【0001】
本考案は、例えば、互いに鉛直方向に積み重ねられて配置された密閉容器同士を連結するような連結構造、及びこの連結構造を備えた密閉容器に関するものである。
【0002】
従来の密閉容器には、上方に開口する開口部が形成された四角い箱状の容器本体と、この容器本体の上端部の上に載せられてその開口部を閉塞する蓋部材と、容器本体の上端部と蓋部材の周縁部とを上下方向から挟み込んでそれらを固結する、4つのL字型の締結部材とを備えた角型の密閉容器があった(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
この従来の密閉容器は、容器本体の上端部と蓋部材の周縁部が、締結部材によって上下方向から加圧されて互いに密着することにより、その容器の内部に密閉された空間が形成されていた。この密閉された空間内には、原子力関連施設において発生した放射性廃棄物、又はその放射性廃棄物が充填されたドラム缶等が収納されていた。
【0004】
そして、上記従来の密閉容器は、ドラム缶に充填された放射性廃棄物から放射線が漏れ出して外気中に拡散したり、放射線を発生する放射性廃棄物自体が外気中に露出したりして環境を汚染することを防止するために、原子力関連施設内の貯蔵庫に保管されるようになっていた。
【0005】
このような従来の角型の密閉容器は、ドラム缶等のような円柱状の密閉容器に比べて、水平方向に複数並べて配置させた際にその相互間に大きな隙間が形成されない構成になっていると共に、鉛直方向に3段位に積み重ねられる構成になっているため、貯蔵庫内の空間を有効に利用することができた。
【0006】
また、このような従来の鉛直方向に3段位に積み重ねられた密閉容器は、地震等の振動により、上方に位置する密閉容器が転倒したり、落下したりすることを防止するために、複数の密閉容器同士が一体となるように、それらの周りに巻掛ベルトが巻き付けられていた。
【0017】
このような本考案の連結構造によれば、
第1長孔部及びこの第1長孔部の一端部に連続して形成され前記第1長孔部の幅寸法より大きい径寸法の円孔部を有し、第1の被連結部品に固定された第1掛受部材と、
第2長孔部及びこの第2長孔部の長さ方向途中に一端部が連続する分岐長孔部を有し、第2の被連結部品に固定された第2掛受部材と、
両端部に折曲部が形成され、この折曲部の長さ方向外側に折曲部より径寸法が大きい抜止部が一体的に設けられた掛止部材とを備え、
前記掛止部材の一方の折曲部に設けられた抜止部が前記第1長孔部に掛止されると共に、前記掛止部材の他方の折曲部に設けられた抜止部が前記第2長孔部に掛止されることにより、前記第1の被連結部品と前記第2の被連結部品を互いに連結するようにしたことにより、
地震等の振動によっては密閉容器同士の連結が容易に外れないように連結することができると共に、周囲に十分な作業空間がなくても密閉容器同士の連結作業及びその連結の解除作業を容易に行なうことができる。
【0018】
また、本考案の密閉容器によれば、
第1長孔部及びこの第1長孔部の一端部に連続して形成され前記第1長孔部の幅寸法より大きい径寸法の円孔部を有し、第1の被連結部品に固定された第1掛受部材と、
第2長孔部及びこの第2長孔部の長さ方向途中に一端部が連続する分岐長孔部を有し、第2の被連結部品に固定された第2掛受部材と、
両端部に折曲部が形成され、この折曲部の長さ方向外側に折曲部より径寸法が大きい抜止部が一体的に設けられた掛止部材とを備え、
前記掛止部材の一方の折曲部に設けられた抜止部が前記第1長孔部に掛止されると共に、前記掛止部材の他方の折曲部に設けられた抜止部が前記第2長孔部に掛止されることにより、前記第1の被連結部品と前記第2の被連結部品を互いに連結する連結構造を備えたことにより、
地震等の振動によっては密閉容器同士の連結が容易に外れないように連結することができると共に、周囲に十分な作業空間がなくても密閉容器同士の連結作業及びその連結の解除作業を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本考案の一実施の形態に係る連結構造28を示す正面図である。
【図2】図1に示す連結構造28のA−A線矢視断面図である。
【図3】本考案の一実施の形態に係る連結構造28を備えた密閉容器20(21)を示す正面図である。
【図4】図1に示す連結構造28の一部を構成する第1掛受部材32を示す図であって、図4(a)はその正面図、図4(b)は図4(a)におけるそのB−B線矢視断面図である。
【図5】図1に示す連結構造28の一部を構成する第2掛受部材34を示す図であって、図5(a)はその正面図、図5(b)は図5(a)におけるそのC−C線矢視断面図である。
【図6】図1に示す連結構造28の一部を構成する掛止部材30を示す図であって、図6(a)はその側面図、図6(b)は図1,3におけるその背面図である。
【図7】図1に示す連結構造28において、掛止部材30を第1掛受部材32と第2掛受部材34に掛止させる手順を説明するための図である。
【図8】図3に示す密閉容器20(21)の正面図である。
【図9】図8に示す密閉容器20(21)の上面図である。
【図10】図8に示す密閉容器20(21)の一部を構成する容器本体22の正面図である。
【図11】図10に示す容器本体22の底面図である。
【図12】図8に示す密閉容器20(21)の一部を構成する蓋部材24を示す図であって、図12(a)はその上面図、図12(b)はその側面図である。
【図13】図8に示す密閉容器20(21)の一部を構成する締結部材26を示す図であって、図13(a)はその上面図、図13(b)は図13(a)のD−D線矢視断面図である。
以下、本考案に係る連結構造及びこれを備えた密閉容器の実施の形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
図1ないし図13は、本考案の一実施の形態に係る連結構造28、及びこれを備えた密閉容器20(21)について説明するために参照する図である。
【0021】
本実施の形態に係る連結構造28は、図1に示すように、長孔部32f(第1長孔部)と、この長孔部32fに連続する円孔部32gとが組合わされて形成された、鍵穴を有する第1掛受部材32と、長孔部34f(第2長孔部)と、この長孔部34fの長さ方向の途中に連続する分岐長孔部34gとを有する第2掛受部材34と、両端部に折曲部30b,30fが設けられ、これらの折曲部30b,30fに抜止部30cがそれぞれ一体的に設けられた掛止部材30とを備えて構成されている。
【0022】
図2に示すように、連結構造28の掛止部材30は、その図中上方の折曲部30bには抜止部30cが設けられ、この抜止部30cが設けられた折曲部30bの先端部は、第1掛受部材32の側板部32aの内側面32e側に入り込んでおり、その抜止部30cの係止面30eが、側板部32aの内側面32eに対向するように配置されている。
【0023】
また、掛止部材30は、その図中下方の折曲部30fにも、抜止部30cが設けられ、この抜止部30cが設けられた折曲部30fの先端部は、第2掛受部材34の側板部34aの内側面34e側に入り込んでおり、その抜止部30cの係止面30eが、側板部34aの内側面34eに対向するように配置されている。
【0024】
そして、掛止部材30は、図2中上方の折曲部30bの外周面の下側が、第1掛受部材32の長孔部32fの円弧状の下端部に掛止されており、同図中下方の折曲部30fの外周面の下側が、第2掛受部材34の長孔部34fの円弧状の下端部に掛止されている。
【0025】
また、掛止部材30は、図2中上方の折曲部30bに設けられた抜止部30cが、第1掛受部材32の長孔部32fに掛止されると共に、同図中下方の折曲部30fに設けられた抜止部30cが、第2掛受部材34の長孔部34fに掛止されるようになっている。
【0026】
このように掛止部材30が掛止された第1掛受部材32と第2掛受部材34は、その掛止部材30により互いに連結されている。
【0027】
このため、図3に示すように、図中上方に配置された密閉容器20(第1の被連結部品)の下部に固定された第1掛受部材32と、図中下方に配置された密閉容器21(第2の被連結部品)の上部に固定された第2掛受部材34を、掛止部材30を用いて上記のように連結することにより、鉛直方向に積み重ねられた密閉容器20,21同士を連結することができるようになっている。
【0028】
連結構造28の第1掛受部材32は、図4(b)にその断面を示すように、板状部材が折り曲げられて形成されており、その断面形状が略コの字状に形成されている。すなわち、第1掛受部材32は、外側面32dと内側面32eを有する側板部32aの上端部が、略垂直に折り曲げられて上板部32bが形成されており、側板部32aの下端部が略垂直に折り曲げられて下板部32cが形成されている。
【0029】
この第1掛受部材32の上板部32bと下板部32cの先端部同士は、さらに略垂直に折り曲げられて側板部32aと平行になっていると共に、それぞれの先端面が互いに対向して接近するように形成されている。
【0030】
図4(a)に示すように、第1掛受部材32は、その側板部32aの図中左右方向中央部の下側の位置に、図中上下方向に長さを有する長孔部32fが形成されている。
【0031】
そして、第1掛受部材32の長孔部32fの上端部には、この長孔部32fと連続する円孔部32gが形成されている。この円孔部32gの径寸法は、長孔部32fの幅方向(図中左右方向)の長さ寸法よりも大きく形成されている。
【0032】
図2に示すように、連結構造28の第2掛受部材34は、その側板部34aの外側面34dが、第1掛受部材32の側板部32aの外側面32dと略同一平面上に位置するようにして、第1掛受部材32の下方に配置されている。
【0033】
また、第2掛受部材34は、図1に示すように、その長孔部34fが第1掛受部材32の長孔部32fに対して互いの長さ方向に直列に並んで配置され、かつ互いに長さ方向に間隔をおいて配置されている。
【0034】
第2掛受部材34は、図5(b)にその断面を示すように、板状部材が折り曲げられて形成されており、その断面形状が略コの字状に形成されている。すなわち、第2掛受部材34は、外側面34dと内側面34eを有する側板部34aの上端部が、略垂直に折り曲げられて上板部34bが形成されており、側板部34aの下端部が略垂直に折り曲げられて下板部34cが形成されている。
【0035】
この第2掛受部材34の上板部34bと下板部34cの先端部同士は、さらに略垂直に折り曲げられて側板部34aと平行になっていると共に、それぞれの先端面が互いに対向して接近するように形成されている。
【0036】
図5(a)に示すように、第2掛受部材34は、その側板部34aの図中左右方向中央部に、図中上下方向に長さを有する長孔部34fが形成されている。
【0037】
そして、第2掛受部材34の長孔部34fの長さ方向の途中から、図中右側の端部に向かうに従って上昇するよう傾斜して伸びる分岐長孔部34gが、長孔部34fに連続して形成されている。
【0038】
第2掛受部材34の長孔部34fの幅寸法(図5(a)中左右方向の寸法)と、分岐長孔部34gの幅寸法(図5(a)中略上下方向の寸法)は、第1掛受部材32の長孔部32fの幅寸法(図4(a)中左右方向の寸法)と略同一の寸法に形成されている。
【0039】
掛止部材30は、図6(a)に示すように、丸棒状の部材が折り曲げられて略コの字状に形成されている。すなわち、掛止部材30は、同図中左右方向に長さを有する丸棒状の把持部30aの両端部が、同図中下方に向かって略垂直に折り曲げられた折曲部30b,30fがそれぞれ形成されている。
【0040】
この折曲部30b,30fの径寸法d1は、第1掛受部材32の長孔部32f、第2掛受部材34の長孔部34f及び分岐長孔部34gの幅方向の寸法よりも小さく形成されている。
【0041】
そして、掛止部材30の折曲部30b,30fの先端面30d寄りの外周面には、円板状の抜止部30cが溶接等により一体的に固定されている。
【0042】
この抜止部30cの径寸法d2は、第1掛受部材32の円孔部32gの径寸法よりも大きく形成されているので、円孔部32gの径寸法よりも小さな第1掛受部材32の長孔部32f、第2掛受部材34の長孔部34f及び分岐長孔部34gの幅方向の寸法よりも大きく形成されている。
【0043】
また、掛止部材30両端部の、2つの折曲部30b,30fの軸中心同士を繋いだ、把持部30aに平行な線分の長さ寸法は、第1掛受部材32の円孔部32gの軸中心と、第2掛受部材34の長孔部34fの中心線と分岐長孔部34gの中心線との交点とを繋いだ、把持部30aに平行な線分の長さ寸法よりも小さく形成されている。
【0044】
このため、掛止部材30両端部の2つの折曲部30b,30fは、第1掛受部材32の円孔部32gと第2掛受部材34の長孔部34f又は分岐長孔部34gから同時に外れることを防止することができるようになっている。
【0045】
以下に、本実施の形態に係る連結構造28の連結手順について説明する。
【0046】
まず、図2に示すように、掛止部材30の図中上方の折曲部30b先端部及び抜止部30cを、第1掛受部材32の側板部32aの外側面32d側から、長孔部32f及び円孔部32gに同時に挿通させて、側板部32aの内側面32e側に突き抜けさせる。
【0047】
このとき、掛止部材30は、その抜止部30cの径寸法が第1掛受部材32の円孔部32gの径寸法よりも大きいため、その折曲部30bの先端面30dが第1掛受部材32の外側面32dに対して30°〜60°位の角度で傾けられた状態で、折曲部30bの先端部及び抜止部30cが、円孔部32gから長孔部32fにわたって同時に挿通して、側板部32aの内側面32e側に突き抜ける。
【0048】
次に、掛止部材30は、図7に示すように、図中上方の折曲部30bが第1掛受部材32の長孔部32fの長さ途中まで押し下げられる。
【0049】
そして、掛止部材30は、その把持部30aを人の手で把持された状態で、図中上方の折曲部30b先端部の軸中心を回動中心として、図中下方の折曲部30fを図中時計周り方向に回動させることによって、図中下方の折曲部30fの先端部が、第2掛受部材34の分岐長孔部34gを通って、抜止部30cが図中右側から左側に変位して、側板部34aの内側面34e側に配置される。
【0050】
掛止部材30は、図1及び図2に示すように、2つの折曲部30b,30fが第1掛受部材32の長孔部32fの下端部と第2掛受部材34の長孔部34fの下端部のそれぞれに係止するまで押し下げられる。
【0051】
以上に示した手順により、第1掛受部材32と第2掛受部材34は、掛止部材30により互いを連結させることができるようになっている。また、上記連結手順を逆に行なうことで第1掛受部材32と第2掛受部材34の連結を解除して、掛止部材30をそれらから取り外すこともできるようになっている。
【0052】
このような連結構造28は、図3に示すように、各々の密閉容器20,21間に設けられおり、互いに鉛直方向に積み重ねられて配置された密閉容器20,21同士を連結することができるようになっている。
【0053】
本実施の形態に係る密閉容器20及び21は、図8及び図10に示すように、上方に向かって開口する開口部22aが形成された角型箱状の容器本体22と、この容器本体22の上に配置されてその開口部22aを閉塞する蓋部材24と、容器本体22上端部の上端縁部22bと蓋部材24の周縁部50の両部分を挟んで固結することにより、容器本体22の内部に密閉された空間を形成する、締結部材26を備えるようになっている。
【0054】
そしてさらに、図8及び図9に示すように、密閉容器20,21の容器本体22は、その表裏両側の下部と上部に、第1掛受部材32と第2掛受部材34がそれぞれ溶接等により一体的に固定されている。図9においては、容器本体22は蓋部材24より図中奥の方に隠れて見えないので、図示されていない。
【0055】
この容器本体22は、軟鋼等を用いた金属製であり、図10に示すように、主として上方の開口が開放された角型箱状の箱体部40が形成されている。
【0056】
図10及び図11に示すように、箱体部40の下面22dの下側には脚部42が設けられ、図3に示すように、容器本体22の上に蓋部材24が取付けられた後に、その蓋部材24の上に別の密閉容器20の容器本体22の脚部42を積み上げることができるようになっている。
【0057】
図11に示すように、容器本体22の脚部42は、桁材44,46が縦横に配置されており、その桁材44間には補強リブ48が配置されていて、図10に示すように、それらが箱体部40の下面22dに溶接等により一体的に接合されている。
【0058】
このような脚部42により、箱体部40の下面22dが補強されると共に、フォークリフトのフォーク部を桁材44間に差込む等により、密閉容器20,21を容易に運ぶことができるように構成されている。
【0059】
また、図10に示すように、容器本体22の脚部42の、図中左右方向中央部寄りの位置に互いに対向して配置された2つの桁材44の間には、第1掛受部材32が挟み込まれて配置されている。
【0060】
そして、第1掛受部材32の側板部32aの図10中左右方向両端部を、桁材44の側辺部に接触させて、互いの接触部分近傍部を溶接等することにより、第1掛受部材32は桁材44を介して容器本体22に一体的に固定されている。
【0061】
また、容器本体22の箱体部40は、その外側面22cの図中左右方向中央部であって、上端縁部22b寄りの位置に第2掛受部材34が、第1掛受部材32の位置の上方に対応して配置されている。そして、第2掛受部材34の上板部34bと下板部34cから略垂直に折り曲げられて側板部32aと平行となった先端部を、箱体部40の外側面22cに接触させて、互いの接触部分近傍部を溶接等することにより、第2掛受部材34は箱体部40の外側面22cに一体的に固定されている。
【0062】
密閉容器20,21の蓋部材24は、軟鋼等を用いた金属製であり、容器本体22の上端縁部22bと相似形のほぼ正方形に(角型状に)形成されており(図12(a)参照)、その四隅部が丸めて形成されている。そして、蓋部材24は、図8に示すように、容器本体22上に載置されて、その開口部22aが開口した上端縁部22b(図10参照)を閉塞するようになっている。
【0063】
図12(a)に示すように、この蓋部材24の上面には、互いに離れて対向する位置に、中央側から外側に向かうにしたがって高さが高くなるよう傾斜した、2つの取っ手56が溶接等により一体的に取付けられている。
【0064】
この取っ手56は、蓋部材24の上に別の密閉容器20の脚部42を載せて、密閉容器20同士を鉛直方向に積み重ねた際に、上記脚部42に接触しないような位置、幅寸法及び高さ寸法に形成されるようになっている。
【0065】
図12(a)及び(b)に示すように、蓋部材24には、その周縁部50を上から見たその外形形状に沿うように、その下面から垂直下方に高さを有するリブ52が設けられている。そして、蓋部材24の平面方向に伸びるリブ52の外形輪郭の内側に、蓋部材24の下面から垂直方向にリブ52と同程度の高さを有するリブ54が格子状に設けられている。
【0066】
蓋部材24のリブ52と54は、蓋部材24が容器本体22の上端縁部22bを閉塞した際に、容器本体22の開口部22aの内周面より内側に入り込むようになっている。
【0067】
他方、密閉容器20,21の締結部材26は、軟鋼等を用いた金属製であり、図13(a)に示すように、上から見た締結部材26は、2つの直線部が略直角に折曲げられたL字状に形成されており、その2つの直線部の先端部には締結金具58が溶接により一体的に設けられている。そして、図13(b)に示すように、その断面が、その高さ中央部に形成されたV型凹部26aから上下2つの先端部に向かって分岐した鋏状に形成されている。
【0068】
図13(a),(b)に示すように、締結金具58は、帯状の板部材を折り曲げて形成されており、その一端部が締結部材26の上部に沿うように接触しており、その接触した部分の先端部や両側部が溶接部Wのように溶接により、締結部材26の上部に一体的に固定されている。そして、締結金具58の他端部は円形状に折り曲げられ、その折れ曲がった部分の内側に貫通孔58aが形成されている。
【0069】
図8及び図9に示すように、締結部材26は、蓋部材24の四隅部のそれぞれに、略直角に折れ曲がった折曲げ部26b(図13(a)参照)が配置されるようになっている。
【0070】
そして、図13(b)に示すように、締結部材26の凹部26aから分岐した2つの先端部が、容器本体22の上端縁部22bの下側と、蓋部材24の周縁部50の先端部が下方向に折れ曲って形成された上面を挟み込んだ状態で、図9に示すように、互いに隣合う締結部材26端部の締結金具58同士を、それらの貫通孔58aにボルト36を貫通させてその先端部をナット38によりネジ締結する。
【0071】
これにより、締結部材26は、互いの締結金具58同士が互いに近寄る方向に力が加えられ、隣合う端部同士が引っ張られた状態となるため、容器本体22の上端縁部22bと蓋部材24を互いに上下方向に近づけるよう押圧して、両者を互いに強固に結合(固結)するようになっている。
【0072】
このとき、容器本体22の上端縁部22bの上側は、図12(b)に示す蓋部材24の周縁部50の内側に取付けられた、不図示の弾性シール部材に圧着するようになっており、容器本体22の上端縁部22bを閉塞して、容器本体22の内部に密閉された空間が形成されるようになっている。
【0073】
図3に示すように、下方の密閉容器21の蓋部材24の上に別の密閉容器20の脚部42を載せることにより、鉛直方向に密閉容器20,21は積み重ねられて配置されている。そして、図中上方の密閉容器20の脚部42に固定された第1掛受部材32と、図中下方の密閉容器21の箱体部40に固定された第2掛受部材34を、掛止部材30により相互に連結することにより、鉛直方向に積み重ねられた密閉容器20,21同士を連結することができるようになっている。
【0074】
このような連結構造28は、上下方向や水平方向に振動が加わったとしても、掛止部材30の折曲部30bに設けられた抜止部30cが、第1掛受部材32の長孔部32fに掛止されたり、掛止部材30の折曲部30fに設けられた抜止部30cが、第2掛受部材34の長孔部34fに掛止されたりするので、第1掛受部材32や第2掛受部材34から掛止部材30が容易には外れない構造になっている。
【0075】
また、図1及び図2に示すように、連結構造28は、地震等の振動により、第2掛受部材34の長孔部34fの下端部から、掛止部材30の折曲部30fの下面が離れて、第2掛受部材34の長孔部34fの上端部に折曲部30fの上面が係止される迄の距離分だけ、第1掛受部材32と第2掛受部材34の間隔を一時的に拡げることができるようになっている。
【0076】
このため、図3に示すような、鉛直方向に積み重ねられた密閉容器20,21は、地震等の振動によって、図中上方の密閉容器20の容器本体22の表側又は裏側の脚部42が、図中下方の密閉容器21の蓋部材24の上面から離れるように動くことができるため、地震等の振動が図中下方の密閉容器21から図中上方の密閉容器20にそのまま伝えられて、密閉容器20,21同士が一体となって転倒するのを防止することができる。
【0077】
また、本実施の形態に係る連結構造28は、密閉容器20,21を鉛直方向に3段位に積み重ねたとしても、最上段の密閉容器20の脚部42に固定された第1掛受部材32と、その一段下の密閉容器21の箱体部40に固定された第2掛受部材34は、作業者の手が届く高さ位置にあるため、掛止部材30によって作業者が容易にそれらを連結することができる。
【0078】
また、本実施の形態に係る連結構造28は、従来のように鉛直方向に積み重ねられた密閉容器20,21の周りに巻掛ベルトを巻き付ける作業を行なう必要がないため、その連結作業及び連結解除作業を容易に行なうことができる。また、周囲に十分な作業空間がないような場合であっても、密閉容器20,21同士を連結することができる。
【0079】
このような本考案の一実施の形態に係る連結構造28、及びこれを備えた密閉容器20,21によれば、地震等の振動によっては密閉容器20,21同士の連結が容易に外れないように連結することができると共に、周囲に十分な作業空間がなくても密閉容器20,21同士の連結作業及びその連結の解除作業を容易に行なうことができる。
【0080】
なお、本考案は、前記実施の形態にのみ限定されるものではなく、本考案の目的を達成することができる範囲内のものであれば、種々の変更が可能である。
【0081】
例えば、密閉容器の構造は、前記実施の形態に係る密閉容器20,21の構造に限定されるものではなく、円筒型の密閉容器等であってもかまわない。
【0082】
また、前記実施の形態における容器本体22には、その外側面22cに、外側にフランジ状に突出する複数の環状の補強部材が固定されていてもよく、又は外側面22cの一部又は全部に、上下方向に沿って波状の凹凸形状を形成して補強してもよい。
【0083】
また、前記実施の形態に係る密閉容器20,21においては、第1掛受部材32は、その容器本体22の脚部42の桁材44間に挟まれて固定されていたが、この位置に限定されるわけではない。例えば、第1掛受部材32は、容器本体22の箱体部40の外側面22cに固定されてもよいし、容器本体22に補強部材が固定されている場合にはその補強部材に固定されてもよい。
【0084】
また、連結構造28の第2掛受部材34についても同様に、容器本体22の箱体部40の外側面22cに固定されていたが、前記実施の形態に係る位置に限定されない。
【0085】
また、前記実施の形態に係る連結構造28は、密閉容器20,21の容器本体22に設けられ、互いに鉛直方向に積み重ねられた密閉容器20,21同士を連結するようになっていたが、密閉容器20,21以外のものに設けられるようになっていてもよいし、2種類以上の異なるものを連結するようになっていてもよい。
【0086】
また、前記実施の形態に係る連結構造28における、第1掛受部材32と第2掛受部材34は、外形形状が略コの字状に形成されていたが、この形状にのみ限定されるわけではない。
20,21 密閉容器
22 容器本体
22a 開口部
22b 上端縁部
22c 外側面
22d 下面
24 蓋部材
26 締結部材
26a 凹部
26b 折曲げ部
28 連結構造
30 掛止部材
30a 把持部
30b 折曲部
30c 抜止部
30d 先端面
30e 係止面
30f 折曲部
32 第1掛受部材
32a 側板部
32b 上板部
32c 下板部
32d 外側面
32e 内側面
32f 長孔部
32g 円孔部
34 第2掛受部材
34a 側板部
34b 上板部
34c 下板部
34d 外側面
34e 内側面
34f 長孔部
34g 分岐長孔部
36 ボルト
38 ナット
40 箱体部
42 脚部
44,46 桁材
48 補強リブ
50 周縁部
52,54 リブ
56 取っ手
58 締結金具
58a 貫通孔
W 溶接部
【課題】地震等の振動によっては密閉容器同士の連結が容易に外れないように連結することができると共に、周囲に十分な作業空間がなくても容器同士の連結作業及びその連結の解除作業を容易に行なうことができる連結構造、及びこれを備えた密閉容器を提供する。【解決手段】長孔部32f及び長孔部32fの一端部に長孔部32fの幅寸法より大きい径寸法の円孔部32gを有し、第1の被連結部品に固定された第1掛受部材32と、長孔部34f及び長孔部34fの長さ方向途中に分岐長孔部34gを有し、第2の被連結部品に固定された第2掛受部材34と、両端部に折曲部30b,30fが形成され、折曲部30b,30fの長さ方向外側に径寸法が大きい抜止部30cが設けられた掛止部材30を備え、折曲部30bの抜止部30cが長孔部32fに、折曲部30fの抜止部30cが長孔部34fに掛止されることにより、被連結部品を互いに連結する。
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