(54)【考案の名称】分散型電源システム

(73)【実用新案権者】【実用新案権者】

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、野外の工事現場等で使用される、太陽光発電または風力発電など自然エネルギーを用いた分散型電源システムに関する。

【従来の技術】

【0002】
従来、野外の工事現場で使用される投光器、保安設備、規制車あるいは電気で駆動する工具への電気の供給は、ガソリンエンジン式の可搬型発電機で行われている。ガソリンエンジン式の可搬型発電機は、稼働中常に非常に大きな騒音を出し、街の喧騒が静かになった深夜の作業では、その騒音は特に顕著となる。一方で、野外の工事現場においては、作業員の安全確保の観点から投光器、保安設備、あるいは規制車への十分な電力供給は必須である。また、作業現場が広範囲にわたる場合、複数の可搬型発電機を必要とし、騒音はますます顕著となる。
【0003】
また、ガソリンエンジン式の可搬型発電機による発電の場合、COが排出されることから、工事自体の作業によって生じる粉塵と相まって工事現場の空気は汚れ、作業環境は劣悪となる。
【0004】
そこで、特開平2002−11−69659号公報には、太陽光を利用した太陽電池と水素を利用した燃料電池のそれぞれを電力源として用い、かかる電力を蓄える蓄電池を道路工事用の電源供給車に通常取り付けられているバッテリーとし、パワーインバーターにより交流電流を供給していく安定的に簡便な電力供給システムが開示されている。
【0005】
しかし、自動車に通常取り付けられているバッテリーでは、工事現場の作業の間中、投光器、保安設備、あるいは規制車へ十分に供給できるほどの電力を蓄積することは難しい。さらには、道路改修工事などのように工事現場が広範囲にわたる場合には、広い範囲の作業現場に点在する投光器などにいかに電力を供給するかという問題も残されている。
【0006】
特開2010−20934号公報には、作業現場が広い範囲に亘る場合において、限られた電源の中で、広い範囲の作業現場を十分に照らすことができるように、移動可能な台車に投光機と該投光機に電力を供給する発電機とが設けられた照明台車が開示されている。
【0007】
しかしながら、発電機を必須の構成としている以上、移動可能な照明台車によってできる限り広い範囲の作業現場の照明をまかなおうとしても、騒音、空気の汚染は回避できない。
【0008】

【効果】

【0015】
本考案にかかる野外の工事現場で使用される分散型電源システムによれば、太陽電池モジュール、または風力発電モジュール、ダイナモなどの車両の動力により発電された電力を蓄積した二次電池から提供される電力を使って規制車に搭載された電光表示板、投光器および保安設備の照明を含む点灯対象照明を点灯させることから、地球に優しく安全で、なおかつ、野外の工事現場の騒音が抑えられ、併せてCO2排出量を削減することが可能となる。特に、太陽電池モジュールおよび風力発電モジュールによって発電される電力を利用して二次電池に電力を蓄積する構成とした場合、太陽電池モジュール、風力発電モジュールおよびこれらに接続された二次電池を荷台に搭載したトラックなどが工事現場に移動している間(走行中)を利用して本システムの電源となる二次電池に充電可能となる。
【0016】
また、複数の二次電池が相互に電気的に接続され、複数の二次電池蓄のうち、いずれかの二次電池に蓄積された電力が予め定められた所定の電力量以下となった場合に、他の二次電池が余剰電力を該二次電池に供給するため、システム全体として点灯対象照明をできる限り長時間点灯し続けることが可能となる。特に、二次電池に接続された電光表示板、投光器および保安設備の照明を含む点灯対象照明の種類によって実際に消費する電力が異なる一方、二次電池に蓄積できる電力は、二次電池の容量によって制約されるため、複数の二次電池の間で余剰電力を互いに融通し合うことは、少ない二次電池の容量で、広範囲の領域で必要される電力を効率的にまかなうことができるという利点がある。
【0017】
さらに、複数の二次電池のそれぞれは、リチウムイオン電池からなるため、例えば、同程度の電力供給力を持つ他の二次電池と比べて、軽量用かつ大きさもコンパクトとなることから、持ち運びが容易となる。また、製品寿命も長く、使い勝手がよい。
【0018】
さらに、複数の二次電池は、商用電力系統からも充電可能とすることにより、天候に左右される太陽電池モジュールあるいは風力発電モジュールの欠点を補って、安定的に二次電池に電力を蓄積することが可能となる。
【0019】
さらに、点灯対象照明が、LED照明とすることで、システム全体の消費電力を少なくとすることが可能となる。
【0020】
さらに、本考案にかかる二次電池は、移動容易な台車に搭載され、台車から延びる支柱の装着部に、二次電池に接続された太陽電池モジュールまたは風力発電モジュールを装着すれば、太陽電池モジュールまたは風力発電モジュールから発電される電力を充電することが可能となり、太陽電池モジュールまたは風力発電モジュールをはずして二次電池と接続された投光器を装着すれば、そのまま投光器を工事現場で使用可能となることから、二次電池の充電と活用が簡便となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本考案にかかる野外の工事現場で使用される分散型電源システムの全体図である。
【図2】風力発電モジュールを規制車に搭載して使用する一例を示す。
【図3】本考案にかかる野外の工事現場で使用される分散型電源システムで使用される、二次電池を収納する収納BOXと投光器などを装着する支柱とを含む台車の一例を示す。
【図4】収納BOXの内部を示す斜視図。
【図5】収納BOXの通気口に挿入するフィルタの一例を示す。
【図6】本考案にかかる二次電池に太陽電池モジュールから発生した電力を充電する構成の一例を示す。
【図7】太陽電池モジュールにかえて風力発電モジュールを台車の支柱に搭載することにより風力発電モジュールで発生した電力を二次電池に充電している構成の一例を示す。
【図8】トラックなどの自動車に搭載した風力発電モジュールを示す。
【図9】太陽電池モジュールあるいは風力発電モジュールで発生させた電力を蓄積した二次電池を使った投光器の構成の一例を示す。

【0022】
以下、本考案を実施するための形態について説明する。なお、本考案は、以下の説明に限定されることなく、種々の異なる態様での実施が可能である。以下では、同一の部材、同一に定義される部材には同じ符号を用いる。
【0023】
図1は、本考案の一実施形態にかかる野外の工事現場で使用される分散型電源システムの全体図である。規制車に搭載された電光表示板50、投光器30および保安設備の照明70と、収納BOX20に収納された複数の二次電池10とからなり、複数の二次電池10は規制車80に搭載された電光表示板50、投光器および保安設備の照明にそれぞれ接続され、電光表示板50等を点灯する。さらに、複数の二次電池10は、相互に接続されており、蓄積されている電力をたがいに融通し合うことが可能となっている。二次電池10には、投光器などの点灯対象照明のみならず、電気工具60とも接続して電気工具60の電力を供給することも可能である。
【0024】
図2は、風力発電モジュール40を規制車80に搭載して使用する一例を示す。風力発電モジュール40は、電光表示板50の表示の妨げにならないように、また、風を十分に受けることができるよう、電光表示板50の裏側に配置し、プラスチック板や金属薄板等、硬質弾性素材等からなる受風板が電光表示板の上から突出されるように配置する。さらに、規制車80に搭載された電光表示板50の裏側に電光表示板50にかからない高さで風力発電モジュール40を配置してもよい。
【0025】
規制車80に風力発電モジュール40を搭載する場合、風力発電モジュール40は夜でも発電可能であることから、規制車80に搭載された二次電池は電光表示板50を点灯しつつ風力発電モジュールより発電された電力により充電されるため、二次電池をより継続して長時間使用し続けることが可能となる。また、自然エネルギーである風力発電を利用することから、自然環境に優しい野外の工事現場で使用される分散型電源システムを提供することが可能となる。
【0026】
本考案のシステムで使用される二次電池としては、電気自動車80に搭載あるいは装備されるバッテリーを利用してもよい。工事現場は交通の便が悪いところが多く、現場への移動手段として自動車が用いられるのが一般的であるところ、最近の地球環境への配慮から電気自動車も徐々に普及しつつあり、工事現場への移動手段である電気自動車80に搭載されているバッテリーを本考案にかかる野外の工事現場で使用される分散型電源システムで用いられる二次電池10として利用すれば、既存の二次電池を使って効率よく本考案のシステムで用いられる二次電池10を確保することが可能となる。
【0027】
さらには、ショベルカー、クレーン車等の建設重機(建設機械)に搭載あるいは装備されているバッテリーを本考案のシステムで使用される二次電池として利用してもよい。最近の地球環境への配慮から、自動車のみならずエンジンで駆動していた建設重機(建設機械)もバッテリーで駆動するものが徐々に普及しつつあり、これらのバッテリーも本考案にかかる野外の工事現場で使用される分散型電源システムで用いられる二次電池10として利用すれば、既存の二次電池を使って効率よく本考案のシステムで用いられる二次電池10を確保することが可能となる。
【0028】
二次電池10は、規制車80に搭載してもよいし、例えば、図3に示されるような投光器が脱着可能に搭載される台車90に搭載される。台車90は、基台91と、基台91に装着された4つの車輪92と、基台91からほぼ垂直に延びた略T字形状の手押し部分93と、基台91に搭載されて二次電池10やインバータを収納する収納BOX20と、収納BOX20と手押し部分93との間に基台91からほぼ垂直に伸縮自在に延長される支柱94と、支柱94の先端に配置された投光器30等を装着可能とする装着部95とからなる。車輪92には、図示していないが、適宜ストッパーを設けてもよい。
【0029】
収納BOX20は、全体が雨などによって錆ないように加工された金属から成り、手押し部分93と反対側の側面が開閉可能な扉となっている。図4に示すように、収納BOX20は扉をあけると、内部にスライド式の棚21が設けられ、二次電池10もしくはインバータを収納しやすいように構成されている。また、二次電池10やインバータは稼働すると熱を発するため、熱を逃がすための通気口23が設けられている。工事現場は作業によって粉塵が大量に舞うため、通気口23には、粉塵が収納BOX20に入り込まないよう、例えば図5に示すフィルタ24が挿入可能となっている。
【0030】
二次電池10は、規制車80や台車90に搭載されるため、移動が容易となり、特に広い作業現場ではその利便性が顕著となる。
【0031】
複数の二次電池10が互いに余剰電力を融通し合う構成の一例としては、いずれかの二次電池10に充電された電力が、投光器30などに電力を供給しているうちに予め定められた所定の電力量以下となり、一方、他の二次電池の電力量は所定の電力量以上残っている場合に、他の二次電池10が余剰電力を該二次電池10に供給する構成としてもよい。この場合、例えば、ある時点における残存電力量から他の二次電池が電力を供給する対象の種類、例えば、電光表示板50、投光器30あるいは保安設備の照明70の単位時間当たりの消費電力量と該ある時点以降の使用予定時間を積分した電力量を引いた電力量を余剰電力としてもよい。あるいは、ある時点における残存電力量から所定の電力量を引いた残りの電力量の1/3の電力量を余剰電力量としてもよい。また、所定の電力量は、全ての二次電池10に共通で定めてもよいし、二次電池10が電力を供給する対象の種類、例えば、電気工具60、電光表示板50、投光器30、あるいは保安設備の照明70毎に個別に定めてもよい。例えば、二次電池が電力を供給する対象が電光表示板50の場合、所定の期間点灯し続けるのに必要とする電力量を該二次電池の所定の電力量としてもよい。
【0032】
建設重機(建設機械)に搭載または装備されるバッテリーを本考案のシステムで使用される二次電池10として利用する場合は、建設重機(建設機械)に搭載または装備されるバッテリーの所定の電力量は、建設重機(建設機械)が所定の期間駆動するのに必要とする電力量にのみ基づいて定めてもよいし、建設重機(建設機械)に搭載または装備されるバッテリーが電力を供給する対象の種類、例えば、電気工具60、電光表示板50が所定の時間点灯するのに必要とする電力量および建設重機(建設機械)が所定の時間の間駆動するのに必要とする電力量の合計の電力量にもとづいて定めてもよい。
【0033】
二次電池10の電力量が所定の電力量以下となったか否かは、各二次電池10の電力量の残量を監視するモニター装置を設けて判断してもよい。モニター装置は、ある二次電池10の電力量が所定の電力量以下になったと判断すると、余剰電力が十分にある二次電池10から余剰電力を、所定の電力量以下となった二次電池10に供給するように制御してもよい。
【0034】
二次電池10には、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池など様々な種類の電池を用いることが可能であるが、比較的、同程度の電力供給力を持つ他の二次電池と比べて、軽量用かつ大きさもコンパクトなリチウムイオン電池を用いることが望ましい。
【0035】
図6は、太陽電池モジュール100から発生した電力を二次電池10に充電するための構成の一例を示している。図3に示すように、支柱94の先端に配置された装着部95に太陽電池モジュールを装着し、太陽電池モジュール100と接続された二次電池10が収納された収納BOX20を搭載した台車90を資材置き場などの野外に置いておけばよい。
【0036】
太陽電池モジュール100は、単結晶シリコンや多結晶シリコンを用いた結晶系太陽電池、非晶質シリコンや微結晶シリコンを用いた薄膜太陽電池等種々の太陽電池を用いることができ、太陽電池モジュールは、例えば、電気的に接続された複数の太陽電池が、ガラスなどの透光性を有する表面部材と、耐侯性フィルム等の透光性を有する部材からなる裏面部材との間に、耐候性、耐湿性に優れた耐候性樹脂剤であるエチレン酢酸ビニル等の透光性を有する封止材により封止されて構成されている。裏面部材も透光性部材で構成され、表裏からの光が入射される両面入射型としてもよい。
【0037】
裏面部材も透光性部材で構成した場合、表裏からの光が入射される両面入射される太陽光でも電力を発生することが可能となるため、より効率的に二次電池に電力を蓄積することが可能となる。
【0038】
図7は、風力発電モジュール100から発生した電力を二次電池10に充電するための構成の一例を示している。図7に示すように、支柱94の先端に配置された装着部95に太陽電池モジュール100にかえて風力発電モジュール100を装着し、風力発電モジュール100と接続された二次電池10が収納された収納BOX20を搭載した台車90を資材置き場などの野外に置いておけばよい。風力発電モジュール100の場合、日照量が不十分な日や、夜間であっても発電可能である。
【0039】
図8は、トラックなどの自動車に搭載した風力発電モジュール40および太陽電池モジュール100とそれに接続された二次電池10が収納された収納BOX20を示す。風力発電モジュール40は、トラックの進行方向からの風を受けることができる向きにトラックの荷台に設置される。また、台車90がトラックの荷台に積まれ、太陽電池モジュールは台車90の支柱94の装着部95に装着されることにより十分に太陽光を受けることが可能となる。このようにトラックなどの自動車に搭載した風力発電モジュール40は、風がない日であってもトラックが工事現場に走行している間、電力を発生し、二次電池に電力を蓄積させることが可能となる。
【0040】
二次電池10は、車両のバッテリーの充電や電装品駆動などに必要な電力を発生するダイナモ等の車両動力またはシガーライターによって発電された電力を蓄積可能としてもよい。ダイナモ等の車両動力またはシガーライターによって発電された電力による二次電池10の充電は、並行して電光表示板50などの点灯も可能であることから、二次電池をより継続して長時間使用し続けることを可能とする。
【0041】
二次電池10は、太陽電池モジュール100あるいは、風力発電モジュール40で発電した電力などの自然エネルギー、若しくはダイナモなどの車両動力によって充電が行なわれるのみならず、商用電力系統からの電力による蓄電も行うことができるように、商用電力系統に接続されるコンセントも有する。これにより、太陽電池モジュールあるいは風力発電モジュールが発生する電力が天候に左右されて不十分な場合でも、二次電池に十分な電力を蓄積することが可能となる。
【0042】
図9は、太陽電池モジュール100あるいは風力発電モジュール40で発生させた電力を充電した二次電池10を使った投光器30の構成の一例を示す。太陽電池モジュール100あるいは風力発電モジュール40にかえて、支柱94に投光器30を搭載することで、電源とともに移動可能な投光器30とすることが可能となる。この場合、二次電池10を台車90にのせたままで、充電と投光器30への電力供給が可能となるため、使い勝手がよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本考案にかかる野外の工事現場で使用される分散型電源システムによれば、自然エネルギーにより発電された電力を積極的に用いた二次電池を活用して、地球に優しく安全で、なおかつ、騒音が少なく、COの削減が可能な、野外の工事現場で使用される分散型電源システムを提供することが可能となる。
【0044】
また、本考案にかかる野外の工事現場で使用される分散型電源システムによれば、相互に接続されている複数の二次電池の間で、電力の蓄積量が十分な二次電池が電力の蓄積量に不足が生じた二次電池に余剰電力を供給することにより、作業場が広範囲にわたる工事現場が必要とする電力を出来る限り長時間提供可能となる。さらには、建設重機(建設機械)に装備されているバッテリーを本考案のシステムで用いられる二次電池10とする構成とする場合、本考案のシステムで用いられる二次電池10を確保することが可能となるのみならず、バッテリーで駆動する建設重機(建設機械)それ自体の使用時間も他の二次電池からの余剰電力の供給を受けることが可能となり継続して長時間使用し続けることが可能となる。
【0045】
10 二次電池
20 収納BOX
30 投光器
40 風力発電モジュール
50 電光表示板
60 電気工具
70 保安設備の照明
80 電気自動車
90 台車
91 基台
92 車輪
93 手押し部分
94 支柱
95 装着部
100 太陽電池モジュール


(57)【要約】

【課題】地球環境に優しく、騒音の少ない、効率的な野外の工事現場で使用される分散型電源システムを提供する。【解決手段】野外の工事現場で使用される分散型電源システムは、太陽電池モジュールあるいは風力発電モジュールなどによって充電可能な複数の二次電池を電源として用い、いずれかの二次電池に蓄積された電力が、所定の電力量以下となった場合に、他の二次電池の余剰電力を該二次電池に供給することを特徴とする。


【パテントレビュー】

あなたの意見を伝えましょう:


【インターネット特許番号リンク】

インターネット上にあるこの特許番号にリンクします(発見しだい自動作成):