(54)【考案の名称】冷凍システム

(73)【実用新案権者】株式会社岩谷冷凍機製作所

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、蒸気圧縮式冷凍機に関し、特に例えば食品スーパーに設置される、それぞれ冷凍温度が異なる複数の蒸気圧縮式冷凍機を備える冷凍システムに関する。

【従来の技術】

【0002】
食品スーパー等においては、各種の商品を低温で保存あるいは展示するために、蒸気圧縮式冷凍機が多用されている。しかるに商品を保存や展示する温度は、商品の種類によって相違する。例えば日配品といわれる牛乳、ジュース、及び豆腐等は、5〜10℃の温度で保存等され、鮮魚や精肉等は、−5〜0℃の温度で保存等され、アイスクリーム等の冷凍食品は、−25〜−18℃の温度で保存等される。このような温度で商品を保存等するためには、冷凍機の蒸発器における冷媒の蒸発温度が、それぞれ商品の保存温度より低い0℃、−10℃、および−45〜−35℃程度にすることが必要になる。このため、それぞれ異なる冷媒の蒸発温度毎に、3系統の冷凍機が必要になる。
【0003】
図5に蒸気圧縮式冷凍機の基本構成を示す。すなわち蒸気圧縮式冷凍機7は、圧縮機71、凝縮器72、減圧弁73、蒸発器74、及びこれらの構成要素を循環する冷媒を備えている。図6(A)に、蒸気圧縮式冷凍機7のサイクル線図を示す。なお縦軸は冷媒の圧力(P)を、横軸は冷媒のエンタルピー(H)を示している。
【0004】
すなわち冷媒は、図5に示す圧縮機71によって圧縮されて、点7bの昇温した高圧のガス冷媒となり、次いで凝縮器72において大気中に熱量Q71を放熱して、点7cの、ほぼ飽和液状態まで等圧変化する。次いで減圧弁73において減圧して、点7dの低温の気液混合状態の冷媒にまで、等エンタルピー変化する。そして蒸発器74において、食品等から熱量Q72を吸熱して液冷媒が気化することによって、この食品等の温度を低下させて、点7aのほぼ飽和状態の蒸気まで等圧変化する。
【0005】
図6の(A)、(B)及び(C)は、それぞれ蒸発器における冷媒の蒸発温度が相違する蒸気圧縮式冷凍機7、8、および9のサイクル線図を示しており、各蒸気圧縮式冷凍機は、それぞれ図5に示した基本構成を有している。なお図6の(A)、(B)及び(C)に示すように、蒸気圧縮式冷凍機7、8、および9の蒸発器74等における冷媒の蒸発温度は、図6の(A)が最も高く、次いで(B)及び(C)の順に、温度が低くなっている。すなわち図6の(A)に示す蒸気圧縮式冷凍機7では、日配品を冷却し、(B)に示す蒸気圧縮式冷凍機8では、鮮魚や精肉等を冷却し、(C)に示す蒸気圧縮式冷凍機9では、アイスクリーム等の冷凍品を冷却する。
【考案が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した蒸発器における冷媒の蒸発温度が相違する複数の蒸気圧縮式冷凍機の使用には、次の改良すべき課題がある。すなわち冷凍機の冷却能力は、それぞれの蒸発器における吸熱量(Q72、Q82、Q92)であり、それぞれの冷却効率(COP)は、吸熱量(Q72、Q82、Q92)/圧縮機動力(W、W、W)で表わされる。ところが蒸発器における冷媒の蒸発温度が低くなる程、冷却能力(吸熱量)も冷却効率(COP)も低下する。
【0007】
すなわち蒸発器における冷媒の蒸発温度を低くするためには、減圧弁における減圧比を大きくして、蒸発器における冷媒の圧力を低くする必要がある。しかるに蒸発器における冷媒の圧力が低くなると、ガス冷媒の密度が低下(比容積が増大)し、冷凍機を循環する冷媒の質量(重量)流量が減少する。ここで冷却能力(Q82等)は、冷凍機を循環する冷媒の質量(重量)流量に比例するため、冷凍機を循環する冷媒の質量(重量)流量が減少すると、冷凍機の冷却能力(Q82等)も低下してしまう。
【0008】
さらに凝縮器が放熱する大気温度が一定の場合には、圧縮機の出口圧力も一定に保持される。しかるに蒸発器における冷媒の蒸発温度を低くすると、上述したように、蒸発器における冷媒の圧力も低くなり、圧縮機の吸引圧力も低くなる。したがって圧縮機の圧縮比が大きくなり、冷媒の単位質量当りの圧縮機動力(W等)が増加する。ここで上述したように、蒸発器における冷媒温度を低くすると、冷媒の質量(重量)流量が減少するため、吸熱量(Q82等)も低下する。よって冷却効率(COP)=吸熱量(Q82等)/圧縮機動力(W等)において、吸熱量(Q82等)が低下し、かつ圧縮機動力(W等)が増加するため、冷却効率(COP)は、大幅に低くなるという問題がある。
【0009】
そこで本考案の目的は、複数の蒸気圧縮式冷凍機を備える冷凍システムにおいて、蒸発器における冷媒の蒸発温度が低い冷凍機の冷却能力と冷却効率とを向上させることにある。

【効果】

【0015】
蒸発器における冷媒の蒸発温度が相対的に高い蒸気圧縮式冷凍機から、冷媒の一部を分流させ、この分流した冷媒により、蒸発器における冷媒の蒸発温度が相対的に低い蒸気圧縮式冷凍機の凝縮器の出口冷媒を過冷却することによって、この蒸発温度が相対的に低い蒸気圧縮式冷凍機の蒸発器における吸熱量を増加させることができる。したがって蒸発温度が相対的に低い蒸気圧縮式冷凍機の冷却能力(吸熱量)と冷却効率(COP)とを向上させることができる。
【0016】
なお蒸発器における冷媒の蒸発温度が相対的に高い蒸気圧縮式冷凍機は、上述したように冷却効率が高い。また蒸気圧縮式冷凍機の凝縮器の出口冷媒の温度は、商品を冷却するための蒸発器における冷媒の蒸発温度より、大幅に高い。よって、蒸発温度が相対的に高い蒸気圧縮式冷凍機から分流した冷媒によって、蒸発温度が相対的に低い蒸気圧縮式冷凍機の凝縮器の出口冷媒を過冷却するときには、高い冷却効率(COP)が得られる。したがって蒸発器における冷媒の蒸発温度が相対的に高い蒸気圧縮式冷凍機は、日配品に対する冷却効率だけでなく、冷媒の蒸発温度が相対的に低い蒸気圧縮式冷凍機の凝縮器の出口冷媒を過冷却するときの冷却効率も高くすることができる。
【0017】
以上により蒸発器における冷媒の蒸発温度が相対的に高い蒸気圧縮式冷凍機の容量に余裕を持たせれば、この蒸気圧縮式冷凍機において高い冷却効率(COP)を発揮させ得るだけでなく、冷媒の蒸発温度が相対的に低い他の蒸気圧縮式冷凍機の冷却能力(吸熱量)及び冷却効率(COP)も、効率的に向上させることができる。したがって冷却温度が互いに相違する複数の蒸気圧縮式冷凍機を備える冷凍システム全体について、冷却能力(吸熱量)と冷却効率(COP)とを向上させことができる。
【0018】
上述した蒸発温度が相対的に高い蒸気圧縮式冷凍機の凝縮器の出口において複数に分流した各々の冷媒経路に、それぞれ冷媒の流路を開閉する遮断弁を設けることによって、次の作用効果を発揮させることができる。すなわち蒸気圧縮式冷凍機は、冷却負荷が少なくなった場合には、減圧弁を絞って、冷媒の質量循環流量を減少させるが、さらに冷却負荷が少なくなった場合、例えば商品の温度が所定の冷却温度に達した場合には、それ以上冷却を行なう必要がないため、通常、圧縮機を停止させる。そして商品の温度が所定の温度以上に再び昇温したときは、圧縮機を始動して、商品の温度を所定の冷却温度に降下させる。すなわち冷凍機の冷却負荷が大幅に減少した場合には、通常、圧縮機の発停を繰り返して、商品の温度を所定の冷却温度に維持する。しかるに圧縮機を発停させる際には、多くの電力が消費される。
【0019】
本考案による冷凍機システムでは、例えば冷媒の蒸発温度が相対的に低い蒸気圧縮式冷凍機の冷却負荷が低くなった場合には、これらの蒸気圧縮式冷凍機への分流経路を遮断弁で閉じれば、凝縮器から流出する冷媒の過冷却が中断され、これらの蒸気圧縮式冷凍機の冷却能力を低下させることができる。次に、蒸気圧縮式冷凍機の冷却負荷が高くなった場合には、再度遮断弁を開けて、これらの蒸気圧縮式冷凍機への分流経路を開き、凝縮器の出口冷媒に対する過冷却を再開することによって、これらの蒸気圧縮式冷凍機の冷却能力を回復させることができる。また冷媒の蒸発温度が相対的に高い蒸気圧縮式冷凍機の冷却負荷が低くなった場合には、この蒸気圧縮式冷凍機への分流経路を遮断弁によって閉じれば、この蒸気圧縮式冷凍機による商品の冷却を停止させることができる。したがって本考案による冷凍機システムでは、各圧縮式冷凍機の冷却負荷が変動した場合には、それぞれの遮断弁を開閉することによって、それぞれの圧縮式冷凍機の冷却能力を変化させることが可能となり、圧縮機を発停させる従来の手段に較べて、大幅に電力の消費を低減させることができる。さらに圧縮機の頻繁な発停を回避することによって、圧縮機の損耗を減少させることができる。
【0020】
上記蒸気圧縮式冷凍機の1つから分流させた冷媒によって、冷熱槽内のブラインを冷却して冷熱を蓄熱し、この冷熱を蓄熱したブラインによって、上記他の蒸気圧縮式冷凍機の凝縮器の出口における冷媒から熱交換器を介して吸熱することによって、次の作用効果を発揮させることができる。すなわち上記複数の蒸気圧縮式冷凍機は、冷却商品の量や個数の変動によって、それぞれ冷却負荷が変動する場合が生じる。したがって例えば、冷却温度が低い上記他の蒸気圧縮式冷凍機の冷却負荷が低くなったときには、この蒸気圧縮式冷凍機の冷却能力や冷却効率を向上させる必要性が低くなる。かかる場合には、冷却効率が高い上記蒸気圧縮式冷凍機の1つから分流した冷媒を減圧弁で低温にして、冷熱槽内のブラインに冷熱として蓄熱しておく。そして冷却温度が低い上記他の蒸気圧縮式冷凍機の冷却負荷が高くなったときには、冷熱槽内のブラインによって、この蒸気圧縮式冷凍機の凝縮器の出口冷媒を過冷却すれば、冷却能力や冷却効率が高い上記蒸気圧縮式冷凍機の1つは、日配品を冷却する能力に余裕が得られるため、日配品の量や個数を増やすことが可能となる。
【0021】
逆に冷却温度が高い上記蒸気圧縮式冷凍機の1つの冷却負荷が低くなったときには、この蒸気圧縮式冷凍機の1つは、冷熱槽内のブラインを冷却する能力に余裕が得られるため、冷熱槽内のブラインに冷熱として蓄熱しつつ、同時に冷却温度が低い上記他の蒸気圧縮式冷凍機の凝縮器の出口冷媒を過冷却して、この他の蒸気圧縮式冷凍機の冷却能力や冷却効率を向上させることできる。そして冷熱槽内のブラインに蓄熱した冷熱は、上記蒸気圧縮式冷凍機の1つの冷却負荷が増大したときに、この蒸気圧縮式冷凍機の冷却能力を減少させることなく、上記他の蒸気圧縮式冷凍機の冷却能力や冷却効率を向上させるために利用することが可能となる。
【0022】
分流した2つの冷媒経路、およびポンプと他の蒸気圧縮式冷凍機の凝縮器の出口に設けた熱交換器との間のブライン経路に、それぞれ遮断弁を備えることによって、上述したように、複数の蒸気圧縮式冷凍機における冷却負荷の変動に対して、分流したそれぞれの冷媒やブラインの供給を、停止させたり再開させたりすることが可能となり、複数の蒸気圧縮式冷凍機と冷熱槽とを備えた冷凍システム全体について、冷却効率の最適化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】冷凍システムの基本構成図である。
【図2】冷凍システムの他の基本構成図である。
【図3】冷凍システムを構成する複数の蒸気圧縮式冷凍機のサイクル線図である。
【図4】冷凍システムを構成する他の複数の蒸気圧縮式冷凍機のサイクル線図である。
【図5】従来例による蒸気圧縮式冷凍機の基本構成図である。
【図6】従来例による複数の蒸気圧縮式冷凍機のサイクル線図である。

【0024】
図1を参照しつつ、本考案による冷凍システムの基本構成を説明する。さて本考案による冷凍システムは、3つの蒸気圧縮式冷凍機1、2及び3を備えている。蒸気圧縮式冷凍機1、2及び3は、それぞれ往復動圧縮機11、21および31、凝縮器12、22および32、減圧弁13、23および33、蒸発器14、24および34、これらに順次連通する冷媒経路、並びにこの冷媒経路を循環する冷媒を有している。なお蒸気圧縮式冷凍機1、2及び3の冷媒としては、冷却温度に対応すべく、それぞれ例えばR134a、R717およびR404Aを使用する。なお冷媒は、これらに限らず、他の冷媒を使用してもよい。
【0025】
ここで蒸気圧縮式冷凍機1は、日配品と呼ばれる牛乳、ジュース、あるいは豆腐等を、5〜10℃の温度に冷却するものであって、蒸発器14における冷媒の蒸発温度は、0℃前後に設定してある。また蒸気圧縮式冷凍機2は、鮮魚や精肉等を−5〜0℃の温度に冷却するものであって、蒸発器24における冷媒の蒸発温度は、−10℃前後に設定してある。そして蒸気圧縮式冷凍機3は、アイスクリーム等のいわゆる冷凍品を−25〜−18℃の温度に保持するものであって、蒸発器34における冷媒の蒸発温度は、−40〜−35℃に設定してある。したがって蒸気圧縮式冷凍機1の冷媒の蒸発温度は、蒸気圧縮式冷凍機2および3の冷媒の蒸発温度に較べて高くなっている。
【0026】
図1に示すように、蒸気圧縮式冷凍機1は、この蒸気圧縮式冷凍機の凝縮器12と減圧弁13との間で、この蒸気圧縮式冷凍機の冷媒経路が3つに分流しており、この分流した冷媒経路の1つは、冷媒の遮断弁16を経由して、減圧弁13に連通している。また分流した他の2つの冷媒経路を流れる冷媒は、それぞれ冷媒の遮断弁26、36を経由して、減圧弁27、37において減圧し、この減圧した冷媒は、それぞれ蒸気圧縮式冷凍機2、3の凝縮器22、32の出口に設けた熱交換器25、35を介して、蒸気圧縮式冷凍機2、3の冷媒から熱量Q2A,Q3Aを吸熱し、蒸気圧縮式冷凍機1の蒸発器14と圧縮機11との間の冷媒経路において合流する。
【0027】
図2は、本考案による冷凍システムの他の基本構成を示している。この冷凍システムは、蒸気圧縮式冷凍機4の凝縮器42の出口において、冷媒経路が2つに分流すること、この2つに分流した一方の冷媒が、減圧弁107で減圧されて低温になった後に、冷熱槽101内のブラインから吸熱して、蒸気圧縮式冷凍機4の圧縮機41入口に還流すること、および冷熱槽101内において冷やされたブラインが、他の蒸気圧縮式冷凍機5、6の凝縮器52、62の出口冷媒を過冷却すること以外は、上述した冷凍システムと同等の基本構成になっている。なお図1及び図2に示した蒸気圧縮式冷凍機1〜6の構成部品については、参照の便宜等のため、同等なものは、それぞれ10〜60を加えた部品番号にしてある。
【0028】
すなわち図2に示す冷凍システムは、3つの蒸気圧縮式冷凍機4、5、6と冷熱槽101とを備え、この蒸気圧縮式冷凍機4、5、6は、それぞれ圧縮機41、51、61、凝縮器42、52、62、減圧弁43、53、63、蒸発器44、54、64、これらに順次連通する冷媒経路、及びこの冷媒経路を循環する冷媒を有している。蒸気圧縮式冷凍機4は、この蒸気圧縮式冷凍機の蒸発器44における冷媒の蒸発温度が、他の蒸気圧縮式冷凍機5、6の蒸発器54、64における冷媒の蒸発温度より相対的に高く運転される。蒸気圧縮式冷凍機4は、この蒸気圧縮式冷凍機の凝縮器42と減圧弁43との間で、この蒸気圧縮式冷凍機の冷媒経路が2つに分流している。
【0029】
2つに分流した冷媒経路の1つは、遮断弁46を経由して、蒸気圧縮式冷凍機4の減圧弁43に連通し、2つに分流した他の1つの冷媒経路を流れる冷媒は、遮断弁106を経由して減圧弁107で減圧し、この減圧した冷媒は、冷熱槽101内に設けた熱交換器102を介してブラインから吸熱した後に、蒸気圧縮式冷凍機4の蒸発器44と圧縮機41との間の冷媒経路において合流する。冷熱槽101内において冷却されたブラインは、ポンプ108によって、それぞれ遮断弁56、66を経由して、他の蒸気圧縮式冷凍機5、6の凝縮器52、62の出口に設けた熱交換器55、65に送られて、これらの凝縮器の出口を出た冷媒から、それぞれ熱量Q5A、Q6Aを吸熱した後に昇温して、この冷熱槽内に還流する。
【0030】
なお図1および図2に示す蒸気圧縮式冷凍機2および3、あるいは蒸気圧縮式冷凍機5および6のうち1つを、それぞれ省いてもよく、さらに3つ以上に増設してもよい。また図1および図2に示す冷媒の遮断弁16〜66及び106の一部を省いてもよい。なお図1および図2は、上述したように蒸気圧縮式冷凍機1〜6の基本構成を示すものであるため、他の構成部品、例えば圧縮機11〜61の入口における冷媒の気液分離器、あるいは冷却負荷の変動に応じて減圧弁14〜64の開度を調整し、冷媒の流量を増減させる制御機構を適宜設けてもよい。
【0031】
次に図3は、図1に示した蒸気圧縮式冷凍機1、2および3について、それぞれのサイクル線図を示している。以下図3を参照しつつ、図1に示した冷凍システムの作用を説明する。さて図3(A)は、蒸気圧縮式冷凍機1のサイクル線図を示しており、上述したように、蒸発器14における冷媒の蒸発温度は、0℃前後に設定してある。また図3(B)は、蒸気圧縮式冷凍機2のサイクル線図を示しており、上述したように、蒸発器24における冷媒の蒸発温度は、−10℃前後に設定してある。さらに蒸気圧縮式冷凍機3は、蒸発器34における冷媒の蒸発温度は、−40〜−35℃に設定してある。
【0032】
図3(A)に示すように蒸気圧縮式冷凍機1においては、冷媒は、圧縮機11によって圧縮されて、点1bの高圧、高温のガス冷媒となり、次いで凝縮器12において大気中に熱量Q11を放熱して、点1cの、ほぼ飽和液状態に等圧変化する。ここで凝縮器12から流出した飽和液状態の冷媒は、3つの冷媒経路に分流する。分流した冷媒経路の1つは、遮断弁16を介して蒸気圧縮式冷凍機1の減圧弁13に連通しており、冷媒は、この減圧弁において減圧し、点1dの低温の気液混合状態に等エンタルピー変化する。次に低温の気液混合状態の冷媒は、蒸発器14において牛乳等の日配品から熱量Q12を吸熱して気化し、点1aの、飽和蒸気状態をわずかに超える程度の過熱蒸気の状態になって、圧縮機11に吸引される。
【0033】
一方分流した冷媒経路の他の2つは、それぞれ減圧弁27、37において減圧して、低温の気液混合状態に等エンタルピー変化する。この低温の気液混合状態の冷媒は、図3(B)および(C)に示す蒸気圧縮式冷凍機2、3の凝縮器の出口に設けた熱交換機25、35を介して、これらの凝縮器より流出した冷媒から、それぞれ熱量Q2A,Q3Aを吸熱して気化し、図3(A)に示す点1aの飽和蒸気状態をわずかに超える程度の過熱蒸気の状態になって、蒸気圧縮式冷凍機1の蒸発器14より流出した冷媒ガスと合流して、圧縮機11に吸引される。
【0034】
一方図3(B)および(C)に示す蒸気圧縮式冷凍機2、3においては、凝縮器22、32より流出する点(2c)、点(3c)の冷媒は、上述した熱量Q2A,Q3Aを奪われて(放熱して)、それぞれ点2c、3cまで過冷却されて、より低温の飽和液状態の冷媒に等圧変化する。この過冷却された飽和液状態の冷媒は、それぞれ図1に示す減圧弁23、33で減圧されて、点2d、3dの、低温の気液混合状態の冷媒に等エンタルピー変化する。そして低温の気液混合状態の冷媒のうち液冷媒の部分は、それぞれ蒸発器24、34において、鮮魚等およびアイスクリーム等から吸熱して気化し、点2a,2bの過熱蒸気になり、圧縮機21、31に吸引される。
【0035】
すなわち図3(B)および(C)に示す蒸気圧縮式冷凍機2、3においては、
それぞれ凝縮器22、32より流出する冷媒が、点(2c)、(3c)から、点2c、3cに過冷却されるため、蒸発器24、34における吸熱量は、過冷却されない場合の熱量Q22、Q32に、過冷却された熱量に相当する熱量Q2B、Q3Bをそれぞれ加えたものになる。したがって蒸気圧縮式冷凍機2、3の冷却能力(吸熱量)は、それぞれ増加し、また冷却効率(COP=吸熱量/W)も向上する。
【0036】
次に図4(A)、(B)、(C)は、図2に示した蒸気圧縮式冷凍機4、5および6について、それぞれのサイクル線図を示している。以下図4を参照しつつ、図2に示した冷凍システムの作用を説明する。なお図2に示す蒸発器44、54、64における冷媒の蒸発温度は、それぞれの0℃前後、−10℃前後、及び−40〜−35℃に設定してある。
【0037】
さて図4(A)に示すように蒸気圧縮式冷凍機4においては、冷媒は、圧縮機41によって圧縮されて、点4bの高圧、高温のガス冷媒となり、次いで凝縮器42において大気中に熱量Q41を放熱して、点4cの、ほぼ飽和液状態に等圧変化する。ここで凝縮器42から流出したほぼ飽和液状態の冷媒は、2つの冷媒経路に分流する。分流した冷媒経路の1つは、蒸気圧縮式冷凍機4の減圧弁43に連通し、ほぼ飽和液状態の冷媒は、この減圧弁において減圧し、点4dの低温の気液混合状態に等エンタルピー変化する。次に低温の気液混合状態の冷媒は、蒸発器44において牛乳等の日配品から熱量Q42を吸熱して気化し、点4aの、飽和蒸気状態をわずかに超える程度の過熱蒸気の状態になって、圧縮機41に吸引される。
【0038】
一方分流した冷媒経路の他の冷媒は、減圧弁107において減圧して、低温の気液混合状態に等エンタルピー変化する。この低温の気液混合状態の冷媒は、冷熱槽101内のブラインから熱交換器102を介して吸熱して気化した後に、図4(A)に示す点4aの飽和蒸気状態をわずかに超える程度の過熱蒸気の状態になって、蒸気圧縮式冷凍機4の圧縮機41入口の冷媒経路に合流する。
【0039】
冷熱槽101内において吸熱されて低温になったブラインは、図4(B)および(C)に示す蒸気圧縮式冷凍機5、6の凝縮器52、62の出口に設けた熱交換機55、65を介して、これらの凝縮器より流出した冷媒から、それぞれ熱量Q5A,Q6Aを吸熱して、冷熱槽101内に還流する。
【0040】
一方図4(B)および(C)に示す蒸気圧縮式冷凍機5、6においては、凝縮器52、62より流出する点(5c)、点(6c)の冷媒は、上述した熱量Q5A,Q6Aをブラインに奪われて(放熱して)、それぞれ点5c、6cまで過冷却されて、より低温の飽和液状態の冷媒に等圧変化する。この過冷却された飽和液状態の冷媒は、それぞれ減圧弁53、63で減圧されて、点5d、6dの、低温の気液混合状態の冷媒に等エンタルピー変化する。そして低温の気液混合状態の冷媒のうち液冷媒の部分は、それぞれ蒸発器54、64において、鮮魚等およびアイスクリーム等から吸熱して気化し、点5a、6aの過熱蒸気に等圧変化して、圧縮機51、61に吸引される。
【0041】
すなわち図4(B)および(C)に示す蒸気圧縮式冷凍機5、6においては、
それぞれ凝縮器52、62より流出する冷媒が、点(5c)、(6c)から、点5c、6cに過冷却されるため、蒸発器54、64における吸熱量は、過冷却されない場合の熱量Q52、Q62に、過冷却された熱量に相当する熱量Q5B、Q6Bをそれぞれ加えたものになる。したがって蒸気圧縮式冷凍機5、6の冷却能力(吸熱量)は、それぞれ増加し、また冷却効率(COP=吸熱量/W)も向上する。
【0042】
次に図1に示された冷媒の遮断弁16、26、36の使用について、具体例を挙げて説明する。すなわち、蒸気圧縮式冷凍機2、3の冷却負荷が高い場合には、冷媒の遮断弁16、26、36を開いた状態にしておけば、上述したように元々冷却効率が高い蒸気圧縮式冷凍機1によって、この蒸気圧縮式冷凍機の商品を効率的に冷却すると共に、蒸気圧縮式冷凍機2、3の冷媒を過冷却して、蒸気圧縮式冷凍機2、3の冷却効率を向上させることができる。したがって冷凍システム全体としての冷却効率が向上する。なお蒸気圧縮式冷凍機2、3の冷却負荷の変動は、例えば蒸発器24、34の出口における冷媒温度、あるいは減圧弁23、33の前後の冷媒の差圧を計測することによって検出することができる。
【0043】
逆に蒸気圧縮式冷凍機2、3の冷却負荷が低い場合には、減圧弁23、33の開度が絞られて、これらの蒸気圧縮式冷凍機を循環する冷媒の質量流量は、少なくなっている。したがって蒸気圧縮式冷凍機2、3の冷媒を過冷却して、さらに冷却能力を増大させる必要はない。そこで冷媒の遮断弁16を開いた状態にすると共に、遮断弁26、36を閉じて、蒸気圧縮式冷凍機2、3の凝縮器22、33の出口に設けた熱交換器25、35への冷媒流量を停止させ、これらの凝縮器の出口冷媒の過冷却を停止させる。かかる場合には、元々冷却効率が高い蒸気圧縮式冷凍機1の冷却能力を増大させることができる。
【0044】
次に図2に示された冷媒の遮断弁46、56、66、106の使用について、1例を挙げて説明する。例えば、冷却温度が低い他の蒸気圧縮式冷凍機5、6の冷却負荷が低くなったときには、上述したように、この蒸気圧縮式冷凍機の冷却能力や冷却効率を向上させる必要がなくなる。そこでポンプ108を停止させると共に、遮断弁56、66を閉じて、ブラインの循環を止める。かかる場合には、
冷却効率が高い蒸気圧縮式冷凍機4から分流した冷媒を、減圧弁107によって低温にして、冷熱槽101内のブラインと熱交換させて、このブラインに冷熱として蓄熱することができる。そして冷却温度が低い他の蒸気圧縮式冷凍機5、6の冷却負荷が高くなったときには、冷熱槽101内のブラインによって、この蒸気圧縮式冷凍機の凝縮器52、62の出口冷媒を過冷却すれば、蒸気圧縮式冷凍機4は、自己の商品を冷却する能力に余裕が得られるため、自己の冷却する商品の量や個数を増やすことが可能となる。
【0045】
逆に冷却温度が高い蒸気圧縮式冷凍機4の冷却負荷が低くなったときには、この蒸気圧縮式冷凍機は、冷熱槽101内のブラインを冷却する能力に余裕が得られるため、この冷熱槽内のブラインに冷熱として蓄熱しつつ、さらに冷却温度が低い他の蒸気圧縮式冷凍機5、6の凝縮器52、62の出口冷媒を過冷却して、これらの蒸気圧縮式冷凍機の冷却能力や冷却効率を向上させることできる。そして冷熱槽101内のブラインに蓄熱した冷熱は、蒸気圧縮式冷凍機4の冷却負荷が増大したときに、この蒸気圧縮式冷凍機の冷却能力を減少させることなく、他の蒸気圧縮式冷凍機5、6の冷却能力や冷却効率を向上させるために利用することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
複数の蒸気圧縮式冷凍機を備える冷凍システムにおいて、蒸発器における冷媒の蒸発温度が低い冷凍機の冷却能力と冷却効率とを向上させることができるので、冷凍に関する産業に広く利用することができる。
【0047】
1〜9 蒸気圧縮式冷凍機
11〜71 圧縮機
12〜72 凝縮器
13〜73 減圧弁
14〜74 蒸発器
16〜66 遮断弁
25〜65 熱交換器
27,37 減圧弁
101 冷熱槽
102 熱交換器
106 遮断弁
107 減圧弁
108 ポンプ

(57)【要約】

【課題】複数の蒸気圧縮式冷凍機を備える冷凍システムにおいて、冷却温度が低い冷凍機の冷却能力と冷却効率とを向上させる。【解決手段】冷却温度が高い蒸気圧縮式冷凍機1の凝縮器11の出口において冷媒を3つに分流し、その1つの分流を減圧弁13で減圧して蒸発器14に流し、残りの分流をそれぞれ減圧弁27、37で減圧し、冷却温度が低い蒸気圧縮式冷凍機2、3の凝縮器22、32の出口に設けた熱交換器25、35を経由して、蒸気圧縮式冷凍機1の圧縮機11の入口に還流する。蒸気圧縮式冷凍機2、3の凝縮器22、32の出口冷媒は、それぞれ熱交換器25、35において熱量Q2A,Q3Aを奪われて過冷却となり、蒸気圧縮式冷凍機2、3は、熱量Q2A,Q3Aに相当するQ2B,Q3B分だけ吸熱量が増加して、冷却能力と冷却効率とが向上する。


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