(54)【考案の名称】三輪車

(73)【実用新案権者】【実用新案権者】

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図5

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は単一の前輪と左右一対の後輪を備える三輪車に関する。

【従来の技術】

【0002】
単一の前輪と左右一対の後輪を備えたこの種の三輪車においても、前後各1輪の通常の二輪車と同様に曲線路等で曲がる際には前輪とともに車体(シート)が傾斜するのが好ましい。
しかし、従来の三輪車では、左右一対の後輪は1本の車軸で互いに接続されているため、三輪車全体を傾斜させると曲がり方向と反対側の後輪が路面から浮いてしまうという問題がある。
そこで、例えば特公昭58−24310号公報に開示された三輪車は、前輪を支持する前部フレームと左右一対の後輪を支持する後部フレームとをピボット結合装置を介して連結することにより、シートを含む前部フレームのみをローリング可能とし、両後輪の接地状態を確保しようとしている。
【0003】

【効果】

【0008】
本考案によれば、曲がりに際して車体が傾斜するのに伴って後輪も同方向に傾斜して、通常の二輪車と同様の運転感覚が得られる。
そして、バランサレバーを介して左右のスプリングが接続されていることにより、スプリング力が均等化され、左右の後輪は傾斜しても均等な接地状態を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本考案の実施の形態を示す外観側面図である。
【図2】リアサスペンションまわりの拡大平面図である。
【図3】リアサスペンションの拡大背面図である。
【図4】リアサスペンションを右後上方から見た部分斜視図である。
【図5】曲がりの際のリアサスペンションの作動を示す背面図である。
【図6】悪路でのリアサスペンションの作動を示す背面図である。

【0010】
以下、本考案の実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態では駆動源として左右の後輪のそれぞれにインホイールモータを組み込んでいる。
図1は実施の形態にかかる三輪車の外観側面図である。
三輪車1の車体2の主骨格は、前上部から中間底部を経て後上部にわたるサイドフレーム3を左右に有し、その間を不図示のクロスフレームでつないで構成されている。
車体2の前端に設けたヘッドパイプ8にハンドル軸9が回転可能に支持され、ハンドル軸9から下方に延びるフロントフォーク10の下端に前輪11が支持されている。ハンドル軸9の上端には操向ハンドル11が取り付けられる。
なお、フロントフォーク10はスプリングおよびショックアブソーバを内蔵し、フロントサスペンションを構成している。
【0011】
車体2の後端上部には収納ボックス4が形成され、収納ボックス4上にシート5が配置されている。そして、車体2の前後方向中間の底部には左右のサイドフレーム3の間にバッテリ格納室6を形成してある。バッテリ格納室6に配置されたバッテリからは不図示の制御装置を経てインホイールモータ31(図4参照)へ電源が供給される。
車体2の後部にはリアサスペンション20が連結されている。また、サイドフレーム3の後上端部に結合されて、荷台50が後方に延びている。
【0012】
リアサスペンション20は、サスペンションアーム21と、スプリング・ダンパユニット35とバランサレバー40を含む。
サスペンションアーム21は車体2のバッテリ格納室6より後方位置に遥動可能に支持され、先端に後輪30を支持する。
スプリング・ダンパユニット35は、スプリングおよびショックアブソーバからなり、車体2側に回転可能に支持されたバランサレバー40とサスペンションアーム21の間に連結されている。
【0013】
以下、リアサスペンション20の詳細について説明する。
図2はリアサスペンション20まわりの拡大平面図、図3はリアサスペンション20の背面図、図4は左後輪にかかる構造を右後上方から見た斜視図である。
なお、煩雑を避けるため、図2において中心線より下はバランサレバー40およびスプリング・ダンパユニット35Lを省いている。また図3、図4ではサスペンションアーム上のキャリパ28を省いている。
左右のサスペンションアーム21(21L、21R)は独立しており、左右対称に設けられている。各サスペンションアーム21はそれぞれ、主アーム22と副アーム23を主アーム22の中間の先端寄りで斜めに結合し、根元側で離間させて軸部材24にそれぞれ結合して構成してある。ここでは、主アーム22は断面矩形の角パイプを用い、副アーム23は断面円形の丸パイプを用いている。
主アーム22は左右方向外側で軸部材24から垂直に延び、副アーム23は内側に位置している。
なお、以下では左右が対になる部材について、一方を特定する場合にはLまたはRの添え字を付すが、共通の事項については添え字を付さないで説明する。
【0014】
車体2には、ブラケットマウント13がその両端を左右のサイドフレーム3に結合して設けられている。
ブラケットマウント13は、サスペンションアーム21L、21Rの軸部材24の長さに対応する間隔をもちそれぞれピン穴を有する各一対のヒンジブラケット15(15o、15i)を、ベース板14の後方に向いた面上に左右方向に並べて構成されている。なお、左右最外側のヒンジブラケット15oはベース板14から前方に延びてサイドフレーム3への結合部材を兼ねている。
サスペンションアーム21は、それぞれ軸部材24を貫通するヒンジピン45でブラケットマウント13のヒンジブラケット15に支持させてある。
ヒンジピン45を支持するヒンジブラケット15の各ピン穴は左右方向水平に延びる直線上に並んでおり、これにより、左右のサスペンションアーム21L、21Rは、当該直線を共通の遥動軸線Sとして、互いに独立して車体2に対し上下に遥動可能である。
【0015】
サスペンションアーム21の主アーム22の中間の上壁には、スプリング・ダンパユニット35(35L、35R)を連結するヒンジブラケット26が設けられている。ヒンジブラケット26は主アーム22の長手方向に平行でかつ対向する2つのフランジを備えたコ字形である。
サスペンションアーム21(主アーム22)の先端には左右方向外方へ水平に延びるホイール支持軸25を設けてある。
ホイール支持軸25にはインホイールモータ31を組み付けた後輪30(30L、30R)が取り付けられる。
なお、ホイール支持軸25は筒状をなし、その筒穴25a(図4参照)は主アーム22をなす角パイプの内側側壁に開口して、インホイールモータ31へ電源を供給する図示しない配線の通路となる。
さらに、主アーム22におけるホイール支持軸25近傍の上壁には、後輪のブレーキディスク32と組み合わせてブレーキ装置を構成するキャリパ28が取り付けられる。
【0016】
つぎに、左右のサイドフレーム3からは、その後部上端とブラケットマウント13位置との略中間の高さから、後壁16aを左右方向に沿わせたサブフレーム16が後方に突出している。
サブフレーム16の後壁16aの左右方向中央にはバランサレバー40を回転可能に支持する支持軸17が設けられている。
バランサレバー40は、中央部に支持軸17が貫通する軸穴を有し、左右端からはそれぞれ2枚の対向するフランジからなるヒンジブラケット42(42L、42R)を外方に向けて延ばしている。
ヒンジブラケット42のフランジは支持軸17回りのバランサレバー40の回転面と平行である。
【0017】
スプリング・ダンパユニット35は両端にボールジョイント36a、36bを備え、一端のボールジョイント36aはバランサレバー40のヒンジブラケット42に連結ピン46で連結され、他端のボールジョイント36bはサスペンションアーム21のヒンジブラケット26に連結ピン47により連結されている。
バランサレバー40の各ヒンジブラケット42L、42Rのピン穴(スプリング・ダンパユニット35L、35Rのボールジョイント36aとの連結点)はバランサレバー40の回転中心(支持軸17)から等距離に設定されている。
【0018】
また、バランサレバー40のヒンジブラケット42Lとスプリング・ダンパユニット35Lのボールジョイント36a(図3では連結ピン46)、ヒンジブラケット42Rとスプリング・ダンパユニット35Rのボールジョイント36a(連結ピン46)の各連結点間の距離w1は、サスペンションアーム21Lのヒンジブラケット26とスプリング・ダンパユニット35Lのボールジョイント36b、サスペンションアーム21Rのヒンジブラケット26とスプリング・ダンパユニット35Rのボールジョイント36bの各連結点間の距離w2と同一に設定され、これにより、後方から見たとき、左右のスプリング・ダンパユニット35L、35Rは互いに平行となっている。
なお、ここではバランサレバー40の回転中心は左右のヒンジブラケット42L、42Rのピン穴(スプリング・ダンパユニット35L、35Rのボールジョイント36aとの連結点)を結ぶ線より下方にずれている。
【0019】
バランサレバー40を支持する支持軸17は側方から見たときスプリング・ダンパユニット35の軸に対してほぼ垂直となるように設定される。
バランサレバー40を支持する支持軸17の先端面にはねじ穴18が形成されており、荷台補助ステー52を取り付けるようになっている。
荷台50の平面形は任意であるが、例えば矩形の枠形状とすることができる。 荷台補助ステー52は荷台50の後左右端から下方中央寄りに延びるパイプ53の前端をブラケット54に結合して構成され、そのブラケット54がボルトにより支持軸17の先端に取り付けられる。
図2には煩雑を避けるため、荷台50および荷台補助ステー52は図示省略し、図4〜図6にも荷台補助ステー52は図示省略している。
【0020】
以上のように構成された三輪車1は、平坦路を直進走行している状態では、図3に示すように、車体2が垂直姿勢で左右のサスペンションアーム21L、221Rのホイール支持軸25は水平な一直線上に整列し、したがって左右の後輪30L、30Rは車体2の上下中心線に対して互いに対称となっており、それぞれ垂直に立っている。
なお、ここでは乗員、車体および荷等の荷重が車体2の上下中心線上にかかっているものとする。
つぎに曲がりに入って車体2が傾斜すると、サスペンションアーム21L、21Rを支持しているブラケットマウント13が車体2とともに傾斜するので、図5に示すように、各サスペンションアームに支持される後輪30L、30Rも車体2と同角度に傾斜する。
【0021】
このとき、路面からの反力である後輪荷重を受ける左右のスプリング・ダンパユニット35L、35Rは、互いにバランサレバー40に連結されているので、左右いずれか一方の後輪、例えば左後輪30Lの後輪荷重が大きくなってそのスプリング・ダンパユニット35Lに入力されるとバランサレバー40を介して他方のスプリング・ダンパユニット35Rに伝達される結果、左右のスプリング・ダンパユニット35L、35Rが受ける後輪荷重は均等化される。
後輪荷重はスプリング・ダンパユニット35のスプリング力と等価である。したがって、左右の後輪30L、30Rは傾斜しても均等なスプリング力により均等な接地状態を保持する。
なお、入力する荷重が均等化された左右のスプリング・ダンパユニット35L、35Rはその伸縮量も同じとなる。
【0022】
図5に示されるように、左右の後輪30L、30Rは接地しているので、各後輪を支持する左右のサスペンションアーム21L、21Rの遥動軸線Sまわりの角度は変化し、車体2が左へ傾斜した場合には相対的に左のサスペンションアーム21Lは上方へ回動し右のサスペンションアーム21Rは下方へ回動する。車体2が右へ傾斜した場合にはこの逆となる。
いずれの場合も、左右のスプリング・ダンパユニット35L、35Rが受ける後輪荷重が同じなので、その長さも変わらず、したがってバランサレバー40は車体2に対して回転することになる。
【0023】
また、悪路で一方の後輪、例えば右後輪30Rだけが凸部に乗り上げたときには、図6に示すように、当該後輪を支持するサスペンションアーム21Rのみが回動し、車体2はこれによって傾斜することはない。この場合、右後輪30Rのスプリング・ダンパユニット35Rは縮んでスプリング力が増大するが、バランサレバー40が回転して左右のスプリング・ダンパユニット35L、35Rのスプリング力が均等化される。
【0024】
本実施の形態では、スプリング・ダンパユニット35L、35Rが考案におけるスプリングに該当する。
【0025】
実施の形態は以上のように構成され、リアサスペンション20が、各後輪30L、30Rを支持して車体2の左右方向に延びる遥動軸線Sまわりに互いに独立して回動可能な左右のサスペンションアーム21L、21Rと、遥動軸線Sよりも高い位置で車体2に対して支持軸17まわりに回転可能に設けたバランサレバー40と、支持軸17を挟んだバランサレバー40の左右両端のヒンジブラケット42L、42Rと左右のサスペンションアーム21L、21Rのヒンジブラケット26、26との間にそれぞれ連結した左右のスプリング・ダンパユニット35L、35Rとを有するものとしたので、曲がりに際して車体2が傾斜するのに伴って後輪30L、30Rも同方向に傾斜して、通常の二輪車と同様の運転感覚が得られる。
そして、バランサレバー40を介して左右のスプリング・ダンパユニット35L、35Rが接続されていることにより、スプリング力が均等化され、左右の後輪30L、30Rは傾斜しても均等な接地状態を保持することができる。
【0026】
とくに、左右のサスペンションアーム21L、21Rとスプリング・ダンパユニット35L、35Rの連結点間の距離と、バランサレバー40のヒンジブラケット42L、42Rとスプリング・ダンパユニット35L、35Rの連結点間の距離が同一に設定されているので、スプリング・ダンパユニット35L、35Rの伸縮方向がサスペンションアーム21L、21Rの遥動面と略並行となる、したがって、スプリング・ダンパユニット35L、35Rによってサスペンションアーム21L、21Rがこじられることはなく、リアサスペンション20の高い耐久性が確保される。
【0027】
バランサレバー40を支持する支持軸17の先端には荷台補助ステー52のブラケット54を取り付けているので、別途の荷台補助ステー取り付け部を必要とせず、全体構成が簡素となる。
【0028】
左右の後輪30L、30Rはそれぞれに組み込まれたインホイールモータ31で駆動されるので、共通の駆動源から複雑な伝達系を経て両輪を駆動する場合と比較して、簡単な構造で、しかも均等な接地性と相俟って常時両輪の安定した駆動が確保される。
【0029】
なお、実施の形態はあくまでも本考案の1つの形態を示したもので、車体形状や、サスペンションアームその他の形状等は図示のものに限定されない。
例えば、サスペンションアーム21のホイール支持軸25を左右方向水平に延びるものとしたが、これに限定されず、走行特性の要求に応じて左右のホイール支持軸25を互いに若干傾けてキャンバを持たせてもよい。
あるいはこれに対応させて、さらにサスペンションアーム21の遥動軸線Sも左右異ならせてそれぞれ傾斜させることもできる。この場合、バランサレバー40とスプリング・ダンパユニット35L、35Rの左右の連結点間の距離をサスペンションアーム21L、21Rとスプリング・ダンパユニット35L、35Rの左右の連結点間の距離よりも小さくして、スプリング・ダンパユニット35L、35Rの伸縮方向が対応するサスペンションアーム21L、21Rの遥動面と略並行となるように傾斜させてもよい。
【0030】
また、後輪の駆動は、実施の形態のように左右それぞれインホイールモータによるのが最も好ましいが、必要に応じて単一のエンジンの出力を2系統に分割してチェーンやベルトにより各後輪30L、30Rに伝達するようにしてもよい。この場合でも車体2が傾斜するのに伴って後輪30L、30Rも同方向に傾斜して、通常の二輪車と同様の運転感覚が得られるとともに、均等な接地状態を保持することができる。
【0031】
さらに、スプリング・ダンパユニット35とバランサレバー40およびサスペンションアーム21の各ヒンジブラケットとの連結にはボールジョイント36a、36bを用いているが、本考案はこれに限定されず、負荷やレイアウトに応じて例えばユニバーサルジョイントやピボットジョイントその他任意のジョイントを使用することができる。
【0032】
1 三輪車
2 車体
3 サイドフレーム
4 収納ボックス
5 シート
6 バッテリ格納室
8 ヘッドパイプ
9 ハンドル軸
10 フロントフォーク
11 操向ハンドル
13 ブラケットマウント
14 ベース板
15、15o、15i ヒンジブラケット
16 サブフレーム
16a 後壁
17 支持軸
18 ねじ穴
20 リアサスペンション
21、21R、21L サスペンションアーム
22 主アーム
23 副アーム
24 軸部材
25 ホイール支持軸
25a 筒穴
26 ヒンジブラケット
28 キャリパ
30、30L、30R 後輪
31 インホイールモータ
32 ブレーキディスク
35 スプリング・ダンパユニット(スプリング)
36a、36b ボールジョイント
40 バランサレバー
42、42L、42R ヒンジブラケット
45 ヒンジピン
46、47 連結ピン
50 荷台
52 荷台補助ステー
53 パイプ
54 ブラケット
55 ボルト
S 遥動軸線

(57)【要約】

【課題】左右後輪を駆動する三輪車のリアサスペンションを、二輪車と同様の運転感覚が得られる三輪車を提供する。【解決手段】後輪30L、30Rを支持する左右のサスペンションアーム21L、21Rを車体の左右方向に延びる遥動軸線Sまわりに独立して回動可能に支持し、遥動軸線Sよりも高い位置の支持軸17まわりにバランサレバー40を回転可能に支持する。バランサレバー40の左右両端のヒンジブラケットと左右のサスペンションアームのヒンジブラケット26、26との間にそれぞれスプリング・ダンパユニット35L、35Rの両端を連結する。曲がりに際して車体が傾斜するのに伴って後輪30L、30Rも同方向に傾斜するとともに、バランサレバー40を介して左右のスプリング・ダンパユニット35L、35Rのスプリング力がバランスして均等な接地状態を保持することができる。


【パテントレビュー】

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【インターネット特許番号リンク】

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