(54)【考案の名称】蛍光X線分析装置

(73)【実用新案権者】株式会社島津製作所

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、試料中に含まれる元素の濃度を算出する蛍光X線分析装置に関し、特にエネルギー分散型蛍光X線分析装置に関する。

【従来の技術】

【0002】
図3は、従来の一般的なエネルギー分散型蛍光X線分析装置の構成を示す概略構成図である。エネルギー分散型蛍光X線分析装置101は、試料Sが内部に配置される分析チャンバ20と、X線管10と検出器30と冷凍機60とが内部に配置される装置筐体50と、検出器30と冷凍機60とを接続する棒状の伝熱部材40と、検出素子温度センサ81と、X線管10と検出器30と冷凍機60とを制御するコンピュータ170とを備える(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
分析チャンバ20は、四角形板状の試料ベース23と、四角形板状の上面を有する四角筒形状の上部チャンバ21と、V字形状の筐体を有する下部チャンバ22とを有する。試料ベース23の中央部には、円形状の開口23aが形成されている。上部チャンバ21の一つの側壁の下面と試料ベース23の上面側の一辺とが軸となるように、上部チャンバ21は試料ベース23に対して回転可能に取り付けられている。一方、下部チャンバ22は、開口23aを塞ぐように試料ベース23の下面側に取り付けられている。そして、上部チャンバ21と下部チャンバ22との内部は、真空ポンプ(図示せず)と接続されており、真空ポンプによって高真空に排気されるようになっている。このような分析チャンバ20によれば、上部チャンバ21を開くことにより、試料Sの分析面が開口23aを塞ぐように試料Sを配置することができ、試料Sを配置した後、上部チャンバ21を閉めて、上部チャンバ21と下部チャンバ22との内部を高真空に排気することができる。
【0004】
装置筐体50は、四角形板状の下面を有する四角筒形状であり、四角筒形状の側壁の上面に試料ベース23の下面側の周縁部が取り付けられている。
【0005】
X線管10は、横に向いた円筒形状の筐体を有し、筐体の内部に陽極であるターゲット(図示せず)と陰極であるフィラメント(図示せず)とが配置されている。これにより、ターゲットに高電圧を印加するとともに、フィラメントに低電圧を印加することで、フィラメントから放射された熱電子をターゲットの端面に衝突させることで、ターゲットの端面で発生した一次X線を出射するようになっている。このようなX線管10は、装置筐体50内部に配置され、下部チャンバ22の左側面に固定されて取り付けられており、X線管10から出射する一次X線が円形状の開口23aに入射するように構成されている。よって、試料Sの分析面が開口23aを塞ぐように当接されることで、試料Sの分析面が一次X線に照射されることになる。
【0006】
検出器30は、導入窓31が上面に形成された略円錐形状の筐体を有し、筐体の内部に蛍光X線の強度を検出する検出素子(半導体素子)32が配置されている。このような検出器30は、装置筐体50内部に配置され、下部チャンバ22の右側面に取り付けられており、試料Sの分析面で発生する蛍光X線が導入窓31に入射するように構成されている。よって、試料Sの分析面が一次X線に照射されると、試料Sの分析面で蛍光X線が発生して、検出素子32は蛍光X線の強度(検出信号)を検出することになる。
【0007】
ところで、検出素子32は、検出信号への熱雑音の混入を抑える目的で極低温(設定温度T)に冷却される必要がある。そのため、冷凍機60が装置筐体50内部に配置されるとともに、検出素子温度センサ81が検出素子32に取り付けられている。
検出素子温度センサ81は、検出素子32の温度を検出して、検出素子温度情報Tを所定時間間隔Δtでコンピュータ170に出力する。
【0008】
冷凍機60は、例えばスターリング冷凍機であり、冷媒ガス(例えば、ヘリウムガス)と、冷媒ガスを圧縮・膨張させる機構と、吸熱部と、排熱部とを備える。そして、冷凍機60は、伝熱部材配管41を介して下部チャンバ22の右側面に取り付けられている。
伝熱部材40は、伝熱部材配管41の内部に配置され、一端部が検出素子32に接続されるとともに、他端部が冷凍機60の吸熱部に接続されている。これにより、伝熱部材40の他端部は冷凍機60によって極低温に冷却される。伝熱部材40の他端部における冷熱は伝熱部材40を介して検出素子32に伝えられ、その結果、検出素子32は冷却される。
【0009】
コンピュータ170は、CPU(制御部)171とメモリ172とを備える。CPU171が処理する機能をブロック化して説明すると、検出素子温度センサ81から検出素子温度情報Tを所定時間間隔Δtで取得する検出素子温度取得部71aと、フィードバックパラメータBを選択する選択部171bと、冷凍機60に出力量Pを出力する演算部71cと、検出素子32から蛍光X線の強度を取得する測定部71dとを有する。
【0010】
また、メモリ172は、フィードバックパラメータBを選択するための制御テーブルを記憶する制御テーブル記憶領域172aと、蛍光X線の強度を記憶していく蛍光X線強度記憶領域72bとを有する。制御テーブルは、検出素子温度情報Tに基づいて、フィードバックパラメータBを選択するためのものである。フィードバックパラメータBは、冷凍機60を制御するための出力量Pを演算するためのものである。
【0011】
このようなエネルギー分散型蛍光X線分析装置101によれば、測定が開始されると、選択部171bは、検出素子32の温度が設定温度Tとなるように、検出素子温度情報Tを受信することで、フィードバックパラメータBを選択して、演算部71cは、選択されたフィードバックパラメータBに基づいて出力値Pを算出して冷凍機60に出力する。
【0012】

【効果】

【0017】
以上のように、本考案の蛍光X線分析装置によれば、検出素子の温度Tを検出するだけでなく、検出器の周囲の温度Tも検出するため、検出素子の温度を設定温度Tで安定させることができる。
【0018】
(他の課題を解決するための手段および効果)
また、上記の考案において、前記制御部は、前記検出素子温度情報及び前記検出器周囲温度情報に基づいて、フィードバックパラメータを選択することにより、前記冷凍機を制御するための出力量を演算して、当該出力量を前記冷凍機に出力するようにしてもよい。
ここで、「フィードバックパラメータ」とは、冷凍機を制御するための出力量Pを演算するために必要となるパラメータのことをいう。
【0019】
さらに、上記の考案において、前記冷凍機は、スターリング冷凍機であるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本考案の実施形態に係るエネルギー分散型蛍光X線分析装置の一例を示す概略構成図。
【図2】制御方法について説明するためのフローチャート。
【図3】従来のエネルギー分散型蛍光X線分析装置の構成を示す概略構成図。

【0021】
以下、本考案の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本考案は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本考案の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれる。
【0022】
図1は、本考案の実施形態に係るエネルギー分散型蛍光X線分析装置の一例を示す概略構成図である。なお、エネルギー分散型蛍光X線分析装置101と同様のものについては、同じ符号を付している。
エネルギー分散型蛍光X線分析装置1は、試料Sが内部に配置される分析チャンバ20と、X線管10と検出器30と冷凍機60とが内部に配置される装置筐体50と、検出器30と冷凍機60とを接続する棒状の伝熱部材40と、検出素子温度センサ81と、検出器周囲温度センサ82と、X線管10と検出器30と冷凍機60とを制御するコンピュータ70とを備える。
【0023】
検出器周囲温度センサ82は、例えば冷凍機60に取り付けられており、検出器30の周囲の温度を検出して、検出器周囲温度情報Tを所定時間間隔Δtでコンピュータ70に出力する。つまり、本考案に係るエネルギー分散型蛍光X線分析装置1は、従来のエネルギー分散型蛍光X線分析装置101と異なり、検出器周囲温度センサ82を備える。
【0024】
コンピュータ70は、CPU(制御部)71とメモリ72とを備える。CPU71が処理する機能をブロック化して説明すると、検出素子温度センサ81から検出素子温度情報Tを所定時間間隔Δtで取得する検出素子温度取得部71aと、検出器周囲温度センサ82から検出器周囲温度情報Tを所定時間間隔Δtで取得する検出器周囲温度取得部71eと、フィードバックパラメータAを選択する選択部71bと、冷凍機60に出力量Pを出力する演算部71cと、検出素子32から蛍光X線の強度を取得する測定部71dとを有する。
【0025】
また、メモリ72は、フィードバックパラメータAを選択するための制御テーブルを記憶する制御テーブル記憶領域72aと、蛍光X線の強度を記憶していく蛍光X線強度記憶領域72bとを有する。制御テーブルは、検出素子温度情報Tと検出器周囲温度情報Tとに基づいて、フィードバックパラメータAを選択するためのものである。フィードバックパラメータAは、冷凍機60を制御するための出力量Pを演算するためのものである。つまり、本考案に係る制御テーブルは、従来の制御テーブルと異なり、検出器周囲温度情報Tを利用している。
【0026】
選択部71bは、検出素子32の温度が設定温度Tとなるように、検出素子温度情報Tと検出器周囲温度情報Tとを受信することで、制御テーブルに基づいてフィードバックパラメータAを選択する制御を行う。
演算部71cは、選択されたフィードバックパラメータAに基づいて出力量Pを算出して冷凍機60に所定時間間隔Δtで出力する制御を行う。
【0027】
ここで、エネルギー分散型蛍光X線分析装置1のCPU71が冷凍機60を制御する制御方法について説明する。図2は、制御方法について説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS101の処理において、検出素子温度センサ81は、検出素子32の温度を検出するとともに、検出器周囲温度センサ82は、検出器30の周囲の温度を検出する。
【0028】
次に、ステップS102の処理において、検出素子温度取得部71aは、検出素子温度情報Tを取得するとともに、検出器周囲温度取得部71eは、検出器周囲温度情報Tを取得する。
次に、ステップS103の処理において、選択部71bは、検出素子32の温度が設定温度Tとなるように、検出素子温度情報Tと検出器周囲温度情報Tとを受信することで、フィードバックパラメータAを選択する。
【0029】
次に、ステップS104の処理において、演算部71cは、選択されたフィードバックパラメータAに基づいて出力量Pを算出して冷凍機60に出力する。
次に、ステップS105の処理において、冷凍機60は、出力量Pに応じて作動することにより、検出素子32を冷却する。
【0030】
次に、ステップS106の処理において、測定中であるか否かを判定する。測定中であると判定したときには、ステップS101の処理に戻る。
一方、測定が終了したと判定したときには、本フローチャートを終了させることになる。
【0031】
以上のように、本考案のエネルギー分散型蛍光X線分析装置1によれば、検出素子32の温度Tを検出するだけでなく、検出器30の周囲の温度Tも検出するため、検出素子32の温度を設定温度Tで安定させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本考案は、試料中に含まれる元素の濃度を算出する蛍光X線分析装置等に利用することができる。
【0033】
1 蛍光X線分析装置
10 X線管
20 分析チャンバ
30 検出器
32 検出素子
60 冷凍機
70 制御部
81 検出素子温度センサ
82 検出器周囲温度センサ
S 試料

(57)【要約】

【課題】検出素子の温度を設定温度で安定させることができる蛍光X線分析装置を提供する。【解決手段】試料からの蛍光X線の強度を検出する検出素子32を有する検出器30と、検出素子32を冷却するための冷凍機60と、検出素子32に取り付けられ、検出素子32の温度を検出して、検出素子温度情報を出力する検出素子温度センサ81と、検出素子32の温度が設定温度となるように、検出素子温度情報に基づいて冷凍機60を制御する制御部70とを備える。検出器30の外部に配置され、検出器30の周囲の温度を検出して、検出器周囲温度情報を出力する検出器周囲温度センサ82を備え、制御部70は、検出素子温度情報及び検出器周囲温度情報に基づいて冷凍機60を制御する。


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