(54)【考案の名称】親綱金具

(73)【実用新案権者】株式会社鶴弥

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

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【選択図】図10

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、屋根面で安全に作業ができるよう親綱を張るための親綱金具についてであり、特に、野地面で固定され、瓦の重なり部から見えがかり部分に親綱を係止する部位を出すようにした親綱金具に関する。

【従来の技術】

【0002】
近年、家屋等を長寿命化する傾向があり、それにしたがって屋根においても定期点検の実施や修繕を行う機会が増えている。また、環境負荷の軽減などに有効とされる太陽光発電装置や太陽熱給湯器の設置、アンテナの修理や、多雪地域においては屋根の雪下ろし等で、屋根上で作業を行う機会が幾度とある。一方で、屋根は一般的に勾配があり高所も多く、屋根上で行う高所作業は常に滑落するなどの危険が伴うため、屋根上での作業は安全性が重視されている。したがって、高所作業を行うには仮設足場を設置すればよいが、狭小地や少量の作業、又は災害復旧などの即時性が求められる場合などでは、足場が設置されない、もしくは設置できない例が多かった。
【0003】
屋根面上での安全対策としては、さまざまな物が考案されている。野地面に固定し、親綱又は安全帯を固定する部分を屋根瓦の縦重なりから出す例として、特許文献1発明がある。特許文献1発明によると、図12に示すように、野地板に固着する固着部81と、該固着部に連なって設けられ、瓦の尻側端部に掛止される掛止部82と、該掛止部の先端から軒側方向へ延びる連結部83と、該連結部の先端に設けられ、軒側の屋根葺材上にある足場材を支持する連結部材84又は前記屋根葺材上の作業者が装着する安全帯が取り付けられる取付部85とを備えた屋根用安全金具8がある。前記取付部には、係止部材86が固定されており、安全帯等が連結できるようになっている。
【0004】
前記屋根用安全金具によれば、掛止部を瓦の尻側端部に掛止させた状態で、固着部を野地板に固定するので、容易に屋根用安全金具を正確な位置へ確実に固定することができる。固着部のビス孔より野地板に対しビス留めすることで、振動等によって屋根用安全金具の取り付け位置がずれることがなく、また、掛止された状態が解除されるのを確実に防止することができる。
【0005】
また、特許文献1発明と同様に野地面に固定されるが、安全手段として軒先に落下防止手段を備えた例として、特許文献2発明がある。特許文献2発明によると、図13に示すように、長手方向の両端をそれぞれ上下反対方向内向きに折り返して瓦桟係止部91と端部固定部92をそれぞれ設けて、端部固定部92を用いて軒先に立て防護ネット93を張った支柱94を支持するよう支線部材95を張った瓦屋根用支柱保持金具9がある。
【0006】
前記瓦屋根用支柱保持金具によれば、支柱と防護ネットにより人や物を落下させないようにするとともに、支柱上端を端部固定部材で固定したので、作業者や瓦や工具類の落下事故を未然に防止する安全対策を十分実施することができる。
【0007】

【効果】

【0013】
本考案を採用することにより、親綱金具の係止部は、屋根瓦に対し屋根瓦の頭見付部高さに本体金具の高さを加えた分だけ屋根瓦と間隔が開いているので、前記係止部に親綱を張り安全帯金具を掛けても、屋根瓦が欠けたり傷がついたりしないという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本考案の親綱金具の正面図を示したものである。
【図2】本考案の親綱金具の右側面図を示したものである。
【図3】本考案の親綱金具の平面図を示したものである。
【図4】本考案の親綱金具の斜視図(正面右上視点)を示したものである。
【図5】本考案の親綱金具の施工工程(基板の施工)を示したものである。
【図6】本考案の親綱金具の施工工程(親綱金具の施工)を示したものである。
【図7】本考案の親綱金具の施工工程(上段瓦の施工)を示したものである。
【図8】本考案の親綱金具の施工完了状態を示したものである。
【図9】図8における屋根の正面斜視図を示したものである。
【図10】図8における要部拡大図を示したものである。
【図11】本発明の親綱金具を使用した状態を示したものである。
【図12】従来技術を示したものである。
【図13】従来技術を示したものである。

【0015】
まず、本考案の親綱金具1について図1ないし図4等に基づいて詳述する。なお、屋根瓦について、特に使用する場所を指定して上段瓦、下段瓦と称することがある。
【0016】
親綱金具1は、やや厚手(3〜6mm程度)の板状であり、長尺で長方形の鋼板1枚を折り曲げて一体形成されたものである。固定部10の一端より中間部12が形成され、中間部12の他端側よりさらに基端部13が形成されている。前記基端部13の他端側は、立ち上げ部14が上方に向かって折り曲げ形成され、さらに立ち上げ部14の上端より固定部側に戻るよう平坦部15が形成されている。施工状態における親綱金具1と屋根瓦3との関係は以下のとおりであり、固定部1は下段瓦3Dを係止する瓦桟61と前記下段瓦3Dの一段上位に葺かれる上段瓦3Uを係止する瓦桟61との間で屋根6に固定され、中間部12は屋根瓦の尻水返し31に合わせ折り曲げられ、基端部13は屋根瓦3の表面と略平行で面状に接地され、立ち上げ部14及び平坦部15は、屋根瓦よりも高い位置に位置している。なお、前記中間部、前記基端部、前記立ち上げ部及び前記平坦部を総称して本体部11とする。
【0017】
前記の親綱金具1に関してより詳述すると、固定部10には、流れ方向及び幅方向に2列以上をもって形成された3〜8個のねじ穴101を有する。ねじ穴101は、その径が4〜7mmの真円形であり、鋼板の肉厚方向で貫通している。固定部10は、屋根6の下地(野地板)、もしくは前記下地に直接固定された基板62に対し固定される。なお、基板62は、屋根において瓦葺のために等間隔で施工された瓦桟間に親綱金具1を固定する土台として設置される。
【0018】
本体部11において詳述すると、中間部12は、固定部10の長さ方向の一端より、第一傾斜部121、水平部122及び第二傾斜部123で構成されている。前記第一傾斜面121は、下地又は基板62に固定された固定部10と、該固定部から直近の水下側にある屋根瓦における尻水返し31の高さまで上がるように傾斜しており、水平部122と連結されている。水平部122は、前記尻水返しを基準とした面と略同一の高さで尻水返し31と平行になっており、第二傾斜面123と連結する。第二傾斜面123は、水平部122との連結部分を基端として、屋根瓦の尻水返し31の面から見えがかりの面(瓦を葺き並べた際に表に出る面)まで下がるように傾斜し、基端部13と連結する。つまり、中間部12は、屋根瓦の尻水返し31の形状と合致するように折り曲げ形成されており、尻水返し31の高さや幅に応じて第一傾斜部121、水平部122及び第二傾斜部123が適宜変更できる。
【0019】
基端部13は、前記第二傾斜部の他端より見えがかり面と略平行で伸びており、少なくとも、親綱金具1が固定される部位の直上に葺かれる上段瓦3Uの頭見付よりも軒先側に延びており、少なくとも立ち上げ部14及び平坦部15(固定部に向かって折り返しとなっている場合)のうち後述の係止部が取り付けられる部位の平坦部に対する鉛直線が、上段瓦の頭見付部32よりも軒側に出るような長さとするまで延びている。基端部13の裏面(屋根瓦3の見えがかり面と向かい合う面)には、基端部13の大きさ未満の範囲で緩衝材Bとしてエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDMゴム)などが貼り付けられていてもよい。また、基端部13の表面側にも同様に、基端部13の範囲内においてEPDMゴム等の緩衝材を貼ることで、基端部の直上に位置する屋根瓦の頭見付部32の欠けや擦れ、キズなどを防止することができるとともに、後述の切り欠きと基端部との隙間から雨水等を屋根瓦の裏面側へ浸入させないようにすることができる。
【0020】
立ち上げ部14は、前記基端部13の他端より屋根瓦1から離れる方向(上方)に折り曲げ形成され伸びている。立ち上げ部14の高さは、親綱4に安全帯金具51を引っ掛けた際に、屋根瓦3の表面と干渉しないという目的を達成させるため、所定以上の高さを有していることが望ましい。立ち上げ部14の高さは、その一例として30〜80mm程度を有している。
【0021】
平坦部15は、立ち上げ部14の上端を基端として固定部10側(屋根6への施工状態における棟側)に向いている。平坦部15は、屋根瓦の見えがかり面と略平行もしくは見えがかり面に対し棟側に向かって幅広となるよう立ち上げ部から折り曲げられている。さらに、平坦部15の略中央には孔(図示なし)が貫通形成されており、上面側(屋根瓦と向き合わない面側)に係止部2を固定できるようになっている。また、平坦部に取り付けられる係止部(後述)の位置は、鉛直方向で上段瓦の頭見付部32よりも軒先側に出ている状態になっている。なお、この平坦部15は、施工状態において、図2(b)に示すように、図2(a)で示したような棟側へ折り返したものではなく、軒側を向いて折れ曲がっていても良い(基部、立ち上げ部、平坦部で構成される形状が、断面視で略コ字状ではなく鉤状になっていてもよい)。平坦部15が軒側を向いて折れ曲がっていることにより、上段瓦3Uの頭見付から遠ざかるため、安全帯金具51が屋根瓦3と干渉しないという本考案の目的を効果的に達成できる。
【0022】
係止部2は、親綱4を係止・固定でき、または親綱を通すことができるよう少なくとも環状部分を有している。係止部2と親綱金具1とは、一体形成ではなく分離できる構造になっており、係止部2を親綱金具1から着脱可能となっている。また、本考案の係止部は、屋根瓦3(下段瓦3D)との距離を開けて安全帯金具51が前記屋根瓦3等に干渉しないようにする構成であればよく、上段瓦3Uや下段瓦3Dの頭見付部32と距離を開けることに意味がある。係止部2の構造として例を挙げると、平坦部15の裏面側にナットを溶接固定した状態で平坦部15の上面側よりアイボルトを装着する方法、上面側よりアイボルトを孔に挿入するとともに裏面側よりナットで締め付け固定する方法、裏面側よりボルトを孔に挿入するとともに上面側よりアイナットを装着する方法、等が考えられる。なお、前記した例によらず、平坦部15の上面側に環状部材を設けるとともに、平坦部15で固定できる手段を備えている構成であれば、本考案の用途である親綱4を張ることが可能である。なおまた、本考案では、裏面側にボルト、上面側にアイナットを採用した構成を例としている。
【0023】
前記した親綱金具1において、折り曲げした各部位には、変形防止、強度向上を主たる目的としてリブ16を設けることができる。特に、固定部10と第一傾斜部121との間、水平部122と基端部123との間には、前記リブ16を設けることが望ましい。親綱4に安全帯5の安全帯金具51を係止した状態で、万一の際に親綱4を介して親綱金具1に大きな負荷が加えられても、容易に変形しないようにすることができる。また、親綱金具1は、屋根面への設置後に常設し屋外環境にて暴露されるため、適宜高耐久な材料が採用され、さらにはそれに付随する劣化防止のコーティング等が施されていても良い。材料の例として、ステンレス鋼(SUS304)が挙げられる。
【0024】
ここで、本考案の親綱金具1が施工される屋根6の屋根瓦3について説明する。屋根瓦は、世間一般に良く知られている粘土瓦やセメント瓦等の厚物であり、屋根の意匠に応じて適宜設計された形状となっている。特に、親綱金具1は、鋼板を折り曲げ形成したものであるから、平坦な面を有する平板瓦との施工が望ましい。しかしながら、親綱金具1の形状、特に基端部13などの本体部11を変更して波形瓦などの表面に曲線を有した屋根瓦でも対応させることが可能である。なお、本考案で例示する屋根瓦は、平板瓦とする。
【0025】
本考案の親綱金具1は、瓦葺される屋根6に対し、屋根の下地に固定されるとともに中間部12を経て基端部13が下段瓦3Dの見えがかり部分に来るよう施工される。通常の瓦葺き屋根は、屋根瓦同士の流れ方向の重なりがほぼ隙間なく重ねられて施工されるため、親綱金具1をそのまま施工すると、上段瓦3Uが親綱金具1と干渉してしまう。したがって、親綱金具1を瓦葺き屋根に施工する際は、上段瓦3Uの頭見付下端のうち親綱金具の基端部13と干渉する部分に切り欠き31を設ける必要がある。この切り欠き31により、親綱金具1は上段瓦3Uと干渉しないようにできるが、前記切り欠きが親綱金具1とぴったり合うように切り欠くのは困難であるため、親綱金具1と上段瓦3Uとの間もしくは下段瓦3Dと上段瓦3Uとの間で隙間ができてしまう恐れもあった。そこで、本考案の親綱金具を施工するには、前記の隙間ができても雨水等が浸入しないように、前記切り欠きに対しシーリング材を施工することが望ましい。前記シーリングの例としては、変成シリコーンのような半固体状のものを充填したり、上記したようなEPDMゴム等のシート状またはスポンジ状になったものを前記切り欠きの外周に沿って貼り付けたりすることで、上段瓦3Uに設けた切り欠きと下段瓦3D又は親綱金具1との隙間から雨水等を浸入させないようにすることが可能である。
【0026】
以下、図5ないし図9等に基づいて、本考案の親綱金具1を屋根面に施工していく手順について説明する。屋根の下地面に、下葺き材(図示なし)、瓦桟61を軒側から順に施工し、親綱金具1を固定する段の一段下位まで屋根瓦3(下段瓦3D)を葺き並べる。次に、親綱金具1を下地面に固定するための基礎となる基板62を、瓦桟間に置き、適量のねじで下地に固定する(図5)。次に、親綱金具1を基板62に対し固定位置に注意しながら、やはり適量のねじ7で固定する(図6)。続けて、親綱金具1を固定した段に上段瓦3Uを施工する。上述したように、通常、瓦同士の長さ方向縦重なりには隙間がほとんどないため、上段瓦の頭見付部32の下端で親綱金具1と干渉する部位を親綱金具の厚み及び幅に合わせて削り、切り欠き31を設ける。上段瓦3Uが葺かれる箇所の軒側は親綱金具の立ち上げ部や係止部が軒側に控えているため、上段瓦3Uをやや棟側より軒側へスライドさせるように葺いていく(図7)。このとき、上段瓦3Uと親綱金具1との隙間が発生しうる箇所には、あらかじめシーリング材を充填又は緩衝材を貼付して雨仕舞いを確保する。最後に、上段瓦3Uの段よりも棟側の瓦まで葺き並べて施工完了となる(図8)。親綱金具は、図9に示すように、屋根面に対し必要な個数を設置する。なお、図9では、例として屋根面に親綱金具1を2個取り付けた例を示している。
【0027】
親綱金具が施工された状態において、図10に示すように、係止部2の位置は、上段瓦3Uではなく、下段瓦3Dの見えがかり面を基準とした鉛直上に存在する。しかも、下段瓦から、立ち上げ部14に係止部のうち平坦面15から環状部分までの高さを加えた高さL1分だけ確保されているとともに、少なくとも係止部の略中心が上段瓦の頭見付より軒先側に飛び出した距離L2だけ軒先側に出ているため、上段瓦の頭見付から係止部が長さ方向及び高さ方向に大きく離れている。したがって、図11に示すように、親綱金具の係止部2に親綱4を張り安全帯金具51を係止して屋根上で作業する際に、作業者が桁行方向に移動しても、安全帯金具51と下段瓦3Dとの間隔が所定量(図11中の矢印分)確保されているため、安全帯金具が下段瓦3Dに干渉することはない。従来の技術、特に特許文献1記載の発明では、安全帯金具と屋根瓦との距離は、最大でも頭見付厚さL3程度しか確保されないが、本考案を採用することにより、作業者が桁行方向に移動した際に、安全帯金具を同じ屋根瓦上で引き摺るように移動するため、安全帯金具で屋根瓦を傷つけたり、逆に安全帯金具に傷がついたりするなどの問題を解決することができるという効果を発揮する。
【0028】
その他実施例として、1個の親綱金具に対し巻き取り式墜落防止器具等を介して安全帯金具を係止する、あるいは親綱金具の係止部に対し安全帯金具を直接係止して使用することも可能である。前述した係止部の構造において、環状部分を有する例を挙げたが、これに限定されることはなく、棟側の一部が開放されたおおよそフック状となっていてもよく、カラビナのように環状部分の一部に開閉部を持たせ、ワンタッチで親綱を掛ける構造でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本考案の親綱金具は、屋根上で安全に作業ができる安全部材として、屋根上での作業に幅広く利用できる。
【0030】
1 親綱金具
10 固定部
11 本体部
12 中間部
13 基端部
14 立ち上げ部
15 平坦部
16 リブ
2 係止部
3 屋根瓦
3D 下段瓦
3U 上段瓦
31 尻水返し
32 頭見付部
33 切り欠き
4 親綱
5 安全帯
51 安全帯金具
6 屋根
61 瓦桟
62 基板
7 ねじ
B 緩衝材

(57)【要約】

【課題】親綱金具間に張った親綱に対し安全帯等の金具を掛け、金具が桁行方向に移動した際に屋根瓦が欠けたり傷ついたりしない親網金具を提供する。【解決手段】屋根上の桁行方向に親綱を張るための親綱金具1であって、親綱金具1は、野地面に固定する固定部と、屋根瓦の上下の重合部から瓦表面に出る本体部と、親綱を係止する係止部2とからなる。係止部は、上段瓦3Uの瓦表面を基準面とした面よりも高い位置に位置するとともに、屋根の流れ方向で上段瓦の頭見付部32よりも軒側に位置し、係止部に親網を張り、安全帯金具を係止した際に、安全帯金具が下段瓦3Dに干渉しない。


【パテントレビュー】

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【インターネット特許番号リンク】

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