
【0001】
本考案は、帆立貝の養殖において用いられる落下防止具に関するものである。
詳しくは、ロープに係止具を介して帆立貝の稚貝を所定スパンで係止して吊り下げ支持し、このロープを海中に投入し、海中で帆立貝の成長を促し、帆立貝を養殖する帆立貝の養殖において、海中からロープを引き上げて生育した帆立貝を水揚げする際に、雑物の付着により重量が増大することで発生する係止具の破断、これに起因する帆立貝の落下を事前に防止する落下防止具に関するものである。
【0002】
ロープの長さ方向に直交する方向に係止ピンを所定間隔で貫通・保持させ、係止ピンの両端部の抜止部に帆立貝(稚貝)の耳片を係止し、海中にロープを垂下し、帆立貝を養殖する帆立貝の養殖法は従来から行われている。
かかる帆立貝の養殖に用いられる係止ピンは従来から知られている。
【0022】
請求項1に係る考案では、海中からロープを引き上げて生育後の帆立貝を水揚げする際、付着した雑物を含む帆立貝(付着物)が大重量化し、係止具が破断し、雑物を含む帆立貝がロープから離脱、落下しても、離脱、落下した帆立貝等は下側の落下防止具で支承され、下位の帆立貝への落下の影響を防止することができ、落下防止具は漏斗状、あるいは漏斗状類似の構造なので、ロープから離脱し、落下する帆立貝等を確実に支承することができ、水揚げ時における帆立貝の損失の発生を可及的に防止し、効率の良い養殖帆立貝の養殖帆立貝の水揚げ、回収を行うことができる。
そして、以上をロープに漏斗状、または漏斗状類似の落下防止具を帆立貝等の所定のものの下側に取り付け、支持させるだけなので、簡易であり、また、落下防止具の構造も簡素で、安価に提供することができる。
【0023】
請求項2に係る考案では、周壁、または周囲に排水用の開口部を複数備えるので、帆立貝等とともに海中に配置されていても、内部に海水が溜まることが無い。
【0024】
請求項3に係る考案では、三角形の切り欠き、係止孔、係止片、開口部を有する円板材を用意し、これを漏斗状に曲げ、ロープにストッパを介して取り付けることで、落下防止具を形成することができるので、構造簡素であり、安価に得ることができ、またロープへの取り付けも簡単である。
【0025】
請求項4に係る考案では、海星状の板材の基部を漏斗状類似の形状に折り曲げ、ロープにストッパを介して取り付けることで、落下防止具を形成することができるので、構造簡素であり、安価に得ることができ、またロープへの取り付けも簡単である。
【0026】
請求項5に係る考案では、海中からロープを引き上げて生育後の帆立貝を水揚げする際、付着した雑物を含む帆立貝(付着物)が大重量化し、係止具が破断し、雑物を含む帆立貝がロープから離脱、落下しても、離脱、落下した帆立貝等は下側の落下防止具で支承され、下位の帆立貝への落下の影響を防止することができ、落下防止具は傘状、あるいは傘状類似の構造なので、ロープから離脱し、落下する帆立貝等を支承し、あるいは外側に案内し、下位の帆立貝等への影響を防止し、水揚げ時における帆立貝の損失の発生を可及的に防止し、効率の良い養殖帆立貝の水揚げ、回収を行うことができる。
そして、以上をロープに傘状、または傘状類似の落下防止具を帆立貝等の所定のものの下側に取り付け、支持させるだけので、簡易であり、また、落下防止具の構造も簡素で、安価に提供することができる。
【0027】
請求項6に係る考案では、周壁、または周囲に排水用の開口部を複数備えるので、帆立貝等とともに海中に配置されていても、内部に海水が溜まることが無い。
【0028】
請求項7に係る考案では、傘状、または傘状類似の落下防止具は、周壁を備える傘状体、または傘骨状体なので、構造が簡素で、安価に実効性のある落下防止具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本考案の実施の形態における第1の実施の形態を示す図であって、帆立貝養殖時に、ロープに落下防止具を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図2】落下防止具の円板材の展開図である。
【図3】落下防止具のロープへの取り付け作業を示す斜視図である。
【図4】ロープに帆立貝を係止・保持させ、海中に垂下させて養殖を行う説明図である。
【図5】帆立貝を海中で養殖し、経時的にロープや帆立貝にイガイ、フジツボ、ホヤ等の雑物が付着し、成長した状態を示す説明図である。
【図6】水揚げ状態を示す説明図である。
【図7】本考案に係る落下防止具の第2実施例の展開図である。
【図8】図7の落下防止具を組み立て、ロープに装着した状態を示す説明的斜視図である。
【図9】本考案に係る係止具の第3実施例に係る斜視図である。
【図10】本考案に係る係止具の第4実施例に係る斜視図である。
【図11】本考案にかかる係止具を用いた第2の実施の形態の代表例を示す説明的斜視図である。
【図12】図11の実施の形態における帆立貝の養殖を示す説明図で、図5と同様の図である。
【図13】ロープに係止具を介して帆立貝を係止、支持した状態を示す説明図である。
【図14】帆立貝の養殖状態を示す説明図である。
【図15】ロープに吊り下げ、養殖した帆立貝に付着物が付着した状態を示す説明図である。
【図16】水揚げ状態を示す説明図である。
【図17】帆立貝の水揚げに発生する脱落状態を示す説明図である。
本考案の実施の形態としての第1の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は、帆立貝養殖時に、ロープに落下防止具を取り付けた状態を示す斜視図を示し、ロープ1に係止ピン(係止具)2を貫通、係止し、係止ピン2の両側に帆立貝(稚貝)3,3の耳片3a,3aを係止孔を介して係止、保持させる。
ロープ1はその径が6〜8mmで、長さが10〜15mであり、図4に示すように7〜8cm長の係止ピンを10〜13cmピッチでロープに貫通・保持させ、各係止ピンの両端部に帆立貝の耳片が係止・保持されている。
【0031】
図2は、図1に示した本考案に係る落下防止具の第1実施例の展開図である。
落下防止具10は、円板材からなり、円板形の基板11は、中心部に破線で示した円形の折り線12の内側に切れ目13を放射状に有し、円形の折り線12はロープ1の外径と略々一致する。
基板11の一部には、外径から中心へ略三角形の切欠14を有する。この三角形の切欠14の一側縁14aの円周方向内側には、内側寄り部、外側寄り部の2列に亘り係止孔15…を外径方向から中心方向に複数設け、他側縁14bには、係止孔15…に対応する係止片16…を設けた。
係止孔15…は円周方向に2列、径方向に3個設け、従って、係止片16…も3個対応するように設けた。以上の基板11には、複数個の排水用開口部17…を設ける。
以上の落下防止具を構成する基板11は、腰が強く、ある程度の撓み性を有する合成樹脂板材で成形した。
【0032】
図3は、落下防止具のロープへの取り付け作業を示す斜視図である。
ロープ1に事前に係止ピン類似構造のストッパ19を貫通するように取り付けておき、ロープ1の所定部位、つまりは所定の帆立貝等の下で、保護すべき帆立貝等の上側に基板11の切欠14を臨ませ、切欠14を介して中心部の切れ目13にロープ1を嵌める。
ロープ1のこの部分は、切れ目13及び折り線12を介して切れ目と折り線との間の小さなフラップが下方に曲がり、ロープを囲む。
爾後、基板11を切欠14が閉じるように漏斗状に曲げ、切欠14の一側縁の係止孔15…に係止片16…を挿入し、切欠14を閉じた状態で漏斗上場対を維持するように保持する。
【0033】
ところで、係止片16…は先が尖り、かつ膨出した銛状とし、係止孔15…は2列設け、係止片16…の先部を2列の係止孔15…に挿入、係止したので、係止は強固、確実になされ、漏斗状態を確実に保持する。
これにより、図1に示した通り、ロープ1に上下に係止、支持した帆立貝の間に、漏斗状の落下防止具10を取り付ける。
【0034】
図4は、ロープに帆立貝を係止・保持させ、海中に垂下させて養殖を行う説明図である。図1〜図3に示した落下防止具10を用いて落下防止対策を施した状態を示す説明図である。
図で示した通り、浮きで海面下に横向き(略水平)に架設された横ロープ5に、ロープ1の上端部1aが結束具6を介して、縦向きに吊り下げ支持されている。
ロープ1には、ロープを貫通・横断するように係止ピン2(係止具)が係止・保持されており、係止ピン2の両端部には、帆立貝3が耳片を貫通、係止することで係止、保持されている。
【0035】
係止ピン2及びこれの両端部に係止、保持された帆立貝3,3で、一単位の帆立貝養殖単位4を構成する。
図4において、最上位の帆立貝養殖単位4をAとし、二段面の帆立貝養殖単位4をBとし、三段目の帆立貝養殖単位4をCとし、以下の帆立貝養殖単位をD〜とする。
各単位A,B,C間のロープ長さ方向の間隔は10〜13cmである。10〜13cmピッチで帆立貝養殖単位が最上位から最下位まで多数ロープに係止、保持されており、海中に侵浸して帆立貝の養殖を行う。
ロープに下端部には錘7を取り付け、海底にロープを定着させる。
【0036】
以上において、ロープ1に係止・保持された帆立貝養殖単位A〜のうち、海面に近く、波浪の上下運動を受け易い最上段のものから下位のもの、例えば、実施例では、ロープ1に係止・保持された2段目の帆立貝養殖単位Bと、三段目の帆立貝養殖単位Cとの間の部位に、前記した漏斗状の落下防止具10を取り付け、支持する。
落下防止具10の上方に、上位の帆立貝養殖単位のうちの2段目の帆立貝養殖単位Bが臨み、帆立貝養殖単位Bの上に最上位の帆立貝養殖単位Aが臨む。
図1に戻って、上位の帆立貝単位Bと下位の帆立貝単位Cとの間に落下防止具10が取付支持されている。
【0037】
図5は、図4の状態で海中で養殖し、経時的にロープや帆立貝にイガイ、フジツボ、ホヤ等の雑物が付着し、成長した状態を示す説明図である。
海中の養殖において、不可避的にロープ1に取り付け、支持された帆立貝養殖単位4…には、イガイ、フジツボ、ホヤ等の雑物8が付着する。
雑物8は、上下に間隔を開けて配置されている帆立貝養殖単位4…だけでなく、帆立貝養殖単位4…間のロープ周にも付着し、上下に配置されている帆立貝養殖単位4…間に、連続するように付着し、帆立貝養殖単位4…の間の部分は細くなって、連続しつつ狭窄した状態となる。
雑物8で覆われた帆立貝養殖単位BとCとの間に、前記した落下防止具10が配設されていることとなる。
養殖後の水揚げは、図6の状態でなされる。
【0038】
図6は、水揚げ状態を示す説明図である。
船61の舷側61aに配設した巻揚機62、巻揚ガイド63でロープ1を巻き揚げる。ロープ1に長さ方向に連続してぶら下がった帆立貝養殖単位4…は、付着物(雑物)8…を含んで数珠繋ぎ状にロープに垂れ下がって引き上げられる。
この際、海面に近い部分の付着物8…を含む帆立貝養殖単位4、即ち例えば、前記したA,Bは、付着物で重量が大きくなり、且つ海面から引き上げられて浮力を失う。付着物はその自重が大きいことから、雑物、帆立貝養殖単位を含む付着物は、その重量で、係止具自身を破断し、付着物はロープから離脱し、脱落する。
【0039】
ところで、最初に海面上に露出し、浮力が無くなり、ロープから離脱する可能性のある上位の帆立貝養殖単位、雑物を含む付着物A,Bは、係止具が破断してロープから離脱し、落下する。その際、直下に漏斗状の落下防止具10が取り付けられているので、これで受けられる。
従って、離脱し、落下した付着物(帆立貝及び雑物)は、下の落下防止具10でその荷重が支持される。
【0040】
従って、付着物(帆立貝養殖単位、雑物)がロープから離脱し、落下するのを落下防止具10で受け、支持するので、一次的には、付着物の荷重を落下防止具10で支持して係止ピンの破断を防止し、ロープからの離脱を防止する。
二次的には、係止具が破断し、付着物が離脱したとしても、当該付着物を落下防止具10で下から支え、たとえ、付着物がロープから落下したとしても、落下防止具10によりロープに沿ったロープから離脱した付着物の落下を防止する。
【0041】
これにより、ロープ引き上げによる水揚げ時のロープ上位の付着物(帆立貝養殖単位、雑物)A,Bのロープからの離脱による下位の付着物C(帆立貝養殖単位、雑物)への影響を防止することができる。
このように、水揚げ時に海面上で始まる垂下物(帆立貝養殖単位、雑物)の落下、これに起因する雪崩現象を、落下防止具10で防止することができ、養殖して生育させた帆立貝の回収効率は飛躍的に向上する。
【0042】
図7は、本考案に係る落下防止具の第2実施例の展開図である。
前記第1実施例と同様の合成樹脂の板材を海星状に成形し、基板21を得る。基板21は中央部の円板状の基部22と、基部の外周から放射状に延出した脚部23…とからなり、実施例では放射状に9本の脚部23…を延出し、脚部23…には、実施例では凹凸状のリブ23a…を夫々設け、強度アップを図った。
【0043】
基部22には三角形の切欠24を中心に向かって設け、切欠24の基端部で、基部22の中心部には円形の折り線25を設け、折り線25から中心方向に放射状に切れ目26…を設ける。
切欠24の一側縁24aに近い脚部の基部には、係止孔27を円周方向に離間して2箇所設け、一方、切欠24の他側縁24bには、係止孔27に係合する係止片28を突設した。
【0044】
図8において示すように、基部22の切欠24に介してロープ1挟み込み、折り線25から折り目に沿ってフラップを下方に曲げ、ロープ1を囲むように基部22を漏斗状に窄める。
切欠24の対向する端縁24a,24bを重ね合わせ、係止片28を係止孔27に係合し、脚部23…を放射状、且つ上方に拡径するように傾斜した逆傘骨状の落下防止具20を形成する。
下端部には、前記と同様にストッパ19を貫通して取り付け、落下防止具20の下端部を支持し、ロープに落下防止具20を取り付け、支持した。
以上においては、脚部23…間に大きな隙間があり、排水用開口部を構成する。
【0045】
図9は、本考案に係る係止具の、第3実施例に係る斜視図である。
本実施例に係る落下防止具30は、漏斗状(逆カップ状)の本体31と、これの基部32とをその形状のまま一体に合成樹脂で成形したもので、リング状の基部32の上端部から漏斗状に、一体に上方、且つ径方向に上方に行くに従って拡径するように本体31が設けられており、周壁には排水開口部33…が設けられ、リング状基部32をロープに通し、ストッパ19でロープに取り付け、支持したものである。
【0046】
図10は、本考案に係る係止具の、第4実施例に係る斜視図である。
本実施例は、上記した図7、図8の実施例に類似する実施例であり、リング状の基部42の外周上部に径方向外方で、上方に拡径するように、上方に傾斜させて脚部43…を放射状に一体に設けた構造であり、リング状基部42と傘骨状の脚部43…とを合成樹脂で一体に成形した構造である。脚部43…間に大きな隙間があり、排水開口を構成するものである。
【0047】
図11は、本考案にかかる係止具を用いた第2の実施の形態の代表例を示す説明的斜視図である。
本実施の形態は、上記図1の実施例で示した第1実施例に係る落下防止具に類似する落下防止具50を用いて実施した例であり、図中、1はロープ、2は係止具、3は帆立貝、3aは耳片である。
本実施の形態では、前記した漏斗状の落下防止具を傘のように下向きにロープに取り付け、支持し、装着したものである。
傘状の本体51の周壁には排水開口57…を備え、所定の帆立貝単位4,4の間に落下防止具50を傘状に配置し、図12に示すように、ロープ1に吊り下げ支持された帆立貝単位4…のうちの上から2番目と3番目の単位B,Cの間に傘状の落下防止具50を配設した。
【0048】
以上においては、落下防止具50は、ロープ1に保持された帆立貝養殖単位4…の所定のものの間に配設されており、雑物8が付着した状態の帆立貝の水揚げ時に、例えば、図12におけるA,Bの帆立貝養殖単位が、係止具2の破断等によりロープから脱落した際、C以下の雑物8を含む帆立貝養殖単位上に落下したりする虞がある。
この落下は、雑物8を含む帆立貝養殖単位Bの下側にある落下防止具50により受けられ、落下防止具50は傘状なので、下向きの径方向外方の傘面にガイドされて径方向外方に滑って落下し、下位の雑物8を含む帆立貝養殖単位Cには接触したりすることがない。従って、図12に示した上位の帆立貝養殖単位(雑物8を含む)A,Bの脱落、落下の下位(C以下)への影響を防止することができる。
【0049】
以上の実施の形態では、図1に示した実施例を傘状に用いた実施例を示しているが、図8の実施例、図9、図10の実施例における落下防止具を逆向きに用いることも可能であり、図11と同様なので、逆向きに落下防止具をロープ取り付けるとする説明のみで理解し得ると思料したので、図示しなかった。
【0050】
本考案に係る落下防止具は、帆立貝養殖に利用することができる。
1…ロープ、 2…係止具、 3…帆立貝、 10,20,30,40,50…落下防止具。
【課題】成長後の帆立貝の水揚げに際して発生する付着物の落下、これに起因する雪崩現象的な帆立貝の落下を確実に防止する落下防止具を提供する。【解決手段】ロープ1にその長さ方向に所定間隔を開けて多数の係止具2を係止し、この係止具2の両端部に帆立貝3,3を係止し、帆立貝をロープに吊り下げ支持し、このロープを海中に垂下し、帆立貝を養殖する帆立貝の養殖法に用い、ロープに吊り下げ支持した帆立貝の所定のものの下側に臨み、該ロープに下端部を係止し、且つ該ロープを囲むように該ロープに取り付ける漏斗状、または漏斗状類似の形状として落下防止具10を構成する。
インターネット上にあるこの特許番号にリンクします(発見しだい自動作成):