【0001】
この考案は、多量の書類の綴じ込みに適した段ボール製ファイルに関するものである。
【0002】
一般に、厚さ1〜2cm程度の少量の書類を綴じる際には、フラットファイルと呼ばれる薄型のファイルが多用される。図6に示すように、このファイルを構成するファイル本体51は、板紙に罫線を入れて折り曲げることにより、一対の表紙部52及び背部53を形成すると共に、一方の表紙部52と背部53との間に折り重ねによる二重構造の綴じ具保持部54を形成したものとされている。
【0003】
このファイル本体51の綴じ具保持部54には、綴じ具55として、可撓性を有する帯状のプラスチックから成る2本の綴じ足56と、プラスチック又は金属から成る剛体の押え板57とが備えられ、押え板57には、2個の穴及びスライダ58が設けられている。
【0004】
そして、このファイルの使用に際しては、綴じ足56を、書類に開けた2個の穴に挿通し、さらに、押え板57の2個の穴に挿通して、スライダ58をスライドさせ、綴じ足56の先端側部分を折り曲げると、書類が綴じ込まれた状態に保持される。
【0005】
ところが、厚さ3cm以上となるような多量の書類を綴じる際には、上記のようなファイルでは、書類の保持強度が不足することから、図7に示すような、パイプ式のファイルが多用される。このファイルを構成するファイル本体61は、積層構造の合紙をポリプロピレン等の樹脂フィルムで被覆した台紙から成り、台紙に罫線を入れて折り曲げることにより、一対の表紙部62及び背部63を形成したものとされている。
【0006】
このファイル本体61の背部63には、金属製の綴じ具64が取り付けられ、綴じ具64は、背部63に固定された蝶番構造のベース部材65と、これに対して着脱されるホルダ部材66とから成り、ベース部材65は2本の外パイプ67を、ホルダ部材66は2本の内パイプ68をそれぞれ備えている。
【0007】
そして、このファイルの使用に際しては、綴じ具64の外パイプ67を、書類に開けた2つの穴に挿通し、外パイプ67に内パイプ68を挿入した後、ベース部材65の蝶番を動かしてベース部材65とホルダ部材66の頭部同士を係合させると、書類が綴じ込まれた状態に保持される。このようなパイプ式のファイルは、下記特許文献1において、一般的に使用されているファイルとして記載されている。
【0012】
この考案に係るファイルでは、ファイル本体の材料として強度に優れる段ボールを使用し、背部とその両側の表紙部との間に二重構造の綴じ具保持部を形成したので、多量の書類を綴じ込んで持ち運ぶ際、書類が綴じ具保持部で挟持され、綴じ具を保持する穴や取付部が裂けることがなく、書類の脱落を確実に防止することができる。
【0013】
また、軽くて取り扱いやすいものとなり、表紙部を二重構造としたことにより、表紙部の隅が曲がりにくくなり、耐久性に優れたものとなる。
【0014】
また、綴じ具保持部の頂部が段ボールの折り曲げにより丸くなっているので、段ボールの端縁で手を切ることもない。
【0015】
さらに、樹脂フィルムによる補強が不要となるので、表紙部や背部の表面に文字を水性のサインペン等で容易に書き込むことができ、表面側のみ白色の段ボールを使用することにより、コストを抑制しつつ、美粧性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この考案に係るファイルの書類の綴じ込み状態を示す斜視図
【図2】同上の表紙部を閉じた状態を示す背部側からの斜視図
【図3】同上のファイル本体のブランクを示す裏面図
【図4】同上の貼合状態を示す斜視図
【図5】同上の書類の綴じ込み過程を示す斜視図
【図6】従来のフラットファイルを示す斜視図
【図7】従来のパイプ式ファイルを示す斜視図
以下、この考案の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1及び図2に示すように、このファイルは、ファイル本体1に綴じ具11で書類Dを綴じ込むものであり、ファイル本体1は、表面側のみ白色の段ボールを材料として、一対の表紙部2を背部3を介して連設し、背部3とその両側の表紙部2との間に、綴じ具保持部4を有する形態とされている。
【0019】
図3に示すように、ファイル本体1のブランクでは、段目を横方向に向け、背部3を中央として、その両側に綴じ具保持部4を構成する一対の保持板部5、額縁部6並びに表紙部2を構成する外表紙部7及び内表紙部8が段ボールの裏面側から入れた罫線9aを介して順次連設されている。
【0020】
また、一対の保持板部5の境界には、段ボールの表面側から逆折り用の罫線9bが入れられ、これら一対の保持板部5には、罫線9bを軸として対称な位置に、綴じ穴10が2個ずつ設けられている。
【0021】
このようなブランクからファイル本体1を形成するには、図4に示すように、ブランクの段ボールを罫線9a,9bに沿って折り曲げ、一対の保持板部5を貼り合わせて、綴じ具保持部4を二重構造とし、また、外表紙部7と内表紙部8とを貼り合わせて、表紙部2を二重構造とする。
【0022】
このとき、罫線9aでは、段ボールを通常どおり表面側が山となる方向へ折り曲げ、罫線9bでは、段ボールを通常とは逆の表面側が谷となる方向へ折り曲げる。
【0023】
上記ファイル本体1には、図5に示すように、綴じ具11として、基端部が一方の綴じ具保持部4の綴じ穴10に挿通されて抜け止めされた可撓性を有する帯状プラスチックから成る2本の綴じ足12と、プラスチック又は金属から成る剛体の押え板13とが備えられ、押え板13には、2個の穴及びスライダ14が設けられている。
【0024】
そして、このファイルの使用に際しては、綴じ足12を、書類Dに開けた2個の穴に挿通し、一方の綴じ具保持部4を伏倒させつつ、その上に書類Dを載せる。
【0025】
その後、図1に示すように、背部3を起こして、綴じ足12を他方の綴じ具保持部4の綴じ穴10及び押え板13の穴に挿通し、スライダ14をスライドさせ、綴じ足12の先端側部分を折り曲げると、書類Dが綴じ込まれた状態に保持される。
【0026】
上記のようなファイルでは、ファイル本体1の材料として、単層の板紙よりも強度に優れる段ボールを使用し、背部3とその両側の表紙部2との間に二重構造の綴じ具保持部4を形成したので、多量の書類Dを綴じ込んで持ち運ぶ際、書類Dが綴じ具保持部4で挟持され、綴じ具11を保持する綴じ穴10の周縁等が裂けることがなく、書類Dの脱落を確実に防止することができる。
【0027】
また、段ボールは合紙よりも単位面積当たりの重量が軽いので、ファイル本体1が軽くて取り扱いやすいものとなり、表紙部2を二重構造としたことにより、表紙部2の隅が曲がりにくくなり、耐久性に優れたものとなる。
【0028】
また、綴じ具保持部4の頂部が罫線9bでの段ボールの折り曲げにより丸くなっているので、段ボールの端縁で手を切ることもない。
【0029】
さらに、樹脂フィルムによる補強が不要となるので、表紙部2や背部3の表面に文字を水性のサインペン等で容易に書き込むことができ、表面側のみ白色の段ボールを使用することにより、コストを抑制しつつ、美粧性を確保することができる。
【0030】
なお、上記実施形態では、綴じ具11として、帯状の綴じ足12と押え板13とを備えたものを例示したが、このような綴じ具11に替えて、綴じ紐を使用してもよい。
【0031】
また、綴じ具保持部4の保持板部5にそれぞれ2個の綴じ穴10を設けたものを例示したが、さらに多数の綴じ穴10を設けてもよく、パイプ式綴じ具を綴じ具保持部4の内面に取り付ける場合には、綴じ穴10を省略してもよい。
1 ファイル本体
2 表紙部
3 背部
4 綴じ具保持部
5 保持板部
6 額縁部
7 外表紙部
8 内表紙部
9a,9b 罫線
10 綴じ穴
11 綴じ具
12 綴じ足
13 押え板
14 スライダ
D 書類
【課題】多量の書類を綴じ込んでも確実に保持できる強度を備えつつ、軽くて取り扱いやすく、廃棄も容易なものとする。【解決手段】一対の表紙部2を背部3を介して連設したファイル本体1に、綴じ具11で書類を綴じ込むファイルにおいて、前記ファイル本体1を、段ボールに罫線9a,9bを入れて折り曲げることにより、背部3とその両側の表紙部2との間に、一対の保持板部5を貼り合わせた二重構造の綴じ具保持部4を有する形態とし、また、ファイル本体1の一対の表紙部2を、外表紙部7と内表紙部8とを貼り合わせた二重構造とする。さらに、ファイル本体1の材料として、表面側のみ白色の段ボールを使用する。多量の書類Dを綴じ込んで持ち運ぶ際、書類Dが綴じ具保持部4で挟持され、綴じ具11を保持する綴じ穴10の周縁等が裂けることがなく、書類Dの脱落を確実に防止することができる。
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