【0001】
本考案は保存箱、特に書類や書籍、新聞、各種のデータ等の紙による記録や現像された写真、試作品、見本等、長期に亘っての保存が要求される資料を変質なく、良好な状態で保存しておくことが可能となる保存箱に関し、しかも、既設の棚をその保存箱として応用することができることとした保存箱に関する。
【0002】
従来、上記した資料は、ファイルするか包袋等に入れ、もしくはバラのままの状態で、段ボール製の箱に収容して載置、積み上げたり、棚に並置して保存されるのが一般的である。しかしながら、段ボール等の箱や帙を使用した場合、外気から各種のガスが侵入したり、それ自体から発生する酸によって資料が変色、劣化してしまい、長期に亘って状態を維持しておくことは困難となっている。これは、ファイルや包袋を使用した場合でも同様である。また、箱を使用せず、そのまま棚に並置しておくと、さらに、光や塵埃で劣化が激しくなってしまう。
【0003】
また、段ボール箱等を使用して保存する場合は、その保存スペースの確保も難しく、かつ、必要な資料を閲覧したい時にも、積み降ろしや位置変えが要求されることとなり、非常に煩わしい事態となってしまう。
【0004】
上記の点から、出願人は、特殊な構成とした段ボールを使用した保存箱を開発した。しかし、この保存箱も通常は上面が開口とされ、その開口をフラップや蓋材で閉塞する構造となっているため、やはり、その保存スペースには従来の段ボール箱等と同様の問題が残されることとなる。
出願人は、本願考案について先行する技術文献を調査したが、格別に本願考案と関連し、類似すると思われる文献は発見できなかった。
【0006】
本願考案が解決しようとする問題点は、各種資料の長期保存のため、好適な箱で、実際の使用に際して、面倒なく、開閉し、内部の資料を閲覧し、再び収納して元の状態に復元させることが実行でき、棚における保存と同等に作用する保存箱の存在がなかったという点である。
【0009】
本考案に係る保存箱は上記のように構成されている。そのため、載置場所や、資料の出入に煩わしさがあった保存箱自体が棚仕様となり、資料の出入も非常に便利で容易となり、従来、棚にファイルや包袋として並置されていた資料も、関連づけて一つの保存箱にまとめて収納することもでき、その保存箱ごと資料を運搬、移載する作業も容易に行なえることとなり、換言すると、棚自体が保存箱として作用させることができることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本考案を実施した保存箱の斜視図である。
【図2】前面フラップを開けた状態を示す斜視図である。
【図3】棚への設置状態を示す図である。
【図4】展開図である。
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
次に、本考案の好ましい実施の一例を図面を参照して説明する。図中1は本考案に係る保存箱を示しており、この保存箱1はケミカルパルプを100%使用し、炭酸カルシウムを添加し、弱アルカリ性(pH8.5)とした紙材による厚さ3mmの段ボールで直方体に成形されている。尚、この形状は高さ、幅、奥行きの寸法は収納する資料や嵌め込まれる棚のサイズに合わせ、自在に選択設定することができ、立方体でもよいもので、その外郭サイズが設置をしようとする既設の棚の内寸に合致するものとされ、素材の厚さも自在とされる。
【0013】
この保存箱1は、棚に嵌め込まれた時の前面が開口2とされている。この前面の開口2には、その開口2を開閉するためのフラップ3、4が備えられている。この実施例にあっては、開口2の上縁と下縁に各々このフラップ3、4が一体的に設けられ、下縁側のフラップ4の方が上縁側のフラップ3よりも寸法が大きく構成され、開放時に、フラップ3を上げる作業を少なくすること、及び下方側が大きく開けられることで資料の出入作業を行ない易くしている。
【0014】
また、前記した下縁側フラップ4の内面には保存箱1の成形材と、同材による補強板5が貼装され、衝撃に耐えるようにし、さらに、開放時に、この補強板5の重量も下縁側フラップ4に加えられることで自重での回動作用も加味され、作業が容易となる。
【0015】
さらに、前記した上縁側フラップ3の遊端前面には長孔を形成した、係止用の受部材6、6が適宜間隔を隔てて固設されており、下縁側のフラップ4の遊端前面には、前記受部材6、6と対応する位置に回転摘みを備えた係止部材7、7が備えられている。回転摘みは受部材6、6の長孔を貫通するもので、貫通後に略90度回転させることで、フラップ3、4の遊端の重合状態を係止する。即ち、前面開口2を閉塞し、それを維持する状態とされる。前面開口2を開放する時は、回転摘みを長孔に沿うように回転させ、係合を解除してやればよい。
【0016】
そして、前記した上縁側フラップ3と下縁側フラップ4の重合部分には、ポリエチレンを素材として不活性の不織布テープ8が貼付されている。
【0017】
本実施例に係る保存箱1は上記のように構成され、その展開図は図4に示すようになっており、側壁板9、9は底板部10に形成された挿し込み孔11、11に脚片12、12を挿し込み、折り代10aを折り上げ重合し、ポリオレフィン樹脂によるホットメルト(接着剤)で接着成形される。尚、このホットメルトは他の折り代を使用した部分にも使用される。
【0018】
このように、本考案に係る保存箱1を使用すると、資料を外気、光、塵埃から護り、良好な状態で保存でき、しかも、その保存場所を棚とすることができるので、伴なう作業も非常に容易なものとなる。
【0019】
本実施例に係る保存箱1は上記のように構成されている。本実施例では前面の開口2を開閉するフラップ3、4として開口2の上下縁に備えることとしたが、これにこだわらず、左右に備え、観音開きとしたり、左右いずれか一方での一枚フラップとして、遊端を側壁の一部に係止させる構成とすること等もできる。
【0020】
また、係止手段として、実施例に示したもののほか、磁石、ホック、ボタン、ジッパー等、各部材を連結する種々の要素を用いることができる。
【0021】
本実施例に係る保存箱1はその素材から高い強度と耐久性を有しているが、加えて、資料自体から発生するVOC及び大気中からのVOCを吸着し、外部からの汚染ガスをバリアし、調湿機能を有するボードを組み込み、さらに良質の保存箱とすることも可能である。
1 保存箱
2 前面開口
3 上縁側フラップ
4 下縁側フラップ
5 補強板
6 受部材
7 係止部材
8 不織布テープ
9 側壁板
10 底板
10a 折り代
11 挿し込み孔
12 脚片
【課題】書類や書籍、新聞、各種のデータ等の紙による記録や現像された写真、試作品、見本等、長期に亘っての保存が要求される資料を変質なく、良好な状態で保存しておくことが可能となる保存箱を提供する。【解決手段】直方体もしくは立方体に成形され、その前面開口に開閉フラップを備えた構造とし、その外郭サイズが既設の棚に嵌め込まれるものであることとし、保存箱はケミカルパルプを100%使用し、炭酸カルシウムを添加し、弱アルカリ性とした段ボールを素材として成形されている。
インターネット上にあるこの特許番号にリンクします(発見しだい自動作成):