(54)【考案の名称】ハンマーヘッド付ハンドルロック

(73)【実用新案権者】ニューレイトン株式会社

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、車両のハンドルに装着してハンドルの回転を阻止することで自動車の盗難を防ぐハンドルロックにおいて、事故等により水中に転落した時または雪崩にまきこまれて雪中に車が埋もれた時などに、乗員が車から脱出するために窓ガラスを破壊する際に用いる緊急脱出用ハンマー機能を備えたハンドルロックに関するものである。

【従来の技術】

【0002】
まず、従来の技術でハンドルに装着する自動車盗難防止装置であるハンドルロックや緊急脱出用ハンマーの開発は夫々いくつか知見できる。(特許文献1参照。)
さて現在市販のハンドルロックとしての商品は、ハンドルの回転を固定する盗難防止機能のみを有している自動車盗難防止装置が通常である。
また、別商品として売られている多くの緊急脱出用ハンマーの形態は、所謂金槌型で短かく小さい携帯タイプである。(特許文献2参照。)
【0003】
この従来の緊急脱出用ハンマーは、全体が略T字状或は略逆L字状で、グリップの上部に水平方向に向いたハンマーヘッドを設けている。
即ちグリップに対して直角方向先端に鋭いハンマーヘッドを設け、緊急時にハンマーヘッドで自動車のフロントガラスやドアガラス、リアガラスを打撃して破壊するもので、振り下ろして打撃し破壊する。
ハンマーヘッドの一つの形態は金属製で略円錐状の鋭い突起部である。
【0004】
ハンドルに装着する自動車盗難防止装置であるハンドルロックや、緊急脱出用に準備されるハンマーは、いずれも安全状必要なものであるが、しかし、これら二つを一緒に車に搭載すると、運転席のスペースは狭くなる。
また、緊急時には、とっさにハンマーを手に取ってガラスを割らなければならないが、現在主要なハンマーの多くは、形状が小さく狭い車内では、見つけにくいという不具合がある。
又、形状が小さいうえに、上方水平部先端にハンマーヘッドをグリップに対して直角方向に設けているので、打撃の方向は、手首のスナップを効かせて振り打てる方向になる。
【0005】
しかし、この構成で、振り下ろすと、実は体制によっては、ガラス面に斜めに当たってしまい、滑ってなかなか破壊できないことがわかった。
事故の状況によっては、振り下ろす空間があるとも限らない。
【0006】

【効果】

【0020】
本考案は前記の構成であり、次の技術的効果がある。
(A)バット型のハンドルロックは、緊急脱出時にその太い部分で自動車のガラスを破壊することもできるが、しかし狭い空間では、振り回す空間がないこともある。
一方脱出用ガラス破壊ハンマーが市販されているが、比較的小さく打撃点がグリップと直角の位置にあるために、滑る場合があり、又破壊成功してもその脱出空間を広くしたりガラスに接触しないようにするには、再度打撃し掻きだす何らかの道具が必要である。
従来は、何らかのハンドルロックと何らかの脱出ハンマーの両方を別個に車載することも多かった。
この状態は、狭いスペースでは運転の邪魔になり、スペースの観点から課題があり、又一方のみでは、十分な緊急対策にはならない。
そこで本考案では、車両の盗難を防止するためのバット型のハンドルロックの機能と緊急時にガラスを割って脱出するためのハンマーの機能双方を併持させることで、省スペース化を図り、かつバット型ハンドルロックとハンマー夫々別個よりもより一体的なものとして、打撃正確性を高め脱出口拡大のためにバット形状を活用して緊急脱出機能を向上させたものである。
バット型のハンドルロックにハンマーヘッドを備えたことで、緊急脱出時には両者の機能が相乗補完され、より使い勝手がよい。
本考案のハンドルロックは、打撃でき、ガラスを突撃破壊でき、脱出口をこじ開けて、危険から逃避するのにより有効である。
【0021】
(B)また、ハンドルロックの大きさは、回転防止構成上いくぶん長い物であるから、緊急時には即座に見つけ出し、暗闇でも手にとって使用できる。
(C)尚、ハンマーヘッドの形状は尖鋭で堅固であるから、それがむき出しの状態であると、不測にも使用中や運転中にハンマーヘッドが乗員に接触して思わぬ怪我をするおそれがある。
【0022】
そこで本考案では、柔軟な素材で形成した柄部のカバー端を、芯よりハンマーヘッドの突起部の長さと略同じ長さだけ延伸させて形成し、その中空部がハンマーヘッドの突起部の外周を被覆しているように形成した。
緊急時には、バット型のハンマーヘッド付ハンドルロックを持って、ハンマーヘッドを窓ガラスに打ち付ければ、延伸されたカバー端部と中空部は潰れて、ロスなくハンマーヘッドを窓ガラスに打撃できる。
この構成で安全性を向上させることができる。
【0023】
なお、前記柄部の端にハンマーヘッドの突起部を覆う着脱自在なキャップを取付けることでより確かな保護効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本考案に係るハンマーヘッド付ハンドルロックの実施例1を示すもので、本考案のハンマーヘッド付ハンドルロックを自動車ハンドルに装着した状態の平面図である。

【0025】
【図2】本考案に係るハンマーヘッド付ハンドルロックの実施例2を示すもので、柔軟な素材で形成した柄部のカバー端を、芯よりハンマーヘッドの突起部の長さと略同じ長さだけ延伸させて形成し、その中空部がハンマーヘッドの突起部の外周を被覆している態様を示す断面図である。

【0026】
【図3】同じく本考案に係るハンマーヘッド付ハンドルロックの実施例3を示すもので、柄部の端部に取り付けたハンマーヘッドの突起部を覆うキャップの態様を示す斜視図である。
【図4】本考案に係るハンマーヘッド付ハンドルロックの実施例1の正面図である。

【0027】
次にこの考案の実施形態を説明する。
図示の実施形態は、太い軸部(11)と細い柄部(2)からなるバット型のハンドルロック(1)で、前記軸部(11)に車両のハンドル(H)に取付ける手段を有し、取付けによってハンドル(H)の回転を物理的に阻止する長さを有するハンドルロック(1)において、ハンドルロック本体(1)と一直線状に連続してなる前記柄部(2)の端部端面に突起部(31)を有するハンマーヘッド(3)を設けたハンマーヘッド付きハンドルロックである。
【0028】
バット型とは、その形状が野球のバットに似た形状を指し、太い軸部(11)と柄部(2)があり所定の長さを有し、軸部(11)にはハンドル(H)を差し込める開口した空洞(開口部)があり、そこにハンドル(H)の円弧を差し込むとキーで回転片が出入し固定するロック機構が設けられている。
【0029】
ハンマーヘッド(3)の突起部(31)は露出しているので、皮膚を傷つけない程度に形成し、鋭くはない円錐形としている。
ハンマーヘッド(3)は、前記柄部(2)の芯(21)に鋲(6)を貫通させて固定している。
柄部(2)には、内部にある円管の芯(21)を被覆するカバーがあり、ゴム製や合成樹脂製の柔軟なグリップとなっている。
柄部(2)の近くには、窪みに内設したカッター刃(7)を設けている。
【0030】
ハンマーヘッド(1)の突起部(31)の周囲を被覆する手段について説明する。
柄部(2)のカバー端をその芯(21)よりハンマーヘッドの突起部(31)の長さと比較して少し長め或は略同じ長さに形成した。
つまり柔軟な素材の柄部(2)カバーが中空部(4)をもって、ハンマーヘッド(3)の突起部(31)の周囲を被覆している。
少なくとも中空部(4)を形成する周囲柄部(2)カバーは、柔軟な合成樹脂または合成ゴムで、好ましくは蛇腹形状等が選ばれる。
【0031】
なお、前記中空部(4)の代わりに、前記柄部(2)の端にハンマーヘッド(3)の突起部(31)を覆う透明なキャップ(5)を着脱自在に取付けることで、ハンマーヘッドの突起部(31)を被覆する形態もある。
【0032】
次にこの考案にかかるハンマーヘッド付ハンドルロック(1)について、添付した図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0033】
図1は本考案に係るハンマーヘッド付ハンドルロック(1)の実施例1を示すもので、本考案のハンマーヘッド付ハンドルロック(1)をハンドル(H)に取付けた状態の使用状態説明図である。
図4は、実施例1の正面図である。
【0034】
実施例1は、野球用のバットを小さくした形状で、太い軸部(11)と細い柄部(2)からなるバット型のハンドルロック(1)で、自動車ほか車両のハンドル(H)に取付ける手段を有し、その取付けによってハンドル(H)の回転を物理的に阻止する長さを有するハンドルロックにおいて、ハンドルロック本体(1)と一直線状に連続してなる前記柄部(2)の端部端面に突起部(3)を有するハンマーヘッド(31)を設けたハンマーヘッド付ハンドルロックを示している。
【0035】
ハンドルに取付けロックする手段は、ハンドルロック(1)の軸部(11)に開口した空洞(開口部)を設けかつそこにロック機構を設けた構成で、開口した空洞(開口部)にハンドル(H)の一部円弧を差し込み、その状態で差し込まれた一部円弧を掴み外れないように回転片が出てきてロックする。
回転片は、キー解除しない限り、外れない構成になっている。
このロック構造は、種々のものがあり、特に限定するものではない。
この結果、ハンドル(H)に長尺物(バット型ハンドルロック)が連結された状態であるので、ハンドル周りの機器や物体に当たり、事実上ハンドルは回せず運転はできないこととなる。
【0036】
バット形状の太い軸部(11)と細い柄部(2)の内部にある管状の芯(21)は連続していて一体成形されている。
材質は鉄やアルミやステンレススチールが好適であるが、頑強な材質であればそれに限定されるものではない。
【0037】
ハンマーヘッド(3)の先端には先がとがった突起部(31)があり、材質は鉄製が好適であるが、硬性で窓ガラスを破壊するに適した重量と材質である限り、他の材質でもかまわない。
【0038】
軸部(11)の柄部(2)に近い側には、窪んだ位置でカッター刃(7)が取り付けられている。
このカッター刃(7)は、窪んだ位置即軸部(11)の一部を凹状に切開して開口された溝内にはめ込んでいて、刃が表面に露出させない工夫がしてある。
緊急時などの使用に際しては、シートベルトをこの溝に強く押し入れて切断する。
また、空気が抜けたエアバッグを切断することにも応用できる。
【0039】
図2は、ハンマーヘッド付ハンドルロック(1)の実施例2を示すもので、断面で示すように、柄部(2)には、カバーが設けられている。
カバーは、合成樹脂または合成ゴムなどで作成される。
柄部(2)のカバー端を中空管の芯(21)よりハンマーヘッド(3)の突起部(31)の長さと同じ長さだけ突出して形成し、中空部(4)を有する態様を示す断面図である。
この中空部(4)が突起部(31)を包み込んで、保護の役割を果たす。
なお、ハンマーヘッド(3)は、芯(21)の中空管に挿込んで、柄部(2)と芯(21)を貫通する1本以上の鋲(6)で固定する。
【0040】
図3は同じく本考案に係るハンマーヘッド付ハンドルロック(1)の実施例3を示すもので、実施例1および実施例2と同様に、全体が野球用バットを模した形態とし、柄部(2)の端にハンマーヘッド(3)の突起部(31)を覆う透明なキャップ(5)を取付けた実施例を示す斜視図である。
図3の一部斜視図で示すように、プラスチック製のキャップ(5)を柄部(2)の端に着脱自在に取付けて突起部(31)を被覆する。
【0041】
端部のハンマーヘッド(3)にキャップ(5)を取付けたハンマーヘッド付ハンドルロック(1)は、そのキャップ(5)を透明材料や、蛍光材料で作成しておくことで、普段から、緊急時の心構えを示唆できる心理的効果もある。
【0042】
近時の自動車は、電子システムを採用する個所が多くなり、例えばパワーウィンドウの普及により水没や衝突事故などの理由で、電装系が故障すると窓やドアが開けられなくなることが多い。
この場合、水没した車や火災炎上する車から一刻も早く脱出するために、ハンマーで窓ガラスを破壊しなければならない。この時、緊急用具が小さく見つけにくいと脱出するまでの所要時間が長くなってしまう。
本考案は、既述の通り、長く目立つハンドルロックの柄の端部にハンマーヘッドを取付けたものであって、駐車時に日常的に使用するハンドルロックであるので運転席回りに常備しやすく、ハンマーヘッドも視認しやすいので、緊急事態でも即座に手にとって使用できる。
ハンマーヘッドでのガラス破壊、バット形状であるので、打撃による脱出口の拡大など相乗的に活用できる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本考案では、ハンマーヘッドの突起部を被覆する工夫も備えていて安全性にも配慮している。
自家用乗用車はもちろん、業務用自動車、そのほか窓ガラスとハンドルのある乗り物では緊急用常備品として有用であり、産業上の利用可能性を十二分にもつ新案である。
【0044】
1 ハンマーヘッド付ハンドルロック
11 軸部(ロック部本体)
2 柄部
21 芯(管)
3 ハンマーヘッド
31 突起部
4 中空部
5 キャップ
6 鋲
7 カッター刃
H ハンドル

(57)【要約】

【課題】窓ガラスを破壊する緊急脱出用ハンマーの機能を持つ自動車のハンマーヘッド付ハンドルロックを提供する。【解決手段】太い軸部11と細い柄部2からなり、車両のハンドルHへの取付けによってハンドルHの回転を物理的に阻止する長さを有する。ハンドルロックの軸部11本体と一直線状に連続している前記柄部2の端部に突起部31を有するハンマーヘッド3を設けた。突起部31は、その周囲にカバーを設けるか、キャップで被覆してある。


【パテントレビュー】

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【インターネット特許番号リンク】

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