー10のベースリング10dと押し込みスリーブ11のフランジ11aとの間に差し込む。このとき、ホース取り外し金具1の係合部2は垂直になり、レバー部3は外側に傾いた状態となっている。
【0026】
次いで、図3に示すようにレバー部3をベースリング10d側に押し込むことにより、レバー部3は垂直方向に立ち上がり、係合部2の下端は梃子作用でベースリング10dと押し込みスリーブ11のフランジ11aとの間を開く方向に移動する。係合部2の長さL1は本例では57mm、レバー部3の長さL2は本例では150mmであるので、およそレバー部3の操作力の2.6倍の力が係合部2に働き、押し込みスリーブ11を口金21側に移動させる。
【0027】
この力により、押し込みスリーブ11は口金21の内部に押し込まれ、係止爪22(図7参照)が外側に押し込まれ、係止爪22と環状段部10bとの係合が外れて、吸水ホース20の口金21はワンタッチカプラー10の接続管から外れる。これにより、吸水ホース20を取り外すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本考案は、吸水後に吸水ホースを安全に、しかも軽い力で容易に取り外すことのできる散水車ホース取り外し金具として、散水車等の重い吸水ホースの取り外し作業に好適に利用することができる。
【0029】
1 散水車ホース取り外し金具(ホース取り外し金具)
2 係合部
2a 凹部
3 レバー部
3a角穴
10 ワンタッチカプラー
10a 胴部
10b 環状段部
10c 大径部
10d ベースリング
11 押し込みスリーブ
11a フランジ
12 散水車受け口
20 吸水ホース
21 口金
22 係止爪
23 押圧バネ

(57)【要約】

【課題】吸水後に吸水ホースを安全に、しかも軽い力で容易に取り外すことのできる散水車ホース取り外し金具を提供する。【解決手段】吸水ホース基端の口金を接続する散水車側に設置されたワンタッチカプラーの胴部に装着可能な半円形状の凹部2aを設けた板状の係合部2と、この係合部2に傾斜して連設された、係合部2の長さよりも長い板状のレバー部3とを有する散水車ホース取り外し金具。ホース取り外し金具1の先端の係合部2を、ワンタッチカプラーのベースリングと押し込みスリーブとの間に差し込んでレバー部3を押しこむことにより、押し込みスリーブを外側に移動させ、吸水ホースとワンタッチカプラーとの係合を解除して吸水ホースを取り外すことができる。


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