(54)【考案の名称】上衣

(73)【実用新案権者】尾崎商事株式会社

(72)【考案者】【考案者】

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【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、特に運動時に着用する上衣に関する。

【従来の技術】

【0002】
運動時の体温調節は、運動パフォーマンスおよび運動後の疲労に関して重要な意味を有する。運動により筋肉から熱が発生するが、十分な放熱が行われない場合、体温が上昇し過剰な発汗が生じて脱水症状につながる。結果として、運動パフォーマンスは低下する。一方、体温が低下すると、血管が収縮し血流量が下がる。その結果、筋肉へ送られる酸素量が低下することに加えて、大脳への血流が下がり運動後の疲労感が蓄積する。
【0003】
特許文献1には、体温調節を主な目的として開発された上衣が記載されている。当該上衣はメッシュ素材による通気口が設けられており、発汗時において暖湿気を排出し、休息時において適度な保温性を実現しようとするものである。しかしながら、特許文献1に記載の上衣は、発熱量の異なる身体の部位ごとに排熱性および保温性を提供できるものではない。
【0004】
一方、特許文献2には、身体の部位ごとに異なる素材によって形成された上衣が記載されている。当該上衣は、一部に強緊張素材を使用し、残る部分に弱緊張素材を使用することで、着用者に動き易さを提供する。しかし当該上衣は、着用者の体温調節を向上する機能を有さない。
【0005】

【効果】

【0008】
本考案によれば、運動時に発熱量の大きい大胸筋および外腹斜筋に対応する部分が吸水性および通気性の高いメッシュ素材で形成されているため放熱を促進し、且つ肩甲骨および腹部が保湿性の高い吸湿発熱素材で形成されているため、運動時に発熱量の小さい内臓の温度低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本考案に係る上衣の前面および側面を示す図。
【図2】本考案に係る上衣の背面および側面を示す図。

【0010】
図1および図2は、本考案に係る上衣10の外観を示す図である。図1は上衣10の前面および側面、図2は上衣10の背面および側面をそれぞれ示している。
【0011】
図1に示す上衣10の大胸筋部分1a、外腹斜筋部分1bおよび背中心1cはメッシュ素材で形成されている。大胸筋部分1aとは、着用者の大胸筋の位置に対応する上衣の部分であり、外腹斜筋部分1bとは、着用者の外腹斜筋の位置に対応する上衣の部分であり、背中心1cとは、着用者の背骨の位置に対応する上衣の部分である。メッシュ素材とは網の目状に織られた素材のことであり、吸水性および通気性に優れているため、身体から発生する熱を効率よく放熱することができる。メッシュ素材としては、具体的には、テクノメッシュ(旭化成せんい株式会社)またはカチオンメッシュ(クラレトレーディング株式会社)等を使用することができる。なお、十分な放熱が可能であれば、メッシュ素材の代わりにその他の素材を使用してもよい。
【0012】
一方、図1および図2に示す上衣10の腹部2aおよび肩甲骨部分2bは吸湿発熱素材で形成されている。腹部2aおよび肩甲骨部分2bは、着用者の腹部および肩甲骨をそれぞれ覆うように対応している。吸湿発熱素材とは水分を吸着して水和熱を発生させる素材である。したがって、吸湿発熱素材は、身体からの汗を利用して発熱することができる。吸湿発熱素材としては、具体的には、モイステックスホット(旭化成せんい株式会社)またはエックスライブ(東洋紡株式会社)等を使用することができる。なお、適切な発熱が可能であるか保温性が十分であれば、吸湿発熱素材の代わりにその他の素材を使用してもよい。
【0013】
図1および図2に示される上衣において、メッシュ素材および吸湿発熱素材を使用しない部分には、通常の素材を使用することができる。例えば、モイステックスクール(旭化成せんい株式会社)、フィールドセンサー秒乾(東レ株式会社)またはクイックドライメッシュ(クラレトレーディング株式会社)等を使用することができる。
【0014】
図1および図2に示される上衣では、大胸筋部分1aおよび外腹斜筋部分1bがメッシュ素材で形成され、腹部2aおよび肩甲骨部分2bは吸湿発熱素材で形成されているが、運動の種類および着用者の体型等に応じてメッシュ素材および吸湿発熱素材の配置を適宜変更してもよい。例えば、特定の部位の筋肉を多く使用する運動の場合、その筋肉からの発熱量が高くなることが予想されるため、その部位にメッシュ素材を配置することができる。
【0015】
また、メッシュ素材を使用する部位は、必ずしも一様である必要はない。すなわち、機能の異なる複数のメッシュ素材を組み合わせて使用することができる。例えば、より発熱量が大きい部位ほど放熱性のより高いメッシュ素材を使用し、相対的に発熱量が低い部位には放熱性のより低いメッシュ素材を使用することができる。同様に、吸湿発熱素材を使用する部位を必ずしも一様にする必要はなく、吸湿発熱素材としての性能がより高い素材と低い素材とを部位ごとに使い分けることができる。
【0016】
本考案に係る上衣は、放熱性の高い素材と発熱性の高い素材とが組み合わされているため、運動時に、大胸筋部分および外腹斜筋部分からは放熱し、腹部および肩甲骨部分からは過度の放熱を抑制することができ、運動する着用者にとって適切な温度調節をもたらす。結果として、パフォーマンスは向上し、且つ運動後の疲労を低減することができる。
【0017】
10…上衣、1a…大胸筋部分、1b…外腹斜筋部分、1c…背中心、2a…腹部、2b…肩甲骨部分。

(57)【要約】

【課題】着用者の運動パフォーマンスを向上させ、身体の負荷を軽減し、運動後の疲労を低減する上衣を提供する。【解決手段】上衣10の大胸筋部分1a、外腹斜筋部分1bおよび背中心はメッシュ素材で形成されている。大胸筋部分1aとは、着用者の大胸筋の位置に対応する上衣の部分であり、外腹斜筋部分1bとは、着用者の外腹斜筋の位置に対応する上衣の部分であり、背中心とは、着用者の背骨の位置に対応する上衣の部分である。メッシュ素材とは網の目状に織られた素材のことであり、吸水性および通気性に優れているため、身体から発生する熱を効率よく放熱することができる。なお、十分な放熱が可能であれば、メッシュ素材の代わりにその他の素材を使用してもよい。


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