(54)【考案の名称】仮設足場の昇降用側面開口の開閉装置

(51)【国際特許分類】

E04G 5/14 ・手すり[8]

(73)【実用新案権者】株式会社杉孝

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図2

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、仮設足場の昇降用側面開口の開閉装置に関するものであり、より詳細には、仮設足場の昇降用側面開口に落下防止手段として設けられる昇降用側面開口の開閉装置に関するものである。

【従来の技術】

【0002】
建築物又は土木構造物の建設工事に使用される仮設足場として、枠組足場及び単管足場が広く実用に供されている。枠組足場は、建枠を建込み、床付き布枠を作業用足場板として建枠の各層に架設することにより建設予定又は建設中の建物の外側に構築され、建設工事の進捗に相応して建枠を上層に順次建込むことによって上層に延長され、建設工事の完了直前の適切な時期に解体される。他方、単管足場は、建設工事の進捗に相応して単管(鋼管)を上層に順次建込む形式の仮設足場である。単管足場は、地盤面の敷板上に固定型ベース金具を所定間隔に配置し、鋼管製の建地を建込むとともに、根がらみ、腕木、布、中桟、手摺及び筋交い等を構成する鋼管を緊結金具(クランプ金具)によって緊結し、足場板を腕木上に敷設することにより組立てられる。単管足場は、枠組足場と同じく、建設工事の完了直前の適切な時期に解体される。
【0003】
このような仮設足場の昇降手段又は上下移動手段として仮設階段や梯子等が使用されるが、このような昇降手段又は上下移動手段を設置した部分には、手摺を設けない開口、即ち、昇降口が設けられる。一般に、梯子等のように昇降に注意を要する昇降手段又は上下移動手段の場合には、作業員の落下防止手段として、開閉扉やチェーン等が昇降口に配設される。例えば、このような開閉扉は、実用新案登録公報第3033217号公報に記載されている。
【0004】
図15は、従来の片開き式開閉扉を昇降口に設置した状態を示す単管足場の部分平面図であり、図16は、チェーンを昇降口に設置した状態を示す単管足場の部分平面図である。
【0005】
図15に示す如く、単管足場1は、建地2、布(図示せず)、腕木3、手摺4、中桟5、筋交い(図示せず)及び足場板6等を多層構造に組立てた全体構成を有し、建設中の建築物Aの外壁面に沿って配置される。建地2、腕木3、手摺4、中桟5等の部材は、緊結金具(クランプ金具)7によって相互連結される。昇降口Pは、手摺4及び中桟5を設けない仮設足場の側面開口からなり、梯子Sを支持する支持杆8が昇降口Pに隣接して単管足場1の側方に突出する。昇降口Pには、仮設足場の内方に枢動可能な片開き式の開閉扉Qが落下防止手段として設置される。開閉扉Qは、鋼管(鋼製パイプ)を方形に組付けた枠体からなり、緊結金具7等によって建地2に回動可能に支持される。作業者は、梯子Sから足場板6への移動や、足場板6から梯子Sへの移動に際し、開閉扉Qを回動させて昇降口Pを過渡的に開放することができる。
【0006】
他方、図16に示すように、緊結金具7等によって金属製チェーンCを昇降口Pの両側の手摺4(及び/又は中桟5)に係留することにより、昇降口Pを閉鎖する落下防止手段が知られている。このようなチェーンCを用いた落下防止手段によれば、チェーンCの一端を解放することにより、昇降口Pを完全に解放することができる。
【0007】

【効果】

【0014】
本考案によれば、通路幅を比較的狭い寸法に設定した仮設足場においても昇降用の側面開口部を十分に開放することができ、しかも、通路と昇降手段との間で移動する作業者が比較的容易に開閉操作することができ、加えて、手摺としても十分な強度を有する仮設足場の昇降用側面開口の開閉装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本考案の好適な実施例に係る引戸式開閉装置を昇降口に設置した状態を示す単管足場の部分平面図である。
【図2】図2(A)、図2(B)、図2(C)、図2(D)及び図2(E)は、図1に示すスライド扉の全体構成を示す平面図、正面図、右側面図、I−I線断面図及び部分拡大断面図である。
【図3】図3は、図2に示す支柱の構造を示す正面図である。
【図4】図4(A)、図4(B)、図4(C)及び図4(D)は、支柱を構成する水平支持管の構造を示す平面図、正面図、側面図及び縦断面図であり、図4(E)及び図4(F)は、水平支持管の管体構造を示す平面図及び縦断面図である。
【図5】図5は、図2に示すスライド扉の構造を示す正面図である。
【図6】図6は、図2に示す補強管の構造を示す正面図である。
【図7】図7は、図2に示す引戸式開閉装置の開閉動作を示す正面図であり、図7(A)には、引戸式開閉装置によって昇降口を閉鎖した状態が示されており、図7(B)には、引戸をスライドさせて昇降口を開放した状態が示されている。
【図8】図8は、上下一対のローラによるスライド扉の支持状態(比較例)を概念的に示す線図である。
【図9】図9は、上下二対のローラによるスライド扉の支持状態(本実施例)を概念的に示す線図である。
【図10】図10(A)、図10(B)及び図10(C)は、本発明の他の実施例に係るスライドバー式開閉装置によって昇降口を閉鎖した状態を示す単管足場の平面図、正面図及び断面図である。
【図11】図11(A)及び図11(B)は、スライドバー式開閉装置を手動操作して昇降口を開放した状態を示す単管足場の平面図及び正面図である。
【図12】図12(A)及び図12(B)は、スライドバー式開閉装置の全体構成を示す平面図及び正面図であり、図12(C)及び図12(D)は、図12(B)のII−II線及びIII−III線における断面図であり、図12(E)は、スライドバーの開閉動作を示す平面図である。
【図13】図13(A)、図13(B)、図13(C)及び図13(D)は、図12に示す水平支持管の構造を示す平面図、正面図、側面図及び縦断面図であり、図13(E)及び図13(F)は、水平支持管の管体構造を示す横断面図及び縦断面図である。
【図14】図14(A)、図14(B)及び図14(C)は、図12に示すスライドバーの構造を示す平面図、正面図及び側面図であり、図14(D)は、図14(B)のIV−IV線における断面図である。
【図15】図15は、従来の片開き式開閉扉を昇降口に設置した状態を示す単管足場の部分平面図である。
【図16】図16は、チェーンを昇降口に設置した状態を示す単管足場の部分平面図である。

【0016】
本考案の好適な実施形態によれば、上記扉は、金属管を一体化した正面視矩形又は方形の枠体からなり、上記スライドバーは、金属管からなる。好ましくは、上記第1及び第2支承具は、扉の上枠を構成する金属管の上側面、或いは、スライドバーの上側面に転接する一対のローラからなり、上記第3及び第4支承具は、扉の下枠を構成する金属管の下側面、或いは、スライドバーの下側面に転接する一対のローラからなる。更に好ましくは、扉又はスライドバーの重心移動によって扉又はスライドバーに作用する力学的モーメント(M:M’)に抗する反力(R、R’)が、移動時の扉又はスライドバーの傾斜又は傾倒を防止するように、第1及び第4支承具、或いは、第2及び第3支承具に作用する。
【0017】
本考案の更に好適な実施形態によれば、第1及び第3支承具は上下方向に整列配置され、第2及び第4支承具は上下方向に整列配置される。
【0018】
好ましくは、上記引戸の枠体は、上下の水平管と、上下の水平管の開口部側端部に一体的に連接した垂直管と、開口部の反対の側において上下の水平管の端部に分離可能に連結した補強管とから構成される。更に好ましくは、支柱は、上枠及び下枠が夫々貫通する上下一対の水平管部分と、水平管部分を支持する垂直管部分とを有し、上下の水平管部分は上下対称な構造を有する。所望により、扉は、上枠及び下枠の間に配置された水平な中桟を有し、上記支柱は、中桟が水平移動可能に貫通する貫通孔を有する。
【0019】
好適には、水平管部分は、ローラを部分的に管内領域に挿入可能な切欠き部を備えるとともに、ローラを軸支する水平支軸を備えており、水平支軸の中心軸線は、扉又はスライドバーの移動方向と直交する方向に配向される。
【0020】
好ましくは、上記扉は、支柱に衝合して扉の水平移動を制限する移動阻止手段を有する。移動阻止手段は、作業者の開閉操作を容易にする。移動阻止手段は又、開閉操作時又は引戸の移設時等に扉の遊動範囲を制限し、作業者の手指が部材間に挟まれる事態を防止する。同様に、上記スライドバー式開閉装置は、スライドバーの水平移動を制限する移動阻止手段を有する。
【0021】
更に好ましくは、扉又はスライドバーは、可撓性線材からなる索条と、索条に連結された係留具と、係留具を係止可能な係留具保持手段とを有し、索条は、仮設足場の構成部材を周回して係留具保持手段に係留され、扉又はスライドバーを閉鎖位置に保持する。所望により、引戸式開閉装置の移設時等に索条を支柱廻りに周回せしめ、係留具を係留保持手段に係止しても良い。このように引戸式開閉装置の索条を用いた場合、引戸式開閉装置の移設時等におけるの遊動範囲を索条によって制限することができる。
【0022】
以下、添付図面を参照して、本考案の好適な実施例について詳細に説明する。
【0023】
図1は、本考案の好適な実施例に係る引戸式開閉装置を昇降口に設置した状態を示す単管足場の部分平面図である。図2(A)、図2(B)、図2(C)、図2(D)及び図2(E)は、本考案の実施例に係るスライド扉の全体構成を示す平面図、正面図、右側面図、I−I線断面図及び部分拡大断面図である。なお、底面図及び背面図は、平面図及び正面図と実質的に同一又は対称であるので、図示を省略する。
【0024】
図1に示す如く、単管足場1は、鋼製パイプからなる建地2、布(図示せず)、腕木3、手摺4及び中桟5等を緊結金具(クランプ金具)7によって相互連結して多層構造に組付け、筋交い(図示せず)及び足場板6等を鋼製パイプの骨組に取付けた全体構成を有し、建設中の建築物Aの外壁面に沿って配置される。
【0025】
昇降口Pは、手摺4及び中桟5の離間によって形成された仮設足場の側面開口からなる。昇降用の梯子Sを支持する支持杆8が昇降口Pに隣接して単管足場1の側方に突出する。昇降口Pには、引戸式開閉装置10が落下防止手段として設置される。引戸式開閉装置10は、手摺4及び中桟5に沿って水平移動可能なスライド扉40を備える。スライド扉40は、支柱20によって面内方向(X方向)に水平移動するように支承され、支柱20は、建地2、手摺4等に固定される。スライド扉40は、仮想線で示すように手摺4及び中桟5に沿ってスライドし、昇降口Pを開放し又は閉鎖する。
【0026】
図2に示す如く、引戸式開閉装置10は、建地2、手摺4等に固定可能な支柱20と、支柱20にスライド可能に支持されたスライド扉40と、スライド扉40の端部に分離可能に固定された補強管60とから構成される。スライド扉40及び補強管60は、概ね正面視方形又は矩形の枠体を構成する。本例において、支柱20、スライド扉40及び補強管60は、構造用鋼管等の鋼材を一体的に組付けることにより製作される。
【0027】
支柱20は、上下方向に延びる垂直管21と、支柱20の上端部及び下端部に配設された上下一対の水平支持管22とを有する。水平支持管22は、垂直管21の中心軸線に対し、開口部Pと反対の側に偏心した相対位置に配置される。スライド扉40は、上下一対の水平管41を有する。水平管41は、水平支持管22を貫通し、中桟44は、支柱20の水平貫通孔29を貫通する。図1に示すように、上側の水平支持管22は、緊結金具7によって手摺4に固定される。垂直管21は、緊結金具(図示せず)によって建地2に固定される。所望により、支柱20を支持するための短管(図示せず)等を建地2、腕木3、手摺4、中桟5等に固定し、このような短管に対して垂直管21及び/又は水平支持管22を緊締又は緊結しても良い。
【0028】
図3は、支柱20の構造を示す正面図である。図4(A)、図4(B)、図4(C)及び図4(D)は、水平支持管22の構造を示す平面図、正面図、側面図及び縦断面図であり、図4(E)及び図4(F)は、水平支持管22の管体構造を示す平面図及び縦断面図である。
【0029】
上下一対の水平支持管22は、図3に示すように上下対称の構造を有する。図4には、上側の水平支持管22の構成が示されている。水平支持管22は、スライド扉40の移動方向(スライド方向)Xに所定間隔Lを隔てて配置された左右一対の樹脂製ローラ23a:23bを有する。水平支持管22の管体25の各端部には、図4(E)及び図4(F)に示すように切欠き部27が形成され、各ローラ23a:23bは、切欠き部27を介して管内領域に部分的に収容される。左右一対のローラ支持具24が、切欠き部27に跨がって各ローラ23a:23bを外側から囲むように管体25に固定される。各ローラ23a:23bを回転可能に軸支する支軸26が、ローラ支持具24の側壁を貫通する。支軸26の中心軸線は、管体25の移動方向Xと直交する方向に配向される。各ローラ23a:23bは、管体25内に挿入された水平管41(図4(C)及び図4(D)に破線で示す)を移動方向Xに案内するように水平管41の上側面に転接する。
【0030】
図5は、スライド扉40の構造を示す正面図である。スライド扉40は、上下の水平管41を相互連結する垂直管42を有する。垂直管42の上端部及び下端部は、湾曲管部分43を介して上下の水平管41の外端部に連接する。垂直管42には、スライド扉40の高さ方向中心領域に連結された水平な管状中桟44が連結される。水平管41は、湾曲管部分43の近傍にボルト孔47aを備える。図2に示すように、ボルト・ナット組立体47がボルト孔47aに挿通され、締付けられる。ボルト・ナット組立体47は、水平管41の側面から僅かに突出しており、支柱20に衝合してスライド扉40の水平移動を制限するストッパ、即ち、移動阻止手段を構成する。所望により、引戸式開閉装置10の開閉操作を容易にするための把手45(図2に破線で示す)が垂直管42の内側部分に配設される。支柱に衝合して扉の水平移動を制限する移動阻止手段として把手45を用いても良い。図2に示すように、係留用トグルピン51を挿入可能なソケット部材49が、垂直管42の外側面に固定される。トグルピン51に連結された可撓性索条(ワイヤ)52が、中桟44の外端部に穿設された保持孔46に挿通され、中桟44に係留される。
【0031】
図6は、補強管60の構造を示す正面図である。補強管60は垂直な管体からなる。上下一対の挿し込み管部分61が補強管60の上端部及び下端部に突設されるとともに、ソケット状の中桟受け部分62が補強管60の高さ方向中間部分に突設される。挿し込み管部分61は、図2に示すように、水平管41の端部開口に挿入され、固定用のボルト・ナット組立体65が、挿し込み管部分61のボルト孔63および水平管41のボルト孔47b(図5)に挿通される。また、中桟44の端部が、図2に示すように中桟受け部分62に挿入される。スライド扉40及び補強管60は、上下のボルト・ナット組立体65の締付けによって一体化し、図2に示す如く、一体的な方形又は矩形の枠体を形成する。ボルト・ナット組立体65は、水平管41の側面から僅かに突出しており、支柱20に衝合してスライド扉40の水平移動を制限するストッパ、即ち、移動阻止手段を構成する。
【0032】
図7は、引戸式開閉装置10の開閉動作を示す正面図である。図7(A)には、引戸式開閉装置10によって昇降口Pを閉鎖した状態が示されており、図7(B)には、引戸式開閉装置10をスライドさせて昇降口Pを開放した状態が示されている。
【0033】
図7(A)に示す閉鎖位置においては、トグルピン51はソケット部材49に挿入され、中桟44に係留された索条52は、建地2を周回しており、スライド扉40は、閉鎖位置に保持される。トグルピン51をソケット部材49から引き抜き、スライド扉40を手動操作で移動方向X(開放方向)にスライドさせると、ローラ23(23a:23b:23c:23d)は回転し、スライド扉40は、ローラ23(23a:23b:23c:23d)に支承された状態で面内方向に水平移動し、図7(B)に示す如く、昇降口Pを開放する。スライド扉40は、ボルト・ナット組立体47が水平支持管22に衝合することにより制止される。開放位置のスライド扉40を手動操作で移動方向X(閉鎖方向)にスライドさせると、ローラ23(23a:23b:23c:23d)は回転し、スライド扉40は、ローラ23(23a:23b:23c:23d)に支承された状態で面内方向に水平移動し、図7(A)に示す如く、昇降口Pを閉鎖する。スライド扉40は、ボルト・ナット組立体65が水平支持管22に衝合することにより制止される。建地2を周回するように索条52を変形させてトグルピン51をソケット部材49に挿入すると、スライド扉40は、閉鎖位置に保持される。
【0034】
図8は、上下一対のローラ23によるスライド扉40の支持状態(比較例)を概念的に示す線図であり、図9は、上下二対のローラ23(23a:23b:23c:23d)によるスライド扉40の支持状態(本実施例)を概念的に示す線図である。
【0035】
上下一対のローラ23のみによってスライド扉40を支持した状態が、比較例として図8(A)に示されている。図8(B)及び図8(C)に示す如く、スライド扉40の重心Gは、開閉操作時にローラ23の各側に変位し、反時計廻りの力学的モーメントMと、時計廻り方向の力学的モーメントM’とがスライド扉40の位置に相応して発生する。この結果、スライド扉40は、図8(B)及び図8(C)に示す如く傾斜又は傾倒し、スライド扉40の開閉操作を困難にする。
【0036】
これに対し、本考案においては、図9(A)に示すように上下二対のローラ23(23a:23b:23c:23d)によってスライド扉40が支持される。図9(B)及び図9(C)に示す如く、スライド扉40の重心Gは、開閉操作時にローラ23(23a:23b:23c:23d)の各側に変位し、反時計廻りの力学的モーメントMと、時計廻り方向の力学的モーメントM’とが発生するが、モーメントM、M’を支持し又は打ち消す反力R、R’が、対角線方向に位置する一対のローラ23a、23d、或いは、一対のローラ23b、23cによって確保されるので、スライド扉40は傾斜又は傾倒せず、従って、作業者は、スライド扉40を円滑に開閉操作することができる。
【0037】
図10(A)、図10(B)及び図10(C)は、本発明の他の実施例に係るスライドバー式開閉装置によって昇降口を閉鎖した状態を示す単管足場の平面図、正面図及び断面図である。図11(A)及び図11(B)は、スライドバー式開閉装置を手動操作して昇降口を開放した状態を示す単管足場の平面図及び正面図である。以下の各図において、前述の実施例の構成要素又は構成部材と実質的に同一又は同等の構成要素又は構成部材については、同一の参照符号が付されている。
【0038】
単管足場1は、鋼製パイプからなる建地2、布9、腕木3、手摺4及び中桟5等を緊結金具(クランプ金具)7によって相互連結して多層構造に組付け、筋交い(図示せず)及び足場板6等を鋼製パイプの骨組に取付けた全体構成を有し、建設中の建築(図示せず)の外壁面に沿って配置される。なお、図10及び図11には、単管足場1の外側部分のみが示されている。
【0039】
スライドバー式開閉装置70のスライドバー80が、図10に示すように中桟5のレベルに配置される。スライドバー式開閉装置70は、スライドバー80を支持する水平支持管72を備える。水平支持管72は、緊結金具7によって中桟5に固定される。図10に示す閉鎖位置においては、スライドバー80は水平支持管72から突出して、昇降口P(図11)を閉鎖する。スライドバー80の先端部は、可撓性索条(ワイヤ)92によって中桟5等に係留される。水平支持管72に引き込むようにスライドバー80を矢印X方向にスライドさせると、図11に示すように、潜り戸開口形態の昇降口Pが手摺4の下側に形成される。
【0040】
図12(A)及び図12(B)は、スライドバー式開閉装置70の全体構成を示す平面図及び正面図であり、図12(C)及び図12(D)は、図12(B)のII−II線及びIII−III線における断面図である。図12(E)は、スライドバー80の開閉動作を示す平面図である。図13(A)、図13(B)、図13(C)及び図13(D)は、水平支持管72の構造を示す平面図、正面図、側面図及び縦断面図であり、図13(E)及び図13(F)は、水平支持管72の管体構造を示す横断面図及び縦断面図である。図14(A)、図14(B)及び図14(C)は、スライドバー80の構造を示す平面図、正面図及び側面図であり、図14(D)は、図14(B)のIV−IV線における断面図である。
【0041】
図12に示すように、水平支持管72は、スライドバー80の移動方向(スライド方向)Xに所定間隔Lを隔てて配置された左右一対且つ上下一対の樹脂製ローラ73a:73b:73c:73dを有する。水平支持管72の管体75の各端部には、図13(E)及び図13(F)に示すように切欠き部77が形成される。各ローラ73(73a:73b:73c:73d)は、切欠き部77を介して管内領域に部分的に収容される。左右一対のローラ支持具74が、切欠き部77に跨がって各ローラ73を外側から囲むように管体75に固定される。各ローラ73を回転可能に軸支する支軸76が、ローラ支持具74の側壁を貫通する。支軸76の中心軸線は、管体75の軸線方向(移動方向X)と直交する方向に配向される。各ローラ73は、管体75内に挿入されたスライドバー80(図13(D)に破線で示す)を移動方向Xに案内するようにスライドバー80に転接する。スライドバー80の上側面は、ローラ73a:73bによって軸線方向に水平移動可能に支承され、スライドバー80の下側面は、ローラ73c:73dによって軸線方向に水平移動可能に支承される。
【0042】
スライドバー80の構造が図14に示されている。スライドバー80は、構造用鋼管又は金属管からなる。スライドバー80の基端部81は真円形断面を有する。基端部81を除くスライドバー80の側面には、潰し加工が施されており、窪み82が、基端部81を除くスライドバー80の全長に亘って延びる。スライドバー80の先端部には、係留用トグルピン91(図12)を挿通可能な貫通孔83が形成されるとともに、輸送・搬送時等にトグルピン91が挿入されるソケット部材84が取付けられる。また、スライドバー80の先端部には、トグルピン91に連結された可撓性索条(ワイヤ)92(図12)を係留するための保持孔85が穿設される。
【0043】
図12(A)及び図12(B)に示すように、トグルピン91は貫通孔83に挿入され、索条92のループが、スライドバー80の先端部に形成される。図10(A)に示すように索条92のループが中桟5を周回することにより、スライドバー80は、閉鎖位置に保持される。トグルピン91を貫通孔83から引き抜き、索条92のループを開放することにより、スライドバー80を手動操作で移動方向X(開放方向)にスライドさせることができる。
【0044】
図12(E)には、スライドバー80の引込み位置(左図)と、スライドバー80の突出位置(右図)とが示されている。スライドバー80を手動操作で移動方向Xにスライドさせると、ローラ73(73a:73b:73c:73d)は回転し、スライドバー80は、各ローラ73に支承された状態で軸線方向に水平移動する。従って、昇降口Pは、スライドバー80のスライド運動に相応して、図10に示す如く閉鎖し、或いは、図11に示す如く開放する。
【0045】
スライドバー80の突出位置を示す図12(E)の右図には、トグルピン91をソケット部材84に挿入した状態が示されている。ソケット部材84は、スライドバー80に沿って延びるので、ソケット部材84に挿入したトグルピン91は、スライドバー80の輸送・搬送等の障害になり難い。ソケット部材84は又、図12(E)の左図に示すように、スライドバー80の引込み時に水平支持管72に衝合してスライドバー80の引込み位置を規制するストッパとして機能する。
【0046】
水平支持管72は、スライドバー80の突出位置を規制するためのストッパ用ボルト78を備えるとともに、スライドバー80の位置を固定するための固定用ボルト79を備える。図12(D)に示すように、ボルト78の先端部は、水平支持管72の管内領域に突出し、スライドバー80の窪み82に受け入れられる。図12(A)及び図12(B)に示すようにスライドバー80を突出させると、ボルト78の先端部は、スライドバー80の基端部81(図14)に衝合し、スライドバー80の突出を規制する。図12(C)及び図13(C)に示すように、ボルト79の先端部も又、水平支持管72の管内領域に突出し、スライドバー80の窪み82に受け入れられる。ボルト79を締付けることにより、ボルト79の先端部はスライドバー80の側面に圧接する。従って、ボルト79の締付け力によってスライドバー80を固定することができる。なお、ボルト79の先端部に対向する突起75a(図13(C)及び図13(E))がエンボス加工によって水平支持管72の内側面に形成される。スライドバー80は、ボルト79の締付けにより、ボルト79及び突起75aによって挟持される。
【0047】
前述の実施例と同じく、本実施例においても、上下二対(左右一対且つ上下一対)のローラ73(73a:73b:73c:73d)によってスライドバー80が支持される。スライドバー80の重心は、開閉操作時に水平支持管72の各側に変位するので、反時計廻りの力学的モーメントと、時計廻り方向の力学的モーメントとが発生する。しかしながら、各モーメントを支持し又は打ち消す反力が、対角線方向に位置する一対のローラ73a、73d、或いは、一対のローラ73b、73cによって確保されるので、スライドバー80は傾斜又は傾倒せず、従って、作業者は、スライドバー80を円滑に開閉操作することができる。
【0048】
以上、本考案の好適な実施例について詳細に説明したが、本考案は上記実施例に限定されるものではなく、実用新案登録請求の範囲に記載された本考案の範囲内で種々の変形又は変更が可能である。
【0049】
例えば、上記実施例では、上下二対の支承具(ローラ)を備えているが、上下三対又は四対の支承具を支柱に配設することも可能である。
【0050】
また、上記実施例では、扉及び支柱は、構造用鋼管等の鋼材によって製作されているが、ステンレス鋼、アルミニウム合金等の他の金属管材又は金属部材によって扉及び支柱を製作しても良い。
【0051】
更に、上記実施例においては、水平支持管は、垂直管の中心軸線に対し、昇降口開口と反対の側に偏心した相対位置に配置されているが、水平支持管を昇降口開口の側に偏心した位置に配置し、或いは、水平支持管を垂直管と整列させ、垂直管の直上位置又は直下位置に左右対称に配置しても良い。
【0052】
また、上記実施例は、単管足場の昇降用開口に設けられた引戸式開閉装置に関するものであるが、枠組足場等の昇降用開口に本考案の引戸式開閉装置又はスライドバー式開閉装置を設置しても良い。
【0053】
更には、上記実施例においては、スライドバー式開閉装置は、中桟に設置されているが、スライドバー式開閉装置は、昇降口の開口形態に相応して適宜配置し得る構成のものであり、例えば、スライドバー式開閉装置を手摺に設置し、或いは、手摺及び中桟の双方に設置することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本考案の引戸式開閉装置又はスライドバー式開閉装置は、建築物又は土木構造物等の建設工事用仮設足場に設けられる昇降用開口の落下防止手段として好適に使用し得る。所望により、本考案の引戸式開閉装置又はスライドバー式開閉装置を常設足場の昇降用引戸式開閉装置又はスライドバー式開閉装置として使用しても良い。本考案によれば、引戸式開閉装置の扉、或いは、スライドバー式開閉装置のスライドバーは、通路幅を比較的狭い寸法に設定した仮設足場においても昇降用の側面開口部を十分に開放することができ、しかも、通路と昇降手段との間で移動する作業者が比較的容易に扉又はスライドバーを開閉操作することができるので、本考案の実利性又は実用的効果は、顕著である。
【0055】
1 単管足場(仮設足場)
10 引戸式開閉装置
20 支柱
22、72 水平支持管
23(23a:23b:23c:23d)、73(73a:73b:73c:73d) ローラ(支承具)
24、74 ローラ支持具
25、75 管体
40 スライド扉
41 水平管
42 垂直管
44 中桟
60 補強管
70 スライドバー式開閉装置
80 スライドバー
P 昇降口(側面開口部)
X 移動方向(スライド方向)
L 所定間隔
M:M’ 力学的モーメント
R:R’ 反力

(57)【要約】

【課題】仮設足場の昇降用側面開口部を十分に開放するとともに、通路と昇降手段との間で移動する作業者が比較的容易に開閉操作できる仮設足場の落下防止手段を提供する。【解決手段】仮設足場の引戸式又はスライドバー式開閉装置は、仮設足場の側面開口部に落下防止手段として設置され、昇降時に開閉操作される。開閉装置は、上下の水平縁部を有するスライド式扉40又はスライドバーと、扉の上側縁部及び下側縁部、或いは、バーの上側面及び下側面を扉又はバーの幅方向又は軸線方向に水平移動可能に支承する上下二対の支承具23a〜23dとを有する。第1支承具23aは、第2支承具23bの開口部側に所定間隔を隔てて配置され、第3支承具23cは、第4支承具23dの開口部側に所定間隔を隔てて配置される。扉又はバーは、各支承具によって面内方向又は軸線方向に水平移動可能に支持される。


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