【0001】
本考案は、綴じ穴が穿設された紙葉類を綴じるための綴じ具に関する。
【0002】
従来の綴じ具として、ファイル表紙に固定される固定板102と、紙葉類を挟持するための押え板103と、紙葉類に穿設された綴じ穴に挿通する一対の帯状の綴じ紐105とを、一体形成したものがある(特許文献1、特許文献2)。そして、特許文献1に記載の綴じ具は、図6(a)(b)に示すように、綴じ紐105を押え板103の上面側へ突き出させるために押え板103の前端側に真っ直ぐ切り込んで形成された切込606と、切込606の開口縁に突設された一対の逆止弾性片607と、押え板103の上面に一体に形成されて綴じ紐105を挟止する断面U字状部107とが設けられている。一方、特許文献2に記載の綴じ具は、図7に示すように、綴じ紐105を押え板103の上面側へ突き出させるために押え板103の前端側に矩形状に大きく真っ直ぐ切り欠いて形成された切欠部706が設けられている。
【0013】
以上のように、本考案に係る綴じ具によれば、紙葉類を綴じたり取り外したりする作業性の良いものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態による綴じ具を展開して裏側から見た状態の平面図である。
【図2】実施形態による綴じ具の使用状態であって紙葉類を綴じ紐に差し込んだ状態の斜視図である。
【図3】実施形態による綴じ具の使用状態であって押え板を倒して紙葉類を綴じ込んだ状態の斜視図である。
【図4】押え板の上面に突設したレール部に綴じ紐を係止させた状態を示す要部側面図である。
【図5】切欠部における配置部の他の形状を示すための平面図である。
【図6】従来の綴じ具を示す斜視図である。
【図7】従来の他の綴じ具を示す斜視図である。
以下に、本考案の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
本考案の実施形態による綴じ具1は、ファイル表紙10に取り付けられて書類等の紙葉類12を綴じ込むファイルとして使用される。なお、ファイル表紙10の背表紙には、数本の折曲線11(図2等参照)が形成され、綴じ込む紙葉類12の厚みに対応でき、かつ表紙を開閉し易くされている。
【0016】
図1〜図3に示すように、実施形態による綴じ具1は、ポリプロピレン等の可撓性及び弾性を有する合成樹脂で一体に形成されたものであり、ファイル表紙10に固定される固定板2と、固定板2との間に配置された紙葉類12を挟持するための押え板3と、紙葉類12に穿設された2穴の綴じ穴13に挿通するための一対の細長い可撓性を有する帯状の綴じ紐5とを有する。
【0017】
固定板2と押え板3とはヒンジ部4を介して一体に形成され、押え板3は、固定板2と対向するようにヒンジ部4で折り返し可能となっている。ヒンジ部4には、所定幅を有し、長手方向に数本の折曲線41が形成され、綴じ込む紙葉類12の厚みに対応でき、かつ折り曲げ易く形成されている。
【0018】
固定板2は、長方形状の主体部21と、主体部21の長手方向の両端からそれぞれ延長するように設けた突片部22とを有し、主体部21の前端付近と両突片部22とがファイル表紙10に溶着23して取り付けられている。なお、固定板2は、溶着23以外の手段として、例えば、接着、リベット等の固定具でファイル表紙10に取り付けるようにしてもよい。
【0019】
綴じ紐5は、固定板2における主体部21の長手方向の両端にそれぞれ形成され、一端が自由端51となり、他端が固定板2と一体に形成されている。この綴じ紐5は、自由端51側が先細状に形成されている。また、綴じ紐5は、押え板3の上面との対向面に前記綴じ紐5の幅方向に線状に延びる凹凸部53が形成されている。さらに、綴じ紐5の自由端51は、押え板3のレール部7に係止された状態では上方へ反り上がるように形成されているが(図4(a)(b)を参照)、反らさずに真っ直ぐ形成されてもよい。
【0020】
押え板3には、この押え板3がヒンジ部4で折り返されて固定板2と対向された状態で綴じ紐5を押え板3の上面側へ突き出させるための切欠部6が2箇所に形成されるとともに、切欠部6から押え板3の上面側へ突き出させた綴じ紐5の自由端51を着脱自在に係止させるためのレール部7が押え板3の上面における各切欠部6の外側にそれぞれ一体に形成されている。
【0021】
各切欠部6は、綴じ紐5の根元52側と略対応する押え板3の前端側の位置に形成されている。そして、各切欠部6は、レール部7の対応位置から内側へ向かって斜めに延びて押え板3の前端に開放された案内部61と、レール部7の対応位置に設けられてレール部7に係止される綴じ紐5の根元52側が配置されるように案内部61に連通され且つ案内部61よりも幅広に形成された矩形状の配置部62とより構成されている。
【0022】
各レール部7は、図4をも参照して、綴じ紐5の幅側両端部を各々係止する対向した凹壁71で構成されており、切欠部6の配置部62から押え板3の長手方向端部に至って部分的に押え板3の上面に突設されている。すなわち、各レール部7は、途中に凹壁71が形成されない欠落部72を有している。従って、この欠落部72より指を入れてレール部7に係合された綴じ紐5を摘んで持ち上げることができ、綴じ紐5をレール部7から容易に係合解除させることができる。なお、レール部7は、上記欠落部72が無く、切欠部6の配置部62から押え板3の長手方向端部に至って連続して形成されてあってもよい。また、押え板3におけるレール部7を設けた領域には、綴じ紐5の凹凸部53と引っ掛かるようにレール部7の幅方向に線状に延びる凹凸部73が形成されている。
【0023】
以上の構成を備えた綴じ具1によれば、切欠部6の案内部61がレール部7の対応位置から内側へ向かって斜めに延びて押え板3の前端に開放されているので、紙葉類12を収容させた状態で綴じ紐5を内側へ斜めに傾けた状態で、この綴じ紐5を案内部61へ導入し易い。そして、この綴じ紐5を案内部61奥の配置部62まで導入すると、配置部62が案内部61よりも幅広に形成されているので、綴じ紐5が配置部62に係止されて配置部62からの脱出が阻止される。一方、配置部62内の綴じ紐5を案内部61側へ誘導することで、綴じ紐5を切欠部6から容易に脱出させることができる。従って、綴じ紐5の切欠部6への導入及び脱出の作業性が良い。
【0024】
また、押え板3の上面に一体に形成されたレール部7は、綴じ紐5の幅側両端部を各々係止する凹壁71で構成されているので、切欠部6の配置部62に導入された綴じ紐5をレール部7に押え付けると綴じ紐5がレール部7に簡単に嵌め込まれて係止される。また、レール部7に係止された綴じ紐5を持ち上げると、レール部7から綴じ紐5を簡単に係合解除させることができる。従って、綴じ紐5のレール部7への係合及び係合解除の作業性が良い。
【0025】
また、綴じ紐5と押え板3のレール部7を設けた領域には、それぞれ互いに引っ掛かり合う凹凸部5373が形成されているので、綴じ紐5とレール部7との係止を強固にすることができ、綴じ紐5がレール部7から抜け出すような不具合を防止することができる。
また、綴じ紐5は、自由端51側が先細状に形成されているので、レール部7に係合された綴じ紐5の先端部を指で容易に引っ掛けることができ、綴じ紐5の先端部を指で引っ掛けて持ち上げることで綴じ紐5をレール部7から一層容易に係合解除させることができる。
さらに、綴じ紐5は、自由端51側がレール部7に係止された状態では上方へ反り上がるように形成されているので、レール部7に係合された綴じ紐5の先端部を指で容易に引っ掛けることができ、綴じ紐5の先端部を指で引っ掛けて持ち上げることで綴じ紐5をレール部7から一層容易に係合解除させることができる。
【0026】
以上より、本綴じ具1によれば、紙葉類12を綴じたり取り外したりする作業性が非常に良い。
【0027】
なお、本考案は、上記実施形態のみに限定されず、例えば、図5に示す綴じ具1aのように、切欠部6における配置部62’の形状は、円形に形成されてもよいし、他の種々の形状に形成されてもよい。
1 綴じ具
2 固定板
3 押え板
4 ヒンジ部
5 綴じ紐
6 切欠部
7 レール部
10 ファイル表紙
12 紙葉類
13 綴じ穴
51 自由端
52 根元
61 案内部
62 配置部
71 凹壁
【課題】紙葉類を綴じたり取り外したりする作業性の良い綴じ具を提供する。【解決手段】綴じ具1は、固定板2と、押え板3と、綴じ紐5とが一体に形成される。押え板3には、綴じ紐5を上面側へ突き出させる切欠部6が前端側に形成され、綴じ紐5の自由端51を係止させるレール部7が切欠部6より外側の上面に形成される。切欠部6は、レール部7の対応位置から内側へ向かって斜めに延びて押え板3の前端に開放された案内部61と、レール部7の対応位置に設けられてレール部7に係止される綴じ紐5の根元52側が配置されるように案内部61に連通され且つ案内部61よりも幅広に形成された配置部62とを備える。
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