(54)【考案の名称】コンクリート養生装置

(73)【実用新案権者】【実用新案権者】

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、コンクリート養生装置に関するものである。更に詳しくは、例えば、側溝やコンクリートブロック等のコンクリート二次製品の製造工程におけるコンクリートの養生において、電源等を利用した温水による加熱加湿養生及び空気の加熱装置による加熱養生とを適宜制御することにより、従来の重油等による蒸気養生又は電熱ヒーター等による加熱養生の単独のものと比較して燃料費を大幅に節約することができると共に、コンクリートに対し常に適度な温度と湿度とを与えることができ、作業環境及び周辺環境並びにコンクリート養生の最適化を向上させることを可能としたコンクリート養生装置に関するものである。

【従来の技術】

【0002】
側溝やコンクリートブロック等のコンクリート二次製品の製造においては、型枠にコンクリートを流し込んだ後、一定時間の養生を行ない、ある程度硬化したところで型抜きを行なっている。上記養生の際、コンクリート硬化の安定化及びその促進を図るための手段として、該コンクリート入り型枠を包むように合成樹脂製のシートを被せ、そのシート内部に蒸気を送り込んでいる。また、他の手段として、大型の蒸気養生室を構築し、該蒸気養生室にコンクリートが流し込まれた状態の型枠を運び込み、同様に蒸気でコンクリートを温めながら養生を行なっていた。
【0003】
図7は、従来のコンクリート養生を示す具体例の概略図を示している。同図の左上方のコンクリート養生庫Aは、該養生庫A内に搬入されたコンクリート二次製品Wに対し、重油を燃料とした高圧重油ボイラーBと連結した配管Cの先端部を該養生庫A内へ挿入し、高圧重油ボイラーBで製造した粒径の大きな高圧蒸気を直接該養生庫A内へ吐出している。該高圧蒸気は側壁の一端部側から反対側へ向けて吐出することにより該養生庫A内全体を適宜温度と湿度に保っている。従って、常に多量の高圧蒸気を吐出する必要があった。
【0004】
他方、図7の左下方のコンクリート二次製品Wの養生の場合は、該コンクリート二次製品Wを養生シートDによりその全体を覆い、該養生シートD内の空間に、上記同様、高圧重油ボイラーBと連結した配管Eの先端部を該養生シートD内へ挿入し、粒径の大きな高圧蒸気を養生シートD内へ吐出している。この場合、コンクリート二次製品Wの周囲は薄い養生シートDのみによって囲まれていることになるので、該養生シートDからの熱ロスが極めて多く、所定の養生を達成するためには熱ロスに対抗して常に多くの高圧蒸気を吐出し続ける必要があった。
【0005】
更に、コンクリート二次製品Wの養生段階において、該養生シートDをその都度隙間のないように被覆する必要があり、その作業手間には時間と経費を要していた。
【0006】
他方、コンクリート二次製品の養生を促進するための手段として熱風養生手段或いは電気加熱養生手段等の加熱のみにより養生を行う手段が知られているが、これらのものは適度な湿度を得ることができなかった。
【0007】
上記いずれの手段も養生室を品質の高いコンクリート二次製品を得るための養生手段として、最適な室内環境を得るための加温及び加湿の相互作用を利用した技術ではなかった。
【0008】

【効果】

【0018】
本考案は、コンクリート養生室に近接した家庭用或いは工場用電源コンセントから得られる電源を利用する温水製造装置により温水を得、該温水製造装置と連結した配管からの温水を養生室内において微粒子として噴霧する加熱加湿手段と、該電気を熱源とする温水製造装置により得られた温水又は熱を養生室内へ放熱する空気加熱手段とを設けたことにより両者を適宜調整することでコンクリート二次製品にとって最適な温度と湿度とを得ることのできる養生装置を構成することができ、更に、従来の重油による燃料費に比較してほぼ2割程度の燃料コストとすることができ、養生費を大幅に削減する装置を得ることが可能となった。
【0019】
また、加温及び加湿手段の熱源を電気としたので、従来の重油を燃料として使用する場合に生じる排気ガスが大気中に大量に放出されるおそれが全くなくなり、そればかりかヒートポンプユニットの場合は大気熱を利用して作動することになるので地球環境にとって極めて良好な装置が可能となった。
【0020】
更に、簡単な構造となる養生室内にコンクリート二次製品を配置するだけで密閉度が良好な養生空間を形成することができるので、該空間内に噴霧される適度に加熱された微粒子及び循環される温水や熱によって養生室内を養生するのに最適な温度と湿度の室内環境に保つ装置を可能とした。
【0021】
また、噴霧される粒子は微粒子の温水を噴霧することになるので、それらが空間に漂うことになり、大粒径となってコンクリート二次製品に付着することなく加熱及び加湿することができ、且つそれとは別の手段となる循環される温水や他の加熱手段により養生室内空間の空気加熱が効率的にでき、それら両者を諸条件を考慮して調整することにより室内環境を最適な温度と湿度とに早期に到達させることができる装置が可能となった。
【0022】
更に、請求項2の考案にあっては、組み立てが容易なため、大型のコンクリート二次製品の場合のように、該製品をクレーンや作業員の手間をかけて移動することなく、その製品を取り囲むようにして養生室を形成することができるので、養生のためのコストを大幅に削減する装置を可能とした。
【0023】
また、コンクリート養生室での養生に使用する噴霧状の温水は落下することになるが、請求項5の考案の構成では、床面の傾斜により所定位置に集めることができ、ある程度時間が経過しても保温状態を保ち、この温水を脱型した型枠の洗浄手段として使用することができるので型枠への付着物の取り除きが容易となった。更に、上記洗浄に使用した温水には型枠に付着していたセメント、砂、砂利等の骨材を含んでいるが、それらから該骨材を取り除くことによりそれらが混入した汚水として排出することがなくなり、更に、それら分離した骨材や水を必要に応じて再利用することを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本考案のコンクリート養生装置の実施例を示す概略斜視図。
【図2】本考案のコンクリート養生装置の実施例を示す概略図。
【図3】本考案のコンクリート養生装置の他の実施例を示す概略斜視図。
【図4】(a)本考案のコンクリート養生装置の他の実施例を示す概略断面図、(b)同他の実施例を示す概略断面図。
【図5】本考案のコンクリート養生装置全体の実施例を示す概略図。
【図6】本考案のコンクリート養生装置の他の実施例を示す概略斜視図。
【図7】従来のコンクリート養生手段を示す概略斜視図

【0025】
以下、本考案を図面に示した実施例に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1は、本考案に係るコンクリート二次製品の製造におけるコンクリート養生装置の概略斜視図である。コンクリート養生室1は、床2、天井3及び側壁4とより構成し、該側壁4の少なくとも一面は該コンクリート二次製品Wを搬入するための開閉可能な開口部5を形成している。側壁4の二面を開口部5とし、一方を搬入口、他方を搬出部としても良い。該開口部5はコンクリート二次製品Wを搬入した後に密閉状態で閉鎖できるように構成してある。上記床2、天井3、側壁4及び開口部5を閉鎖する材料は各々断熱材を用いて養生室内の温度や湿度が保たれるように構成している。
【0027】
天井3或いは側壁4には、温水噴霧ノズル6を設けた配管7が固定され、該配管7は該養生室1外に設置されたヒートポンプユニット等の温水製造装置8と連結している。
【0028】
該温水製造装置8は、養生室1内に適した雰囲気温度である60℃〜75℃に保つため、供給された水を60℃以上の温水として配管7へ送水する。送水された温水は、連結した温水噴霧ノズル6よりミストとして該養生室1内に噴霧される。
【0029】
なお、配管7の設置数や設置位置及び温水噴霧ノズル6の形状や個数は必要に応じて適宜決められる。また、配管7に温水圧力増圧用ポンプ9を設けることで、噴霧されるミストの粒径や量を調整し、最適な養生条件とすることができる。
【0030】
例えば、上記配管7は2m〜6m毎に温水噴霧ノズル6が配設され、該温水噴霧ノズル6からは10μm〜1000μmの微粒子径の温水を養生室1内の空間に噴霧するように構成している。
【0031】
また、該養生室1内の天井3或いは側壁4には、該温水噴霧ノズル6や配管7と干渉しない位置に該養生室1内の温度を上昇させる加熱装置10を設ける。なお、該養生室1の容量やコンクリート二次製品Wの形状により、該加熱装置10の取付位置を調整し、最適な養生条件とすることができる。
【0032】
前記温水製造装置8及び加熱装置10の出力を調整することにより、該養生室1内をコンクリート養生に適した温度として60℃〜75℃、相対湿度として70%〜97%に維持することができる。
【0033】
図2は、加熱装置10として養生室1内にパネルラジエーター11を使用した実施例で、温水は温水往き管12より該パネルラジエーター11内を循環し、温水還り管13により温水タンク14内へ戻される。該温水タンク14内の温水は、循環ポンプにより再び温水製造装置8に戻されて加熱され、再度温水往き管12により該養生室1内のパネルラジエーター11へ供給される。
【0034】
図3は、前記コンクリート養生装置の室内に温湿度センサー15を設置し、自動制御装置16を用いて、該温湿度センサー15の出力信号と該自動制御装置16にプログラムされた設定値を比較演算制御することで前記温水製造装置8及び加熱装置10の出力を制御し、前記コンクリート養生に適した温度及び湿度を自動的に維持することを可能としたものである。また、温水製造装置8及び加熱装置10を同時又は交互に制御することで、該プログラムに対し追従性のよい制御を可能としたものである。
【0035】
図4(a)は、上記実施例1乃至3のコンクリート養生装置の温水製造装置8をヒートポンプ式温水製造装置17としたもので、ヒートポンプによる高効率な温水製造が可能となり、より養生コストの低いコンクリート養生装置としたものである。
【0036】
図4(b)は、前記ヒートポンプ式温水製造装置17を用いたコンクリート養生装置において、加熱装置10を電熱ヒーター18としたもので、従来の重油ボイラ等で製造した高温蒸気によるコンクリート養生に比較し、二酸化炭素の排出をより低下させたコンクリート養生装置としたものである。
なお、加熱装置10は、例えば、工場廃熱を利用した蒸気、温水を供給或いは循環させる放熱器としてもよい。
【0037】
上記実施例1乃至5において、例えば、高さ5m×幅5m×奥行20mの容積約500mのコンクリート養生室の場合、温水の量は約0.5MPa〜2MPa前後の水圧力での加圧水として700L/時間〜1500L/時間を5時間〜6時間噴霧することにより側溝やコンクリートブロック等のコンクリート二次製品Wの養生を達成することが可能である。また、必要に応じて或いは補助的手段として、他の熱の供給手段となる空気加熱装置から得られる熱により養生室内の環境を最適値にコントロールすることができる。季節による要因或いはコンクリート二次製品Wの種類や大きさ、コンクリート厚等の要因により上記温水の量やその噴霧時間及び熱源から得られる熱は異なってくるものであり、それら要因を十分に考慮してコントロールすることにより効率の良い温度と湿度の養生室空間を維持することができることになる。
【0038】
同規模の従来の大きさの蒸気養生室の場合、高圧重油ボイラーとして重油を使用しているが、年間約35,000tのコンクリート二次製品を生産する養生手段の重油代金として約2,000万円/年間を必要としていたが、ここへきての重油高騰により更なる経費を必要としている。しかし、本考案の加熱加湿手段と加熱手段とを併用するコンクリート養生室は、その電気代金は約400万円〜600万円/年間であり、1/5程度に経費を抑えることが可能となった。
【0039】
また、上記養生室1内の床面は傾斜勾配を設けてあるので噴霧された温水は床面に落下し、所定方向に流出することになる。図1では開口部5側に傾斜する勾配を設け、排水受側溝19を設けている。図5に示すように、該排水受側溝19に流出した温水は受湯槽20にて一時的に集積される。該受湯槽20は断熱材で造ることにより温度が低下するのを防止することができる。上記所定の温度に保たれたお湯は直ちに或いは温度が低下することない条件下でコンクリート二次製品Wから脱型した型枠Yを洗浄装置21により洗浄する。
【0040】
洗浄装置21としては受湯槽20からの配管22、その先端部の洗浄器23及び洗浄器23に圧力を付与するコンプレッサー24により型枠Yを洗浄することになる。洗浄の終了したセメントや骨材の混入した温水は回収槽25へ導入される。該回収槽25ではセメントや骨材等は底部に沈殿することになり、沈殿した骨材等はスパイラル等のかき集め手段26により一方向へ集積させ回収する。
【0041】
回収槽25において骨材が分離された温水は排出或いは温水製造装置8、17への供給手段として再利用することが可能である
【0042】
上記コンプレッサー24は、温水製造装置8、17から配管7、温水往き管12へと吐出するために使用する送出手段を兼用することができる。
【0043】
上記従来例で示した図7の養生庫Aは、重油を燃料とした蒸気養生室として製造されているが、養生庫Aをそのまま利用し、或いは床、天井及び側壁を断熱材により断熱補強することにより本考案の養生室として採用することが可能である。この場合、従来の重油ボイラーに換えてヒートポンプユニット等の温水製造装置を使用し、配管や噴霧手段も従来のものを利用したり、本実施例のものに合わせて変更する必要があることは言うまでもない。
【0044】
図6は、本考案に係るコンクリート二次製品の製造におけるコンクリート養生室の他の実施例の概略斜視図である。コンクリート養生室27は、コンクリート二次製品Wが設置されている場所或いはその近接位置又は外部の適宜場所において単管パイプ28とジョイント29とにより柱及び梁等の横架材を軸組として組み立て、該横架材に断熱パネル30を取り付ける。該断熱パネル30の裏面側には下向きのU字状フック31を取着しておくことにより掛け止めにより該横架材に取り付けることができる。また、断熱パネル30の下方部に貫通孔32を形成し、菅体の管先端部33及び熱源部の挿入部とすることができる。
【0045】
該貫通孔32には、該養生室27に近接した位置に配設された温水製造装置と連結されたフック等の係止手段を設けた管先端部33及び/又は熱源部を挿入し、該管先端部33には噴霧ノズル部34を螺合等により一体化し、熱源部には温水が循環する手段を一体化する。該噴霧ノズル部34には10μm〜1000μmの微粒子径の温水を養生室27内に噴霧する噴霧ノズルを所定間隔毎に適数個配設している。該管先端部33は係止手段を利用して壁や他の場所に噴霧ノズルを上方や斜め上方に向けて固定することができる。
【0046】
上記温水の噴霧手段に加えて、熱源として空気加熱装置を設け、それらを該養生室27内に配置し、その配線のために貫通孔32を利用してもよい。この場合の電源は家庭用或いは工場用電源コンセントから得られるものとする。
【0047】
上記養生室27内にコンクリート二次製品Wの設置が終了した後、天井面に断熱パネルや断熱シートにより被覆し、閉鎖空間を構成することになる。
【0048】
上記閉鎖空間には貫通孔32より挿入した配管先端部33に形成した噴霧ノズルより10μm〜1000μmの微粒子の温水を噴霧させ、及び家庭用或いは工場用電源コンセントから得られる空気加熱手段により加熱され、それらが制御装置により調整されて養生室27内の空間をコンクリート二次製品Wを養生するのに適した上記各実施例と同様の温度と湿度の最適環境とすることが可能となる。
【0049】
上記組立式のコンクリート養生室27は、単管を適宜連結することにより適宜大きさのものとすることができ、且つ単管の下端部にキャスタを取着することにより移動することが簡単に行なえる。
【0050】
組み立て前の単管パイプ28、ジョイント29及び断熱パネル30等は積み重ねることにより効率よく収納しておくことができ、それらは僅かな収納スペースで保管しておくことができ、大きな養生室を常時用意しておく必要がなく、養生時に効率良く必要とする養生室27を組み立てることができる。
【0051】
上記実施例6のコンクリート養生室も、前記実施例と同様、床面に傾斜勾配を設けておくことにより排水された温水を型枠の洗浄及び洗浄によって生じる骨材入り温水を温水と骨材等に分離回収することができることは言うまでもない。
【0052】
A コンクリート養生庫
B 高圧重油ボイラー
C、E 配管
D 養生シート
W コンクリート二次製品
Y 型枠
1 コンクリート養生室
2 床
3 天井
4 側壁
5 開口部
6 温水噴霧ノズル
7 配管
8 温水製造装置
9 温水圧力増圧用ポンプ
10 加熱装置
11 パネルラジエーター
12 温水往き管
13 温水還り管
14 温水タンク
15 温湿度センサー
16 自動制御装置
17 ヒートポンプ式温水製造装置
18 電熱ヒーター
19 排水受側溝
20 受湯槽
21 洗浄装置
22 配管
23 洗浄器
24 コンプレッサー
25 回収槽
26 かき集め手段
27 コンクリート養生室
28 単管パイプ
29 ジョイント
30 断熱パネル
31 U字状フック
32 貫通孔
33 管先端部
34 噴霧ノズル部

(57)【要約】

【課題】コンクリート二次製品の製造工程において、温水製造装置及び加熱装置による熱源により加熱と加湿を行い、早期に養生室内を最適な温度と湿度に到達させ、それらを調整しながら養生することのできるコンクリート養生装置を提供する。【解決手段】コンクリート養生装置は、床、天井及び側壁を断熱材により養生室を構成し、側壁の少なくとも一面をコンクリート二次製品を搬入するための開閉可能な開口部とし、側壁内側には養生室に近接した位置に配設された温水製造装置と連結した配管を支持し、配管には10μm〜1000μm径の温水を噴出する噴霧ノズルを所定間隔毎に適数個配設して加熱加湿手段とし、且つ、養生室内側には温水製造装置と連結した空気加熱手段を設け、加熱加湿手段と空気加熱手段とをコントロールする制御手段を設ける。


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